説明

平滑管製造方法および平滑管製造装置

【課題】加工度が大きくても断管せず、また肉厚の変更および微調整が容易な金属製の平滑管製造方法を提供する。
【解決手段】金属管10に平滑プラグ23が内挿され、前記金属管を引き抜きつつ、前記平滑プラグが内挿された位置において前記金属管の外方から前記金属管を押圧手段により押圧して金属管の肉厚を減少させる減肉工程と、前記減肉工程で減肉された前記金属管が少なくとも1つの引き抜きダイス42により引き抜かれ、前記金属管の外径が所定の外径寸法に縮径される縮径工程とを有する平滑管製造方法において、前記押圧手段が、前記平滑プラグに対し、前記平滑プラグ23が前記金属管10に挿入される軸線から半径方向に、前記平滑プラグと所要の前記肉厚分の距離をおいて、前記軸線周りに回転可能に設置された転動部材31を有して、前記減肉工程は、前記平滑プラグと前記転動部材とによる転造加工から構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属平滑管、特に小径・薄肉な金属平滑管の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、低コスト化、軽量化の観点から、小径・薄肉な金属平滑管の需要が増している。
【0003】
銅やアルミなどの金属管を加工し、小径管を得る方法として、引抜きダイスおよび引抜きプラグを用いた引抜き加工が知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、フローティングプラグを内部に入れた金属管をダイスに通し、細径管を得る方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、金属製細径管を得る方法として、流動性物質を封入した金属管をダイスに通して引抜き加工を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−351015号公報
【特許文献2】特開2007−181872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されている方法では、ダイスに設けられた引抜き孔の径により加工後の金属管の外径が決定される。また、ダイスに設けられた引抜き孔の径とフローティングプラグの外径の差から生じるギャップにより、加工後の金属管の肉厚が決まる。
【0008】
従って当該方法では、引抜き前の金属管の外径・肉厚と、引抜き後の金属管の外径・肉厚の差が小さければ問題は無いが、当該差が大きい場合、すなわち加工度が大きい場合には、金属管が加工限界を超え、断管してしまうという問題がある。
【0009】
このため、特許文献1に記載されている方法を用いて小径・薄肉な平滑管を得ようとする場合には、金属管の断管が生じないよう徐々に加工度を上げなければならないため、複数回の引抜き加工が必要となる。この場合、引抜き加工を繰り返すと、金属管が加工硬化により硬化してしまうため、途中に焼鈍工程を入れる必要があるなど、工程増大の問題が生じる。また、肉厚のバリエーションにより異なった径のフローティングプラグを準備する必要があり、微調整のためにフローティングプラグを交換する必要があるなど、製造効率が低下してしまう。
【0010】
また、特許文献2に記載されている方法では、外径の小さく、内周面の表面粗さが加工前の素管と同等の金属製細径管を得ることができるが、当該方法では肉厚を制御することが難しい。また、当該方法を実施するためには、流動性物質の封入、引抜き加工後の流動性物質の除去が必要になるなど、工程の増大、作業効率の低下といった問題が生じる。
【0011】
上記問題点に鑑み、本発明は、加工度が大きくても断管せず、また肉厚の変更および微調整が容易な平滑管製造方法および平滑管製造装置を提供し、小径・薄肉な平滑管の製造工程を短縮し、及び製造効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、
金属管に平滑プラグが内挿され、前記金属管を引き抜きつつ、前記平滑プラグが内挿された位置において前記金属管の外方から前記金属管を押圧手段により押圧して金属管の肉厚を減少させる減肉工程と、
前記減肉工程で減肉された前記金属管が少なくとも1つの引き抜きダイスにより引き抜かれ、前記金属管の外径が所定の外径寸法に縮径される縮径工程と、
を有する平滑管製造方法において、
前記押圧手段が、前記平滑プラグに対し、前記平滑プラグが前記金属管に挿入される軸線から半径方向に、前記平滑プラグと所要の前記肉厚分の距離をおいて、前記軸線周りに回転可能に設置された転動部材を有して、前記減肉工程は、前記平滑プラグと前記転動部材とによる転造加工から構成されることを特徴とする平滑管製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記転動部材は位置調整手段を有し、前記位置調整手段により、前記平滑プラグと前記転動部材との距離を任意に調整可能であることを特徴とする平滑管製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記位置調整手段は、前記転動部材の外周に備えられた一対のリングから構成され、前記一対のリングは前記転動部材を挟み込むように設置され、前記一対のリング各々の前記転動部材に接する接触面は前記転動部材に対してテーパ状に形成され、前記一対のリングの間隔を調整することで前記転動部材と前記平滑プラグとの距離を任意に調整可能であることを特徴とする平滑管製造方法を提供する。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、
金属管に平滑プラグが内挿され、前記金属管を引き抜きつつ、前記平滑プラグが内挿された位置において前記金属管の外方から前記金属管を押圧手段により押圧して金属管の肉厚を減少させる減肉手段と、
前記減肉工程で減肉された前記金属管が少なくとも1つの引き抜きダイスにより引き抜かれ、前記金属管の外径が所定の外径寸法に縮径される縮径手段と、
を有する平滑管製造装置において、
前記押圧手段が、前記平滑プラグに対し、前記平滑プラグが前記金属管に挿入される軸線から半径方向に、前記平滑プラグと所要の前記肉厚分の距離をおいて、前記軸線周りに回転可能に設置された転動部材を有して、前記減肉手段が、転造加工を行う前記平滑プラグと前記転動部材とから構成されることを特徴とする平滑管製造装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記転動部材が、前記平滑プラグの周囲に配設された少なくとも2つのボールから構成されることを特徴とする平滑管製造装置を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記転動部材は位置調整手段を有し、前記位置調整手段により、前記平滑プラグと前記転動部材との距離を任意に調整可能であることを特徴とする平滑管製造装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、前記転動部材として、ロールを用いたことを特徴とする平滑管製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、加工度が大きくても断管せず、また肉厚の変更および微調整が容易な平滑管製造方法および平滑管製造装置が得られる。
【0020】
本発明で得られる平滑管製造方法および平滑管製造装置によれば、小径・薄肉な平滑管の製造工程を短縮し、また製造効率が向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る平滑管製造装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る平滑管製造方法の作用を示す図である。
【図3】本発明に係る平滑管製造装置における位置調整手段の作用を示す図である。
【図4】本発明に係る平滑管製造装置の第2の実施例を示す図である。
【図5】本発明に係る平滑管製造装置の第2の実施例を示す図である。
【図6】本発明に係る平滑管製造装置の第3の実施例を示す図である。
【図7】本発明に係る平滑管製造装置の第3の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る平滑管製造方法および平滑管製造装置の1実施形態を図に基づいて説明する。
【実施例】
【0023】
[実施例1]
図1に、本発明に係る平滑管製造装置100およびこの装置による平滑管製造方法の構成を示す。図1に示す平滑管製造装置100は、粗引抜きダイス41、仕上げ引抜きダイス42である仕上げ引抜きダイス42a、仕上げ引抜きダイス42b、フローティングプラグ21、平滑プラグ23、フローティングプラグ21および平滑プラグ23を連結するタイロッド22、転動部材であるボール31、31、押圧部材であり位置調整部材であるリング32であるリング32a、32bとから構成される。
【0024】
転動部材および押圧部材により、金属管10を外部から押圧する押圧手段が構成される。
【0025】
図1に示す平滑プラグ23は、円柱状の形状を持ち、タイロッド22を介してフローティングプラグ21に接続され、金属管内に回転自在に配置される。
【0026】
リング32a、32bは、内側にボール31に接する傾斜面35を有し、それぞれの傾斜面35は対向してボール31、31を挟み込むように配置され、ギャップ33の間隔をおいて設置される。
【0027】
このように、リング32a、32bがギャップ33の間隔をおいて設置されることによって、位置調整手段が構成される。
【0028】
上記構成の平滑管製造装置100において、加工される金属管10は、矢印で示す引き抜き方向に引き抜かれて加工の進行状況に伴い、素管11、粗引き管12、薄肉管13、平滑管15の態様を示す。
【0029】
本実施例において、金属管10の材質には銅を用いている。しかし、本発明の実施例として、使用する金属管10の材質はこれに限定されるものではなく、アルミニウム、チタン、キュプロニッケル等如何なるものであっても良い。
【0030】
特に、チタン、キュプロニッケル等の難加工材であれば、本発明の効果が効果的に得られ、より好適である。現状、チタンは引抜き加工を行うことは困難であり、圧延加工にて加工が行われている。従って、チタンであっても引抜き加工を行うことが可能となるところに本発明の特徴がある。
【0031】
本実施例において、ボール31、31は金属から構成されている。しかし、ボール31、31の材質はセラミック等硬性を示すものであれば他の材料で構成されていても良い。
【0032】
また、耐摩耗性、耐凝着性、摩擦低減等の観点から、平滑プラグ23の表面に、CVD、PVD、DLC等の表面処理をおこなってもよい。
【0033】
以下、本発明の実施例に係る平滑管製造方法の工程を順を追って説明する。
【0034】
(粗引き抜き工程)
本実施例に係る平滑管製造方法では、まず粗引き抜き工程が実施される。
【0035】
粗引き抜き工程の実施に先立ち、素管11にタイロッド22を介して接続されたフローティングプラグ21及び平滑プラグ23を挿入する。
【0036】
この状態の素管11を粗引き抜きダイス41に通し、図1の矢印で示す引抜き方向に素管11を引き抜くと、フローティングプラグ21は粗引き抜きダイス41の内側位置で停止する。
【0037】
フローティングプラグ21が停止すると同時に、平滑プラグ23も引抜き方向における位置が固定される。
【0038】
(減肉行程)
素管11は粗引きダイス41による粗引き抜き工程を経て粗引き管12となり、粗引き管12に対して減肉行程が実施される。
【0039】
減肉工程は、金属管10内に内挿されている平滑プラグ23、転動部材であるボール31、31、押圧手段および位置調整手段であるリング32a、32bを用いて実施される。
【0040】
フローティングプラグ21の停止により引抜き方向における位置が固定された平滑プラグ23の当該位置において、粗引き管12の外周には図1に示すようにボール31、31が配置される。
【0041】
すなわち、減肉工程において、傾斜面35で固定されたボール31、31は、粗引き管12を挟んで平滑プラグ23の周囲に配置される。
【0042】
本実施例において、平滑プラグ23の周囲にボール31が2つ配置される例を用いて説明した。しかし、本発明の実施の形態はこれに限定されるものではなく、減肉工程で用いるボールは、平滑プラグの周囲に少なくとも2つ配置されていれば良く、2つ以上、例えば4つ等配置されていても良い。
【0043】
ボール31、31はリング32a、32bにより、金属管の軸線の半径方向の位置が定められる。このとき、ボール31、31の位置は、平滑プラグ23から、減肉工程で得ようとする肉厚分の距離を置いた位置に調整される。
【0044】
このように、ボール31、31は、リング32a、32bにより金属管の軸線の半径方向の位置が定められているため、粗引き管12は、ボール31、31により、外周面が押圧される。すなわち、粗引き管12には、押圧手段および位置調整手段であるリング32a、32bと、転動部材である平滑プラグ23とから押圧される。
【0045】
減肉工程におけるボール31、31の作用を図2に示す。
【0046】
図2に示すように、減肉工程においては、図2に示す矢印の方向に引き抜かれる粗引き管12の軸線まわりにボール31、31が、押圧手段および位置調整手段であるリング32a、32bによって粗引き管12を押圧しながら回転させられる。粗引き管12が引き抜かれながら、その軸線周りにボール31、31が押圧しながら回転することにより、粗引き管12の肉厚は減ぜられ、平滑プラグ23とボール31、31との間の距離に肉厚が加工調整される。
【0047】
すなわち、本実施例においては、粗引き管12の軸線まわりにボール31、31が粗引き管12を押圧しながら回転し、断続的に減肉加工をする、いわゆる転造加工となることで、加工負荷が低減され、加工度を大きく設定しても断管しづらくなるという効果が得られる。
【0048】
(減肉調整工程)
本実施例における減肉調整工程の作用を図3を用いて説明する。なお、図3では説明の便宜上、押圧手段および位置調整手段であるリング32a、32bが設置されている位置の半径から上の部分のみ示すが、実際には上下対称である。
【0049】
本実施例における押圧手段および位置調整手段であるリング32は、上述のようにリング32aとリング32bがボール31を挟み込むように設置されて構成される。リング32aとリング32bのボール31に接する接触面は、傾斜面35とされ、図3に示すようにボール31に対してテーパ状に形成される。
【0050】
当該構成により、リング32aとリング32bの間隔であるギャップ33を調整手段(図示せず)により調整することで、金属管10の軸線に対して半径方向のボール31の図視上下方向位置を調整することが可能となる。
【0051】
すなわち、図3(a)に示すように、リング32aとリング32bの間隔を狭めてギャップ33aとすると、ボール31の金属管10の軸線に対する半径方向距離が小さくなる。
【0052】
これに対し、図3(b)に示すように、リング32aとリングbの間隔を広くしてギャップ33bとすると、ボール31の金属管10の軸線に対する半径方向距離が大きくなり、図3に示すΔhの分だけボール31は半径方向において外方に位置することとなる。
【0053】
金属管10の軸線に対するボール31の半径方向の距離は、平滑プラグ23との距離と関連し、平滑プラグ23とボール31との距離は金属管10の肉厚に関連する。
【0054】
従って、図3(a)に示すように、ボール31の金属管10の軸線に対する半径方向距離が小さくなると、ボール31と平滑プラグ23との距離が小さく調整され、減肉工程を経て得られる薄肉管13aの肉厚は小さく調整される。
【0055】
これに対し、図3(b)に示すように、ボール31の金属管10の軸線に対する半径方向距離が大きくなると、ボール31と平滑プラグ23との距離が大きく調整され、減肉工程を経て得られる薄肉管13bの肉厚は大きく調整される。
【0056】
このように、本実施例においては、リング32a、32bの間隔であるギャップ33を調整することで、転動部材であるボール31と平滑プラグ23との距離を任意に調整可能であり、従って薄肉管13の肉厚を任意に調整することが可能となる。
【0057】
従って、肉厚に応じて異なる外径のプラグを準備するなどの工具の準備が必要が無く、同一の工具、すなわちリング32a、32bとボール31との組み合わせで肉厚の変更・微調整が可能となり、作業効率の向上、コスト低減などの効果が得られる。
【0058】
(縮径工程)
ここで再度図1を用いて縮径工程を説明する。
【0059】
減肉行程を経た粗引き管12は薄肉管13となり、縮径工程が実施される。
【0060】
縮径工程では、薄肉管13が仕上げ引抜きダイス42である仕上げ引抜きダイス42a、42bを順次通過することで、段階的に縮管加工され、外径が所定の寸法に調整される。
【0061】
縮径工程を経た薄肉管13は、外径が調整され、所定の径および肉厚を有する平滑管15となる。
【0062】
このように、本実施例においては、金属管の引き抜き加工において、減肉行程と縮径工程とが独立していることで、加工負荷が低減され、加工度を大きく設定しても断管しづらくなるという効果が得られる。
【0063】
[実施例2]
転動部材として、ここまでボール31を例にとって説明した。しかし、本発明の実施例における転動部材はボール31のような球体に限定されず、円柱状、又は太鼓状のロールであっても良い。
【0064】
転動部材として円柱状のロールを用いた場合の実施例を図4に示す。図4では、ロール34、34以外の構成は図1と同様であるため、同じ符号を付した部材の説明は省略する。
【0065】
転動部材としてロール34、34を使用した場合、図4(a)に示すように、図1に示すボール31、31の代わりに、ロール34、34が平滑プラグ23が配置される位置の金属管の外周に設置される。
【0066】
ロール34、34は、図4(a)のx−x断面である図4(b)に示すように、粗引き管12の周囲に配置される。粗引き管12の周囲に配置されたロール34、34は、粗引き管12の軸線まわりに粗引き管12を押圧しながら回転し、断続的に減肉加工をする。
【0067】
ロール34、34による減肉加工により肉厚が調整された粗引き管12は薄肉管13となり、縮径工程に移される構成は図1に示す実施例と同様である。
【0068】
転動部材として太鼓状のロール34’、34’を使用した場合の実施例を図5に示す。図5では、ロール34’、34’以外の構成は図4(a)と同様であるため、同じ符号を付した部材の説明は省略する。
【0069】
転動部材として太鼓状のロール34’、34’を使用した場合、図5(a)に示すように、図4(a)に示すロール34、34の代わりに、ロール34’、34’が平滑プラグ23が配置される位置の金属管の外周に設置される。
【0070】
ロール34’、34’は、図4(b)に示すロール34、34と同様に、粗引き管12の周囲に配置される。粗引き管12の周囲に配置されたロール34’、34’は、粗引き管12の軸線まわりに粗引き管を押圧しながら回転し、断続的に減肉加工をする。
【0071】
ここで、ロール34’は、図5(b)の斜視図に示すように、小径部37、37と、大径部38とから構成される。2つの小径部37、37は、中央の大径部38を介して接続されており、一の小径部37から大径部38、及び大径部38から他の小径部37へは緩やかな曲線により接続されている。すなわち、ロール34’は太鼓状の形状を持つ。
【0072】
ロール34’の当該形状により、粗引き管12は、ロール34’が備える小径部37から大径部38にかけての緩やかな曲線により徐々に減肉加工される。このため、本実施例においては、より金属管10の加工負荷を低減できる効果が望める。
【0073】
ロール34’、34’による減肉加工により肉厚が調整された粗引き管12は薄肉管13となり、縮径工程に移される構成は図1及び図4に示す実施例と同様である。
【0074】
[実施例3]
本発明の実施例として、ここまで円柱状の平滑プラグ23を例にとって説明した。しかし平滑プラグ23の形状は円柱状に限定されず、例えば減肉が徐々に行われるようにテーパ状の形状としたり、球体状としてもよい。
【0075】
本発明の実施例として、平滑プラグの形状を変化させた例を図6、図7に示す。
【0076】
図6に示す例は、平滑プラグとしてテーパ状のテーパプラグ24を用いた場合である。この場合、テーパプラグ24のテーパ形状により、減肉が徐々に行われ、金属管10の加工負荷を低減できる効果が望める。
【0077】
本実施例においては、テーパ24のテーパ形状によって減肉を行うため、転動部材としては、テーパプラグ24のテーパ形状に合わせて、金属管10の軸線に対し角度をもって設置されたロール34a、34aが好ましい。
【0078】
図7に示す例は、平滑プラグとして球体状の球状プラグ25を用いた場合である。この場合、球状プラグ25はボール31、31と組み合わされ、球状プラグ25の球面及びボール31、31の球面の作用により、減肉が徐々に行われ、金属管10の加工負荷を低減できる効果が望める。
【符号の説明】
【0079】
10…金属管、11…素管、12…粗引き管、13…薄肉管、15…平滑管、21…フローティングプラグ、22…タイロッド、23…平滑プラグ、24…テーパプラグ、25…球状プラグ、31…ボール、32…リング、33…ギャップ、34…ロール、35…傾斜面、37…小径部、38…大径部、41…粗引抜きダイス、42…仕上げ引抜きダイス、100…平滑管製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管に平滑プラグが内挿され、前記金属管を引き抜きつつ、前記平滑プラグが内挿された位置において前記金属管の外方から前記金属管を押圧手段により押圧して金属管の肉厚を減少させる減肉工程と、
前記減肉工程で減肉された前記金属管が少なくとも1つの引き抜きダイスにより引き抜かれ、前記金属管の外径が所定の外径寸法に縮径される縮径工程と、
を有する平滑管製造方法において、
前記押圧手段が、前記平滑プラグに対し、前記平滑プラグが前記金属管に挿入される軸線から半径方向に、前記平滑プラグと所要の前記肉厚分の距離をおいて、前記軸線周りに回転可能に設置された転動部材を有して、前記減肉工程は、前記平滑プラグと前記転動部材とによる転造加工から構成されることを特徴とする平滑管製造方法。
【請求項2】
前記転動部材は位置調整手段を有し、前記位置調整手段により、前記平滑プラグと前記転動部材との距離を任意に調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の平滑管製造方法。
【請求項3】
前記位置調整手段は、前記転動部材の外周に備えられた一対のリングから構成され、前記一対のリングは前記転動部材を挟み込むように設置され、前記一対のリング各々の前記転動部材に接する接触面は前記転動部材に対してテーパ状に形成され、前記一対のリングの間隔を調整することで前記転動部材と前記平滑プラグとの距離を任意に調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の平滑管製造方法。
【請求項4】
金属管に平滑プラグが内挿され、前記金属管を引き抜きつつ、前記平滑プラグが内挿された位置において前記金属管の外方から前記金属管を押圧手段により押圧して金属管の肉厚を減少させる減肉手段と、
前記減肉工程で減肉された前記金属管が少なくとも1つの引き抜きダイスにより引き抜かれ、前記金属管の外径が所定の外径寸法に縮径される縮径手段と、
を有する平滑管製造装置において、
前記押圧手段が、前記平滑プラグに対し、前記平滑プラグが前記金属管に挿入される軸線から半径方向に、前記平滑プラグと所要の前記肉厚分の距離をおいて、前記軸線周りに回転可能に設置された転動部材を有して、前記減肉手段が、転造加工を行う前記平滑プラグと前記転動部材とから構成されることを特徴とする平滑管製造装置。
【請求項5】
前記転動部材が、前記平滑プラグの周囲に配設された少なくとも2つのボールから構成されることを特徴とする請求項4に記載の平滑管製造装置。
【請求項6】
前記転動部材は位置調整手段を有し、前記位置調整手段により、前記平滑プラグと前記転動部材との距離を任意に調整可能であることを特徴とする請求項4に記載の平滑管製造装置。
【請求項7】
前記転動部材として、ロールを用いたことを特徴とする請求項4に記載の平滑管製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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