説明

幅広の基体に発泡体を吐出する装置並びに方法

【課題】発泡した材料を基体表面に吐出する方法
【解決手段】被覆される基体表面と材料吐出装置の出口開口との間に相対移動を生じさせるステップと、少なくとも2つの材料成分を混合装置の中で混合して、自由に流動する、発泡する吐出材料を供給するステップと、混合装置と、出口開口の放出断面から流れ方向の下流に置かれた吐出領域との間で差圧を生じさせるステップと、吐出材料を吐出材料の混合装置から出口開口へ搬送するステップと、及び吐出材料を出口開口から基体表面へ放出するステップとを有する方法で発泡した材料を広大な基体へ吐出するとき、発泡体吐出の均一性が、特に塗布の粘稠度と厚さとに関して、望ましくないむらにより損なわれる問題がある。そこで、吐出材料を、出口開口の放出断面から上流の隣接領域で、ある一定の圧力で保持し、この領域の吐出材料の発泡率を、発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満とすることで解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡させた材料を基体表面に吐出する装置並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発泡させた材料の吐出は、材料を吐出する必要があるものの、費用や重さなどの理由からできる限り少量の吐出材料を投与する、しかし被膜の厚さは一定の値より薄くしないという場合に望ましい。発泡材料は、具体的に、2つの基体または成分をできるだけ少量の接着剤で接合して、高価な接着剤の消費量を節減し、かつそうした接合で接合された基体または製品の重量増加を最小化することに目的のある産業の利用現場で吐出される。
【0003】
均一な接合が目標であれば、発泡させた材料をできるだけ均一に吐出する要がある。均一な吐出とはこの背景で次のように理解する。すなわち、一方で、材料は精確に決められた塗布被膜の縁部輪郭に沿って長手方向及び幅方向に吐出できること。他方で、施した被膜の厚さは全被覆領域に亘り可能な限り精確に所定の高さの被覆の厚さに一致すること、特にこの厚さが長手方向と幅方向とにできるだけ均一に広がること、具体的には吐出された被膜の各個所で同じ厚さがゆきわたっていること。
【0004】
特許文献1及び特許文献2から、気体と接着剤との混合物を出口開口から基体へ吐出して被膜を施す方法が知られている。気体と接着剤の混合物は予め混合装置で作り出され、ポンプを使って出口開口へ搬送される。
【特許文献1】独国特許出願公開第19757237明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19757238明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】

発泡させた材料をこの方法で塗布したとき遭遇する1つの特有の問題は、発泡させた材料の搬送時にむらが生じ、結果として、塗布した被膜の望ましい均一性が、全ての塗布の形態で、また寸法の異なる種々の被膜で確保されるとは限らないことである。具体的には幅広の、例えば50cmを超える、特に1メーターを超える幅の発泡被膜を施こそうとすれば、周知の方法で生成される被膜はかなりの局所むらを免れず、結果として被膜の品質、したがって被膜から得られる接着結合の品質は多くの用途について十分とはいえない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、周知の方法より優れた発泡被膜の均一性を、特に被膜の厚さについて達成する方法を提供する。
具体的にいえば、吐出材料は出口開口の放出断面から上流の隣接領域で、ある一定の圧力で保持され、この領域の吐出材料の発泡率が発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満になるようにする。
【0007】
本発明の趣旨の中で用語「発泡率」とは、発泡体材料の全体積に対する発泡体の気体部分の体積の割合を意味する。
【0008】
本発明は、出口開口の放出断面から上流の隣接領域にある材料ができるだけ小さな気体体積比を持てば、発泡材料の均一な吐出が達成できるという認識に基づいている。出口開口を通過するとき材料がほぼ液体のまたは液体ペーストの体積比を持てば、結果として出口開口からの吐出材料の均一な送出と吐出とが達成できる。
【0009】
本発明ではこの認識を適用して、出口開口の放出断面から上流の隣接領域にある吐出材料をある一定の圧力下に置き、吐出材料の気体成分を大いに圧縮し、または溶液に溶解させる、つまり物理的相変化や、化学反応、またはそうした相変化や反応の抑止により液体状態に変化させたり液体状態に留まるようにさせる。本発明によれば、吐出材料はこうしてほぼ完全に液相のかつ減圧された状態で出口開口から送出される。これにより結果として発泡体は出口開口から下流の領域で所望の大きさに形成されて、均一な発泡被膜を生じさせることができる。
【0010】
放出断面とは、ここでは出口開口の流れ抵抗に関連する、吐出材料の流路の一部と了解する。この関連部分は一般に最狭の断面領域を呈する。放出断面は一般的に出口開口に面一に置かれるが、留意しないといけないのは、流れ抵抗は材料の性質により調整されるから、放出断面をそこから上流に置くこともできることである。
【0011】
了解を要するのは、出口開口の放出断面から上流の隣接領域での、本発明に必要な圧力が、一方で放出断面の大きさに影響され、他方で前記放出断面から搬送される時間単位当りの材料の体積に、最終的には吐出材料の粘度に依存することである。したがって、これらの3つのパラメータを介して事実上圧力を支配することができる。つまり搬送速度や粘度を増すことで、または放出断面の大きさを縮小することで、所望の領域の圧力を上げることができる。
【0012】
本発明の方法の実施に必要な圧力は、吐出材料の混合物の化学的/物理的性質に依存する。必要な圧力は、具体的に、気相の吐出材料が化学的/物理的過程により溶液に溶解または液化して、この状態に保たれる圧力に依存する。具体的に既定の吐出速度、吐出断面の大きさ、粘度とにより定義される確かな他のパラメータに対して、本発明での言及を実施するさらなる可能なパラメータとして吐出材料も織り込むことができ、その発泡率を発泡操作の終りに定まる発泡率の10%未満となるようにする。
【0013】
第1の好ましい実施形態によれば、吐出材料は出口開口の放出断面から上流の隣接領域で、ある一定の圧力により保持されて、この領域の吐出材料が気体部分を含まないようにされる。吐出された発泡体の被膜の均一性は、放出断面から上流の隣接領域の吐出材料が液体または液体ペースト部分だけ含有して気体部分を含有しなければ、さらに高まることが分かっている。この場合、出口開口の絞り効果は位置的、時間的に特に不変であるから、十分に調整することができる。放出される吐出材料の体積は優れて一定し、結果として均一な吐出が達成できる。
【0014】
別の好ましい実施形態では、吐出材料は出口開口の放出断面から上流の隣接領域で、ある一定の圧力により保持されて、この領域の吐出材料が、発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満の発泡率を持つか、または気体部分を含まないようにされる。また、吐出した発泡体の均一性は、出口開口の放出断面に隣接する領域の吐出材料に気体部分が少量存在するかまたは全く存在しない場合だけではなく、出口開口の放出断面から上流の全領域に気体部分が存在しない場合でも、さらに高まることが分かっている。この措置により、大部分が液体のもしくは完全に液体の相、または液体ペースト状の相が、混合装置から出口開口へ広がる全領域に亘って搬送され、結果として時間単位当りの搬送体積は優れて一定に保たれる。こうして塗布材料の均一性を実質的に高めることができる。
【0015】
他の好ましい実施形態によれば、吐出材料の粘度は少なくとも出口開口の放出断面領域で高められて、放出断面での流れ抵抗を大きくする。粘度を高めることで、放出断面がこの断面を通る吐出材料の流れに及ぼす流れ抵抗を大きくすることができる。こうして放出断面から上流の領域での圧力もやはり大きくなる。これにより、本発明の目的である、吐出材料中の気相部分の抑制が達成もしくは援助できる。粘度を上げるには、吐出材料に高粘度成分を加えるなどいろいろな方法が利用できる。
【0016】
特に好ましいのは、吐出材料を冷却して吐出材料の粘度を高めることである。吐出材料を冷却することにより、今日用いられている普通の全吐出材料の粘度は、吐出材料の固化温度に近づけたり、粘度を低める化学反応を抑止もしくは遅らせたりして、顕著に煮詰めることができる。本発明では、吐出材料の温度を下げることは、周辺温度に対して温度を下げる能動的冷却、例えば冷却剤を含む熱交換器により達成することができる。一方、吐出材料は多くの場合搬送動作と加圧とにより周辺温度より高い温度に暖められるから、本発明の趣旨の中の冷却は、周辺の空気に曝されて所望の冷却領域と熱流接触する熱交換領域を設け、熱交換領域と吐出材料との間の有効な熱の流れを十分にすることで達成できる。粘度を高めることは、ホットメルトの吐出材料を使用する場合に特に適している。なぜならこの材料は、次の利用温度のすぐ上の範囲に冷却されると、相当な粘度上昇を遂げるからである(ここでこの材料は固相で存在する)。
【0017】
出口開口に給送される吐出材料の体積は、出口開口の放出断面から上流の隣接領域での圧力に応じて調整されれば、特に、出口開口の放出断面から上流の隣接領域で一定の圧力が維持されればさらに好ましい。出口開口の放出断面から上流の関連領域での圧力の迅速な調整は、そうした圧力依存の体積送り率により達成される。速い搬送速度から招来される出口開口からの時間単位毎の大きな放出体積を補整する必要がある場合は、基体と出口開口との相対速度を吐出材料の搬送速度に比例させて制御し、塗布材料の均一性を維持しなければならない。
【0018】
吐出材料を体積給送ポンプを使って出口開口へ搬送すればこれもまた好ましい。本発明は精確に定義した絞り効果を出口開口の放出断面で達成するから、この絞り効果を背景に体積給送ポンプを用いて材料を給送できる。体積給送ポンプとはここでは、ギアポンプの回転速度などの制御入力変数に応じて、好ましくは前記制御入力変数に比例した一定の体積の流れを給送するポンプだと了解する。1つまたは複数のギアポンプを本発明の方法に用いて、体積送り率を達成するのが好ましい。
【0019】
本発明の1つの特に好ましい実施形態によれば、吐出材料は、出口開口の放出断面として被覆される基体表面に平行に配置されるスロットを通して基体表面に吐出され、基体表面と出口開口とは、吐出工程中スロットの延長方向に直角の方向に互いに相対的に移動する。初めに説明したように、不均一な被膜塗布の問題は、特に、発泡吐出材料に対して長手方向に基体を層で被覆するとき、基体の長手方向を横切る幅が半メーターを超える、特に1メーターを超えるときに起る。従来の吐出方法をこの用途に用いると、多くの場合被膜の長手方向ばかりではなくその幅の方向にも、吐出された層の厚さに相当なむらが生じる。本発明の方法はこうして、特に大きな幅を含む被覆操作に用いるときに特別な利点を提供し、また、本方法を実施すればスロットノズルが吐出ノズルとして用いられて断面の十分な縮小をもたらし、スロットノズルの放出断面から上流の領域で本発明に必要な圧力の増大を達成することができる。
【0020】
これに関連して、吐出材料が複数の吐出材料給送ポンプにより対応する複数のスロット区域へ搬送され、各スロット区域が吐出材料給送ポンプに振り当てられれば特に好ましい。本発明の方法を適用しても、発泡した吐出材料を大きな幅に吐出すれば、幅方向に均一性のむらが発生することが分かっている。上述の進展は、この均一性のむらが、単一の給送ポンプの使用では吐出材料をスロットノズルの幅全体に均一に分配しないことに実質上帰するという認識に基づいている。本発明によれば、このためスロットノズルのスロットは複数のスロット区域に小分割され、さらに各スロット区域には前記区域に振り当てられた給送ポンプにより吐出材料が別々に供給される。この文脈でのスロット区域とは、実際に物理的に画成された全体のノズルスロットの区域、または単に仮想的に画成された単にスロットの1つの区域と了解する。第1の構成では個々のスロット区域は、この区域間に形成された、吐出材料の流れが通過し下流で合流して結束した材料の流れを形成する境界により分割され、材料は境界の配列により案内されて、スロットから上流/下流の、またその中の材料の連続した非分割の流れを形成する。
【0021】
複数のスロット区域を備えかつ吐出材料給送ポンプを各々のスロット区域に振り当てる本発明の実施形態は、特に20cmより短い、具体的には15cmに亘って延びる各スロット区域により進展させることができる。この寸法は多数の吐出材料について均一な吐出を達成するのに特に有利であることが分かっている。
【0022】
材料が、混合装置で混合されて発泡体材料となり、混合装置に配置された給送ポンプにより吐出ヘッドへ搬送され、吐出ヘッドに内設された少なくとも1つの第2の給送ポンプにより好ましくは複数の第2の給送ポンプにより、吐出ヘッド内を吐出ヘッドに配置された出口開口へと搬送されれば、これもまた好ましい。互いに一定の間隔で配置される第1と少なくとも1つの第2の給送ポンプとを設ければ、一方では、本発明に必要な圧力領域での本発明の圧力制御の度合いを特に首尾よく達成することができ、気泡を発生させるまたは問題となる気泡を発生させる圧力以下で、発泡体を混合し単一モジュールから発泡体を吐出する必要はない。代って、この構成により、発泡体は混合装置で混合し処理することができ、さらに発泡体は、その寸法がこのため極めてこじんまりと保たれる吐出ヘッドから吐出することができる。両第1の給送ポンプと第2の給送ポンプはここで1つのまたは複数の個々の給送ポンプとして設けてもよい。この場合第1の給送ポンプは、具体的に、流体力学的に互いに直列に動作する2つの給送ポンプで具現でき、第2の給送ポンプは、具体的に、互いに隣接しかつ流体力学的に互いに並列に動作する複数の給送ポンプとすることができる。
【0023】
これに関連して、吐出ヘッド内の材料が、吐出ヘッドに配置され並列に動作する複数の給送ポンプ好ましくはギアポンプにより、その各々が第2の給送ポンプへ振り当てられた複数の出口開口区域へ搬送されればさらに好ましい。本発明のこの進展は、出口開口を、並列に動作する複数の第2の給送ポンプの1つにそれぞれ振り当てた複数の区域に小分割することで、発泡体材料の、大きな幅全体への均一な吐出をさらに決定的に改善する。この構成により、出口開口区域の1つに振り当てた各給送ポンプを制御して、材料を均一な厚さで全吐出幅を完全に横切って吐出するようにすることができる。これに関連して了解すべきは、各出口開口区域は、実際に物理的に互いに隔離した区域としてもよく、また、各出口開口区域間に実際の物理的隔離のない、つまり区域をその夫々の給送ポンプへ仮想的に割り当てた、1つの出口開口全体の中に画成されて見掛けだけ振り当てられた区域を呈しても差し支えないことである。
【0024】
これに関して、吐出ヘッドに配置した給送ポンプと出口開口との間の領域で、吐出ヘッド内の材料の圧力が1以上の圧力センサーを用いて検知されれば、また、吐出ヘッドに配置した給送ポンプの送り率が検知された圧力に応じて調整されて、この領域の吐出材料が発泡工程の終りに生じる10%未満の発泡率を有するか、または気体部分を含まないようにされればさらに好ましい。本発明のこの進展は、関連領域から、関連領域の圧力に直接作用する給送ポンプまでの圧力を制御する直接制御ループを構成したことにより、本発明の圧力制御に必要な給送ポンプの送り率の精確な調整を達成する。
【0025】
本発明の別の態様は、発泡した材料を基体表面に吐出する装置である。この装置は、少なくとも2つの材料源と流体連結する混合装置であって、前記2つの材料源から給送される材料成分を混合し、自由に流動する、発泡する吐出材料を生成する混合ユニットを備えた混合装置と;混合装置と、出口開口の放出断面から流れ方向の下流に置かれた吐出領域との間に差圧を生じさせる給送ポンプと;自身を流動する吐出材料に流れ抵抗を与える放出断面を設けた出口開口であって、放出断面の寸法を、出口開口の放出断面から上流の隣接領域にある吐出材料がある一定の圧力に保たれて、この領域の吐出材料の発泡率が、発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満となるような大きさにした出口開口;とを具備する。本発明の装置は、発泡した吐出材料を本発明の方法により吐出するのに特に適している。装置のさらなる展開は請求項15乃至25に定義されている。
【0026】
本発明の装置が動作する詳細、具体的利点、並びに方式は、本発明の方法及び展開のそれぞれの態様についての上記を参照されたい。
【0027】
第1の給送ポンプについて具体的に説明する。留意しないといけないのは前記第1の給送ポンプが、1つの給送ポンプまたは並列、直列で動作する複数の給送ポンプで具現できて、必要な送り率をもたらすことである。第2の給送ポンプは吐出ヘッド内部に流体力学的に配置でき、それぞれ出口開口の見掛け的にまたは物理的に隔離された区域に吐出材料を供給する。前記第2の給送ポンプは流体力学的に並列で動作し、好ましくは吐出器に並列構造で装置される。これらは好ましくは個々に制御されて、その各自の送り率と、それに伴うこれらに振り当てられた出口開口区域から放出される吐出材料の個々の制御とが可能となるようにする。
【発明の効果】
【0028】
結果として、供給区域での異なる流れ抵抗などで生じる、出口開口の幅いっぱいに立ち上がる吐出材料の被膜の高さの違いはならされて、全体的に均一な吐出輪郭をもたらすことができる。 本発明の好ましい実施形態を今度は図面を参照しながら記述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1から4について説明する。本発明による吐出装置の好ましい実施形態は囲いハウジング2aを持つ吐出ヘッド1を具備し、ハウジング2aの中にはモーター/伝動装置2により駆動される枢軸が配置してある。枢軸は、2成分の発泡材料から成る混合物が第1の枢軸位置で通行でき、第2の枢軸位置で通行できない長手方向のスロットを持つ。
【0030】
吐出ヘッド1は全体で8つの材料給送ポンプ9a−hを備えている。
吐出ヘッド1にはスロットノズル4が配置されて、吐出ヘッドの幅いっぱいに、かつスロットノズルの下側で搬送される基体の送り方向に直角に延在している。スロットノズル4は1.5mの幅に亘って延在する。スロットノズルの放出断面の寸法は、材料給送ポンプ90a−hとスロットノズル4間で一定の圧力が維持され、この圧力が材料給送ポンプ90a−hとスロットノズル4との間の材料の流れにある吐出材料に発生する気体部分を全体的にまたはほぼ全体的に阻止するような大きさにされる。この圧力はかなり高いため、全てのまたはほぼ全ての気体部分はこの部分で溶解するか、または吐出材料に発生する気体容量の割合が無視できる程度に、具体的には10%未満に圧縮される。スロットノズル4から材料が放出されるまでは実際の発泡は起こらず、吐出材料の付随した膨張も発生しない。
【0031】
図5は、本発明の吐出方法を実施する吐出装置の1実施形態の分解図を示している。吐出ヘッドは囲いハウジング2aを具備し、ハウジング2aには長手方向のスロットを設けた囲い軸2bが枢着してある。囲い軸2bはモーター/伝動装置2により枢動でき、材料の流れを遮断したり放出したりする。
【0032】
下方につまり囲い軸2bから下流の流れ方向には、ハウジング2aの中に、2つの画成縁部4a、4bにより画成されかつ材料を通過させて放出させるスロットノズル4が配置してある。
【0033】
側方上方につまりハウジング2aの囲い軸2bからの流れ方向の上流に、全体で8つの、その各々が別個の電気モーター91a−hで駆動されるギア給送ポンプ90a−hが配置してある。ギアポンプ90a−hはそれぞれアングル歯車を介して駆動される。
【0034】
ギアポンプ90a−hには、吐出ヘッドの左端部に連結された1つの給送系路と右端部に連結された1つの給送系路とから吐出材料が供給される。このため、外側のギアポンプ90aと90hはそれぞれ実質的に抵抗のない、吐出材料の出所を持つ。これらの2つの給送系路が吐出ヘッドに進入する各領域には、ギアポンプから上流の圧力を測定する圧力センサー73、74が配置してある。
【0035】
図6は本発明の吐出装置の略流れ図を示している。
図6に図式的に示した装置は材料源10を備え、材料源10の内部には液体の吐出材料が保持してある。材料源10は第1の連結系路11を介して材料給送ポンプ20へ連結され、ポンプ20は材料源10からの材料を第2の連結系路21へ搬送する。
【0036】
搬送材料は第2の連結系路21から第3の連結系路22へ通り、T字部材23のところで空気給送系路31からの空気と混合される。
【0037】
空気給送系路31を介してT字部材23へ給送される空気は、空気制御弁30によりその体積流動度を調整され、T字部材23のところで逆止め弁32に連結される。逆止め弁32は材料が系路部分から空気給送系路31へ押し出されないようにする。制御された絞り弁33は空気制御装置30に一定の投入圧を与える。
空気/材料の混合集団は、第4の連結系路区域24を介して発泡体搬送ポンプ40へ給送され、ポンプ40はその出口側にある空気/材料の体積を、混合装置50へ開口する第5の連結系路区域41へ搬送する。
【0038】
混合装置50は、空気/材料の体積をなどに記述されたように均質に混合する回転ミキサーである。ここでは特許文献3、具体的には欄4第21行から欄5第51行、及び記述と関連する図2から4に記載されたディスクミキサーを参照する。
【特許文献3】欧州特許第EP0220450B1号明細書
【0039】
均質に混合された発泡体材料は、混合装置から絞り60の第6の系路区域51を通して給送される。絞り60から発泡体の流れ方向の上流下流に、圧力測定装置70の圧力センサー71、72が装置され、絞り60の前後間の差圧を検知することができる。
【0040】
圧力センサー71、72は制御装置(図示せず)に連結され、これらの圧力測定信号を前記制御装置へ伝送する。制御装置は気流制御弁30へ連結され、圧力センサー71、72からの圧力測定信号にしたがって系路31を通る気体の体積流の流動度を制御する。
【0041】
絞り60から下流へは、均質に混合された材料は別の系路区域61と撓み管81とを通って発泡体吐出ヘッド1へ搬送される。発泡体吐出ヘッド1は複数の発泡体吐出区域82a、b、c、...、hを具備し、発泡体材料はこれらの区域から前記発泡体吐出ノズルの出口開口の下方に延びる基体に吐出される。
【0042】
発泡体吐出ヘッド1はまた、撓み管部分84に連結された貫通孔開口83をも具えている。前記撓み管部分84は、系路区域86に連結された締切弁85に開口する。前記系路区域86は第2と第3の系路区域21、22の中間で、材料搬送ポンプ20と空気が加わるT字部材23との間にある給送系路に開口する。発泡体は、発泡体搬送ポンプ40を作動させることにより、発泡体吐出区域82a−hから発泡体を吐出せずに、管84と系路区域86とを介して循環させることができる。
【0043】
締切弁85にも撓み管12が設けられる。管12は管区域84に連結され、弁13を介して材料源10の上方の空気充満部分に開口する。発泡体を発泡体吐出ノズル82a、b、c、...から吐出しないときは、材料搬送ポンプ20の作動時に装置内に危険な圧力増加を生じさせることなく、前記管系路12を経由して材料を装置全体を通して循環させることができる。この目的のため、弁13は発泡体の吐出が一定期間停止される場合も開放してある。
【0044】
加えて、全体の装置は、発泡体吐出ノズルを閉止し弁13を開放して循環を生じさせることにより、管系路12を介して洗浄することができる。そうした後、例えば別の性質の発泡体を装置全体に充填する。
【0045】
管系路81と配送流路81aとを介して吐出材料を発泡体吐出区域82a−hへ搬送する全部で8つのギア給送ポンプ90a−hは、吐出ヘッド1にフランジ付けしてある。吐出ヘッド1には圧力センサー73が配置され給送系路の圧力を検知する。圧力センサー73からのセンサー信号を用いてギアポンプ90a−hの送り率を制御し、こうして気泡の生成を抑止する本発明に必要な圧力を生じさせる。
【0046】
本発明によれば、圧力は混合装置50からずっと下流の発泡体吐出区域82a−hの出口開口まで全領域で維持されるから、吐出材料中での気泡の生成は完全に抑止されるか、さもなくばその生成は少なくとも、この領域での発泡率が発泡過程の終りに生じる発泡率の10%以下の程度に低められる。
【0047】
本発明による発泡体の生成及び吐出方法は次のとおりである。
材料排出ポンプ20は材料源10から材料を発泡体搬送ポンプ40へ搬送する。第1の運転モードでは、空気は前記材料に付加されず、材料は空気と混合されずに混合装置50により吐出ヘッド80へ給送され、結果として材料源からの非発泡材料が吐出される。撓み管84、12を経由するバイパス運転では、材料排出ポンプ20と発泡体搬送ポンプ40とを作動させれば、材料を循環させることができる。別法の、第2の運転モードでは、材料は撓み系路84と系路区域86とを経由する小さなループ内を循環することができる。この場合は発泡体搬送ポンプ40のみが作動する。
【0048】
第3の運転モードでは、T字部材23のところで搬送材料に空気または窒素などの別の気体が加えられ、気体/材料混合物は発泡体搬送ポンプ40に進入しそこからダイ混合装置50へ搬送される。材料と気体との予めの混合は発泡体搬送ポンプで発生する。混合装置50で、この気体/材料混合物が混合されて均質な材料混合物となり、最終的に吐出ヘッド1へ給送される。吐出ヘッド1で、前記発泡体材料を吐出ノズル82a−cから基体へ吐出する。
【0049】
吐出動作を一時中断する場合は、吐出ノズル82a−cを閉じ、発泡体搬送ポンプ40を作動状態にして吐出材料を撓み系路84経由で循環させる。この状態では、材料排出ポンプは消勢できる。さもなくば材料排出ポンプをバイパスモードで作動させて、吐出材料を撓み系路84、12を経由して材料源10へ戻す。
【0050】
発泡体の生成及び吐出方法は、絞り60の前後間の差圧を検知してそれを制御装置へ伝送する圧力センサー71、72により制御される。制御装置は測定された差圧を所望の発泡体の品質用に定めた所定の差圧と比較し、実際の差圧と基準の差圧との差異にしたがって気流制御弁30に気体の供給を加減する信号を送ったり、それに応じて材料搬送ポンプ、発泡体搬送ポンプ及び/または混合装置を制御したりする。
【0051】
別の制御または調節効果は、材料排出ポンプ20をギアポンプとして具現化することと、制御装置にさらに送られる、速度によって決まる信号を発生させることとで達成される。この速度依存の信号に応じて、制御装置は今度は気流制御弁30を制御し、材料搬送ポンプ20の回転速度が増した場合は気体の増量もT字部材23に給送されるようにする。逆の場合も同様である。
【0052】
材料搬送ポンプ20と発泡体搬送ポンプ40は、材料または発泡剤を含有した材料をある一定の圧力で混合装置まで搬送するから、混合装置50からずっと先のギア給送ポンプ82a−hまでの下流に、ある一定の圧力が生じる。これにより、気泡の生成は完全に抑止されるか、もしくは大きく阻止される。ギア給送ポンプ90a−hはこの部分にこうして供給された吐出材料を、ある一定の圧力で発泡体吐出区域82a−hから出口開口の放出断面まで搬送するため、ギア給送ポンプ90a−hから放出断面までの下流で気泡の生成は起らないか、もしくは軽微な気泡の生成しか起らない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態による吐出装置の吐出ヘッドの、側方と上方からの斜視図である。
【図2】図1の吐出ヘッドの正面図である。
【図3】図1の吐出ヘッドの平面図である。
【図4】図1の吐出ヘッドの側面図である。
【図5】本発明の実施形態による吐出ヘッドの主要構成要素の分解図である。
【図6】本発明の実施形態の吐出装置内部での材料の流れ略図である。
【符号の説明】
【0054】
1 吐出ヘッド
2 モーター/伝動ユニット
2a 囲いハウジング
2b 囲い軸
73、74 圧力センサー
90a−h 材料給送ポンプ
91a−h 電気モーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡した材料を基体表面に吐出する方法において、
被覆される基体表面と材料吐出装置の出口開口との間に相対移動を生じさせる工程と、
発泡可能な吐出材料の自由流を提供する混合装置の中で少なくとも2つの材料成分を混合する工程と、
混合装置と、出口開口の放出断面から流れ方向の下流に位置する吐出領域との間に差圧を生じさせる工程と、
吐出材料を吐出材料の混合装置から出口開口へ搬送する工程と、
吐出材料を出口開口から基体表面へ放出する工程とを含む方法であって、
吐出材料は、出口開口の放出断面から上流の隣接領域で、この領域の吐出材料の発泡率が発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満となるように、ある圧力下で保たれることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、吐出材料は出口開口の放出断面から上流の隣接領域である圧力で保たれ、この領域の吐出材料が気体部分を含まないことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、吐出材料は出口開口の放出断面から上流の隣接領域における圧力により保持されて、前記領域の吐出材料が、発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満の発泡率を有するか、または気体部分を含まないようにされることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法において、放出断面での流れ抵抗を大きくするために、吐出材料の粘度は少なくとも出口開口の放出断面領域で増加することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、吐出された材料の粘度を増加させるために、吐出材料を冷却することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法において、出口開口に給送される吐出材料の体積は、出口開口の放出断面から上流の隣接領域での圧力に応じて規制され、特に出口開口の放出断面から上流の隣接領域である一定の圧力が維持されようになっていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法において、吐出材料は体積搬送ポンプにより出口開口へ搬送されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法において、吐出材料は、出口開口の放出断面として配置されるスロットを通して被覆されるべき基体表面と平行に基体表面上に吐出され、基体表面と出口開口とは、吐出工程中に、スロットの延在方向に直角に、お互いに対して移動することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法において、吐出材料は複数の吐出材料給送ポンプにより対応する複数のスロット区域に搬送され、各スロット区域は吐出材料給送ポンプに振り当てられていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法において、各スロット区域は20cmより短く、特には15cmに亘って延在していることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法において、材料は混合装置で混合されて発泡体材料となり、混合装置に配置された給送ポンプにより吐出ヘッドへ搬送され、そして吐出ヘッド内に配設された少なくとも1つの第2の給送ポンプ好ましくは複数の第2の給送ポンプにより、吐出ヘッドの内部を吐出ヘッドに配置された出口開口へ搬送されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法において、吐出ヘッド内部の材料は、複数の第2の給送ポンプ、好ましくは吐出ヘッドに内設されかつ並列で動作するギアポンプにより、1つの出口開口区域を第2の給送ポンプに振り当てた複数の出口開口区域へ搬送されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法において、吐出ヘッドに配置された第2の給送ポンプと出口開口との間の領域での吐出ヘッド内部の材料の圧力は、1以上の圧力センサーを使って検知され、さらに吐出ヘッドに配置された第2の給送ポンプの送り率は検知された圧力に応じて調整されて、この領域の吐出材料が発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満の発泡率を有するか、または気体部分を含まないようにされることを特徴とする方法。
【請求項14】
発泡した材料を基体表面に吐出する装置において、
少なくとも2つの材料源と流体的に連通する混合装置であって、前記2つの材料源から給送される材料成分を混合して、発泡可能な吐出材料の自由流を形成する混合ユニットを備えた混合装置と、
それ自身から流れ出る吐出材料に流れ抵抗をもたらす放出断面を設けた出口開口と、
混合装置と、出口開口の放出断面から流れ方向の下流に置かれた吐出領域との間で差圧を生じさせる第1の給送ポンプとを具備する装置であって、
放出断面の寸法は、出口開口の放出断面から上流の隣接領域にある吐出材料がある圧力下で保たれて、この領域の吐出材料の発泡率が、発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満となることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、放出断面の寸法は、出口開口の放出断面から上流の隣接領域にある吐出材料がある圧力で保たれ、この領域の吐出材料が気体部分を含まないことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の装置において、放出断面の寸法は、出口開口の放出断面から上流の隣接領域にある吐出材料がある一定の圧力で保持されて、この領域の吐出材料が、発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満の発泡率を有するか、もしくは気体部分を含まないことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項に記載の装置であって、出口開口の放出断面から上流の領域で吐出材料を冷却する冷却装置を有することを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか一項に記載の装置であって、出口開口の放出断面から上流の領域の吐出材料の圧力を検知する圧力センサーにより特徴づけられ、さらに、圧力センサーから吐出材料の圧力を特徴づけるセンサー信号を受け取り、前記センサー信号に応じて給送ポンプの、特に第1の給送ポンプの送り率を調整して、具体的に出口開口の放出断面から上流の隣接領域で一定の圧力を維持するようにした調整装置を有することを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項14から18のいずれか一項に記載の装置において、吐出材料を出口開口に搬送する、体積搬送の吐出材料給送ポンプを有することを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項14から19のいずれか一項に記載の装置において、出口開口の放出断面は、被覆される基体表面に平行に置かれた、基体表面と出口開口との相対移動に対して横方向に広がるスロットであることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項14から20のいずれか一項に記載の装置において、スロットはその長手延長方向において複数のスロット区域に分断され、さらに各スロット区域は、流体力学的に互いに並列で動作する複数の第2の吐出材料給送ポンプの1つに振り当てられることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項14から21のいずれか一項に記載の装置において、各スロット区域は20cmより短く、特に15cmに亘って延在することを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項14から22のいずれか一項に記載の装置において、混合装置は第1の給送ポンプを含み、かつ給送系路を介して、一定の距離を置いて配置された吐出ヘッドに連結され、さらに吐出ヘッドには、少なくとも1つの第2の給送ポンプ好ましくは複数の第2の給送ポンプが配置され、また出口開口が設けられることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、流体力学的に互いに並列で動作する複数の第2の給送ポンプ好ましくはギアポンプは、吐出ヘッドに配置され、材料は吐出ヘッドを通して、1つの出口開口区域を第2の給送ポンプに振り当てた複数の出口開口区域へ搬送されることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項23または24のいずれか一項に記載の装置において、吐出ヘッドに配置した第2の給送ポンプと出口開口との間の領域で、吐出ヘッド内部の材料の圧力を測定する1つまたは複数の圧力センサーにより特徴づけられ、さらに、検知された圧力に応じて、吐出ヘッドに配置した第2の給送ポンプの送り率を調整し、前記領域の吐出材料が、発泡工程の終りに生じる発泡率の10%未満の発泡率を有するか、または気体部分を含まないようにする調整装置を有することを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−272752(P2008−272752A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−115148(P2008−115148)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】