説明

幕体巻上装置

【課題】 窓枠の電動モータ側となる一側縁及び幕体の一側縁間の第1隙間を小さくすることができ、前記第1隙間と、窓枠の他側縁及び幕体の他側縁間の第2隙間との差を小さくすることができるようにする。
【解決手段】 幕体を巻上げるための巻上ロール2を、該巻上ロール2の軸芯方向外方に配される電動モータ3の出力軸31に連動連結され、複数の周方向位置に凸条片26を有する軸体21と、前記凸条片26に係合する係合溝27を有し、軸体21に挿脱可能に嵌合される筒体22と、該筒体22と一体成形され、前記電動モータ3の外周りに遊嵌される筒形遊嵌部23をと備える構成とし、電動モータ3の外周りに幕体Aを巻回することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン、映写用スクリーン等の幕体を巻下げ可能に巻上げるための幕体巻上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
幕体巻上装置は、電動モータと、該電動モータの出力軸に連動連結され、幕体を巻上げるための巻上ロールとを備えており、窓枠の上部に配置して電動モータを一方向へ回転させることにより、幕体を巻上ロールに巻回しつつ巻上げ、電動モータを他方向へ回転させることにより、幕体を巻下げるように構成されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
このように電動モータ及び巻上ロールを有する電動式の幕体巻上装置は、巻上ロールの全長と等幅の幕体が用いられ、該幕体を巻上ロールの両端からはみださないように巻上ロールに巻回することにより、幕体を全幅に亘って緊張させ、幕体が弛まないようにしている。
【特許文献1】特開2004−225489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電動式の幕体巻上装置にあっては、巻上ロールの一端外方に電動モータが配設されており、この電動モータの外周りには幕体が巻回されないため、即ち、幕体は巻上ロールの外周りにだけ巻回されるため、窓枠の内側上部に幕体巻上装置が取着されたとき、窓枠の一側縁及び幕体の一側縁間の第1隙間が、窓枠の他側縁及び幕体の他側縁間の第2隙間よりはるかに大きくなり、幕体による窓の遮蔽率が悪いし、また、見栄えが悪く、改善策が要望されていた。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は電動モータの外周りに遊嵌される筒形遊嵌部を巻上ロールが有する構成とすることにより、窓枠の電動モータ側となる一側縁及び幕体の一側縁間の第1隙間を小さくすることができ、また、前記第1隙間と、前記第2隙間との差を小さくすることができる幕体巻上装置を提供することにある。
【0006】
また、他の目的は出力軸に連動連結される軸体と、該軸体に挿脱可能に嵌合され、筒形遊嵌部が設けられている筒体とを巻上ロールが有する構成とすることにより、筒形遊嵌部を有する巻上ロールの組立て作業性を向上できる幕体巻上装置を提供することにある。
【0007】
また、他の目的は筒形遊嵌部及び筒体を略等径とし、一体成形することにより、周面に段差のない巻上ロールを簡易を得ることができる幕体巻上装置を提供することにある。
【0008】
また、他の目的は軸体の外周部に凸条片を設け、この凸条片に係合する係合溝を筒体に設けることにより、電動モータの外周りに遊嵌することが可能な大きさの巻上ロールを軽量にできる幕体巻上装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る幕体巻上装置は、幕体を巻上げるための巻上ロールと、該巻上ロールの軸芯方向外方に配され、その出力軸が前記巻上ロールに連動連結される電動モータとを備える幕体巻上装置において、前記巻上ロールは、前記電動モータの外周りに遊嵌される筒形遊嵌部を有することを特徴とする。
【0010】
第1発明にあっては、巻上ロールが筒形遊嵌部を有しており、この筒形遊嵌部が電動モータの外周りにり遊嵌されているため、幕体を電動モータの外周りに巻回することができる。従って、窓枠の内側上部に幕体巻上装置が取着されたとき、窓枠の電動モータ側となる一側縁及び幕体の一側縁間の第1隙間を小さくすることができ、さらに、窓枠の一側縁及び幕体の一側縁間の第1隙間と、窓枠の他側縁及び幕体の他側縁間の第2隙間との差を小さくすることができる。
【0011】
第2発明に係る幕体巻上装置は、第1発明において、前記巻上ロールは、前記出力軸に連動連結される軸体と、該軸体に挿脱可能に嵌合され、前記筒形遊嵌部が一体的に設けられている筒体とを有することを特徴とする。
【0012】
第2発明にあっては、筒体を軸体に嵌挿することにより筒形遊嵌部を電動モータの外周りに遊嵌することができる。
【0013】
第3発明に係る幕体巻上装置は、第2発明において、前記筒形遊嵌部及び前記筒体は略等径であり、一体成形されていることを特徴とする。
【0014】
第3発明にあっては、周面に段差がなく、電動モータの外周りに遊嵌することが可能な大きさの巻上ロールを簡易を得ることができる。
【0015】
第4発明に係る幕体巻上装置は、第2発明又は第3発明において、前記軸体は複数の周方向位置からラジアル方向外方へ突設された凸条片を有しており、前記筒体は前記凸条片に係合する係合溝を有することを特徴とする。
【0016】
第4発明にあっては、巻上ロール軸体及び筒体の周面間を空洞にすることができ、電動モータの外周りに遊嵌することが可能な大きさの巻上ロールを軽量にできる。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、窓枠の電動モータ側となる一側縁及び幕体の一側縁間の第1隙間を小さくすることができるため、幕体による窓の遮蔽率を高めることができる。しかも、窓枠の一側縁及び幕体の一側縁間の第1隙間と、窓枠の他側縁及び幕体の他側縁間の第2隙間との差を小さくすることができるため、幕体が遮蔽した場合の見栄えを良好にできる。
【0018】
第2発明によれば、筒体を軸体に嵌挿することにより筒形遊嵌部を電動モータの外周りに遊嵌することができるため、筒形遊嵌部を有する巻上ロールの組立て作業性を向上でき、コストを低減できる。
【0019】
第3発明によれば、周面に段差がなく、電動モータの外周りに遊嵌することが可能な大きさの巻上ロールを簡易を得ることができる。
【0020】
第4発明によれば、軸体及び筒体の周面間を空洞にすることができ、電動モータの外周りに遊嵌することが可能な大きさの巻上ロールを軽量にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る幕体巻上装置の構成を示す横断平面図、図2は図1のII−II線の断面図、図3は図1のIII −III 線の断面図である。
【0022】
この幕体巻上装置は、窓枠等の静止物に取着される杆状のフレーム1と、該フレーム1の両端部間に回転自在に支持される巻上ロール2と、該巻上ロール2の軸芯方向外方に配される円柱形の電動モータ3と、フレーム1を窓枠等の静止物に取着する取着体4とを備え、電動モータ3の出力軸31が巻上ロール2の一端部に伝動機構5を介して連動連結されている。
【0023】
フレーム1は巻上ロール2の外周面と対向する内面が凹に湾曲する杆板11と、該杆板11の長手方向両端に小ねじにより結合された第1及び第2のフランジ12,13と、杆板11の幅方向両端に突設された案内レール14,15とを有する。第1のフランジ12には電動モータ3及び該出力軸31の軸芯と平行的に突設された2本の支持杆16が固定されており、該支持杆16の先端に略コ字形のロール支持体6が小ねじにより固定され、フランジ12と一体になっている。
【0024】
第2のフランジ13には固定軸7の一端が小ねじにより固定されており、該固定軸7に巻上ロール2の他端部が支持されている。また、固定軸7には巻上ロール2を巻上げ方向へ付勢する巻上げばねとしてのコイルスプリング8が巻回されている。このコイルスプリング8は、一端が固定軸7に係止され、他端が巻上ロール2に係止され、電動モータ3による巻上ロール2の巻上方向への回転を補助するように構成されている。即ち、巻上ロール2が幕体を巻下げる方向へ回転するときは、巻上ロール2に加わる幕体の荷重によりコイルスプリング8が捩じれて漸次弾性復元力が大きくなり、巻上ロール2が幕体を巻上げる方向へ回転するときは、コイルスプリング8の弾性復元力により巻上ロール2の電動モータ3による巻上回転を補助するように構成されている。
【0025】
取着体4は案内レール14,15に摺動可能に係止される係止部41,42と、取着用孔とを有する板体からなり、係止部42に螺着された複数本の小ねじ9を案内レール15に当接させることにより摺動が阻止されている。
【0026】
ロール支持体6は出力軸31の軸芯方向へ離隔し、夫々に二つの貫通孔6a,6bが穿設された第1及び第2の軸支板部61,62と、軸支板部61,62を連結する連結板部63とを有しており、第1の軸支板部61の貫通孔6aに出力軸31が支持され、該出力軸31に駆動歯車51が嵌合固定されている。第1及び第2の軸支板部61,62の貫通孔6bには駆動歯車51に噛合する従動歯車52を有する伝動軸53が回転自在に支持されている。尚、駆動歯車51、従動歯車52及び伝動軸53が伝動機構5を構成している。
【0027】
巻上ロール2はロール支持体6及び第2のフランジ13間に配される筒形の軸体21と、該軸体21の外周りに挿脱可能に嵌合された円筒形の筒体22と、該筒体22とアルミニウム材により一体成形され、電動モータ3の外周りに遊嵌される筒形遊嵌部23とを有する。軸体21の両端部には軸孔を有する第1及び第2の軸受部材24,25が嵌合固定されており、第1の軸受部材24の軸孔に伝動軸53が相対回転不可能に嵌合され、第2の軸受部材25の軸孔に固定軸7が相対回自在に嵌合されている。また、軸体21の外周部には複数の周方向位置からラジアル方向外方へ突出する凸条片26がアルミニウム材により一体成形されている。
【0028】
筒体22及び筒形遊嵌部23は電動モータ3より大径に形成され、筒形遊嵌部23を電動モータ3及びロール支持体6の外周りに遊嵌することができるようになっており、また、筒体22及び筒形遊嵌部23は略等径に形成され、筒体22及び筒形遊嵌部23の間に段差が生じないようになっている。また、筒体22及び筒形遊嵌部23の内周部で、且つ複数の周方向位置には凸条片26に係合する係合溝27が全長に亘って設けられており、筒体22及び軸体21を軸芯方向へ相対移動させることにより、筒体22を軸体21に対して挿脱することができるように構成されている。
【0029】
図4は使用状態を示す概略図である。以上のように構成された幕体巻上装置は、巻上ロール2における筒体22及び筒形遊嵌部23に幕体Aが巻回された状態で例えば窓枠の内側上部に取着体4により取着される。この場合、巻上ロール2の筒形遊嵌部23が電動モータ3の外周りに遊嵌されており、幕体Aを電動モータ3の外周りに巻回することができるため、窓枠の電動モータ3側となる一側縁B1及び幕体Aの一側縁A1間の第1隙間C1を小さくすることができ、幕体Aによる窓の遮蔽率を高めることができる。しかも、窓枠の電動モータ3側となる一側縁B1及び幕体Aの一側縁A1間の第1隙間C1と、窓枠の他側縁B2及び幕体Aの他側縁A2間の第2隙間C2との差をほぼ等しくすることができ、幕体Aが遮蔽した場合の見栄えを良好にできる。
【0030】
尚、以上説明した実施の形態の巻上ロール2は、筒体22と筒形遊嵌部23とが一体成形された構成としたが、その他、筒形遊嵌部23が筒体22に一体的に結合された構成であってもよいし、また、筒形遊嵌部23が軸体21と一体成形又は一体的に結合された構成であってもよい。
また、巻上ロール2は軸体21、筒体22及び筒形遊嵌部23を有する構成としたが、その他、軸体21をなくし、筒体22及び筒形遊嵌部23を有する構成としてもよい。この場合、例えば筒体22の両端部に軸受部材を設け、一方の軸受部材を伝動軸53に伝動可能に支持し、他方の軸受部材を固定軸7に回転自在に支持する。
【0031】
また、本発明に係る幕体巻上装置は巻上ロール2の一端側に電動モータ3を備えるものの他、巻上ロール2の両端側に電動モータ3を備えるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る幕体巻上装置の構成を示す横断平面図である。
【図2】図1のII−II線の断面図である。
【図3】図1のIII −III 線の断面図である。
【図4】本発明に係る幕体巻上装置の使用状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0033】
2 巻上ロール
21 軸体
22 筒体
23 筒形遊嵌部
26 凸条片
27 係合溝
3 電動モータ
31 出力軸
A 幕体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幕体を巻上げるための巻上ロールと、該巻上ロールの軸芯方向外方に配され、その出力軸が前記巻上ロールに連動連結される電動モータとを備える幕体巻上装置において、前記巻上ロールは、前記電動モータの外周りに遊嵌される筒形遊嵌部を有することを特徴とする幕体巻上装置。
【請求項2】
前記巻上ロールは、前記出力軸に連動連結される軸体と、該軸体に挿脱可能に嵌合され、前記筒形遊嵌部が一体的に設けられている筒体とを有する請求項1記載の幕体巻上装置。
【請求項3】
前記筒形遊嵌部及び前記筒体は略等径であり、一体成形されている請求項2記載の幕体巻上装置。
【請求項4】
前記軸体は複数の周方向位置からラジアル方向外方へ突設された凸条片を有しており、前記筒体は前記凸条片に係合する係合溝を有する請求項2又は3記載の幕体巻上装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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