説明

帯電防止剤組成物

【課題】静電気を帯びやすい繊維及び繊維製品を広く一般的に普及されている浴中処理装置を用いて40〜100℃で浴中処理を行うことで、洗濯耐久性に優れ、高い静電気除去効果が得られる帯電防止剤組成物の提供。
【解決手段】帯電防止剤組成物は、第4級アンモニウム塩型のポリマー及び/又はポリアミン樹脂(イ)と、1分子中に2個以上のブロックイソシアネート基を有する熱反応型ブロックドウレタン(ロ)と、オレイル基と2個以上のヒドロキシル基とを共に有する界面活性剤(ハ)とから成り、(イ)、(ロ)、(ハ)の固形分重量比率が、10〜80/10〜80/10〜80重量%で配合された帯電防止剤組成物である。この帯電防止剤組成物を調液した浴中処理浴のpHを水溶性のアルカリ剤を用いて7.0〜8.0に調整することにより、40〜100℃での浴中処理が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止剤組成物に関するものであり、さらに詳しくは、繊維へ洗濯耐久性に優れた帯電防止性能を付与することが出来る組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維などの合成繊維は、静電気が帯電し易くほこりの付着や衣類の人体へのまとわりつきなどの問題を有しており、これらの繊維に洗濯耐久性を有する帯電防止加工が従来よりなされている。
【0003】
例えば、洗濯耐久性を有する帯電防止剤の従来の技術として、1分子中に2個以上のアミンと1個以上のポリオキシエチレン鎖を有するポリオルガノシロキサンを帯電防止成分とし、2個以上のブロックイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを架橋剤成分に用いた洗濯耐久性を有する帯電防止剤がある(例えば、特許文献1参照)。この組成物の繊維への付着方法は、Pad法によるものであり、さらに繊維に付着した当該組成物が洗濯耐久性を発現するためには、150℃の高温熱処理を必要としている。
【0004】
また、ポリオキシエチレン鎖を有し末端がポリアミンのプレポリマーを帯電防止成分とし、ポリオキシエチレン鎖を有し末端がポリエポキシドのプレポリマーを帯電防止成分と架橋剤成分として用いた洗濯耐久性を有する帯電防止剤もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、これも当該組成物の繊維への付着方法がPad法であり、当該組成物が洗濯耐久性を発現するためには、150〜180℃の高温熱処理を必要としている。
【0005】
さらに、アルキルリン酸エステル系の界面活性剤を帯電防止成分とし、ブロックイソシアネート化合物が架橋剤成分として用いられたポリオレフィン不織布の帯電防止剤がある(例えば、特許文献3参照)。当該組成物の不織布への付着方法は、グラビアロールを用いた表面コート法であり、これも洗濯耐久性を得るために130℃以上の高温熱処理を行わなければならない。
【0006】
この様に従来の技術によって、1分子中に2個以上のアミンと1個以上のポリオキシエチレン鎖を有するポリオルガノシロキサンやポリオキシエチレン鎖を有し、末端がポリアミンのプレポリマー、あるいはポリオキシエチレン鎖を有し、末端がポリエポキシドのプレポリマーやアルキルリン酸エステル系の界面活性剤は、帯電防止成分として高い静電気除去効果を示すことが明らかとなり、それらの帯電防止成分に洗濯耐久性を付与するための架橋剤成分としてブロックイソシアネートやエポキシ系化合物が開示されている。しかし、これらの物質を組み合わせた組成物が、洗濯耐久性を有する帯電防止性能を発現するためには、130℃以上の熱処理を必要とするため、例えば60℃で行う吸尽処理では、処理された繊維に洗濯耐久性を有する帯電防止性能を付与せしめることができないことに不満がのこる。
【0007】
その他の洗濯耐久性を得るための方法として、帯電防止剤成分を洗濯時に繊維から脱落しない形態であって、例えば金属微粒子などの導電性物質と洗濯耐久性を有するバインダーとを併用して導電性物質を繊維に固着せしめる方法が存在するが、この方法も100℃以下で行う浴中処理に適しているものではないことに不満がのこる。
【0008】
一方で吸尽法の様に水系溶媒中で帯電防止成分を処理する方法が存在している。その処理方法とは、導電性金属を無電解メッキ処理により繊維表面へ被覆する処理方法である(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
この方法は、広く一般的に普及されている吸尽法に比べると極めて特殊な処理方法といえる。
【0010】
前述したメッキ処理法に比べて、さらに特殊な処理方法を要するものがある。その処理方法とは、吸尽法を利用した処理方法であり、処理すべき繊維と帯電防止性能を有するポリアルキレングリコール、またはその誘導体とを高圧容器に投入し、次いで二酸化炭素を注入、そして130℃に昇温させて30Mpaの高圧力状態を一定時間保持するものである。(例えば、特許文献5参照。)
【0011】
しかし、これらに述べた吸尽処理には、特殊な処理装置が必要となり、広く一般的に普及される技術として成り得ないことに不満が残る。
【0012】
以上の様に従来の帯電防止方法は、高温処理や特殊処理方法、あるいは特殊な処理装置を必要としており、処理温度の低温化による省エネルギー化や一般的に普及された処理方法による加工が望まれている。さらに100℃以上の高温で行う吸尽処理や高温高圧状態を保持する吸尽処理では、繊維素材の劣化や染色された繊維からの染料の泣き出し、泣き出した染料に起因する吸尽処理装置の汚染、自然環境に流出する化学物質の排出量の増加、さらに染色された繊維の変退色を招きかねない。
【0013】
【特許文献1】特開平11-158779号公報
【特許文献2】特開平11-189976号公報
【特許文献3】特開平9-143882号公報
【特許文献4】特開平6-294070号公報
【特許文献5】特開平2001-226874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そもそも親水性の有機化合物を主成分とする帯電防止剤は、洗濯耐久性を有する帯電防止性能を繊維へ付与せしめることが非常に困難であり、特に広く一般的に普及されている浴中処理装置を用いて100℃以下での浴中処理が可能な洗濯耐久性に優れた帯電防止剤組成物は存在しない。そこで、洗濯耐久性に優れた帯電防止性能を繊維へ付与せしめることが可能であって、広く一般的に普及されている浴中処理装置を用いて40〜100℃の比較的低温での浴中処理が可能な帯電防止剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかるべき課題を解決するための本発明の帯電防止剤組成物は、第4級アンモニウム塩型のポリマー及び/又はポリアミン樹脂(イ)と、1分子中に2個以上のブロックイソシアネート基を有する熱反応型ブロックドウレタン(ロ)と、オレイル基と2個以上のヒドロキシル基とを共に有する界面活性剤(ハ)とから成る組成物であって、特に(イ)、(ロ)、(ハ)の固形分重量比率が、好ましくは10〜80/10〜80/10〜80重量%から成る組成物である。
【0016】
ここで成分(イ)は帯電防止剤としての作用を有し、成分(ロ)は架橋剤としての作用を有し、成分(ハ)は繊維への吸着成分としての作用を有するものである。
【0017】
また、本発明品における第4級アンモニウム塩型のポリマー及び/又はポリアミン樹脂は、1分子中にヒドロキシル基、第1級アミノ基及び第2級アミノから選ばれる官能基を少なくとも1つ含んでいるものが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明品は、広く一般的に普及されている浴中処理装置を用いて40〜100℃の比較的低温で静電気が帯電し易い合成繊維を浴中処理することにより、洗濯耐久性に優れる帯電防止性能を付与せしめることが可能である。また、帯電防止剤組成物のほぼ全ての成分を40〜100℃の比較的低温で繊維へ吸着せしめることが可能なため、従来から行われている100℃以上で行う吸尽法などに比べて、浴中処理に費やすエネルギーのコストの削減ができる。また、凝集剤や塩析剤などを併用する必要がなく、自然環境に流出する化学物質の排出量が減少することや、繊維素材の劣化防止、染色された染料の泣き出し防止なども本発明品の効果として数えられる。
【0019】
さらに本発明品の繊維への処理方法は、浴中処理に限らずPad法やスプレー法などに適しており、本発明に関する技術は、洗濯耐久性に優れた吸水剤や洗濯耐久性に優れたバインダーへの応用も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らは、繊維への浴中処理が、40〜100℃の比較的低温から行うことができ、かつ洗濯耐久性に優れた帯電防止剤を繊維へ付与せしめることが可能となる親水性の組成物を鋭意検討したところ、特定な親水性物質の混合により本課題を解決するに至った。
【0021】
従来から行われている帯電防止剤の浴中処理には、帯電防止剤の処理濃度を調整する際の溶媒として水系の溶媒を用いている。そのため、浴中処理によって繊維へ付着せしめる帯電防止剤組成物が、親水性であって、かつ浴中処理浴中に溶解、または安定に分散する物質を用いるのが一般的である。これらの親水性物質を繊維へ付着せしめるためには、浴中処理浴中に溶解、または安定に分散している帯電防止剤成分を不安定化せしめる必要がある。一般的な具体例として、密閉した浴中処理浴の温度を100℃以上の高温に昇温し、凝集した帯電防止剤成分を繊維へ吸尽せしめる方法や、帯電防止剤成分に凝集剤や塩析剤などの凝集剤を併用して、凝集した帯電防止剤成分を繊維へ付着せしめる方法などが挙げられる。これらの方法で得られた帯電防止剤成分の不安定な凝集粒子は、繊維との電気的、または親和力などの作用によって繊維へ吸尽、または吸着するものである。
【0022】
上記の様に従来の浴中処理においては、帯電防止剤成分の凝集と繊維への吸尽・吸着によって処理しているのに対して、本発明組成物の浴中処理の機構はやや異なっている。
【0023】
本発明は、浴中処理浴の温度が50℃以上に達すると急速な架橋反応が起こり、水系溶媒を用いた浴中処理浴中に不安定な架橋粒子を析出する特性を有している。また、各種アルカリ剤を併用し、処理浴のpHを7.0以上に調整することによって、本発明組成物の架橋開始温度を40℃まで低下せしめることが可能である。この様に本発明組成物と一般的な浴中処理における大きな違いは、帯電防止剤成分を不安定化せしめるメカニズムにある。
【0024】
そして、浴中処理浴中に析出した本発明組成物の架橋粒子は、繊維に強く吸着する性質を備えており、この架橋粒子が吸着した繊維を乾燥せしめることによって、洗濯耐久性に優れた帯電防止性能を有する繊維が得られるものである。
【0025】
本発明組成物は、成分(イ)と成分(ロ)と成分(ハ)との3成分を配合した組成物から成り、本発明組成物に用いる成分(ロ)には、浴中処理浴の温度が50℃に達すると成分(イ)と成分(ハ)との2成分と急速な架橋反応が起こる特性が備わっている。つまり、本発明組成物が洗濯耐久性を発揮する主な理由は、成分(ロ)と成分(イ)と成分(ハ)との3成分が架橋反応し、洗濯に耐えることができる帯電防止機能を有する架橋ポリマー構造体を形成するからである。
【0026】
本発明における成分(イ)としての第4級アンモニウム塩型のポリマーとは、例えば側鎖に第4級アンモニウム塩基を有するビニル単量体の単独重合体、および側鎖に第4級アンモニウム塩基を有するビニル単量体と共重合可能な他の重合性ビニル単量体の共重合によって得られる共重合体である。この際4級アンモニウム塩基を有するビニル単量体は全単量体中30重量%以上含有していることが好ましい。30重量%未満では十分な帯電防止性能が得られない。
【0027】
側鎖に第4級アンモニウム塩基を有するビニル単量体としては、ジメチルアミノエチルアクリレート4級化物、ジエチルアミノエチルアクリレート4級化物、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物、ジエチルアミノエチルメタクリレート4級化物、メチルエチルアミノアクリレート4級化物、メチルエチルアミノエチルメタクリレート4級化物、ジメチルアミノスチレン4級化物、ジエチルアミノスチレン4級化物、メチルエチルアミノスチレン4級化物、アクリルアミド-3-メチルブチルジメチルアミンの4級化物、ジアリルアンモニウム塩などを挙げることができ、これらの1種もしくは2種以上を使用するものである。共重合可能な他の重合性ビニル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸、またはメタクリル酸のアルキルエステル、スチレンおよびその誘導体、酢酸ビニルなどのビニル単量体やアクリルアミド、メタクリルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類またはメタクリルアミド類およびその誘導体を挙げることができる。
【0028】
本発明における成分(イ)としての第4級アンモニウム塩型のポリマーの他の例としてはアルキレングリコールと1分子中に2級アミノ基を有するアミン化合物とを作用させて得られる3級アミノ基の繰り返し分子鎖からなるポリアミン樹脂をさらにエポキシ基で反応して得られる第4級アミン型のカチオン樹脂などが挙げられる。あるいはグアニジン系化合物から誘導された縮合型カチオンポリマーであるジシアンアミド・ホルマリン縮合物も構造中に第2、3級アミノ基、第4級アンモニウム塩を含んでおり本成分として有効であるし、その他ポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体なども本成分として例示できる。
【0029】
以上の中でも特に好ましい第4級アンモニウム塩型のポリマーは、1分子中にヒドロキシル基、第1級アミノ基及び第2級アミノから選ばれる官能基を少なくとも1つ含む第4級アンモニウム塩型の共重合体である。
【0030】
本発明における成分(イ)としてのポリアミン樹脂としては、分子中に第1級、第2級および第3級アミノ基の1種またはそれ以上を含むポリアミンであり、例えば特開平06-240154に例示されている次の(1)−(16)のものが挙げられる。
(1)モノまたはジアリルアミン誘導体の単独重合体;
(2)2種以上のモノまたはジアリルアミン誘導体の共重合体;
(3)モノまたはジアリルアミン誘導体とジアルキルジアリルアンモニウム塩との共重合体;
(4)第3級アミノ基を有する不飽和カルボン酸誘導体の単独重合体;
(5)第3級アミノ基を有する不飽和カルボン酸誘導体の群から選ばれる2種以上の単量体の共重合体;
(6)第3級アミノ基を有する不飽和カルボン酸誘導体と、該誘導体の第3級アミノ基をアルキル化若しくはプロトン化した第4級アンモニウム塩および/またはジアルキルジアリルアンモニウム塩との共重合体;
(7)第3級アミノ基を有する不飽和カルボン酸誘導体と、該誘導体の第3級アミノ基をアルキル化若しくはプロトン化した第4級アンモニウム塩および/またはジアルキルジアリルアンモニウム塩と、それらと重合可能な他のビニル単量体との3元共重合体;
(8)不飽和カルボン酸および該不飽和カルボン酸と重合可能な他の不飽和単量体から製造した共重合体のカルボキシル基をアルキレンイミンと反応させてなる重合体;
(9)ポリアルキレンイミン;
(10)ポリアルキレンポリアミン ;
(11)(2-メタクリロイルオキシエチル)エチレンイミンの重合体および該(2-メタクリロイルオキシエチル)エチレンイミンと重合可能な不飽和単量体の共重合体;
(12)ポリアミドポリアミン ;
(13)ポリアミドポリアミン ・ エピクロロヒドリン樹脂;
(14)ポリアクリルアミドおよびポリメタクリルアミドのマンニッヒ反応変性物;
(15)ポリビニルアミンおよびビニルアミンと該ビニルアミンと重合可能な不飽和単量体との共重合体;
(16)ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物;
【0031】
この中でも特に好ましいポリアミン樹脂は、1分子中にヒドロキシル基、第1級アミノ基及び第2級アミノから選ばれる官能基を少なくとも1つ含むポリアミン樹脂である。
【0032】
本発明における成分(ロ)としての熱反応型ブロックドウレタンは、ブロック剤で封鎖されたブロックイソシアネート基を1分子中に2個以上有する構造のものである。当該ブロックドウレタンは、2官能以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類とポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリヒドロキシル化合物、およびアミン類などの低分子量の鎖延長剤により重付加反応を行い、最後にブロック剤で活性イソシアネート基をブロックすることによって得られるブロックドウレタンであり、公知の方法により合成することができる。
【0033】
成分(ロ)の熱反応型ブロックドウレタンは、ポリエチレングリコールや第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、スルホネート基などの親水基を1分子中に付加する方法、あるいはアニオン性、カチオン性、ノニオン性の界面活性剤を用いる方法などの公知の方法により水に分散せしめて使用するのが好ましい。
【0034】
当該ブロックドウレタンを構成するイソシアネート成分が、芳香族イソシアネートを用いたブロックドウレタンでは、浴中処理浴中で架橋反応した当該帯電防止剤組成物が熱黄変し、処理せしめた繊維に変色が見られるため、イソシアネート成分には脂肪族イソシアネートを用いるのが好ましい。当該ブロックドウレタンに含まれる脂肪族イソシアネートの代表例として、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネートなどが挙げられる。
【0035】
本発明で用いる2官能以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類と重付加反応が可能なポリヒドロキシル化合物の代表例として、フタル酸、アジピン酸、二量化リノレン酸、マレイン酸等の有機酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、ヘキサトリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等との脱水縮合反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、シュクローズ、スターチ、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール等のポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ヒマシ油の誘導体、その他水酸基化合物等が挙げられる。
【0036】
鎖延長剤としては、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、ヒドロキノン-ビス(β-ヒドロキシエチル)エーテル、レゾルシノール-ビス(β-ヒドロキシエチル)エーテル;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジフェニルジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ヒドラジン類、水等が挙げられる。
【0037】
ブロック剤の代表例として、亜硫酸水素ナトリウム、メチルエチルケトオキシム、アセト醋酸エステル、カプロラクタムなどが挙げられるが、より好ましくは、亜硫酸水素ナトリウムである。
【0038】
当該ブロックドウレタン以外の架橋剤成分であって、例えばグリコール変性エポキシやトリメチロールメラミンなどを架橋剤成分として用いた帯電防止剤組成物では、40℃〜100℃で行う浴中処理において不安定な架橋粒子を浴中処理浴中に析出せしめることができず、洗濯耐久性に優れた帯電防止性能を繊維へ付与せしめることができない。
【0039】
そして、ブロックイソシアネート基を1分子中に1個しか有さないブロックドウレタンでは、成分(イ)や成分(ハ)との3成分を含む架橋体が生成せず、浴中処理浴中に架橋粒子を析出せしめることができないと同時に、浴中処理された繊維の帯電防止性能に洗濯耐久性をも付与せしめることができない。
【0040】
当該帯電防止剤組成物に利用可能な熱反応型ブロックドウレタンの代表例として、ハイレジンMT-935、TS-897(高松油脂社製)などが挙げられる。
【0041】
本発明における成分(ハ)は、オレイル基と2個以上のヒドロキシル基とを共に有する界面活性剤である。オレイル基以外の疎水基と2個以上のヒドロキシル基とを共に有する界面活性剤を用いた帯電防止剤組成物では、浴中処理浴中に析出した架橋粒子の繊維への吸着率が低く、またオレイル基と1個のヒドロキシル基とを共に有する界面活性剤を用いた帯電防止剤組成物では、浴中処理浴中に析出可能な架橋粒子とならず、繊維へ吸着可能な凝集粒子を生成しない。
【0042】
本発明組成物に利用可能な界面活性剤の代表例として、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート、ポリオキシエチレンモノオレイルエーテルショ糖エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルフォスフェート、ポリオキシエチレンオレイルエーテルフォスフェート塩などが挙げられる。
【0043】
以上に記載した成分(イ)と成分(ロ)と成分(ハ)とから成る帯電防止剤組成物は、固形分重量比率で10〜80/10〜80/10〜80重量%、特に好ましくは20〜60/20〜60/15〜70重量%となる比率で配合せしめるのが好ましい。
【0044】
成分(イ)の帯電防止剤成分が、固形分重量比率で10重量%未満の配合では、浴中処理浴中に帯電防止剤組成物の架橋粒子を析出せしめることができなくなり、繊維へ優れた帯電防止性能を付与することができない。80重量%を超える配合では、帯電防止剤組成物の親水性が高くなり、繊維へ吸着せしめた帯電防止剤組成物に優れた洗濯耐久性を付与せしめることできなくなる。
【0045】
成分(ロ)のブロックドウレタンが、固形分重量比率で10重量%未満の配合では、浴中処理浴中に帯電防止剤組成物の架橋粒子を析出せしめることができなくなり、繊維へ帯電防止性能を付与せしめることができない。また、80重量%を超える配合では、帯電防止剤組成物を繊維へ吸着せしめることが可能であるが、成分(イ)の固形分重量比率が少なくなるために繊維に優れた帯電防止性能を付与せしめることができなくなったり、帯電防止剤組成物中に含まれる成分(ハ)の固形分重量比率が少なくなるために、繊維へ吸着可能な架橋粒子の析出が減り、繊維へ優れた帯電防止性能を付与せしめることができなくなったりする。
【0046】
さらに成分(ハ)の界面活性剤が、固形分重量比率で10重量%未満の配合では、浴中処理浴中に帯電防止剤組成物の不安定な架橋粒子の析出が少なく、帯電防止剤組成物の繊維への吸着率が低い。そして、80重量%を超える配合では、繊維へ吸着せしめた帯電防止剤組成物に優れた洗濯耐久性を得ることができなくなる。
【0047】
吸尽処理液として調液した当該帯電防止剤組成物は、水溶性のアルカリ剤を用いてpHを7.0以上に調整せしめることによって40℃からの浴中処理が可能となる。これは、成分(ロ)のブロックイソシアネート基の解離温度が低下し、それに伴い架橋開始温度が低下するためである。より好ましくは、浴中処理浴のpHが7.0〜8.0の範囲がよい。浴中処理浴のpHが7.0以下では、40〜50℃での浴中処理において、成分(ロ)のブロックイソシアネート基の解離速度が遅く、当該帯電防止剤成分や当該界面活性剤との架橋反応性が低下し、浴中処理浴中に架橋粒子を析出するに至らない。また、pHが8.0以上では、染色された染料の泣き出しが発生したり、ポリエステル繊維に処理する場合には、加水分解を促し繊維の劣化を招いたりする恐れがある。
【0048】
浴中処理浴のpH調整に用いることができる水溶性のアルカリ剤の代表例として、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リン酸水素2ナトリウム、トリス(オキシメチル)アミノメタンなどが挙げられる。
【0049】
本発明組成物は、ポリエステル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維など、静電気が帯電し易い合成繊維に対して洗濯耐久性に優れた帯電防止性能を付与せしめることが可能である。この際の繊維又は繊維製品とは、上記の合成繊維の他に、レーヨン、ベンベルグ等の再生繊維や絹、木綿、麻、羊毛等の天然繊維、あるいはその混用繊維からなる繊維製品や不織布、あるいは混紡、混織や交編織などの混合繊維、布はく等であり、その構造、形状は特に限定されるものではない。
【0050】
本発明組成物を使用した浴中処理の浴比や使用量(%owf)や処理温度及び時間は特に限定されるものではないが、本発明組成物を用いた場合のより好ましい浴中処理条件は、浴比が1:5〜1:50、帯電防止剤組成物としての使用量が0.2〜5%owf、処理温度と時間とが50℃〜80℃×10〜20分である。
【0051】
浴中処理後は、遠心脱水又はマングルローラーにて余分な水分を除去し、処理した繊維を乾燥せしめることにより、帯電防止加工製品を得ることができる。乾燥温度は、特に限定されず風乾でも構わないし、100℃程度の熱風乾燥、あるいは、より高温でのドライセットでも良い。
【0052】
さらに本発明組成物は、40〜100℃で浴中処理が可能な各種柔軟剤や吸水剤、SR剤などの繊維仕上げ剤を併用しても構わない。本発明組成物と併用可能な柔軟剤として、TKシリコンAS-800、EX-200AM25、EX-200A(高松油脂社製)などが挙げられ、吸水剤としては、ラノゲンKRN-6、ラノゲンTNT-2、アクリナーNA-99(高松油脂社製)などが挙げられ、SR剤としては、SR-1000、SR-1800、SR-1801M(高松油脂社製)などが挙げられる。
【0053】
実施例を行うにあたり、以下の帯電防止剤(A)〜(E)を調液した。
【0054】
1分子中にヒドロキシル基と第2級アミノ基とを共に有する第4級アンモニウム塩型のポリアミン樹脂であるエレナイトE-14(高松油脂社製・固形分30%)を33.3重量%、亜硫酸水素ナトリウムでブロックされたブロックイソシアネート基を1分子中に2.5個有する熱反応型ブロックドウレタンであるハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を33.3重量%、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート型の非イオン界面活性剤であるレオドールTW-O320V(花王社製・固形分100%)を5重量%、水を28.4重量%混合し、固形分が25重量%の帯電防止剤(A)を作製した。
【0055】
帯電防止剤(A)において、レオドールTW-O320Vをポリオキシエチレンオレイルエーテルフォスフェート塩型のアニオン性界面活性剤であるフォスファノールRD-720(東邦化学社製・固形分100%)に変更する以外は、帯電防止剤(A)と同様の作製方法(配合重量比率)で3成分を混合して、固形分が25重量%の帯電防止剤(B)を作製した。
【0056】
帯電防止剤(A)において、エレナイトE-14を33.3重量%から1分子中にヒドロキシル基を有するポリアミン樹脂であるSC-505(ハイモ社製・固形分50%)を20重量%に変更し、さらに水を28.4重量%から41.7重量%に変更した以外は、帯電防止剤(A)と同様の作製方法で3成分を混合して、固形分が25重量%の帯電防止剤(C)を作製した。
【0057】
帯電防止剤(B)において、エレナイトE-14を33.3重量%から、SC-505(ハイモ社製・固形分50%)を20重量%に変更し、水を28.4重量%から41.7重量%に変更する以外は、帯電防止剤(B)と同様の作製方法で3成分を混合して、固形分が25重量%の帯電防止剤(D)を作製した。
【0058】
帯電防止剤(A)において、ハイレジンMT-935を亜硫酸水素ナトリウムでブロックされたブロックイソシアネート基を1分子中に2.0個有する熱反応型ブロックドウレタンであるTS-897(高松油脂社製・固形分30%)に変更する以外は、帯電防止剤(A)と同様の作製方法(配合重量比率)で3成分を混合して、固形分が25重量%の帯電防止剤(E)を作製した。
【0059】
比較例を行うにあたり、以下の帯電防止剤(F)〜(P)を調液した。
【0060】
エレナイトE-14(高松油脂社製・固形分30%)を41.6重量%、ハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を41.6重量%、水を16.8重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(F)を作製した。
【0061】
ハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を41.6重量%、レオドールTW-O320V(花王社製・固形分100%)を12.5重量%、水を45.9重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(G)を作製した。
【0062】
エレナイトE-14(高松油脂社製・固形分30%)を33.3重量%、エポキシ当量が141のエポキシ架橋剤であるCAT-31(高松油脂社製・固形分98%)を10.2重量%、レオドールTW-O320V(花王社製・固形分100%)を5重量%、水を51.5重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(H)を作製した。
【0063】
エレナイトE-14(高松油脂社製・固形分30%)を38.3重量%、ハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を6.7重量%、レオドールTW−O320V(花王社製・固形分100%)を11.5重量%、水を43.5重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(I)を作製した。
【0064】
エレナイトE-14(高松油脂社製・固形分30%)を6.7重量%、ハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を38.3重量%、レオドールTW-O320V(花王社製・固形分100%)を11.5重量%、水を43.5重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(J)を作製した。
【0065】
エレナイトE-14(高松油脂社製・固形分30%)を38.3重量%、ハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を38.3重量%、レオドールTW-O320V(花王社製・固形分100%)を2重量%、水を21.4重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(K)を作製した。
【0066】
帯電防止剤(A)におけるレオドールTW-O320Vをポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート型の非イオン界面活性剤であるレオドールTW-S120V(花王社製・固形分100%)に変更する以外は、帯電防止剤(A)と同様の作製方法(配合重量比率)で3成分を混合して、固形分が25重量%の帯電防止剤(L)を作製した。
【0067】
帯電防止剤(A)におけるレオドールTW-O320Vをポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート型の非イオン界面活性剤であるレオドールTW-L106(花王社製・固形分100%)に変更する以外は、帯電防止剤(A)と同様の作製方法(配合重量比率)で3成分を混合して、固形分が25重量%の帯電防止剤(M)を作製した。
【0068】
帯電防止剤(A)におけるレオドールTW-O320Vをポリオキシエチレンラウリルエーテル型の非イオン界面活性剤であるエマルゲン430(花王社製・固形分100%)に変更する以外は、帯電防止剤(A)と同様の作製方法(配合重量比率)で3成分を混合して、固形分が25重量%の帯電防止剤(N)を作製した。
【0069】
1分子中に2個のヒドロキシル基と第3級アミノ基とを共に有するアミン化合物であるナイミーンS-204(日本油脂社製・固形分100%)を10重量%、ハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を33.3重量%、レオドールTW-O320V(花王社製・固形分100%)を5重量%、水を51.7重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(O)を作製した。
【0070】
第4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤であるカチオンAB(日本油脂社製・固形分100%)を10重量%、ハイレジンMT-935(高松油脂社製・固形分30%)を33.3重量%、レオドールTW−O320V(花王社製・固形分100%)を5重量%、水を51.7重量%混合し、固形分が25重量%の比較帯電防止剤(P)を作製した。
【0071】
以上の方法で作製した比較帯電防止剤(F)〜(P)を比較例に用いる帯電防止剤とした。
【0072】
以上の帯電防止剤(A)〜(P)を表1に表す。
【0073】
【表1】

【0074】
実施例、および比較例により本発明の有効性を説明する。しかし、本発明は以下の実施例に制限されることはない。
【実施例1】
【0075】
ポリエステルタフタ、ナイロンタフタを用いて帯電防止剤(A)を下記の処理方法にて浴中処理を行い、帯電防止剤組成物の生地への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
〈処理方法〉
浴中処理浴に用いるポリエステルタフタ、ナイロンタフタの重量を20gとし、処理液の浴比は1:20とした。つまり、帯電防止剤(A)を処理する場合の処理液の重量は400gである。
【0076】
帯電防止剤(A)は、生地重量に対して8%owf(帯電防止剤組成物として2%owf)使用し、処理温度と時間は、60℃×20分で浴中処理を行った。その後、遠心脱水を30秒間行い、室温20℃、湿度40%に調整した室内で浴中処理した生地を24時間乾燥させ、時間帯電防止剤(A)を処理せしめた生地を得た。
【0077】
《帯電防止剤組成物の生地への吸着率》
ポリエステルタフタとナイロンタフタとへの帯電防止剤組成物の吸着率は、浴中処理液の残液透過率を測定し、帯電防止剤成分の吸着率を下記の計算式により算出した。
【0078】

吸着率=( T− T)÷(100 − T)× 100
:生地を入れない場合の処理浴の透過率
:生地を入れた場合の処理浴の透過率

透過率測定条件:ミノルタ社製色差測色計CM-3500dを用いて波長580nmの光線透過率を測定。
【0079】
《摩擦帯電圧の測定条件》
浴中処理によって帯電防止剤組成物が処理された生地の摩擦帯電圧を下記に記載した条件で測定し、洗濯前後の摩擦帯電圧を確認した。

JIS L-1094 B法 ロータリースタテックテスター使用
室温と湿度 20±2℃、40±2%
摩擦布 綿(金巾3号)
洗濯回数 0、10、20回
洗濯条件 JIS L-0217 103法
【実施例2】
【0080】
帯電防止剤(B)を用いて実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【実施例3】
【0081】
帯電防止剤(C)を用いて実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【実施例4】
【0082】
帯電防止剤(D)を用いて実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【実施例5】
【0083】
帯電防止剤(E)を用いて実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0084】
ポリエステルタフタとナイロンタフタとへの帯電防止剤組成物の吸着率を表2、3に表す。
【0085】
帯電防止剤(A)〜(E)を処理したポリエステルタフタとナイロンタフタとの摩擦帯電圧を表4、5に表す。
【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【0090】
実施例1〜5の結果から帯電防止剤(A)〜(E)に含まれる帯電防止剤組成物は、ポリエステルタフタ及びナイロンタフタに対して高い吸着性を示している。
【0091】
以上の結果から、明細書に記載した組成物から成る帯電防止剤(A)〜(E)は、洗濯耐久性に優れた帯電防止性能を繊維に付与せしめることが可能である。
【0092】
(比較例1)
比較帯電防止剤(F)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0093】
(比較例2)
比較帯電防止剤(G)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0094】
(比較例3)
比較帯電防止剤(H)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0095】
(比較例4)
比較帯電防止剤(I)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0096】
(比較例5)
比較帯電防止剤(J)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0097】
(比較例6)
比較帯電防止剤(K)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0098】
(比較例7)
比較帯電防止剤(L)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0099】
(比較例8)
比較帯電防止剤(M)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0100】
(比較例9)
比較帯電防止剤(N)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0101】
(比較例10)
比較帯電防止剤(O)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0102】
(比較例11)
比較帯電防止剤(P)を実施例1と同操作で浴中処理し、実施例1と同方法にて帯電防止剤組成物の処理布への吸着率と摩擦帯電圧とを確認した。
【0103】
ポリエステルタフタとナイロンタフタとへの比較帯電防止剤組成物の吸着率を表6、7に表す。
【0104】
比較帯電防止剤(F)〜(P)を処理したポリエステルタフタとナイロンタフタとの摩擦帯電圧を表8、9に表す。
【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
【表8】

【0108】
【表9】

【0109】
本発明の帯電防止剤(A)〜(E)は、洗濯20回後も優れた帯電防止性能を示したのに対し、比較例の帯電防止剤(F)〜(P)は、処理直後(洗濯回数0回)から帯電防止性能が得られない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アンモニウム塩型のポリマー及び/又はポリアミン樹脂(イ)と、1分子中に2個以上のブロックイソシアネート基を有する熱反応型ブロックドウレタン(ロ)と、オレイル基と2個以上のヒドロキシル基とを共に有する界面活性剤(ハ)とから成ることを特徴とする帯電防止剤組成物。
【請求項2】
第4級アンモニウム塩型のポリマー及び/又はポリアミン樹脂(イ)と、1分子中に2個以上のブロックイソシアネート基を有する熱反応型ブロックドウレタン(ロ)と、オレイル基と2個以上のヒドロキシル基とを共に有する界面活性剤(ハ)とから成る組成物であって、(イ)、(ロ)、(ハ)の固形分重量比率が、10〜80/10〜80/10〜80重量%から成る請求項1に記載の帯電防止剤組成物。
【請求項3】
第4級アンモニウム塩型のポリマー及び/又はポリアミン樹脂が、1分子中にヒドロキシル基、第1級アミノ基及び第2級アミノから選ばれる官能基を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電防止剤組成物。

【公開番号】特開2007−39851(P2007−39851A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227494(P2005−227494)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000169651)高松油脂株式会社 (8)
【Fターム(参考)】