説明

常温長期保存可能モナチン甘味付け飲料

本発明は、低減された溶存O含量を有する液体;モナチンを含む高甘味度甘味料組成物;および食用抗酸化剤を含む常温長期保存可能飲料組成物を提供する。本発明の付加的な具体例は、少なくともその一部が可視光またはUV光を通す壁を有する容器;容器中に、水、モナチンおよび抗酸化剤を含み、かつ、低減された溶存O含量を有する飲料組成物、を含む常温長期保存可能パック飲料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、常温長期保存可能モナチン甘味付け飲料の名称で、2009年5月28日に出願された、出典明示してその全体が本明細書に含まれるとみなされる米国特許仮出願第61/181,871号の利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、概略、常温長期保存可能 (shelf stable) 甘味付け飲料に関する。本開示の局面は、特に、モナチンで甘味付けされた化学的に安定な飲料に関する。
【背景技術】
【0003】
モナチン(2-ヒドロキシ-2-(インドル-3-イルメチル)-4-アミノグルタル酸)は、天然に産出する高甘味度または高強度甘味料であり、元来、南アフリカのトランスバール地域(Transvaal Region)で見いだされたキツネノマゴ科の植物Sclerochiton ilicifoliusから抽出された。モナチンは、化学構造:
【0004】
【化1】

を有する。
【0005】
様々な命名規則により、モナチンは以下の:2−ヒドロキシ−2−(インドル−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸;4−アミノ−2−ヒドロキシ−2−(1H−インドル−3−イルメチル)−ペンタン二酸;4−ヒドロキシ−4−(3−インドリルメチル)グルタミン酸;および、3−(1−アミノ−1,3−ジカルボキシ−3−ヒドロキシ−ブト−4−イル)インドールを含む多数の代替的な名称でも知られている。
【0006】
モナチンは二つのキラル中心を含有して、4つの可能な立体異性配置を生じる。R,R配置(「R,R立体異性体」すなわち「R,R−モナチン」);S,S配置(「S,S立体異性体」すなわち「S,S−モナチン」);R,S配置(「R,S立体異性体」すなわち「R,S−モナチン」);および、S,R配置(「S,R立体異性体」すなわち「S,R−モナチン」)である。
【0007】
モナチンは、優れた甘味品質を有し、特定の組成物に依存し、モナチンはスクロースよりも数百倍甘く、いくらかの場合には、スクロースの何千倍も甘いことがある。モナチンは4つの立体異性体配座を有し、それらは異なるレベルの甘味を示す。モナチンのS,S立体異性体は、重量あたりスクロースの約50-200倍甘い。モナチンのR,R立体異性体は、重量あたりスクロースの約2000〜24000倍甘い。製造方法、純度および使用目的に依存して、モナチン組成物は、純粋立体異性体であってよく、または、立体異性体の混合物であってよい。
【0008】
モナチンは、キツネノマゴ科の植物 Sclerochiton ilicifoliusの根の皮から単離できる。例えば、その皮を粉砕し、水で抽出し、ろ過し、凍結乾燥して、暗褐色の不定形の塊を得る。その塊を水に再溶解し、酸形態のカチオン樹脂、例えば、HCl形態の"Biorad" AG50W .times.8 (Bio-Rad Laboratories, Richmond, Calif.)と反応させる。この樹脂を水で洗浄し、アンモニア水溶液を用いて、樹脂に結合した化合物を溶出させる。溶出物を凍結乾燥して、水性ゲルろ過を行う。例えば、米国特許第5,128,164号を参照せよ。あるいは、モナチンは化学合成できる。例えば、the methods of Holzapfel and Olivier, Synth. Commun. 23:2511 (1993); Holzapfel et al, Synth. Commun. 38:7025 (1994); 米国特許第5,128,164号; 米国特許第4,975,298号;および米国特許第5,994,559号を参照せよ。
【0009】
モナチンは、酵素法によっても製造できる。引用がWO 2003/091396 A2になされ、それは、とりわけ、ポリペプチド、経路、ならびに、モナチンのin vivoおよびin vitro製造のための微生物を開示する。WO 2003/091396 A2 (例えば、図1〜3および11〜13を参照。) および米国特許出願公開第2005/282260号は、ポリペプチド(タンパク質)または酵素での生物学的転換を要件とする多段経路によるトリプトファンからのモナチンの製造を記載する。記載された一つの経路は、トリプトファンをインドール-3-ピルビン酸エステル (I-3-P)に転換し(反応(1))、インドール-3-ピルビン酸を2-ヒドロキシ2-(インドル-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸(モナチン前駆体、(MP))に転換し(反応(2))、ついで、MPをモナチンに、生物学的に、例えば、酵素的に転換すること(反応(3))を要件とする。この方法を用いて、90%を超えるR,Rモナチンを含むモナチン組成物を含む立体異性体豊富モナチン組成物を作成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
高甘味度甘味料の使用は、ゼロまたは非常に少ないカロリー、重要な健康およびウェルネス特性を持つ甘味付け飲料の配合を可能にし、多くの国々が体重に関係する公共的な健康に対する懸念を処理する試みがされている。特に、モナチンのような、心地よい砂糖みたいな甘味プロファイルを持つ天然産出高甘味度甘味料が望ましい。しかしながら、ときどき、モナチンを含む様々な高甘味度甘味料は、低pH,光への暴露、炭酸(CO)の存在、酸素(O)の存在、様々な風味成分との相互作用、紫外線もしくは可視光に透明なパッケージまたはある程度O透過性のパッケージのようなありふれた飲料条件下で、化学的安定性が変化するため配合の課題を示すことがある。これらの安定性の課題は、感知できる甘味の喪失、変色または望ましくない風味もしくは芳香を明らかに示す。本発明は、一以上のこれらの商業関連の懸念に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの具体例は、常温長期保存可能飲料組成物であり、それは、低減された溶存O含量、モナチンを含む高甘味度甘味料、および食用抗酸化剤を有する液体を含む。さらなる具体例において、この常温長期保存可能飲料組成物の高甘味度甘味料は、立体異性体豊富化R,Rモナチンを含む。いくつかの具体例において、飲料組成物の液体は水である。特別な具体例において、液体は約0.5 mg/Lより少ない溶存O含量を有する。他の具体例において、液体は約0.05 mg/Lと約0.5 mg/Lの間の溶存O含量を有する。さらなる具体例は、実質的に溶存Oがない液体を提供する。
【0012】
いくつかの具体例において、常温長期保存可能飲料組成物の食用抗酸化剤は、天然食用抗酸化剤である。そして、いくつかの具体例において、天然食用抗酸化剤は酵素修飾イソクエルシトリン(EMIQ)である。他の具体例において、EMIQの濃度は約15 mg/Lと約45 mg/Lの間である。そして、いくつかの場合、EMIQの濃度は約30 mg/Lである。さらなる具体例において、天然食用抗酸化剤は、エリソルビン酸、ユビキノン、グルタチオン、ローズマリーエキス、グレープシードエキス、ブルーベリーエキス、松樹皮エキス、クランベリーエキス、オリーブ果汁、ココアポリフェノール、ワインポリフェノール、ミリシトリン、ルチン、EMIQ、トコフェノール、トコトリエノール、カロテノイド、β-カロテン、リコペン、ルテイン、および天然アスコルビン酸よりなる群から選択される組成物の少なくとも一つである。
【0013】
常温長期保存可能飲料組成物の特定の具体例において、モナチンは、少なくとも約90%のR,R,-モナチンを含むか、他の具体例において、モナチンは少なくとも約95%のR,R-モナチンを含む。
【0014】
いくつかの具体例において、常温長期保存可能飲料組成物は、約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、認識できるかび臭い異臭を発しなかった。他の具体例において、その組成物は、約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、約0.5 ppm未満の3-メチルインドールを含有する。常温長期保存可能飲料組成物のいくつかの具体例は、約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、総インドール量で測定して、そのモナチンを少なくとも約60%維持している。別の具体例において、常温長期保存可能飲料組成物は、約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、総インドール量で測定して、そのモナチンを少なくとも約75%維持している。さらなる具体例によれば、常温長期保存可能飲料組成物は、約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、総インドール量で測定して、そのモナチンを少なくとも約85%維持している。
【0015】
いくつかの具体例において、常温長期保存可能飲料は、約2.0と約7.0の間のpHを有する。他の具体例において、pHは約2.5と約4.5の間である。さらなる具体例において、pHは約2.8と約3.0の間である。
【0016】
常温長期保存可能パック飲料の具体例は、少なくともその一部が可視光またはUV光を通す壁を有する容器、容器中に、水、モナチンおよび抗酸化剤を含み、かつ、約1.5 mg/L未満の溶存O含量を有する飲料組成物を含む。
【0017】
他の具体例において、常温長期保存可能パック飲料は、Oトラップ組成物、O拡散ブロック組成物、可視光ブロック組成物、およびUV光ブロック組成物よりなる群から選択される少なくともひとつの組成物を内包している。
【0018】
常温長期保存可能パック飲料のいくつかの具体例は、前述の常温長期保存可能飲料組成物を含む。
【0019】
別の具体例において、飲料は非発泡性飲料である。
【0020】
さらなる具体例において、飲料は炭酸飲料である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記のように、モナチンは、2つのキラル中心を有して、4つの可能な立体異性体配座を生じる。ここで用いるとき、特記しない限り、用語「モナチン」は、単一異性体を含むモナチンの4つの立体異性体(または、それらの塩のいずれか)のいかなる組合せも含む組成物をいうために用いられる。
【0022】
特記しない限り、用語「モナチン」は、それらのいかなる塩も含む。ここで用いるとき、特記しない限り、用語「モナチン」は、モナチンを作成した方法によらず、かくして、全体または一部を生合成経路、純粋合成手段によって合成されたか、または天然源から単離されたモナチンを包含する。
【0023】
モナチンを様々な飲料組成物に配合する方法において、モナチン単独では、Oおよび光(可視および/またはUVのいずれか)の共存において見いだされた拡張実験において安定性が不十分であることが観察された。適度なレベルの安定性を構成するものは、特定の飲料アプリケーションおよび市場の要求によって変化する。おおまかには、典型的な保存取扱い条件下での13週間の貯蔵安定性(すなわち、「常温長期保存可能性 (shelf stability)」)が、普通の冷充填消費者用飲料アプリケーションに要求される。別に、おおまかには、典型的な保存取扱い条件下での26から52週間の貯蔵安定性(すなわち、「常温長期保存可能性 (shelf stability)」)が、普通の温充填消費者用飲料アプリケーションに要求される。一般に、貯蔵安定性は容易に定量化できる品質ではなく、むしろ、官能性味覚認識の問題である。広い意味で、貯蔵安定性は主観的である。
【0024】
しかしながら、モナチンのように特定の組成物の場合、不安定性の重要な特徴は、認識でき、許容できる常温長期保存可能性を予測するのに使用できる。モナチンの場合、総インドール−含有分子(インドール環がモナチン分子の実質的な部分であるとき)のレベルが様々な配合の相対常温長期保存可能性の良き指標である。訓練された人間の感覚評価者による「かび臭い」異臭または芳香のモニタリングもモナチンの常温長期保存可能性を予測できる。さらに、この「かび臭い」官能特性に寄与するモナチンからのひとつの分解生成物は3-メチルインドールである。いくつかの例において、飲料中のこの組成物の存在を制限することを用いて、適当な常温長期保存可能性を確保できる。特に、3-メチルインドールの存在を(ここに開示する方法で定量して)0.5 ppm未満に制限することが本発明のいくつかの具体例において、望ましい。
【0025】
透明またはわずかに着色された飲料において、定量的に黄変色も観察されるであろう。変色の防止は、それで、適当な常温長期保存可能性を予測できる。
【0026】
モナチンは溶存Oおよび光の共存における崩壊に付され、一以上の甘味の喪失、黄変色および異臭または芳香の進行を生じる。この光は可視またはUVスペクトルのいずれかであるが、UVスペクトルの方が、より強い崩壊効果があるようである。
【0027】
以下に例示するように、いくつかの状況において、単に抗酸化剤組成物を添加したり、単に溶存O濃度を削減したりするだけでは、適度に持続する安定性を付与するには不十分である。それで、本発明の具体例は、食用抗酸化剤組成物、低初期溶存O濃度液体、O不透過性容器壁、可視およびUV光不透過容器壁、ならびに、1以上のOトラップ組成物、酸素拡散ブロック組成物、可視光ブロック組成物、またはUV光ブロック組成物を内包する容器壁よりなる群から選択される少なくともふたつの安定性促進特性を組み合わせる。
【0028】
いくつかの具体例において、本発明の飲料組成物は食用抗酸化剤を含む。これらの食用抗酸化剤は、相当する飲料アプリケーションにおけるそれらの典型的な使用レベル内で用いられ、そのような使用レベルの選択は十分に当業者の能力内にある。そのような抗酸化剤の例は、ビタミンC(例えば、アスコルビン酸、アスコルビルりん酸マグネシウム)、ブチル化ヒドロキシアニソール (BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン (BHT)、三級ブチルハイドロキノン (TBHQ)、没食子酸プロピル (PG)、およびパルミチン酸アスコルビルを含む。
【0029】
モナチンは、天然に産出する高甘味度甘味料なので、いくつかの具体例において、天然食用抗酸化剤として使用することが好ましく、その例は、天然アスコルビン酸、ミリシトリン、ルチン、酵素修飾イソクエルシトリン (EMIQ)、エリソルビン酸、カロテノイド、ルテイン、リコペン、β-カロテン、トコフェノール(例えば、α-トコフェロール (natural vitamin E)、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール)、トコトリエノール、ココアポリフェノール、ワインポリフェノール、ならびにNATUREX (South Hackensack, NJ)からのローズマリーエキス、Polyphenolics (Madera, CA)からのグレープシードエキス、Niagara Foods (Middleport, NY)からのブルベリーパウダー、Natural Health Science (Hoboken, NJ)からの松樹皮エキス、Ocean Spray (Middleboro, MA)からのクランベリーパウダー、およびDSM Nutritional Products (Parsippany, NY)からのオリーブ果汁エキスのような様々な水溶性植物エキスを含む。
【0030】
いくつかの具体例において、天然食用抗酸化剤EMIQを選択することが好ましい。EMIQの濃度は、典型的に、約15 mg/Lと約45 mg/Lの間であり、いくつかの場合、EMIQの濃度は、約30 mg/Lである。
【0031】
水はここで開示される飲料における基本的な成分であり、典型的に、その他の成分が溶解し、乳化し、混合し、懸濁しまたは分散する主要な液体部分である。純粋をある具体例の飲料の製造に使用でき、標準的な飲料品質の水を採用して、飲料の味、匂い、または外観に悪影響を与えないようにする。水は、典型的に、透明無色で、好ましくないミネラル分、味および匂いがなく、有機分がなく、アルカリ性が低く、その飲料を製造する時点で適用可能な工業的および国政的標準に基づき微生物品質が許容できるものである。ある典型的な具体例において、水は飲料の重量当たり約80%から約99.9%のレベルで存在する。
【0032】
典型的に最大量成分なので、水は、飲料の最終溶存O濃度に対して重要な寄与体となる。それで、本発明のいくつかの具体例において、水の溶存O濃度を削減することがモナチン安定性を向上させるのに寄与する。他の具体例において、全飲料組成物の溶存O濃度を削減する。
【0033】
典型的な製造条件下、水成分および最終飲料組成物の双方の溶存O濃度は約5.0 mg/Lから約10.0 mg/Lの範囲にある。しかしながら、本発明のいくつかの具体例において、溶存O濃度を約2.0 mg/L未満、より好ましくは約1.5 mg/L未満に削減することが望ましい。いくつかの具体例において、水成分または最終飲料組成物のうち少なくとも一つの溶存酸素濃度を約0.5 mg/L未満に低減する。
【0034】
商業的に、これらの低減されたO状態は、飲料を、制限なく、窒素 (N2)、二酸化炭素 (CO)、またはアルゴン (Ar)を含む不活性ガスで注入撹拌することで達成できる。あるいは、減圧(真空)の負荷もO除去を容易にする。Oストリッピングの効率は、本発明のいくつかの具体例において、特別の脱気装置、例えば、GasTran Systemsにより製造された液体せん断装置で達成でき、その装置は、選択された不活性ガスおよび/または真空の存在下、溶液を非常に小さな滴にせん断することによって溶存O濃度を低減する。
【0035】
製造後、飲料組成物のいくつかの具体例は、を容器にパックする。これらの容器は、さらに液体不透過性組成物からなる壁を含む。容器は、追加的に、キャップまたは栓のような容器を密封する機構を含む。容器壁は、ガラス、鉄、アルミニウム、他の食物が摂食しても安全な金属、ポリマーまたはそれらの組合せから作製することができる。ポリマーは壁組成物として普通の素材である。容器壁および栓にもっとも普通に用いられるポリマーは、低密度ポリエチレン (LDPE)、高密度ポリエチレン (HDPE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンビニルアルコール (EVA)、ポリプロピレン (PP)、エチレンプロピレンコポリマー(EPC)、ポリ塩化ビニル (PVC)、アクリロニトリルコポリマー (AN)、ポリエチレンテレフタレート (PET)、ポリスチレン (PS)、ポリカーボネート (PC)、およびナイロン (NYL)を含む。追加の容器壁組成物は当業者に明らかであろう。
【0036】
容器壁および栓の製造に用いるポリマーは、変化する度合のO透過性を示す。本発明の特定の具体例の飲料への製造後O移動は、いくつかの具体例においては、それが抗酸化剤を含んでいても、著しくモナチンの安定性を低下させる。本発明のいくつかの具体例のパック飲料組成物へのO移動を低減または実質的に除去するため、容器壁または栓が内包する1以上のOトラップ組成物、O拡散ブロック組成物、可視光ブロック組成物、またはUV光ブロック組成物を付与することが望ましい。これは、容器壁もしくは栓への1以上の取込みによって、または容器壁または栓を、容器壁または栓の効率的O透過性を低減するために選択された組成物でコーティングまたは処理することによって、達成する。いくつかの具体例において、これらの組成物は、約1%から約5%の量で容器壁または栓ポリマーに取り込まれる。
【0037】
容器壁または栓のO透過性を(Oトラップもしくは束縛拡散、または両方によって)低減できる組成物は、アスコルビン酸、グルコースオキシダーゼ、光酸化可能不飽和炭化水素、金属酸化可能不飽和炭化水素、ならびに、鉄、亜鉛、銅、アルミニウムまたはスズのような酸化可能金属を含む。追加の酸素透過性低減組成物は、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0038】
さもなければ光透過性容器壁を通して光(可視またはUV)の通過を低減または実質的にブロックできる組成物は、Ultimate UV(TM) Blocker (ColorMatrix)、ClearShield(R) UV Absorber (Milliken Chemical) および Vitiva(TM) UV Absorber (Eastman Chemical)を含む。追加の光ブロック組成物は当業者に明らかであろう。代替的な具体例において、着色ガラスのような光不透明素材、または鉄、スズまたはアルミニウムのような金属を用いることができる。
【0039】
ここで用いるとき、「飲料組成物」は、そのまま飲用できる(すなわち、希釈する、または、「レディ・トゥ・ドリンク "ready-to-drink"」である)組成物または追加の液体で希釈または混合して、飲用可能な飲料を作れる液体濃縮物をいう。ここでの飲料組成物は、炭酸飲料、非発泡性ソフトドリンク、コーヒー飲料、紅茶飲料、乳製飲料、液体濃縮物、フレーバーウォーター、強化ウォーター、フルーツジュースおよびフルーツジュースフレーバードリンク、スポーツドリンク、およびアルコール製品を含む。
【0040】
いくつかの具体例において、飲料組成物は、モナチンと甘味料(例えば、スクロース、スクラロース、または高フルクトースコーンシロップ)のブレンドを含む。他の具体例において、モナチンを含む飲料組成物は、着香料、着色料、有機酸、無機酸、保存料、カフェイン、ポリオールおよび/またはバルク甘味料を含む。バルク甘味料は、例えば、砂糖甘味料、シュガーレス甘味料および低グリセミック炭化水素(すなわち、グルコースよりも低いグリセミック指数の炭水化物)であってよい。他の具体例において、モナチン含有飲料組成物は、高甘味度甘味料および/または低グリセミック炭水化物を含む。他の具体例において、モナチン含有飲料組成物は甘味および/または風味強化剤を含む。
【0041】
いくつかの具体例において、飲料組成物は、本質的にS,SまたはR,Rモナチンからなるモナチンを含む。他の具体例において、その組成物は、主にS,SまたはR,Rモナチンを含有する。「主に」は、組成物中に存在するモナチン立体異性体のうち、モナチンが特定の立体異性体を90%を超えて含有することを意味する。いくつかの具体例において、組成物はS,SまたはR,Rモナチンを実質的に含まない。「実質的に含まない」は、組成物中に存在するモナチン立体異性体のうち、組成物が特定の立体異性体を2%未満含有することを意味する。本発明の別の局面において、飲料組成物は立体異性体−豊富化モナチン混合物を含む。「立体異性体−豊富化モナチン混合物」は、その混合物が1を超えるモナチン立体異性体を含有し、かつ、その混合物中の少なくとも60%のモナチン立体異性体が、R,R、S,S、S,RまたはR,Sのような特定の立体異性体であることを意味する。他の具体例において、その混合物は、約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%より多い特定のモナチン立体異性体を含有する。もうひとつの具体例において、飲料組成物は立体異性体−豊富化R,RまたはS,Sモナチンを含む。「立体異性体−豊富化」R,Rモナチンは、そのモナチンが少なくとも60%のR,Rモナチンを含むことを意味する。「立体異性体−豊富化」S,Sモナチンは、そのモナチンが少なくとも60%のS,Sモナチンを含むことを意味する。他の具体例において「立体異性体−豊富化」モナチンは、約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を超えるR,RまたはS,Sモナチンを含むことを意味する。
【0042】
他の具体例において、モナチンまたはその塩を含む飲料組成物は、1以上のバルク甘味料、高甘味度甘味料、低グリセミック炭水化物、着香料、抗酸化剤、カフェインまたは甘味増強剤をさらに含む。例えば、着香料は、コーラ風味、シトラス風味、ルートビア風味およびそれらの組合せから選択することができる。例えば、バルク甘味料は、コーン甘味料、スクロース、デキストロース、転化糖、マルトース、デキストリン、マルトデキストリン、フルクトース、レブロース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ固形物、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、フルクトオリゴ糖およびそれらの組合せから選択することができる。例えば、高甘味度甘味料は、スクラロース、アスパルターム、サッカリン、アセスルファム−K、アリターム、ソーマチン、ジヒドロカルコン、ネオターム、サイクラミン酸塩、ステビオシド、モグロシド、グリチルリチン、フィロズルチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、サーキュリン、ペンタジンおよびそれらの組合せから選択することができる。例えば、低グリセミック炭水化物は、D-タガトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マルチトール、水添デンプン加水分解物、イソマルト、D-プシコース、1,5 アンヒドロ D-フルクトースおよびそれらの組合せから選択することができる。例えば、甘味増強剤は、クルクリン、ミラクリン、シナリン、クロロゲン酸、コーヒー酸、ストロジン、アラビノガラクタン、マルトール、ジヒドロ安息香酸およびそれらの組合せから選択することができる。
【0043】
例えば、モナチンを他の栄養素または非栄養素甘味料とブレンドして、特定の風味プロファイルまたはカロリー目標を達成することができる。かくして、甘味料組成物は、モナチンと1以上の以下の甘味料タイプ:(1)糖アルコール(エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、低グリセミックシロップなど);(2)他の高甘味度甘味料(アスパルターム、スクラロース、サッカリン、アセスルファム−K、ステビオシド、サイクラミン酸塩、ネオターム、ソーマチン、アリターム、ジヒドロカルコン、モネリン、グリチルリチン、モグロシド、フィロズルチン、マビンリン、ブラゼイン、サーキュリン、ペンタジンなど)および(3)栄養素甘味料(スクロース、D-タガトース、転化糖、フルクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、グルコース/デキストロース、トレハロース、イソマルツロースなど)との組合せを含み得る。モナチンをそのようなブレンドに用いて、後味を抑えたり、他の風味を増強したり、時間的風味プロファイルを向上したりする味覚変革物質として用いることができる。
【0044】
特定の具体例において、モナチンは、飲料組成物の約0.0003から約1%の範囲の量(すなわち、約3から約10,000 ppm)(例えば、約0.0005から約0.2%)で存在し、その範囲内のいかなる特定の値(例えば、飲料組成物の0.0003%、0.005%、0.06%または0.2%)も含む。例えば、飲料組成物は、R,Rモナチンの0.0005から0.005%(例えば、0.001から0.0045%)、またはS,Sモナチンの0.005から0.2%(例えば、0.01から0.175%)を含んでよい。
【0045】
食品グレードの天然または人工着色剤を、任意で、飲料組成物に含ませることができる。これらの着色剤は、当該分野で一般的に知られ、入手可能なものから選択することができ、合成着色剤(例えば、アゾ染料、トリフェニルメタン、キサンテン、キニン、およびインディゴイド)、カラメルカラー、二酸化チタン、レッド#3、レッド#40、ブルー#1、およびイエロー#5を含む。例えば、ビートジュース(ビートレッド)、カーマイン、クルクミン、ルテイン、ニンジンジュース、ベリージュース、スパイスエキス(ターメリック、ベニノキおよび/またはパプリカ)、およびカロテノイドのような天然着色剤も用いることができる。選択された着色剤のタイプおよび量は最終製品および消費者の好みに依存する。
【0046】
いくつかの具体例において、飲料組成物は、1以上の天然または合成着香料も含む。適当な着香料は、シトラスおよびノンシトラスフルーツ着香料;スパイス;ハーブ;植物成分;チョコレート、ココア、またはチョコレートリキュール;コーヒー;バニラビーンズから得られた着香料;ナッツエキス;リキュールおよびリキュールエキス;フルーツブランディー蒸留物;アロマティックケミカル、人造着香料;およびそれらのいずれかの濃縮物、エキスまたはエッセンスを含む。シトラス風味は、例えば、レモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、グレープフルーツ、シトロンまたはキンカンを含む。多くの着香料が、例えば、Rhodia USA (Cranbury, N.J.); IFF (South Brunswick, N.J.); Wild Flavorings、Inc. (Erlanger, Ky.); Silesia Flavors, Inc. (Hoffman Estates, 111.), Chr. Hansen (Milkwaukee, Wis.), およびFirmenisch (Princeton, N J.)から商業的に入手可能である。
【0047】
飲料組成物のpHは、酸(例えば、無機または有機酸)の添加により制御できる。典型的には、飲料組成物のpHは、2.5から約7.0の範囲であり、いくつかの具体例において、それは約2.5から約4.5および、付加的な具体例において、それは約2.8から約3.0の範囲である。有用な無機酸は、リン酸を含み、それは、未解離形態で、すなわちアルカリ金属塩(例えば、カリウムもしくはナトリウムリン酸水素、またはカリウムもしくはナトリウム二リン酸水素塩)として存在し得る。使用できる有機酸の非制限的な例は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、グルクロノラクトン、ヒドロキシクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸またはそれらの混合物を含む。これらの酸は、それらの未解離形態すなわちそれらの各塩として存在し得る。含ませる量は、もちろん、緩衝剤のタイプおよびpHを調節すべき程度に依存する。
【0048】
この開示による飲料および他の飲料製品は多数の異なる特定の配合または組成のいずれも含むことができると理解されるべきである。この開示による飲料製品の配合は、その製品の意図する市場セグメント、その所望栄養素特性、風味プロファイルなどの要因に依存してある程度変化する。例えば、一般に、下記の飲料配合のいずれかを含む特定の飲料具体例の配合にさらなる成分を添加する選択肢がある。追加の(すなわち、さらにおよび/または他の)甘味料を添加することができ、着香料、電解質、ビタミン、フルーツジュースまたは他のフルーツ製品、味覚剤、マスキング剤など、風味増強剤、および/または炭酸ガスを典型的にいかなるそのような配合に添加して、味、口当たり、栄養素特性等を変えられる。通常、この開示による飲料は、典型的に、少なくとも、水、甘味料、酸味料および着香料を含む。少なくともこの開示によるある配合に適する代表的な着香料は、コーラ着香料、シトラス着香料、ルートビア着香料、スパイス着香料その他を含む。二酸化炭素の形態の炭酸ガスを発泡のために添加することができる。天然保存料を、所望すれば、他の成分、製造技術、所望する棚寿命等に依存して、添加できる。任意で、天然カフェインを添加できる。ここに開示する飲料の特定の代表的具体例は、炭酸水、甘味料、コーラナッツエキスおよび/または他のコーラ着香料、カラメル着色料、および任意の他の成分を特徴的に含有するコーラ風味炭酸飲料である。付加的なまたは代替的な適当な成分は、この開示の利益に鑑み、当業者に理解されるであろう。
【0049】
本発明のいくつかの具体例は、非発泡性飲料、すなわち、炭酸化されていない飲料と考えられる。一般的な例は、コーヒー飲料、紅茶飲料、乳飲料、フレーバーウォーター、強化ウォーター、非炭酸ソフトドリンク、フルーツジュースおよびフルーツジュース−風味ドリンク、スポーツドリンク、およびビールやシャンパン以外のアルコール製品を含む。
【0050】
他の具体例におい、飲料は、発泡させるのに十分な量の溶存二酸化炭素 (CO)を含有する。一般的な例は、炭酸ソフトドリンク、ビールおよびシャンパンを含む。そのような炭酸飲料は、典型的に、飲料の体積あたり約1.6体積COから飲料の体積あたり約4.2体積COの二酸化炭素濃度を有する。典型的に、発酵によって(ビールやシャンパンの場合)または圧力下で飲料に二酸化炭素を溶解させることによって(炭酸飲料の場合)、二酸化炭素を飲料に導入する。飲料炭酸化の特定の方法は、当業者によく知られている。
【0051】
炭酸飲料において、炭酸化のプロセスは飲料からの溶存酸素の排除または置き換えを生じる。典型的な炭酸ソフトドリンクにおいて、飲料の炭酸化は、約2.0 mg/Lから約3.0 mg/Lの範囲まで低減された溶存酸素濃度を生じる。安定性を促進するため、約2.0 mg/L未満、およびより好ましくは約1.5 mg/L未満の溶存酸素レベルを有することが望ましい。いくつかの具体例において、最終炭酸飲料組成物の溶存酸素濃度は約0.5 mg/L未満にまで低減される。
【0052】
炭酸飲料の溶存酸素濃度の低減は、飲料に溶解させる二酸化炭素の量を増加するか、または、代替的に、炭酸化前にこの明細書に提供される教示により飲料(または水成分)を脱気することによって達成する。炭酸化前脱気の場合、いくつかの具体例における炭酸化前飲料の溶存酸素濃度は約6.0 mg/L未満であり、さらなる具体例において、約4.0 mg/L未満であり、付加的な具体例において、約2.0 mg/L未満である。
【実施例】
【0053】
本発明の局面による特定の具体例の局面は、以下の実施に例示される。これらの実施例に記載される素材および方法は例示的であって、限定することを意図していない。
【0054】
実施例1:酸素濃度およびモナチン安定性
およそ95.4%のR,R-モナチン一カリウム塩(乾燥ベース)を含有する合成R,R-モナチンをCSIR (Modderfontein, South Africa)から入手した。約100 mg/LのこのモナチンをpHが約2.8-3.0で、高純水中9 mMクエン酸−クエン酸三ナトリウムを含むバッファー溶液に入れ、約150 mg/Lの安息香酸ナトリウムと一緒に保存した。溶存Oレベルを、標的とするO濃度を達成するまで、これらのサンプルに、圧縮空気をバブリングして増やすか、またはN(99.9%純度)をバブリングして減らした。溶存Oレベルは、Ocean Optics (Dunedin, FL)からのFOXY蛍光消光Oアナライザーを用いて20℃にて定量した。サンプルは、O調整後、透明のガラスアンプル(-10 mL)中で保存し、熱密封して空密封鎖した。これらのサンプルを、次いで、均一な照射とするための回転カルーセルで構成された光ボックス(-2200ルクスの光強度)中で連続的に(一日24時間)光にさらした。光源は、紫外(UV)光波長通過バルブおよび標準蛍光バルブによって提供した。光によって生じた熱はサンプルを約28℃の温度に温めた。処理ごとに2つのサンプルを、総インドール濃度につき、以下の方法で毎週分析した。結果はテーブル1に見られる。
【0055】
総インドール(モナチンおよびその分子内転移生成物、モナチンラクトンならびにモナチンラクタム)濃度は、40℃にてAgilent Zorbax Eclipse C18カラムを用いる逆相HPLCによって、PDAによる280 nmでのUV検出で定量した。化合物は、(A) 0.3%ギ酸および10 mMギ酸アンモニウム入りの1:1メタノールおよびアセトニトリル(v:v)と、(B) 10 mMギ酸アンモニウム入りの水中0.3%ギ酸からなる勾配移動相によって溶出させた。3つの化合物につき合計したピーク面積は、モナチンにつき調製した標準曲線に基づくモナチン濃度(mg/L)として表した。かくして、モナチンの減衰係数を用いて、モナチンラクトンおよびモナチンラクタムの濃度を見積もった。これらの化合物の標準が入手できなかったからである。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例2.低酸素およびモナチン安定性への抗酸化効果
およそ95.4%のR,R-モナチン一カリウム塩(乾燥ベース)を含有する合成R,R-モナチンをCSIR (Modderfontein, South Africa)から入手した。約35 mg/LのこのモナチンをpHが約2.8-3.0で、高純水中9 mMクエン酸−クエン酸三ナトリウムを含むバッファー溶液に入れ、約150 mg/Lの安息香酸ナトリウムと一緒に保存した。いくつかのサンプルに、200 ppmのSANMELIN(TM) AO-3000 酵素修飾イソクエルシトリン(EMIQ) (San-Ei Gen F.F.I. - Osaka, Japan)を添加した。溶存Oレベルを、標的とするO濃度を達成するまで、これらのサンプルに、圧縮空気をバブリングして増やすか、またはN(99.9%純度)をバブリングして減らした。溶存Oレベルは、Ocean Optics (Dunedin, FL)からのFOXY 蛍光消光Oアナライザーを用いて20℃にて定量した。サンプルは、O調整後、透明のガラスアンプル(-10 mL)中で保存し、熱密封して空密封鎖した。これらのサンプルを、次いで、均一な照射とするための回転カルーセルで構成された光ボックス(-2200ルクスの光強度)中で連続的に(一日24時間)光にさらした。光源は、紫外(UV)光波長通過バルブおよび標準蛍光バルブによって提供した。光によって生じた熱はサンプルを約28℃の温度に温めた。処理ごとに2つのサンプルを、総インドール濃度につき、以下の方法で毎週分析した。結果はテーブル2に見られる。
【0058】
総インドール(モナチンおよびその分子内転移生成物、モナチンラクトンならびにモナチンラクタム)濃度は、40℃にてAgilent Zorbax Eclipse C18カラムを用いる逆相HPLCによって、PDAによる280 nmでのUV検出で定量した。化合物は、(A) 0.3%ギ酸および10 mM ギ酸アンモニウム入りの1:1メタノールおよびアセトニトリル(v:v)と、(B) 10 mMギ酸アンモニウム入りの水中0.3%ギ酸からなる勾配移動相によって溶出させた。3つの化合物につき合計したピーク面積は、モナチンにつき調製した標準曲線に基づくモナチン濃度(mg/L)として表した。かくして、モナチンの減衰係数を用いて、モナチンラクトンおよびモナチンラクタムの濃度を見積もった。これらの化合物の標準が入手できなかったからである。
【0059】
【表2】


【0060】
実施例3:官能性評価
およそ95.4%のR,R-モナチン一カリウム塩(乾燥ベース)を含有する合成R,R-モナチンをCSIR (Modderfontein, South Africa)から入手した。約35 mg/LのこのモナチンをpHが約2.8-3.0で、高純水中9 mMのクエン酸−クエン酸三ナトリウムを含むバッファー溶液に入れ、約150 mg/Lの安息香酸ナトリウムと一緒に保存した。いくつかのサンプルに、200 ppmのSANMELIN(TM) AO-3000 酵素修飾イソクエルシトリン(EMIQ) (San-Ei Gen F.F.I. - Osaka, Japan)を添加した。溶存Oレベルを、標的とするO濃度を達成するまで、これらのサンプルに、圧縮空気をバブリングして増やすか、またはN(99.9%純度)をバブリングして減らした。溶存Oレベルは、Ocean Optics (Dunedin, FL)からのFOXY 蛍光消光Oアナライザーを用いて20℃にて定量した。サンプルは、O調整後、透明のガラスアンプル(-10 mL)中で保存し、熱密封して空密封鎖した。これらのサンプルを、次いで、均一な照射とするための回転カルーセルで構成された光ボックス(-2200ルクスの光強度)中で連続的に(一日24時間)光にさらした。光源は、紫外(UV)光波長通過バルブおよび標準蛍光バルブによって提供した。光によって生じた熱はサンプルを約28℃の温度に温めた。処理ごとに2つのサンプルを、風味および芳香につき、モナチン知覚性低下を検出するように訓練された2人の食物科学者によって毎週分析した。各パラメータの強度は、0(無刺激)から9(極度)までのスケールで評価し、ついで、平均反応を計算した。結果はテーブル3Aおよび3Bに見られる。
【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
実施例4:3-メチルインドールの存在を測定する方法
いくつかの官能性評価の間に望ましくない風味および匂いを有すると記載された化合物をここに記載する。それは、光にさらしたサンプルにおいて見られるだけで、初期サンプル(0日目)でも暗闇で保存されたサンプルでも検出されなかった。化合物(3-メチルインドール; 3-MI;スカトール)は、ガスクロマトグラフィー(GC)、質量分析、ならびに、その保持時間、質量スペクトル、および以下の方法を用いる匂いプロファイルに基づく臭覚検査を用いて、同定した。
【0064】
サンプルからの揮発性成分を吸収材上にパージし、次いで、質量分析による次なる分離と同定のために冷GCインレットにそれらを熱放出した。同時に、GCカラム溶出物を、質量スペクトル (mass spec)と臭覚ポート (olfactory port)に分けて、そのサンプル全体の匂いに寄与する化合物についての特異的な匂い特徴を測定した。
【0065】
各サンプルを、2回、抽出し分析した。25 gのサンプルを抽出フラスコに量り取り、5 μlの内部標準(エチルベンゼンDlO 50 ppmにて)を添加し、次いで、10.5 gの塩化ナトリウムをフラスコに添加した。ヘリウム入口ならびに、Tenax (約200 mg)および2つのPDMSコートTwisters(TM)を含有する加熱脱離チューブ(TDS)を出口として持つ蒸留アダプターをフラスコに取り付けた。サンプルを、50 ml/分のヘリウムフローレートで40℃にて30分間撹拌して抽出した。TDSチューブを取り外し、35-200℃の温度傾斜にて、-50℃のクライオフォーカスした(cryofocused)入り口上に加熱脱離した。GC入り口は、30 ml/分で117 kPaにてスプリットモード(20:1 比率)で操作した。カラムフローレートは、32 cm/秒の平均速度でコンスタントフローモードにおいて1.5 ml/分であった。GCオーブンは、0分間50℃に、20℃/分にて100℃まで0分間傾斜させ、ついで、3℃/分にて150℃まで傾斜させ、最後に、3.00分間20℃/分にて250℃まで傾斜するようにプログラムした。MSD四重極を150℃、源を230℃、および移送ラインを280℃にセットした。スキャンモードを20〜350の間の質量に用い、閾値を50に設定した。スキャン速度は1秒あたり4.33スキャンであった。30-メーター x 0.25 mm (0.25 ミクロン膜厚) DB-5MSキャピラリーカラムを分離に用いた。
【0066】
各再構築総イオン電流クロマトグラム(RTICC)を手動で再加工して、1)臭覚および質量スペクトルライブラリーマッチングを用いて化合物を同定した。臭覚では検出されないが、著しい反応を生じた化合物も同定し、2)ピークを統合して面積を得、分析した他のサンプルと相対比較した。内部標準を用いて回収および抽出効率を補償する助けとした。各化合物の補正面積は、次いで、より簡単に試験中に分析したサンプルを比較するようにグラフィック形態に転換した。
【0067】
実施例5.太陽光とモナチン安定性
およそ95.4%のR,R-モナチン一カリウム塩(乾燥ベース)を含有する合成R,R-モナチンをCSIR (Modderfontein, South Africa)から入手した。約39 mg/LのこのモナチンをpHが約2.8-3.0で、高純水中9 mMのクエン酸−クエン酸三ナトリウムを含むバッファー溶液に入れ、約150 mg/Lの安息香酸ナトリウムと一緒に保存した。いくつかのサンプルに、200 ppmのSANMELIN(TM) AO-3000 酵素修飾イソクエルシトリン(EMIQ) (San-Ei Gen F.F.I. - Osaka, Japan)を添加した。溶存Oレベルを、標的とするO濃度を達成するまで、これらのサンプルに、圧縮空気をバブリングして増やすか、またはN(99.9%純度)をバブリングして減らした。溶存Oレベルは、Ocean Optics (Dunedin, FL)からのFOXY 蛍光消光Oアナライザーを用いて20℃にて定量した。サンプルは、O調整後、透明のガラスアンプル(-10 mL)中で保存し、熱密封して空密封鎖した。次いで、サンプルは、暗闇中に保存するか、または、太陽光に曝すかのいずれかをした。太陽光への暴露は、光官能性化合物にとって、蛍光ボックスよりも一層過酷な環境である。なぜならば、太陽光は何倍も明るく(-100,000ルクス対-2200ルクス)、高エネルギーUV照射を生じるからである。これら交互の条件下でサンプルを試験するために、サンプルは太陽光の外でまたは曝して保存し、そこでの温度は約5〜約30℃であり、光強度は、夜で0から晴れた日で約100,000ルクスであった。2つのサンプルを、総インドール濃度につき、以下の方法で毎週分析した。結果はテーブル4に見られる。
【0068】
総インドール(モナチンおよびその分子内転移生成物、モナチンラクトンならびにモナチンラクタム)濃度は、40℃にてAgilent Zorbax Eclipse C18カラムを用いる逆相HPLCによって、PDAによる280 nmでのUV検出で定量した。化合物は、(A) 0.3%ギ酸および10 mM ギ酸アンモニウム入りの1:1メタノールおよびアセトニトリル(v:v)と、(B) 10 mMギ酸アンモニウム入りの水中0.3%ギ酸からなる勾配移動相によって溶出させた。3つの化合物につき合計したピーク面積は、モナチンにつき調製した標準曲線に基づくモナチン濃度(mg/L)として表した。かくして、モナチンの減衰係数を用いて、モナチンラクトンおよびモナチンラクタムの濃度を見積もった。これらの化合物の標準が入手できなかったからである。
【0069】
【表5】

【0070】
ここでの教示から当業者に明らかなように、本発明の特定の組合せおよび実施例は上記局面の一つまたは組合せならびに他の局面に向けることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1.5 mg/L未満の低減された溶存O含量を有する液体;
モナチンを含む高甘味度甘味料組成物;および
食用抗酸化剤
を含む飲料組成物。
【請求項2】
高甘味度甘味料組成物が立体異性体−豊富化R,Rモナチンを含む、請求項1の飲料組成物。
【請求項3】
液体が水である、請求項1または2の飲料組成物。
【請求項4】
液体が約0.5 mg/L未満の溶存O含量を有する、請求項1〜3いずれかの飲料組成物。
【請求項5】
液体が約0.05 mg/Lと約0.5 mg/Lとの間の溶存O含量を有する、請求項1〜3いずれかの飲料組成物。
【請求項6】
液体が実質的に溶存Oを含まない、請求項1〜3いずれかの飲料組成物。
【請求項7】
食用抗酸化剤が天然食用抗酸化剤である、請求項1〜3いずれかの飲料組成物。
【請求項8】
食用抗酸化剤がEMIQである、請求項7の飲料組成物。
【請求項9】
EMIQの濃度が約15 mg/Lと約45 mg/Lとの間である、請求項8の飲料組成物。
【請求項10】
EMIQの濃度が約30 mg/Lである、請求項8の飲料組成物。
【請求項11】
高甘味度甘味料組成物が少なくとも約90%のR,Rモナチンを含む、請求項1〜10いずれかの飲料組成物。
【請求項12】
約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、認識できるかび臭い異臭を発しない、請求項1〜11いずれかの飲料組成物。
【請求項13】
約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、約0.5 ppm未満の3-メチルインドールを含有する、請求項1〜12いずれかの飲料組成物。
【請求項14】
約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、総インドール量で測定して、そのモナチンを少なくとも約60%維持している、請求項1〜13いずれかの飲料組成物。
【請求項15】
約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、総インドール量で測定して、そのモナチンを少なくとも約75%維持している、請求項1〜13いずれかの飲料組成物。
【請求項16】
約2200ルクスの蛍光の連続照射下、28℃にて28日間保存した後、総インドール量で測定して、そのモナチンを少なくとも約85%維持している、請求項1〜13いずれかの飲料組成物。
【請求項17】
約2.0と約7.0の間のpHを有する、請求項1〜16いずれかの飲料組成物。
【請求項18】
pHが約2.5と約4.5の間である、請求項17の飲料組成物。
【請求項19】
pHが約2.8と約3.0の間である、請求項17の飲料組成物。
【請求項20】
少なくともその一部が可視光またはUV光を通す壁を有する容器;容器中に、水、モナチンおよび抗酸化剤を含み、かつ、約1.5 mg/L未満の溶存O含量を有する飲料組成物、
を含む常温長期保存可能パック飲料。
【請求項21】
容器壁が少なくともある程度O透過性であり、容器壁が、Oトラップ組成物、O拡散ブロック組成物、可視光ブロック組成物、およびUV光ブロック組成物よりなる群から選択される少なくともひとつの組成物を内包している、請求項20の常温長期保存可能パック飲料。
【請求項22】
容器栓が少なくともある程度O透過性であり、容器栓が、Oトラップ組成物、O拡散ブロック組成物、可視光ブロック組成物、およびUV光ブロック組成物よりなる群から選択される少なくともひとつの組成物を内包している、請求項20の常温長期保存可能パック飲料。
【請求項23】
飲料組成物が、請求項1〜19いずれかの常温長期保存可能飲料組成物を含む、請求項20〜22いずれかの常温長期保存可能パック飲料。
【請求項24】
天然食用抗酸化剤が、エリソルビン酸、ユビキノン、グルタチオン、ローズマリーエキス、グレープシードエキス、ブルーベリーエキス、松樹皮エキス、クランベリーエキス、オリーブ果汁、ココアポリフェノール、ワインポリフェノール、ミリシトリン、ルチン、EMIQ、トコフェノール、トコトリエノール、カロテノイド、β-カロテン、リコペン、ルテイン、および天然アスコルビン酸よりなる群から選択される少なくとも1の組成物である、請求項7の飲料組成物。
【請求項25】
非発泡性飲料である、請求項7の飲料組成物。
【請求項26】
炭酸飲料である、請求項7の飲料組成物。

【公表番号】特表2012−527897(P2012−527897A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513180(P2012−513180)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/036078
【国際公開番号】WO2010/138513
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(500159680)カーギル・インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】