説明

平滑筋処置装置および方法

【課題】反復して薬物を処置することなく、気道を拡張し、そして粘液栓形成を低減する喘息処置を提供する。
【解決手段】患者の肺における気道の壁を処置するための装置であって、患者の肺の気道へ挿入されるように形成された細長本体であって、近位末端と遠位末端とを有する光送達デバイス10と、患者の肺へ光を伝達するために、細長本体の近位末端から遠位末端へ延びる光伝達ファイバー18と気道の壁に適用されたときに、平滑筋組織の複製を妨げ、平滑筋組織の変化を引き起こす強度で、細長本体に光を送達するための光源と、光源に該細長本体を接続するための、該細長本体の遠位末端上のコネクタと、細長デバイスの遠位末端から実質的に放射状パターンで光伝達ファイバーから光を拡散または再方向付けするための細長デバイスの遠位末端に配置された光方向付け部材20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、身体導管(body conduit)の壁の平滑筋を処置するための方法および装置に関し、そしてより詳細には、本発明は、身体導管を取り囲む平滑筋の塊(bulk)を、平滑筋の放射エネルギー処置を用いて減少させることにより、医学状態を処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連分野の簡単な説明)
喘息は、肺の気道を取り囲む平滑筋の収縮を引き起こす多くの刺激に対する気管気管支樹(tracheobronchial tree)の強まった反応を含む疾患である。気道の反応亢進は、気道の異常な組織反応から生じ、この組織反応は、免疫学的に誘導されるか、または他の正常な機能応答の生化学的不均衡および神経液性(neurohumoral)不均衡に由来する。健常な患者においては、この患者が咳き込んでいるときなどに、気道を通る限局的な空気流を増加させ、そして肺に入る吸入した粒子を吐き出すように、気道を取り囲む平滑筋は収縮する。喘息患者においては、気道が反応亢進である。空気中のごく少量の花粉、アレルゲン、または他の物質は、これらの反応亢進気道で多量の平滑筋収縮または痙攣を刺激する。この反復される平滑筋の収縮は、筋肉を訓練させ、このことは、筋肉を肥大させ、かつ大きくする。平滑筋を取り囲む組織は、比較的剛性であり、肥大した平滑筋は、気道の方向に拡大して、空気の通り道のための気道の内径を縮小させる。例えば、健常個体は、気道を取り囲む平滑筋の厚さが約0.01mmであるが、喘息患者における平滑筋厚さは、約2または3mmまでに増大し得る。これに対応して、気道の内径は、健常個体については、約2〜3mmであるのが、喘息個体では約0.5mm以下まで減少され得る。気道が狭いことにより、喘息と関連した笛状音またはぜん鳴が引き起こされる。
【0003】
喘息はまた、気道を内張りする腺による粘液の過剰分泌により特徴づけられる。この疾患は、現在では、気道を拡張するための気管支拡張薬物ならびに粘液分泌を減少させるアトロピンまたは類似の化合物の吸入により処置される。気管支拡張薬物は、代表的には、平滑筋を弛緩させて気道を開かせる、平滑筋におけるβレセプターと反応するβアゴニストである。しかし、平滑筋が既に肥大し、かつ拡大している場合は、この筋肉を弛緩させる気管支拡張薬物は、気道の内径を増加させない。
【0004】
吸入された喘息薬物のさらなる欠点は、これらの薬物が反復して定期的に使用されなければならないことである。喘息薬物を定期的に使用したとしても、患者は、より集中的な治療のための入院が必要であり、そしてときには、重篤な気管支痙攣および粘液栓形成(muscus plugging)が原因で死亡する。
【0005】
従って、反復して薬物を処置することなく、気道を拡張し、そして粘液栓形成を低減する喘息処置を提供することが望ましい。
【0006】
肺の気道に加えて、他の身体導管(例えば、食道、尿管、尿道および冠状動脈)はまた、これらの身体導管の内径を減少させる身体導管周辺の平滑筋の反応亢進を引き起こす周期的な痙攣を受けやすい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1) 患者の肺における気道の壁を処置するための装置であって、該装置は、以下:
患者の肺の気道へ挿入されるように形成された細長本体であって、該デバイスは近位末端と遠位末端とを有する、細長本体;
該患者の肺へ光を伝達するために、該細長本体の近位末端から遠位末端へ延びる光伝達ファイバー;
該気道の壁に適用されたときに、平滑筋組織の複製を妨げる、該平滑筋組織の変化を引き起こす強度で該細長本体に光を送達するための光源;
該光源に該細長本体を接続するための、該細長本体の該遠位末端上のコネクタ;および
該細長デバイスの該遠位末端から実質的に放射状(radial)パターンで該光伝達ファイバーから該光を拡散または再方向付けするための該細長デバイスの遠位末端に配置された光方向付け部材、
を備える、装置。
(項目2) 上記光源が約240nm〜約280nmの波長を有する光を送達する、項目1に記載の装置。
(項目3) 上記光源が赤色可視域にある光を送達する、項目1に記載の装置。
(項目4) 上記光源が、上記気道の上記壁に適用されたときに、該気道を取り囲む平滑筋細胞中のDNAを架橋する波長および強度を有する光を送達し、そして該平滑筋細胞の複製を妨げる光を送達する、項目1に記載の装置。
(項目5) 上記光源が、上記気道の上記壁に適用されたときに、該気道を取り囲む粘液腺細胞中のDNAを架橋する波長および強度を有する光を送達し、そして該粘液腺の複製を妨げる光を送達する、項目1に記載の装置。
(項目6) 上記光方向付け部材が、上記ファイバーの長軸から離れた方向で上記光伝達ファイバーからの光を再方向付けする、実質的に円錐状の反射面を備える、項目1に記載の装置。
(項目7) 上記反射面が、凹状断面である、項目6に記載の装置。
(項目8) 上記反射面が、実質的に平面状断面である、項目6に記載の装置。
(項目9) 上記反射面が、実質的に放物型断面である、項目6に記載の装置。
(項目10) 上記光方向付け部材が、上記ファイバーの長軸から離れた方向で上記光伝達ファイバーからの光を方向付けする、拡散レンズを備える、項目1に記載の装置。
(項目11) 上記光伝達ファイバーが、上記気道への送達のためのシースにより取り囲まれている、項目1に記載の装置。
(項目12) 上記シースが透明遠位末端部分を備える、項目11に記載の装置。
(項目13) 上記シースが、上記光方向付け部材により再方向付けられた光が、該シースを出ることを可能にするための複数の透明ウィンドウを有する遠位部分を備える、項目11に記載の装置。
(項目14) 食道の壁を処置するための装置であって、該装置は、以下:
食道へ挿入されるように形成された細長本体であって、該デバイスは近位末端と遠位末端とを有する、細長本体;
該食道へ光を伝達するために、該細長本体の近位末端から遠位末端へ延びる光伝達ファイバー;
該食道の壁に適用されたときに、平滑筋組織の複製を妨げる、該平滑筋組織の変化を引き起こす強度で該細長本体に光を送達するための光源;
該光源に該細長本体を接続するための、該細長本体の該遠位末端上のコネクタ;および
該細長デバイスの該遠位末端から実質的に放射状(radial)パターンで該光伝達ファイバーから該光を拡散または再方向付けするための該細長デバイスの遠位末端に配置された光方向付け部材、
を備える、装置。
(項目15) 尿管または尿道の壁を処置するための装置であって、該装置は、以下:
尿管または尿道へ挿入されるように形成された細長本体であって、該デバイスは近位末端と遠位末端とを有する、細長本体;
該尿管または尿道へ光を伝達するために、該細長本体の近位末端から遠位末端へ延びる光伝達ファイバー;
該尿管または尿道の壁に適用されたときに、平滑筋組織の複製を妨げる、該平滑筋組織の変化を引き起こす強度で該細長本体に光を送達するための光源;
該光源に該細長本体を接続するための、該細長本体の該遠位末端上のコネクタ;および
該細長デバイスの該遠位末端から実質的に放射状(radial)パターンで該光伝達ファイバーから該光を拡散または再方向付けするための該細長デバイスの遠位末端に配置された光方向付け部材、
を備える、装置。
(項目16) 喘息を処置して気管支痙攣を制御する方法であって、該方法は、以下:
平滑筋組織細胞に変化を引き起こし、そして平滑筋細胞の複製を妨げる波長および強度で、肺における気道の壁に照射する工程;ならびに
平滑筋細胞の減少または除去により気管支痙攣を制御する工程;
を包含する、方法。
(項目17) 上記気道の上記壁に適用された光が約240nm〜280nmの波長を有する、項目16に記載の装置。
(項目18) 上記気道の上記壁に適用された光が赤色可視域にある、項目16に記載の方法。
(項目19) 上記光が、上記気道に沿って光送達デバイスを動かすことにより上記壁に適用される、項目16に記載の方法。
(項目20) 呼吸状態を処置して粘液栓形成を制御する方法であって、該方法は、以下:
粘液腺細胞に変化を引き起こし、そして該粘液腺細胞の複製を妨げる波長および強度で、肺における気道の壁に照射する工程;ならびに
粘液腺の減少および除去により粘液栓形成を妨げる工程;
を包含する、方法。
(項目21) 上記気道の上記壁に適用された光が、約240nm〜280nmの波長を有する、項目20に記載の装置。
(項目22) 上記気道の上記壁に適用された光が赤色可視域にある、項目20に記載の方法。
(項目23) 上記光が、上記気道に沿って光送達デバイスを動かすことにより上記壁に適用される、項目20に記載の方法。
(項目24) 食道を処置してアカラシアまたは食道痙攣を低減させる方法であって、該方法は、以下:
平滑筋組織細胞に変化を引き起こし、そして該平滑筋細胞の複製を妨げる波長および強度で、該食道の上記壁に照射する工程;ならびに
該平滑筋組織の除去または減少により該平滑筋組織の痙攣を妨げる工程;
を包含する、方法。
(項目25) 上記食道の壁に適用された光が、約240nm〜280nmの波長を有する、項目24に記載の方法。
(項目26) 上記食道の上記壁に適用された光が赤色可視域にある、項目24に記載の方法。
(項目27) 尿管または尿道を処置して、痙攣を制御するための方法であって、該方法は、以下:
平滑筋組織細胞に変化を引き起こし、そして該平滑筋細胞の複製を妨げる波長および強度で、該尿管または尿道の上記壁に照射する工程;および
該平滑筋組織の除去または減少により該平滑筋組織の痙攣を妨げる工程;
を包含する、方法。
(項目28) 上記尿管または尿道の上記壁に適用された光が、約240nm〜280nmの波長を有する、項目27に記載の方法。
(項目29) 上記尿管または尿道の上記壁に適用された光が赤色可視域にある、項目27に記載の方法。
(発明の要旨)
本発明は、平滑筋組織の複製を妨げるように脈管壁の平滑筋組織に放射エネルギーを印加することによって身体で脈管を処置するためのデバイスおよび方法に関する。平滑筋組織の処置により、経時的に平滑筋組織の量を低減させ、そしてこれは、身体導管の内径を増加させ、そして平滑筋痙攣を妨げる。
【0008】
本発明の1つの局面に従って、患者の肺における気道の壁を処置するための装置は、患者の肺の気道へ挿入されるように形成された細長本体であって、このデバイスは近位末端と遠位末端とを有する細長本体と、この患者の肺へ光を伝達するために、この細長本体の近位末端から遠位末端へ延びる光伝達ファイバーと、この気道の壁に適用されたときに、平滑筋組織の複製を妨げる、この平滑筋組織の変化を引き起こす強度でこの細長本体に光を送達するための光源とを備える。この細長本体のこの遠位末端上のコネクタは、この光源にこの細長本体を接続する。この細長デバイスの遠位末端に配置された光方向付け部材は、この細長本体のこの遠位末端から実質的に放射状(radial)パターンでこの光伝達ファイバーからこの光を拡散または再方向付けする。
【0009】
本発明のさらなる局面に従って、喘息を処置して気管支痙攣を制御する方法は、平滑筋組織細胞に変化を引き起こし、そして平滑筋細胞の複製を妨げる波長および強度で、肺における気道の壁に照射する工程、および平滑筋細胞の減少および除去により気管支痙攣を制御する工程を包含する。
【0010】
本発明のさらなる局面に従って、呼吸状態を処置して粘液栓形成を制御する方法は、粘液腺細胞に変化を引き起こし、そしてこの粘液腺細胞の複製を妨げる波長および強度で肺における気道の壁に照射する工程、ならびに粘液腺の減少および除去により粘液栓形成を妨げる工程を包含する。
【0011】
本発明の別の局面に従って、食道、尿管または尿道を処置して痙攣を低減させる方法は、平滑筋組織細胞に変化を引き起こし、そしてこの平滑筋細胞の複製を妨げる波長および強度で、この導管の壁に照射する工程を包含する。
【0012】
本発明は、喘息または平滑筋の痙攣の処置の放射による利点を提供する。この処置は、気道を拡張し、粘液栓形成を低減または除去し、そして気管支痙攣を低減または排除する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(好適な実施態様の詳細な説明)
図1は、身体導管の壁12に光を送達するための光送達デバイス10を例示する。光送達デバイス10は、光伝達ファイバー18を取り囲む外側カテーテルまたはシース16を備える。光方向付け部材20は、導管壁に光を方向付けるために光送達デバイス10の遠位末端に配置される。本発明は、肺の気道の処置に関して詳細に記載されるが、本発明はまた、他の身体導管の処置のために使用され得ることが理解されるべきである。
【0014】
光送達デバイス10および本発明に従う方法は、現在使用されている気管支拡張薬物および粘液分泌を減少させる薬物より、喘息についてのより恒久的な処置を提供する。喘息患者において、気道の断面直径は、気道を取り囲む平滑筋の塊のために減少している。図7は、健常個体の気道50を示す。この気道は、収縮して気道の直径を縮小させる平滑筋組織52により取り囲まれている。複数の粘液腺54は、気道50の周りに位置し、そして気道に粘液を分泌する。図8は、喘息患者の気道60を示す、ここでこの平滑筋62は肥大しており、このことによって平滑筋の厚さが増大し、そして気道の内径が減少している。本発明の光送達デバイス10を使用して、喘息患者60の気道を取り囲む平滑筋62の容積をバラバラにして(debulk)低減させ、そして改善した空気交換のために気道直径を増加させる。
【0015】
光送達デバイス10を使用して、気道を取り囲む平滑筋を照射し、このことによって、平滑筋細胞のDNAを架橋させる。この処置された、DNAが架橋した平滑筋細胞は、複製できない。従って、経時的には、平滑筋細胞が死ぬにつれて、この細胞は複製する能力がないために、平滑筋の全体的な厚さが減少する。組織の容積の減少を引き起こすプログラムされた細胞死は、アポトーシスとよばれる。この処置は、即効的な効果を生じないが、経時的に平滑筋細胞の縮小および気道の開放を生じ、そして経時的に実質的に再増殖を妨げる。光送達デバイス10による気道壁の照射はまた、粘液腺細胞のDNA架橋を引き起こして、これらの細胞の複製を妨げ、そして経時的に粘液栓形成を低減させる。
【0016】
図2に示されるように、光送達デバイス10は、ファイバーオプティクスを備えるカテーテルのような細長デバイスである。この光送達デバイス10は、従来の光学的な接続により光源22に接続される。光送達デバイス10を用いた気道の処置は、気道に可視化システム(例えば、内視鏡または気管支鏡)を配置することを包含する。次いで、この光送達デバイス10は、気道を可視化しながら気管支鏡または内視鏡を通して、またはそれに隣接して挿入される。処置される気道内の遠位末端に配置されている光送達デバイスは、この光送達デバイスの遠位末端から概して放射(radially)方向に放射エネルギーが放出されるように、活性化される。光送達デバイス10の遠位末端は、処置される気道全長が光に曝されるように、塗装(painting)様運動で気道を動く。光送達デバイス10は、1回以上気道に沿って通過して、十分な処置を達成する。気管全長が光に曝されるように使用される塗装様運動は、手動またはモーターによるかのいずれかで近位末端から光送達デバイス全体を動かすことにより行われ得る。
【0017】
使用される光は、赤外線、可視光線または紫外線の範囲にあるコヒーレント光または非コヒーレント光であり得る。光源22は、公知の光源(例えば、UVレーザー源)であり得る。好ましくは、この光は、約240nm〜約280nmの波長を有する紫外線または赤色可視域にある可視光である。光の強度は、適用に依存して変化し得る。光の強度は、気道に存在する任意の粘液を透過し、そして平滑筋細胞および粘液腺細胞を透過して、この細胞のDNAを架橋させるに十分明るくあるべきである。この光の強度は、使用される波長、適用、平滑筋の厚さおよび他の因子に依存して変化し得る。
【0018】
図3〜6は、気道の壁を照射するための光送達デバイス10の遠位先端の種々の例示的な実施態様を示す。図3において、シース16は、光を、光方向付け部材20により、このシースから実質的に放射状に(radially)通過するように再方向付けさせる、複数のウィンドウ24を備える。この光方向付け部材20は、断面が実質的に放物型である反射面26を有する放物型拡散鏡である。この光は、光源から光伝達ファイバー8に沿って通過し、そしてウィンドウ24を通って光方向付け部材20の反射面26により反射される。このウィンドウ24は、好ましくは、シースの遠位末端の周囲に間隔を開けられた、複数の光透過性部分である。このウィンドウ24は、シース16を通って延びる開孔であり得る。あるいは、ウィンドウ24は、シース16から光を通過させる透過性材料から形成され得る。
【0019】
図4は、光送達デバイスの別の実施態様を例示する。ここで、光方向付け部材20は、円錐形状反射面32を有する。この円錐形状反射面は、シース16から放射状に(radially)光伝達ファイバー18により伝達された光を方向付ける、任意の所望の角度で形成される。円錐反射面32の使用は、光線が概してコヒーレント放射状(radial)パターンで方向付けられる光送達パターンを作製する。この光送達パターンは、この光送達デバイスの長軸に対してほぼ固定角における。対照的に、放物型反射面26を有する図3の光送達デバイスは、気道壁のより大きな領域を照射する発散放射状(radial)パターンで光を方向付ける。
【0020】
図5は、本発明の別の実施態様をさらに例示し、ここで、光方向付け部材20は、凹状反射面36を備える実質的に円錐形の部材である。これらの凹状反射面36は、集束パターンまたは交差パターンでシース16から光伝達ファイバー18を通って概して平行配置で通過するように光を方向付ける。さらに、図5の実施態様において、ウィンドウは、シース16の透明先端38により置き換わっている。
【0021】
図3〜5に例示された反射面を有する光方向付け部材20は、任意の公知の様式(例えば、反射コーティング(例えば、アルミニウム)を備える成形部材をコーティングすることによる)において形成され得る。
【0022】
図3〜5の反射光方向付け部材の代替として、拡散レンズ42(例えば、テフロン(登録商標)レンズ)は、図6に模式的に示されるように光伝達ファイバー18の末端に配置され得る。拡散レンズ42は、図6に示されるように、概して円錐形パターンで光伝達ファイバー18からの光を方向付ける。あるいは、この拡散レンズ42は、より放射的に(radially)配向されたパターンで光を方向付け得、この光線は、反射またはブロッキング部材により光伝達ファイバー18の長軸と実質的に平行な方向でこのレンズを出ていくことを妨げる。図6の実施態様において、光伝達ファイバー18および拡散レンズ42を取り囲むシース16は、全体的に除去され、そしてこのレンズはファイバーの末端に直接固定される。
【0023】
本発明の1つ代替の実施態様に従って、光送達部材10は、光活性化物質(例えば、ソラレンとして公知である物質)とともに使用され得る。これらの光活性化可能な化合物は、活性化された場合、可視光の能力を増強して、平滑筋組織および粘液腺におけるDNAを架橋する。ソラレンは、静脈内に注射され得る。光送達デバイス10により送達された光は、光への曝露が選択されたソラレンを活性化するように、この化合物の吸収スペクトルに適合される。このような光活性化可能な物質が使用されるとき、光活性化可能な化合物なしで架橋を達成するに必要な光強度より、より低い光強度が使用されて、DNA架橋を達成し得る。
【0024】
本発明に従う平滑筋および粘液腺DNAの架橋は、平滑筋および粘液分泌腺(例えば、気道の領域に由来する粘液腺)を低減および除去し、処置された細胞の複製を妨げることにより処置される。この光処置は、いくらかの喘息罹患者にとって、喘息症状からの長期間の改善された解放を提供する。しかし、時間がたつにつれて、最初の光処置の影響を受けなかった、いくらかの量の平滑筋または粘液腺細胞は再生され得、処置は、一月以上または数年のような期間の後に、反復されなければならない。
【0025】
本発明の処置が拡張した平滑筋組織をバラバラにして、気道を開放するために使用され得るが、これは平滑筋を全体的に除去するために使用され得る。平滑筋組織の除去は、喘息患者の反応性亢進の気道が、収縮するかまたは痙攣することを妨げ、この喘息の症状を完全に排除する。
【0026】
光送達デバイス10はまた、他の身体導管を取り囲む平滑筋の容積を低減することによって、他の状態の処置のために使用され得る。例えば、この処置システムは、アカラシアもしくは食道痙攣を有する患者の食道の、Printzmetal狭心症を有する患者の冠状動脈における平滑筋および痙攣を減少させるため、尿管痙攣のため、尿道痙攣のため、および刺激反応性腸障害のために使用され得る。
【0027】
本発明は、その好適な実施態様を参照して詳細に記載されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および改変が行われ得、そして等価物が使用され得ることは当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、ここで添付の図面に例示された好適な実施態様を参照してより詳細に記載される。ここで同様のエレメントは、同様の参照番号を有する。ここで、
【図1】図1は、身体導管および身体導管を処置するための装置の側面断面図である。
【図2】図2は、処置デバイスで処置される肺の模式的側面図である。
【図3】図3は、本発明に従う処置デバイスの第1の実施態様の遠位末端の側面断面図である。
【図4】図4は、本発明に従う処置デバイスの第2の実施態様の遠位末端の側面断面図である。
【図5】図5は、本発明に従う処置デバイスの第3の実施態様の遠位末端の側面断面図である。
【図6】図6は、本発明に従う処置デバイスの第4の実施態様の遠位末端の側面断面図である。
【図7】図7は、健常患者における気道の側面断面図である。
【図8】図8は、喘息患者における気道の側面断面図である。
【図9】図9は、健常患者における気道の側面断面図である。
【図10】図10は、喘息患者における気道の側面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−545(P2009−545A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208277(P2008−208277)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【分割の表示】特願2000−553172(P2000−553172)の分割
【原出願日】平成11年6月9日(1999.6.9)
【出願人】(504329193)アスマティックス,インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】