説明

帯電防止剤

【課題】 従来の帯電防止剤では、重合後にポリマーを押出機から押し出し、これをカッティングしてペレット状にする際、カッティング不良を生じ生産性を低下させるという問題があったため、生産性に優れ、熱可塑性樹脂に外観を損なうことなく優れた永久帯電防止性を付与する帯電防止剤を提供する。
【解決手段】 1×106〜1×1013Ωの表面固有抵抗値を有する親水性ブロックポリマーと、示差走査熱量計による結晶化ピーク温度において2〜100mJ/mgの結晶化熱を有するイオン性界面活性剤(B)からなることを特徴とする帯電防止剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止剤に関する。さらに詳しくは、生産性(カッティング性)に優れた帯電防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂に帯電防止性を付与する樹脂組成物としては、界面活性剤の存在下で重合して得られるポリエーテル鎖含有帯電防止剤を熱可塑性樹脂に含有させた樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−146212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の帯電防止剤では、重合後にポリマーを押出機から押し出し、これをカッティングしてペレット状にする際、カッティング不良により多くのペレットが不定形状となり生産性を大きく低下させるという問題があった。
本発明の目的は、生産性(カッティング性)に優れ、かつ熱可塑性樹脂に、優れた永久帯電防止性を付与する帯電防止剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、1×106〜1×1013Ωの表面固有抵抗値を有する親水性ブロックポリ
マー(A)と、示差走査熱量計による結晶化ピーク温度において2〜100mJ/mgの結晶化熱を有するイオン性界面活性剤(B)からなることを特徴とする帯電防止剤;該帯電防止剤を熱可塑性樹脂(C)に含有させてなる帯電防止性樹脂組成物;該組成物を成形してなる成形品;並びに、該成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の帯電防止剤および帯電防止性樹脂組成物は下記の効果を奏する。
(1)該帯電防止剤は生産性(カッティング性)に優れる。
(2)該帯電防止剤は熱可塑性樹脂への分散性に優れ、熱可塑性樹脂に優れた永久帯電防止性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
〔親水性ブロックポリマー(A)〕
本発明における(A)は、1×106〜1×1013(好ましくは1×106〜1×1012Ω)の表面固有抵抗値を有する親水性ブロックポリマーである。(A)の表面固有抵抗値が1×106Ω未満では後述の樹脂組成物の成形性が悪くなり、1×1013Ωを超えると後述の成形品の帯電防止性が悪くなる。
(A)には、下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(A1):ポリアミド(a11)および/またはポリアミドイミド(a12)からなるアミド基含有疎水性ポリマー(a1)、ポリエーテルジオール(b11)および/またはポリエーテルジアミン(b12)からなるポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)および芳香環含有ポリエステル(c1)から構成されるブロックポリマー
(A2):ポリオレフィン(a21)のブロックとポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)のブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合およびウ
レタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー
(A3):ポリアミド(a11)および/またはポリアミドイミド(a12)からなるアミド基含有疎水性ポリマー(a1)、およびポリエーテルジオール(b11)および/またはポリエーテルジアミン(b12)からなるポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)から構成されるブロックポリマー
【0008】
[ブロックポリマー(A1)]
ブロックポリマー(A1)を構成するアミド基含有疎水性ポリマー(a1)は、ポリアミド(a11)および/またはポリアミドイミド(a12)からなる。
ここにおいて疎水性ポリマーとは、1×1014〜1×1017Ωの表面固有抵抗値を有するポリマーのことを意味する。
ポリアミド(a11)としては、アミド形成性モノマーを開環重合または重縮合したものが挙げられる。
アミド形成モノマーとしては、ラクタム(a011)、アミノカルボン酸(a012)、およびジアミン(a013)/ジカルボン酸(a014)が挙げられる。
ラクタム(a011)としては炭素数(以下、Cと略記)6〜12、例えばカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタムおよびウンデカノラクタムが挙げられる。
(a011)の開環重合体としては、例えばナイロン4、−5、−6、−8および−12が挙げられる。
【0009】
アミノカルボン酸(a012)としては、C6〜12、例えばω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸およびこれらの混合物が挙げられる。
(a012)の自己重縮合体としては、例えばω−アミノエナント酸の重縮合によるナイロン7、ω−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11および12−アミノドデカン酸の重縮合によるナイロン12が挙げられる。
【0010】
ジアミン(a013)としては、C2〜40、例えば脂肪族、脂環式および芳香(脂肪)族ジアミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、C2〜40、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミンおよび1,20−エイコサンジアミンが挙げられる。
脂環式ジアミンとしては、C5〜40、例えば1,3−および1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタンおよび2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンが挙げられる。
芳香脂肪族ジアミンとしては、C7〜20、例えばキシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)ベンゼンおよびビス(アミノブチル)ベンゼンが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、C6〜40、例えばp−フェニレンジアミン、2,4−および2,6−トルイレンジアミンおよび2,2−ビス(4,4’−ジアミノフェニル)プロパンが挙げられる。
【0011】
ジカルボン酸(a014)としては、C2〜40のジカルボン酸、例えば脂肪族ジカルボン酸、芳香環含有ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、これらのジカルボン酸の誘導体〔例えば酸無水物、低級(C1〜4)アルキルエステルおよびジカルボン酸塩[アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウム)塩等]〕およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0012】
脂肪族ジカルボン酸としては、C2〜40(帯電防止性の観点から好ましくは4〜20、さらに好ましくは6〜12)、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸が挙げられる。
芳香環含有ジカルボン酸としては、C8〜40(帯電防止性の観点から好ましくは8〜16、さらに好ましくは8〜14)、例えばオルト−、イソ−およびテレフタル酸、2,6−および−2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、トリレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸および5−スルホイソフタル酸アルカリ金属(上記に同じ)塩が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、C5〜40(帯電防止性の観点から好ましくは6〜18、さらに好ましくは8〜14)、例えばシクロプロパンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸およびショウノウ酸が挙げられる。これらのうち帯電防止性の観点から好ましいのは脂肪族ジカルボン酸および芳香環含有ジカルボン酸、さらに好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および3−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
ジカルボン酸誘導体のうち酸無水物としては、上記ジカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸および無水フタル酸;低級(C1〜4)アルキルエステルとしては上記ジカルボン酸の低級アルキルエステル、例えばアジピン酸ジメチルおよびオルト−、イソ−およびテレフタル酸ジメチルが挙げられる。
【0013】
ジアミンとジカルボン酸との重縮合体としては、ヘキサメチレンジアミンと、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸またはドデカン二酸の重縮合による、それぞれナイロン66、−610、−69または−612、およびテトラメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によるナイロン46が挙げられる。
また、共重合ナイロンとしては、ナイロン6/66(アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンのナイロン塩とカプロラクタムの共重合体)およびナイロン6/12(12−アミノドデカン酸とカプロラクタムの共重合体)が挙げられる。
【0014】
上記アミド形成性モノマーのうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、カプロラクタム、12−アミノドデカン酸およびアジピン酸/ヘキサメチレンジアミン、さらに好ましいのはカプロラクタムである。
【0015】
ポリアミド(a11)の製造法としては、上記ジカルボン酸(a014)(C2〜40、好ましくは4〜20)または上記ジアミン(a013)(C2〜40、好ましくは4〜20)の1種またはそれ以上を分子量調整剤として使用し、その存在下に上記アミド形成性モノマーを開環重合あるいは重縮合させる方法が挙げられる。
該C2〜40のジアミンとしては前記(a013)として例示したものが挙げられ、これらのうち他のアミド形成性モノマーとの反応性の観点から好ましいのは脂肪族ジアミン、さらに好ましいのはヘキサメチレンジアミンおよびデカメチレンジアミンである。
該C2〜40のジカルボン酸としては、前記(a014)として例示したものが挙げられ、これらのうち他のアミド形成性モノマーとの反応性の観点から好ましいのは脂肪族ジカルボン酸および芳香環含有ジカルボン酸、さらに好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および3−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
【0016】
上記分子量調整剤の使用量は、アミド形成性モノマーと分子量調整剤合計の重量に基づいて、下限は後述する成形品の帯電防止性の観点から、上限は成形品の耐熱性の観点から、好ましくは2〜80%、さらに好ましくは4〜75%である。
【0017】
ポリアミド(a11)の数平均分子量[以下、Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]は、成形性および帯電防止剤の製造上の観点から好ましくは200〜5,000、さらに好ましくは500〜4,000である。
【0018】
ポリアミドイミド(a12)には、上記アミド形成性モノマーおよび、該アミド形成性
モノマーと少なくとも1個のイミド環を形成しうる3価または4価の芳香族ポリカルボン酸もしくはその無水物[以下、芳香族ポリカルボン酸(無水物)と略記。](以下においてアミドイミド形成性モノマーという場合がある。)からなる重合体、およびこれらの混合物が含まれる。前記ジアミン(a013)およびジカルボン酸(a014)は、重合時の分子量調整剤としても使用できる。
【0019】
上記芳香族ポリカルボン酸(無水物)としては、単環(C9〜12)および多環(C13〜20)カルボン酸、例えば3価[単環(トリメリット酸等)、多環(1,2,5−および2,6,7−ナフタレントリカルボン酸、3,3’,4−ビフェニルトリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,4−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4−トリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4−トリカルボン酸等)、およびこれらの無水物]カルボン酸;および4価[単環(ピロメリット酸等)、多環(ビフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ベンゾフェノン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ジフェニルスルホン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸等)、およびこれらの無水物]カルボン酸が挙げられる。
【0020】
ポリアミドイミド(a12)の製造法としては、ポリアミド(a11)の場合と同様に上記ジカルボン酸(C2〜40)または上記ジアミン(C2〜40)の1種またはそれ以上を分子量調整剤として使用し、その存在下に上記アミドイミド形成性モノマーを開環重合あるいは重縮合させる方法が挙げられる。該ジカルボン酸およびジアミンのうち好ましいのは(a11)の場合と同様である。
上記分子量調整剤の使用量は、アミドイミド形成性モノマーと分子量調整剤合計の重量に基づいて、下限は後述する成形品の帯電防止性の観点から、上限は成形品の耐熱性の観点から、好ましくは2〜80%、さらに好ましくは4〜75%である。
【0021】
(a12)のMnは、成形性および帯電防止剤の製造上の観点から好ましくは200〜5,000、さらに好ましくは500〜4,000である。
【0022】
アミド基含有疎水性ポリマー(a1)のMnは、下限は成形性の観点から、上限は帯電防止剤の製造上の観点から好ましくは200〜5,000、さらに好ましくは500〜4,000、とくに好ましくは1,000〜3,000である。
【0023】
(A1)を構成するポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)は、ポリエーテルジオール(b11)および/またはポリエーテルジアミン(b12)からなる。
ポリエーテルジオール(b11)は、通常少なくとも250(好ましくは250〜3,000、さらに好ましくは350〜2,500、とくに好ましくは400〜2,000)の水酸基当量(水酸基価に基づく、水酸基当りの分子量。以下、OH当量と略記)を有し、(b11)は、活性水素原子含有化合物[250未満のOH当量を有する低分子ジオール(b011)および2価フェノール(b012)にアルキレンオキシド(後述。以下、AOと略記。)を付加反応させることにより得られ、(b11)には下記一般式で示される低分子ジオールもしくは2価フェノールのAO付加物(b111);およびポリオキシアルキレン(b112)が含まれる。

H-(OA1)m-O-E1-O-(A1O)m'-H

[式中、E1は活性水素含有化合物から水酸基を除いた残基、A1はC2〜4のアルキレン基、mおよびm’は(活性水素含有化合物の水酸基1個当たりのAO付加数を表す。m個の(OA1)とm’個の(A1O)とは、同一でも異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合の結合形式はブロックもしくはランダムまたはこれらの組合せのいずれでもよい。mおよびm’は、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100の整数である。また、mとm’とは、同一でも異なっていてもよい。]
【0024】
低分子ジオール(b011)としては、脂肪族2価アルコール[C2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6)のアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−、1,3−、2,3−および1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、2,3−、2,4−、2,5−および3,4−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(以下、それぞれEG、PG、BD、HGおよびNPGと略記。)、2,2−、2,3−、2,4−、2,5−、3,3−および3,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジオールおよび1,12−ドデカンジオール];脂環含有2価アルコール[C5〜12(好ましくは5〜10、さらに好ましくは5〜8)、例えばシクロペンタン−1,2−および1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,2−、1,3−および1,4−ジオール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよび水素添加ビスフェノールA];芳香環含有2価アルコール[C8〜20、例えばキシリレングリコール、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼンおよびビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン];および3級アミノ基含有ジオール〔例えば、C1〜12の脂肪族または脂環式1級モノアミン[メチルアミン、エチルアミン、シクロプロピルアミン、1−プロピルアミン、2−プロピルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、ヘキシルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、2−アミノヘプタン、3−アミノヘプタン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン等]のビスヒドロキシアルキル化物およびC6〜12の芳香族1級モノアミン[アニリン、ベンジルアミン等]のビスヒドロキシアルキル化物]が挙げられる。
(b011)のうち、後述の熱可塑性樹脂(C)に対する(A)の分散性の観点から好ましいのは脂肪族2価アルコール、さらに好ましいのはEGである。
【0025】
2価フェノール(b012)としては、単環2価フェノール(C6〜18、例えばハイドロキノン、カテコール、レゾルシンおよびウルシオール)、ビスフェノール(C12〜20、例えばビスフェノールA、FおよびS、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタンおよびジヒドロキシビフェニル)および縮合多環2価フェノール(ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等)]等が挙げられる。
(b012)のうち後述の熱可塑性樹脂(C)に対する(A)の分散性の観点から好ましいのは、ビスフェノールおよび縮合多環2価フェノール、さらに好ましいのはビスフェノールAである。
【0026】
低分子ジオールもしくは2価フェノールのAO付加物(b111)は、上記活性水素含有化合物にAOを付加反応させることにより製造することができる。AOとしては、C2〜4のAO[エチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキシドおよびこれらの2種以上の併用系]が用いられるが、必要により他のAOまたは置換AO(以下、これらも含めてAOと総称する。)、例えばC5〜12のα−オレフィン、スチレンオキシド、エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)を少しの割合(例えば、全AOの重量に基づいて30%以下)で併用することもできる。2種以上のAOを併用するときの結合形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい。
帯電防止性の観点からAOとして好ましいのは、EO単独およびEOと他のAOとの併用(ブロックおよび/またはランダム付加)である。AOの付加数は、低分子ジオール(b011)もしくは2価フェノール(b012)の水酸基1個当り、通常1〜300、好ましくは2〜250、さらに好ましくは10〜100の整数である。
【0027】
AOの付加は、例えばアルカリ触媒(水酸化カリウム等)の存在下、100〜200℃の温度で行なうことができる。(b111)中のC2〜4のオキシアルキレン単位の含量
は、通常5〜99.8%、好ましくは8〜99.6%、さらに好ましくは10〜98%である。ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン単位の含量は、通常5〜100%、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%、とくに好ましくは60〜100%である。
【0028】
(b111)は1種でも2種以上の混合物でも使用することができる。
これらのうち、帯電防止性の観点から好ましいのは脂肪族2価アルコール、ビスフェノールもしくは縮合多環2価フェノールのAO付加物、さらに好ましいのはEG、ジエチレングリコール(以下、DEGと略記)、PG、BD、ビスフェノールAおよび−S、およびジヒドロキシナフタレンの各AO付加物であり、とくに好ましいのはビスフェノールAおよび−S、およびジヒドロキシナフタレンの各AO付加物である。
【0029】
上記ポリオキシアルキレン(b112)としては、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシヘキサメチレン、変性ポリオキシアルキレンおよびこれらの混合物が挙げられる。
変性ポリオキシアルキレンとしては、C2〜10のアルキレンオキシドのうちの少なくとも2種の付加重合物(付加形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい)が挙げられる。
(b112)のうち、帯電防止性の観点から好ましいのはポリオキシエチレンである。
【0030】
本発明におけるポリエーテルジアミン(b12)としては、(b111)または(b112)の末端水酸基をアミノ基に変性したものが使用できる。
(b111)または(b112)の末端水酸基をアミノ基に変性する方法としては、例えば、(b111)または(b112)の末端水酸基をシアノアルキル化して得られる末端シアノアルキル基を還元してアミノアルキル化する方法[例えば、(b111)または(b112)とアクリロニトリルとを反応させ、得られるシアノエチル化合物を水素添加する方法]等が挙げられる。
【0031】
(b1)のMnは、下限は帯電防止性の観点から、上限は帯電防止剤の製造上の観点から好ましくは300〜5,000、さらに好ましくは1,000〜4,000、とくに好ましくは1,600〜3,000である。
【0032】
(A1)を構成する芳香環含有ポリエステル(c1)としては、前記ジカルボン酸(a014)またはジオールを分子量調整剤として使用し、芳香環を含有する少なくとも1種のエステル形成性モノマーを重縮合させることによって得られる構造のものが使用できる。
該エステル形成性モノマーとしては、ジカルボン酸(c011)とジオール(c012)との組み合わせ、ラクトン(c013)、ヒドロキシカルボン酸(c014)およびこれらの混合物が挙げらる。
【0033】
ジカルボン酸(c011)としては、C2〜40(好ましくは4〜20、さらに好ましくは6〜12)のジカルボン酸が挙げられ、例えば前記(a014)として例示したものおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
これらのうち後述する熱可塑性樹脂(C)への帯電防止剤の分散性の観点から好ましいのは、脂肪族ジカルボン酸では、アジピン酸、セバシン酸、イコサン酸、アジピン酸ジメチル、芳香環含有ジカルボン酸では、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6および2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、3−スルホイソフタル酸ナトリウム、3−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム、2,6および2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、脂環式ジカルボン酸では、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルである。
【0034】
ジオール(c012)としては、C2〜30の低分子ジオール[例えば前記低分子ジオール(b011)として例示したもの]およびポリエーテルジオール[例えば前記ポリエーテルジオール(b11)として例示したもの]が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
これらのうち後述する熱可塑性樹脂(C)への帯電防止剤の分散性の観点から好ましいのは、EG、PG、BD、NPG、HG、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールAのPO付加物、ビスフェノールSのEO付加物、である。
【0035】
ラクトン(c013)としては、C4〜20のラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ピメロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−デカノラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン、ウンデカノラクトンおよびエイコサノラクトンが挙げられる。
【0036】
ヒドロキシカルボン酸(c014)としてはC2〜20のヒドロキシカルボン酸、例えばヒドロキシ酢酸、乳酸、ω−ヒドロキシカプロン酸、ω−ヒドロキシエナント酸、ω−ヒドロキシカプリル酸、ω−ヒドロキシペラルゴン酸、ω−ヒドロキシカプリン酸、11−ヒドロキシウンデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸および20−ヒドロキシエイコサン酸が挙げられる。
【0037】
上記エステル形成性モノマーのうち、後述する熱可塑性樹脂(C)への帯電防止剤の分散性の観点から好ましいのは、ジカルボン酸(c011)/ジオール(c012)の組み合わせでは、テレフタル酸(ジメチル)/[EGおよび/またはBD]、[2,6−および/または−2,7−ナフタレンジカルボン酸(ジメチル)]/[EGおよび/またはBD]、テレフタル酸(ジメチル)/[ビスフェノールAのEO付加物、/ビスフェノールSのEO付加物および/または/ジヒドロキシナフタレンEO付加物]、[2,6−および−2,7−ナフタレンジカルボン酸(ジメチル)]/[ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールSのEO付加物および/またはジヒドロキシナフタレンEO付加物];ラクトン(c013)とジカルボン酸(c011)/ジオール(c012)の組み合わせでは、[ε−カプロラクトンおよび/またはエナントラクトン]/[上記ジカルボン酸/ジオールの組み合わせ];およびヒドロキシカルボン酸(c014)とジカルボン酸(c011)/ジオール(c012)の組み合わせでは、[ω−ヒドロキシカプロン酸および/または11−ヒドロキシウンデカン酸]/[上記ジカルボン酸/ジオールの組み合わせ]、さらに好ましいのはジカルボン酸(c011)/ジオール(c012)の組み合わせ、とくに好ましいのはテレフタル酸(ジメチル)/[ビスフェノールAのEO付加物および/またはビスフェノールSのEO付加物]、[2,6および2,7−ナフタレンジカルボン酸(ジメチル)]/[ビスフェノールAのEO付加物および/またはビスフェノールSのEO付加物]である。
【0038】
分子量調整剤としてのジカルボン酸としては、C2〜40(好ましくは4〜20)のジカルボン酸、例えば前記の(a014)において例示したものが挙げられ、これらのうちエステル形成性モノマーとの反応性の観点から好ましいのは脂肪族ジカルボン酸および芳香環含有ジカルボン酸、さらに好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムおよび2,6−ナフタレンジカルボン酸である。
分子量調整剤としてのジオールとしては、前記低分子ジオール(b011)として例示したものが挙げられ、これらのうちエステル形成性モノマーとの反応性の観点から好ましいのはEG、PG、BD、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールAのPO付加物、ビスフェノールSのEO付加物、ジヒドロキシナフタレンのEO付加物である。
である。
上記分子量調整剤の使用量は、エステル形成性モノマーと分子量調整剤合計の重量に基づいて、下限は後述する熱可塑性樹脂(C)への帯電防止剤の分散性の観点から、上限は帯電防止性の観点から、好ましくは2〜80%、さらに好ましくは4〜75%である。
【0039】
(c1)のMnは、下限は後述する熱可塑性樹脂(C)への帯電防止剤の分散性の観点から、上限は帯電防止剤の製造上の観点から、好ましくは300〜6,000、さらに好ましくは1,000〜5,000、とくに好ましくは1,600〜4,000である。
【0040】
ブロックポリマー(A1)を構成する(a1)、(b1)および(c1)の合計重量に基づく(a1)の割合は、下限は後述する熱可塑性樹脂(C)への帯電防止剤の分散性の観点から、上限は帯電防止性の観点から好ましくは10〜80%、さらに好ましくは25〜65%;(b1)の割合は、下限は帯電防止性の観点から、上限は熱可塑性樹脂(C)の透明性の観点から好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜60%;および(c1)の割合は、下限は熱可塑性樹脂(C)の透明性の観点から、上限は熱可塑性樹脂(C)への帯電防止剤の分散性の観点から好ましくは5〜60%、さらに好ましくは10〜45%である。
【0041】
ブロックポリマー(A1)の製造法としては、具体的には下記製造法[1]、[2]および[3]が挙げられるが、特に限定されるものではない。
製造法[1] アミド形成性モノマーとジカルボン酸(分子量調整剤)を高温(160〜270℃)、加圧(0.1〜1MPa)下で反応させてアミド基含有疎水性ポリマー(a1)を形成させる。一方でエステル形成性モノマーとジカルボン酸またはジオール(分子量調整剤)を高温(160〜270℃)、減圧下(0.03〜3kPa)で反応させて芳香環含有ポリエステル(c1)を形成させ、これに(a1)およびポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)を加えて、高温(160〜270℃)、減圧下(0.03〜3kPa)で重合反応を行う方法。
製造法[2] エステル形成性モノマーとジカルボン酸またはジオール(分子量調整剤)を高温(160〜270℃)、減圧下(0.03〜3kPa)で反応させて(c1)を形成させ、これにアミド形成性モノマーとジカルボン酸(分子量調整剤)と(b1)の一部を同時に反応槽に仕込み、水の存在下または非存在下に、高温(160〜270℃)、加圧(0.1〜1MPa)下で反応させることによってポリアミド中間体を生成させ、その後減圧下(0.03〜3kPa)で残りの(b1)との重合反応を行う方法。
製造法[3] アミド形成性モノマーとジカルボン酸(分子量調整剤)を高温(160〜270℃)、加圧(0.1〜1MPa)下で反応させて(a1)を形成させ、これにエステル形成性モノマーとジカルボン酸またはジオール(分子量調整剤)と(b1)を同時に反応槽に仕込み、高温(160〜270℃)、減圧下(0.03〜3kPa)で重合反応を行う方法。
上記製造法のうち、反応制御の観点から好ましいのは製造法[1]である。
【0042】
上記製造法における重合反応のうち、ポリエステル化反応に際しては、エステル化触媒が使用できる。該触媒としては、アンチモン化合物(例えば三酸化アンチモン)、スズ化合物(例えばモノブチルスズオキシド)、チタン化合物(例えばテトラブチルチタネート)、ジルコニウム化合物(例えばテトラブチルジルコネート)、有機酸金属塩[ジルコニ
ウム有機酸塩(酢酸ジルコニル等)、酢酸亜鉛等]、およびこれらの2種以上の混合物等
が挙げられる。
該触媒の使用量は、(a1)、(b1)および(c1)の合計重量に基づいて、反応性
および、成形品の樹脂物性の観点から好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.2〜3%である。
【0043】
(A1)のMnは、成形性および帯電防止剤の製造上の観点から好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは5,000〜80,000である。
【0044】
[ブロックポリマー(A2)]
ブロックポリマー(A2)は、ポリオレフィン(a21)のブロックと、ポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合およびウレタン結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマーである。
(a21)と(a22)の合計重量に基づく(a22)の割合は、(A2)の帯電防止性と耐熱性の観点から、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。
(A2)を構成する(a21)のブロックとしては、カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a211)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a212)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a213)およびイソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a214)等が使用できる。
【0045】
(a211)としては、両末端に変性可能なポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン(a210)の両末端にカルボニル基を導入したものが用いられる。
(a212)としては、(a210)の両末端に水酸基を導入したものが用いられる。
(a213)としては、(a210)の両末端にアミノ基を導入したものが用いられる。
(a214)としては、(a212)の両末端にイソシアネート基を導入したものが用いられる。
(a210)は、通常、両末端に変性可能なポリオレフィン、片末端に変性可能なポリオレフィンおよび変性可能な末端基を持たないポリオレフィンの混合物であるが、主成分として両末端に変性可能なポリオレフィンが含有していれば使用できる。
(a210)の主成分となる両末端に変性可能なポリオレフィンの含量は、(a210)の重量に基づいて、50〜100%が好ましく、さらに好ましくは75〜100%、特に好ましくは80〜100%である。
【0046】
(a210)には、C2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のオレフィンの1種または2種以上の混合物の(共)重合(重合または共重合を意味する。以下同様。)によって得られるポリオレフィン(重合法)および減成されたポリオレフィン[高分子量ポリオレフィン(好ましくはMn50,000〜150,000)を機械的、熱的および化学的に減成してなるもの](減成法)が含まれる。カルボニル基、水酸基またはアミノ基を導入する変性のしやすさおよび入手のしやすさの観点から好ましいのは、減成されたポリオレフィン、とくに熱減成されたポリオレフィンである。
熱減成されたポリオレフィンは特に限定されないが、高分子量ポリオレフィンを不活性ガス中で加熱する(通常300〜450℃で0.5〜10時間)ことにより熱減成されたもの(例えば特開平3−62804号公報記載のもの)が挙げられる。
該熱減成法に用いられる高分子量ポリオレフィンとしては、C2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のオレフィンの1種または2種以上の混合物の(共)重合体等が使用できる。C2〜30のオレフィンとしては、後述のポリオレフィン(重合法)製造に用いられるものと同じものが使用でき、これらのうち好ましいのはエチレン、プロピレンおよびC4〜12のα−オレフィン、さらに好ましいのはエチレン、プロピレンおよびC4〜10のα−オレフィン、特に好ましいのはエチレンおよびプロピレンである。
【0047】
上記ポリオレフィン(重合法)の製造に用いられるC2〜30のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、C4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィンおよびC4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエンが用いられる。
α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセン等が挙げられる。
ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエンおよび1,11−ドデカジエン等が挙げられる。
これらのうち、エチレン、プロピレン、C4〜12のα−オレフィン、ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、さらに好ましいのはエチレン、プロピレン、C4〜10のα−オレフィンおよびブタジエン、特に好ましいのはエチレン、プロピレンおよびブタジエンである。
【0048】
重合法によって得られるポリオレフィンは種々の方法で製造でき、例えば、ラジカル触媒、金属酸化物触媒、Ziegler触媒またはZiegler−Natta触媒存在下で(共)重合反応させる方法等により容易に得ることができる。
ラジカル触媒としては、種々のものが使用でき、例えば、有機過酸化物(ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、デカノールパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートエステル等)、アゾ化合物(アゾニトリル、アゾアミジン、アゾアミド化合物)およびγ−アルミナ担体に酸化モリブデンを付着させたものが挙げられる。
金属酸化物触媒としては、シリカ−アルミナ担体に酸化クロムを付着させたもの等が挙げられる。Ziegler触媒またはZiegler−Natta触媒としては、(C2
53Al−TiCl4等が挙げられる。
【0049】
両末端に変性可能なポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン(a210)のMnは、好ましくは800〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,200〜6,000である。Mnがこの範囲であると帯電防止性がさらに良好になる。
(a210)中の二重結合の量は、1,000炭素当たり、1〜40個が好ましく、さらに好ましくは2〜30個、特に好ましくは4〜20個である。二重結合の量がこの範囲であると帯電防止性がさらに良好になる。
1分子当たりの二重結合の平均数は、1.1〜5.0が好ましく、さらに好ましくは1.3〜3.0、特に好ましくは1.5〜2.5、最も好ましくは1.8〜2.2である。二重結合の平均数がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
熱減成法によると、Mnが800〜6,000の範囲で、一分子当たりの平均末端二重結合量が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られる〔村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、192頁(1975)〕。
【0050】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a211)としては、(a210)の末端をα、β不飽和カルボン酸(無水物)(α,β−不飽和カルボン酸、そのC1〜4のアルキルエステルまたはその無水物を意味する。以下、同様。)で変性した構造を有するポリオレフィン(a211−1)、(a211−1)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a211―2)、(a210)を酸化またはヒドロホルミル化による変性をした構造を有するポリオレフィン(a211
−3)、(a211―3)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a211―4)およびこれらの2種以上の混合物等が使用できる。
【0051】
(a211−1)は、(a210)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)により変性
することにより得ることができる。
変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、これらのアルキル(C1〜4)エステルおよびこれらの無水物が使用でき、例えば(メタ)アクリル酸(アクリル酸またはメタアクリル酸を意味する。以下同じ。)、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、マレイン酸(無水物)、マレイン酸ジメチル、フマル酸、イタコン酸(無水物)、イタコン酸ジエチルおよびシトラコン酸(無水物)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ジカルボン酸、これらのアルキルエステルおよびこれらの無水物、さらに好ましいのはマレイン酸(無水物)およびフマル酸、特に好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
【0052】
変性に使用するα、β−不飽和カルボン酸(無水物)の量は、ポリオレフィン(a210)の重量に基づき、好ましくは0.5〜40%、さらに好ましくは1〜30%、特に好ましくは2〜20%である。α、β−不飽和カルボン酸(無水物)の量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)による変性は、種々の方法で行うことができ、例えば、(a210)の末端二重結合に、溶液法または溶融法のいずれかの方法で、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を熱的に付加(エン反応)させることにより行うことができる。(a210)にα,β−不飽和カルボン酸(無水物)を反応させる温度は、通常170〜230℃である。
【0053】
(a211−2)は、(a211−1)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。
二次変性に用いるラクタムとしては、C6〜12(好ましくは6〜8、さらに好ましくは6)のラクタム等が使用でき、例えば、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタムおよびウンデカノラクタム等が挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、C2〜12(好ましくは4〜12、さらに好ましくは6〜12)のアミノカルボン酸等が使用でき、例えば、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
これらのうち、カプロラクタム、ラウロラクタム、グリシン、ロイシン、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸が好ましく、さらに好ましくはカプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸、特に好ましくはカプロラクタムおよび12−アミノドデカン酸である。
二次変性に用いるラクタムまたはアミノカルボン酸の量は、α、β不飽和カルボン酸(無水物)のカルボキシル基1個当たり、好ましくは0.1〜50個、さらに好ましくは0.3〜20個、特に好ましくは0.5〜10個、最も好ましくは1〜2個である。この量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
【0054】
(a211−3)は、(a210)を酸素および/もしくはオゾンによる酸化法またはオキソ法によるヒドロホルミル化によりカルボニル基を導入することにより得ることができる。
酸化法によるカルボニル基の導入は、公知の方法で行うことができ、例えば、米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。
ヒドロホルミル化によるカルボニル基の導入は、公知の方法で行うことができ、例えば、Macromolecules、Vol.31、5943頁記載の方法で行うことができる。
(a211−4)は、(a211−3)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。
ラクタムおよびアミノカルボン酸およびこれらの好ましい範囲は、(a211−2)の製造で使用できるものと同じである。ラクタムおよびアミノカルボン酸の使用量も同じである。
【0055】
(a211)のMnは、耐熱性およびポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)との反応性の観点から、好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。
また、(a211)の酸価は、(a22)との反応性の観点から、好ましくは4〜280(mgKOH/g。以下においては数値のみを記載する。)、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0056】
水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a212)としては、(a211)をヒドロキシルアミンで変性したヒドロキシル基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
変性に使用できるヒドロキシルアミンとしては、C2〜10(好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4)のヒドロキシルアミン等が挙げられ、例えば、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノールおよび3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノールが挙げられる。
これらのうち、好ましいのは2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノールおよび6−アミノヘキサノール、さらに好ましいのは2−アミノエタノールおよび4−アミノブタノール、特に好ましいのは2−アミノエタノールである。
ヒドロキシルアミンによる変性は、種々の方法で行うことができ、例えば、(a211)とヒドロキシルアミンとを直接反応させることにより行うことができる。反応温度は、通常120℃〜230℃である。
【0057】
変性に用いるヒドロキシルアミンの量は、α、β不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり、好ましくは0.1〜2個、さらに好ましくは0.3〜1.5個、特に好ましくは0.5〜1.2個、最も好ましくは1個である。ヒドロキシルアミンの量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
(a212)のMnは、耐熱性およびポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)との反応性の観点から、好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。
また、(a212)の水酸基価は、(a22)との反応性の観点から、好ましくは4〜280(mgKOH/g。以下においては数値のみを記載する。)、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0058】
アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a213)としては、(a211)をジアミン(Q1)で変性したアミノ基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
この変性に用いるジアミン(Q1)としては、C2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6)のジアミン等が使用でき、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンおよびデカメチレンジアミン等が挙げられる。
これらのうち、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミンおよびオクタメチレンジアミンが好ましく、さらに好ましいのはエチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン、特に好ましいのはエチレンジアミンである。
ジアミンによる変性は、公知の方法で行うことができ、例えば、(a211)とジアミン(Q1)とを直接反応させることにより行うことができる。反応温度は、通常120℃〜230℃である。
【0059】
変性に用いるジアミンの量は、α、β不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり、0.1〜2個が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.5個、さらに好ましくは0.5〜1.2個、特に好ましくは1個である。ジアミンの量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
なお、実際の製造に当たっては、ポリアミド(イミド)化を防止するため、α、β不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり、2〜1,000個、さらに好ましくは5〜800個、特に好ましくは10〜500個のジアミンを使用し、未反応の過剰ジアミンを減圧下で(通常120℃〜230℃)除去することが好ましい。
【0060】
(a213)のMnは、耐熱性および後述するポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)との反応性の観点から、800〜25,000が好ましく、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。
また、(a213)のアミン価は、(a22)との反応性の観点から、4〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)が好ましく、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0061】
イソシアネート基を両末端に有するポリオレフィン(a214)としては、前記、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a212)をジイソシアネートで変性し両末端にイソシアネート基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種類以上の混合物が使用できる。ジイソシアネートとしては、C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、C2〜18の脂肪族ジイソシアネート、C4〜15の脂環式ジイソシアネート、C8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0062】
上記芳香族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0063】
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
【0064】
上記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0065】
上記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
【0066】
また、上記ジイソシアネートの変性体としては、ウレタン変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体などが挙げられる。これらのうち、好ましいのはTDI、MDIおよびHDI、さらに好ましいのはHDIである。
【0067】
(a212)とジイソシアネートとの反応は通常のウレタン化反応と同様の方法で行うことができる。
イソシアネート変性ポリオレフィンを形成する際の、ジイソシアネートと(a212)との当量比(NCO/OH比)は、通常1.8/1〜3/1、好ましくは2/1である。
反応を促進するために必要によりウレタン化反応に通常用いられる触媒を使用してもよい。このような触媒としては、金属触媒、例えば錫触媒(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンマレエート等);鉛触媒(オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛等);その他の金属触媒[ナフテン酸コバルト等のナフテン酸金属塩、フェニル水銀プロピオン酸塩等];およびアミン触媒、例えばトリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン、ジアザビシクロアルケン{1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7〔DBU(サンアプロ(株)製、登録商標)〕等];ジアルキル(C1〜3)アミノアルキル(C2〜8)アミン[ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノオクチルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン等]または複素環式アミノアルキル(C1〜3)アミン[2−(1−アジリジニル)エチルアミン、4−(1−ピペリジニル)−2−ヘキシルアミン等]の炭酸塩および有機酸(ギ酸等)塩等;N−アルキル(C1〜3、例えばメチル、エチル)モルホリン、トリアルキル(C1〜3、例えばエチル、プロピル)アミン、ジアルキル(C1〜3)アルカノール(C2〜4)アミン(ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等);およびこれらの2種以上の併用系が挙げられる。
上記触媒の使用量は、ジイソシアネートと(a212)の合計重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.001〜2%である。
【0068】
(a214)のMnは、耐熱性およびポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)との反応性の観点から、好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。
【0069】
(A2)を構成するポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)としては、前記ポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)、(b1)の変性物およびそれらの混合物が挙げられる。以下においてポリエーテルジオール(b11)およびポリエーテルジアミン(b12)を、それぞれポリエーテルジオール(a221)およびポリエーテルジアミン(a222)と称することがある。
【0070】
上記変性物としては、例えば、(a221)または(a222)のアミノカルボン酸変性物(末端アミノ基)、同イソシアネート変性物(末端イソシアネート基)および同エポキシ変性物(末端エポキシ基)が挙げられる。
アミノカルボン酸変性物は、(a221)または(a222)と、アミノカルボン酸またはラクタムとを反応させることにより得ることができる。
イソシアネート変性物は、(a221)または(a222)と、前記ジイソシアネートとを反応させるか、(a222)とホスゲンとを反応させることにより得ることができる。
エポキシ変性物は、(a221)または(a222)と、ジエポキシド(エポキシ当量85〜600、例えばジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、脂環式ジエポキシド)とを反応させるか、(a221)とエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)とを反応させることにより得ることができる。
【0071】
ブロックポリマー(A2)は、種々の方法で製造でき、例えば、カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a211)に、ポリエーテルジオール(a221)を加えて減圧下通常200〜250℃で重合(重縮合)反応を行う方法により製造することができる。あるいは、一軸または二軸の押出機を用いて、減圧下通常、160〜250℃、滞留時間0.1〜20分で重合する方法により製造することができる
上記製造法における重合反応のうち、ポリエステル化反応に際しては、前記(A1)におけるものと同じエステル化触媒が使用できる。
触媒の使用量は、(a211)と(a221)の合計重量に対して、通常0.001〜5%である。
【0072】
[ブロックポリマー(A3)]
ブロックポリマー(A3)を構成するアミド基含有疎水性ポリマー(a1)およびポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)は、前記(A1)におけるものと同じである。
ブロックポリマー(A3)の製造法としては、下記[1]、[2]が挙げられるが、特に限定されるものではない。
製造法[1] アミド形成性モノマーとジカルボン酸(分子量調整剤)を反応させて(a1)を形成させ、これにポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)を加えて、高温(160〜270℃)、減圧下(0.03〜3kPa)で重合させる方法。
製造法[2] アミド形成性モノマーおよびジカルボン酸(分子量調整剤)と(b1)の一部を同時に反応槽に仕込み、水の存在下または非存在下に、高温(160〜270℃)で加圧(0.1〜1MPa)反応させることによってポリアミド中間体(a1)を生成させ、その後減圧下(0.03〜3kPa)で残りの(b1)と重合させる方法。
上記製造法のうち、反応制御の観点から好ましいのは製造法[1]である。
【0073】
上記製造法における重合反応のうち、ポリエステル化反応に際しては、前記(A1)および(A2)におけるものと同じエステル化触媒が使用できる。
該触媒の使用量は、(a1)および(b1)の合計重量に基づいて、反応性および、成形品の樹脂物性の観点から好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.2〜3%である。
【0074】
[界面活性剤(B)]
本発明における(B)は、示差走査熱量計による結晶化ピーク温度において2〜100(好ましくは2〜50、さらに好ましくは2〜25、とくに好ましくは2〜20、最も好ましくは2〜10)mJ/mgの結晶化熱を有する界面活性剤である。
ここにおける結晶化熱は、結晶化ピーク温度が1点の場合はその温度における結晶化熱のみを指し、結晶化ピーク温度が複数存在する場合は各温度における結晶化熱を合計したものを指す。
結晶化熱が2mJ/mg未満では、カッティング性が悪くなり、100mJ/mgを超えると帯電防止性が悪くなる。
結晶化ピーク温度は、カッティング(生産性)の観点から好ましくは0℃以上、さらに好ましくは5℃以上、また、好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
ここにおいて測定に用いられる示差走査熱量計(DSC)としては、例えばDSC2910[商品名、ティー・エイ・インスツルメント(株)製]が挙げられ、本発明における結晶化熱は該示差走査熱量計を用い、JIS K7122記載の転移熱測定法に準じて、下記条件で測定して得られる値である。
[測定条件]
試料をJIS K 7100記載の標準温度状態2級および標準湿度状態2級において24時間以上状態調節した後、約5mg秤量し、加熱速度毎分10℃で250℃まで加熱し、10分保持した後、冷却速度毎分10℃で−50℃まで冷却する。得られたDSC曲線から、冷却による転移熱(結晶化熱)を求める。
【0075】
(B)には、(B1)アニオン性、(B2)カチオン性、(B3)両性の界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
アニオン性界面活性剤(B1)には、疎水基部分が直鎖の、カルボン酸(例えばC8〜24の飽和または不飽和脂肪酸およびエーテルカルボン酸)およびその塩;硫酸エステル塩〔例えば高級アルコール硫酸エステル塩(例えばC8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩[例えばC8〜18の脂肪族アルコールのEO(1〜10モル)付加物の硫酸エステル塩]〕;スルホン酸塩[C10〜20、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、ハイドロカーボン(例えばアルカン、α−オレフィン)スルホン酸塩およびイゲポンT型];およびリン酸エステル塩[例えば高級アルコール(C8〜60)EO付加物リン酸エステル塩およびアルキル(C4〜60)フェノールEO付加物リン酸エステル塩]等が含まれる。
【0076】
カチオン性界面活性剤(B2)には、疎水基部分が直鎖の、第4級アンモニウム塩型〔例えばテトラアルキル(C11〜100)アンモニウム塩(例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイドおよびステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド)、トリアルキル(C10〜80)ベンジルアンモニウム塩[例えばラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)]、アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩(例えばセチルピリジニウムクロライド)およびサパミン型第4級アンモニウム塩(例えばステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート)〕;およびアミン塩型[例えば高級脂肪族アミン(C12〜60、例えばラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミンおよびロジンアミン)の無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩または有機酸(C2〜22、例えば酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン酸およびアゼライン酸)塩、高級脂肪族アミン(C12〜30)のEOエチレンオキシド付加物などの無機酸(上記のもの)塩または有機酸(上記のもの)塩]が含まれる。
【0077】
両性界面活性剤(B3)には、疎水基部分が直鎖の、アミノ酸型両性界面活性剤[例えば高級アルキル(C8〜24)アミンのプロピオン酸塩]、ベタイン型両性界面活性剤[
例えば高級アルキル(C8〜24)ジメチルベタイン、高級アルキル(C8〜24)ジヒドロキシエチルベタイン]、硫酸エステル塩型両性界面活性剤[例えば高級アルキル(C8〜24)アミンの硫酸エステル塩およびヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル塩]、スルホン酸塩型両性界面活性剤(例えばペンタデシルスルホタウリン塩およびイミダゾリンスルホン酸塩)およびリン酸エステル塩型両性界面活性剤[例えばグリセリン高級脂肪酸(C8〜24)エステル化物のリン酸エステル塩]が含まれる。
【0078】
上記の(B1)、(B3)の塩としては、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)塩、IIB族金属(亜鉛等)塩、アンモニウム塩、アルキルアミン(C1〜20)塩およびアルカノールアミン(C2〜12、例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)塩が挙げられる。
【0079】
これらの(B)は単独でも2種以上を併用してもいずれでもよい。
これらのうちカッティング性および帯電防止性の観点から好ましいのはアニオン性界面活性剤、さらに好ましいのはスルホン酸塩、とくに好ましいのはアルキルベンゼン(C12〜24)スルホン酸塩(直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、アルキル(C8〜24)スルホン酸塩およびハイドロカーボン(例えばアルカン、α−オレフィン)スルホン酸塩である。
【0080】
[帯電防止剤]
本発明の帯電防止剤は、前記親水性ブロックポリマー(A)と、上記界面活性剤(B)からなる。
(A)と(B)の重量比は、帯電防止性およびカッティング性の観点から好ましくは99.9/0.1〜80/20、さらに好ましくは99.5/0.5〜90/10である。
本発明の帯電防止剤の製造方法には、(B)の存在下で(A)を製造する方法、および(A)に(B)を後添加する方法が含まれる。(B)の(A)への分散性の観点から好ましいのは(B)の存在下で(A)を製造する方法である。
(B)の存在下で(A)を製造する方法において、(B)を(A)の製造時に含有させるタイミングは特に限定はなく、重合前および/または重合中のいずれでもよいが重合前の原料に含有させておくのが好ましい。
【0081】
[帯電防止性樹脂組成物]
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、上記帯電防止剤を熱可塑性樹脂(C)に含有させてなるものである。
(C)としては、ポリフェニレンエーテル樹脂(C1);ビニル樹脂〔ポリオレフィン樹脂(C2)[例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂]、ポリアクリル樹脂(C3)[例えばポリメタクリル酸メチル]、ポリスチレン樹脂(C4)[ビニル基含有芳香族炭化水素単独またはビニル基含有芳香族炭化水素と、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを構成単位とする共重合体、例えばポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)]等〕;ポリエステル樹脂(C5)[例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート];ポリアミド樹脂(C6)[例えばナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12];ポリカーボネート樹脂(C7
)[例えばポリカーボネート、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂];ポリアセタール樹脂(C8)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0082】
これらのうち、後述する成形品の機械特性および本発明の帯電防止剤の(C)への分散性の観点から好ましいのは、(C1)、(C2)、(C3)、(C4)、(C7)、さらに好ましいのは(C2)、(C4)、(C7)である。
【0083】
本発明の帯電防止剤と(C)の重量比は、成形品の帯電防止性および機械特性の観点から、好ましくは1/99〜30/70、さらに好ましくは5/95〜15/85である。
【0084】
ポリフェニレンエーテル樹脂(C1)としては、例えば、ポリ(1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジブロモ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
また、これらの(C1)に前記のスチレンおよび/またはその誘導体のモノマーをグラフトしたもの(変性ポリフェニレンエーテル)も(C1)に含まれる。
【0085】
ビニル樹脂[(C2)〜(C4)]としては、以下のビニルモノマーを種々の重合法(ラジカル重合法、チーグラー触媒重合法、メタロセン触媒重合法等)により(共)重合させることにより得られるものが挙げられる。
【0086】
ビニルモノマーとしては、不飽和炭化水素(脂肪族炭化水素、芳香環含有炭化水素、脂環式炭化水素等)、アクリルモノマー、その他の不飽和モノ−およびジカルボン酸およびその誘導体、不飽和アルコールのカルボン酸エステル、不飽和アルコールのアルキルエーテル、ハロゲン含有ビニルモノマー並びにこれらの2種以上の組合せ (ランダムおよび
/またはブロック)等が挙げられる。
【0087】
脂肪族炭化水素としては、C2〜30のオレフィン[エチレン、プロピレン、 C4〜
30のα−オレフィン(1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、 1−ペンテン、1−
オクテン、1−デセン、1−ドデセン等)等]、C4〜30のジエン[アルカジエン(ブタジエン、イソプレン等)、シクロアルカジエン(シクロペンタジエン等)等]等が挙げられる。
【0088】
芳香環含有炭化水素としては、C8〜30の、スチレンおよびその誘導体 、例えばo
−、m−およびp−アルキル(C1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(C1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)およびハロゲン化スチレン(クロロスチレン等)が挙げられる。
【0089】
アクリルモノマーとしては、C3〜30、例えば(メタ)アクリル酸およびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸の誘導体としては、例えばアルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリ レート、ブチル(メタ)
アクリレート等]、モノ−およびジ−アルキル(C1〜4)アミノアルキル(C2〜4)
(メタ)アクリレート[メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ ート等]、(メタ)アクリロニトリルおよび(メタ)アクリルアミ
ドが挙げられる。
【0090】
その他の不飽和モノ−およびジカルボン酸としては、C2〜30(好ましくは3〜20、さらに好ましくは4〜15)の不飽和モノ−およびジカルボン酸、例えば、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸等が挙げられ、その誘導体としては、C5〜30、例えばモノ−およびジアルキル(C1〜20)エステル、酸無水物(無水マレイン酸等)および酸イミド(マレイン酸イミド等)等が挙げられる。
【0091】
不飽和アルコールのカルボン酸エステルとしては、不飽和アルコール[C2〜6、例えばビニルアルコール 、(メタ)アリルアルコール]のカルボン酸(C2〜4、例えば酢
酸、プロピオン酸)エステル(酢酸ビニル等)が挙げられる。
不飽和アルコールのアルキルエーテルとしては、上記不飽和アルコールのアルキル(C1〜20)エーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等)が挙げられる。ハロゲン含有ビニルモノマーとしては、C2〜12、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン
およびクロロプレンが挙げられる。
【0092】
ポリオレフィン樹脂(C2)としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体[共重合比(重量比)=0.1/99.9〜99.9/0.1]、プロピレンおよび/またはエチレンと他のα−オレフィン(C4〜12)の1種以上との共重合体(ランダムおよび/またはブロック付加)[共重合比(重量比)=99/1〜5/95]、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]、エチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレンおよび/またはエチレンとC4〜12のα−オレフィンの1種以上との共重合体[共重合比(重量比)=90/10〜10/90、ランダムおよび/またはブロック付加]である。
【0093】
(C2)のメルトフローレート(以下MFRと略記)は、樹脂物性、帯電防止性付与の観点から好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。MFRは、JIS K6758に準じて(ポリプロピレンの場合:230℃、荷重2.16kgf、ポ
リエチレンの場合:190℃、荷重2.16kgf)測定される。
(C2)の結晶化度は、帯電防止性の観点から好ましくは0〜98%、さらに好ましくは0〜80%、とくに好ましくは0〜70%である。
結晶化度は、X線回折、赤外線吸収スペクトル等の方法によって測定される〔「高分子の固体構造−高分子実験学講座2」(南篠初五郎)、42頁、共立出版1958年刊参照〕。
【0094】
ポリアクリル樹脂(C3)としては、例えば前記アクリルモノマー〔アルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等〕の1種以上の(共)重合体[ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等]およびこれらのモノマーの1種以上と共重合可能な前記ビニルモノマーの1種以上との共重合体[アクリルモノマー/ビニルモノマー共重合比(重量比)は樹脂物性の観点から好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは50/50〜90/10][但し、(C2)に含まれるものは除く]が含まれる。
【0095】
(C3)のMFRは、樹脂物性の観点から好ましくは0.5〜150、さらに好まし
くは1〜100である。MFRは、JIS K7210(1994年)に準じて(ポリア
クリル樹脂の場合は230℃、荷重1.2kgf)測定される。
【0096】
ポリスチレン樹脂(C4)としては、ビニル基含有芳香族炭化水素単独またはビニル基含有芳香族炭化水素と、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを構成単位とする共重合体が挙げられる。
ビニル基含有芳香族炭化水素としては、C8〜30の、スチレンおよびその誘導体 、
例えばo−、m−およびp−アルキル(C1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(C1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)およびハロゲン化スチレン(クロロスチレン等)が挙げられる。
(C4)の具体例としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)[共重合比(重量比)=70/30〜80/20]、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)[共重合比(重量比)=60/40〜90/10]、スチレン/ブタジエン共重合体[共重合比(重量比)=60/40〜95/5]、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)[共重合比(重量比)=(20〜30)/(5〜40)/(40〜70)]、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)[共重合比(重量比)=(20〜30)/(5〜40)/(40〜70)]等が挙げられる。
【0097】
(C4)のMFRは、樹脂物性、帯電防止性の観点から好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。MFRは、JIS K6871(1994年)に準じて(ポリスチレン樹脂の場合は230℃、荷重1.2kgf)測定される。
【0098】
ポリエステル樹脂(C5)としては、芳香環含有ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど)および脂肪族ポリエステル(ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトンなど)が挙げられる。
【0099】
(C5)の固有粘度[η]は、樹脂物性、帯電防止性の観点から好ましくは0.1〜4、さらに好ましくは0.2〜3.5、とくに好ましくは0.3〜3である。[η]はポリマーの0.5重量%オルトクロロフェノール溶液について、25℃でウベローデ1A粘度計を用いて測定される。
【0100】
ポリアミド樹脂(C6)としては、ラクタム開環重合体(C61)、ジアミンとジカルボン酸の脱水重縮合体(C62)、アミノカルボン酸の自己重縮合体(C63)およびこれらの重(縮)合体を構成するモノマー単位が2種類以上である共重合ナイロンなどが挙げられる。
【0101】
(C61)におけるラクタムとしては、前記(a011)で例示したものが挙げられ、(C61)としては、ナイロン4、−5、−6、−8、−12等が挙げられる。
(C62)におけるジアミンとジカルボン酸としては、前記(a013)、(a014)で例示したものが挙げられ、(C62)としては、ヘキサンメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610等が挙げられる。
(C63)におけるアミノカルボン酸としては、前記(a012)で例示したものが挙げられ、(C63)としては、アミノエナント酸の重縮合によるナイロン7、ω−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、12−アミノドデカン酸の重縮合によるナイロン12等が挙げられる。
【0102】
(C6)の製造に際しては、分子量調整剤を使用してもよく、分子量調整剤としては、
前記(a013)、(a014)で例示したジアミンおよび/またはジカルボン酸が挙げられる。
分子量調整剤としてのジカルボン酸のうち、好ましいのは脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および3−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩であり、さらに好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および3−スルホイソフタル酸ナトリウムである。また、分子量調整剤としてのジアミンのうち、好ましいのはヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンである。
【0103】
(C6)のMFRは、樹脂物性、帯電防止性の観点から好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。MFRは、JIS K7210(1994年)に準じ
て(ポリアミド樹脂の場合は、230℃、荷重0.325kgf)測定される。
【0104】
ポリカーボネート樹脂(C7)としては、ビスフェノール(C12〜20、例えばビスフェノールA、−Fおよび−S、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン)系およびジヒドロキシビフェニル系ポリカーボネート、例えば上記ビスフェノールとホスゲンまたは炭酸ジエステルとの縮合物が挙げられる。上記ビスフェノールのうち(A)の分散性の観点から好ましいのはビスフェノールAである。
(C7)のMFRは、樹脂物性、帯電防止性の観点から好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。MFRは、JIS K7210(1994年)に準じ
て(ポリカーボネート樹脂の場合は280℃、荷重2.16kgf)測定される。
【0105】
ポリアセタール樹脂(C8)としては、ホルムアルデヒドまたはトリオキサンのホモポリマー(ポリオキシメチレンホモポリマー)、およびホルムアルデヒドまたはトリオキサンと環状エーテル[前記AO(EO、PO、ジオキソラン等)等]との共重合体(ポリオキシメチレン/ポリオキシエチレンコポリマー[ポリオキシメチレン/ポリオキシエチレン(重量比)=90/10〜99/1のブロック共重合体等]等が挙げられる。
(C8)のMFRは、樹脂物性、帯電防止性の観点から好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。MFRは、JIS K7210(1994年)に準じ
て(ポリアセタール樹脂の場合は190℃、荷重2.16kgf)測定される。
(C8)の固有粘度[η]は、樹脂物性、帯電防止性の観点から好ましくは0.1〜4、さらに好ましくは0.2〜3.5、とくに好ましくは0.3〜3である。
【0106】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要により(B)以外の、帯電防止性向上剤(D1)、相溶化剤(D2)、難燃剤(D3)およびその他の樹脂用添加剤(D4)からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(D)を含有させてもよい。
帯電防止性向上剤(D1)には、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩(D11)、界面活性剤(D12)および/またはイオン性液体(D13)からなる群から選ばれる1種または2種以上が含まれる。
【0107】
(D11)としては、前記(B)を除く、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)および/またはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)の有機酸(C1〜7のモノ−およびジ−カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸;C1〜7のスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸;チオシアン酸)の塩、および無機酸(ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸;過塩素酸;硫酸;硝酸;リン酸)の塩が使用できる。
【0108】
(D11)の具体例としては、ハライド[フッ化物(フッ化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、塩化物(塩化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、臭化物(臭化リチウム、−
ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)およびヨウ化物(ヨウ化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)等]、過塩素酸塩(過塩素酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、フッ化スルホン酸塩(フルオロスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、メタンスルホン酸塩(メタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、ペンタフルオロエタンスルホン酸塩(ペンタフルオロエタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、ノナフルオロブタンスルホン酸塩(ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸塩(ウンデカフルオロペンタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸塩(トリデカフルオロヘキサンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、酢酸塩(酢酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、硫酸塩(硫酸ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、燐酸塩(燐酸ナトリウム、−カリウム、−マグネシウムおよび−カルシウム等)、チオシアン酸塩(チオシアン酸カリウム等)等が挙げられる。
これらのうち帯電防止性の観点から好ましいのは、ハライド、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、酢酸塩、さらに好ましいのは塩化リチウム、−カリウムおよび−ナトリウム、過塩素酸リチウム、−カリウムおよび−ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、−カリウムおよび−ナトリウム、酢酸カリウムである。
【0109】
(D11)の使用量は、樹脂表面に析出せず良好な外観の樹脂成形品を与える観点から、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて、好ましくは0.001〜3%、さらに好ましくは0.01〜2.5%、特に好ましくは0.1〜2%、最も好ましくは0.15〜1%である。
(D11)を添加する方法については特に限定はないが、組成物中への効果的な分散のさせ易さから、親水性ポリマー(A)中に予め分散させておくことが好ましい。
また、(A)中へ(D11)を分散させる場合、(A)の製造(重合)時に予め(D11)を添加し分散させておくのが特に好ましい。(D11)を(A)の製造時に添加するタイミングは特に制限なく、重合前、重合中および重合後のいずれでもよい。
【0110】
界面活性剤(D12)としては、前記(B)を除く、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性の界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばEO付加型非イオン性界面活性剤[例えば高
級アルコール(C8〜18、以下同じ)、高級脂肪酸(C8〜24、以下同じ)または高級アルキルアミン(C8〜24)のEO付加物(分子量158以上かつMn200,000以下);グリコールのEO付加物であるポリアルキレングリコール(分子量150以上かつMn6,000以下)の高級脂肪酸エステル;多価アルコール(C2〜18の2価〜8価またはそれ以上、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびソルビタン)高級脂肪酸エステルのEO付加物(分子量250以上かつMn30,000以下);高級脂肪酸アミドのEO付加物(分子量200以上かつMn30,000以下);および多価アルコール(前記のもの)アルキル(C3〜60)エーテルのEO付加物(分子量120以上かつMn30,000以下)]、および多価アルコ−ル(C3〜60)型非イオン性界面活性剤[例えば多価アルコールの脂肪酸(C3〜60)エステル、多価アルコールのアルキル(C3〜60)エーテルおよび脂肪酸(C3〜60)アルカノールアミド]が挙げられる。
【0111】
アニオン性界面活性剤としては、前記(B1)および(D11)を除くもので、前記(B1)のうち、疎水基部分が直鎖ではないものが挙げられ、例えば、分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、分岐ドデシルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0112】
カチオン性界面活性剤としては、前記(B2)を除くもので、前記(B2)のうち、疎水基部分が直鎖ではないものが挙げられる。
【0113】
両性界面活性剤としては、前記(B3)を除くもので、前記(B3)のうち、疎水基部分が直鎖ではないものが挙げられる。
【0114】
上記のアニオン性および両性界面活性剤における塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)およびIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びに、アミン塩[アルキルアミン(C1〜720)塩およびアルカノールアミン(C2〜12、例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)塩等]および4級アンモニウム塩が含まれる。
【0115】
(D12)の使用量は、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて、好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.01〜3%、特に好ましくは0.1〜2.5%である。
(D12)を添加する方法についても特に限定はないが、樹脂組成物中へ効果的に分散させるためには、(A)中に予め分散させておくことが好ましい。また、(A)中へ(D12)を分散させる場合、(A)の製造(重合)時に該(D12)を予め添加し分散させておくのが特に好ましい。(D12)を(A)の製造時に添加するタイミングは特に制限なく、重合前、重合中および重合後の何れでもよい。
【0116】
イオン性液体(D13)は、上記(D11)および(D12)を除く化合物で、室温以下の融点を有し、(D13)を構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンで、初期電導度が1〜200ms/cm(好ましくは10〜200ms/cm)である常温溶融塩であって、例えばWO95/15572公報に記載の常温溶融塩が挙げられる。(D13)を構成するカチオンとしては、例えばアミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオンおよび3級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0117】
アミジニウムカチオンとしては、例えばイミダゾリニウムカチオン[1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウムなど]、イミダゾリウムカチオン[1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムなど]、テトラヒドロピリミジニウムカチオン[1,3−ジメチル−1
,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど]、およびジヒドロピリミジニウムカチオン[1,3−ジメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウムなど]が挙げられる。
【0118】
グアニジニウムカチオンとしては、例えばイミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエ
チルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジ
エチルイミダゾリニウムなど]、イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウムなど]、テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど]、およびジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウムなど]が挙げられる。
【0119】
3級アンモニウムカチオンとしては、例えばメチルジラウリルアンモニウムが挙げられる。
【0120】
上記のアミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオンおよび3級アンモニウムカチオンは1種単独でも、また2種以上を併用してもいずれでもよい。
これらのうち、初期電導度の観点から好ましいのはアミジニウムカチオン、さらに好ましいのはイミダゾリウムカチオン、特に好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
【0121】
イオン性液体(D13)において、アニオンを構成する有機酸または無機酸としては下記のものが挙げられる。
有機酸としては、例えばカルボン酸、硫酸エステル、高級アルキルエーテル硫酸エステル、スルホン酸およびリン酸エステルが挙げられる。
無機酸としては、例えば超強酸(例えばホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸および六フッ化ヒ素酸)、リン酸およびホウ酸が挙げられる。
上記有機酸および無機酸は1種単独でも2種以上の併用でもいずれでもよい。
上記有機酸および無機酸のうち、(D13)の初期電導度の観点から好ましいのは(D13)を構成するアニオンのHamett酸度関数(−H0)が12〜100である、超
強酸の共役塩基、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸およびこれらの混合物である。
【0122】
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えばハロゲン(例えばフッ素、塩素および臭素)イオン、アルキル(C1〜12)ベンゼンスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸)イオンおよびポリ(n=1〜25)フルオロアルカンスルホン酸(例えばウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
【0123】
超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、およびこれらの混合物が挙げられる。
超強酸としてのプロトン酸としては、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(C1〜30)スルホン酸[例えばメタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸など)、ポリ(n=1〜30)フルオロアルカン(C1〜30)スルホン酸(例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンス
ルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸およびトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸および四フッ化ホウ素酸が挙げられる。
これらのうち合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
【0124】
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えばハロゲン化水素(例えばフッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち(F3)の初期電導度の観点から好ましいのはフッ化水素である。
【0125】
ルイス酸としては、例えば三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タンタルおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちで、(D13)の初期電導度の観点から好ましいのは三フッ化ホウ素および五フッ化リンである。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えばテトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タンタル酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タンタルスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0126】
上記のアニオンのうち、(D13)の初期電導度の観点から好ましいのは超強酸の共役塩基(プロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸とルイス酸との組合せからなる超強酸)、さらに好ましいのはプロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸と、三フッ化ホウ素および/または五フッ化リンとからなる超強酸の共役塩基である。
【0127】
(D13)の使用量は、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて、通常10%以下、成形品の良好な外観と帯電防止効果、および機械特性の観点から好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.01〜3%である。
(D13)を添加する方法についても特に限定はないが、樹脂中への効果的な分散の観点から、(A)中に予め分散させておくことが好ましく、(A)の製造(重合)後に(D13)を予め添加し分散させておくのがさらに好ましい。
【0128】
(D13)の製造法としては、例えばジメチルカーボネート等で4級化して得られるアミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオンのジメチルカーボネート塩に、酸[(D13)においてアニオンを構成する前記の有機酸または無機酸]を加えて酸交換を行う方法、または、アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオンを一旦加水分解してモノアミドアミンを生成した後、そのモノアミドアミンを酸(前記に同じ)で中和する方法が挙げられる。
【0129】
相溶化剤(D2)としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体等が使用でき、例えば、特開平3−258850号公報に記載の重合体が挙げられる。また、例えば、特開平6−345927号公報に記載のスルホニル基を有する変性ビニル重合体、ポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等も使用できる。
(D2)の使用量は、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて通常20%以下、相溶化効果および成形品の機械物性の観点から、好ましくは0.1〜15%、さらに好ましくは1〜10%、特に好ましくは1.5〜8%である。
(D2)を添加する方法については特に限定はないが、組成物中への効果的な分散もしくは溶解のさせ易さから、親水性ポリマー(A)中に予め分散させておくことが好ましい

また、(A)中へ(D2)を分散もしくは溶解させる場合、(A)の製造(重合)時に予め(D2)を添加しておくのが特に好ましい。(D2)を(A)の製造時に添加するタイミングは特に制限なく、重合前、重合中および重合後のいずれでもよい。
【0130】
難燃剤(D3)には、ハロゲン含有難燃剤(D31)、窒素含有難燃剤(D32)、硫黄含有難燃剤(D33)、珪素含有難燃剤(D34)およびリン含有難燃剤(D35)からなる群から選ばれる1種または2種以上の難燃剤が含まれる。
【0131】
ハロゲン含有難燃剤(D31)としては、ヘキサクロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル、オクタブロモジフェニルオキシド、トリブロモフェノキシメタン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルオキシド、テトラブロモビスフェノールA、テトラブルモフタルイミド、ヘキサブロモブテン、ヘキサブロモシクロドデカン等;
【0132】
窒素含有難燃剤(D32)としては、尿素化合物、グアニジン化合物またはトリアジン化合物(メラミン、グアナミン等)と、シアヌール酸またはイソシアヌル酸との塩等;
硫黄含有難燃剤(D33)としては、硫酸エステル、有機スルホン酸、スルファミン酸、有機スルファミン酸、およびそれらの、塩、エステルおよびアミド等;
珪素含有難燃剤(D34)としては、ポリオルガノシロキサン等;
【0133】
リン含有難燃剤(D35)としては、リン含有の酸およびそのエステル(C2〜20)、例えばリン酸、ホスフェート、ハロゲン含有ホスフェート、亜リン酸、ホスホネート、およびリン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
【0134】
上記ホスフェートとしては、ホスフェートおよび縮合ホスフェート(ジ−およびポリホスフェート)が挙げられる。
ホスフェートとしては、トリアルキル(アルキル基はC1〜12)ホスフェート[トリメチル−、トリエチル−、トリブチル−およびトリオクチルホスフェート等]、トリアルコキシ(アルコキシ基はC1〜6)ホスフェート[トリエトキシ−およびトリブトキシホスフェート等]、トリアリールホスフェート[トリフェニルホスフェート等]、アルキル(アルキル基はC1〜10)アリールホスフェート[トリクレジル−、クレジルジフェニル−、オクチルジフェニル−、ジイソプロピルフェニル−およびレゾルシノール−ビス(ジ−2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート等]等が挙げられる。
【0135】
縮合ホスフェートとしては、トリアルキル(アルキル基はC1〜12)ポリ(n=2〜30)ホスフェート、フェニルレゾルシンポリ(n=2〜30)ホスフェート、レゾルシンポリ(n=2〜30)ホスフェート[レゾルシンビスホスフェート、クレジルレゾルシンポリホスフェート等]、ヒドロキノンポリ(n=2〜30)ホスフェート[ヒドロキノンビスホスフェート、ヒドロキノンポリホスフェート等]、ビスフェノールAビスホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート等が挙げられる。
【0136】
上記含ハロゲンホスフェートとしては、トリスハロゲン化アルキル(アルキル基はC2〜4)ホスフェート[トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス−β−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等]、トリスハロゲン化アリールホスフェート[トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート等]等が挙げられる。
【0137】
上記ホスホネートとしては、ホスホネートおよび縮合ホスホネートが挙げられる。
ホスホネートとしては、トリアルキル(アルキル基はC1〜12)ホスホネート[トリメチルホスホネート、トリエチルホスホネート、トリブチルホスホネート、トリオクチル
ホスホネート等]、トリアルコキシ(アルコキシ基はC1〜6)ホスホネート[トリエトキシホスホネート、トリブトキシホスホネート等]、トリアリールホスホネート[トリフェニルホスホネートなど]、アルキル(アルキル基はC1〜10)アリールホスホネート[トリクレジルホスホネート、クレジルジフェニルホスホネート、オクチルジフェニルホスホネート、ジイソプロピルフェニルホスホネート、レゾルシノール−ビス(ジ−2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート等]等が挙げられる。
【0138】
縮合ホスホネートとしては、トリアルキル(アルキル基はC1〜12)ポリ(n=2〜30)ホスホネート、フェニルレゾルシンポリ(n=2〜30)ホスホネート、レゾルシンポリ(n=2〜30)ホスホネート[レゾルシンビスホスフェート、クレジルレゾルシンポリホスホネート等]、ヒドロキノンポリ(n=2〜30)ホスホネート[ヒドロキノンビスホスホネート、ヒドロキノンポリホスホネート等]、ビスフェノールAビスホスホネート、トリオキシベンゼントリホスホネート等が挙げられる。
【0139】
上記含ハロゲンホスホネートとしては、トリスハロゲン化アルキル(アルキル基はC2〜4)ホスホネート[トリスクロロエチルホスホネート、トリスジクロロプロピルホスホネート、トリス−β−クロロプロピルホスホネート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスホネート等]、トリスハロゲン化アリールホスホネート[トリス(トリブロモフェニル)ホスホネート、トリス(ジブロモフェニル)ホスホネート等]等が挙げられる。
【0140】
上記リン酸アンモニウム塩としては通常難燃剤用に市販されているものを用いることができる。これらは、必要に応じてメラミン化合物(例えばメラミン単体)、ペンタエリスリトール化合物(例えばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)、アミド(例えばナイロン6、ナイロン66)等を併用してもよい。
【0141】
これらの難燃剤は、必要に応じて難燃助剤[ドリップ防止剤(例えばポリテトラフルオロエチレン)、金属酸化物(例えば酸化亜鉛)等]を併用してもよい。
【0142】
これらの難燃剤のうち難燃性、および焼却時におけるダイオキシン発生等の環境汚染がないとの観点から好ましいのは(D32)である。
【0143】
(D3)の合計使用量は、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて通常30%以下、成形品の難燃性および機械物性の観点から好ましくは0.1〜20%、さらに好ましくは1〜10%である。
【0144】
また、本発明の樹脂組成物には、種々の用途に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の樹脂用添加剤(D4)を任意に添加することができる。
(D4)としては、顔料、染料、核剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および抗菌剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤が挙げられる。
【0145】
顔料としては、無機顔料[白色顔料(酸化チタン、リトポン、鉛白、亜鉛華等)、コバルト化合物(オーレオリン、コバルトグリーン等)、鉄化合物(酸化鉄、紺青等)、クロム化合物(酸化クロム、クロム酸鉛等)および硫化物(硫化カドミウム、ウルトラマリン等)等]、有機顔料[アゾ顔料(アゾレーキ系、モノアゾ系、ジスアゾ系、キレートアゾ系等)、多環式顔料(ベンゾイミダゾロン系、フタロシアニン系、イソインドリノン系、アンスラキノン系等);染料としては、アゾ系、インジゴイド系、硫化系、アリザリン系、アクリジン系、チアゾール系、ニトロ系、アニリン系等;
核剤としては、有機核剤[1,3,2,4−ジ−ベンジリデン−ソルビトール、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート、安息香酸ナトリウム等]および無機核剤[グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、タルク、カオリン
、炭酸カルシウム、アルミナ、硫酸カルシウム等];
滑剤としては、ワックス(カルナバロウワックス、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等)、高級脂肪酸(C8〜24、例えばステアリン酸、オレイン酸)、高級アルコール(C8〜18、例えばステアリルアルコール、ラウリルアルコール)および高級脂肪酸アミド(C8〜24、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド)等;
【0146】
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル[フタル酸エステル(ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等)等]、脂肪族モノカルボン酸エステル[メチルアセチルリシノレート、トリエチレングリコールジベンゾエート等]、脂肪族ジカルボン酸エステル[ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル(Mn200〜2,000)等]、脂肪族トリカルボン酸エステル[クエン酸エステル(クエン酸トリエチル等)]、リン酸トリエステル[トリフェニルホスフェート等]および石油樹脂等;
離型剤としては、高級脂肪酸(上記のもの)の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C2〜18)の多価(2価〜4価またはそれ以上)アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸(C2〜18)のグリコール(C2〜8)エステル(エチレングリコールモノステアレート等)および流動パラフィン等;
【0147】
酸化防止剤としては、フェノール系〔単環フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等]等〕、硫黄系(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)、リン系(トリフェニルホスファイト等)、アミン系(オクチル化ジフェニルアミン等)等;
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、ベンゾフェノン系[2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等]、サリチレート系[フェニルサリチレート等]、アクリレート系[2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’1−ジフェニルアクリレート等]等;
抗菌剤としては、安息香酸、ソルビン酸、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素、ニトリル(2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等)、チオシアノ(メチレンビスチアノシアネート)、N−ハロアルキルチオイミド、銅剤(8−オキシキノリン銅等)、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物(スラオフ39等)、4級アンモニウム化合物、ピリジン系化合物等、が挙げられる。
【0148】
(D4)の合計使用量は、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて通常45%以下、各添加剤の効果および成形品の機械物性の観点から好ましくは0.001〜40%、さらに好ましくは0.01〜35%、とくに好ましくは0.05〜30%である。
【0149】
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、(A)および(B)からなる本発明の帯電防止剤、(C)および必要により(D)を溶融混合することにより得られる。溶融混合する方法としては、一般的にはペレット状または粉体状の成分を適切な混合機、例えばヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機で溶融混合してペレット化する方法が適用できる。
溶融混合時の各成分の添加順序には特に限定はないが、例えば、(1)帯電防止剤、(C)および必要により(D)を一括して溶融混合する方法、(2)本発明の帯電防止剤、および(C)の一部を予め溶融混合して帯電防止剤の高濃度樹脂組成物(マスターバッチ樹脂組成物)を作成し、その後、残りの(C)並びに必要により(D)を溶融混合する方法、が挙げられる。
(2)の方法におけるマスターバッチ樹脂組成物中の本発明の帯電防止剤の濃度は好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは50〜70重量%である。
これらのうち(2)の方法は、マスターバッチ法またはマスターペレット法と呼ばれる方法で、本発明の帯電防止剤の(C)への効率的な分散の観点から好ましい方法である。
【0150】
本発明の成形品は、上記帯電防止性樹脂組成物を成形して得られる。該成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて任意の方法で成形できる。
【0151】
上記成形品は、優れた機械特性、耐熱性および永久帯電防止性を有すると共に、良好な塗装性および印刷性を有する。
該成形品を塗装する方法としては、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電スプレー法、浸漬法、ローラー法、刷毛塗り法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塗料としては、ポリエステルメラミン、エポキシメラミン、アクリルメラミンおよびアクリルウレタン樹脂塗料等の種々の塗料が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥後膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが塗膜物性の観点から好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。
また、該成形品に印刷する方法としては、種々の印刷法、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷およびオフセット印刷が挙げられる。印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるものが挙げられる。
【0152】
以下実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部。%は重量%を表す。
実施例1
ステンレス製オートクレーブに、ε−カプロラクタム103部、テレフタル酸21.8部、酸化防止剤[商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製、以下同じ。]0.4部および水7部を仕込み、オートクレーブ内を窒素置換後、220℃で加圧(0.3〜0.5MPa)密閉下4時間加熱撹拌し、両末端にカルボキシル基を有する酸価118のポリアミド(a−1)120部を得た。
次にビスフェノールAのEO付加物(Mn1,600)119部、ビスフェノールAのEO付加物(Mn310)16部および酢酸ジルコニル0.5部を加え、240℃、0.13kPa以下の減圧下で6時間重合させて粘稠なブロックポリマー(A−1)を得た。(A−1)の表面固有抵抗値は4×109Ω、Mnは22,000であった。
次に、(A−1)245部に対して直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(B−1)[結晶化ピーク温度(98℃)における結晶化熱は3mJ/mg]16.1部を加え、1時間撹拌し、(A−1)と(B−1)からなる帯電防止剤(X−1)を得た。(X−1)は取り出して冷却ロールでシート状に成形し、ペレット化した。(X−1)の表面固有抵抗値は1×108Ωであった。また、後述の方法で評価されるカッティング性は、(X
−1)は、良好形状のペレットの割合が82%であった。
【0153】
実施例2
実施例1のポリアミドの製造において、ε−カプロラクタム103部、テレフタル酸21.8部に代えて、12−アミノドデカン酸104部、アジピン酸21部を用いた以外は実施例1と同様にして、両末端にカルボキシル基を有する酸価126のポリアミド(a−2)120部を得た。
別のステンレス製のオートクレーブにテレフタル酸ジメチル87.3部、EG37部および酢酸亜鉛0.2部を仕込み、所定量のメタノールを留出させながら210℃まで昇温した。室温まで冷却後、ポリエチレングリコール(Mn3,000)128部、(a−2)106部および酢酸ジルコニル0.3部を加え、240℃、0.13kPa以下の減圧下で6時間重合させ、粘稠なブロックポリマー(A−2)を得た。(A−2)の表面固有抵抗値は1×1011Ω、Mnは15,000であった。
次に、(A−2)314部に対して直鎖ステアリン酸ナトリウム[結晶化ピーク温度(101、122および183℃)における結晶化熱の合計は49mJ/mg](B−2)17.5部を加え、1時間撹拌し、(A−2)と(B−2)からなる帯電防止剤(X−2)を得た。以下、実施例1と同様に(X−2)をペレット化した。(X−2)の表面固有抵抗値は8×108Ω、カッティング性は、良好形状のペレットの割合が93%であった

【0154】
実施例3
ステンレス製オートクレーブに、ビスフェノールAのEO付加物(Mn310)56.8部、テレフタル酸23.5部、ジブチルスズオキサイド0.4部を仕込み、235℃、3kPa以下の減圧下で12時間加熱撹拌し、両末端に水酸基を有するポリエステル(水酸基価53)(c−1)75部を得た。
次にビスフェノールAのEO付加物(Mn1,600)140部、(a−1)116部および酢酸ジルコニル0.4部を加え、240℃、0.13kPa以下の減圧下で6時間重合させ、粘稠なブロックポリマー(A−3)を得た。(A−3)の表面固有抵抗値は4×1010Ω、Mnは28,000であった。
次に、(A−3)320部に対して直鎖ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム[結晶化ピーク温度(6および180℃)における結晶化熱の合計は25mJ/mg](B−3)11.7部を加え、1時間撹拌し、(A−3)と(B−3)からなる帯電防止剤(X−3)を得た。以下、実施例1と同様に(X−3)をペレット化した。(X−3)の表面固有抵抗値は7×108Ω、カッティング性は、良好形状のペレットの割合が87%で
あった。
【0155】
実施例4
ステンレス製オートクレーブに、熱減成法で得られた低分子量ポリプロピレン(Mn2,500、密度0.89、C1,000個当たりの二重結合量10.5個、1分子当たりの二重結合の平均数1.9個、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量95%)170部と無水マレイン酸30部を仕込み、窒素ガス雰囲気下(密閉下)、200℃で溶融し、200℃、20時間反応させた。
その後、未反応の無水マレイン酸を0.67kPa以下の減圧下、200℃、3時間で留去して、酸変性ポリプロピレン(a−3)を得た。(a−3)は、酸価41であった。
次に、別のステンレス製オートクレーブに、(a−3)120部、ポリエチレングリコール(Mn3,000)130部、酸化防止剤0.6部および酢酸ジルコニル1部を仕込み、230℃、0.13kPa以下の減圧下で3時間重合させ、粘稠なポリマー(A−4)を得た。(A−4)の表面固有抵抗値は5×109Ω、Mnは10,000であった。
次に、(A−4)238部に対して直鎖セチルトリメチルアンモニウムクロライド[結晶化ピーク温度(11および43℃)における結晶化熱の合計は12mJ/mg](B−4)20.8部を加え、1時間撹拌し、(A−4)と(B−4)からなる帯電防止剤(X−4)を得た。以下、実施例1と同様に(X−4)をペレット化した。(X−4)の表面固有抵抗値は5×108Ω、カッティング性は、良好形状のペレットの割合が80%であ
った。
【0156】
実施例5
実施例1において、ブロックポリマー(A−1)に(B−1)を後添加するのに代えて、(A−1)の製造時に(B−1)を16.1部仕込み、(B−1)の存在下で(A−1)を製造したこと以外は、実施例1と同様にして(A−1)と(B−1)からなる帯電防止剤(X−5)を得、ペレット化した。(X−5)の表面固有抵抗値は8×107Ωであった。また、(X−5)のカッティング性は、良好形状のペレットの割合が91%であった。
【0157】
実施例6
実施例1のポリアミドの製造において、ε−カプロラクタム103部、テレフタル酸21.8部に代えて、12−アミノドデカン酸207部、トリメリット酸16.2部を用いた以外は実施例1と同様にして、両末端にカルボキシル基を有する酸価41のポリアミドイミド(a−6)204部を得た。
次に、ポリオキシエチレンジプロピルアミン(Mn10,000)5.6部、ビスフェノールAのEO付加物(Mn310)22部および酢酸ジルコニル0.5部を加え、240℃、0.13kPa以下の減圧下で6時間重合させて粘稠なブロックポリマー(A−6)を得た。(A−6)の表面固有抵抗値は1×1013Ω、Mnは17,000であった。
次に、(A−6)180部に対して(B−1)0.2部を加え、1時間撹拌し、(A−6)と(B−1)からなる帯電防止剤(X−6)を得た。以下、実施例1と同様に(X−6)をペレット化した。(X−6)の表面固有抵抗値は1×1012Ω、カッティング性は、良好形状のペレットの割合が90%であった。
【0158】
実施例7
ステンレス製のオートクレーブに、アジピン酸78部、キシリレングリコール75部およびジブチルスズオキシド0.2部を仕込み、230℃、0.13kPa以下の減圧下で2時間重合させた。室温まで冷却後、(a−6)140部、ポリオキシポリエチレンプロピルアミン(Mn10,000)24部および酢酸ジルコニル0.5部を加え、240℃、0.13kPa以下の減圧下で6時間重合させ、粘稠なブロックポリマー(A−7)を得た。(A−7)の表面固有抵抗値は7×1011Ω、Mnは44,000であった。
次に、(A−7)240部に対して(B−2)27部を加え、1時間撹拌し、(A−7)と(B−2)からなる帯電防止剤(X−7)を得た。以下、実施例1と同様に(X−7)をペレット化した。(X−7)の表面固有抵抗値は8×109Ω、カッティング性は、良好形状のペレットの割合が89%であった。
【0159】
実施例8
ステンレス製のオートクレーブに、(a−3)110部、12−アミノドデカン酸35部、酸化防止剤0.6部を仕込み210℃、0.13kPa以下の減圧下で1時間重合させた。室温まで冷却後、ポリオキシポリエチレンプロピルアミン(Mn10,000)62部、ポリエチレングリコール(Mn3,000)102部、硫酸ナトリウム1部およびジブチルスズオキシド1部を仕込み、230℃、0.13kPa以下の減圧下で6時間重合させ、粘稠なポリマー(A−8)を得た。(A−8)の表面固有抵抗値は1×106Ω、Mnは26,000であった。
次に、(A−8)280部に対して(B−4)70部を加え、1時間撹拌し、(A−8)と(B−4)からなる帯電防止剤(X−8)を得た。以下、実施例1と同様に(X−8)をペレット化した。(X−8)の表面固有抵抗値は7×105Ω、カッティング性は、良好形状のペレットの割合が79%であった。
【0160】
実施例9
ステンレス製のオートクレーブに、(a−3)135部、2−アミノエタノール3.1部を仕込み210℃、0.13kPa以下の減圧下で1時間反応させた。窒素にて常圧にした後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)17部およびジブチルチンジラウレート0.1部を加え、180℃で1時間反応させた。さらに、ポリエチレングリコール(Mn3,000)148部およびジブチルスズオキシド1部を加え、230℃、0.13kPa以下の減圧下で3時間重合させ、粘稠なポリマー(A−9)を得た。(A−9)の表面固有抵抗値は3×109Ω、Mnは19,000であった。
次に、(A−9)240部に対して(B−4)1.2部を加え、1時間撹拌し、(A−9)と(B−4)からなる帯電防止剤(X−9)を得た。以下、実施例1と同様に(X−9)をペレット化した。(X−9)の表面固有抵抗値は5×108Ω、カッティング性は、良好形状のペレットの割合が87%であった。
【0161】
比較例1
実施例1において、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(B−1)16.1部に代えて、分岐ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム[結晶化ピーク温度(85℃)における結晶化熱は1mJ/mg](比B−1)16.1部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、(A−1)と(比B−1)からなる帯電防止剤(比X−1)を得、ペレット化した。(比X−1)の表面固有抵抗値は1×108Ω、カッティング性は、良好形状のペレ
ットの割合が61%であった。
【0162】
上記におけるカッティング性および表面固有抵抗値(帯電防止性)は、下記方法によりそれぞれ評価した。カッティング性と併せて結果を表1に示す。
[カッティング性]
帯電防止剤を製造後、取り出して冷却ロールで、厚み約3mmのシート状に成形し、樹脂温度約50℃まで冷却後、角ペレタイザー[商品名「SGG−220」、(株)ホーライ製]で4mm角のペレット状にカッティングし、50g(ペレット個数約1,000個)をサンプリングして良好形状(4mm角形状)のペレットと不良形状(不定形およびカットし切れずに数ペレットがつながったものも含む)のペレットに選別する。該選別された良好形状のペレットの割合(%)を算出した。
【0163】
[表面固有抵抗値]
上記の各帯電防止剤のペレットを、加圧プレス機(200℃)で成形して、厚み1mm×直径約100mmの試験片を作成した。(但し、後述する成形品についてはそのまま試験片とした。)該試験片について、超絶縁計[DSM−8103(平板試料用電極SME−8310)、東亜電波工業(株)製]により23℃、湿度50%RHの雰囲気下でASTM D257に準拠して表面固有抵抗値(帯電防止性)を評価した。
【0164】
実施例10〜22、比較例2
表1に示す配合処方(部)に従って、上記帯電防止剤および熱可塑性樹脂(C)[後述の(C−1)または(C−2)]を、場合により添加剤(D)と共に、ヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、230℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して、樹脂組成物(実施例10〜22、比較例2)を得た。
【0165】
上記樹脂組成物について、射出成形機[PS40E5ASE、日精樹脂工業(株)製]を用い、シリンダー温度230℃、金型温度50℃で成形品(試験片)(100×100×2mm)を作成し、これらを用い、表面固有抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0166】
(C−1):ABS樹脂[商品名「セビアン−V320」、ダイセルポリマー(株)製]
(C−2):PP樹脂「商品名「チッソポリプロ K1008」、チッソ(株)製]
(D−1):オクチルアルコールEO付加物(Mn400)
(D−2):相溶化剤[商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]
(D−3):難燃剤[商品名「アデカスタブFP−2200」、(株)ADEKA製]
【0167】
【表1】

【0168】
表1の結果から、本発明の帯電防止剤(X−1)〜(X−9)は、比較の(比X−1)に比べていずれもカッティング性、即ち生産性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明の帯電防止剤は、生産性(カッティング性)および永久帯電防止性の付与特性に優れ、該帯電防止剤を熱可塑性樹脂に含有させてなる樹脂組成物を成形してなる成形品は、優れた永久帯電防止性を有すると共に、塗装性および印刷特性に優れる。このことから、本発明の帯電防止性樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形およびフィルム成形(例えばキャスト法、テンター法およびインフレーション法)等の各種成形法で成形される、家電・OA機器、ゲーム機器および事務機器などのハウジング製品、ICトレー等クリーンルームで使用されるトレーや容器等の各種プラスチック容器材、各種緩衝材、各種包材用フィルム、保護フィルム等の被覆材、床材用シート、人工芝、マット、半導体製造プロセス用等のテープ基材、並びに自動車部品等の各種成形品用の材料として幅広く用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1×106〜1×1013Ωの表面固有抵抗値を有する親水性ブロックポリマー(A)と、示差走査熱量計による結晶化ピーク温度において2〜100mJ/mgの結晶化熱を有するイオン性界面活性剤(B)からなることを特徴とする帯電防止剤。
【請求項2】
(A)が、下記の(A1)、(A2)および(A3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の帯電防止剤。
(A1):ポリアミド(a11)および/またはポリアミドイミド(a12)からなるアミド基含有疎水性ポリマー(a1)、ポリエーテルジオール(b11)および/またはポリエーテルジアミン(b12)からなるポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)および芳香環含有ポリエステル(c1)から構成されるブロックポリマー
(A2):ポリオレフィン(a21)のブロックとポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(a22)のブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合およびウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー
(A3):ポリアミド(a11)および/またはポリアミドイミド(a12)からなるアミド基含有疎水性ポリマー(a1)、およびポリエーテルジオール(b11)および/またはポリエーテルジアミン(b12)からなるポリエーテル鎖含有親水性ポリマー(b1)から構成されるブロックポリマー
【請求項3】
(A)と(B)の重量比が、99.9/0.1〜80/20である請求項1または2記載の帯電防止剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の帯電防止剤を熱可塑性樹脂(C)に含有させてなる帯電防止性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、(B)以外の、帯電防止性向上剤、相溶化剤、難燃剤およびその他の樹脂用添加剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(D)を含有させてなる請求項4記載の組成物。
【請求項6】
請求項4または5記載の組成物を成形してなる帯電防止性樹脂成形品。
【請求項7】
請求項6記載の成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品。

【公開番号】特開2008−31460(P2008−31460A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173343(P2007−173343)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】