説明

帯電装置、及びこの帯電装置を備えた画像形成装置

【課題】回転する清掃部材を針電極に沿って移動させつつ針電極を摺擦して清掃する往路、復路とも充分な清掃性能を発揮できるとともに、針電極の折れ曲がりを防止できる清掃機構を有した帯電装置、及びこの帯電装置を備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】移動の往路、復路とも、清掃部材における前記針電極を摺擦する部分の回転速度ベクトルと、前記針電極の配列方向に移動する移動速度ベクトルとの合成ベクトルの方向が、針元から針先方向に向かうように、前記清掃部材の移動速度、回転速度及び傾きの角度が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる帯電装置、特には針電極でコロナ放電を行う帯電装置、及びこの帯電装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる帯電装置には針電極でコロナ放電を行う針電極方式の帯電装置がある。
【0003】
針電極方式(鋸歯電極方式とも言う)の帯電装置は、複数の針状の電極を像担持体に平行に配列したもので、針電極の先端に電界が集中するため、コロナワイヤ方式に比べ放電生成物が少ないというメリットがある。それでも継続使用すると、放電生成物やトナーなどの付着物が発生し、帯電性能が低下してくる。
【0004】
このため、針電極を清掃する種々の提案がされている。例えば、特許文献1は、針電極の両側面に外周面が接触し、針電極の配列方向に沿って移動しながら針電極の側面を転がって回転する清掃ローラを備え、清掃ローラの針電極先端側に接する側が前傾するように、その回転軸を傾斜させる構造の清掃装置を開示している。
【0005】
また、特許文献2は、針電極を清掃する第1清掃部材と第2清掃部材を備えた構成を開示している。第1清掃部材は、低硬度の研磨剤を含んだ弾性体で構成され、針電極の配列方向に沿って回転しながら移動し、針電極の先端部が順に周面から内部に埋没した後に内部から抜脱するようになっており、一方、第2清掃部材は、針電極と同等の硬度の材料で構成され、回転しながら針電極の配列方向に沿って移動し、針電極の側面に圧接して付着物をそぎ落とすよう作用するものである。すなわち、2つの清掃部材で針電極を摺擦して清掃を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−287469号公報
【特許文献2】特開2009−92902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の清掃部材の回転軸は、針電極の配列方向と直交する平面から進行方向に前傾する回転軸となっている。回転軸の前傾は、清掃部材の回転により針電極先端部に作用する力を少なくする試みであるが、清掃部材が配列方向への転がり駆動であるため、軸の傾斜を大きくとることができず(実施形態では15°〜30°)、配列方向の力の成分が残ってしまい、針電極を強く擦ると先端が曲がってしまう。
【0008】
また、特許文献2の清掃部材の回転軸は、針電極の側面と直交する回転軸であり、清掃部材は、針電極の先端部のみを清掃するとされている。それでも、清掃部材が回転して針電極に作用する力は、配列方向であり、この力にさらに清掃部材が配列方向に移動する力が加算される。従って、針電極の先端を配列方向に折り曲げる方向の力となるので、強く擦ると針電極先端が折れ曲がることになる。
【0009】
本発明は、回転する清掃部材を針電極に沿って移動させつつ針電極を摺擦して清掃する往路、復路とも充分な清掃性能を発揮できるとともに、針電極の折れ曲がりを防止できる清掃機構を有した帯電装置、及びこの帯電装置を備えた画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の手段により解決される。
【0011】
1.複数の針状の電極を平面状に配列した針電極と、
前記針電極を挟んで配置した1対の回転軸を回転中心にして回転可能に配された1対の清掃部材と、前記清掃部材を前記針電極の配列方向に沿った一方の端部側である第1位置と他方の端部側である第2位置との間を前記清掃部材を移動させつつ回転させて前記針電極を摺擦して清掃する清掃機構部と、を有し、
前記清掃部材の前記第1位置から第2位置への移動、及び前記第2位置から前記第1位置への移動に際し、前記清掃部材における前記針電極を摺擦する部分の回転速度ベクトルと、前記針電極の配列方向に移動する移動速度ベクトルとの合成ベクトルの方向が、針元から針先方向に向かうように、前記清掃部材の移動速度、回転速度及び傾きの角度の設定がなされることを特徴とする帯電装置。
【0012】
2.前記清掃部材の前記第1位置から第2位置へ移動、前記第2位置から第1位置へ移動、及び前記清掃部材が前記第1位置から第2位置への移動するときの前記清掃部材の回転と傾きの角度の設定、前記清掃部材が前記第2位置から第1位置への移動するときの前記清掃部材の回転と傾きの角度の設定は、同一の駆動源の駆動力によりなされることを特徴とする前記1に記載の帯電装置。
【0013】
3.前記清掃機構部は前記清掃部材を回転可能に支持する回転軸を保持しつつ前記第1位置から第2位置との間を前記針電極に沿って移動可能に配された保持枠体と、前記第1位置から第2位置とのあいだに前記針電極の配列方向に沿って配設されたラック歯を有するラック部材と、保持枠体に配設され前記ラック部材に噛み合って回転される歯車部材と、を有し、
前記清掃部材の前記第1位置から第2位置へ移動、及び前記第2位置から第1位置へ移動は前記保持枠体が駆動機構により移動されることによりなされ、前記清掃部材の回転は、前記保持枠体の移動により前記ラック部材に噛み合って回転される前記歯車部材の回転によりなされることを特徴とする前記2に記載の帯電装置。
【0014】
4.前記清掃部材は前記回転軸の周りに回転可能に配された円板体であり、その端面部にて前記針電極を摺擦して清掃することを特徴とする前記3に記載の帯電装置。
【0015】
5.前記清掃部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには移動方向後方側で前記針電極を摺擦する傾きを有する第1姿勢となり、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に向けて移動されるときには移動方向後方側で前記針電極を摺擦する傾きを有する第2姿勢となることを特徴とする前記4に記載の帯電装置。
【0016】
6.前記清掃部材の前記第1姿勢あるいは前記第2姿勢への姿勢の変更は、前記回転軸の回動によりなされ、前記回転軸は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには、前記清掃部材の姿勢を第1姿勢にする第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に向けて移動されるときには、前記清掃部材の姿勢を第2姿勢にする第2回動位置に回動されることを特徴とする前記5に記載の帯電装置。
【0017】
7.前記回動軸には扇形歯車が取着されており、前記第1位置及び第2位置にはそれぞれ第1当接部材及び第2当接部材が配されており、移動される前記保持枠体が前記第2位置に到達すると前記扇形歯車が第2当接部材に当接されて前記回転軸は前記第2回動位置に回動され、移動される前記保持枠体が前記第1位置に到達すると前記扇形歯車が第1当接部材に当接されて前記回転軸は前記第1回動位置に回動されることを特徴とする前記6に記載の帯電装置。
【0018】
8.前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるとき前記第1回動位置にある前記回転軸が前記第1回動位置から回動されることを阻止し、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるとき前記第2回動位置にある前記回転軸が前記第2回動位置から回動されることを阻止する回動位置変更阻止機構を有することを特徴とする前記7に記載の帯電装置。
【0019】
9.前記回転軸は、前記回転軸が前記保持枠体の移動により回転する前記歯車部材に摺擦されて、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるときは前記第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるときは前記第2回動位置に回動されることを特徴とする前記6に記載の帯電装置。
【0020】
10.前記保持枠体の移動とともに移動されつつ前記ラック部材の側面に摺擦されて回動可能に前記保持枠体に配された回動阻止部材を有し、前記回動阻止部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるときは前記回転軸の第1回動位置からの回動を阻止する位置に回動されて前記第1回動位置にある前記回転軸が前記第1回動位置から回動されることを阻止し、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるときは前記回転軸の第2回動位置からの回動を阻止する位置に回動されて前記第2回動位置にある前記回転軸が前記第2回動位置から回動されることを阻止することを特徴とする前記9に記載の帯電装置。
【0021】
11.前記清掃部材は前記回転軸に取着された円柱体であり、その側面部にて前記針電極を摺擦して清掃することを特徴とする前記3に記載の帯電装置。
【0022】
12.前記回転軸は、前記保持枠体に前記針電極の面に垂直に配された内枠支持軸を回動中心にして回動可能に支持された内枠に、回転可能に軸支されることを特徴とする前記11に記載の帯電装置。
【0023】
13.前記清掃部材の回転は前記保持枠体の移動に伴う前記歯車部材の回転が、それぞれ1方向クラッチ機構を内蔵する2組のクラッチ機構付き歯車を介して前記回転軸に伝達されることによりなされ、前記保持枠体の前記第1位置から前記第2位置への移動及び前記第2位置から前記第1位置への移動における前記清掃部材の回転方向は同一で、前記清掃部材が前記針電極を針元から針先に向けて摺擦する方向であることを特徴とする前記12に記載の帯電装置。
【0024】
14.前記清掃部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには移動方向前方が前記針電極の針先の上方に向けて傾く傾きを有する第1姿勢となり、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に向けての移動されるときには移動方向前方が前記針電極の針先の上方に向けて傾く傾きを有する第2姿勢となることを特徴とする前記13に記載の帯電装置。
【0025】
15.前記清掃部材の前記第1姿勢あるいは前記第2姿勢への姿勢の変更は、前記内枠の回動によりなされ、前記内枠は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには前記清掃部材の姿勢を第1姿勢にする第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動するときには前記清掃部材の姿勢を第2姿勢にする第2回動位置に回動されることを特徴とする前記14に記載の帯電装置。
【0026】
16.前記第1位置及び第2位置にはそれぞれ第1当接部材及び第2当接部材が配されており、移動される前記保持枠体が前記第2位置に到達すると前記内枠は前記第2当接部材に当接されて前記第2回動位置に回動され、移動される前記保持枠体が前記第1位置に到達すると前記内枠は前記第1当接部材に当接されて前記第1回動位置に回動されることを特徴とする前記15に記載の帯電装置。
【0027】
17.前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるとき前記第1回動位置にある前記内枠が回動されることを阻止し、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるとき前記第2回動位置にある前記内枠が回動されること阻止する回動位置変更阻止機構を有することを特徴とする前記16に記載の帯電装置。
【0028】
18.前記内枠の回動は、前記内枠支持軸が前記保持枠体の移動により回転する前記歯車部材に摺擦されることによりなされ、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるときは前記第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるときは前記第2回動位置に回動されることを特徴とする前記15に記載の帯電装置。
【0029】
19.前記保持枠体の移動とともに回転される前記歯車部材の側面に摺擦されて回動可能に前記保持枠体に配された第1回動部材及び前記第1回動部材の回動により移動可能に配された第1移動部材と、前記歯車部材の側面に摺擦されて回動可能に前記保持枠体に配された第2回動部材及び前記第2回動部材の回動により移動可能に配された第2移動部材と、を有し、
前記第1回動部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるとき、回転される前記歯車部材に摺擦されて前記第1移動部材を前記内枠が第2回動位置に回動されることを阻止する位置に移動させて前記第1回動位置にある前記内枠が第2回動位置に回動されることを阻止し、前記第2回動阻止部材は、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるとき、回転される前記歯車部材に摺擦されて前記第2移動部材を前記内枠が第1回動位置に回動されることを阻止する位置に移動させて前記第2回動位置にある前記内枠が第1回動位置に回動されることを阻止することを特徴とする前記18に記載の帯電装置。
【0030】
20.前記1〜19のいずれか一項に記載の帯電装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、回転する清掃部材を針電極に沿って移動させつつ針電極を摺擦して清掃する往路、復路とも充分な清掃性能を発揮できるとともに、針電極の折れ曲がりを防止できる清掃機構を有した帯電装置、及びこの帯電装置を備えた画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の原理を説明する模式図である。
【図2】本発明の帯電装置を採用できる画像形成装置の一例を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態である帯電装置C1を示す図である。
【図4】帯電装置C1における回転軸回動機構18及び、回動位置変更阻止機構19を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である帯電装置C2を示す図である。
【図6】帯電装置C2における回転軸21とその取り付けを説明する図である。
【図7】帯電装置C2における保持枠体23が左方向に移動されるときの状態を説明する図である。
【図8】本発明の第3の実施形態である帯電装置C3を示す図である。
【図9】帯電装置C3における内枠35及び内枠35に取り付けられる部材を説明する図である。
【図10】帯電装置C3における複合歯車36及びその取り付けを説明する図である。
【図11】帯電装置C3における複合歯車36と、かさ歯車32GA、32GBが回転される状態を説明する図である。
【図12】帯電装置C3における回動位置変更機構38及び、回動位置変更阻止機構39を説明する図である。
【図13】本発明の第4の実施形態である帯電装置C4を示す図である。
【図14】帯電装置C4における内枠35及び複合歯車46の取り付けを説明する図である。
【図15】帯電装置C4における保持枠体43が第2位置から第1位置へ移動される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図を用いて本発明を説明する。図1は、本発明の原理を説明する模式図であり、図1(a)が上面図、図1(b)が側面図である。針電極1は、複数の針状の電極からなり、それぞれの電極は平板上でありこれを平面状に配列している。図において、針電極1の両側に清掃部材2a、2bが、針電極1の先端部を挟み込むように配置されている。
【0034】
図示される清掃部材2a、2bは円板体をなし、端面部にて針電極1を摺擦することにより針電極1から付着物を除去して清掃する。そして、図示しない駆動機構で図中左から右に針電極の配列方向に沿って水平移動されるとともに、回転軸3a、3bの廻りに、図1(b)に示す時計方向に回転駆動される。
【0035】
清掃部材2a、2bの回転軸3a、3bは、水平移動の清掃移動方向後ろ及び若干針元側に傾いており、これにより清掃部材2a、2bは、進行方向前方側を開いて後方側で針電極1の先端部を挟み込むようになっている。図1(a)において、θは、針電極1の側面と清掃部材2aの清掃面との開き角を示しており、5°〜30°程度に設定される。これは、別な言い方をすれば、清掃部材2a、2bの回転軸3a、3bが、針電極1の配列方向に対して垂直な面から水平移動の清掃移動方向後ろ及び若干針元側に角度θだけ傾いているということである。
【0036】
図1(b)において、針電極1の先端から伸びる矢印は、清掃部材の清掃移動の速度ベクトルVsと、清掃部材2a、2bが回転し針電極1の先端を摺擦して清掃する部分CAにおける回転速度ベクトルVrと、両ベクトルVs、Vrの合成ベクトルVcを表している。図からわかるように、合成ベクトルVcは、針電極の針元から針先に向かう針先方向と一致するように設定されている。すなわち、回転速度ベクトルVrの清掃移動方向の成分Vrxと清掃移動の速度ベクトルVsとが互いに相殺するように設定することで、清掃部材2a、2bが針先を摺擦する方向を上記合成ベクトルVcの針先方向としたものであり、針先が延びる方向と一致しているので、清掃部材2a、2bが強く針先を摺擦しても、針電極1が折れ曲げることは無い。従って、清掃部材2a、2bで針電極1を強く挟持できるので、高い清掃性能を発揮できる。
【0037】
例えば、清掃部材の直径が14mm、清掃部材の水平移動の速度が30mm/sec、清掃部材の回転速度が60mm/secでベクトルVrが水平方向から60°の角度を持つとすると、丁度、VsとVrxが正負で同じ値となり、清掃部材が針電極を摺擦する方向Vcが針先方向を向くようになる。なお、この清掃部材が針電極を摺擦する方向Vcは清掃部材が針電極を摺擦する部位により異なるが、略針先方向を向くように設定されれば実用上の問題はない。
【0038】
清掃部材が回転軸を針電極1の表面に平行に配した円柱体であり、その外周部にて針電極を摺擦するように構成した場合でも、円柱体の回転軸に適切な傾斜角を付与することにより針先を摺擦する合成ベクトルの方向を針先に向けることができ、針電極を折れ曲げることがなく高い清掃性能を発揮できる。
【0039】
図2は、本発明の帯電装置を採用できる画像形成装置の一例を示す部分断面図である。図示される画像形成装置50はカラー画像を形成するものであり、中央に縦長に張架される中間転写ベルト51の右側に、上から、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成ユニット52Y、52M、52C、52Kが配置される。各画像形成ユニットの構成は同一であるので、イエローのユニット52Yを例にとって説明するに、中間転写ベルト51と接触する感光ドラムPYの廻りに帯電装置CY、露光装置EY、現像装置DY、一次転写ローラTY(中間転写ベルト51の裏面側から当接)、クリーニング装置SYが、配設されている。前述の帯電装置CYに本発明が適用される。同様に、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成ユニット52M、52C、52Kにおける帯電装置CM、CC、CKに本発明が適用される。ここで、帯電装置CY、CM、CC、CKは基本的には同構成であり、以下の説明においては特に区分する必要のない限り帯電装置Cと記すことにする。
【0040】
各画像形成ユニット52Y、52M、52C、52Kにより中間転写ベルト51上に各色のトナー画像が重畳して転写されてカラートナー画像が形成されると、このカラートナー像は、二次転写装置53によって図示しない給紙装置により給紙された用紙に転写される。カラートナー像を転写された用紙は、定着装置54によって画像を定着され、排出される。一方、中間転写ベルト51は、クリーニング装置55で表面の残留トナーなどをクリーニングされて、新たな画像形成に供される。
【0041】
本発明の帯電装置は、このような各画像形成ユニット52Y、52M、52C、52Kの帯電装置に用いることができるが、その他の帯電や除電を行う帯電装置に用いても良い。
【0042】
図3は、本発明の第1の実施形態である帯電装置C1を示す図である。図3(a)は、帯電装置C1を針電極の上方から見た図、図3(b)は、針電極の側面側から見た図、図3(c)は、針電極の端部側から見た図である。
【0043】
帯電装置C1は、針電極1と清掃機構部10とを有する。針電極1は複数の針状の電極を平面状に配列した形態に構成され、非図示の帯電装置筐体に取り付けられる。なお、図3においては、針電極1はその一部が表示されている。
【0044】
帯電装置C1が図2に示した画像形成装置50に適用されるときは、針電極1が各画像形成ユニットおける感光ドラムPの回転軸に沿って配置されるよう組み込まれる。
【0045】
なお、清掃機構部10における針電極1を挟んで対称に配置される部材に対して、符号に「a」、「b」を付して示している。「a」は、図3(a)では針電極1の上側、図3(b)では針電極1の奥側、図3(c)では針電極1の右側の部材に、「b」は、図3(a)では針電極1の下側、図3(b)では針電極1の手前側、図3(c)では針電極1の左側の部材に付されている。また、図3(c)では針電極1の左側の部材を断面で示している。なお、煩雑を避けるため、図面、及び説明にて「a」「b」に共通する箇所においては、「a」「b」を省略することもある。
【0046】
清掃機構部10は、針電極1に平行に非図示の帯電装置筐体に取り付けられたラックR1、清掃部材12a、12b、回転軸11a、11b、保持枠体13、保持枠体13を針電極1の配列方向に平行に移動させる駆動機構14、回転軸回動機構18及び回動位置変更阻止機構19を有して構成される。
【0047】
回転軸回動機構18は回転軸11a、11bを回動することにより清掃部材12の針電極に対する傾斜の方向を変更し、回動位置変更阻止機構19は、保持枠体13の移動中に回転軸11a、11bが回動されることを阻止する機能を有する。
【0048】
ラックR1は、針電極に沿って配設されたラック歯を有し、ラック部材として機能する。図3(a)に示すようにラックR1は2列のラック歯を、針電極を挟む対称な位置に有している。
【0049】
駆動機構14は、送りねじ機構141及び駆動モータ14Mを有する。送りねじ機構141は、針電極1の配列方向に平行に配された送りネジ141Sと、送りネジ141Sと、保持枠体13の下方突出部13Aに配された送りネジ141Sに螺合可能なナットからなる。
【0050】
非図示の帯電装置筐体に配設された駆動源である駆動モータ14Mにより送りネジ141Sが回転されることにより、下方突出部13Aに送りネジ141Sに螺合するナットが配された保持枠体13が針電極1の配列方向に平行に移動される。送りネジ141Sの回転方向を変える、すなわち駆動モータ14Mの回転方向を変えることにより、保持枠体13の移動する方向を変えることができる。なお、送りネジ機構にはボールねじ機構を用いてもよい。また、ワイヤとプーリによる駆動や、清掃機構部に駆動源を搭載した自走機構など公知の構成を用いることができる。
【0051】
清掃部材12a、12bは円板体をなし、それぞれの端面部にて針電極1を両側から挟みこむように、それぞれ回転軸11a、11bにより軸支される。
【0052】
回転軸11は、中央の接続部11Jと、接続部11Jに接続された清掃部材側の第一軸11Kと、その反対側の第二軸11Lとを有している。
【0053】
回転軸11における接続部11Jの一方の端部は、針電極1の配列面に対して所定の傾斜を有する傾斜面であり、この傾斜面に垂直に第一軸11Kが延出している。また、接続部11Jの他方の端部は針電極1の配列面に対して垂直な面でありでこの面から垂直に第二軸11Lが延出している。第二軸11Lは後述するように保持枠体13に回動可能に軸支される。
【0054】
清掃部材12の、針電極1に当接して清掃する清掃面と反対側(背面側)には、かさ歯車12Gが取着されており、清掃部材12及びかさ歯車12Gは、第一軸11Kの廻りに回転可能に軸支される。
【0055】
かさ歯車12Gは、後述する複合歯車16のかさ歯車部16Kに噛み合い、複合歯車16が回転することにより回転される。
【0056】
複合歯車16は、かさ歯車部16K及びピニオン歯車部16Pの2つの歯車部を有する歯車であり、第二軸11Lの廻りに、回転可能に配される。
【0057】
複合歯車16におけるピニオン歯車部16Pは針電極1に沿って配置されたラックR1のラック歯に噛み合う。複合歯車16は歯車部材として機能する。
【0058】
駆動モータ14Mにより送りネジ141Sが回転され、保持枠体13が、針電極1に沿って移動されると、ラックR1に噛み合うピニオン歯車部16Pが回転される、すなわち複合歯車16が回転されるので、複合歯車16のかさ歯車部16Kに噛み合うかさ歯車12Gが回転され、清掃部材12が回転される。
【0059】
保持枠体13が、針電極1に沿って図3(a)、図3(b)において白抜き矢印方向、すなわち図示右方向に移動されると、ラックR1と噛み合う複合歯車16aのピニオン歯車部16Paは図3(a)において時計方向に回転して、複合歯車16aに噛み合うかさ歯車12Gaは図3(b)において時計方向に回転され、清掃部材12aは図1で説明したように、端面部にて針電極1の針先を摺擦し、清掃する。同様に、ラックR1と噛み合う複合歯車16bのピニオン歯車部16Paは図3(a)において反時計方向に回転して、複合歯車16bに噛み合うかさ歯車12Gbは図3(b)において時計方向に回転され、清掃部材12bは、端面部にて針電極1の針先を摺擦し、清掃する。
【0060】
複合歯車16におけるピニオン歯車部16Pのピッチ円径、かさ歯車部16Kの歯数及びかさ歯車12Gの歯数は、清掃部材12を清掃方向に駆動する速度と清掃部材12の回転速度は図1で示した関係になるように予め設定される。したがって、保持枠体13が針電極1に沿って移動されると、清掃部材12の針電極1の針先に接触する部分は、電極の根元から針先に向かって針電極1を摺擦し清掃する。
【0061】
帯電装置C1は、組み込まれた画像形成装置が画像形成動作をおこなうとき、コロナ放電を行い、画像形成装置の像担持体を帯電させる。画像形成動作が継続実行されると、針電極1に放電生成物やトナーが付着し、帯電性能が低下する。
【0062】
清掃機構部10は、清掃部材12を針電極1を摺擦しつつ針電極1に沿って移動し、針電極1に付着した放電生成物やトナーを除去して清掃し、低下した帯電性能を回復させることができる。また、所定の回数の画像形成動作がなされる毎に針電極1を清掃することにより、低下した帯電性能の低下を防止することができる。
【0063】
清掃部材12の針電極1に沿っての移動は、保持枠体13を針電極1に沿って移動させることによりなされる。
【0064】
ここで、保持枠体13の移動範囲における、図3(b)に示す針電極1の左方側の移動限界位置を第1位置、針電極1の右方側の移動限界位置を第2位置と称すことにする。
【0065】
第1位置は左方に移動される保持枠体13に保持される清掃部材12が、針電極1の左端の電極の針先を通過した位置に設定されることが好ましい。また、第2位置は右方に移動される保持枠体13に保持される清掃部材12が、針電極1の右端の電極の針先を通過した位置に設定されることが好ましい。このように第1位置、第2位置を設定することにより、保持枠体13が、第1位置から第2位置へ、及び第2位置から第1位置への移動により針電極1のすべての電極の針先が清掃される。
【0066】
ところで、画像形成装置が画像形成動作をおこなうとき、清掃機構部10は、針電極1による像担持体への帯電作用を阻害しない位置に移動しておく必要がある。さらに、第1位置を、保持枠体13が針電極1による像担持体への帯電作用を阻害しない位置とし、第1位置を画像形成装置が画像形成動作をおこなうときの保持枠体13の配置位置とすることが好ましい。
【0067】
駆動機構14による保持枠体13の移動は、駆動モータ14Mを回転させることによりなされる。駆動モータ14Mにより、第1位置にある保持枠体13を針電極1に沿って移動させ、第2位置に到達したときに駆動モータ14Mの回転方向を反転させることにより保持枠体13を第1位置に移動させることができる。
【0068】
保持枠体13が第2位置に到達したことを検知する検知手段と駆動モータ14Mの動作を制御する制御手段を配し、保持枠体13が第2位置に到達に到達したことが検知されると、駆動モータ14Mの回転方向を反転させ保持枠体13を第1位置に向けて移動させるように、帯電装置C1を組み込んだ画像形成装置50を構成してもよい。
【0069】
図3(a)、(b)、(c)は、保持枠体13が第1位置から第2位置に向かって移動されている状態を示している。清掃部材12は、移動方向後方側にて針電極1の先端部を挟み込むような傾斜を有している。移動方向後方側にて針電極1の先端部を挟み込むような傾斜を有して移動されることにより、清掃部材12の端面部が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0070】
このような、第1位置から第2位置に向かって移動されている清掃部材12が、移動方向後方側にて針電極1の先端部を挟み込むような傾斜を有する姿勢を、清掃部材12の第1姿勢と称すことにする。保持枠体13が第1位置から第2位置に向かって移動するときは清掃部材12を第1姿勢とすることにより、清掃部材12の端面部が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0071】
保持枠体13が第1位置から第2位置に向けて移動されるときと、第2位置から第1位置に向けて移動されるときとでは、清掃部材12の移動方向が逆になるとともに、ラックR1と噛み合う複合歯車16のピニオン歯車部16Pの回転方向が逆になるので、清掃部材12の回転方向は逆になる。
【0072】
清掃部材12の移動方向及び回転方向が逆になった場合でも清掃部材12が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を針先に向けるためには、清掃部材12の移動方向後方側、すなわち第2位置に対向する側で針電極1の先端部を挟み込むように、清掃部材12の姿勢を変えることが必要になる。
【0073】
このような、第2位置から第1位置に向かって移動されている清掃部材12が、移動方向後方側にて針電極1の先端部を挟み込むような傾斜を有する姿勢を、清掃部材12の第2姿勢と称すことにする。保持枠体13が第2位置から第1位置に向かって移動するときは清掃部材12を第2姿勢とすることにより、清掃部材12の端面部が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0074】
清掃部材12の傾斜は、回転軸11を回動、詳しくは回転軸11a、11bにおける第二軸11La、11Lbが回動されることにより変更される。第二軸11La、11Lbが回動されることにより、清掃部材12a、12bを軸支する第一軸11Ka、11Kaの方向が変更され、清掃部材12の傾斜の方向が変更される。
【0075】
ここで、清掃部材12の姿勢を第1姿勢にする第二軸11Lの回動位置を第1回動位置、清掃部材12の姿勢を第2姿勢にする第二軸11Lの回動位置を第2回動位置と称すことにする。
【0076】
回転軸回動機構18は、保持枠体13の移動方向の変更に対応して回転軸11を第1回動位置あるいは第2回動位置に回動させ、清掃部材12の姿勢を第1姿勢あるいは第2姿勢にする。また、回動位置変更阻止機構19は、保持枠体13が移動中の回転軸11が第1回動位置あるいは第2回動位置から回動されることを阻止し、清掃部材12の姿勢が変更されることを阻止する。
【0077】
17a、17bはそれぞれ第二軸11La、11Lbの下側に取着された駆動伝達用の扇形歯車である。扇形歯車17a、17bは、回転軸回動機構18にかかわる。
【0078】
図4は、帯電装置C1における回転軸回動機構18及び、回動位置変更阻止機構19を説明する図である。
【0079】
図4(a)は、図3(a)に示した保持枠体13が第1位置から図示白抜き矢印方向、すなわち、左から右に向かって移動される状態における清掃部材12a、12b及び扇形歯車17a、17bを針電極(非図示)の上方側から見た図である。
【0080】
また、図4(b)は図4(a)に示した状態における回転軸回動機構18と回動位置変更阻止機構19とを上方から見た図であり、図4(c)、(d)は図4(b)に示した図における回転軸回動機構18と回動位置変更阻止機構19を針電極(非図示)の側方から見た図である。なお、図4(c)、(d)においては、第二軸11Lbはその一部が表示される。また、図4(c)にては回動位置変更阻止機構19における回動腕部材193は、一部を切断して表示され、図4(d)にては、切断しないで表示されている。
【0081】
回転軸回動機構18は、第二軸11La、11Lbの下側に取着された扇形歯車17a、17b、と、2つの当接部材、第1当接部材181、第2当接部材182からなる。第1当接部材181、第2当接部材182は帯電装置C1の筐体(非図示)に取着される。
【0082】
第1当接部材181の取着位置は図中右から左に向かう保持枠体13の移動方向終端、すなわち第1位置の近傍であり、第2当接部材182の取着位置は図中左から右に向かう保持枠体13の移動方向終端、すなわち第2位置の近傍である。
【0083】
回動位置変更阻止機構19は、回転軸11aにおける第二軸11Laに取着されたクリック板191と、一端を保持枠体13に回動軸192を回動中心にして回動可能に配された回動腕部材193と、付勢バネ194とを有する。回動腕部材193の先端にはピン193Pが取着されている。付勢バネ194は、一端を回動腕部材193に他端を保持枠体13に取着され、回動腕部材193を、取着されたピン193Pがクリック板191の端面を当接する方向に付勢する。
【0084】
クリック板191は第二軸11Laの回動とともに回動する円板体であり、その円周上に2箇所の切り欠き191A、191Bが配されている。切り欠き191A、191Bの詳細については後述する。
【0085】
第二軸11La、11Lbの下側に取着された扇形歯車17a、17bはピッチ円径が同一であり、扇形歯車17a、17bが噛み合うことにより、第二軸11La、11Lbを互いに逆方向に、同じ角度で回動させることができる。
【0086】
保持枠体13が第1位置から第2位置に向けての移動するとき、第一軸11Kに軸支される清掃部材12の姿勢は第1姿勢であり、第二軸11Lの回動位置は第1回動位置である。また、保持枠体13が第2位置から第1位置に向けての移動するとき、第一軸11Kに軸支される清掃部材12の姿勢は第2姿勢であり、第二軸11Lの回動位置は第2回動位置である。
【0087】
そして、清掃部材12a、12bが、第1、第2姿勢にてすなわち清掃部材12a、12bの移動方向後方側で針電極1の先端部を挟み込むように、回転軸11の第1回動位置、第2回動位置が設定されるとともに、扇形歯車17a、17bの噛み合わせがなされる。
【0088】
図4(b)において、図中左から右に移動される保持枠体13の移動方向終端の近傍、すなわち第2位置の近傍には第2当接部材182が配されている。図中左から右に移動される清掃部材12a、bの姿勢は、移動方向の後方側にて針電極を摺擦する傾きを有する第1姿勢である。そして、回転軸11a、bの回動位置は第1回動位置である。
【0089】
保持枠体13が第2位置に到達すると、扇形歯車17bが第2当接部材182に当接されて反時計方向に回動され、第二軸11Lbが第2回動位置に回動される。
【0090】
扇形歯車17bが反時計方向に回動すると、扇形歯車17bに噛み合っている扇形歯車17aが時計方向に、扇形歯車17bの回動角度と等しい角度回動され、第二軸11Laが第2回動位置に回動される。
【0091】
第二軸11La、bが第2回動位置に回動されることにより、清掃部材12a、bの姿勢は第2姿勢となる。
【0092】
図4(e)、(f)は、扇形歯車17bの反時計方向の回動、及び扇形歯車17aの時計方向の回動がなされた状態における清掃部材12a、bと扇形歯車17a、17bとを針電極(非図示)の上方側から見た図である。図4(e)、(f)は保持枠体13が図示白抜き矢印方向、すなわち図中右から左に向かって移動される状態である。
【0093】
第2位置から第1位置に向けて移動される清掃部材12a、12bの姿勢は、移動方向の後方側、すなわち第2位置に対向する側にて針電極1を摺擦する第2姿勢である。そして、回転軸11a、bの回動位置は第2回動位置である。
【0094】
図中、右から左に向かう保持枠体13の移動方向の終端、すなわち第1位置には、第1当接部材181が設けられている。保持枠体13が第1位置に到達すると、扇形歯車17bは第1当接部材181に当接されて時計方向に回動され、噛み合う扇形歯車17aを反時計方向に回動させる。
【0095】
保持枠体13が第1位置に到達し、扇形歯車17bの時計方向の回動、及び扇形歯車17aの反時計方向の回動がなされると、回転軸11a、11bの回動位置は第1回動位置になり、清掃部材12の姿勢は図4(a)、(b)に示す第1姿勢になる。
【0096】
回動位置変更阻止機構19は、清掃部材12a、12bが移動される過程において第二軸11La、bが第1回動位置、あるいは第2回動位置から回動されることを阻止する。
【0097】
前述のように、清掃部材12a、12bは保持枠体13の移動方向に伴って移動されるに際し、移動方向の後方側にて針電極1の先端部を挟み込み、摺擦する姿勢となる。清掃部材12a、12bは、移動されることにより針電極1における複数の電極部の先端に順次当接して挟み込みつつ摺擦するが、電極部に当接して挟み込む都度、挟み込みに抗して清掃部材12a、12bの傾斜の方向を変えようとする力が清掃部材12a、12bに加えられる。清掃部材12a、12bの傾斜の方向を変えようとする力は、図4(a)に示す清掃部材12が右方向に移動されるときは、清掃部材12a、12bの移動方向後方側を押し広げようとする方向の力であり、第1回動位置にある回転軸11を第2回動位置に回動させようとする方向の力である。また、図4(e)に示す清掃部材12が左方向に移動されるときは、清掃部材12a、12bの移動方向後方側を押し広げようとする方向の力であり、第2回動位置にある回転軸11を第1回動位置に回動させようとする方向の力である。
【0098】
回動位置変更阻止機構19は、回動腕部材193を、取着されたピン193Pが、クリック板191の切り欠き191Aあるいは切り欠き191Bに係合することにより、第1回動位置、あるいは第2回動位置にある回転軸11の回動を阻止し、移動中の清掃部材12a、12bの傾斜の方向を保持する。
【0099】
クリック板191の切り欠き191Aは、回転軸11bが第1回動位置にあるとき図4(b)に示すように回動腕部材193のピン193Pが係合する位置に配され、切り欠き191Bは、回転軸11bが第2回動位置にあるとき図4(e)に示すように回動腕部材193のピン193Pが係合する位置に配される。
【0100】
回動腕部材193のピン193Pのクリック板191の切り欠き191Aへの係合により、第1回動位置からの回転軸11bの回動が阻止され、保持枠体13が第1位置から第2位置に向けて移動されるときの清掃部材12a、12bの傾きが第1姿勢に保持される。同様に、ピン193Pの切り欠き191Aへの係合により、第2回動位置からの回動が阻止され、保持枠体13が第2位置から第1位置に向けて移動されるときの清掃部材12a、12bの傾きが第2姿勢に保持される。
【0101】
以上説明したように、帯電装置C1においては、清掃部材12の針電極1に沿っての移動、清掃部材12の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材12の傾きの変更を、すべて同一の駆動源である駆動モータ14Mにより行う。このように、清掃部材12の針電極1に沿っての移動に連動して、清掃部材12の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材12の傾きの変更を行うことにより、清掃機構部10の構造を簡素化できる。そして、針電極1を清掃するときの清掃部材12の回転速度を移動速度に連係して設定することができるので、清掃部材における前記針電極を摺擦する部分の回転速度ベクトルと、前記針電極の配列方向に移動する移動速度ベクトルとの合成ベクトルの方向が、針元から針先方向に向かうように、前記清掃部材の移動速度、回転速度及び傾きの角度が設定され、清掃時に針電極の折れ曲がりを発生させることがない。また、移動中の清掃部材12の傾きの変更を阻止する回動位置変更阻止機構19も専用の駆動源を必要としないので構造を簡素化できる。
【0102】
次に、図5、図6、図7を参照して本発明の第2の実施形態の帯電装置を説明する。
【0103】
図5は、本発明の第2の実施形態である帯電装置C2を示す図である。図5(a)は帯電装置C2の清掃機構部20を針電極の上方から見た図、図5(b)は針電極の側面側から見た図、図5(c)は針電極の端部側から見た図、また、図5(d)は揺動部材291を針電極の上方から見た図である。なお、揺動部材291は回動位置変更阻止機構29にかかわる部材であり、その機能等については後述する。
【0104】
帯電装置C2は、針電極1と清掃機構部20とを備える。針電極1は複数の針状の電極を平面状に配列した形態に構成され、非図示の帯電装置筐体に取り付けられる。なお、図5においては、針電極1はその一部が表示されている。
【0105】
帯電装置C2が図2に示した画像形成装置50に適用されるときは、針電極1が各画像形成ユニットおける感光ドラムPの回転軸に沿って配置されるよう組み込まれる。
【0106】
なお、清掃機構部20における針電極1を挟んで対称に配置される部材に対して、符号に「a」、「b」を付して示している。
【0107】
清掃機構部20は、針電極1に平行に非図示の帯電装置筐体に取り付けられたラックR2a、R2b、清掃部材22a、22bを保持する保持枠体23、保持枠体23を針電極1の配列方向に平行に移動させる駆動機構24、回動位置変更阻止機構29を有して構成される。回動位置変更阻止機構29は保持枠体23の移動中に回転軸21a、21bが回動されることを阻止し、清掃部材22a、22bの傾斜の方向が変更されることを阻止する機能を有する。
【0108】
ラックR2a、R2bは、それぞれ針電極に沿って配設されたラック歯を有し、ラック部材として機能する。
【0109】
駆動機構24は、送りねじ機構241及び駆動モータ24Mを有する。送りねじ機構241は、針電極1の配列方向に平行に配された送りネジ241Sと、送りネジ241Sと、保持枠体23の下方突出部23Aに配されたに螺合可能なナットからなる。
【0110】
非図示の帯電装置筐体に配設された駆動源である駆動モータ24Mにより送りネジ241Sが回転されることにより、送りネジ241Sに螺合するナットが配された保持枠体23の下方突出部23Aが、針電極1の配列方向に平行に移動され、保持枠体23が、針電極1の配列方向に平行に移動される。送りネジ241Sの回転方向を変える、すなわち駆動モータ24Mの回転方向を変えることにより、保持枠体23の移動する方向を変えることができる。
【0111】
清掃部材22a、22bは、円板形状であり、それぞれの端面部にて針電極1を両側から挟みこむように、それぞれ回転軸21a、21bにより軸支される。
【0112】
図6は帯電装置C2における回転軸21とその取り付けを説明する図である。図6(a)は帯電装置C2における回転軸21の取り付けを説明する図であり、図6(b)は回転軸21及び回転軸21に取着されている部材を説明する図である。図6(a)、(b)とも回転軸21bを説明しているが、回転軸21aは回転軸21bと対称であり取り付け、構成は同様である。
【0113】
図6(b)に示すように回転軸21bは、中央の接続部21Jbと、接続部21Jbに接続された清掃部材側の第一軸21Kbと、その反対側の第二軸21Lbとを有している。
【0114】
接続部21Jbの一方の端部は針電極1の配列面に対して所定の傾斜角度を有する傾斜面であり、この傾斜面に垂直に第一軸21Kbが延出している。配列面に対する所定の傾斜角度は、上面視において図1(a)に示した角度θに対応している。また、接続部21Jbの他方の端部は取り付けられた状態においては針電極1の配列面に対して平行となる面でありでこの面から垂直に第二軸21Lbが延出している。そして第二軸21Lbにはレバー21Pbが植設されているとともに駆動伝達用の平歯車27bが取着されている。
【0115】
図6(a)に示すように、回転軸21bは、第二軸21Lbを保持枠体23の側壁に回動可能に軸支される。
【0116】
そして、第二軸21Lbの廻りには複合歯車26bが回転可能に軸支され、第一軸21Kbの廻りには清掃部材22b及び清掃部材22bの背面側に取着された、かさ歯車22Gbが回転可能に軸支される。
【0117】
複合歯車26bは、軸と直交する面にかさ歯が形成された、かさ歯車部26Kb、及びピニオン歯車部26Pbの2つの歯車部を有する歯車である。複合歯車26bのかさ歯車部26Kbはかさ歯車22Gbと噛み合い、複合歯車26bの回転により清掃部材22bは回転される。
【0118】
複合歯車26におけるピニオン歯車部26Pは、図5(b)、(c)に示すように、針電極1に沿って配置されたラックR2のラック歯に噛み合う。
【0119】
駆動モータ24Mにより送りネジ241Sが回転され、保持枠体23が、針電極1に沿って移動されると、ラックR2に噛み合うピニオン歯車部26Pが回転される、すなわち複合歯車26が回転されるので、複合歯車26のかさ歯車部26Kに噛み合うかさ歯車22Gが回転され、清掃部材22が第一軸21Kの廻りに回転される。
【0120】
保持枠体23が、針電極1に沿って図5(a)、図5(b)において右向きに移動されると、ラックR2bと噛み合う複合歯車26bのピニオン歯車部26Pbは図5(b)において時計方向に回転して、複合歯車26bに噛み合うかさ歯車22Gbは図5(b)において時計方向に回転されるので、清掃部材22bは図1で説明したように、端面部にて針電極1の針先を摺擦し、清掃する。同様に、ラックR2aと噛み合う複合歯車26aのピニオン歯車部26Paが回転されることにより清掃部材22aは、清掃部材22bと同方向に回転され、端面部にて針電極1の針先を摺擦し、清掃する。
【0121】
複合歯車26におけるピニオン歯車部26Pのピッチ円径及びかさ歯車部26Kの歯数、かさ歯車22Gの歯数は、清掃部材22を清掃方向に駆動する速度と清掃部材22の回転速度は図1で示した関係になるように予め設定される。したがって、保持枠体23が針電極1に沿って移動されると、清掃部材22の針電極1の針先に接触する部分(端面部)は、針先方向に向かって針電極1を摺擦し清掃する。
【0122】
清掃部材22a、22bは、針電極1に沿って移動するとき、移動方向前方側を開いて後方側で針電極1の先端部を挟み込むような傾斜を有してそれぞれ第一軸21Ka、21Kaに軸支される。清掃部材22a、22bが、移動方向後方側にて針電極1の先端部を挟み込むような傾斜を有して移動されることにより、清掃部材12の端面部が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0123】
前述したように、第一軸21Ka、21Kaはそれぞれ第二軸21La、21Lbに接続部21Ja、21Jbを介して接続されており、第一軸21Ka、21Kaに軸支される清掃部材22a、22bの傾きの角度θは、第二軸21La、21Lbが回動されることにより変更される。
【0124】
27a、27bはそれぞれ第二軸21La、21Lbに取着された駆動伝達用の平歯車である。平歯車27a、27bは、伝達軸27Bに取着された中間歯車27Ja、2tAbを介して噛み合い、第二軸21La、21Lbを同方向に同角度回動させる。
【0125】
清掃機構部20は清掃部材22を、針電極1を摺擦しつつ針電極1に沿って移動し、針電極1に付着した放電生成物やトナーを除去、すなわち清掃することができる。
【0126】
ここで、保持枠体23の移動範囲における、図5(b)に示す針電極1の左方側の移動限界位置を第1位置、針電極1の右方側の移動限界位置を第2位置と称すことにする。なお、帯電装置C2における第1位置及び第2位置は前述した帯電装置C1における第1位置及び第2位置と同じでありので、ここでの説明は省略する。
【0127】
保持枠体23が、第1位置から第2位置へ、及び第2位置から第1位置への移動することにより針電極1のすべての電極の針先が清掃される。
【0128】
図5(a)、(b)、(c)は、保持枠体23が第1位置から第2位置に向かって移動されている状態を示している。
【0129】
図5(a)に示されるような、第1位置から第2位置に向かって移動される清掃部材22が、移動方向後方側にて針電極1を摺擦する傾きを有する清掃部材22の姿勢を、清掃部材22の第1姿勢と称すことにする。保持枠体23が第1位置から第2位置に向かって移動するときは清掃部材22の姿勢を第1姿勢とすることにより、清掃部材22が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0130】
保持枠体23が第1位置から第2位置に向けて移動されるときと、第2位置から第1位置に向けて移動されるときとでは、清掃部材22の移動方向が逆になるとともに、ラックR2と噛み合う複合歯車26のピニオン歯車部26Pの回転方向が逆になるので、清掃部材22の回転方向は逆になる。
【0131】
清掃部材22の移動方向及び回転方向が逆になった場合でも清掃部材22が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を針先に向けるためには、清掃部材22の移動方向後方側で針電極1の先端部を挟み込むように、清掃部材22の傾斜の方向を変えることが必要になる。
【0132】
このような、第2位置から第1位置に向けて移動される清掃部材22の移動方向後方側にて針電極1を摺擦する傾きを有する清掃部材22の姿勢を、清掃部材22の第2姿勢と称すことにする。保持枠体23が第2位置から第1位置に向かって移動するときは清掃部材22を第2姿勢とすることにより、清掃部材22が針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0133】
清掃部材22の傾斜は、回転軸21を回動することにより変更される。回転軸21が回動されることにより、清掃部材22a、22bを軸支する第一軸21Ka、21Kaの方向が変更され、清掃部材22の傾斜の方向が変更される。
【0134】
ここで、清掃部材22を第1姿勢にする回転軸21の回動位置を第1回動位置、清掃部材12を第2姿勢にする回転軸21の回動位置を第2回動位置と称すことにする。
【0135】
清掃機構部20は、保持枠体13の移動方向の変更に対応して回転軸21を第1回動位置あるいは第2回動位置に回動させ、清掃部材22の姿勢を第1姿勢あるいは第2姿勢にする回転軸回動機構を有する。複合歯車26と、複合歯車26を軸支する回転軸21は、回転軸回動機構として機能する。
【0136】
図5(c)に示すように、保持枠体23が移動されるとき、ラックR2に噛み合う複合歯車26が回転軸21における第二軸21Lの廻りに回転される。複合歯車26の回転により、第二軸21Lには複合歯車26の内径部に摺擦されて複合歯車26と同方向に回動させようとする摩擦力が作用し、第二軸21Lは複合歯車26と同方向に回動される。複合歯車26の回転により第二軸21Lが回動する適切な摩擦力を発生させるために、複合歯車26と第二軸21Lとの軸支部における複合歯車26の内径部と第二軸21Lの外径部とのそれぞれの素材や表面処理方法の選定、嵌合寸法の設定等が予め適切になされ、適用されている。
【0137】
第二軸21Lの回動は、第二軸21Lに接続部21Jを介して接続されている第一軸21Kが延出される方向の変更をもたらし、第一軸21Kに軸支される清掃部材22の姿勢が変更される。
【0138】
このように、複合歯車26と、複合歯車26を軸支する回転軸21は、清掃機構部20の回転軸回動機構として機能する。
【0139】
保持枠体23に軸支される第二軸21Lは、端部が保持枠体23の外側に突出している。
【0140】
突出した第二軸21Lの端部にはレバー21Pが植設されている。このレバー21Pは、回転軸21の回動により保持枠体23の両外側面に植設された2つの突き当てピン23PA、23PBに当接され、回転軸21の回動角度が制限される構造になっている。図5(b)の状態は、保持枠体23が右方向に移動している状態であり、清掃部材22bの回転は時計方向であり、時計方向に回動された回転軸21bはレバー21Pbが左側の突き当てピン23PAbに当接されるまで回動されている。これにより清掃部材22bの姿勢は、図5(a)に示すように、移動方向後方側にて針電極1の先端部を挟み込む方向になる第1姿勢となる。この状態における回転軸21bの回動位置が第1回動位置である。
【0141】
同様に針電極1を挟んで対称位置にある清掃部材22aの傾斜も、移動方向後方側にて針電極1の先端部を挟み込む方向になる第1姿勢となり、この状態における回転軸21aの回動位置が第1回動位置である。
【0142】
第二軸21Lbには駆動伝達用の平歯車27bが取着されており、第二軸21Lbの回動は、平歯車27bから、伝達軸27Bに取着された中間歯車27Jb、2tAaを介して第二軸21Laに取着された平歯車27aに伝達される。
【0143】
平歯車27a、27bはピッチ円径が同一であり、中間歯車27Jb、27Jaもピッチ円径が同一であり、第二軸21La、21Lbを互いに同方向に、同じ角度で回動させることができる。そして、回転軸21a、21bにおける第一軸21Ka、21Kbに軸支される清掃部材22a、22bが、進行方向後方側で針電極1の先端部を挟み込むように、第二軸21La、21Lbのそれぞれの角度が設定されるとともに、各歯車の噛み合わせがなされる。回転軸21aが回転軸21bと同方向に同角度回動されることにより、清掃部材22aの姿勢は、清掃部材22bと同様に第1姿勢となり、回転軸21aの回動位置も第1回動位置となる。
【0144】
保持枠体23が第1位置に向けて移動されるときは、清掃部材22の姿勢は回転軸21の回動により第2姿勢に変更される。
【0145】
図7は、帯電装置C2における保持枠体23が左方向に移動されるときの状態を説明する図である。
【0146】
図7(a)は清掃機構部20を針電極の上方から見た図、図7(b)は針電極の側面側から見た図、図7(c)は針電極の端部側から見た図、また、図7(d)は帯電装置C2に組み込まれている揺動部材291を針電極の上方から見た図である。
【0147】
保持枠体23が図7(b)において図示白抜き矢印方向、すなわち左方向に移動されるとき、ラックR2に噛み合う複合歯車26が第二軸21Lの廻りに図示反時計方向に回転される。
【0148】
複合歯車26の反時計方向の回転により、複合歯車26の内周面に摺擦される第二軸21Lは反時計方向に回動され、図7(b)に示すように回転軸21bはレバー21Pbが右側の突き当てピン23PBbに当接されるまで回動される。これにより清掃部材22の姿勢は、移動方向後方側が針電極1の先端部を挟み込む方向になる第2姿勢となる。この状態における回転軸21bの回動位置が第2回動位置である。
【0149】
同様に針電極1を挟んで対称位置にある清掃部材22aの傾斜も、移動方向後方側が針電極1の先端部を挟み込む方向になる第2姿勢となる。この状態における回転軸21aの回動位置が第2回動位置である。
【0150】
回動位置変更阻止機構29は、保持枠体23が移動中の回転軸21が第1回動位置あるいは第2回動位置から回動されることを阻止し、清掃部材22の姿勢が変更されることを阻止する。
【0151】
回動位置変更阻止機構29は、回動阻止部材として機能する揺動部材291と、付勢バネ292とを有する。揺動部材291は、軸部291Sと腕部291Jとを有し、保持枠体23の両外側面の開口部にラックR2への接近、離間可能、かつ、軸部291Sを軸にして回動可能に取り付けられる。付勢バネ292は揺動部材291をラックR2に向けて付勢し、付勢バネ292の付勢により揺動部材291の腕部291JはラックR2の側面に当接される。
【0152】
保持枠体23の移動により保持枠体23はラックR2の側面を摺擦しつつ移動する。移動される保持枠体23はラックR2の側面との摺擦による摩擦力により軸部291Sを回動中心にして回動される。ラックR2の側面との摺擦により保持枠体23が適切に回動されるために、揺動部材291とラックR2の側面との摺擦部におけるラックR2の側面と揺動部材291のそれぞれの素材や表面処理方法の選定、付勢バネ292の付勢力の設定等が予め適切になされ、適用されている。
【0153】
先に説明した図5(a)、(b)、(d)は、保持枠体23が右方向、すなわち第2位置に向けて移動される状態であり、揺動部材291は図5(d)に示すように、揺動部材291a、291bともに腕部291Jにおける軸部291Sの図示右側部分がラックR2に当接する姿勢に回動される。そして、腕部291Jにおける軸部291Sの一部(図示Pa、Pb部)が保持枠体23の側面から露呈される。露呈された腕部291Jにおける軸部291Sの一部(図示Pa、Pb部)は、第1回動位置にある回転軸21が第2回動位置方向に回動されようとするときレバー21Pに当接して回動されることを阻止する。したがって、第1姿勢にて第2位置に向けて移動中の清掃部材22a、22bの姿勢が変更されることが阻止される。
【0154】
一方、図7(a)、(b)、(d)は、保持枠体23が左方向、すなわち第1位置に向けて移動される状態であり、揺動部材291は図7(d)に示すように、揺動部材291a、291bともに腕部291Jにおける軸部291Sの一部がラックR2に当接する姿勢に回動される。そして、腕部291Jにおける軸部291Sの一部(図示Qa、Qb部)が保持枠体23の側面から露呈される。露呈された腕部291Jにおける軸部291Sの一部(図示Qa、Qb部)は、第2回動位置にある第二軸21Lが第1回動位置方向に回動されようとするときレバー21Pに当接し、第二軸21Lが第1回動位置方向に回動されることを阻止する。したがって、Q部が回転阻止部材として機能し、これにより第2姿勢にて第1位置に向けて移動中の清掃部材22a、22bの姿勢が変更されることが阻止される。
【0155】
以上説明したように、帯電装置C2においては、清掃部材22の針電極1に沿っての移動、清掃部材22の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材22の傾きの変更を、すべて同一の駆動源である駆動モータ24Mにより行う。このように、清掃部材22の針電極1に沿っての移動に連動して、清掃部材22の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材22の傾きの変更を行うことにより、清掃機構部20の構造を簡素化できるとともに、針電極1を清掃するときの清掃部材22の回転速度を移動速度に連係して設定することができるので、清掃時に針電極の折れ曲がりを発生させることがない。また、移動中の清掃部材22の傾きの変更を阻止する回動位置変更阻止機構29も専用の駆動源を必要とせず動作するので構造を簡素化できる。
【0156】
前述した帯電装置C1、帯電装置C2における清掃部材は円板体であったが、次に説明する第3の実施形態の帯電装置は清掃部材を円柱体としたものである。以下、図8、図9、図10、図11、図12を参照して本発明の第3の実施形態の帯電装置を説明する。
【0157】
図8は、本発明の第3の実施形態である帯電装置C3を示す図である。帯電装置C3においては、清掃部材は円柱体で構成され、その側面にて針電極を摺擦し清掃する。
【0158】
図8(a)は帯電装置C3を、針電極の端部側から見た図、図8(b)は針電極の側面側から見た図である。
【0159】
帯電装置C3は、針電極1と清掃機構部30とを備える。針電極1は複数の針状の電極を平面状に配列した形態に構成され、非図示の帯電装置筐体に取り付けられる。なお、図8においては、針電極1はその一部が表示されている。
【0160】
帯電装置C3が図2に示した画像形成装置50に適用されるときは、針電極1が各画像形成ユニットおける感光ドラムPの回転軸に沿って配置されるよう組み込まれる。
【0161】
なお、帯電装置C3においても針電極1を挟んで対称に配置される部材に対して、符号に「a」、「b」を付して示している。
【0162】
清掃機構部30は、針電極1に平行に非図示の帯電装置筐体に取り付けられたラックR3、清掃部材32a、32bを保持する内枠35、内枠35を保持する保持枠体33、駆動機構34、回動位置変更阻止機構39を有する。ラックR3は、針電極に沿って配設されたラック歯を有し、ラック部材として機能する。
【0163】
駆動機構34は、送りねじ機構341及び駆動モータ34Mを有する。送りねじ機構341は、針電極1の配列方向に平行に配された送りネジ341Sと、送りネジ341Sと、保持枠体33の下方突出部33Aに配されたに螺合可能なナットからなる。
【0164】
非図示の帯電装置筐体に配設された、駆動モータ34Mにより送りネジ341Sが回転されることにより、送りネジ341Sに螺合するナットが配された保持枠体33の下方突出部33Aが、針電極1の配列方向に平行に移動され、保持枠体33が、針電極1の配列方向に平行に移動される。送りネジ341Sの回転方向を変える、すなわち駆動モータ34Mの回転方向を変えることにより、保持枠体33の移動する方向を変えることができる。
【0165】
ここで、保持枠体33の移動範囲における、図8(b)に示す針電極1の左方側の移動限界位置を第1位置、針電極1の右方側の移動限界位置を第2位置と称すことにする。なお、帯電装置C2における第1位置及び第2位置は前述した帯電装置C1における第1位置及び第2位置と同じでありので、ここでの説明は省略する。
【0166】
清掃機構部30は清掃部材32を、針電極1を摺擦しつつ針電極1に沿って移動し、針電極1に付着した放電生成物やトナーを除去、すなわち清掃することができる。図8(a)、(b)は、第1位置から第2位置に向けて図8(b)に示す白抜き矢印方向に清掃部材32を移動させている状態を示している。
【0167】
駆動機構34による保持枠体33の移動は、駆動モータ34Mを回転させることによりなされる。駆動モータ34Mにより、第1位置にある保持枠体33を針電極1に沿って移動させ、第2位置に到達したときに駆動モータ34Mの回転方向を反転させることにより保持枠体33を第1位置に移動させることができる。
【0168】
清掃部材32a、32bは、それぞれの外形寸法及び長さが等しい円柱体であり、両者の側面にて針電極1を両側から挟みこむように、内枠35に、互いに平行に、かつ、回転可能に配された回転軸31a、31bに取着される。
【0169】
図9は、帯電装置C3における内枠35及び内枠35に取り付けられる部材を説明する図である。
【0170】
図9(a)、図9(b)は、それぞれ図8(a)、図8(b)における内枠35を示す図であり、図9(c)は図9(a)の部分切断図である。また、図9(d)、図9(e)は、清掃部材32a、32bの取り付け位置を説明する図、図9(f)は回転軸31aに清掃部材32aとともに取り付けられるかさ歯車32GA、32GB、伝達歯車37aを示す図である。
【0171】
図9(a)、(b)、(c)に示すように、内枠35は天板部35Pと、天板部35Pの端部から垂直に延出した側板部35A、35B、清掃部材軸支部35Ca、35Cb、35Da、35Dbを有する。
【0172】
側板部35Aと35B、清掃部材軸支部35Caと35Da、清掃部材軸支部35Daと35Db、はそれぞれ平行に対向するように構成される。
【0173】
また、複合歯車36との干渉を回避するために、天板部35Pにおける側板部35Aが延出する部位には切り欠きが配されるとともに、側板部35Aの寸法が設定されている。なお複合歯車36は、清掃機構部30が針電極に沿って移動されるとき、ラックR3と噛み合って回転される歯車であり、その作用については後述する。
【0174】
天板部35Pから清掃部材軸支部35Ca、35Daの先端までの長さは、天板部35Pから清掃部材軸支部35Cb、35Dbの先端までの長さよりも短く構成される。これは、内枠35が針電極1に沿って移動されるとき、針電極1との干渉を回避するためである。
【0175】
側板部35Aには支持軸S1Aが、側板部35Bには支持軸S1Bが、それぞれの中心軸を同一直線上に取着され、内枠35は支持軸S1A、S1Bを回動軸として回動可能に保持枠体33支持される。支持軸S1A、S1Bの軸は針電極1の面に垂直であり、支持軸S1A、S1Bは内枠支持軸として機能する。
【0176】
側板部35Bの先端部は、支持軸S1Bを中心とする円弧をなして構成され、円弧上に2つの切り欠き35BN1、35BN2が配されている。
【0177】
保持枠体33には係止板バネ391が取着されており、その先端に配された突起が内枠35の回動により支持軸S1Bを回動中心として回動する側板部35Bの先端部に当接し、切り欠き35BN1、35BN2に係合する。図9(a)、(b)、(c)においては、係止板バネ391の先端の突起は切り欠き35BN1に係合している。係止板バネ391と、切り欠き35BN1、35BN2は回動位置変更阻止機構39を構成するが、その作用については後述する。
【0178】
清掃部材軸支部35Ca、35Daには清掃部材32aの回転軸31a(詳細は後述)を回動可能に軸支する軸孔が配され、回転軸31aは軸孔を介して清掃部材軸支部35Ca、35Daに軸支される。
【0179】
同様に、清掃部材軸支部35Cb、35Dbには清掃部材32bの回転軸31b(詳細は後述)を回動可能に軸支する軸孔が配され、回転軸31bは軸孔を介して清掃部材軸支部35Cb、35Dbに軸支される。
【0180】
図9(d)、(e)に示すように、清掃部材軸支部35Ca、35Daに軸支される回転軸31a及び清掃部材軸支部35Cb、35Dbに軸支される回転軸31bの中心線は、互いに平行に、かつ、支持軸S1A、S1Bの中心線に直交するように、清掃部材軸支部35Ca、35Daの軸孔及び清掃部材軸支部35Cb、35Dbの軸孔の位置が設定されている。
【0181】
図9(f)に示すように、回転軸31aには、清掃部材32aを挟んでかさ歯車32GA、32GB、伝達歯車37aが取り付けられている。清掃部材32a、32bは、それぞれ回転軸31a、31bに、回転軸31a、31bの中心線と、支持軸S1A、S1Bを結ぶ直線との交点からの両端面までの距離が均等になる位置に取着される。
【0182】
かさ歯車32GA、32GBは後述する複合歯車36と噛み合って回転軸31aを回転させる。かさ歯車32GA、32GBにはそれぞれクラッチ機構が組み込まれており、それぞれ所定の方向に回転されたときにのみ、その回転を回転軸31aに伝達する。また、伝達歯車37aは回転軸31bに取り付けられた伝達歯車37b(詳細は後述)と噛み合って、回転軸31aの回転を回転軸31bに伝達する。
【0183】
図10は、帯電装置C3における複合歯車36及びその取り付けを説明する図である。図10(a)は内枠35とともに保持枠体33に組み込まれた複合歯車36を針電極1の端部側から見た図、図10(b)は側方から見た図である。また、図10(c)は複合歯車36の取り付けの詳細を示す断面図である。図10(a)、(b)、(c)に示すように、複合歯車36は、かさ歯車部36B及びピニオン歯車部36Pの2つの歯車部を有する歯車であり、内枠35を支持する支持軸S1Aの廻りに、回転可能に配される。そして、清掃機構部30が針電極に沿って移動されるとき、ラックR3と噛み合う複合歯車36のピニオン歯車部36Pが回転され、複合歯車36は回転される。図10(b)は保持枠体33が右方向に移動される状態であり、複合歯車36の回転方向は反時計方向になる。一方、保持枠体33が左方向に移動されるときは、複合歯車36の回転方向は時計方向になる。
【0184】
複合歯車36のかさ歯車部36Bは、内枠35に取り付けられた回転軸31aに配された、かさ歯車32GA、32GBに噛み合い、かさ歯車32GA、32GBを回転させる。
【0185】
図11は、帯電装置C3における複合歯車36と、かさ歯車32GA、32GBが回転される状態を説明する図である。図11(a)、図11(b)は複合歯車36とかさ歯車32GA、32GBとの噛み合いをそれぞれ針電極1(非図示)の端部側及び側方向から見た図である。図11(c)は、回転軸31aに取り付けられた伝達歯車37aと回転軸31bに取り付けられた伝達歯車37bとの噛み合いを説明する図である。
【0186】
保持枠体33が、針電極1に沿って移動されると、ラックR3に噛み合うピニオン歯車部36Pが回転され、複合歯車36が回転される。
【0187】
図11(b)において保持枠体33が、右方向に移動されるとき、複合歯車36は反時計方向に回転され、複合歯車36のかさ歯車部36Bに噛み合うかさ歯車32GA、32GBが回転される。
【0188】
図10(a)、(b)に示すように、かさ歯車32GA、32GAは複合歯車36のかさ歯車部36Bに、複合歯車36の回転中心を挟んで噛み合う。複合歯車36aが図11(b)において反時計方向に回転すると、かさ歯車32GAは図11(a)において時計方向に、かさ歯車32GBは反時計方向に回転される。
【0189】
前述したようにかさ歯車32GA、32GBにはそれぞれクラッチ機構が組み込まれており、それぞれ所定の方向に回転されたときにのみ、その回転を回転軸31aに伝達する。
【0190】
かさ歯車32GA、32GBはクラッチ機構により、図11(a)において、それぞれ時計方向に回転されたときにのみ、その回転を回転軸31aに伝達する。したがって、保持枠体33が、針電極1に沿って図10(b)において右方向に移動されると、図11(a)において時計方向に回転されるかさ歯車32GAにより回転軸31aは時計方向に回転される。
【0191】
一方、保持枠体33が、針電極1に沿って図11(b)において左方向に移動されるときは、複合歯車36aの回転方向は時計方向になり、かさ歯車32GAは図11(a)において反時計方向に、かさ歯車32GBは時計方向に回転される。このときには時計方向に回転されるかさ歯車32GBにより回転軸31aは時計方向に回転される。
【0192】
このように保持枠体33が左右いずれの方向に移動されるときでも、クラッチ機構を有するかさ歯車32GA、32GBの作用により回転軸31aは時計方向に回転される。そして、回転軸31aに取着される清掃部材32aは時計方向に回転され、図1で説明したように、針電極1の針先を上方に向けて摺擦し、清掃する。
【0193】
図11(c)に示すように、回転軸31aには伝達歯車37aが、回転軸31bには伝達歯車37bが取着されている。互いに噛み合う伝達歯車37a、37aは同径に構成されており、回転軸31bは回転軸31aと反対方向に同速度で回転される。すなわち、常に時計方向に回転する回転軸31aに対して、回転軸31bは常に反時計方向に回転される。そして、回転軸31bに取着される清掃部材32bは反時計方向に回転され、清掃部材32aとともに針先を上方に向けて摺擦し、清掃する。
【0194】
このように、回転軸31a、31bに取着される清掃部材32a、32bは保持枠体33が左右いずれの方向に移動されるときでも針電極1の針先を上方に向けて摺擦し、清掃する。
【0195】
また、保持枠体33が左右いずれの方向に移動されるときでも、清掃部材32a、32bには移動方向前方側が高くなる傾斜が付与される。清掃部材32a、32bに移動方向前方側が高くなる傾斜が付与されることにより、清掃部材32a、32bは移動方向後方側で針電極1の先端部を挟み込むように針電極1の摺擦、清掃を行うことができる。
【0196】
帯電装置C3においては、保持枠体33が第1位置から第2位置に向けて移動されるとき、清掃部材32a、32bの移動方向前方側が針電極1の針先の上方に向けて傾く傾斜が付与される。第1位置から第2位置に向けて移動される清掃部材32a、32bの移動方向前方側が針電極1の針先の上方に向けて傾く傾斜が付与された清掃部材32a、32bの姿勢を第1姿勢と称することにする。
【0197】
また、保持枠体33が第2位置から第1位置に向けて移動されるとき、清掃部材32a、32bの移動方向前方側が針電極1の針先の上方に向けて傾く傾斜が付与される。第2位置から第1位置に向けて移動される清掃部材32a、32bの移動方向前方側が針電極1の針先の上方に向けて傾く傾斜が付与された清掃部材32a、32bの姿勢を第2姿勢と称することにする。
【0198】
清掃部材32a、32bの第1姿勢あるいは第2姿勢への姿勢の変更は、清掃部材32a、32bの回転軸31a、31bを支持する内枠35を回動することによりなされる。支持軸S2A、支持軸S1Bにて保持枠体33に支持される内枠35は、支持軸S2A、支持軸S1Bを回動軸にして回動可能であり、内枠35を回動することにより清掃部材32a、32bの第1姿勢あるいは第2姿勢への姿勢の変更を行うことができる。ここで清掃部材32a、32bの姿勢を第1姿勢にする内枠35の回動位置を第1回動位置、清掃部材32a、32bの姿勢を第2姿勢にする内枠35の回動位置を第2回動位置と称すことにする。
【0199】
内枠35は、保持枠体33が第1位置から第2位置に向けて移動するときには第1回動位置に回動されて清掃部材32a、32bの姿勢を第1姿勢にする。
【0200】
内枠35は、保持枠体33が第1位置から第2位置に向けて移動するときには第2回動位置に回動されて清掃部材32a、32bの姿勢を第2姿勢にする。
【0201】
図8(b)、図9(b)、(e)、(f)、図10(b)、図11(b)に示す内枠35は第1回動位置に回動された状態である。内枠35には、回転軸31a、31bを介して清掃部材32a、32bが配されており、内枠35が第1回動位置に回動された状態で第2位置方向に移動されるとき、清掃部材32a、32bは移動方向後方側が下方となるような姿勢で針電極1の先端部を挟み込むように針電極1の摺擦、清掃を行うことにより、清掃部材32a、32bが針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0202】
ところで、保持枠体33が第1位置に向けて左方向に移動されるときにも、清掃部材32a、bが針先を摺擦する合成ベクトルの方向を針先に向けるためには、清掃部材32a、32bの姿勢を第2姿勢に変更する必要がある。
【0203】
このため、清掃部材32が第1位置に向けて移動されるときは、内枠35を第2回動位置に回動する。
【0204】
清掃機構部30は保持枠体33の移動方向の変更に合わせて内枠35の回動位置を変更する回動位置変更機構38及び、保持枠体33の移動中の内枠35の回動位置が変更されることを阻止する回動位置変更阻止機構39を有する。
【0205】
図12は、帯電装置C3における回動位置変更機構38及び、回動位置変更阻止機構39を説明する図である。
【0206】
回動位置変更機構38は、内枠35と、固定部材381、382とからなる。固定部材381、382は帯電装置C1の筐体(非図示)に取着される。固定部材381の取着位置は図中右から左に向かう保持枠体33の移動方向終端、すなわち第1位置の近傍であり、固定部材382の取着位置は図中左から右に向かう保持枠体33の移動方向終端、すなわち第2位置の近傍である。また、回動位置変更阻止機構39は保持枠体33に取着された係止板バネ391と、切り欠き35BN1、35BN2とから構成される。
【0207】
図12(a)は、保持枠体33が第1位置から第2位置に向かって図示白抜き矢印方向、すなわち、右方向に向かって移動される状態を針電極1(非図示)の側方から見た図である。図示されるように、内枠35は支持する清掃部材32a、32bの移動方向前方側が針電極1の針先の上方に向けて傾く第1姿勢となる第1回動位置に回動されている。
【0208】
図12(b)は、図12(a)の状態における回動位置変更阻止機構39の状況を説明する図である。図示されるように、係止板バネ391の先端の突起が切り欠き35BN1に係合している。保持枠体33が第1位置から図示白抜き矢印方向、すなわち、右方向に向かって移動される状態において、係止板バネ391の先端の突起が切り欠き35BN1に係合していることにより、図12(a)、(b)に示すように、保持枠体33が右方向に移動されるときの内枠35が第1回動位置から第2回動位置に回動されることが阻止される。したがって、第1姿勢にある清掃部材32a、32bの姿勢が変更されることが阻止される。
【0209】
図12(a)において右方向に移動される保持枠体33の移動方向終端の近傍、すなわち第2位置の近傍には固定部材382が配されている。保持枠体33が第2位置に到達すると、内枠35の清掃部材軸支部35Daが固定部材382と当接し、内枠35は支持軸S1A及び支持軸S1B(図9に表示)を回動中心として時計方向に回動され、第2回動位置まで回動される。
【0210】
保持枠体33が第2位置に到達すると、駆動モータ34Mの回転方向を反転させることにより、保持枠体33は左方向に移動される。
【0211】
図12(c)は、内枠35が固定部材382により第2回動位置に回動された状態を示す図である。内枠35が第2回動位置に回動されることにより内枠35支持されている清掃部材32a、32b(非図示)は第2姿勢となる。
【0212】
図12(d)は、図12(c)の状態における回動位置変更阻止機構39の状況を説明する図である。図示されるように、内枠35が第2回動位置に回動されることにより、係止板バネ391の先端の突起の係合は切り欠き35BN1から切り欠き35BN2に変わる。保持枠体33が第2位置に向けて左方向に移動される状態において、係止板バネ391の先端の突起が切り欠き35BN2に係合していることにより、図12(c)、(d)に示すように、保持枠体33が図示白抜き矢印方向、すなわち左方向に移動されるときの内枠35の回動位置は第2回動位置に保たれる。したがって、第2姿勢にある清掃部材32a、32bの姿勢が変更されることが阻止される。
【0213】
図12(c)において左方向に移動される保持枠体33の移動方向終端の近傍、すなわち第1位置の近傍には固定部材381が配されている。保持枠体33が第2位置に到達すると、内枠35の清掃部材軸支部35Caが固定部材381と当接し、内枠35は支持軸S1A及び支持軸S1B(図9に表示)を回動中心として反時計方向に回動され、図12(a)、(b)に示す第1回動位置まで回動されるとともに、係止板バネ391の先端の突起の係合は切り欠き35BN2から切り欠き35BN1に変わる。
【0214】
そして、駆動モータ34Mは停止し、保持枠体33次回の清掃動作を実行するまで、第1位置に停止する。
【0215】
以上説明したように、帯電装置C3においては、清掃部材32の針電極1に沿っての移動、清掃部材32の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材32の傾きの変更を、すべて同一の駆動源である駆動モータ34Mにより行う。このように、清掃部材32の針電極1に沿っての移動に連動して、清掃部材32の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材32の傾きの変更を行うことにより、清掃機構部30の構造を簡素化できるとともに、針電極1を清掃するときの清掃部材32の回転速度を移動速度に連係して設定することができるので、清掃時に針電極の折れ曲がりを発生させることがない。また、移動中の清掃部材32の傾きの変更を阻止する回動位置変更阻止機構39も専用の駆動源を必要とせず動作するので構造を簡素化できる。
【0216】
次に本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、前述した第3の実施形態である帯電装置C3に対して、内枠35の回動位置を変更する回動位置変更機構及び、移動中の内枠35の回動位置が変更されることを阻止する回動位置変更阻止機構の構成が異なるものである。以下、図13、図14、図15を参照して第4の実施形態の帯電装置C4を説明する。
【0217】
図13は、本発明の第4の実施形態である帯電装置C4を示す図である。帯電装置C4における清掃部材は円柱体で構成され、その側面にて針電極を清掃する。
【0218】
図13(a)は帯電装置C4を、針電極の一方の端部側から見た図、図13(b)は針電極の側面側から見た図、図13(c)は帯電装置C4を、針電極の一方の端部側から見た図である。
【0219】
なお、以下の説明において、前述した第3の実施形態である帯電装置C3の部材と同一の符号を付した部材は、帯電装置C3における部材と同一であり、その構成、作用、機能は帯電装置C3の説明においてなされているので、説明を省略することもある。例えば、ラックR3、駆動機構34、内枠35、回転軸31a、31b、かさ歯車32GA、32GB、伝達歯車37a、37a、がそのような部材である。また、清掃部材32a、32bの第1姿勢、第2姿勢及びそれに対応する内枠35の第1回動位置、第2回動位置についても帯電装置C3と同じである。
【0220】
図13(a)、(b)(c)に示すように、第4の実施形態の帯電装置C4は、針電極1と清掃機構部40とを備える。
【0221】
帯電装置C4が図2に示した画像形成装置50に適用されるときは、針電極1が各画像形成ユニットおける感光ドラムPの回転軸に沿って配置されるよう組み込まれる。
【0222】
清掃機構部40は、針電極1に平行に非図示の帯電装置筐体に取り付けられたラックR3、清掃部材32a、32bを保持する内枠35、内枠35を保持する保持枠体43、保持枠体43を針電極1の配列方向に平行に移動させる駆動機構34を有する。また、内枠35の回動位置が変更されることを阻止する回動位置変更阻止機構49を有している。
【0223】
駆動機構34は、送りねじ機構341及び駆動モータ34Mを有する。送りねじ機構341は、針電極1の配列方向に平行に配された送りネジ341Sと、送りネジ341Sと、保持枠体43の下方突出部43Aに配されたに螺合可能なナットからなる。
【0224】
非図示の帯電装置筐体に配設された、駆動モータ34Mにより送りネジ341Sが回転されることにより、送りネジ341Sに螺合するナットが配された保持枠体43の下方突出部43Aが、針電極1の配列方向に平行に移動され、保持枠体43が、針電極1の配列方向に平行に移動される。送りネジ341Sの回転方向を変える、すなわち駆動モータ34Mの回転方向を変えることにより、保持枠体43の移動する方向を変えることができる。
【0225】
ここで、保持枠体43の移動範囲における、図13(b)に示す針電極1の左方側の移動限界位置を第1位置、針電極1の右方側の移動限界位置を第2位置と称すことにする。
【0226】
駆動機構34による保持枠体43の移動は、駆動モータ34Mを回転させることによりなされる。駆動モータ34Mにより、第1位置にある保持枠体43を針電極1に沿って移動させ、第2位置に到達したときに駆動モータ34Mの回転方向を反転させることにより保持枠体43を第1位置に移動させることができる。
【0227】
保持枠体43が第2位置に到達したことを検知する検知手段と駆動モータ34Mの動作を制御する制御手段を配し、保持枠体43が第2位置に到達に到達したことが検知されると、駆動モータ34Mの回転方向を反転させ保持枠体43を第1位置に戻すように動作するように、帯電装置C1を組み込んだ画像形成装置50を構成してもよい。
【0228】
清掃部材32a、32bは、それぞれの外形寸法及び長さが等しい円柱体であり、両者の側面にて針電極1を両側から挟みこむように、内枠35に回転可能に配された回転軸31a、31bに取着される。
【0229】
回転軸31aには、清掃部材32aを挟んで、かさ歯車32GA、32GBが取着され、さらに伝達歯車37aが取着される。回転軸31bには、清掃部材32bと伝達歯車37bが取着される。
【0230】
図14は、帯電装置C4における内枠35及び複合歯車46の取り付けを説明する図である。図示されるように内枠35は支持軸S2A、支持軸S1Bにより、保持枠体33に回動可能に取り付けられる。支持軸S2A、S1Bの軸は針電極1の面に垂直であり、支持軸S2A、S1Bは内枠支持軸として機能する。
【0231】
支持軸S2Aは、支持軸S1Bと中心線を共有する支持軸部S2A1と、支持軸部S2A1に対して直角に折れ曲がった腕部S2A2を有しており、腕部S2A2は保持枠体33の外側に露呈している。
【0232】
複合歯車46は、かさ歯車部46B及びピニオン歯車部46Pの2つの歯車部を有する歯車であり、支持軸S2Aの支持軸部S2A1の廻りに、回転可能に配される。
【0233】
複合歯車46は、清掃機構部40が針電極に沿って移動されるとき、ラックR3と噛み合うピニオン歯車部46Pが回転され、回転される。図10(b)は保持枠体43が右方向に移動される状態であり、複合歯車46は反時計方向に回転される。一方、保持枠体43が左方向に移動されるときは、複合歯車46は時計方向に回転される。
【0234】
複合歯車46のかさ歯車部46Bは、回転軸31aに配された、かさ歯車32GA、32GBに噛み合い、かさ歯車32GA、32GBを回転させる。
【0235】
かさ歯車32GA、32GBはクラッチ機構を有し、クラッチ機構により、保持枠体33が左右いずれの方向に移動されるときでも、図13(a)において回転軸31aは常に時計方向に回転され、伝達歯車37a、37aにより回転軸31bは常に反時計方向に回転される。したがって、回転軸31a、31bに取着されている清掃部材32a、32bは針電極1の針先を上方に向けて摺擦し、清掃する。このように、清掃部材32a、32bは保持枠体43が左右いずれの方向に移動されるときでも針電極1の針先を上方に向けて摺擦し、清掃する。
【0236】
また、保持枠体43が左右いずれの方向に移動されるときでも、清掃部材32a、32bに移動方向前方側が高くなる傾斜が付与される。清掃部材32a、32bに移動方向前方側が高くなる傾斜が付与されることにより、清掃部材32a、32bは移動方向後方側で針電極1の先端部を挟み込むように針電極1の摺擦、清掃を行うことができる。
【0237】
保持枠体43が、図13(b)において右方向に移動される状態においては、支持軸S1Aを回動中心にして回動可能に配置されている内枠35は、針電極1に対して右側が高くなる傾斜を有する、すなわち、移動方向の前方側が高くなるように構成される。
【0238】
このような、保持枠体43が第1位置から第2位置に向けて移動されるとき、清掃部材32a、32bの移動方向前方側が針電極1の針先の上方に向けて傾く傾きを有する姿勢を、清掃部材32a、32bの第1姿勢と称すことにする。また、保持枠体43が第2位置から第1位置に向けて移動されるとき、清掃部材32a、32bの移動方向前方側が針電極1の針先の上方に向けて傾く傾きを有する姿勢を、清掃部材32a、32bの第2姿勢と称すことにする。
【0239】
清掃部材32a、32bの第1姿勢あるいは第2姿勢への姿勢の変更は、清掃部材32a、32bの回転軸31a、31bを支持する内枠35を回動することによりなされる。支持軸S2A、支持軸S1Bにて保持枠体33に支持される内枠35は、支持軸S2A、支持軸S1Bを回動軸にして回動可能であり、内枠35を回動することにより清掃部材32a、32bの第1姿勢あるいは第2姿勢への姿勢の変更を行うことができる。ここで清掃部材32a、32bの姿勢を第1姿勢にする内枠35の回動位置を第1回動位置、清掃部材32a、32bの姿勢を第2姿勢にする内枠35の回動位置を第2回動位置と称すことにする。
【0240】
内枠35は、保持枠体33が第1位置から第2位置に向けて移動するときには第1回動位置に回動されて清掃部材32a、32bの姿勢を第1姿勢にする。
【0241】
内枠35は、保持枠体33が第1位置から第2位置に向けて移動するときには第2回動位置に回動されて清掃部材32a、32bの姿勢を第2姿勢にする。
【0242】
図13(b)に示す内枠35は第1回動位置に回動された状態である。内枠35には、回転軸31a、31bを介して清掃部材32a、32bが配されており、内枠35が第1回動位置に回動された状態で第2位置方向に移動されるとき、清掃部材32a、32bは移動方向後方側が下方となるような姿勢で針電極1の先端部を挟み込むように針電極1の摺擦、清掃を行うことにより、清掃部材32a、32bが針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0243】
ところで、保持枠体43が左方向へ、すなわち、第2位置から第1位置に向かって移動されるときにも、清掃部材32a、32bが針先を摺擦する合成ベクトルの方向を針先に向けるためには、清掃部材32a、32bの姿勢を第2姿勢となるように内枠35を第2回動位置に回動する必要がある。
【0244】
清掃機構部40は保持枠体43の移動方向の変更に合わせて内枠35の回動位置を変更する回動位置変更機構及び、保持枠体43の移動中に内枠35の回動位置が変更されることを阻止する回動位置変更阻止機構49を有する。
【0245】
内枠35を支持する支持軸S2A及び、支持軸S2Aの支持軸部S2A1の周りに回転可能に配されている複合歯車46は清掃機構部40の回動位置変更機構として機能する。
【0246】
保持枠体43が移動されるとき、ラックR2に噛み合う複合歯車46が支持軸S2Aの廻りに回転される。
【0247】
複合歯車46の回転により、複合歯車46を軸支する支持軸部S2A1には、複合歯車46に摺擦されて複合歯車46と同方向に回転させようとする摩擦力が作用し、支持軸S2Aは複合歯車46と同方向に回動される。複合歯車46の回転により支持軸部S2A1が回動される適切な摩擦力を発生させるために、複合歯車26と支持軸S2Aとの摺擦部における複合歯車26の内径部と支持軸S2Aの外径部との、それぞれの素材や表面処理方法の選定、嵌合寸法の設定等が予め適切になされ、適用されている。
【0248】
支持軸S2Aの回動は、支持軸S2Aに取着されている内枠35の姿勢の変更をもたらし、内枠35に軸支される清掃部材32の姿勢が変更される。
【0249】
支持軸S2Aの回動とともに回動される腕部S2A2は、保持枠体43の外側面に植設された2つの突き当てピン43PA、43PB当接され、支持軸S2Aの回動角度が制限される構造になっている。
【0250】
図13(b)は、保持枠体43が第1位置から第2位置に向かって図示白抜き矢印方向に移動される状態である。複合歯車46の回転は反時計方向であり、反時計方向に回転される複合歯車46により、支持軸S2Aは反時計方向に、腕部S2A2が右側の突き当てピン43PAに当接されるまで回動されている。これにより支持軸S2Aに取着されている内枠35は反時計方向に回動され第1回動位置となる。内枠35が第1回動位置に回動されることにより、清掃部材32a、32bの姿勢は移動方向前方側が高くなる第1姿勢となり、針電極を摺擦する部分の回転速度ベクトルは移動方向に対して後方上側に向いており、清掃部材32a、32bが針先を摺擦する合成ベクトルの方向を、針電極の根元から針先に向かう方向とすることができる。
【0251】
回動位置変更阻止機構49は、第1回動部材として機能する第1扇形部材491、第1付勢バネ492、第1移動部材として機能する第1遊動ピン493、第1遊動付勢バネ494、第2回動部材として機能する第2扇形部材495、第2付勢バネ496、第2移動部材として機能する第2遊動ピン497、第2遊動付勢バネ498、を有する。
【0252】
回動位置変更阻止機構49における、第1扇形部材491、第1付勢バネ492、第1遊動ピン493、第1遊動付勢バネ494は、保持枠体43が第1位置から第2位置に移動されるとき第1回動位置にある内枠35が第2回動位置方向に回動されることを阻止し、第1姿勢にある清掃部材32a、32bの姿勢が変更されることを阻止する。
【0253】
第1扇形部材491は、軸部491Sとカム部491Aとを有し、保持枠体43の側面に、複合歯車46への当接、離間が可能、かつ、軸部491Sを軸にして回動可能に取り付けられる。
【0254】
第1扇形部材491は、軸部491Sを軸にする回動中心線が支持軸S2Aにおける支持軸部S2A1の中心線を通る垂直線上にあるように取り付けられる。図13(d)は図13(b)における扇形部材491及びその周辺の部材を、図13(b)の下方から軸部491Sを軸にする回動中心線方向に見た図である。
【0255】
第1付勢バネ492は第1扇形部材491の軸部491Sを複合歯車46に向けて付勢する。第1付勢バネ492の付勢により、第1扇形部材491のカム部491Aの外周は、複合歯車46に当接し押圧する。
【0256】
第1遊動ピン493は、保持枠体43の側壁に配された貫通穴(非図示)に挿通され、その端部が保持枠体43の側壁から出没自在に保持枠体43に配される。
【0257】
第1遊動付勢バネ494は第1遊動ピン493を、第1扇形部材491の第1扇形部材491に向けて付勢する。
【0258】
第1扇形部材491は、カム部491Aが回転する複合歯車46の側面に摺擦されて、摺擦による摩擦力にて軸部491Sを回動中心にして回動される。この、複合歯車46の回転により第1扇形部材491が回動される適切な摩擦力を発生させるために、複合歯車26と第1扇形部材491との摺擦部における複合歯車26の側面と第1扇形部材491の外径部との、それぞれの素材や表面処理方法の選定、第1遊動付勢バネ494の付勢力の設定等が予め適切になされ、適用されている。
【0259】
第1遊動ピン493は、回動される第1扇形部材491のカム部491Aの端部に当接され、第1扇形部材491の回動状態により、その端部が保持枠体43の側壁から露呈される。
【0260】
図13(d)に示されるように、第1扇形部材491は、図13(b)において反時計方向に回転する複合歯車46の側面にカム部491Aが摺擦されて図示反時計方向に回転されている。第1扇形部材491のカム部491Aの端部は第1遊動ピン493に当接し、第1遊動付勢バネ494の付勢力に抗して第1遊動ピン493を押し出し、その端部を保持枠体43の側壁から露呈させる。
【0261】
保持枠体43の側壁から露呈した第1遊動ピン493の端部は、図13(b)に示された、突き当てピン43PAに当接されるまで反時計方向に回転された支持軸S2Aの腕部S2A2に当接し、腕部S2A2が時計方向に回転されることを阻止する。すなわち、保持枠体43が右方に移動されるときに第1回動位置にある内枠35が第2回動位置方向に回動されることを阻止し、第1姿勢にある清掃部材32a、32bの姿勢が変更されることを阻止する。
【0262】
回動位置変更阻止機構49における、第2扇形部材495、第2付勢バネ496、第2遊動ピン497、第2遊動付勢バネ498は、保持枠体43が第2位置から第1位置に移動されるとき、第2回動位置にある内枠35が第1回動位置方向に回動されることを阻止し、第2姿勢にある清掃部材32a、32bの姿勢が変更されることを阻止する。
【0263】
第2扇形部材495は、軸部495Sとカム部495Aとを有し、保持枠体43の側面に、複合歯車46への当接、離間が可能、かつ、軸部495Sを軸にして回動可能に取り付けられる。
【0264】
第2扇形部材495は、軸部495Sを軸にする回動中心線が支持軸S2Aにおける支持軸部S2A1の中心線を通る垂直線上にあるように取り付けられる。図13(e)は図13(b)における扇形部材491及びその周辺の部材を、図13(b)の下方から軸部495Sを軸にする回動中心線方向に見た図である。
【0265】
第2付勢バネ496は第2扇形部材495の軸部495Sを複合歯車46に向けて付勢する。第2付勢バネ496の付勢により、第2扇形部材495のカム部495Aの外周は、複合歯車46に当接し押圧する。
【0266】
第2遊動ピン497は、保持枠体43の側壁に配された貫通穴(非図示)に挿通され、その端部が保持枠体43の側壁から出没自在に保持枠体43に配される。
【0267】
第2遊動付勢バネ498は第2遊動ピン497を、第2扇形部材495の第2扇形部材495に向けて付勢する。
【0268】
第2扇形部材495は、カム部495Aが回転する複合歯車46の側面に摺擦されて、摺擦による摩擦力にて軸部495Sを回動中心にして回動される。この、複合歯車46の回転により第2扇形部材495が回動される適切な摩擦力を発生させるために、複合歯車26と第2扇形部材495との摺擦部における複合歯車26の側面と第2扇形部材495の外径部との、それぞれの素材や表面処理方法の選定、第2付勢バネ496の付勢力の設定等が予め適切になされ、適用されている。
【0269】
第2遊動ピン497は、回動される第2扇形部材495のカム部495Aの端部に当接され、第2扇形部材495の回動状態により、その端部が保持枠体43の側壁から露呈される。
【0270】
図13(e)に示されるように、第2扇形部材495は、図13(b)において反時計方向に回転する複合歯車46の側面にカム部495Aが摺擦されて図示反時計方向に回転されている。第2扇形部材495のカム部495Aの端部は第2遊動ピン497から離間しており、第2遊動付勢バネ498の付勢力により第2遊動ピン497の端部は保持枠体43の側壁から引き込まれる。
【0271】
保持枠体43の側壁から引き込まれた第2遊動ピン497は支持軸S2Aの腕部S2A2に当接することなく、腕部S2A2の回動を妨げない。
【0272】
図13(b)において保持枠体43が第2位置に到達すると、駆動モータ34Mの回転方向が反転し、保持枠体43は左方向に移動される。
【0273】
図13(b)の状態から保持枠体43は左方向に移動されるときは、複合歯車46の回転は時計方向になり、複合歯車46により、支持軸S2Aは時計方向に回転される。
【0274】
図15は、帯電装置C4における保持枠体43が第2位置から第1位置へ移動される状態を示す図である。
【0275】
図15(a)は帯電装置C4を、針電極の一方の端部側から見た図、図15(b)は針電極の側面側から見た図、図15(c)は帯電装置C4を、針電極の一方の端部側から見た図である。また、図15(d)は図15(b)における扇形部材491及びその周辺の部材を、図15(b)の下方から軸部491Sを軸にする回動中心線方向に見た図、図15(e)は図15(b)における扇形部材491及びその周辺の部材を、図15(b)の下方から軸部495Sを軸にする回動中心線方向に見た図である。
【0276】
図15(b)に示されるように、保持枠体43は左方向に移動されるとき、ラックR3に噛み合う複合歯車46の回転方向は反時計方向になり、複合歯車46に摺擦される支持軸S2Aは、腕部S2A2が左側の突き当てピン43PBに当接されるまで時計方向に回動され、内枠35は第2回動位置に回動される。
【0277】
内枠35が第2回動位置に回動されると内枠35に支持されている清掃部材32a、32bの姿勢は第2姿勢となり、清掃部材32a、32bは移動方向の後方側にて針電極を摺擦する。
【0278】
図15(d)に示されるように、第1扇形部材491は、図15(b)において時計方向に回転する複合歯車46の側面にカム部491Aが摺擦されて図示時計方向に回転されている。第1扇形部材491のカム部491Aの端部は第1遊動ピン493から離間しており、第1遊動付勢バネ494の付勢力により第1遊動ピン493の端部は保持枠体43の側壁から引き込まれる。
【0279】
保持枠体43の側壁から引き込まれた第1遊動ピン493は支持軸S2Aの腕部S2A2に当接することなく、腕部S2A2の回動を妨げない。
【0280】
図13(e)に示されるように、第2扇形部材495は、図15(b)において時計方向に回転する複合歯車46の側面にカム部495Aが摺擦されて図示時計方向に回転されている。第2扇形部材495のカム部495Aの端部は第2遊動ピン497に当接し、第2遊動付勢バネ498の付勢力に抗して第2遊動ピン497を押し出し、その端部を保持枠体43の側壁から露呈させる。
【0281】
保持枠体43の側壁から露呈した第2遊動ピン497の端部は、図15(b)に示された、突き当てピン43PBに当接されるまで時計方向に回転された支持軸S2Aの腕部S2A2に当接し、腕部S2A2が反時計方向に回転されることを防止する。すなわち、保持枠体43が左方に移動されるときに第2回動位置にある内枠35が第1回動位置方向に回動されることを防止し、第2姿勢にある清掃部材32a、32bの姿勢が変更されることを阻止する。
【0282】
以上説明したように、帯電装置C4においては、清掃部材32の針電極1に沿っての移動、清掃部材32の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材32の傾きの変更を、すべて同一の駆動源である駆動モータ34Mにより行う。このように、清掃部材32の針電極1に沿っての移動に連動して、清掃部材32の回転、移動方向の変更に伴う清掃部材32の傾きの変更を行うことにより、清掃機構部40の構造を簡素化できるとともに、針電極1を清掃するときの清掃部材32の回転速度を移動速度に連係して設定することができるので、清掃時に針電極の折れ曲がりを発生させることがない。また、移動中の清掃部材32の傾きの変更を阻止する回動位置変更阻止機構49も専用の駆動源を必要とせず動作するので構造を簡素化できる。
【符号の説明】
【0283】
1 針電極
C1 帯電装置
10 清掃機構部
11 回転軸
12 清掃部材
13 保持枠体
14 駆動機構
16 複合歯車
17 扇形歯車
18 回転軸回動機構
19 回動位置変更阻止機構
R1 ラック
C2 帯電装置
20 清掃機構部
21 回転軸
22 清掃部材
23 保持枠体
24 駆動機構
26 複合歯車
27 平歯車
27J 中間歯車
27B 伝達軸
29 回動位置変更阻止機構
R2 ラック
C3 帯電装置
30 清掃機構部
31 回転軸
32 清掃部材
33 保持枠体
34 駆動機構
35 内枠
36 複合歯車
37 伝達歯車
38 回動位置変更機構
39 回動位置変更阻止機構
S1A、S1B 支持軸
R3 ラック
C4 帯電装置
40 清掃機構部
43 保持枠体
46 複合歯車
49 回動位置変更阻止機構
491 第1扇形部材
492 第1付勢バネ
493 第1遊動ピン
494 第1遊動付勢バネ
495 第2扇形部材
496 第2付勢バネ
497 第2遊動ピン
498 第2遊動付勢バネ
S2A 支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の針状の電極を平面状に配列した針電極と、
前記針電極を挟んで配置した1対の回転軸を回転中心にして回転可能に配された1対の清掃部材と、前記清掃部材を前記針電極の配列方向に沿った一方の端部側である第1位置と他方の端部側である第2位置との間を前記清掃部材を移動させつつ回転させて前記針電極を摺擦して清掃する清掃機構部と、を有し、
前記清掃部材の前記第1位置から第2位置への移動、及び前記第2位置から前記第1位置への移動に際し、前記清掃部材における前記針電極を摺擦する部分の回転速度ベクトルと、前記針電極の配列方向に移動する移動速度ベクトルとの合成ベクトルの方向が、針元から針先方向に向かうように、前記清掃部材の移動速度、回転速度及び傾きの角度の設定がなされることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記清掃部材の前記第1位置から第2位置へ移動、前記第2位置から第1位置へ移動、及び前記清掃部材が前記第1位置から第2位置への移動するときの前記清掃部材の回転と傾きの角度の設定、前記清掃部材が前記第2位置から第1位置への移動するときの前記清掃部材の回転と傾きの角度の設定は、同一の駆動源の駆動力によりなされることを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記清掃機構部は前記清掃部材を回転可能に支持する回転軸を保持しつつ前記第1位置から第2位置との間を前記針電極に沿って移動可能に配された保持枠体と、前記第1位置から第2位置とのあいだに前記針電極の配列方向に沿って配設されたラック歯を有するラック部材と、保持枠体に配設され前記ラック部材に噛み合って回転される歯車部材と、を有し、
前記清掃部材の前記第1位置から第2位置へ移動、及び前記第2位置から第1位置へ移動は前記保持枠体が駆動機構により移動されることによりなされ、前記清掃部材の回転は、前記保持枠体の移動により前記ラック部材に噛み合って回転される前記歯車部材の回転によりなされることを特徴とする請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記清掃部材は前記回転軸の周りに回転可能に配された円板体であり、その端面部にて前記針電極を摺擦して清掃することを特徴とする請求項3に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記清掃部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには移動方向後方側で前記針電極を摺擦する傾きを有する第1姿勢となり、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に向けて移動されるときには移動方向後方側で前記針電極を摺擦する傾きを有する第2姿勢となることを特徴とする請求項4に記載の帯電装置。
【請求項6】
前記清掃部材の前記第1姿勢あるいは前記第2姿勢への姿勢の変更は、前記回転軸の回動によりなされ、前記回転軸は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには、前記清掃部材の姿勢を第1姿勢にする第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に向けて移動されるときには、前記清掃部材の姿勢を第2姿勢にする第2回動位置に回動されることを特徴とする請求項5に記載の帯電装置。
【請求項7】
前記回動軸には扇形歯車が取着されており、前記第1位置及び第2位置にはそれぞれ第1当接部材及び第2当接部材が配されており、移動される前記保持枠体が前記第2位置に到達すると前記扇形歯車が第2当接部材に当接されて前記回転軸は前記第2回動位置に回動され、移動される前記保持枠体が前記第1位置に到達すると前記扇形歯車が第1当接部材に当接されて前記回転軸は前記第1回動位置に回動されることを特徴とする請求項6に記載の帯電装置。
【請求項8】
前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるとき前記第1回動位置にある前記回転軸が前記第1回動位置から回動されることを阻止し、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるとき前記第2回動位置にある前記回転軸が前記第2回動位置から回動されることを阻止する回動位置変更阻止機構を有することを特徴とする請求項7に記載の帯電装置。
【請求項9】
前記回転軸は、前記回転軸が前記保持枠体の移動により回転する前記歯車部材に摺擦されて、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるときは前記第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるときは前記第2回動位置に回動されることを特徴とする請求項6に記載の帯電装置。
【請求項10】
前記保持枠体の移動とともに移動されつつ前記ラック部材の側面に摺擦されて回動可能に前記保持枠体に配された回動阻止部材を有し、前記回動阻止部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるときは前記回転軸の第1回動位置からの回動を阻止する位置に回動されて前記第1回動位置にある前記回転軸が前記第1回動位置から回動されることを阻止し、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるときは前記回転軸の第2回動位置からの回動を阻止する位置に回動されて前記第2回動位置にある前記回転軸が前記第2回動位置から回動されることを阻止することを特徴とする請求項9に記載の帯電装置。
【請求項11】
前記清掃部材は前記回転軸に取着された円柱体であり、その側面部にて前記針電極を摺擦して清掃することを特徴とする請求項3に記載の帯電装置。
【請求項12】
前記回転軸は、前記保持枠体に前記針電極の面に垂直に配された内枠支持軸を回動中心にして回動可能に支持された内枠に、回転可能に軸支されることを特徴とする請求項11に記載の帯電装置。
【請求項13】
前記清掃部材の回転は前記保持枠体の移動に伴う前記歯車部材の回転が、それぞれ1方向クラッチ機構を内蔵する2組のクラッチ機構付き歯車を介して前記回転軸に伝達されることによりなされ、前記保持枠体の前記第1位置から前記第2位置への移動及び前記第2位置から前記第1位置への移動における前記清掃部材の回転方向は同一で、前記清掃部材が前記針電極を針元から針先に向けて摺擦する方向であることを特徴とする請求項12に記載の帯電装置。
【請求項14】
前記清掃部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには移動方向前方が前記針電極の針先の上方に向けて傾く傾きを有する第1姿勢となり、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に向けての移動されるときには移動方向前方が前記針電極の針先の上方に向けて傾く傾きを有する第2姿勢となることを特徴とする請求項13に記載の帯電装置。
【請求項15】
前記清掃部材の前記第1姿勢あるいは前記第2姿勢への姿勢の変更は、前記内枠の回動によりなされ、前記内枠は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動されるときには前記清掃部材の姿勢を第1姿勢にする第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動するときには前記清掃部材の姿勢を第2姿勢にする第2回動位置に回動されることを特徴とする請求項14に記載の帯電装置。
【請求項16】
前記第1位置及び第2位置にはそれぞれ第1当接部材及び第2当接部材が配されており、移動される前記保持枠体が前記第2位置に到達すると前記内枠は前記第2当接部材に当接されて前記第2回動位置に回動され、移動される前記保持枠体が前記第1位置に到達すると前記内枠は前記第1当接部材に当接されて前記第1回動位置に回動されることを特徴とする請求項15に記載の帯電装置。
【請求項17】
前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるとき前記第1回動位置にある前記内枠が回動されることを阻止し、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるとき前記第2回動位置にある前記内枠が回動されること阻止する回動位置変更阻止機構を有することを特徴とする請求項16に記載の帯電装置。
【請求項18】
前記内枠の回動は、前記内枠支持軸が前記保持枠体の移動により回転する前記歯車部材に摺擦されることによりなされ、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるときは前記第1回動位置に回動され、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるときは前記第2回動位置に回動されることを特徴とする請求項15に記載の帯電装置。
【請求項19】
前記保持枠体の移動とともに回転される前記歯車部材の側面に摺擦されて回動可能に前記保持枠体に配された第1回動部材及び前記第1回動部材の回動により移動可能に配された第1移動部材と、前記歯車部材の側面に摺擦されて回動可能に前記保持枠体に配された第2回動部材及び前記第2回動部材の回動により移動可能に配された第2移動部材と、を有し、
前記第1回動部材は、前記保持枠体が前記第1位置から前記第2位置に移動されるとき、回転される前記歯車部材に摺擦されて前記第1移動部材を前記内枠が第2回動位置に回動されることを阻止する位置に移動させて前記第1回動位置にある前記内枠が第2回動位置に回動されることを阻止し、前記第2回動阻止部材は、前記保持枠体が前記第2位置から前記第1位置に移動されるとき、回転される前記歯車部材に摺擦されて前記第2移動部材を前記内枠が第1回動位置に回動されることを阻止する位置に移動させて前記第2回動位置にある前記内枠が第1回動位置に回動されることを阻止することを特徴とする請求項18に記載の帯電装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の帯電装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−215731(P2012−215731A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81522(P2011−81522)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】