説明

平面型生物測定シートの製造方法及びその製品

【課題】大量に印刷してから断裁して単体の製品にする方式を採用した、平面型生物測定シートの製造方法及びその製品を提供することにある。
【解決手段】平面型生物測定シートは載置シートと酵素反応領域とを有する。載置シート上には、蒸着によって形成された導電回路を設け、導電回路の前端、後端には、それぞれ、相互に導通する測定電極端子と電極回路端子を設ける。酵素反応領域は、測定電極端子の前端に接続する。その製造方法は、(1)プラスチックフィルムを載置シートとし、印刷によってシャドウマスクを形成させる手順(2)シャドウマスクが印刷された載置シートに、蒸着によって導電メッキ層を形成させる手順(3)シャドウマスクを覆う導電メッキ層を、物理的な方法によって除去し、導電回路を露出させる手順(4)酵素反応領域に酵素を設ける手順(5)上蓋フィルムを貼り合わせる手順、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面型生物測定シートの製造方法及びその製品に関し、特に、生物の液体の生理状態、例えば、人体の血液中の血糖、コレステロール、または尿などを測定するシートであり、詳細には優れた安定性、精度を有し、製造過程で大幅なコストダウンを達成することが可能な平面型生物測定シートに関する。
【背景技術】
【0002】
現代人の平均寿命の延びは、現代の医療科学技術の発達と密接に関係がある。隠れた症状の多くは、医療機器の検査によって事前に発見することができるため、早期予防と早期治療を行うことができる。人体の血糖の検査・測定を例にとると、まず、人体から微量の採血を行い、反応シートにおける血糖と反応する酵素領域にその血液をたらして反応させ、さらに血糖測定機器で分析することで、人体の血糖値を測定することができる。それにより、使用者は、血糖値異常の初期症状に早めに対処することができ、悪化させて深刻な病気になるのを防ぐことが可能となる。
【0003】
図1と図2は従来の血糖反応シートの構成を示している。従来の反応シート90は、一枚のプラスチックフィルム(例えば、ポリイミド)を基板100とし、導電性を有するグラファイト材料を用いて、カーボンインクをスクリーン印刷する方法によって、或いは、前記基材100表面に銅箔を覆わせるフォトリソグラフィ(Photolithography)、エッチング(Etching)によって、相互に導通する導電回路93を形成させる。導電回路93は、前段の測定電極端子931と後段の電極回路端子932とによってなり、測定電極端子931の前端は、それぞれ酵素反応領域92(酵素が設けられている)とサイフォン流路91に接続し、さらに、上蓋フィルム96を覆い、電極回路端子932を露出させ、最後に、適切なサイズに断裁する。
【0004】
使用する際、採取した血液がサイフォン流路91に接触すると、血液は毛細管作用によって酵素反応領域92に吸い上げられ、血液中のブドウ糖と酵素が反応して電子流が生じ、電子流は測定電極端子931を通って電極回路端子932まで伝送され、電極回路端子932は血糖値測定器95に接続されているため、血糖値測定器95は、電極回路端子932を通じて電流を測定するとともに、それを電気信号に変換し、最後に、その電気信号を対応する血糖濃度値に変換する。
【0005】
前述した従来の血糖反応シート90は、血糖値を測定することはできるものの、その製造方法には多くの欠点がある。以下にその欠点を列挙する。
【0006】
(1)従来の血糖反応シート90は、一枚のプラスチックフィルム100を基材とし、基材上に、カーボンインクをスクリーン印刷することにより、前段の測定電極端子931と後段の電極回路端子932を形成させるが、測定電極端子931と電極回路端子932の長さが長くなり、表面積も大きくなるため、加工する際に不安定になり、電気抵抗値が不均一になりやすい。
【0007】
(2)上述した不安定になる条件を減らすため、現在のところ、導電銀インクをカーボンインク層の底にさらに印刷することが多い。しかしながら、それによりその安定性を高めることはできるものの、銀インクの材料コストは高く、しかも、印刷時に厚み制御が必要になり、乾燥工程が複雑になるといった多くの欠点がある。
【0008】
上述したマイナス要因は、市場で現在よく知られている共通見解である。
【0009】
また、米国特許第7465597号には、「光学リソグラフィー」によって血糖反応シートの導電回路を製造する方法が開示されている。簡潔に言うと、それは、光学リソグラフィーによって基板に導電回路を製造する方法であり、設計された導電回路のパターンが描かれたフォトマスク(photo mask)を基材上に正確に転写するため、光学結像の原理を用い、パターンを基材上に投影させる。光源から発した光は、フォトマスクの透明な領域だけ通過し基材の表面に像を結ぶ。また、基材の表面は、事前に洗浄処理を行った後、フォトレジスト(photo resist)を塗布すると、フォトマスクを透過した光線によってフォトレジストが反応する(一般的に、この手順は露光と呼ばれる)。露光した後の基材は、現像(development)工程を行い、次に、金属蒸着によって、気体となった金属を、フォトレジストが塗布されていない導電回路と、フォトレジストが塗布されたシャドウマスクに堆積させ、さらに、化学的な方法(例えば、溶解、酸性エッチング)によってフォトレジストを除去すると、上面を覆う金属も一緒に剥がれ、残った金属回路は必要とされる導電回路を形成する。続けて、後続の工程、例えば酵素反応領域、上蓋を設ける工程、適切なサイズに断裁して製品にする工程などを行う。
【0010】
当然のことながら、上述した「光学リソグラフィー」によって血糖反応シートの導電回路を製造する方法は、導電回路の精密度が高くない、及びカーボンインクの材料の表面面積が大きくインピーダンスを制御しにくいといった問題はないものの、高い精度と精密度をもつマイクロ・メカトロニクス及び回路基板の配線を用いるため、相対的に生産コストが高くなる。一方で、上述の方法は、酸性エッチング、つまりは化学薬品でフォトレジスト部分を除去するため、酸性の残留物が酵素活性を破壊し、それに加え、製造過程をうまく制御できない時、酵素の劣化及び環境汚染を引き起こすため、この方法も理想的な製造方法とはいえない。従って、従来の血糖反応シートの製造方法における欠点を如何に改善するかは、業界が努力して解決・克服しなければならない重要な課題である。
【0011】
そこで、本発明者は、従来の平面型生物測定シートの製造方法には欠点があり理想的ではないことを鑑み、その解決方法の研究開発に着手し、精度、安定性、及び経済性を具えた平面型生物測定シートの製造方法を開発して社会貢献と業界の発展に役立てたいと考え、長い時間を費やし本発明を提出するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7465597号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、プラスチックフィルムを載置シート(この載置シートは伸縮性をもたない材質である)とし、大量に印刷してから断裁して単体の製品にする方式を採用しているため、短時間で生産することができるとともに、経済的なコストダウンが図れる上、加工工程を更に簡素化することができ、ひいては、製品の品質の安定度と市場競争力を向上させることができる、平面型生物測定シートの製造方法及びその製品を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、印刷によってシャドウマスクを処理し(例えば、毒性のない水性インクを用いる)、蒸着工程によって金属の導電メッキ層を全面に覆わせ、さらに、物理的な方法(例えば、水洗浄)によってシャドウマスクを覆う導電メッキ層を除去するとともに、シャドウマスクで覆われていない導電回路を露出させるという製造方法であり、製造過程全てが物理的な方法で行われるため、地球の環境保護の要求を満たし、しかも、インピーダンスの制御がしやく、導電性が安定するため、電気化学反応に対する微小電流の測定の精度と感度を向上させることができる、平面型生物測定シートの製造方法及びその製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するために、本発明の一実施形態は、載置シートと、酵素反応領域と、上蓋フィルムとを有する。載置シートはプラスチックフィルムからなるとともに、載置シートには蒸着工程によって形成された導電回路を設け、導電回路の前端、後端には、それぞれ、相互に導通する測定電極端子と電極回路端子を設ける。酵素反応領域は、測定電極端子の前端に接続する。上蓋フィルムは載置シートを覆うとともに、測定に便利なように電極回路端子を露出させる。
【0016】
上述の目的を達成するために、本発明の別の実施形態では、まず、載置シートの導電回路の測定電極端子を、酵素と化学変化を起こしにくい導電材料(例えば、カーボンインク、導電銀インク等)で塗布或いは印刷することにより形成させ、次に、蒸着を行い、導電性の金属を、電極回路端子と、酵素反応領域から離れた測定電極端子とに覆わせることにより、電極回路端子と測定電極端子を電気導通させるとともに、酵素反応領域から離れた測定電極端子に上下層のカップリング電極を形成させる。酵素反応領域と接触する測定電極端子は、酵素と化学変化を起こしにくい導電材料であるため、その測定の安定度は高く、環境の変化や保存期間の経過によって変化せず、しかも、その変動係数(CV)も制御しやすい。
【0017】
上述の目的を達成するために、本発明の別の実施形態では、載置シートは、シート状のプラスチックフィルムからなるとともに、大量に印刷してから断裁して単体の製品にする方式で形成される。
【0018】
上述の目的を達成するために、本発明の別の実施形態では、載置シートは、ロール状のプラスチックフィルムからなるとともに、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)による連続印刷をしてから断裁して単体の製品にする方式で形成される。
【0019】
上述の目的を達成するために、本発明の平面型生物測定シートの製造方法は以下の手順からなる。
(1)少なくとも一層のプラスチックフィルムを載置シートとし、印刷によってシャドウマスクを形成させ、シャドウマスクは測定電極端子パターンと電極回路端子パターンを露出する手順。
(2)蒸着工程によって導電回路を形成させる手順。シャドウマスクが印刷された載置シートに蒸着工程を行い、載置シート全面に一層の連続した導電メッキ層を覆わせる。
(3)シャドウマスクを覆う導電メッキ層を除去する手順。即ち、シャドウマスクを覆う導電メッキ層を物理的な方法で除去し、導電回路を完全に露出させることにより、導電回路に測定電極端子と電極回路端子を具えさせる。
(4)酵素を載置シートの酵素反応領域に設ける手順。
(5)上蓋フィルムを載置シート上に貼り合せ、電極回路端子を露出させる手順。
【0020】
上述の目的を達成するために、本発明の平面型生物測定シートのもう一つの製造方法は以下の手順からなる。
(1)少なくとも一層のプラスチックフィルムを載置シートとし、まず、酵素と化学変化を起こしにくい導電材料(例えば、カーボンインク、導電銀インク等)を印刷或いは塗布することによって、測定電極端子を形成させる手順。
(2)印刷によってシャドウマスクを形成させ、シャドウマスクは電極回路端子パターンを露出する手順。
(3)蒸着工程によって導電回路を形成させる手順。シャドウマスクが印刷された載置シートに蒸着を行い、導電性の金属を、酵素反応領域から離れた測定電極端子と、電極回路端子上とに覆わせて、載置シート全面に一層の連続した導電メッキ層を覆わせることにより、電極回路端子と測定電極端子を電気導通させ、測定電極端子に上下層のカップリング電極を形成させる。
(4)シャドウマスクを覆う導電メッキ層を除去する手順。即ち、シャドウマスクを覆う導電メッキ層を物理的な方法で除去し、導電回路を完全に露出させ、導電回路に測定電極端子と電極回路端子を具えさせる。
(5)酵素を載置シートの酵素反応領域に設ける手順。(6)上蓋フィルムを載置シート上に貼り合せ、電極回路端子を露出させる手順。
【0021】
上述の目的を達成するために、本発明の平面型生物測定シートの製造方法においては、載置シートはロール状のプラスチックフィルムからなるとともに、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)によって連続大量印刷してから断裁して単体の製品にする方式で平面型生物測定シートを形成させるため、大量且つ短時間で生産できるとともに、経済的なコストダウンを図れる上、加工工程を簡素化することができ、ひいては、製品品質の安定度と市場競争力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の血糖反応シートの構成を示す説明図である。
【図2】従来の血糖反応シートの製造過程を示す説明図である。
【図3A】本発明の実施例1の構成を示す説明図である。
【図3B】本発明の実施例1の構成を示す説明図である。
【図3C】本発明の実施例1の構成を示す説明図である。
【図3D】本発明の実施例1の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例1の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1の製造過程の流れを示す説明図である。
【図6】本発明の実施例1の製造過程における配列を示す説明図である。
【図7A】本発明の実施例2の構成を示す説明図である。
【図7B】本発明の実施例2の構成を示す説明図である。
【図7C】本発明の実施例2の構成を示す説明図である。
【図7D】本発明の実施例2の構成を示す説明図である。
【図7E】本発明の実施例2の構成を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例2の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の技術の特徴及び達成できる効果を、より一層理解・認識できるよう、以下に、好ましい実施例と図面を用いて詳細な説明を行う。
【実施例1】
【0024】
図3C、図3Dは、本発明の実施例1による平面型生物測定シートの構成を示している。生物測定シート10Aは載置シート11Aを有する。載置シート11Aは、単層または複数層のシート状或いはロール状(本実施例はロール状である)の連続したプラスチックフィルム(例えば、PETフィルム、PCフィルム、PTFEフィルム、ナイロンフィルム(Nylon)、ポリカーボネートフィルム(polycarbonate)、ポリスチレンフィルム(Polystyrenes)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体フィルム(Acrylonitrile butadiene styrene)などの伸縮性をもたない材質であり、或いは、当分野の技術を熟知するものであれば、その他の材料で代替してもよい)からなる。
載置シート11Aには、蒸着工程で形成された導電回路13Aを設ける。導電回路13Aの前端、後端には、それぞれ、相互に導通する測定電極端子131Aと電極回路端子132Aを設ける。測定電極端子131Aの前端には酵素反応領域16Aを接続し、酵素反応領域16A内には酵素を設ける。載置シート11Aには上蓋フィルム15Aを設けるとともに、測定に便利なように電極回路端子132Aを露出させる。
【0025】
平面型生物測定シート10Aの構成を示した図3Aと図3Bも同時に参照する。まず、載置シート11A上にシャドウマスク(Shadow Mask)12Aを印刷し、シャドウマスク12Aは導電回路13Aパターンを露出する(本実施例では陰刻の方式で行う。即ち、測定電極端子パターンの領域と電極回路端子パターンの領域は塗布或いは印刷を行わない)。続けて、蒸着工程を行って導電メッキ層17Aを形成させ、さらにシャドウマスク12Aを覆う導電メッキ層17Aを物理的な方法(例えば、水洗浄)で除去し、測定電極端子131Aと電極回路端子132Aを露出させる。なお、好ましい実施例において、シャドウマスク12Aは、毒性のない水性インクで印刷することにより形成される。
【0026】
図4から図6に示すように、本発明の平面型生物測定シート10Aの製造方法は以下の手順からなる。
【0027】
(1)シート状或いはロール状(本実施例では、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)を例に挙げている)の連続大量印刷によってシャドウマスク12A(21A)を形成させる(印刷方式は、スクリーン印刷や、本実施例で採用している凹版ローラ印刷などである)。即ち、巻いてロール状にしたプラスチックフィルム31(例えば、PETフィルム、PCフィルム、PTFEフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体フィルムなどの伸縮性をもたない材質)を載置シート11A(図3Aに図示)の材料とし、載置シート11Aに対して、凹版印刷ローラ32による凹版連続印刷(或いは、スクリーン印刷や、当分野の技術を熟知するものであれば、その他の印刷方式で実施してもよい)を行う。凹版印刷ローラ32には、毒性のない水性インクを塗布できる複数の網目パターン321を設けて、載置シート11Aにシャドウマスク12Aを印刷する。
【0028】
(2)蒸着法で導電メッキ層を形成させる(22A)。即ち、シャドウマスク12Aが印刷された載置シート11Aを、乾燥装置33で乾燥させた後、真空蒸着装置34で蒸着工程を行う。蒸着工程では、載置シート11Aは冷却ロールを経て巻取りロールに巻き取られ(図示せず)、真空ポンプによって真空が生成され、蒸発源を過熱することによって高純度の導電材料(例えば、金、銀、銅、アルミ等の金属)を高温で溶かし蒸発させて気体にし、続いてフィルム巻取りシステムを起動させて、フィルムの走行速度が一定の数値に達した後、バッフル板を開くと、移動する載置シート11A表面に気体の導電微粒子が堆積し、冷却すると、載置シート11A上には一層の連続した導電メッキ層17Aが形成される。
【0029】
この蒸着工程においては、導電材料(例えば、金、銀、銅、アルミ等の金属)の蒸発速度、載置シート11Aの移動速度、及び蒸着室内の真空度などを制御することで、蒸着で形成される導電メッキ層17Aの厚さを調整することができ、測定電極端子131Aと電極回路端子132Aの製造品質を正確にコントロールすることができる。
【0030】
(3)シャドウマスク12Aを覆う導電メッキ層17Aを除去する(23A)。即ち、蒸着工程を終えた載置シート11Aを、洗浄装置35(例えば、水洗浄)によって、シャドウマスク12A(Mask)を覆う導電メッキ層17Aを洗浄して取り除き、測定電極端子131Aと電極回路端子132Aを露出させる。
【0031】
(4)載置シートの酵素反応領域に酵素を設ける(24A)。即ち、酵素印刷装置36によって、載置シート11A(酵素反応領域16A)上に酵素の設置を行う。なお、酵素の設置は、凹版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または点滴などの方法によって行うことができる。
【0032】
また、本発明を凹版印刷で行った場合、その酵素の厚さは凹版の深さの違いに応じて設定することができ、それにより酵素反応は更によくなり、測定が更に正確になる。
【0033】
(5)上蓋フィルム15Aを載置シート11Aに貼り合せる(25A)。即ち、粘着性のある材料(例えば、水糊、アクリル糊)を用いて、載置シート11A上に上蓋フィルム15Aを貼り合せるとともに、測定に便利なように電極回路端子132Aは露出させる。
【0034】
注意する必要があるのは、プラスチックフィルム31の酵素反応領域16A(測定電極端子131A)は、図6に示すように、二つずつ向かい合わせにして設けられているため、上蓋フィルム15Aの一度の貼り合せで、同時に二列の複数の上蓋フィルム15Aの設置を完成させることができ、製造効率が更に向上する。
【0035】
(6)断裁して単体の製品にする(26A)。即ち、一連の工程を終えたプラスチックフィルム31を断裁機37にセットし断裁を行うと、複数の平面型生物測定シート10A(血糖値測定器)の製品が完成する。
【実施例2】
【0036】
図7Aから図7Eは、本発明の実施例2の平面型生物測定シートを示している。生物測定シート10Cは載置シート11C(載置シートの構成は実施例1と同じである)を有し、載置シート11Cには導電回路13Cを設け、導電回路13Cは測定電極端子131Cと電極回路端子132Cを有する。測定電極端子131Cは、酵素と化学変化を起こしにくい導電材料(例えば、カーボンインク、導電銀インク等)を用いて塗布や印刷することによって成形される。さらに、蒸着を行い、導電性の金属(例えば、金、銀、銅、アルミ等の金属)を、電極回路端子132Cと、酵素反応領域16Cから離れた測定電極端子131Cとに覆わせることにより、電極回路端子132Cと測定電極端子131Cを電気導通させるとともに、測定電極端子131Cに上下層のカップリング電極を形成させる。酵素反応領域16Cと接触する測定電極端子131Cは安定性のある導電材料であり、酵素反応領域16Cの酵素と化学変化を起こさないため、その測定の安定度は高く、環境の変化や保存期間の経過によって変化せず、しかも、その変動係数(CV)も制御しやすい。
【0037】
図8に示すように、上述した実施例2の製造方法は以下の手順からなる。
【0038】
(1)あらかじめ、プラスチックフィルム上に、印刷或いは塗布によって測定電極を形成させる(20C)。即ち、シート状或いはロール状のプラスチックフィルムを載置シートの材料とし、プラスチックフィルム上に、酵素と化学変化を起こしにくい導電材料を印刷或いは塗布することによって、測定電極端子を形成させる。
【0039】
(2)印刷によって載置シートにシャドウマスクを形成させる(21C)。即ち、載置シート11Cにシャドウマスク12Cを印刷し、シャドウマスクを測定電極端子131Cと接続させる。
【0040】
(3)蒸着法で導電メッキ層を形成させる(22C)。即ち、シャドウマスク12Cが印刷された載置シート11Cを乾燥させた後、蒸着工程を行い、導電性の金属を、電極回路端子12Cと、酵素反応領域16Cから離れた測定電極端子131Cとに覆わせることにより、電極回路端子132Cと測定電極端子131Cを電気導通させるとともに、測定電極端子131Cに上下層のカップリング電極を形成させる。
【0041】
(4)シャドウマスク12Cを覆う導電メッキ層を洗浄して除去する(23C)。即ち、蒸着工程を終えた載置シート11Cを洗浄装置に入れ、物理的な方法(例えば、水洗浄)でシャドウマスク12C(Mask)を覆う導電メッキ層17Cを洗浄して取り除き、測定電極端子131Cと電極回路端子132Cだけ露出させる。
【0042】
(5)載置シートの酵素反応領域に酵素を設ける(24C)。即ち、酵素印刷装置36によって、載置シート11C上(酵素反応領域上)に酵素の設置を行う。なお、酵素の設置は、凹版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または点滴などの方法によって行うことができる。
【0043】
(6)上蓋フィルム15Cを載置シート11Cに貼り合せる(25C)。即ち、粘着性のある材料(例えば、水糊、アクリル糊膠)を用いて、載置シート11C上に上蓋フィルム15Cを貼り合せるとともに、測定に便利なように電極回路端子132Cは露出させる。
【0044】
(7)断裁して単体の製品にする(26C)。即ち、一連の工程を終えたプラスチックフィルム31を断裁機にセットし断裁を行うと、複数の平面型生物測定シート10C(血糖値測定器)の製品が完成する。
【0045】
上述したように、本発明による平面型生物測定シートは、シート状或いはロール・ツー・ロール(Roll to Roll)のプラスチックフィルムに印刷(例えば凹版印刷やスクリーン印刷)することによって製造されるため、大量且つ短時間で生産することができ、経済的なコストダウンが図れる上、加工工程を更に簡素化することができ、ひいては、製品の品質の安定度と市場競争力が向上するとともに、物理的な方法によって導電の特性を形成させるため、地球の環境保護に対する要求を満足させ、且つインピーダンスの制御をしやすく、導電性が安定し、生理状態の測定の精度と感度を極めて高めることが可能となる。
【0046】
以上で述べたように、本発明は特許の要件に符合しており、法に則り本発明を出願するものとする。本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、いずれも好ましい実施例にすぎず、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の形状、構造、特徴及び設計変更等も、特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10A、10C・・・・・生物測定シート
11A、11C・・・・・載置シート
12A、12C・・・・・シャドウマスク
13A、13C・・・・・導電回路
131A、131C・・・測定電極端子
132A、132C・・・電極回路端子
15A、15C・・・・・上蓋フィルム
17A、17C・・・・・導電メッキ層
16A、16C・・・・・酵素反応領域
31・・・・・・・・・・プラスチックフィルム
32・・・・・・・・・・凹版印刷ローラ
321・・・・・・・・・網目パターン
33・・・・・・・・・・乾燥装置
34・・・・・・・・・・真空蒸着装置
35・・・・・・・・・・洗浄装置
36・・・・・・・・・・酵素印刷装置
37・・・・・・・・・・断裁機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、載置シートと、酵素反応領域とからなる平面型生物測定シートにおいて、
前記載置シートはプラスチックフィルムからなるとともに、前記載置シート上にはシャドウマスクが印刷され、
前記シャドウマスク上には、導電性の金属を蒸着することにより導電回路が形成され、
前記導電回路は、相互に導通する測定電極端子と電極回路端子を有し
前記酵素反応領域は、前記測定電極端子の前端に接続されることを特徴とする、
平面型生物測定シート。
【請求項2】
少なくとも、載置シートと、導電回路と、酵素反応領域とからなる平面型生物測定シートにおいて、
前記載置シートはプラスチックフィルムからなり、
前記導電回路は、前記載置シート上に設けられるとともに、
前記導電回路は、導電材料を塗布或いは印刷することによって形成された測定電極端子と、
前記測定電極端子と相互に導通するとともに、前記測定電極端子が形成された後、前記載置シート上にシャドウマスクを印刷し、前記シャドウマスク上に導電性の金属を蒸着して形成される電極回路端子とを具え、
前記酵素反応領域は、前記測定電極端子の前端に接続されることを特徴とする、
平面型生物測定シート。
【請求項3】
前記測定電極端子における前記酵素反応領域から離れた一端は、蒸着した導電性の金属と上下層のカップリング電極を形成することを特徴とする、請求項2に記載の平面型生物測定シート。
【請求項4】
前記測定電極端子を形成する導電材料は、カーボンインク或いは導電銀インクであることを特徴とする、請求項2に記載の平面型生物測定シート。
【請求項5】
前記載置シートは、単層或いは複数層のプラスチックフィルムを貼り合せてなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の平面型生物測定シート。
【請求項6】
前記載置シートは、PETフィルム、PCフィルム、PTFEフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、或いはアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体フィルムからなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の平面型生物測定シート。
【請求項7】
前記導電回路を形成する蒸着金属の導電材料は、金、銀、銅、或いはアルミであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の平面型生物測定シート。
【請求項8】
(1)ロール状プラスチックフィルムを載置シートとし、印刷によってシャドウマスクを形成させ、前記シャドウマスクは測定電極端子パターンと電極回路端子パターンを露出する手順と、
(2)前記シャドウマスクが印刷された載置シート全面に、蒸着工程によって、連続した導電メッキ層を覆わせ、導電回路を形成させる手順と、
(3)前記シャドウマスクを覆う導電メッキ層を物理的な方法で除去し、導電回路を完全に露出させることにより、前記導電回路に、相互に導通する測定電極端子と電極回路端子を具えさせる手順と、
(4)前記載置シート上の酵素反応領域に酵素を設ける手順と、
からなることを特徴とする、
平面型生物測定シートの製造方法。
【請求項9】
(1)ロール状プラスチックフィルムを載置シートとし、前記プラスチックフィルム上に、酵素と化学変化を起こしにくい導電材料を印刷或いは塗布することによって、測定電極端子を形成させる手順と、
(2)前記載置シート上に、印刷によってシャドウマスクを形成させ、前記シャドウマスクを前記測定電極端子の一端と接続させる手順と、
(3)シャドウマスクが印刷された前記載置シートに蒸着工程を行い、導電性の金属を、前記電極回路端子と、前記酵素反応領域から離れた前記測定電極端子とに覆わせることにより、前記電極回路端子と測定電極端子を電気導通させるとともに、前記測定電極端子に上下層のカップリング電極を形成させる手順と、
(4)蒸着工程が完了した後、前記載置シート上で前記シャドウマスクを覆う導電メッキ層を洗浄して除去し、前記測定電極端子と電極回路端子を露出させる手順と、
(5)前記載置シート上の酵素反応領域に酵素を設ける手順と、
からなることを特徴とする、
平面型生物測定シートの製造方法。
【請求項10】
前記シャドウマスクは、毒性のない水性インクを用いて、凹版印刷或いはスクリーン印刷することによって形成されることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の平面型生物測定シートの製造方法。
【請求項11】
前記導電回路を形成する蒸着金属の導電材料は、金、銀、銅、或いはアルミであることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の平面型生物測定シートの製造方法。
【請求項12】
前記酵素は、凹版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、或いは点滴によって、前記載置シート上に連続して設けられることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の平面型生物測定シートの製造方法。
【請求項13】
前記載置シート上に上蓋フィルムを貼り合わせた後、断裁して単体の製品にすることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の平面型生物測定シートの製造方法。
【請求項14】
前記測定電極端子を形成する導電材料は、カーボンインク或いは導電銀インクであることを特徴とする、請求項9に記載の平面型生物測定シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−185855(P2011−185855A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53355(P2010−53355)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(510010872)翰沃生電科技股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】