説明

平坦材料用のエンボス加工装置

【課題】二次元的に広がる材料を処理するために使用されるエンボス加工装置のエンボス加工ロールを、交換可能に構成する交換ユニットを提供する。
【解決手段】交換ユニットは、例えば終端位置決め面8,9を備えた円筒2として構成できる。エンボス加工装置14のスタンド13は対応する受け座11,12を有し、これらの受け座は高精度でそれぞれの交換ユニット2を受け入れる。交換ユニット2に受け入れられるエンボス加工ロール1,4は、挿入されたならばその作動位置に位置され、固定部材の位置決め面8,9が関係する受け座11,12によって受け止められ、さらなる調整を遂行する必要はない。特にこのようなエンボス加工装置14の被駆動エンボス加工ロール1は実質的に少ない作業で交換でき、このことは保守作業および接続工程の再構成を迅速に遂行できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載された、特にストリップまたはバンドの形態をした平坦材料用の、タバコ製品のパッケージに好ましく使用されるエンボス加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエンボス加工装置は、例えば包装材料にシールや図案などがスタンプされるときに同時にエンボス加工を行う目的で包装工業界で使用されている。これに関連して、エンボス加工という用語はミリメートル規模およびミリメートルより小さい規模の微細パターンを表面に形成することを意味する。この種のシート包装材料は、例えばタバコ製品(シガレット)、食品、チョコレート、チューイング・ガムなどの包装に使用されている。この目的のエンボス加工装置は本願と同じ出願人によるEP−A−0686782に記載されている。
【0003】
このようなエンボス加工装置に関する高作動速度(例えば1.8m/秒)、微細で絶対的に規則的なパターン、並びに長期間の連続作動時間に亘る間違いのないエンボス加工というような条件は、そのエンボス加工機械の構造および据え付けに高精度を要求する。それ故に、従来技術の実施例では、いわゆるエンボス加工ヘッド全体が、すなわちエンボス加工ロールを支持し、調整装置を含むマウントが、とりわけ外部要素としてエンボス加工機械に取り付けられている。これらのエンボス加工ヘッドは、或る種の例では50kgを超える重量となる。
【0004】
しかしながら、ロールは計算可能な摩耗を受けるので、エンボス加工ヘッドの定期的な保守が必要である。特に、ロールはときどき交換しなければならない。しかし、例えば異なる表面構造、異なるシールまたは異なる形状への変更はロールの交換を必要とする。従来技術のエンボス加工ヘッドでは、これはエンボス加工ヘッド全体の取り外し、必要な作業を行う作業場への搬送、エンボス加工ヘッドの再取り付け、およびおそらく付加的に行われることになるその工程に伴う不可避的な調整外れのための時間のかかる再調整を含む。このような作業は数時間かかり、また大重量であるために、エンボス加工ヘッドの取り外しおよびその包装機械への再取り付けに少なくとも2人または付加的な吊り上げ装置が必要となる。
【0005】
迅速に取り替えるためには、第2のエンボス加工ヘッドを有することが都合良い。しかしながら、一方においてこの解決策は非常に高額な投資であり、他方において、新しく取り付けられたエンボス加工ヘッドを包装機械における材料給送に対して正確に調整することの必要性を解消することはない。
【0006】
米国特許第5590557号は、カセット内に配置されてロール交換を容易にした一対のロールのためのロール・スタンドを開示している。カセットはロールの正確な相互調整を可能にするためにスピンドルを含み、このスピンドルはその種の、しかし現在の装置では重要とされない据え付けに問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP−A−0686782
【特許文献2】米国特許第5590557号
【特許文献3】EP−A−925911
【特許文献4】スイス国特許出願第1999 09929/99
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この従来技術の背景のもと、本発明の目的は事前調整を必要としないエンボス加工ロールの容易な交換を可能にする上述した形式のエンボス加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その装置は請求項1に示されている。他の請求項は好ましい実施例を示している。
【0010】
本発明は、エンボス加工装置のマウントに直接にエンボス加工ロールを支持することは絶対的に必要なことではないことの発見に基づく。被駆動エンボス加工ロールは包装機械の被駆動ユニットに連結され、エンボス済み材料の給送方向に対して正確に調整されねばならない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施例の部分図を示す。
【図2】取り外し可能なエンボス加工ロールの部分的に断面とした第1の実施例の頂面図を示す。
【図3】第2の実施例の部分図を示す。
【図4】第3の実施例の部分図を示す。
【図5】第4の実施例の部分図を示す。
【図6】第5の実施例の部分図を示す。
【図7】第6の実施例の部分図を示す。
【図8】エンボス加工ロールの連結されない保持手段を有する第7の実施例の部分図を示す。
【図9】第7の実施例の図2に類似の図を示す。
【図10】エンボス加工ロールの軸受がマウントに備えられた第8の実施例の斜視図を示す。
【図11】第8の実施例の図2に類似の頂面図を示す。
【図12】交換ユニット内でエンボス加工ロールが同期される第9の実施例の斜視図を示す。
【図13】第9の実施例の図2に類似の頂面図を示す。
【図14】エンボス加工ロールを回転させる回転ノブを有する第10の実施例の斜視図を示す。
【図15】第10の実施例の図2に類似の頂面図を示す。
【図16】2つの組合うロールを含むスリーブを備えた他の実施例の斜視図を示す。
【実施例】
【0012】
本発明を例示的な実施例の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0013】
各図面において同じ部品は同じ符号で示されている。
【0014】
図1および図2は、被駆動エンボス加工ロール1が一般に円筒形のスリーブ2で回転可能に支持された本発明の第1の実施例を示している。スリーブ2はエンボス加工ロール1の作業面を横断する切除部3を含み、これによりエンボス加工ロール1に対して組合うロール4を作動できるようになされている(図2を参照)。
【0015】
駆動される第1のエンボス加工ロール1は、回転軸受6によって正確にスリーブ2内に、回転可能に支持される。スリーブの両端はそれぞれ取り付け面8,9を有し、これらの取り付け面はエンボス加工装置14のマウント13の開口11,12に正確に適合される。従ってスリーブ2はプレート16がマウント13に当たり、同時に駆動部21による被駆動エンボス加工ロール1の正確な半径方向の位置決めがなされるまで、矢印15の方向へとマウント13に導入される。固定ねじ18をスリーブ2にねじ込むことで、スリーブ2は所定の最適な回転位置に固定され、また例えば揺れて脱落しないように保持される。図1に示された外部駆動ユニット20のシャフト21は開口11内に係合する。
【0016】
スリーブ2が挿入されると、駆動端部22はエンボス加工ロール1の被駆動端部に連結される。この連結は、当業者に周知で局所的な状況に応じたさまざまな方法、例えばドライバ−(driver)や歯の係合(toothing)によって行うこができる。この連結作業は、エンボス加工ロール1を所定位置へ回転させることを必要とし、これは切除部3を通してエンボス加工ロール1に作用するか、または被駆動エンボス加工ロール1の第2のシャフト端部24を回転することで行え、この例ではシャフト端部24は例えばプレート16を通してアクセスできるように設計される。
【0017】
図1に概略的に示されるように、組合うロール4は通常の保持装置に対する取り付けを解除した後、上方(矢印26)へ取り外すことができ、この解除はまた例えば上述で参照した本出願人のヨーロッパ特許に従ってエンボス加工ロールを互いに引き離すように移動できるようにする。それ故に、組合うロール4の保持装置の構造はこれ以上図示されておらず、さらに詳細に説明する必要はない。
【0018】
図1の概略的な表示と対照的に、図2は、嵌合面8がエンボス加工ロール1よりも小さい直径を有しており、エンボス加工ロール1をマウント13から引き出せるようにするために、緊張装置を解除することで組合うロール4をエンボス加工ロール1から引き離すように十分に持ち上げられることを明確に示している。この実施例が示すように、これにより駆動装置のような全ての付加装置と一緒にマウントを取り外す必要なくエンボス加工ロールだけを交換することができる。また、マウントは包装機械の固定部材として実現できる。主として摩耗にさらされる部品(エンボス加工ロール,軸受)の容易な交換性は、必要とされる部品が少ないので、生態学的に好ましい保守を可能にする。
【0019】
交換が簡単であることから、例えば固定ねじをピンなどに替えるような対応する適用によって、エンボス加工ロールの半自動または全自動の交換を達成することができる。また、これに関係して、製品、または直接にエンボス加工ロールのいずれかに対して、対応するセンサーでエンボス加工ロールの摩耗を監視するために手段を備えることができる。センサーまたは他のいずれかの測定装置はエンボス加工ロールに備えたコードを読み取ることもでき、これにより挿入されたエンボス加工ロールの自動的な識別が可能となる。自動的な摩耗制御の1つの可能性は、ロールの一端を取り囲む研磨された滑らかな領域を形成することにある。この測定区域の表面のマウントに対する相対位置は、例えば光学センサーにより高精度にて検出できる。このために必要なセンサー・アレーはそれ自体周知である。例えばマイクロメートルから数ミリメートルまでの範囲のピラミツドに形成されたエンボス加工パターンを備えたエンボス加工ロールの表面の摩耗はマウントに対してエンボス加工ロールを移動させ、これによりセンサーの対応する信号が発生される。通常のエンボス加工ロールでは、表面が全体的に摩耗した場合、ロールの移動は例えば150μmになる。信号が或る閾値を超えたならば、すなわち摩耗が或る限界値に達したならば、オペレータのために出される対応信号によって、または半自動または全自動の交換システムの作動によって、エンボス加工ロールの交換が要求される。
【0020】
冒頭に挙げたヨーロッパ特許出願、または同一出願人のEP−A−925911によれば、組合うロールは自由回転し、引用例に開示されているように、軸線を一致して軸支するならば自己同期を生じる。
【0021】
被駆動ロールに加えて、組合うロールも適用するようにスリーブ2をその方法で変更することにより、2つのエンボス加工ロールをその相対回転位置にて正確に同期させることがさらに可能になる。この場合、分割する必要はないがフレームを複数の独立した部分で構成することもでき、それらの部分の1つはスリーブのように被駆動ロールを収容し、第2の部分は組合うロールを収容する。フレームが組み立てられ、ロールがマウント13の対応する受け座に挿入されたときにのみフレームの部材が相互に固定されることが好ましい。この例は以下に9番目の実施例(図12、図13)で説明される。
【0022】
例えば先願の未公開のスイス国特許出願第1999 09929/99に記載されているように(図16を参照)、複数ロール・システムに係わる発明の構造を使用することも考えられる。複数ロール・システムは複数、特に3本以上のロールがエンボス加工および(または)移送工程に使用された装置である。
【0023】
以下に記載する例示的な実施例は単数の代替例を示す。
【0024】
図3で、マウント13は基本的に四角形の受け座30を含み、その受け座に対応する四角形の嵌合面31を備えたスリーブが上方から挿入され、取り外される。
【0025】
図4は、被駆動エンボス加工ロール1および組合うロール4の両方がそれぞれスリーブ2,35に収容されている。この例では、被駆動エンボス加工ロール1の表面に押圧されることができるように組合うロール4は切除部36の前面からかなり突出するようにスリーブ35内に偏心して配置される。
【0026】
被駆動エンボス加工ロール1へ向かうこの動きは、スロット38内で移動可能な保持装置すなわちリテーナ39によって保証される。リテーナ39は従来技術による図示していない調整および接触圧力付与装置に連結される。
【0027】
スリーブ2,35の回転位置に関して必要な整合は、エンボス加工ロール1,4が許容位置で作動するように十分に接近させることのできる端部プレート16,40で保証される。例としては、これはそれらがそれぞれ直線部分41を含むという事実によって達成される。
【0028】
図5は、被駆動エンボス加工ロール1に関する限り図3の実施例に基本的に同じ実施例を示している。しかしながらこの例では、組合うロール4もまたU形ホルダー42に支持される。ホルダー42は底部にそれぞれガイド・レール44を備えた凹部43に挿入され、ガイド・レールはホルダーが挿入されるときに端部部材46の底部に備えられている溝(図示せず)に受け入れられる。これらの溝はレール44に対して正確に調整されており、これにより組合うロールの正確な軸線方向の位置決めが達成される。組合うロール4を有するホルダー42はレール44に沿って被駆動エンボス加工ロール1へ向かって移動可能である。この動き、ならびに第1のエンボス加工ロール1に対する定められた接触圧力は、再び述べるが従来技術による調整および接触圧力付与装置によって与えられる。それ故に図示は省略された。
【0029】
図6は、エンボス加工ロール1および組合うロール4が1つの交換可能フレーム48に収容されている実施例を示す。交換可能フレーム48の底部はT形溝49を含み、この溝はレール50上を矢印51の方向へ横方向に挿入して取り付けることを可能にする。この挿入過程において、エンボス加工装置14のための調整および接触圧力付与装置の例示的な押圧部材52は後退されており、交換可能フレーム48が挿入されるや否や作動位置へ向かって前進されて、第1のエンボス加工ロール1に対して第2の組合うロール4の定められた接触圧力を与えるようになされる。押圧部材52の作動位置は定められているので、このために新たな調整は必要なく、挿入を可能にする休止位置から調整装置を所定の作動位置へ移動させることで十分である。
【0030】
図7は、図6の実施例と似ているが、エンボス加工ロール1,4を備えた交換可能フレーム48が矢印53に従って上方からマウント13に挿入できるように交換可能フレーム48およびレール50が設計された実施例を示している。
【0031】
図8および図9は、スリーブ2の中央部分が省略された、すなわちエンボス加工ロール1がその全周でアクセスできる代替実施例を示している。エンボス加工ロール1の両側は取り付け部分55(駆動側),56を備えており、取り付け部分55,56はエンボス加工ロール1の軸受6を収容し、それぞれ取り付け面8,9を含む。その取り付けにおいて、この実施例は挿入過程に関して図1および図2の実施例と同じである。しかしながら、この場合、プレート16のリム58を通してエンボス加工ロール1の軸線方向にマウント13に挿入されるねじ57によって固定されることが好ましい。
【0032】
図10および図11は、駆動側の軸受60がマウント13内に配置され、ジャーナル62を受け入れる実施例を示している。内側円錐面を含むエンボス加工ロール1の端部22を円錐形ジャーナル62の上に滑らせて補完的に連結できるように、交換および保管のための或る位置(ほぼ中央であることが好ましい)にエンボス加工ロール1を保持するために、ここでは端部61はエンボス加工ロール1のための環状支持部65を含むだけである。エンボス加工ロールの端部22は図示したように軸の形態をとるか、ロール本体に一体化されることができる。
【0033】
図12および図13は、図1および図2に似ているが、エンボス加工ロール1,4がそれぞれ歯車リム70,71を含む実施例を示している。作動状態では(図13)、歯車リムは互いに係合してエンボス加工ロール1,4が能動的に同期される。
【0034】
図14および図15は、図1および図2に似た、例えば粗い歯の係合によってシャフト端部22に連結するために適当位置にエンボス加工ロール1を回転できるようにする回転ノブ24を含む実施例を示している。この回転ノブは自由回転ホイールまたは抵抗クラッチ75によりエンボス加工ロール1のシャフト端部76に連結されており、回転ノブ24が作動時に強制的に回転されることはない。
【0035】
図16は、被駆動エンボス加工ロール1が個別にマウント13に配置され、2つの組合うロール4,4Aがスリーブ77に配置され、このスリーブが先に記載した取り付け面8および端部プレート40を含む代替実施例を示している。このような2つ以上の組合うロールの配置は、例えばいわゆる陰影エンボス加工または両面エンボス加工の技術に使用でき、2つの組合うロールは定められた相互の整合に従って配置される。
【0036】
先の説明から、当業者には本発明の範囲から逸脱することなく図示実施例の変更が可能である。特に、このエンボス加工装置はいずれの空間的配向にて配置されることができる。また、特にエンボス加工ロールの連結および回転ノブによる手動回転に関して、図示した代替例は互いに組み合わせることができる。
【0037】
マウント13または取り付け部分55,56のカセット部分の、それぞれ両側または端部プレートは、例えば、エンボス加工ロールの回転を同期させるために歯車またはベルト駆動装置のような同期手段を含むことができる。従って、対応する歯車によるエンボス加工ロール1,4の幾つかまたは全ての同期が可能であり、マウント13にエンボス加工ロール1,4を挿入する過程でのみ歯車部材の連結が行われる。
【0038】
以下の変更の1つまたは幾つかは可能である。すなわち、
− 回転対称の交換ユニット、すなわちスリーブ2または取り付け部分55,56、並びにマウント13の対応する受け座は、所定の回転位置でのみ挿入できるようにするために、対をなす舌部および溝のような回転方向の固定部材、または例えば長円形のように半径方向対称の形状とは異なる形状を備えられる。
− エンボス加工ロールの端部に直接係合する保持手段が備えられ、これによりエンボス加工ロールの端部が軸として作用し、個別の軸が省略できる。
− エンボス加工ロールは、好ましくはモーターまたは他の駆動装置によって一般に駆動される。しかしながら、包装機械の駆動装置に連結される代わりに、それらは例えば連結される機械、特に包装機械のモーターと同期されることが好ましい専用モーターで駆動されることができる。
− 交換ユニットのための磁気固定手段。
− 交換ユニットの半径方向および軸線方向の動きの組み合わせによる交換ユニットの挿入、例えばエンボス加工ロールが被駆動ジャーナルと整合されるまでの上方からの挿入の後、ジャーナル上を滑られるための軸線方向の移動。
− 組合うロール4のためだけの1つまたは幾つかの交換ユニットの使用。
【0039】
先の説明から多くの他の利点が分かる。従来技術では、組合うロールは比較的簡単に取り扱えるねじで対応する調整および(または)接触圧力付与装置に連結され、それ故にすでに従来技術のエンボス加工ヘッドにおいてそれ自体の交換は複雑でなかった。しかしながら、エンボス加工エンブレムを変更する場合、エンボス加工ロールは作動において互いに対して適合され、その2つのロールの一方だけを交換したならば、乱れや、増大された摩耗が生じ得るので、両ロール共交換しなければならず、得られる利点は限られていた。また、別のエンボス加工作業のために、耐え難い投資を必要とすることなくエンボス加工ロールのそれぞれの対を保持することはできる。
【0040】
被駆動エンボス加工ロールが従来のようにマウントに保持された状態で、たとえ組合うロールだけが保持手段を備えたとしても、従来のように支持された組合うロールの交換は被駆動エンボス加工ロールの交換よりも実際に簡単であるので保守のし易さの点で改善されるが、それにも拘わらず時間のかかる作業であり、本発明によってこれが実質的に簡単化されるのである。これに関係して、本発明は幾つかの組合うロールを使用するという最近の傾向が理由となって、付加的な重要性を得る。それは基本的に組合うロール(単数または複数)に対して、特にエンボス加工パターンを備えた表面の摩耗を制限できるということである。
【0041】
本発明のエンボス加工装置は、先願の未公開の同一出願人のヨーロッパ特許出願第925911号に記載された1つのロールの各々の歯が組合うロールの4つの隣接する歯の間に係合するアイドル式エンボス加工ロール、および1つのロールの各々の歯が組合うロールの対応する凹部に係合する能動的な同期ロールの両方に、また3つ以上のロールがある場合にはその混成システムに、好適なことがこの説明から分かる。
【0042】
全体として本発明の記載した実施例は、以下の利点の1つまたは幾つかをさらに与える。すなわち、
1) 本発明の迅速交換システムを備えたエンボス加工ヘッドは裏当て材に固定的に取り付けられる、すなわちその固定された部材を形成する。
2) 一人で作業できる。何故なら、本発明は改装または保守の場合に取り扱わねばならない部品、すなわち特に基本的には唯一エンボス加工ロール自体のかなりの重量軽減を生じるからである。従って、製造費の低減も別に生じる。
3) 取得費用も低減される。何故なら、既存のエンボス加工ヘッドに新たなエンボス加工が要求された場合、取得しなければならないのはその迅速交換システムの対応するエンボス加工ロールだけだからである。
4) エンボス加工ロールの保守および組み立て/分解が、かなり簡略化される。
5) 少ない機械部品しか要求されないので、保守技術は一層生態学的に良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ製品、食品、チョコレート、チューイング・ガムなどの包装に使用するためにシート材料にエンボス加工して微細パターンを形成するエンボス加工装置において、マウント(13)内に互いに平行に配置されると共に、定めた相互接触位置に整合されることができる少なくとも2つのエンボス加工ロール(1,4)、すなわち第1の被駆動ロール(1)および組合うロール(4)を含み、エンボス加工ロール(1,4,4A)の少なくとも1つが交換ユニット(2;2,35;42;48;55,56;77)に収容されていること、交換ユニットが保持手段(8,9;31;49)を含むこと、およびマウントが受け座(11,12;30;50)を含み、受け座の形状は基本的に保持手段の補完形であり、これにより保持手段を関係する受け座に挿入することで交換ユニットがマウント内の所定位置に挿入でき、前記ロールが互いに独立して取り外しできることを特徴とするエンボス加工装置。
【請求項2】
交換ユニット(2;2,35;42;48;55,56;77)に収容されている少なくとも1つのエンボス加工ロール(1,4,4A)が回転駆動される第1のロール(1)であることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項3】
少なくとも1つの組合うロール(4)が交換ユニット(35;42;48)に収容され、このロール(4)に関係する第1のロール(1)がそれ自体の交換ユニットに配置されているか、1つまたは複数の第2のロールと共通の交換ユニット(48)に配置されている1つまたは複数の第2のロール(4,4A)であることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項4】
交換ユニット(2;2,35;42;48;55,56;77)に配置されている少なくとも1つのロール(1,4)が相互作動手段(24)を含み、相互作動手段は或る回転位置へ、すなわち、マウント(13)に挿入された駆動部(20)にロールを連結させることのできる位置へ、ロールを回転させることができることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項5】
固定手段(18;57)、すなわち、クランプ、固定ねじ、または他の機械的でない固定手段がさらに備えられ、固定手段の作動がマウント(13)内の所定位置に保持手段(8,8;31;49)を固定して、作動における調整状態を壊すことなく取り外しおよび再挿入が実行できるようにすることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項6】
単一ロール(1;4;4A)または複数ロール(1,4,4A)を収容する交換ユニットである交換可能フレーム(48;2,42)またはスリーブ(2;35;77)の形態の分割されていない筐体を組立てるために、交換ユニットの部品が互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項7】
交換可能フレーム(48)が第1のロール(1)および組合うロール(4)を取り囲み、これらのロール組をユニットとして取り外しおよび再挿入できるようにすることを特徴とする請求項6に記載された装置。
【請求項8】
交換ユニット内に配置された同期手段(70,71)によって第1のロール(1)および組合うロール(4,4A)が能動的に連結され、これにより作動状態における、およびマウントから取り外されたときのロールの相互の回転位置が定められることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項9】
受け座である壁(11,12)が挿入された状態のロール(1,4,4A)に対して軸線方向または半径方向に配置される保持手段(8,9;31;49)の受け座、または受け座であるガイド(50)をマウント(13)が含むこと、対応する交換ユニット(2;2,35;42;48;55,56;77)の保持手段が基本的に補完形とされ、これによりマウント(13)に対する交換ユニットの取り外しおよび再挿入が基本的にロールの回転軸線に平行または直角に、またはそれらの動きの連続により、行うことができることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項10】
保持手段(8,9)が回転方向の固定手段を含み、マウント(13)における保持手段のための受け座が補完形の固定手段を含み、これにより保持手段はマウントに対して所定の回転方向の位置においてのみ受け座に挿入可能であることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項11】
少なくとも1つのエンボス加工ロールの摩耗を測定可能にする測定手段であるエンボス加工ロール(1,4,4A)の交換の取り付けに関係して、所定の摩耗閾値を超えたときに信号を発生できるようにするために組合うロール(4,4A)の位置を決定可能にするセンサーが備えられ、これによりセンサーの指令に基づいて自動交換が実行できるようになされることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項12】
1つのエンボス加工ロール(1,4,4A)の保持手段(8,9;55,56)の少なくとも1つである交換ユニット(2;2,35;42;48;55,56;77)に配置された全てのエンボス加工ロール(1,4,4A)の保持手段の全てが、エンボス加工ロールを回転支持するための軸受(6)を含むことを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項13】
1つのエンボス加工ロール(1,4,4A)の保持手段(61)の少なくとも1つである第1の被駆動エンボス加工ロール(1)と駆動部(21)との間の連結部に備えられた1つの保持手段が、エンボス加工ロール(1)のための係止部すなわちレスト(65)の形態をとり、その作動のための回転軸受(60)がマウント(13)に配置されていることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項14】
交換ユニット(77)が少なくとも2つのエンボス加工ロール(4,4A)を収容していることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項15】
被駆動エンボス加工ロール(1)が個別にマウント(13)内に配置され、交換ユニット内に配置されたエンボス加工ロール(4,4A)を駆動することを特徴とする請求項14に記載された装置。
【請求項16】
請求項1に記載された装置を含む包装機械。
【請求項17】
エンボス加工装置(14)のマウント(13)が包装機械に取り外し不能に連結されている請求項16に記載された包装機械。
【請求項18】
少なくとも1つの第1のロール(1)と1つまたは複数の第2のロール(4,4A)との間を通過させて、ストリップまたはバンドの形態をした、片面に金属を被覆され、さらに繊維質材料の支持体を含んでなる平坦材料に皮相的な構造をエンボス加工する、請求項1に記載された装置、または請求項17に記載された包装機械の使用方法。
【請求項19】
タバコ製品のパッケージにおける陰影の形成、または両面エンボス加工する請求項15に記載された装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−153144(P2012−153144A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59700(P2012−59700)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2000−606365(P2000−606365)の分割
【原出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(501372606)ボエグリ − グラビュル ソシエテ アノニム (12)
【Fターム(参考)】