説明

帳票イメージ表示装置

【課題】拡大して表示された署名や印鑑を一つの画面で確認することができるようにする。
【解決手段】拡大調整手段61が、入力部2で選択された被拡大領域の数を示す選択領域数に基づいて拡大調整情報51から領域を拡大して表示する帳票イメージ画面内の表示位置および大きさを抽出し、選択された被拡大領域を抽出した大きさに拡大し、抽出した帳票イメージ画面内の表示位置に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行等の金融機関に設置され、顧客から提出された帳票をスキャナで読取り、その帳票のイメージデータを表示する帳票イメージ表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の帳票イメージ表示装置は、帳票に記入された文字の認識や押印された印鑑の照合ができなかった場合、オペレータが目視でその文字等を確認するために文字等が記入された部位をマウスでクリックされるとその部位の近傍を拡大して表示するようにしている。
また、文字の記入欄に記入した文字を訂正するための二重線等を検出し、その文字の記入欄を拡大して表示するようにしているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−81666号公報(段落「0057」〜段落「0066」、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の帳票イメージ表示装置は、例えば印鑑の拡大画像および署名の拡大画像を拡大して表示させたい場合、まず印鑑が押印されている領域を拡大して表示させ、次にその画面を閉じた後に署名がされている領域を拡大して表示する必要があり、印鑑と署名を同時に拡大して表示することができないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのため、本発明は、帳票のイメージデータを表示した帳票イメージ画面の被拡大領域を選択する操作を入力部で受付け、その被拡大領域を拡大して表示する帳票イメージ表示装置において、入力部で選択された領域を拡大して表示する帳票イメージ画面内の表示位置および大きさを記憶する拡大調整情報を有する記憶部と、前記拡大調整情報から表示位置および大きさを抽出し、選択された被拡大領域を抽出した大きさに拡大し、抽出した表示位置に表示する拡大調整手段とを設け、前記拡大調整手段が、選択された被拡大領域を拡大して帳票イメージ画面内に表示するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
このようにした本発明は、オペレータは拡大して表示された署名や印鑑を一つの画面で確認することができるようになり、オペレータの操作負担を軽減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明による帳票イメージ表示装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0007】
図1は実施例における帳票イメージ表示装置の構成を示すブロック図である。
図1において、1は帳票イメージ表示装置であり、銀行等の金融機関に設置され、スキャナ等で読取った帳票のイメージデータを画面に表示するものである。
2はキーボードやマウス等で構成された入力部であり、3は液晶ディスプレイ等で構成された表示部である。表示部3は帳票のイメージデータを表示することができるようになっており、また入力部2は表示部3に表示した帳票のイメージデータの所定の領域を選択することができるようになっている。
【0008】
4は帳票入力部であり、帳票のイメージデータを入力するものである。この帳票入力部4は、CCD(Charge Coupled Devices)センサ等で構成されたスキャナで帳票のイメージデータを読取るようにしてもよいし、他の装置で読取った帳票のイメージデータを図示しない通信回線を介して受信するようにしてもよい。
5は記憶部であり、半導体メモリや磁気ディスク等で構成され情報を記憶し、記憶した情報を読出すことができるものである。この記憶部5には帳票イメージ表示装置1全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)等を記憶する。
【0009】
また、記憶部5は入力部2で選択された帳票のイメージデータの領域を拡大して表示部3に表示するための拡大調整情報51を予め記憶する。なお、拡大調整情報51の詳細は後述する。
6は制御部であり、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の演算および制御手段等で構成されたものである。この制御部6は入力部2、表示部3、帳票入力部4、記憶部5、および通信回線を介して上位装置との間で通信を行う図示しない通信部を含めて帳票イメージ表示装置1全体の動作を記憶部5に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御する。
【0010】
また、制御部6は記憶部5に記憶した拡大調整情報51に基づいて入力部2で選択された帳票のイメージデータの領域を拡大して表示部3に表示する拡大調整手段61を備えている。
このように構成された帳票イメージ表示装置1は制御部6の制御により帳票入力部4で入力された帳票のイメージデータを表示部3に表示するとともに入力部2で選択された帳票のイメージデータの領域を拡大して表示部3に表示する。
【0011】
図2は実施例における帳票イメージを表示した画面の説明図であり、表示部3に帳票のイメージデータを表示した帳票イメージ画面21の例を示している。
この帳票イメージ画面21は、X軸方向の大きさをx、Y軸方向の大きさをyとした画面であり、その画面の左側に帳票入力部4で入力した帳票のイメージデータを表示し、画面の右側に図示しない顧客の印鑑や署名を登録しておくデータベースから抽出した顧客の登録印鑑や登録署名のイメージデータを表示するものである。
【0012】
また、本実施例では帳票のイメージデータは銀行名を記入した領域22、本支店名を記入した領域23、口座種類を記入した領域24、口座番号を記入した領域25、署名を記入した領域26、ならびに印鑑を押印した領域27等の6個の被拡大領域で構成されているものとし、さらに、帳票イメージ画面21は、拡大して表示する被拡大領域の選択を開始するための「開始」ボタン28およびその選択を終了させるための「終了」ボタン29等を備えているものとする。
【0013】
この「開始」ボタン28をマウスでクリックした後、拡大して表示する被拡大領域をマウスでクリックして選択(複数の被拡大領域を選択することができるものとする)し、「終了」ボタン29をマウスでクリックする操作を検知すると制御部6の拡大調整手段61は、記憶部5に記憶する拡大調整情報51に基づいて選択された被拡大領域を拡大して帳票イメージ画面21に表示する。
【0014】
ここで、記憶部5に記憶する拡大調整情報51を図3の実施例における拡大した画像の表示領域の説明図および図4の実施例における拡大調整情報の説明図に基づいて説明する。
まず、選択された被拡大領域を拡大して表示する帳票イメージ画面21内の領域である拡大表示領域を説明する。なお、本実施例では、被拡大領域を6箇所とし、選択された被拡大領域が1〜6箇所の場合を以下に説明する。
【0015】
選択された被拡大領域が1箇所の場合、図3(a)に示すように帳票イメージ画面21と同じ大きさの表示領域311を拡大表示領域とする。
選択された被拡大領域が2箇所の場合、図3(b)に示すように帳票イメージ画面21のY軸方向を2分割した表示領域321、322を拡大表示領域とする。
選択された被拡大領域が3箇所の場合、図3(c)に示すように帳票イメージ画面21のY軸方向を2分割し、さらにその一方の領域のX軸方向を2分割した表示領域331、332、333を拡大表示領域とする。
【0016】
選択された被拡大領域が4箇所の場合、図3(d)に示すように帳票イメージ画面21のY軸方向を2分割し、さらにX軸方向を2分割した表示領域341、342、343、344を拡大表示領域とする。
選択された被拡大領域が5箇所の場合、図3(e)に示すように帳票イメージ画面21のY軸方向を3分割し、さらに分割された2つの領域のX軸方向を2分割した表示領域351、352、353、354、355を拡大表示領域とする。
【0017】
選択された被拡大領域が6箇所の場合、図3(f)に示すように帳票イメージ画面21のY軸方向を3分割し、さらにX軸方向を2分割した表示領域361、362、363、364、365、366を拡大表示領域とする。
なお、分割の仕方はこれに限らない。例えば、図3(b)では帳票イメージ画面21のY軸方向を2分割した表示領域321、322を拡大表示領域としたが、X軸方向を2分割した表示領域としてもよい。この際、分割する方法が2通り出来てしまうが、選択された被拡大領域拡大率に応じてX軸方向を2分割するかY軸方向を2分割するかを図示しない制御部6の判定部で判定するようにすればよい。
【0018】
次に、拡大調整情報51の構成を説明する。
図4において、拡大調整情報51は、選択された被拡大領域の数を示す情報である選択領域数、選択された領域を拡大して表示する拡大表示領域の帳票イメージ画面21内の表示位置(相対座標)および大きさを示す情報で構成され、その選択領域数に関連付けて表示位置および大きさが記憶部5に記憶されている。
【0019】
例えば、帳票イメージ画面21のX軸方向の大きさを「x」、Y軸方向の大きさを「y」(なお、xおよびyは画素数を示すものとする。)とした場合、
選択領域数が「1」のとき、帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「0」とし、X軸方向の大きさを「x」、Y軸方向の大きさを「y」とした領域を拡大表示領域とし、
選択領域数が「2」のとき、帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「0」とし、X軸方向の大きさを「x」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域および帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「x」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域を拡大表示領域とし、
選択領域数が「3」のとき、帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「0」とし、X軸方向の大きさを「x」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域、帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「x/2」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域、および帳票イメージ画面21内のX座標を「x/2」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「x/2」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域を拡大表示領域とする。
【0020】
なお、選択領域数が「4」〜「6」のときも同様であり、図4に示したようになる。
本実施例では、帳票のイメージデータは6個の被拡大領域で構成されているものとして説明するが、それに限られることなく被拡大領域は5個以下、7個以上であってもよく、帳票のイメージデータの被拡大領域数に応じて構成された拡大調整情報51を記憶部5に記憶させておくものとする。
【0021】
上述した構成の作用を図5の実施例における帳票イメージを拡大させる操作の説明図、図6の実施例における拡大して表示した帳票イメージの説明図に基づいて説明する。
なお、以下に説明する各部の動作は、図示しないメモリ等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
【0022】
帳票イメージ表示装置1の表示部3は、図5に示すように、X軸方向の大きさをx、Y軸方向の大きさをyとした画面の左側に帳票入力部4で入力した帳票のイメージデータを表示し、画面の右側に図示しない顧客の印鑑や署名を登録しておくデータベースから抽出した顧客の登録印鑑や登録署名のイメージデータを表示する帳票イメージ画面21を表示しているものとする。
【0023】
また、本実施例では帳票イメージ画面21に表示した帳票のイメージデータは銀行名を記入した領域22、支店名を記入した領域23、口座科目を記入した領域24、口座番号を記入した領域25、署名を記入した領域26、ならびに印鑑を押印した領域27等の6個の被拡大領域で構成されているものとし、さらに、その帳票イメージ画面21は、拡大して表示する被拡大領域の選択を開始するための「開始」ボタン28およびその選択を終了させるための「終了」ボタン29等を備えている。
【0024】
なお、記憶部5には表示した被拡大領域等の座標および大きさが記憶されているものとする。
帳票イメージ表示装置1を操作するオペレータは、署名を記入した領域26、印鑑を押印した領域27、および口座番号を記入した領域25を拡大して表示させるため、マウスを操作して「開始」ボタン28、署名を記入した領域26、印鑑を押印した領域27、口座番号を記入した領域25、「終了」ボタン29の順にクリックするものとする。
【0025】
その操作を入力部2で受付けたことを検知した制御部6の拡大調整手段61は署名を記入した領域26、印鑑を押印した領域27、および口座番号を記入した領域25の3箇所の被拡大領域が選択されたことを認識する。
拡大調整手段61は選択領域数を「3」として拡大調整情報51からそれぞれの拡大表示領域の表示位置および大きさを抽出する。
【0026】
本実施例では、拡大調整手段61は帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「0」とし、X軸方向の大きさを「x」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域、帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「x/2」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域、および帳票イメージ画面21内のX座標を「x/2」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「x/2」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域を拡大表示領域として抽出する。
【0027】
拡大調整手段61は、署名を記入した領域26を帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「0」とし、X軸方向の大きさを「x」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域に、印鑑を押印した領域27を帳票イメージ画面21内のX座標を「0」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「x/2」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域に、口座番号を記入した領域25を帳票イメージ画面21内のX座標を「x/2」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「x/2」、Y軸方向の大きさを「y/2」とした領域に拡大して表示する。
【0028】
なお、拡大調整手段61は、選択された領域を拡大表示領域に拡大して表示するとき、X軸方向とY軸方向の拡大率が略等しくなるようにして拡大することが望ましい。
したがって、印鑑を押印した領域27を拡大する場合、Y軸方向の拡大率とX軸方向の拡大率が等しくなるように拡大、すなわち小さい拡大率に合わせてX軸方向およびY軸方向を拡大する。
【0029】
例えば、図6に示すように略正方形の印鑑を押印した領域27を拡大する場合、小さい拡大率であるY軸方向の拡大率に合わせてX軸方向を拡大して表示する。
このため、X軸方向に余白ができてしまうが、この余白のX軸方向の長さをαとした場合、口座番号を記入した領域25を拡大して表示する拡大表示領域のX座標を「(x/2)―α」、Y座標を「y/2」とし、X軸方向の大きさを「(x/2)+α」、Y軸方向の大きさを「y/2」となるように補正する。
【0030】
このようにして拡大調整手段61は、図6に示すように選択された署名を記入した領域26、印鑑を押印した領域27、および口座番号を記入した領域25をそれぞれ帳票イメージ画面21の拡大表示領域31,32,33に拡大して表示する。
したがって、帳票に記入された署名、押印された印鑑、および記入された口座番号等を一つの画面に拡大して表示することができるようになり、オペレータは拡大して表示された署名や印鑑を一つの画面で確認することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施例では、拡大調整手段が選択された領域を帳票イメージ画面の拡大表示領域に拡大して表示するようにしたことにより、オペレータは拡大して表示された署名や印鑑を一つの画面で確認することができるようになり、オペレータの操作負担を軽減することができるという効果が得られる。
また、オペレータは前に表示された画面の記憶に頼る必要がなくなり、作業を確実に行うことができるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例における帳票イメージ表示装置の構成を示すブロック図
【図2】実施例における帳票イメージを表示した画面の説明図
【図3】実施例における拡大した画像の表示領域の説明図
【図4】実施例における拡大調整情報の説明図
【図5】実施例における帳票イメージを拡大させる操作の説明図
【図6】実施例における拡大して表示した帳票イメージの説明図
【符号の説明】
【0033】
1 帳票イメージ表示装置
2 入力部
3 表示部
4 帳票入力部
5 記憶部
6 制御部
51 拡大調整情報
61 拡大調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票のイメージデータを表示した帳票イメージ画面の被拡大領域を選択する操作を入力部で受付け、その被拡大領域を拡大して表示する帳票イメージ表示装置において、
入力部で選択された領域を拡大して表示する帳票イメージ画面内の表示位置および大きさを記憶する拡大調整情報を有する記憶部と、
前記拡大調整情報から表示位置および大きさを抽出し、選択された被拡大領域を抽出した大きさに拡大し、抽出した表示位置に表示する拡大調整手段とを設け、
前記拡大調整手段が、選択された被拡大領域を拡大して帳票イメージ画面内に表示するようにしたことを特徴とする帳票イメージ表示装置。
【請求項2】
前記拡大調整情報は、前記入力部で選択された被拡大領域の数を示す選択領域数に関連付けて、選択された領域を拡大して表示する帳票イメージ画面内の表示位置および大きさの情報であることを特徴とする請求項1に記載の帳票イメージ表示装置。
【請求項3】
前記拡大調整手段は、前記選択領域数に基づいて前記拡大調整情報から表示位置および大きさを抽出し、選択された被拡大領域を抽出した大きさに拡大し、抽出した表示位置に表示することを特徴とする請求項2に記載の帳票イメージ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−258972(P2009−258972A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106954(P2008−106954)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】