説明

干渉カラーフィルターのパターンを作成する方法

【課題】薄膜が密で、スペクトル特性が温度や空気湿度に対して安定しているカラーフィルター薄膜システムを作製する。
【解決手段】ある一つの基礎材の上にカラーフィルター薄膜システムパターンを作成するため、リフトオフ法により、レジスト薄膜面領域とレジスト薄膜のない領域を持つパターン化されたレジスト薄膜(32)を装着し、次ぎにカラーフィルター薄膜システムを装着し(31)、その後にレジスト薄膜面領域とともにその上の領域に装着されているカラーフィルター薄膜システムを除去するため、そのカラーフィルター薄膜システム(31)の装着を、最高150℃までの温度でプラズマを利用して被膜形成することにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一つの基礎材の上にカラーフィルター薄膜システムパターンを作成する方法に関する。この方法はリフトオフ法によるものであって、すなわちレジスト薄膜面領域とレジスト薄膜のない領域を持つパターン化されたレジスト薄膜を析出し、次ぎにカラーフィルター薄膜システムを装着し、最後にレジスト薄膜面領域とともにその上の領域に装着されているカラーフィルター薄膜システムを除去するものである。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
このような技術はリフトオフ法として知られている。この技術は、真空環境中で行わなければならないプロセス段階が比較的少ないので、比較的低コストである。この技術はたとえばUS−A−3914464で、次のようなものが知られている:すなわち、リフトオフマスクとしてたとえば厚さを4〜6μmに指定されたフォトレジストまたは金属薄膜を、そしてその上にその半分の厚さの誘電性干渉カラーフィルター薄膜システムを析出する。カラーフィルター薄膜システムを析出する前に、リフトオフレジストを長時間、200℃で8時間以上、真空環境中で硬化させる。このリフトオフレジストないしそのパターン化された表面は、カラーフィルター薄膜システムの析出後、本来のリフトオフ段階で高温のキシロールを用いて除去される。
【0003】
目を引くのは、このリフトオフレジスト薄膜パターンの処理に手間がかかり、しかもそのためカラーフィルター薄膜システムを析出する方法に蒸着さえ用いられることがあることである。すなわち析出されたシステム薄膜が十分なクォーリティを保証されるためには、200℃以上という蒸着温度を遵守しなければならない。従ってその下に位置するレジスト薄膜は、変質することなくこの温度に耐えなければならない。
【0004】
さらに諸文献、たとえばH.A.MACLEOD,”Thin−Film Optical Filters” 2nd edition,Adam Hilger Ltd.,1986,357〜405ページから、より低温で蒸着された光学的薄膜はスペクトルに関して不安定であることが知られている。そのスペクトル特性は周囲温度と空気湿度とともに変化し、その際とくにスペクトル特性のカットオン、カットオフの両エッジがスペクトル上移動する。スペクトルに関し安定して十分なクォーリティを備える薄膜を析出したいならば、蒸着温度は非常に高いものを選択しなければならず、これはその下に位置するレジストがポリマー化し、その後のリフトオフプロセスが非常に困難になる原因となる。反対に蒸着プロセスの温度を低く維持しようとするならば、その代償としてすでに述べたように、上記の末端が温度や空気湿度に強く左右されてスペクトル上を移動する。
【0005】
そのほか頭書の文書はレジストを真空中で長時間高温に保つことを提案するが、これは非常に費用がかかり、この種のパターンを作成する装置の製造速度を著しく減じる。さらにレジストは必然的に比較的高温に耐えなければならず、これを溶解するために高温のキシロールを使用することは、キシロールの発ガン性を考えると非常に心配される。それだけでなく、200℃をはるかに超える温度でカラーフィルター薄膜システムをかぶせる方法を採るには、この温度に耐えるレジスト薄膜を備えなければならないので、その後のレジスト除去に備えて、溶剤のために大きな作用面を用意しておかなければならない。従ってレジスト薄膜は、その上に装着するカラーフィルター薄膜システムよりもいちじるしく厚いものを選択しなければならない。その結果妨害を受けるゾーンが大きくなる:すなわち、レジスト薄膜の塗布およびパターン化に続いて、レジストの塗布された領域と塗布さ
れてない領域にカラーフィルター部分システムを析出すると、第1図に示すように、レジスト領域1のエッジの影となるため、妨害を受けるゾーンをカラーフィルターパターンの周縁領域3に生じ、そこでは妨害を受けない領域5よりもカラーフィルターパターンの厚さが薄くなる。レジストの厚さdが厚くなるほど、妨害を受けるカラーフィルターパターンの領域がそれだけ大きくなる。
【0006】
そのほか、上述のカラーフィルター薄膜システムの蒸着に必要な温度では基盤ガラスが収縮すること、すなわちその形状が変化することが知られている。これは、異なるスペクトルを持つカラーフィルター薄膜システムを順次析出するとき、たとえば赤、黄、青に対する場合、正確なジオメトリーを得ることができないことになり、このことはさらにスペクトル領域を異にするフィルター領域の境界がシャープさを失うことになる。
【0007】
さらに上述のような高温の場合はガラス基板が脆化する。とくに温度交代による負荷がかかるとき、たとえばリフトオフ法で複数のカラーフィルター薄膜システムを順次析出する場合に脆化する。これは作成されたパターンの破壊強度を損なうことに、従って故障が増加することになる。
【0008】
これらに代わるもう一つの方法があるとすれば、要求される高い蒸着温度、すなわち300℃前後の温度に耐えるようなレジストを使用することであろう。しかしそのようなレジストは高価で、加工が困難である。
【0009】
さらに金属製、たとえばアルミニウムまたはクロム製のリフトオフマスクを使用することもできるであろう。しかしこれらをかぶせるには通常これまた真空被膜形成の作業段階を必要とするので、これもまた高価であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
(発明の開示)
本発明の課題は、前記の種類の方法を出発点として、上述の欠点を除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは請求項1の特徴の記述による方法を実施することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】レジスト塗布され、パターン化され、被膜形成された基板の略図で、妨害を受けた領域の発生を説明するものである。
【図2】本発明の方法の実施に適したスパッター被膜形成装置の略図である。
【図3】本発明の方法の実施に適した装置、かつプラズマを利用する熱的な蒸着のための装置の図であって、これも略図である。
【図4】基板の上に装着されたレジストパターンと、その後の被覆形成によるレジストパターンの欠損の略図である。
【図5】第4図と同様な略図で、第4図で説明したフォトレジストエッジの欠損を防止するため、レジストパターンとそれに続いて析出したフィルター薄膜の間に中間薄膜を設けたもののを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
それによって、フィルター薄膜システムの析出は、たとえば在来のフォトレジストがポリマー化する温度よりはるかに低い温度で行われ、リフトオフレジストの熱負荷を著しく下げることが可能となる。提案するような、基板を高いイオン照射密度にさらすことになるプラズマを利用する析出法によれば、また好ましくはプラズマを利用する蒸着またはス
パッターによれば、さらに薄膜が密で、スペクトル特性が温度や空気湿度に対して安定しているフィルターが生じる。レジストに対する熱負荷が著しく少なくなるので、レジストに対する耐熱性の要求が決定的に減じられる。これはレジストの側では、塗布処理の時間が著しく短くなること、求められるレジスト薄膜の厚さが著しく減じられることにつながり、これはさらに第1図に示した妨害を受ける領域3の範囲を減じる。それだけでなく在来型のフォトレジストを使用し、リフトオフのためには、これをアセトンまたはNMP(N−メチル−2−ピロリドン)のような通常の溶剤で溶解することができる。
【0014】
本発明による方法で得られるものは次の通り。
・従って被膜形成温度がはるかに低くなる。これはレジストの厚さが少なくてすむこと、通常のコスト上有利なレジストを使用できることになる。またレジスト厚さの削減が得られれば、これは第1図に示した妨害を受ける領域の範囲を減じることに直接つながる。
・別個のプラズマチャンバーで荷電粒子を生じることによってであれ、グリッドによって被膜形成室へと抽出することによってであれ、あるいは被膜形成室でプラズマを生じることによってであれ、要するに被膜形成にプラズマを利用することによって、高い密度のイオン流を基板に衝突させることができるようになり、これにより密で、光学的に安定したフィルター薄膜が実現される。
・影によって生じる妨害箇所の範囲は、コリメーターを備えるといった追加的な調整措置によって、あるいはイオン運動の静電気的な調整によって減じることができる。被膜形成チャンバー内の圧力もできるだけ低くし、中間の自由な飛程をそれに対応して長くする。
【0015】
追加的な調整措置を行わずにスパッターを採用すると、第1図に示すように妨害を受ける領域3の範囲は約5×dとなり、プラズマを利用する多方向づけされた方法によると、これは約1×dに減じられる。本発明はそれ自体ですでにdに対する小さい数値が得られるものである。
【0016】
スパッターよりも多方向づけされた被膜形成法はプラズマを利用する蒸着であって、この場合はすでに知られているように、気化るつぼから生じた物質を、たとえば電子ビームによる気化により、プロセス空気環境中へ熱的に気化する。その際その空気環境中でプラズマが維持される。これにより影を生じるという問題はさらに広範囲に除去され、カラーフィルター薄膜システムパターンを範囲は狭くても高い効率で析出することも可能となる。
【0017】
ここに提案する方法は、LCDプロジェクターおよびCCDセンサーのためのカラーフィルターのパターン化にとくに適している。
【0018】
下記に図を用いて本発明の例を説明する。
第2図は、本発明で採用したスパッター装置の第一の実施バリエーションの略図である。スパッターされる物質からなるターゲットを含むスパッター源10、たとえばマグネトロン源の上に、プラズマ13が維持される。供給される操作ガスAGのイオン、たとえばアルゴンが、ターゲットから主として中性のターゲット物質粒子Nをパルス伝送により打ち出す。この粒子は製造物15の上に堆積する。供給ユニット17の略図に示すようにこのプラズマは、スパッター源を介してDC出力により、またはパルス化された直流出力PLにより、または原則としてはDC出力とAC出力の重畳により、またはAC出力、とくには高周波出力RFにより操作される。この場合通常は非導電性の製造物基板15に誘電性の薄膜を析出することが論点なので、とくに次の方法を挙げておく。すなわちプラズマを直流で操作するが、第2図の19aと19bで概略を示すように、そしてその図の点線で暗に示すように、指定された時間区分において、好ましくは周期的に、プラズマを生じる電極を低抵抗で連結するという方法である。誘電性の薄膜により、そしてDCプラズマまたは基板バイアスを使用して、非導電性基板にプラズマを利用した被膜形成を行うこと
については、下記を参照されたい:
EP−508359または
US−5423970
EP−564789または次のアメリカ合衆国出願
US SN 08/300865
US SN 08/641707
カラーフィルター薄膜システムの薄膜の生成は、非反応型の方法で、すなわち操作ガスAGを使用するだけで、そして/または反応型のスパッタープロセス及びO2のような反応ガスRGを使用して行われ、たとえばいかなる薄膜物質を使用するかによって方法が異なる。その際本発明による被膜形成の温度を遵守する。リフトオフレジスト11を施した製造物15には最高150℃、好ましくは最高100℃とする。
【0019】
イオン照射密度が高いため、密な薄膜が実現される。周囲温度や空気湿度が変化しても、この薄膜のスペクトル特性はほとんど変化しない。
【0020】
コリメーターを備えるといったさらなる調整措置を行わないときでも、第1図に示す妨害を受ける領域3が約5×dの範囲に広がっても甘受できるという場合なら、本発明によるスパッター被膜形成は利用に適している。
【0021】
第3図は第1図と同様の略図であるが、本発明の採用する第二の方法、すなわちプラズマを利用する、ないしはイオンを利用する蒸着を示す。この場合たとえば電子ビーム23及び/または加熱装置25を用いて、るつぼ27から物質を気化させる。供給源28は、出力される信号に関していえば、第二図で説明した供給源17と同様に構成でき、ここでもこれを用いてるつぼ27の上方に密なプラズマ24を維持する。製造物はここでは回転駆動される僧帽型キャリアー26に取り付けるのが好ましく、このキャリアーの球の中心は気化源27の中心Zとする。ここでも温度は最高150℃、とくには最高100℃を遵守する。この方向づけされた方法によって、フィルター薄膜システムによりリフトオフレジストパターン11に被膜形成することが可能となる。この薄膜システムは、第1図に示した妨害を受ける領域3を約1×d以下の範囲におさえるために必要とされるものである。
【0022】
第3図のプラズマを利用する気化、ないしイオンを利用する気化の場合も、構成すべきカラーフィルター薄膜システムの薄膜のいかんに従って、操作ガスAGを使用するだけの非反応型の方法、または反応ガスRGを使用する反応型の方法で作業する。
【0023】
第4図は、基板30上にあるリフトオフレジストパターン32の拡大図である。その上に示すのはプラズマを利用する析出法のためのプラズマ34の概略である。第4図の点線で示すように、反応型のプロセスにより、とくにイオン化された酸素を使用するといった方法により、カラーフィルター薄膜システムの第一の薄膜31を装着するような場合は、この略図の35で暗に示すように、励起された反応ガスによって、上述のようにとくにO2によって、または残留ガスから生じてプラズマ中で活性化された、および/または分解されたH2Oによって、リフトオフレジストパターンが腐食される。
【0024】
これを阻止する第一の方法は、カラーフィルター薄膜システムの第一の薄膜を非反応型の方法によって装着すること、すなわち操作ガスアルゴンのみを使用し、第2図または第3図に従ってこれを行うことである。そのために薄膜物質を直接ターゲット物質または気化源物質として使用する。
【0025】
第二の、しかし好ましい方法は第5図に示すとおり、カラーフィルター薄膜システムの第一の薄膜31をかぶせる前に、リフトオフレジストパターンに次のような中間薄膜をか
ぶせるものである。この中間薄膜は、広帯域の光が十分に損失なく透過し、すなわち光学的にニュートラルであって、接着性がよく、保護薄膜としてその後のプロセスに耐えるものである。
【0026】
第5図に示す中間薄膜45は厚さ5〜10nmで、SiOまたはSiO2からなるものが好ましい。これらの物質は、励起されイオン化された反応ガス、とくに残留ガスから生じるO2またはH2Oによって化学的な腐食を受けない。第5図の点線で示した薄膜31は、後にかぶせられるカラーフィルター薄膜システムの第一の光学的活性のある薄膜であり、この薄膜は反応型のプロセスによって装着することができる。さらに中間薄膜45もSiO2からなるものとすることができ、これは反応型ではない方法で、またはわずかに反応性のある方法で析出される。その後SiO2中間薄膜がカラーフィルター薄膜システムの屈折度の低い第一の薄膜を形成し、屈折度のより高い薄膜がこれに続く。
【0027】
使用された被膜形成法およびその結果得られたカラーフィルターパターンの例を、下記に紹介する。
【実施例1】
【0028】
−基板: ガラス
−フィルターパターン: 線条 160μm幅、
長さ20mm、間隔100μm
−レジスト薄膜厚さ: 3.2μm
−レジスト: Shipley 1045、6:1に希釈
−光学的フィルター薄膜システム:1.5μm(第1図のd5)
−薄膜システム: SiO2/TiO2
−SiO2被膜形成プロセス: 反応型スパッター、装置はBAS 767
−供給源: Siターゲット
−スパッター出力: 6.4kW
−操作ガス: Ar
−反応ガス: O2
−操作ガス流量: 40sccm
−反応ガス流量: 50sccm
−速度: 0.3nm/sec
−TiO2被膜形成プロセス: 反応型スパッター
−供給源: Tiターゲット
−スパッター出力: 10kW
−操作ガス: Ar
−反応ガス: O2
−操作ガス流量: 40sccm
−反応ガス流量: 36sccm
−速度: 0.16nm/sec
−被膜形成温度: T≦80℃
結果:
レジストマスクと隣り合う
妨害を受けたゾーンの大きさ(第1図の1):≦10μm
フィルターのエッジの安定性: 20℃〜80℃において
エッジの移動≦1nm
この例の場合中間薄膜は使用しない。本来の被膜形成開始前に、プラズマにスイッチオンする。従ってレジストマスクはO2/Arプラズマと接触する。これによりレジストのエッジは欠損する。このためリフトオフ作業段階が困難になり、ないしは比較的厚いレジストマスクが必要となる。
【実施例2】
【0029】
−基板: ガラス
−フィルターパターン: 線条 10×10μm〜100×100μm
−レジスト薄膜厚さ(d): 0.5μm〜2μm
−光学的フィルター薄膜(d5):1.5μm
−レジスト: Shipley 1045、6:1〜1:1に希釈
−薄膜システム: 中間薄膜 SiO、厚さ10nm、
SiO2/TiO2
−被膜形成プロセス:SiO中間薄膜は非反応型で行いプラズマを利用しない。SiO2/TiO2システムはプラズマを利用する蒸着。装置はLEYBOLD APS 1100
SiO 非反応型、APSプラズマ源なし
−供給源 4孔るつぼつき電子ビーム気化器、SiO顆粒
−速度: 0.1nm/sec
−装置: BAS 767
−圧力: 1×10−5mbar。
SiO2:APSプラズマ源による反応型蒸着
−供給源 4孔るつぼつき電子ビーム気化器、SiO2顆粒
−速度: 0.6m/sec
APSプラズマ源:
−放電電流: 50A
−バイアス電圧: 150V
−U 陽極−陰極: 130V
−操作ガス: Ar
−反応ガス: O2
−操作ガス流量: 15sccm
−反応ガス流量: 10sccm
−総圧力: 3.5×10−3mbar
TiO2:APSプラズマ源による反応型蒸着
−供給源: 4孔るつぼつき電子ビーム気化器、
TiO2錠剤状素材
−速度: 0.3m/sec
APSプラズマ源:
−放電電流: 50A
−バイアス電圧: 110〜120V
−U 陽極−陰極: 100〜100V
−操作ガス: Ar
−反応ガス: O2
−操作ガス流量: 11sccm
−反応ガス流量: 35sccm
−総圧力: 4.2×10−3mbar
−被膜形成温度: T≦105℃
結果:
安定性: 20℃〜80℃において
スペクトル上のエッジの移動≦1nm
妨害を受けたゾーンの大きさ:<2μM。
【0030】
本発明の措置により、とくにLCD光弁プロジェクターやCCDセンサーに用いるような画素パターンを、安価かつ高い歩留まりで作成することが可能となる。さらにこの画素
パターンは環境の変化に対して、とくに温度や湿度の変化に対して、スペクトルに関して非常に安定している。とくに上述の中間薄膜を使用すれば、基板に対するカラーフィルターシステムの非常に良好な接着がさらに得られる。必要なリフトオフレジスト薄膜は、その上に装着するカラーフィルター薄膜システムの2倍よりもはるかに薄くすることができる。オーバーハングする側壁をレジスト領域に設けることが、たとえば半導体製造におけるアルミニウム蒸着の際に通常行われているが、これは不要となる。
【0031】
カラーフィルター薄膜システムの装着が低温で行われ、従ってその下に位置するリフトオフレジストパターンがさらされる温度負荷がそれに応じて少なくなるため−従って必要とされる温度耐久性が少なくてすむため−リフトオフ法は非常に単純なものでよく、高温かつ腐食性が強い溶剤または超音波をリフトオフに使用する必要はない。
【0032】
上述の中間薄膜を使用するのが好ましく、これによって第一のフィルター薄膜の反応型の析出によるリフトオフレジストに対するマイナスの影響、とくに反応性のAr−O2−H2Oプラズマによるレジストパターンの損傷が防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある一つの基礎材の上にカラーフィルター薄膜システムパターンを作成する方法であって、リフトオフ法により、レジスト薄膜面領域とレジスト薄膜のない領域を持つパターン化されたレジスト薄膜をその基礎材上に装着し、次ぎに真空被膜形成法によりカラーフィルター薄膜システムを装着し、その後にレジスト薄膜面領域とともにその上の領域に装着されているカラーフィルター薄膜システムを除去する方法において、そのカラーフィルター薄膜システムの装着は、最高150℃までの温度でプラズマを利用して、マグネトロン源を用いたスパッターによって、またはプラズマを利用する蒸着によって被膜形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
この装着は低圧電弧放電を利用して行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カラーフィルター薄膜システムの装着は最高100℃までの温度で行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
プラズマ生成はDCまたはACを用いて、パルス化された直流またはACとDCを重畳したものを用いて行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
プラズマ生成はRFを用いて行うことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
カラーフィルター薄膜システムの少なくとも1つの薄膜の装着を反応ガス空気環境中で行うことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
カラーフィルター薄膜システムの第一の薄膜の装着を希ガスまたは酸素を含む空気環境中で行うことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
カラーフィルター薄膜システムが屈折率が高い方の薄膜と低い方の薄膜を備えることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
レジスト薄膜の第一の薄膜として光学的にほぼニュートラルな中間薄膜をかぶせ、この中間薄膜はその後に使用される被膜形成空気環境に対してレジスト薄膜より安定しており、5nm〜10nmの厚さであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記中間薄膜は、SiOまたはSiO2からなることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
各薄膜の装着は基礎材に垂直な薄膜物質衝突方向を主方向にして行われることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
カラーフィルター薄膜システムの基板側の第一の薄膜が光学的にほぼニュートラルな薄膜であって、厚さ5〜10nmのSiO2またはSiO薄膜からなることを特徴とする、カラーフィルター薄膜システムのフィールドである基礎材の上に装着されたカラーフィルター面パターン。
【請求項13】
LCD光弁プロジェクターまたはCCDセンサーの色読み込みに用いるカラーフィルターを製造するために、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法を用いること、または請求項12に記載のパターンを用いること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−9078(P2010−9078A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237488(P2009−237488)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【分割の表示】特願2000−532744(P2000−532744)の分割
【原出願日】平成11年1月21日(1999.1.21)
【出願人】(598051691)エリコン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト,トリュープバッハ (44)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Trading AG,Truebbach
【Fターム(参考)】