説明

平版刷版の自動給排装置

【課題】 複数の平版刷版を1枚づつ分離して露光工程へ供給し、また露光後の平版刷版を次の工程へ向けて排出するための自動給排装置の構成を簡素化して小型化し、廉価に製造可能とする。さらに、動作上の待ち時間を少なくして生産性を向上可能とする。
【解決手段】 平版刷版11の束から搬出手段46で引き出した一枚の平版刷版11を主搬送ベルト48に対して交差する方向に当てることにより主搬送ベルト48と副搬送ベルト52との間に挟み込ませて記録装置14側へ搬送する。これと共に、記録装置14から主搬送ベルト48と副搬送ベルト52との間に挟持し搬送してきた平版刷版11を、先端ローラ51以降へ掛けて主搬送ベルト48に沿うように搬送して次の工程へ排出する。よって、平版刷版11を自動給排装置へ搬入する方向と、排出する方向とを異ならせることによって、自動給排装置の構成を平版刷版11の供給用と排出用とに兼用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の平版刷版だけを束ねたものを装填し、各平版刷版を1枚づつ分離して処理工程へ供給すると共に、処理後の平版刷版を次の工程へ向けて排出する、平版刷版の自動給排装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オフセット印刷には、平版刷版としての感光性印刷版(いわゆるPS版)が利用されている。また、この平版印刷の分野では、未露光の感光性印刷版の供給を受けて、この感光性印刷版に対しコンピュータ等のデジタルデータに基づいてレーザ露光処理をし、自動現像機で感光性印刷版上に形成された潜像を顕像に変換する現像処理をして直接印刷版を製版するCTP(Computer to Plate)システムが実用化されている。
【0003】
CTPシステムに用いられる感光性印刷版は、薄いアルミニウム基板の表面上へ感光剤を層状に塗布して感光層が構成され、いわゆる腰の強いシート状に形成されている。さらに、このような感光性印刷版(PS版)には、アルミニウム基板に塗布する感光剤を外力に対し強い特性(例えば、通常のPS版の20倍以上の強度特性)とした、合紙の保護を必要とせず、じかに重ねて束ねた状態で取り扱っても傷が問題とならない程度に記録層側の表面を強化した、表面強化型のフォトポリマPS版(いわゆる合紙レス平版刷版)がある。
【0004】
このような合紙レス感光性印刷版(合紙レスPS版)を使用するCTPシステムでは、平版刷版の枚葉供給装置を備えたものがある。この枚葉供給装置は、一方の感光性印刷版表面の感光面上に他方の感光性印刷版裏面を直接接触させて積層し、所定複数枚重ねた束を、遮光された枚葉供給装置のハウジング内に装填し、製版作業の開始と共に枚葉供給装置によって感光性印刷版の束から感光性印刷版を1枚ずつ分離して露光処理部側へ搬出し、露光装置の一方の側から供給する。
【0005】
このように合紙レス感光性印刷版の束から枚葉供給装置で感光性印刷版を1枚づつ供給するように構成した場合には、合紙取り出し機構、合紙搬送機構及び合紙集積部が不要となり、高生産性、低価格、省スペースな構成をとることが可能となる。
【0006】
また、このCTPシステムでは、露光装置で露光処理された感光性印刷版を、露光装置の他方の側から排出装置とバッファ装置とによって露光処理部から引き出して、次の処理工程としての現像処理装置へと搬出する。
【0007】
このようなCTPシステムは、感光性印刷版を、一方の側から枚葉供給装置によって露光装置へ供給すると共に露光処理後に排出装置によって他方の側へ排出するという一方向へ搬送する構成となっているため、露光装置に対する搬送方向に長くなり大型化するという問題がある。
【0008】
そこで、このようなCTPシステムでは、露光装置へ感光性印刷版を供給する手段と、露光装置から露光処理済みの感光性印刷版を排出する手段とを、露光装置の一方の側部にまとめて配置することにより、装置全体の小型化を図ることが考えられる。
【0009】
従来、このように構成した円筒内面走査装置として、円筒内面走査装置の一方側に、未露光の感材を収納する供給カセットと露光済みの感材を収納する収納カセットとを配置し、パスチェンジ搬送ユニットを利用してローディング動作とアンローディング動作とを行う手段が提案されている。
【0010】
このパスチェンジ搬送ユニットを利用した手段では、パスチェンジ搬送ユニットをローディング位置と、アンローディング位置とに移動してセット可能に構成する。
【0011】
すなわち、このパスチェンジ搬送ユニットを利用した手段では、供給カセットから感材を供給するためのパッド搬送ユニットに、パスチェンジ搬送ユニットを移動して接続させたローディング位置で円筒内面走査装置へ感材を供給する動作を行う。
【0012】
また、このパスチェンジ搬送ユニットを利用した手段では、露光済みの感材を収納カセット内へ搬入する搬送ユニットに、パスチェンジ搬送ユニットを移動して接続させたアンローディング位置で、円筒内面走査装置から露光済みの感材を排出する動作を行うようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
このような従来のパスチェンジ搬送ユニットを利用した手段では、大型のパスチェンジ搬送ユニットをローディング位置と、アンローディング位置とに移動してセットするための、複雑な制御機構が必要となるので、高価になる。また、この従来のパスチェンジ搬送ユニットを利用した手段では、パスチェンジ搬送ユニットから感材の全体が排出された状態となるまで待ってから、パスチェンジ搬送ユニットをローディング位置又はアンローディング位置に移動操作してセットした後に、感材の供給又は排出動作を行わなければならないため、待ち時間が多くなり、生産性を高くできないという問題がある。
【特許文献1】特開平8−234441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述の問題に鑑み、複数の平版刷版だけを束ねたものを装填し、各平版刷版を1枚づつ分離して処理工程へ供給し、また処理後の平版刷版を次の工程へ向けて排出するための構成を簡素化して小型化し、廉価に製造可能とする。さらに、動作上の待ち時間を少なくして生産性を向上可能とした、平版刷版の自動給排装置を新たに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に記載の平版刷版の自動給排装置は、一方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを、斜めに配置された支持台上に斜めに持たせ掛けるように載置する装填台と、平版刷版の束における最上部の平版刷版を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、平版刷版を搬出する搬出手段と、搬出手段で引き出された各平版刷版を、記録装置へ供給する搬送路に沿って主搬送ベルトを配置した主搬送ベルト巻き掛け機構と、主搬送ベルトに平版刷版を圧接して保持する副搬送ベルトを配置した副搬送ベルト巻き掛け機構と、主搬送ベルトにおける記録装置に臨む端部と反対側の端部で主搬送ベルトが巻き掛けられる先端ローラと、副搬送ベルトにおける記録装置に臨む端部と反対側の端部で副搬送ベルトが巻き掛けられる先端搬送ローラとの間にある主搬送ベルトの部分に、搬出手段で引き出された平版刷版の先端を交差する方向に当てることにより主搬送ベルトと副搬送ベルトとの間に挟み込ませて記録装置側へ搬送すると共に、記録装置から排出されてきた平版刷版を主搬送ベルトに沿うように搬送して次の工程へ排出するよう設定したガイド範囲と、を有することを特徴とする。
【0016】
上述のように構成することにより、装填台に載置された平版刷版の束から搬出手段で引き出した一枚の平版刷版を、先端ローラに巻き掛けられている主搬送ベルトに対して交差する方向に当てることにより主搬送ベルトと副搬送ベルトとの間に挟み込ませて記録装置側へ搬送する。これと共に、記録装置から主搬送ベルトと副搬送ベルトとの間に挟持して副搬送ベルトの先端搬送ローラまで搬送してきた平版刷版を、この先端搬送ローラの位置から主搬送ベルトの先端ローラ以降へ掛けて主搬送ベルトに沿うように搬送して次の工程へ排出する。よって、平版刷版を自動給排装置へ搬入する方向と、自動給排装置から排出する方向とを異ならせることによって、自動給排装置の構成を平版刷版の供給用と排出用とに兼用できるから、構成を簡素化して小型化して、この自動給排装置を廉価に製造できる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の平版刷版の自動給排装置において、装填台を、主搬送ベルト巻き掛け機構から次の工程へ排出するため設置したバッファ装置の下部に配置したことを特徴とする。
【0018】
上述のように構成することにより、請求項1に記載の発明の作用、効果に加えて、バッファ装置と自動給排装置とが上下に並ぶように配置して、これらの設置場所を共用するので、さらなる装置の小型化を図ることができる。
【0019】
本発明の請求項3に記載の平版刷版の自動給排装置は、一方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを、斜めに配置された支持台上に斜めに持たせ掛けるように載置する装填台と、平版刷版の束における最上部の平版刷版を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、平版刷版を搬出する搬出手段と、搬出手段で引き出された各平版刷版を、記録装置へ供給する供給用搬送路と、記録装置から次の工程へ排出する排出用搬送路とに沿って主搬送ベルトを配置した主搬送ベルト巻き掛け機構と、供給用搬送路上で主搬送ベルトに平版刷版を圧接させながら搬送するための搬送補助手段と、排出用搬送路上で、主搬送ベルトに沿うように補助搬送ベルトを張架し、主搬送ベルトと補助搬送ベルトとの間に平版刷版を挟持して搬送するための副搬送ベルト巻き掛け機構と、主搬送ベルトにおける記録装置に臨む端部と反対側の端部で主搬送ベルトが巻き掛けられる先端ガイドローラと、副搬送ベルトにおける記録装置に臨む端部と反対側の端部で副搬送ベルトが巻き掛けられる先端搬送ローラとの間にある主搬送ベルトの部分に、搬出手段で引き出された平版刷版の先端を交差する方向に当てることにより主搬送ベルトと副搬送ベルトとの間に挟み込ませて記録装置側へ搬送させるよう設定したガイド範囲と、供給用搬送路から搬出された平版刷版を記録装置内へ向けてガイドすると共に、排出用搬送路へ排出するためにメイン搬送ベルト巻き掛け機構の最も記録装置側にあるメイン用端部ガイドローラから最も記録装置側に位置するサブ用端部ガイドローラにかけて巻き掛けられた補助搬送ベルトの部分に、平版刷版の端部を送り込むようにガイドするガイド手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の平版刷版の自動給排装置において、ガイド手段を、供給用搬送路から記録装置内へ向けて平版刷版をガイドする位置と、記録装置から排出用搬送路へ向けて平版刷版をガイドする位置とに、移動操作可能に構成したことを特徴とする。
【0021】
前述のように構成することにより、装填台に載置された平版刷版の束から搬出手段で引き出した一枚の平版刷版を、メイン搬送ベルト巻き掛け機構における先端ガイドローラにかけてのガイド範囲部分のメイン搬送ベルトに対して交差する方向に当てることによりメイン搬送ベルトと補助搬送ベルトとの間に挟み込ませて記録装置側へ搬送する。これと共に、記録装置からメイン搬送ベルトと補助搬送ベルトとの間に挟持して補助搬送ベルトのサブ用端部ガイドローラまで搬送してきた平版刷版を、このサブ用端部ガイドローラの位置から主搬送ベルトの先端ガイドローラ以降へ掛けて主搬送ベルトに沿うように搬送して次の工程へ排出する。よって、平版刷版を自動給排装置の供給用搬送路へ搬入する方向と、自動給排装置の排出用搬送路から排出する方向とを異ならせることによって、自動給排装置のメイン搬送ベルト巻き掛け機構の構成を供給用搬送路と排出用搬送路で兼用できるから、構成を簡素化して小型化して、この自動給排装置を廉価に製造できる。さらに、この自動給排装置では、平版刷版の後端が排出用搬送路内に入った直後に、供給用搬送路を通っている平版刷版の先端が記録装置へ搬入を開始することが可能であるから、記録装置へ平版刷版を搬入する動作と、平版刷版を排出する動作との間に無駄な待ち時間を作らないようにして作業能率を向上し生産性を向上できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の平版刷版の自動給排装置によれば、複数の平版刷版だけを束ねたものを装填し、各平版刷版を1枚づつ分離して処理工程へ供給し、また処理後の平版刷版を次の工程へ向けて排出するための構成を簡素化し小型化して廉価に製造可能とする。さらに、動作上の待ち時間を少なくして生産性を向上できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の平版刷版の自動給排装置に関する第1実施の形態について図1乃至図4により説明する。本第1実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置は、例えば、現在市販されている一般の感光性印刷版(PS版)と比較して、感光性印刷版の表面に感光剤を塗布して形成された感光面が外力に対し強く(20倍以上)、合紙の保護を必要としないフォトポリマPS版である、いわゆる合紙レス感光性印刷版(合紙レスPS版)を所定複数枚束にしたものを装置内に装填し、枚葉供給装置で各平版刷版である感光性印刷版を1枚づつ分離して搬出する送給作業を可能に構成する。
【0024】
すなわち、この平版刷版の自動給排装置に用いる合紙レス平版刷版(合紙無し感光性印刷版)には、所定サイズの長方形の板状に形成された薄いアルミニウム板である支持体上に、感光材料を含有する感光面(画像記録層である感光剤面)を塗布して形成された感光面が設けられている。
【0025】
この平版刷版の自動給排装置に用いる合紙レス感光性印刷版は、これを製造してから所定複数枚の感光性印刷版を、合紙を廃止して、感光性印刷版の表面に当たる感光面(感光剤面であるEm面)に感光性印刷版の裏面に当たる(PS版アルミ面であるBack面)を直接接触させる状態で積層して束にした状態で、運搬や保管を行い、さらに感光性印刷版の母材であるアルミ面で感光面を擦りながら感光性印刷版を1枚づつ分離して搬出しても、傷や圧力カブリ等を生じないという特性を持つ。
【0026】
また、この平版刷版の自動給排装置に用いる合紙レス感光性印刷版は、感光性印刷版の裏面に当たるアルミニウム材料面であるBack面に、その下に積み重ねられた感光性印刷版表面の記録面に対して擦れ傷を付けることを防止するためのオーバーコート層を塗布したものであっても良い。
【0027】
この合紙レス感光性印刷版は、製造後、合紙無しで所定複数枚積み重ねられることにより直方体の束にされて梱包され、搬送及び保管等の取り扱いが容易な状態とされる。この合紙レス感光性印刷版は、梱包を解いてから合紙無しで所定複数枚積み重ねられた束の状態で、CTPシステムに設けた平版刷版の自動給排装置の内部へ遮光状態で供給される。
【0028】
このCTP(Computer to Plate)システムは、コンピュータ等のデジタルデータに基づいてレーザ露光処理をし、自動現像機で感光性印刷版上に形成された潜像を顕像に変換する現像処理をして直接印刷版を製版する。
【0029】
図1及び図2に示すように、このCTPシステムは、合紙無しで所定複数枚積み重ねられた平版刷版11の束が供給される供給装置10と、この供給装置10に連続して平版刷版11の束から平版刷版11(PS版)を1枚づつ分離して供給する枚葉給排装置12と、記録装置であるインナードラム露光装置14と、バッファ装置16と、現像処理装置18とを備える。
【0030】
このCTPシステムにおける供給装置10は、図4に示すように、供給装置10部分のハウジングに、内部に光が入射しないように遮光する遮光扉15を、図示しないヒンジで軸着して開閉可能に設ける。
【0031】
この供給装置10部分のハウジング内には、遮光扉15を開いた状態で引き出し可能なトロリーとして構成された、装填台44を設置する。この装填台44は、バッファ装置16の下部に配置することにより、CTPシステム全体が閉める設置場所の面積を小さくできる。
【0032】
この装填台44は、供給装置10の床面側端部からインナードラム露光装置14側の上端部へかけて所定角度θで斜めに配置した支持台60に、高さ位置を調整可能なように棚部材62を装着して構成する。この装填台44では、支持台60を水平に対して角度60度から角度80度の範囲、好ましくは角度70度で傾斜させる。
【0033】
このように構成した装填台44に、合紙無しで所定複数枚積み重ねられた平版刷版11の束を載置する場合には、図4に示すように、遮光扉15を開いて装填台44を引き出した状態で行う。この平版刷版11の束は、図2に示すように、この束の搬送方向上流側端部を棚部材62の上に載せて支持台60の表面に斜めに持たせ掛けるようにして装填台44上に載置する。
【0034】
このように装填台44を構成した場合には、所定角度で斜めに配置した支持台60上に載置された合紙無しで所定複数枚積み重ねられた平版刷版11の束における最も表面側に位置する平版刷版11が自重によりその下にある平版刷版11に圧接する力を、装填台44を水平に配置する場合と比較して減少させることができる。
【0035】
さらに、このように構成する場合には、装填台44を水平に配置する場合と比較して供給装置10の水平方向の大きさを削減し装置の小型化を図ることができる。
【0036】
図2に示すように、供給装置10と連続するように構成されている枚葉給排装置12には、装填台44の上側の位置に、複数の合紙レス平版刷版11の束における最上部位置にある搬出される平版刷版11を1枚づつ分離して搬出するための搬出手段を設置する。この搬出手段は、積層された平版刷版11の最上部の平版刷版11を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、この平版刷版11を搬出する。
【0037】
この搬出手段は、最上部の平版刷版11上に、ゴムローラ製の搬出用ローラ46を圧接させた状態で転動させて、搬出動作をさせるローラピック方式に構成する。
【0038】
このローラピック方式に構成された搬出用ローラ46は、図示しない駆動モータで回転駆動制御されることにより、平版刷版11の表面に圧接した状態で転動し、所要のニップ力を働かせて、平版刷版11を搬送ベルト巻き掛け機構へ向けて搬出する動作を行う。
【0039】
図2に示すように、枚葉給排装置12を構成する搬送ベルト巻き掛け機構には、各平版刷版11を、装填台44から記録装置であるインナードラム露光装置14まで搬送すると共に、インナードラム露光装置14からバッファ装置16へ向けて排出するために、主搬送ベルト48を張架した主搬送ベルト巻き掛け機構50と、副搬送ベルト52を張架した副搬送ベルト巻き掛け機構54とを設置する。
【0040】
この主搬送ベルト巻き掛け機構50は、装填台44上部に当たる平版刷版11の搬入位置から、インナードラム露光装置14への搬出位置との間に搬送ベルト48を張架して搬送路を構成する。
【0041】
また、副搬送ベルト巻き掛け機構54は、主搬送ベルト巻き掛け機構50における主搬送ベルト48の下側に設定される搬送路の一部を共用して搬送中の平版刷版11が脱落することを防止するよう構成する。
【0042】
このため、副搬送ベルト巻き掛け機構54は、主搬送ベルト48における、装填台44から搬出された各平版刷版11の先端が突き当てられるガイド範囲に隣接した先端ローラ51から、主搬送ベルト48の下側に設定される搬送路のインナードラム露光装置14に近い中間ローラ58の区間で、主搬送ベルト48と副搬送ベルト52とが添うようになって走行するよう各ローラ57に巻き掛けて構成する。
【0043】
このように構成された主搬送ベルト巻き掛け機構50では、搬出用ローラ46によって1枚だけ分離されて搬出された平版刷版11の先端が、主搬送ベルト48における先端ローラ51とニップローラ53との間に張架された部分に相当するガイド範囲48Aに当たり、さらにニップローラ53と搬送ベルト48との間に挟み込まれることにより、主搬送ベルト48の走行動作に従って中間ローラ58側へ搬送される。
【0044】
すなわち、この枚葉給排装置12では、搬出用ローラ46によって搬出された平版刷版11の先端が、ガイド範囲48Aに張架されている主搬送ベルト48に当たり、主搬送ベルト48が弾力的に容易に変形して平版刷版11に衝撃を与えないように受けると共に、平版刷版11の先端が当たった部分の主搬送ベルト48が略への字状に変形し、平版刷版11が撓んでその先端部がニップローラ53の位置で主搬送ベルト48に沿わされ、さらに進んで先端ローラ51の位置で主搬送ベルト48と副搬送ベルト52との間にスムーズに挟み込まれるようにできる。
【0045】
このように平版刷版11は、その先端が主搬送ベルト48に当たったときに、弾力的に柔らかく受けられるので、感光面10Aを形成する感光層に外傷を与えないようにできる。
【0046】
また、この枚葉給排装置12では、平版刷版11の束から何枚目の平版刷版11を搬出する場合であっても、搬出用ローラ46が転接して引き上げられる平版刷版11の先端が必ずガイド範囲48A内で主搬送ベルト48に当たるようにして適切に搬出可能とする。
【0047】
よって、この枚葉給排装置12では、平版刷版11の束から平版刷版11が引き出される毎に、その引き出し位置が変わっても適切に搬出できるから、装填台44に平版刷版11の引き出し位置を調整するための複雑な装置を設ける必要がないので、構成を簡素化し、装置を小型化することができる。
【0048】
そして、先端を主搬送ベルト48にガイドされた平版刷版11は、先端ローラ51の位置で、主搬送ベルト48と副搬送ベルト52との間に挟み込まれて挟持された状態で搬送路上を搬送され、出口に近い中間ローラ58の位置で挟持状態を開放され、インナードラム露光装置14へ搬入される。
【0049】
図2及び図3に示すように、CTPシステムにおけるインナードラム露光装置14は、円弧内周面形状(円筒内周面の一部を構成する形状)の円弧内周面形状(円筒内周面の一部を構成する形状)の支持体(内面ドラム)34を母体として構成されており、未記録の記録媒体である平版刷版(PS版)11を枚葉給排装置12から支持体34の内部に導入し、図示しない操作機構で移動操作される押し操作手段としてのプッシュバー39によって円周方向へ移動させ図3(A)に示すように平版刷版11の先端辺を位置決めピン41に突き当てて位置決めするようローディングしてから、図示しない真空吸着手段により支持体34の内周面上に確実に密着し沿わせた状態に保持し、この保持状態で露光処理を行う。なお、このプッシュバー39には、支持体34と反対側の側面に、平版刷版11の裏面に転接させてガイドするための、ガイドローラ39Aを装着する。
【0050】
このインナードラム露光装置14では、平版刷版11に露光処理を行うため、支持体34の円弧中心位置に、光ビーム偏向器としてのスピナーミラー装置36を配設する。このスピナーミラー装置36では、回転軸40の先端に反射面(スピナーミラー)38を設置する。なお、この反射面38は、反射鏡部材である、例えばプリズム部材(三角柱状の直角プリズム又はキュービックプリズム、若しくはいわゆるボールプリズム等)で構成しても良い。
【0051】
このスピナーミラー装置36は、反射鏡部材(スピナーミラー)38を頂面に配置した回転軸40を、図示しない制御装置のスピナードライバにより回転制御がされる駆動源としてのモータによって高速回転可能に構成する。このためスピナーミラー装置36は、回転軸40の回転中心軸を支持体34の円弧中心軸と一致するように配置する。
【0052】
このスピナーミラー装置36では、図示しない光源側の光学系から投射された光ビームを、回動する反射面38に反射させて平版刷版11の感光面に対して主走査方向への走査露光を行う。
【0053】
このスピナーミラー装置36は、図示しない移動操作用のビームに移動制御可能に装着し、図示しない副走査移動手段によって、支持体34の円弧中心軸の軸線方向(図2の表面から裏面に貫通する方向)に等速度で移動制御することにより副走査する。
【0054】
このように構成されたスピナーミラー装置36は、光源側の光学系から投射され画像情報に応じて変調された光ビームを、回動する反射面38に反射させて主走査方向への走査露光を行いながら、スピナーミラー装置36を副走査方向へ移動することによって、平版刷版11の記録面(感光面)全面に対して2次元の画像を記録する処理を行う。
【0055】
このようにしてインナードラム露光装置14で露光処理された平版刷版11は、プッシュバー39のアンローディング動作によって枚葉給排装置12側へ排出される。このため、このインナードラム露光装置14では、プッシュバー39を図3(A)に示す状態から支持体34の中心方向へ引き上げて図3(B)に示すように平版刷版11の上を跳び越し、図3(C)に示すように位置決めピン41の所へ移動してから、プッシュバー39を支持体34上へ降ろして平版刷版11の端部に当てる。そして、このインナードラム露光装置14では、プッシュバー39によって平版刷版11を枚葉給排装置12側へ押し出すように操作する。
【0056】
なお、このインナードラム露光装置14では、ローディング動作とアンローディング動作とを別体のプッシュバーを利用して行うように構成しても良い。
【0057】
枚葉給排装置12では、主搬送ベルト巻き掛け機構50の最もインナードラム露光装置14の支持体34側に位置する端部ローラ51を、副搬送ベルト巻き掛け機構54の最も支持体34側に位置する中間ローラ58よりも、支持体34側に延出するよう構成する。
【0058】
このように構成した主搬送ベルト巻き掛け機構50では、インナードラム露光装置14のアンローディング動作によりプッシュバー39で押し出された平版刷版11を、端部ローラ51に巻掛けられて中間ローラ58から延出している主搬送ベルト48の一部により平版刷版11の端部を柔軟にガイドして、その端部が中間ローラ58の位置に至ったときに主搬送ベルト48と副搬送ベルト52との間に挟み込んで挟持した状態として搬送路上を搬送し、先端ローラ51の位置で挟持状態を開放し、平版刷版11自体の剛性とニップローラ53の支持とによりガイド範囲48A内にある搬送ベルト48の平面に沿った状態で移動させ、バッファ装置16内へ搬入させる。
【0059】
このCTPシステムに設けるバッファ装置16は、インナードラム露光装置14で露光処理された平版刷版11を、搬送速度を調整することによって所要のタイミングで現像処理装置18へ搬入する機能を有する。
【0060】
現像処理装置18は、搬入されて来た露光済の平版刷版11に対する現像処理を行って潜像を顕像化して印刷版を製版する。
【0061】
なお、前述した本第1実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置は、前述した合紙の保護を必要としないフォトポリマPS版以外に、例えば、いわゆるサーマルPS版で、表面に形成された画像を形成する記録層に傷が付くことを防止するため、記録層の最外表面上にオーバーコート層(現像前の水洗工程で完全に除去できる水溶性材料で構成されたOC層等)が塗布されているものを利用することができる。さらに、この平版刷版の自動給排装置は、合紙の保護を必要とせず、じかに重ねて束ねた状態で取り扱っても傷が問題とならない程度に記録層側の表面を強化した表面強化型のサーマルPS版を利用することができる。
【0062】
また、この平版刷版の自動給排装置の構成は、一般に平版印刷の分野で用いられる製版方式に対応した平版刷版である、光を利用して記録層に画像を記録する(光モード)の平版刷版、熱を利用して記録層に画像を記録する(熱モード)の平版刷版、記録層中で光を熱に変換させて画像を記録する(光、熱モード)の平版刷版、化学反応を利用した平版刷版、物理的な現象を利用した平版刷版を一枚づつ分離して供給することに利用できることは勿論である。
【0063】
次に、本発明の第2実施の形態について、図5乃至図8により説明する。
【0064】
本第2実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置は、枚葉給排装置12を、供給用搬送路と排出用搬送路とを異ならせて構成したものである。
【0065】
すなわち、この枚葉給排装置12を構成する搬送ベルト巻き掛け機構では、各平版刷版11を装填台44からインナードラム露光装置14まで搬送する搬送路を、メイン搬送ベルト70を張架したメイン搬送ベルト巻き掛け機構72と搬送補助手段としての搬送ローラ列64(メイン用端部ガイドプーリ74Aを含む)との組み合わせで構成し、露光済の平版刷版11をインナードラム露光装置14から次の工程であるバッファ装置16へ向けて排出する搬送路を、メイン搬送ベルト70を張架したメイン搬送ベルト巻き掛け機構72と補助搬送ベルト66を張架した副搬送ベルト巻き掛け機構68との組み合わせで構成する。なお、搬送補助手段である搬送ローラ列64は、ベルト巻き掛け機構として構成しても良い。
【0066】
このメイン搬送ベルト巻き掛け機構72は、装填台44上部に当たる平版刷版11の搬入位置から、インナードラム露光装置14への出入口位置との間に設定される、略平行で湾曲した供給用搬送路と排出用搬送路との中間位置に沿って、複数個(本実施の形態では5個)のガイドプーリ74を配置し、これらガイドプーリ74の両側に対応して各々設定された供給用搬送路と排出用搬送路とに沿ってメイン搬送ベルト70を張架して構成する。
【0067】
この供給用搬送路は、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72の湾曲して配列されたガイドプーリ74列における曲率半径の中心側に沿うよう対応して複数個(本実施の形態では5個)の搬送ローラ列64を配列することにより、メイン搬送ベルト70を搬送ローラ列64によってガイドプーリ74列側へ押し当てるようにして構成する。
【0068】
また、排出用搬送路を構成するための副搬送ベルト巻き掛け機構68は、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72の湾曲して配列されたガイドプーリ74列における曲率半径の中心側と反対側に沿うよう対応して配列された複数個(本実施の形態では5個)のガイドプーリ76列に補助搬送ベルト66を張架して構成する。
【0069】
このように構成した副搬送ベルト巻き掛け機構68を用いて構成する排出用搬送路は、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72のメイン搬送ベルト70上に、副搬送ベルト巻き掛け機構68の補助搬送ベルト66を重ねて沿わせるように配置して、これらメイン搬送ベルト70と補助搬送ベルト66との間に平版刷版11を挟んだ状態で搬送する搬送路として構成する。
【0070】
さらに、この排出用搬送路では、副搬送ベルト巻き掛け機構68の最も支持体34側に位置するサブ用端部ガイドプーリ(サブ用端部ガイドローラ)76Aを、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72の最も支持体34側に位置するメイン用端部ガイドプーリ(メイン用端部ガイドローラ)74Aよりも、支持体34側に延出するよう構成する。
【0071】
このように構成した副搬送ベルト巻き掛け機構68では、サブ用端部ガイドプーリ76Aに巻掛けられてメイン用端部ガイドプーリ74Aから延出している補助搬送ベルト66の一部により平版刷版11の端部を柔軟にガイドして、補助搬送ベルト66とメイン搬送ベルト70との間に平版刷版11を容易に導き入れることができる。
【0072】
図6に示すように、枚葉給排装置12の支持体34に臨む部所には、枚葉給排装置12の供給用搬送路から支持体34へ平版刷版11を搬出する動作をガイドし、支持体34から露光済の平版刷版11を排出用搬送路へ導入するようガイドするためのガイド手段を設ける。
【0073】
このガイド手段を構成するため、支持体34の搬出側端部には、排出用ガイド部材78を固定して設置する。この排出用ガイド部材78には、支持体34の内周面上を排出方向へ摺動してきた平版刷版11の端部を摺接させてサブ用端部ガイドプーリ76Aとメイン用端部ガイドプーリ74Aとの間にある補助搬送ベルト66部分に突き当てるようにガイドする、ガイド斜面78Aを形成する。
【0074】
また、このガイド手段では、枚葉給排装置12の供給用搬送路から支持体34へ平版刷版11を供給する動作の際に、供給される平版刷版11が排出用ガイド部材78に衝突することを防止するために、メイン用端部ガイドプーリ74Aに転接する逃がしガイドローラ80、82を設置する。
【0075】
逃がしガイドローラ80、82は、メイン搬送ベルト70に沿って搬送されて来た平版刷版11をメイン用端部ガイドプーリ74Aの周りに所定角度巻き掛けることにより平版刷版11の搬出方向を排出用ガイド部材78より上側へ向けて、搬出される平版刷版11が排出用ガイド部材78とプッシュバー39とを飛び越えて支持体34内へ進入するように構成する。
【0076】
また、このガイド手段は、支持体34の搬出側端部近くの所定位置に、可動排出用ガイド部材78Bを装着した構成としても良い。
【0077】
このように構成する場合には、側面三角形状の可動排出用ガイド部材78Bの基端部を、軸ピン81で図示しない固定されたフレーム部材等に軸着し、図8(A)に示す供給用搬送路からインナードラム露光装置14の支持体34内へ向けて平版刷版11をガイドする位置と、図8(B)に示すインナードラム露光装置14から排出用搬送路へ向けて平版刷版11をガイドする位置とに、図示しない制御操作手段によって回動操作可能に装着する。
【0078】
この図8(A)に示す供給用搬送路からインナードラム露光装置14の支持体34内へ向けて平版刷版11をガイドする状態では、可動排出用ガイド部材78Bの先端を支持体34の表面から離間させるよう回動操作し、供給用搬送路から搬入された平版刷版11を支持体34の表面と可動排出用ガイド部材78Bとの間をとおして支持体34上へ搬入する。なお、この際、インナードラム露光装置14では、例えばプッシュバー39を支持体34の表面から離間させて、プッシュバー39の下を平版刷版11が潜って搬入されるようにする。
【0079】
また、図8(B)に示すインナードラム露光装置14から排出用搬送路へ向けて平版刷版11をガイドする状態では、可動排出用ガイド部材78Bの先端を支持体34の表面上に当接させるよう回動操作し、支持体34上から排出される平版刷版11をガイド斜面78Aでガイドしてメイン搬送ベルト巻き掛け機構72の最もインナードラム露光装置14側にあるメイン用端部ガイドプーリ74Aから最もインナードラム露光装置14側に位置するサブ用端部ガイドプーリ76Aにかけて巻き掛けられた補助搬送ベルト66の部分に平版刷版11の先端を送り込むことにより、排出用搬送路上へ送り出す。
【0080】
この枚葉給排装置12を構成する搬送ベルト巻き掛け機構では、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72における最もバッファ装置16側に位置する先端ガイドプーリ(先端ガイドローラ)74Bと、メイン搬送ベルト70に所定位置で転接するニップローラ53との間をガイド範囲70Aとして構成する。なお、このガイド範囲70Aは、先端ガイドプーリ74Bと、搬送ローラ列64における最もバッファ装置16側に位置する先端搬送ローラ64との間をガイド範囲70Aとして構成しても良い。
【0081】
上述のように構成された枚葉給排装置12を構成する搬送ベルト巻き掛け機構では、搬出用ローラ46によって1枚だけ分離されて搬出された平版刷版11の先端が、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72における先端のガイドプーリ74とニップローラ53との間に張架された部分に相当するガイド範囲に当たり、さらにニップローラ53とメイン搬送ベルト70との間に挟み込まれることにより、メイン搬送ベルト70の走行動作に従って供給用搬送路を搬送されてメイン用端部ガイドプーリ74A側へ搬送される。
【0082】
このように搬送された平版刷版11は、メイン用端部ガイドプーリ74Aに至ると、逃がしガイドローラ80、82にガイドされて排出用ガイド部材78とプッシュバー39とを飛び越してインナードラム露光装置14の支持体34上へ搬入される。
【0083】
そして、支持体34上に搬入された平版刷版11は、プッシュバー39に押されて位置決めピン41に突き当てられてセットされ、この状態で露光処理される。
【0084】
インナードラム露光装置14によって露光処理された露光済平版刷版11は、プッシュバー39を位置決めピン41側へ移動してから、このプッシュバー39によって排出方向へ押し出される。
【0085】
この動作の際、支持体34上を摺動している平版刷版11は、その端部が排出用ガイド部材78にガイドされてサブ用端部ガイドプーリ76Aとメイン用端部ガイドプーリ74Aとの間にある補助搬送ベルト66部分に送られ、補助搬送ベルト66とメイン搬送ベルト70との間に挟み込まれ、排出用搬送路上を搬送される。
【0086】
この枚葉給排装置12における排出用搬送路上を搬送された平版刷版11は、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72の端部から、バッファ装置16へ搬入される。
【0087】
この枚葉給排装置12では、平版刷版11を供給用搬送路でインナードラム露光装置14へ搬入する動作と、平版刷版11を排出用搬送路でバッファ装置16へ排出する動作とを、共にメイン搬送ベルト70を一定の方向に周回させる動作で行うことができる。
【0088】
このため、この枚葉給排装置12では、排出用搬送路を通っている露光済平版刷版11の後端がメイン用端部ガイドプーリ74Aを通過した直後に、供給用搬送路を通っている平版刷版11の先端がメイン用端部ガイドプーリ74Aを通過してインナードラム露光装置14へ搬入することが可能である。
【0089】
よって、この枚葉給排装置12を用いた場合には、インナードラム露光装置14へ平版刷版11を搬入する動作と、露光済平版刷版11を排出する動作との間に無駄な待ち時間を作らないようにできるから、作業能率を向上することができる。
【0090】
次に、本第2実施の形態に係わる供給装置10部分を改良した他の構成例について、図7により説明する。この図7に示す構成例では、供給装置10内に複数組(本実施の形態では2組)の装填台44を設置して構成する。
【0091】
このため、枚葉給排装置12を構成する搬送ベルト巻き掛け機構では、ニップローラ53と、メイン搬送ベルト巻き掛け機構72における最もバッファ装置16側に位置する先端ガイドプーリ74Bとの間隔を所要長さ大きくして広いガイド範囲70Aとし、この広いガイド範囲70Aの範囲内に、2組の装填台44を配置する。なお、3組以上の装填台44を配置する場合には、それに対応した広さのガイド範囲70Aを設定する。
【0092】
なお、この広いガイド範囲70Aは、先端ガイドプーリ74Bと、搬送ローラ列64における最もバッファ装置16側に位置する先端搬送ローラ64との間をガイド範囲70Aとして構成しても良い。
【0093】
この図7に示すものでは、第1の装填台44と平行に第2の装填台44Aを配置する。この第2の装填台44Aは、サイズや種類が同じ平版刷版11又は異なる平版刷版11Aを利用可能とするためのもので、第1の装填台44と同様に、ニップローラ53A、搬出用ローラ46A、支持台60A及び棚部材62Aを用いて構成する。
【0094】
この図7に示す構成を適用したCTPシステムでは、同一平版刷版を多量に供給し又はサイズや種類が異なる平版刷版を供給できるから、CTPシステムの利便性を高めることができる。
【0095】
なお、本第2実施の形態における以上説明した以外の構成、作用、及び効果は前述した第1実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置を備えたCTPシステムの全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置を備えたCTPシステム内部の全体的な概略構成図である。
【図3】(A)(B)(C)は、本発明の第1実施の形態に係わるCTPシステムで利用されるインナードラム露光装置におけるローディング動作とアンローディング動作とを示す要部説明図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置内に引き出し可能に装着される装填台部分を示す要部の拡大斜視図である。
【図5】本発明の第2実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置を備えたCTPシステム内部の全体的な概略構成図である。
【図6】(A)(B)は、本発明の第2実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置で平版刷版を供給する動作を示し、(C)は、平版刷版を排出する動作を示す要部概略説明図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置でマルチ装填台を備えたCTPシステム内部の全体的な概略構成図である。
【図8】(A)は、本発明の第2実施の形態に係わる平版刷版の自動給排装置で平版刷版を供給する動作を示し、(B)は、平版刷版を排出する動作を示す要部概略説明図である。
【符号の説明】
【0097】
10 供給装置
11 平版刷版
12 枚葉給排装置
14 インナードラム露光装置
16 バッファ装置
34 支持体
36 スピナーミラー装置
39A ガイドローラ
39 プッシュバー
44 装填台
46 搬出用ローラ
48A ガイド範囲
48 主搬送ベルト
50 機構
51 先端ローラ
52 副搬送ベルト
53 ニップローラ
53A ニップローラ
54 副搬送ベルト巻き掛け機構
58 中間ローラ
60 支持台
64 搬送ローラ列
66 補助搬送ベルト
68 副搬送ベルト巻き掛け機構
70A ガイド範囲
70 メイン搬送ベルト
72 メイン搬送ベルト巻き掛け機構
74 先端ガイドプーリ
74A メイン用端部ガイドプーリ
74B 先端ガイドプーリ
76 ガイドプーリ
76A サブ用端部ガイドプーリ
78 排出用ガイド部材
80 逃がしガイドローラ
82 逃がしガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより前記平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを、斜めに配置された支持台上に斜めに持たせ掛けるように載置する装填台と、
前記平版刷版の束における最上部の前記平版刷版を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、前記平版刷版を搬出する搬出手段と、
前記搬出手段で引き出された前記各平版刷版を、記録装置へ供給する搬送路に沿って主搬送ベルトを配置した主搬送ベルト巻き掛け機構と、
前記主搬送ベルトに前記平版刷版を圧接して保持する副搬送ベルトを配置した副搬送ベルト巻き掛け機構と、
前記主搬送ベルトにおける前記記録装置に臨む端部と反対側の端部で前記主搬送ベルトが巻き掛けられる先端ローラと、前記副搬送ベルトにおける前記記録装置に臨む端部と反対側の端部で前記副搬送ベルトが巻き掛けられる先端搬送ローラとの間にある前記主搬送ベルトの部分に、前記搬出手段で引き出された前記平版刷版の先端を交差する方向に当てることにより前記主搬送ベルトと前記副搬送ベルトとの間に挟み込ませて前記記録装置側へ搬送すると共に、前記記録装置から排出されてきた前記平版刷版を前記主搬送ベルトに沿うように搬送して次の工程へ排出するよう設定したガイド範囲と、
を有することを特徴とする平版刷版の自動給排装置。
【請求項2】
前記装填台を、前記主搬送ベルト巻き掛け機構から次の工程へ排出するため設置したバッファ装置の下部に配置したことを特徴とする請求項1に記載の平版刷版の自動給排装置。
【請求項3】
一方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより前記平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを、斜めに配置された支持台上に斜めに持たせ掛けるように載置する装填台と、
前記平版刷版の束における最上部の前記平版刷版を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、前記平版刷版を搬出する搬出手段と、
前記搬出手段で引き出された前記各平版刷版を、記録装置へ供給する供給用搬送路と、前記記録装置から次の工程へ排出する排出用搬送路とに沿って主搬送ベルトを配置した主搬送ベルト巻き掛け機構と、
前記供給用搬送路上で前記主搬送ベルトに前記平版刷版を圧接させながら搬送するための搬送補助手段と、
前記排出用搬送路上で、前記主搬送ベルトに沿うように補助搬送ベルトを張架し、前記主搬送ベルトと前記補助搬送ベルトとの間に前記平版刷版を挟持して搬送するための副搬送ベルト巻き掛け機構と、
前記主搬送ベルトにおける前記記録装置に臨む端部と反対側の端部で前記主搬送ベルトが巻き掛けられる先端ガイドローラと、前記副搬送ベルトにおける前記記録装置に臨む端部と反対側の端部で前記副搬送ベルトが巻き掛けられる先端搬送ローラとの間にある前記主搬送ベルトの部分に、前記搬出手段で引き出された前記平版刷版の先端を交差する方向に当てることにより前記主搬送ベルトと前記副搬送ベルトとの間に挟み込ませて前記記録装置側へ搬送させるよう設定したガイド範囲と、
前記供給用搬送路から搬出された前記平版刷版を前記記録装置内へ向けてガイドすると共に、前記排出用搬送路へ排出するために前記メイン搬送ベルト巻き掛け機構の最も前記記録装置側にあるメイン用端部ガイドローラから最も前記記録装置側に位置するサブ用端部ガイドローラにかけて巻き掛けられた補助搬送ベルトの部分に、前記平版刷版の端部を送り込むようにガイドするガイド手段と、
を有することを特徴とする平版刷版の自動給排装置。
【請求項4】
前記ガイド手段を、前記供給用搬送路から前記記録装置内へ向けて前記平版刷版をガイドする位置と、前記記録装置から前記排出用搬送路へ向けて前記平版刷版をガイドする位置とに、移動操作可能に構成したことを特徴とする請求項3に記載の平版刷版の自動給排装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−31139(P2007−31139A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221440(P2005−221440)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】