説明

帯電部材および画像形成装置

【課題】帯電ブレードを用いた画像形成装置において感光体ドラムの撓みによる濃度不均一性を抑制する。
【解決手段】帯電ブレードを感光体ドラムに圧接したときの当接部と、帯電部の間が当接圧によっておもに変形し、同一の圧を加えたときの変形量が帯電ブレードの端部よりも中央部が大きくなる帯電ブレードによって、感光体ドラム撓みに影響されず微小空隙が安定するため、均一な濃度の出力画像が安定して得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像が形成される像担持体(被帯電体)に当接して相対的に移動し電圧が印加されることにより像担持体の表面を帯電するためのブレード状の帯電部材、およびその帯電部材を用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
上記において、静電潜像が形成される像担持体の代表例としては、電子写真感光体、静電記録誘電体が挙げられる。画像形成装置としては電子写真方式や静電記録方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能機、画像表示ディスプレイ装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0003】
転写方式の電子写真画像形成装置を例にして説明する。この装置は、一般に、回転ドラム型に代表される電子写真感光体(像担持体:以下、ドラムと記す)に対して、ドラム表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段と、そのドラム帯電面に選択的に露光する露光手段により画像情報の静電潜像が形成される。そして、その潜像が現像手段により現像剤(以下、トナーと記す)を用いてトナー像として可視化(現像)される。そのトナー像が転写手段により記録材(記録媒体)に転写される。そして、記録材上のトナー像が定着手段により固着画像として定着されて、その記録材が画像形成物として出力される。
【0004】
帯電手段(帯電装置)は、近年は、半導電性のゴムや樹脂によるベルト形状、ロール形状、ブラシ形状などの回転方式の帯電部材、あるいはブレード形状、フィルム形状などの固定方式の帯電部材を用いた接触型帯電方式が主流となっている。
【0005】
接触型帯電方式は従来から広く使用されていた非接触型帯電方式であるコロナ帯電方式に比べてオゾン発生量が微量であるためオゾン除去フィルターなどの必要性がなくなる。また、ドラム表面を所定電位にするために必要とする印加電圧の低電圧化が図れることから装置の小型化、低コスト化が可能になるという利点がある。
【0006】
接触型帯電方式の帯電メカニズムについて説明する。接触帯電方式によるドラム表面の帯電メカニズムは、微小空隙におけるパッシェンの法則に従った放電であることが知られている。これは以下のように説明される。
【0007】
1)帯電ローラの場合
図15の(a)と(b)は帯電部材として回転方式の帯電ローラ21を用いたローラ帯電装置の場合の斜視模式図と断面模式図である。帯電ローラ21は導電性芯金21aと芯金21aに対して同心一体にローラ状に形成された導電性弾性層21bを有する。ドラム1は導電性のドラム基体12の外周面に感光層11が形成されている。帯電ローラ21はドラム1に対してほぼ並行に配列されて所定の押圧力で接触(当接)している。
【0008】
帯電ローラ21はドラム1の表面の画像形成可能領域幅(最大画像領域幅)Gの全幅に渡る長さ寸法を有し、ドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ21の芯金21aに対して帯電バイアス印加電源Eから所定の帯電バイアスが印加され、芯金21aを介して弾性層21bにバイアスが印加される。これにより、回転するドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。
【0009】
帯電ローラ21とドラム1との間の放電に関与する微小ギャップの空気層とドラム1を電気的な等価回路に表現すると図15の(c)のように示される。帯電ローラ21の示すインピーダンスはドラム1、空気層のそれに比べて小さく無視できるためここでは扱わない。このため、帯電機構は単に2つのコンデンサーC1、C2で表現できる。この等価回路に直流電圧を印加すると、電圧はそれぞれのコンデンサーのインピーダンスに比例配分され、空気層に印加される電圧Vairは、
Vair=C2/(C1+C2)・・・(1)式
になる。空気層にはパッシェンの法則に従う絶縁破壊電圧があり、空気層の厚みをg[μm]とすると、Vairが
312+6.2g[V]・・・(2)式
を越えると放電が起き、帯電が行われる。
【0010】
はじめて放電が起きる電圧は(1)式と(2)式が等しくなった場合の空気層の厚みgに関する二次方程式が重解を持つときであるので(C1もgの関数)、このときの直流電圧値が放電開始電圧Vthに相当する。このようにして求められた理論値のVthは実験値と非常に近い値を取る。
【0011】
ローラ帯電装置は、帯電ローラ21の回転支持部材211や加圧ばね212などが必要になり装置の構造が複雑になりやすい。また、帯電部材がブラシ形状(帯電ブラシ)のものは、回転方式でも固定方式でもブラシの作製に手間がかかるうえ、ブラシの跡が帯電ムラになりやすい。
【0012】
2)帯電ブレードの場合
図16の(a)は帯電部材として固定方式の帯電ブレード22を用いたブレード帯電装置の場合の斜視模式図である。ブレード帯電装置の場合は、帯電ブレード22として、帯電部としての導電性の弾性ブレード部220とこのブレード部220を保持させた導電性の支持部材223を有するものを用いる。ブレード部220はドラム1の表面の画像形成可能領域幅Gの全幅に渡る長さ寸法を有する。そして、帯電ブレード22をドラム1に対してほぼ並行に配列して、ブレード部220をドラム1に接触させ、支持部材223を装置の不動部材(不図示)に固定して配設する。
【0013】
支持部材223に対して帯電バイアス印加電源Eから所定の帯電バイアスが印加され、支持部材223を介してブレード部220にバイアスが印加される。これにより、回転するドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。即ち、ブレード部220とドラム1との間に形成されるくさび型の微小空隙部分で放電を行うものであり、比較的安定した微小空隙を形成できる。そして、ローラ帯電装置で必要な回転支持部材211や加圧ばね212などが不要なため安価であるという特徴を有しており近年有望視されている。
【0014】
しかしながら、帯電ブレード22はブレード部220の一部が常にドラム1と接触しているため次のような課題がある。
【0015】
a:帯電ブレード22は、図16の(b)のように、ブレード部220とドラム1との接触部をすり抜けたトナーTなどが少しずつ微小空隙gに蓄積する場合がある。そして、そのトナーTなどの蓄積が進行すると放電を妨げるため、このような部分では画像上にスジ状の画像不良が現れることがあった。
【0016】
b:また、ドラム1の表面に存在するピンホールを介してブレード部220への印加電圧がリークするピンホールリークを防止するために、ブレード部220のドラム1との接触部分に保護層が設けられることが多い。その場合において、長期にわたって使用すると保護層が磨耗しピンホールリークが起きやすい。
【0017】
これらの課題に対して、特許文献1には、帯電ブレードとして、ブレードが放電を行う半導電性部分と、半導電性部分がドラムに対して非接触でかつ微小空隙を保持するようにドラムに当接して位置決めを行う絶縁部とを有する構成が提案されている。これにより、半導電性部分とドラムが常に非接触となるので、長期にわたる使用においてもピンホールリークの抑制が可能となっている。
【0018】
また、特許文献2には、板状の絶縁性弾性部材からなるブレードと、このブレードのドラムと対向する面に設けられた帯電電極層を有する構成が提案されている。これは、ブレードの先端から帯電電極層の先端までの距離を適切に設定することにより、ブレードをすり抜けたトナーなどが帯電電極層に蓄積することによる影響を受けることなくスジ状の画像不良のない良好な出力画像を得ることができるようになっている。
【0019】
また、特許文献3には、板状の絶縁性弾性部材からなるブレードと、このブレードのドラムと対向する面に設けられた帯電電極層を有する構成において、一旦ドラム表面から隔離したあと再びドラムに近接する凸状部を有する構成が提案されている。これは、ブレードの先端から帯電電極層の先端までの距離を上述の特許文献2よりも更に離れて設定できるため、更に安定してスジ状の画像不良のない良好な出力画像を得ることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平09−319183号公報
【特許文献2】特開平08−62937号公報
【特許文献3】特開平08−62938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、近年の画像形成装置の小型化および軽量化によりドラムの小径化が進み、以下のような課題が生じた。即ち、帯電ブレードとドラムを圧接させたときにはドラムの撓みによって図17の(a)に示すようにドラムの長手中央部と端部とでブレードの侵入量に差が生じる。この撓みによる侵入量の差は(b)に示すようにドラムが小径化するほど大きくなる。
【0022】
また、特許文献1〜3では、ブレード侵入量と半導電性部分とドラムとの微小空隙の距離との間には図17の(c)のような関係がある。従って、ドラムが撓んでブレード侵入量に長手中央と端部で差が生じると微小空隙の距離が長手で不均一になる。そのためドラムの表面電位が不安定になり、画質が安定しないという課題が生じた上記のような理由から、ドラムに撓みが生じる場合においてもブレードの帯電部とドラムの微小空隙の距離が安定する非接触帯電を満足できるように更なる改善/改良が望まれる。
【0023】
そこで本発明の目的は、像担持体の撓みによる影響を低減し、安定した帯電が行えるブレード状の帯電部材、およびその帯電部材を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するための本発明に係る帯電部材の代表的な構成は、静電潜像が形成される像担持体に当接して相対的に移動し電圧が印加されることにより前記像担持体の表面を帯電するためのブレード状の帯電部材であって、前記像担持体の表面に対して放電を行うための帯電部と、前記像担持体の表面に対して放電を行わないための非帯電部と、を有し、前記非帯電部は前記像担持体と接触して、前記帯電部と前記像担持体との間に放電可能な間隙を設けることが可能であり、前記非帯電部は、前記非帯電部から前記像担持体の表面に対して放電をしないように、少なくとも一部が前記帯電部よりも高抵抗の物質で構成されており、前記非帯電部に同一の力を加えたときに、前記帯電部材の変形量が、帯電部材長手方向における端部よりも、帯電部材長手方向における中央部の方が大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、像担持体の撓みによる影響を低減し、安定した帯電が行えるブレード状の帯電部材を提供することができる。また、安定した帯電が行えるブレード状の帯電部材を用いた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1の帯電ブレードの構成説明図
【図2】画像形成装置例の概略構成図
【図3】帯電ブレードの侵入量δの概念を示す図
【図4】実施例1における帯電ブレードの作用を示す概略図
【図5】帯電ブレードの変形量を説明するための概略図
【図6】実施例1における帯電ブレードの効果を示す図
【図7】(a)乃至(d)はそれぞれ実施例1における他の構成の帯電ブレードの概略図
【図8】実施例2の帯電ブレードの構成説明図
【図9】実施例2における帯電ブレードの作用を示す概略図
【図10】接着部と非接着部の形態図
【図11】実施例3の帯電ブレードの構成説明図(その1)
【図12】実施例3の帯電ブレードの構成説明図(その2)
【図13】実施例3における帯電ブレードの作用を示す概略図
【図14】実施例3の帯電ブレードをクリーニング兼帯電ブレードとして適用した画像形成装置の概略構成図
【図15】(a)と(b)はローラ帯電装置の斜視模式図と断面模式図、(c)は帯電ローラとドラムとの間の放電に関与する微小ギャップの空気層とドラムを電気的な等価回路図
【図16】(a)はブレード帯電装置の斜視模式図、(b)は課題の説明図
【図17】課題を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な概略構成及び作像動作
図2は本発明に従う帯電部材22を用いた画像形成装置100の一例の概略構成図である。装置100は、電子写真プロセス利用のプロセスカートリッジ着脱式の電子写真画像形成装置である。装置100はパソコン・イメージリーダ・ファクシミリ装置等のホスト装置400から制御回路部(制御手段:CPU)200に入力する電気的な画像信号に基づいて記録材(記録媒体)Pに対する画像形成を実行する。
【0028】
記録材Pは電子写真プロセスで画像形成が可能なシート状物であり、例えば、用紙、樹脂シート、ラベル等が挙げられる。制御回路部200は操作部300やホスト装置400との間で各種の電気的情報の授受をすると共に、装置100の画像形成動作を記憶部に記憶させた所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。
【0029】
装置100の装置本体内には、カートリッジ収納部100Aが設けられている。プロセスカートリッジ50はカートリッジ収納部100Aに対して所定の操作要領にて取り外し可能に装着されている。本実施例において、カートリッジ50は一体型のプロセスカートリッジである。即ち、現像剤Tで現像される静電潜像が形成される像担持体としての電子写真感光体ドラム1と、ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電手段22・現像手段10・クリーニング手段7が共通の筺体に一体的に組み付けられて一体化されている。
【0030】
本実施例において、帯電手段22は帯電ブレードである。この帯電ブレード22については後述する。現像手段10は現像剤Tとして一成分磁性トナーを用いた非接触現像装置である。以下、現像剤Tをトナーと記す。クリーニング手段7はクリーニング部材として弾性ブレード7aを用いたブレードクリーニング装置である。
【0031】
現像装置10は、トナーTを収容している現像剤収容部としての現像容器10aを有する。また、ドラム1に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像剤担持体としての現像スリーブ10b、スリーブ10b内に配設された非回転のマグネットローラ10c、現像スリーブ10b上のトナーの量を規制する現像ブレード10d等を有する。
【0032】
カートリッジ収納部100Aの上方部には、像露光手段としてのレーザースキャナユニット3が配設されている。ユニット3は、ホスト装置400から制御回路部200に入力する画像情報に対応して変調したレーザー光Lを出力する。そのレーザー光Lがカートリッジ50の上面側の露光窓50aを通してカートリッジ50内に進入する。これにより、ドラム1の表面にレーザー走査露光がなされる。
【0033】
カートリッジ50のドラム1の下面には転写ローラ9が当接して転写ニップ部Nを形成している。カートリッジ収納部100Aに収容されているカートリッジ50は、押圧手段(不図示)により装置本体側の位置決め部(不図示)に押し付けられて位置決め固定されている。また、カートリッジ50の駆動入力部(不図示)に対して装置本体側の駆動出力部(不図示)が結合している。また、カートリッジ50の各種電気接点(不図示)に対して装置本体側の対応する各種電気接点(不図示)が導通している。
【0034】
画像形成動作は次のとおりである。ドラム1は矢印Rの時計回りに所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。ユニット3も駆動される。この駆動に同期して、所定の制御タイミングで帯電ブレード22に帯電バイアス印加電源Eから所定の帯電バイアスが印加されてドラム1の表面が帯電ブレード22により非接触式にて所定の極性・電位に一様に帯電処理される。ユニット3はドラム1の表面を画像信号に応じて変調されたレーザー光Lで走査露光する。これにより、ドラム1の表面に画像信号に応じた静電潜像が形成される。
【0035】
形成された静電潜像は現像装置10の現像スリーブ10bによりトナーが供給されてトナー像として現像される。現像スリーブ10bは矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。また、現像スリーブ10bには現像バイアス印加電源部(不図示)から所定の制御タイミングにて所定の現像バイアスが印加される。
【0036】
一方、給紙機構部(不図示)から記録材Pが一枚分離給送されて転写ニップ部Nに所定の制御タイミングで導入され、ニップ部Nを挟持搬送されていく。ニップ部Nを記録材Pが通過している間、転写ローラ9には転写バイアス印加電源部(不図示)から所定の転写バイアスが印加される。これにより、ドラム1側のトナー像が順次に記録材Pの面に転写されていく。
【0037】
ニップ部Nを出た記録材Pはドラム1の面から分離されて定着装置8に導入される。本実施例において、定着装置8はヒートローラ定着装置であり、記録材Pは定着ニップ部で挟持搬送されて熱と圧力を受ける。これにより、記録材P上の未定着トナー像が固着画像として熱圧定着される。そして定着装置8を出た記録材Pは画像形成物として装置100から排出される。また、記録材分離後のドラム1の表面はクリーニングブレード7aにより転写残トナー等の付着残留物の除去を受けて清浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。
【0038】
(2)帯電ブレード22
帯電ブレード22は、ドラム1の水平方向よりβ゜(図2:ドラム1の中心(回転軸線)を通る水平線と、ブレード22とドラム1の当接位置とドラム中心とを結んだ線とがなす角度)のドラム位置においてドラム1の回転に対してカウンター方向に当接させている。また、図3のようにブレード22を仮想のドラム1に対して侵入(侵入させる量を以後「侵入量δ」と称する)させることにより実際にはドラム1と帯電ブレード22を圧接させて帯電ブレードの挙動を安定させている。
【0039】
ここで、実際の侵入量δとセッティングアングルθの求め方の一例を示す。侵入量δとセッティングアングルθは、画像形成時における帯電ブレード22とドラム1の配置状態から、ドラム1を取り去った状態で測定を行う。図3において、画像形成時にドラム1が配置されてた位置を仮想ドラム1とする。仮想ドラム1の中心を通り帯電ブレード22の先端のエッジ部を含み、ドラム1と対向する側の面と平行な軸をX軸とする。仮想ドラム1の中心を通りX軸に垂直な軸をY軸とする。
【0040】
そして、図3のように仮想ドラム1の中心からの帯電ブレード22の先端の座標(X、Y)を測定する。この座標と仮想ドラム1の半径rから式(1)および式(2)を用いて侵入量δとセッティングアングルθを求めることができる。
【0041】
δ=√(r−X)−Y ‥‥式(1)
θ=tan−1(X/r) ‥‥式(2)
図1の(a)は図2の装置100の帯電ブレード22を拡大して模式的に示した横断面図、(b)はブレード22の先端部分((a)の破線部分Q)の拡大図である。本実施例の帯電ブレード22は、静電潜像が形成されるドラム1に当接して相対的に移動し電圧が印加されることによりドラム1の表面を帯電するためのブレード状の帯電部材である。そして、ドラム1の表面に対して放電を行うための導電性の帯電部222と、ドラム1の表面に対して放電を行わないための非帯電部221と、を有する。
【0042】
非帯電部221はドラム1と接触して、帯電部222とドラム1との間に放電可能な間隙を設けることが可能である。非帯電部221は、非帯電部221からドラム1の表面に対して放電をしないように、少なくとも一部が帯電部222よりも高抵抗の物質で構成されている。220は帯電部222の中でドラムとの間に微小空隙g(図4)を持って帯電を行う放電位置である。微小空隙gについては後述する。
【0043】
223は金属製の弾性部材(金属性の板バネ部材)、224はホルダーである。弾性部材223は帯電部222と非帯電部221とを支持する。ホルダー224は本実施例では導電性部材で構成されており、ホルダー224と帯電部222とは弾性部材223によって電気的に導通しており、電源Eから帯電用の印加電圧がホルダー224と弾性部材223を介して帯電部222に印加される。
【0044】
帯電部222はドラム1の母線方向(ドラム軸線方向)に長く、ドラム1の画像形成可能領域幅G(図16の(a):所定の帯電領域幅)の全域に対応する長さ寸法を有する。帯電部222は、ゴムに導電粉を添加して抵抗値を1×10〜1×10Ω・cmに制御している。ゴムはSBR、BR、EPDM、ウレタン、シリコンゴム、クロロプレン、エピクロルヒドリンゴム等である。導電粉はカーボンブラックや金属酸化物(酸化亜鉛・酸化チタン等)などである。
【0045】
帯電部222が1×10Ω・cmより小さい抵抗である場合には、ドラム1上にブツ等の不良部があった場合に電流リークを生じてしまい、いわゆる“横抜け”(反転現像の場合は、“横黒帯”)という画像不良を生じてしまう。また、1×10Ω・cm以上になると抵抗が大きくなり、印加した電圧の減衰が大きく、帯電性が劣化してしまう。従って、帯電部222の抵抗値は、1×10Ω・cm〜1×10Ω・cmが望ましい。
【0046】
図4の(a)と(b)に帯電ブレード22を感光体ドラム1に当接させた状態のブレード先端側の模式図を示す。帯電ブレード22は長手方向をドラム1の母線方向に並行にしてドラム1に対して配列される。そして、非帯電部221のエッジ部をドラム1に接触させ、ホルダー224をカートリッジ50の筺体に固定して、前記エッジ部を金属製弾性部材223の撓み反力にて所定の押圧力でドラム1に当接させた状態にされる。
【0047】
この当接状態において、帯電部222はドラム1との間に非接触に対面して配置される。そして、帯電部222の放電位置220がドラム1との間に放電可能な間隙g(g1、g2)を持って非接触に配置される。
【0048】
本実施例の帯電ブレード22において、帯電部222の放電位置220は、帯電部222の非帯電部221との接合端面と、帯電部222のドラム1との対向面と、の会合部である。即ち、帯電部222とドラム1との最近接位置が放電位置220となる。
【0049】
導電性のホルダー224に対して帯電バイアス印加電源Eから所定の帯電バイアスが印加され、そのバイアスが、ホルダー224、金属製弾性部材223を介して帯電部222に印加される。これにより、帯電部222の放電位置220とドラム1との間の微小空隙gにおいてドラム1の表面に対して放電がなされて回転するドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。
【0050】
帯電が安定して行われるには微小空隙gは7.5μm以上150μm以下、望ましくは7.5μm以上100μm以下とすることが必要である。微小空隙gが7.5μm未満ではパッシェンの法則より放電が起こらない。一方、微小空隙gが150μm以上では放電は起こるが不均一な放電であり、画像形成時には斑点状の不良画像となって現れる。このため、安定した放電のためには長さgは100μm以下とすることが望ましい。
【0051】
放電が発生するための微小空隙gの下限値は、印加する電圧や、放電を行う部材によらず一定のものである。放電が発生するための微小空隙gの下限値は、気圧によってある程度変動する。本実施例では、一気圧(760torr)を基準にして、上記した7.5μmを導き出している。一気圧は、装置が使用される一般的な環境として選択している。
【0052】
本実施例では、ドラム1と帯電部222との距離が7.5μm以上150μm以下であり、且つ、ドラム1と帯電部222の最近接位置の帯電部222上が放電位置220となる。
【0053】
このような理論的な放電位置220の定義と、実際の放電位置とが対応するかどうかの検証をおこなってみた。ドラム1と帯電ブレード22を圧接させた停止状態において、一定の時間だけ一定の帯電電圧を印加する。そして、帯電部222に放電により生じた痕(この痕を以下“放電痕”と称する)の位置を実際の放電位置として、放電痕の測定を行った。なお、印加する帯電電圧は放電が継続して行われる電圧であればよく、たとえば、ピーク間電圧2.0kVのサイン波の交流電圧を10分間印加することで帯電部222に放電痕が得られる。
【0054】
結果から、放電痕の位置と、理論的な放電位置とはほぼ同じ位置であることがわかった。したがって、上記のような、理論的な放電位置の求め方が有効であることがわかった。
【0055】
非帯電部221について説明する。非帯電部221は、帯電ブレード22の先端部でドラム1と直接当接している。本実施例においては、帯電ブレード22の非帯電部221は体積抵抗が1×1011Ω・cm以上、マイクロゴム硬度72度(JIS−A)のウレタンゴムを使用している。ウレタンゴムのほかにシリコンゴムなどの絶縁性ゴムを使用しても良い。
【0056】
本発明の帯電ブレード(帯電部材)22は、非帯電部221に同一の力を加えたときに、帯電ブレードの変形量が、帯電ブレード長手方向(帯電部材長手方向)における端部よりも、帯電ブレード長手方向における中央部の方が大きいことを特徴とする。
【0057】
このような特徴を帯電ブレードに具備させる構成として、本実施例においては、帯電部材には帯電部材長手方向に沿って溝又は切れ込みが設けられている。そして、溝の深さ又は切れ込みの深さが帯電部材長手方向において端部に対して中央部が深いことを特徴とする。
【0058】
本実施例の帯電ブレード22においては、図1の(b)のように、放電位置220と帯電ブレード22のドラム1と当接する先端部との間に帯電ブレード長手に沿って溝幅Uaの溝部U1を有している。溝部U1は帯電ブレードのドラム1と対向する側に設けられている。溝部U1のブレード厚み方向の深さXは、帯電ブレード長手方向において端部よりも中央部が深くなっている。これにより、帯電ブレード22をドラム1に当接させると、帯電ブレード22の先端部と放電位置220の間が変形する。
【0059】
この場合、図4の(a)のように帯電ブレード長手方向中央部(中央領域)の溝部深さX1が(b)に示す帯電ブレード長手方向端部(端部領域)の溝部深さX2よりも深くなっている。そのため、帯電ブレード22の長手方向端部領域よりも長手方向中央領域の変形量が大きくなる。
【0060】
次に、ここでいう帯電ブレードの変形量について説明する。帯電ブレード22を図5の(a)ようにドラムに対する非当接状態における点N1と点N2の間の距離である変位量S1と、(b)のようにφ30mmの金属製ドラムに設定角と侵入量δを所定値に設定したときの点N1とN2の間の距離である変位量S2を測定する。この変位量の差分(S2−S1)が帯電ブレードの変形量Zである。ここで、図5中の帯電ブレードの点N1はブレード先端と溝部U1間にある任意の点であり、点N2は帯電部222上の任意の点である。
【0061】
本発明では、φ30mmの金属製ドラムに設定角と侵入量δを所定値に設定したときの帯電ブレードの画像領域中央部の変形量Z1と中央部と同一の所定値に設定したときの端部(最大画像形成領域から20mm内側)の変形量Z2を求める。つまり、帯電ブレードの非帯電部221に同一の力を加えたとき、変形量Z1と変形量Z2の差分ΔZ=(変形量Z1−変形量Z2)がΔZ>ゼロの関係を満たす。
【0062】
具体的に示す。変形量Zの測定は帯電ブレード22の長手中央部および端部を試験片として切り出して行う。それぞれの試験片をレーザー顕微鏡を用いて試験片の断面方向から観察することで変形量Zおよび差分ΔZを求めることができる。
【0063】
(3)検証実験
次に、本実施例の帯電ブレード22を採用したカートリッジ50を着脱可能とした画像形成装置100を用いて画出し試験をおこなった。画出し試験はブレード侵入量δの異なるカートリッジ50を6種類準備し、常温常湿環境(N/N環境)23℃/50%において8000枚の通紙試験を行った。また、比較のために本実施例の帯電ブレードを用いていない以下の帯電ブレード22においても同様の通紙試験を行った。
【0064】
<本実施例の帯電ブレード22>
a)自由長L1:7.0mm
b)ブレード厚みT:2.0mm
c)長さL2・5.0mm
d)支持部材223
・リン青銅:厚み=0.1mm
・先端からリン青銅までの距離L3:0.8mm
e)帯電部222
・材料:カーボン分散のポリウレタン
・体積抵抗値:1×10Ω・cm
・先端から導電部までの距離L4:1.0mm
f)溝部U1
・先端から溝部までの距離Y:0.7mm
・溝部U1の幅Ua:0.1mm
・深さX:0〜1.0mm(図 の(a):ブレード長手正面から見たときに
円弧状に形成)
・端部0.0mm
・中央1.0mm
<比較例1の帯電ブレード22>
帯電部と先端部の間に溝部U1を備えていない従来構成の帯電ブレード。ドラム1との当接部である先端に絶縁性ウレタンゴムを成形した。
【0065】
<画出しの条件>
a)帯電ブレード設定条件
・侵入量δ(mm)=0.3、0.5、0.7、0.9、1.1、1.3
・セッティングアングルθ=25°
・画出し条件
プロセススピード:100mm/sec
ドラム径:φ24
クリーニングブレード7a:ウレタンゴム、カウンター当接
印加バイアス:DC−950〜1500V可変(所望の暗部VDとなるように
侵入量δに応じて印加バイアスを可変とした)
電位設定:暗部VD=−500V、明部VL=−100V
結果を表1に示す。本実施例の帯電ブレード22を用いた画像形成装置では通紙試験の結果、ブレード侵入量δの異なる場合においても8000枚程度まで帯電性を損なうことがなかった。本実施例を用いていない比較例1の帯電ブレード22では端部と中央部で濃度不均一画像の発生があった。
【0066】
【表1】

これは次のように考えられる。図6は微小空隙gの中央−端部差Δgのブレード侵入量依存性を示した図である。図6のように従来構成(比較例1)の帯電ブレード22では、ブレード侵入量δが小さいときはドラム1の撓みが僅かであるため放電位置220の微小空隙gの中央−端部の微小空隙差Δgはないので良好な出力画像が得られた。
【0067】
ブレード侵入量δがδ=0.5mm程度になると微小空隙差Δgが生じてくるが、実用上問題ないレベルの濃度不均一画像であった。そしてδ=0.7mmよりも大きいときはドラム1の撓みが顕著になり、微小空隙差Δgが大きくなるため、帯電電位に長手ムラが生じた。その結果、濃度不均一画像が発生した。
【0068】
一方、本実施例の帯電ブレード22では長手方向における画像の濃度均一性は良好であった。図6のように、微小空隙差Δgは侵入量に依存せずほぼ均一になっている。これはドラム1の撓みによって中央領域の帯電ブレード22の侵入量δが小さくなっているが、帯電ブレード22の変形量が端部よりも中央部の変形量が大きくなるように溝部を備えたことによってドラム1の撓みに追従できるようになったと考えられる。従って、微小空隙差Δgがなくなり帯電電位が均一に安定して行われる。その結果、濃度均一画像が得られた。
【0069】
以上のように、本実施例によってドラムの撓みが生じた場合でも帯電ブレード侵入量δの広い範囲において安定して良好な出力画像が得られる。また、本実施例では溝部U1をドラム1と対向する側に設けたが、図7の(a)のようにドラム1と対向しない側(対向する側とは反対側)に溝部U1を設けた場合においても均一な画像濃度を得ることができる。
【0070】
また、本実施例では溝部U1を有する帯電ブレード構成としたが、図7の(b)で示すようなブレード先端と放電位置220との間に切れ込みU2が形成された構成とした場合でも同様の効果が得られる。
【0071】
また、溝部U1あるいは切れ込みU2を備える位置は非帯電部221に限らない。ブレード先端と放電位置220との間であれば図7の(c)のように凸形状の放電位置220を有する帯電ブレード22では帯電部222に溝部U1あるいは切れ込みU2があっても良い。
【0072】
また、非帯電部221はドラム1の表面を帯電するための放電が生じなければ良く、図7の(d)のように多層構成とし、ブレード先端部と放電位置220の間に非帯電部221を有していれば先端部は帯電部(導電性材料部)222であっても良い。
【0073】
[実施例2]
図8の(a)は本実施例の帯電ブレード22の構成説明図、(b)はブレード22の先端部分((a)の破線部分Q)の拡大図である。本実施例の特徴は、帯電ブレード22の帯電部(第一の帯電部材部分)222と非帯電部(第二の帯電部材部分)221との接着部Bにおいて、ブレード長手方向の端部と中央部とで厚み方向の接着幅が異なるところにある。
【0074】
即ち、本実施例の帯電部材22は、第一の帯電部材部分222と第二の帯電部材部分221とが帯電部材長手方向に沿って帯電部材22のドラム1と対向する側の面から帯電部材厚み方向において非接着部Baを存して接着剤により接着されている。つまり、第一の帯電部材部分222と第二の帯電部材部分221とが接着部Bによって接合されている。そして、非接着部Baの帯電部材厚み方向の幅を非接着幅としたとき、非接着幅Baは帯電部材長手方向において端部に対して中央部が広いことを特徴とする。
【0075】
本実施例で用いた帯電ブレード22は、図8のように、ドラム1と対向する側の面から接着部Bまでの距離が、中央部>端部、となるようにプライマー(接着剤)を塗布し非帯電部221と帯電部222を接着した。接着部Bの詳細を以下に示す。接着部Bの他は実施例1と同様の構成である。
【0076】
距離X:端部X2(画像形成領域端部から20mmの位置) 0.2mm
中央部X1 1.0mm
これにより図9の(a)と(b)のように帯電ブレードの変形量は(b)の端部(端部領域)よりも中央部(中央領域)が大きくなるため、前記実施例1と同様にドラム1が撓んだ場合でも放電位置220とドラム1の微小空隙が長手方向で均一にできる。
【0077】
(検証実験)
次に、本実施例の帯電ブレード22を採用したカートリッジ50を着脱可能とした画像形成装置100を用いて実施例1と同様に画出し試験を行った。結果を表2に示す。
【0078】
【表2】

図10の(a)はブレード22の長手方向Fにおいて帯電部222と非帯電部221との接着部Bの接着幅を示す図である。即ち、接着部Bを図8の(a)中の視点Cから見た図であり、図10の(a)中では非帯電部221は不図示としている。本実施例では図10の(a)のような接着部Bの幅としたが、図10の(b)のように狭い接着部Bとし距離Xを所定の値とすることによって同様に安定して良好な出力画像が得られる。
【0079】
以上のように、本実施例によってドラム1が撓みを生じた場合でも帯電ブレード22の侵入量δの広い範囲において安定して良好な出力画像が得られる。
【0080】
[実施例3]
図11の(a)は本実施例の帯電ブレード22の構成説明図、(b)はブレード22の先端部分((a)の破線部分Q)の拡大図である。本実施例の特徴は、弾性金属部材(金属製の板バネ部材)223の突き出し量Hがブレード長手方向端部と中央部とで異なるところにある。即ち、帯電部222と非帯電部221とを支持する弾性金属部材223を備え、弾性金属部材223の先端は帯電部222の先端位置よりも突出しており、突出の量Hは帯電部材長手方向において中央部に対して端部が大きいことを特徴とする。
【0081】
図12は本実施例の帯電ブレード22を図11の(a)中の視点Cから見た図であり、図12中では非帯電部(絶縁部)221を不図示としている。本実施例では図12のように弾性金属部材223の突き出し量Hを、中央部<端部、となるようにした。本実施例における帯電ブレード22の詳細は以下のとおりである。
【0082】
a)弾性金属部材223
・弾性金属部材223:リン青銅 厚み0.1mm
・先端形状:円弧状:端部に比べて長手中央部が0.4mm凹
・突き出し量(弾性金属部材223の先端と帯電部220との距離)H
中央部H1:0.1mm
・端部H2:0.5mm
b)非帯電部221
・材質:ウレタンゴム
・硬度(JIS−A):72°
・厚みS1:2mm
・先端部と放電位置220の距離L4:0.7mm
これにより、図13のように、帯電ブレード22の変形量Zは、中央部>端部、となり前記実施例1と同様にドラム1が撓んだ場合でも、放電位置220とドラム1の微小空隙gが長手方向で均一にできる。
【0083】
(検証実験)
次に、本実施例の帯電ブレード22を採用したカートリッジ50を着脱可能とした画像形成装置100を用いて画出し試験を行った。本実施例では、本発明の帯電ブレード22に備えた非帯電部(絶縁部)221がドラム表面をクリーニングするための機能を満足する構成とし、図14に示すようにクリーニング兼帯電ブレードとした。これによりカートリッジ50および画像形成装置の小型化、コストダウンが可能となる。耐久試験はN/N環境で通紙8000枚行った。画出しの条件は以下のとおりである。結果を表3に示す。
【0084】
<画出し条件>
プロセススピード:100mm/sec
ドラム径:φ24
【0085】
【表3】

以上のように、侵入量δ=0.3mmのときは、画像均一性は良好なレベルであったが、クリーニング性は不十分なレベルであった。これはクリーニング兼帯電ブレード22とドラムとの接触圧が不足したためと考えられる。侵入量δ=1.5mm以上のときは、クリーニング性は実用上問題ないレベルであったがドラム1の撓みが大きくなり過ぎたため画像均一性が不十分なレベルとなっていた。侵入量δ=0.5mm〜1.5mmにおいては、画像濃度均一性およびクリーニング性において良好なレベルであり、良好な画像が得られた。
【0086】
以上のように、本実施例の帯電ブレードでは、帯電ブレード侵入量δの広い範囲において安定して帯電ができるとともに、良好なクリーニング性を合わせもっているので、良好な画像を出力できる部品点数の少ない小型の画像形成装置が得られる。また、ドラム表面の画像領域全幅にわたって当接し、ドラム1と安定して摺擦しているので長手方向においても均一な出力画像が得られる。
【0087】
[その他の事項]
1)本発明において静電潜像が形成される像担持体は、実施例の電子写真方式における電子写真感光体に限られない。静電記録方式における静電記録誘電体であっても良い。また、像担持体はドラム型に限られない。エンドレスの回動ベルトや走行される有端ベルトの形態であってもよい。また、像担持体は搬送手段で搬送されるシート状部材(エレクトロファックス紙、静電記録紙)の形態であってもよい。
【0088】
2)像担持体と帯電部材の相対的な移動には、実施例のように固定の帯電部材に対して像担持体が移動する形態に限られず、固定の像担持体に帯電部材が移動する形態、帯電部材と像担持体の両方が移動する形態も含まれる。
【0089】
3)帯電部材の像担持体に対する当接は実施例のカウンター方向当接に限られず、順方向当接でも良い。また、エッジ当接に限られず、腹当て当接でも良い。
【0090】
4)本発明において帯電部材による像担持体表面の帯電には像担持体表面を除電処理するための帯電も含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1・・像担持体、22・・ブレード状の帯電部材、222・・帯電部、221・・非帯電部、g・・放電可能な間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体に当接して相対的に移動し電圧が印加されることにより前記像担持体の表面を帯電するためのブレード状の帯電部材であって、
前記像担持体の表面に対して放電を行うための帯電部と、前記像担持体の表面に対して放電を行わないための非帯電部と、を有し、
前記非帯電部は前記像担持体と接触して、前記帯電部と前記像担持体との間に放電可能な間隙を設けることが可能であり、
前記非帯電部は、前記非帯電部から前記像担持体の表面に対して放電をしないように、少なくとも一部が前記帯電部よりも高抵抗の物質で構成されており、
前記非帯電部に同一の力を加えたときに、前記帯電部材の変形量が、帯電部材長手方向における端部よりも、帯電部材長手方向における中央部の方が大きいことを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
前記帯電部材には帯電部材長手方向に沿って溝又は切れ込みが設けられており、前記溝の深さ又は前記切れ込みの深さが帯電部材長手方向において端部に対して中央部が深いことを特徴とする請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記溝又は前記切れ込みは前記帯電部材の前記像担持体と対向する側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記溝又は前記切れ込みは前記帯電部材の前記像担持体と対向する側とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の帯電部材。
【請求項5】
前記帯電部材は、第一の帯電部材部分と第二の帯電部材部分とを帯電部材長手方向に沿って前記帯電部材の前記像担持体と対向する側の面から帯電部材厚み方向において非接着部を存して接着剤により接着されている接着部によって接合されており、前記非接着部の帯電部材厚み方向の幅を非接着幅としたとき、前記非接着幅は帯電部材長手方向において端部に対して中央部が広いことを特徴とする請求項1に記載の帯電部材。
【請求項6】
前記帯電部と前記非帯電部とを支持する金属製の板バネ部材を備え、前記板バネ部材の先端は前記帯電部の先端位置よりも突出しており、前記突出の量は帯電部材長手方向において中央部に対して端部が大きいことを特徴とする請求項1に記載の帯電部材。
【請求項7】
前記非帯電部は前記像担持体の表面の画像形成可能領域幅の全幅に渡って当接して前記像担持体の表面を摺擦することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の帯電部材。
【請求項8】
静電潜像が形成される像担持体の表面を一様に帯電する帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、を備えた画像形成装置であって、前記帯電部材が請求項1乃至7の何れか一項に記載の帯電部材であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−128080(P2012−128080A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278184(P2010−278184)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】