説明

幹細胞の培養装置及び培養方法

【課題】幹細胞の活性の低下(失活)や、多分化能の喪失を生じること無く、幹細胞を好適に培養することが出来る幹細胞の培養装置及び培養方法の提供。
【解決手段】容器(1)内の培地(50)に対して特定の波長の光を照射し、音源(5)により容器(1)内に特定の波長の音を伝播し、培地(50)及び容器(1)に供給されるべき水分に光エネルギーを作用し、光エネルギーを作用させた水に培養するべき幹細胞(C)の活性に寄与する香料を添加し、標準的な培地に対して漢方薬を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は幹細胞の培養に関する。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は、身体の色々な部位の細胞に変化する能力(多分化能)を有する、いわゆる万能細胞であり、再生医療に画期的な効果をもたらす可能性が大きい。
幹細胞を実際の再生医療に使用するに際しては、幹細胞を大量に用意しなくてはならない。
そのため、再生医療を行なおうとする患者から幹細胞を採取して、培養、増殖させる必要がある。
【0003】
ここで、幹細胞の培養、増殖に関しては未だ歴史が浅く、以下の理由によって幹細胞の培養、増殖は困難とされている。
すなわち、培養されている幹細胞の活性が低下する場合や、幹細胞が特定の部位の細胞に変化して多分化能を失ってしまう場合や、死滅してしまう場合等が存在する。
幹細胞の活性が低下した場合、それを放置しておくと、培養している幹細胞全体の活性が低下して、培養が困難になってしまう可能性がある。
また、幹細胞が多分化能を失ってしまうと、再生医療その他に適用することが出来なくなる。
【0004】
従来の培養技術では、幹細胞の活性の低下や、多分化能の喪失等、幹細胞培養に不適当な状態になってしまう場合が多々あり、その結果、幹細胞の培養に困難を伴っている。
そのため、再生医療分野における需要に応えることが困難である。
【0005】
その他の従来技術として、例えば、骨や軟骨の欠損箇所を短期間で再生するために未分化の幹細胞を培養する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、幹細胞が骨や軟骨へ分化するのを強く誘導する技術であり、幹細胞の培養に際して、幹細胞が未分化の状態で増殖速度を向上するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−122147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、幹細胞の活性の低下(失活)や、多分化能の喪失を生じることなく、幹細胞を好適に培養することが出来る幹細胞の培養装置及び培養方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の幹細胞の培養装置(100)は、培養するべき幹細胞(C)を培地(50)と共に収容する容器(1:シャーレ等)と、容器(1)内に充填されるべき培地及び容器(1)に対して水分を供給する水分供給系統(2、Lw1〜Lw3)と、容器(1)内に充填するべき培地を製造する培地製造機構(3)と、容器(1)内の培地(50)に対して特定の波長の光(例えば、青色光)を照射する光照射装置(4)と、容器(1)内に特定の波長の音を伝播する音源(5)とを備え、水分供給系統(2、Lw1〜Lw3)は、ろ過装置(22)を内蔵し且つ培地(50)及び容器(1)に供給されるべき水分に光エネルギーを作用する光処理装置(6)と、光エネルギーを作用させた水に培養するべき幹細胞の活性に寄与する香料(いわゆる「機能性香料」の一種)を添加する香料添加装置(7)とを有しており、培地製造機構(3)は、標準的な培地(31)に対して漢方薬を添加する漢方薬添加装置(32、38)を有していることを特徴としている。
【0009】
また本発明の幹細胞の培養方法は、容器(1)内に培養するべき幹細胞(C)の栄養源となる培地(50)を製造する培地製造工程(S2)と、容器(1)内に充填された培地(50)及び容器(1)に対して水分供給系統(2、Lw1〜Lw3)により水分を供給する水分供給工程(S3、S4)と、光照射装置(4)により容器(1)内の培地(50)に対して特定の波長の光(例えば、青色光)を照射する光照射工程(S7)と、音源(5)により容器(1)内に特定の波長の音を伝播する工程(S7)とを備え、水分供給工程(S3、S4)では、ろ過装置(22)により純水を製造する工程(S4)と、光処理装置(6)により製造された純水に対して光エネルギーを作用させる光処理工程(S5)と、光処理工程(S5)を行った水に培養するべき幹細胞の活性に寄与する香料(いわゆる「機能性香料」の一種)を添加する香料添加工程(S6)を有しており、培地製造工程(S2)は、標準的な培地(31)に対して漢方薬を添加する漢方薬添加工程(S2)を有していることを特徴としている。
【0010】
ここで、光処理装置(6)に内蔵されているろ過装置は、逆浸透膜方式のろ過装置(61)であり、そして光処理装置(6)は、その内部に、30〜50ガウスの磁場を発生する磁力装置(62)と、各種鉱石を充填した層(63)と、触媒を有する層(64)と、特定の波長の光を作用させるための色料層(65)とを有しているのが好ましい。
そして、「光エネルギーを作用させた水」或いは「光処理工程を行った水」として、例えば市販の「プリズムウォーター」(商品名:株式会社Qビットステーションが販売している商品)を使用することが可能である。
【0011】
本発明において、光照射装置(4)から照射される特定の波長の光は可視光であり、特に青色光であるのが好ましい。
また、容器(1)内に伝播させるべき音は、人間の可聴域の波長であるのが好ましく、特に、いわゆる「クラシック音楽」であるのが好ましい。
これに加えて、前記漢方薬としては、滋養・強壮作用の有る漢方薬、例えば、「十全大補」、「芍薬」、「甘草」、「猪肝汁(熊の胆)」、「人参(朝鮮人参)」、「半夏」が好適である。
【0012】
前記「標準的な培地」(31)としては、例えば、ダルベッコ改質イーグル培地が好ましい。特に、血清代行品、ペニシリン、ストレプトマイシン、非必須アミノ酸類、L−グルタミン、βメルカプトエタノール、塩基性線維芽細胞増殖因子を添加したものが好ましい。
或いは、標準的な規定培養培地が好ましく、特に、炭水化物源、緩衝剤、ホルモン剤、神経幹細胞増殖因子、LIFを添加したものが好ましい。
【0013】
なお、本発明において、光処理装置(6)に代えて磁気処理装置を備え、当該磁気処理装置で水分に磁気を作用させて使用しても良い。磁気処理装置で水分に磁気を作用させる際には、磁気を作用させるべき水を6500ガウス以上の磁界に1秒以上作用させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上述する構成を具備する本発明によれば、容器(1)内に充填された培地(50)及び容器(1)に対して供給される水に光処理を施すことにより、殺菌効果があり、生体の自然治癒力が改善され、老化防止や活性化に貢献する水が、培地(50)や幹細胞(C)に供給される。
その結果、幹細胞(C)の培養に好適な結果が得られる。
本発明において、光処理装置(6)に代えて磁気処理装置を用いた場合においても、水が、いわゆる「活性水(磁気活性水)」となり、培養を阻害する各種物質を分解して、幹細胞(C)を活性化することが出来る。
【0015】
また、特定の波長の光(例えば、青色光)を照射することにより、幹細胞(C)を活性化して、培養の速度を増加することが出来る。
それに加えて特定の波長の音(可聴域の音、特にクラシック音楽)を幹細胞(C)に対して伝播することにより、失活する割合が低下して、培養の成績が向上する。
【0016】
さらに、光処理を行った水に培養するべき幹細胞(C)の活性に寄与する香料(いわゆる「機能性香料」の一種)を添加することにより、活性がさらに増加する。
それに加えて、標準的な培地(31)に漢方薬を添加する(32、38)ことにより、漢方薬の薬効が培養中の幹細胞(C)にも発揮されるので、特に、滋養・強壮系の漢方薬を添加した場合には、幹細胞(C)の培養が好適に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における水供給装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における培地製造機構のブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における光処理装置のブロック図である。
【図5】本発明の実施形態における香料添加装置のブロック図である。
【図6】本発明の実施形態における培養の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、全体を符号100で示す幹細胞の培養装置は、培地50を充填した容器(例えば、シャーレ)1、水供給装置2、培地製造機構3、光照明装置4、音源5、光処理装置6、機能性香料添加装置7、制御手段10を備えている。
【0019】
容器1内には、幹細胞Cの培養量を検出する培養量センサ11が設置され、入力信号ラインSiによって制御手段10と接続されている。
光処理装置6は、機能性香料添加装置7を介装したラインLaによって培地製造機構3と接続されている。ここで、機能性香料とは、培養するべき幹細胞の活性に寄与する香料である。
水供給装置2は、給水ラインLw1、Lw2、Lw3と接続されている。
【0020】
ラインLw1は容器1内の培地に水分を供給するラインである。ラインLw2は、培地製造機構3で製造された培地に直接水分を供給するラインである。ラインLw3は、培地製造の材料として水を供給するラインである。
ラインLw1〜Lw3は、何れも、光処理装置6、香料添加装置7、培地製造装置3を通過する様に構成されており、以って、何れもラインLw1〜Lw3も、光処理装置6で処理され、香料添加装置7で機能性香料を添加され、培地製造機構3で漢方薬が添加されるのである。
【0021】
より詳細に説明すると、ラインLw1を流れる水は、容器1内の培地の水分含有量が少なくなった場合に当該培地に供給され、ラインLw1は、光処理装置6、香料添加装置7、培地製造装置3を通過する。そして、ラインLw1を流れる水は、容器1内の培地に供給される以前に、光処理装置6で処理され、香料添加装置7で機能性香料を添加され、培地製造機構3で漢方薬が添加される。
ラインLw2を流れる水は、培地製造機構3で製造された培地の水分含有量が少ない場合に、培地製造機構3で製造された当該培地に供給される。ラインLw2も、光処理装置6、香料添加装置7、培地製造装置3を通過し、ラインLw2を流れる水は、培地製造機構3で製造された培地に供給される以前に、光処理装置6で処理され、香料添加装置7で機能性香料を添加され、培地製造機構3で漢方薬が添加される。
【0022】
ラインLw3を流れる水は、培地製造機構3で培地を製造するための原料としての水である。ラインLw1、Lw2と同様に、ラインLw3も、光処理装置6、香料添加装置7、培地製造装置3を通過する。そして、ラインLw3を流れる水は、光処理装置6で処理され、香料添加装置7で機能性香料を添加され、培地製造機構3で漢方薬が添加される。
ここで、ラインLw3は、光処理装置6と機能性香料添加装置7との間の領域と、機能性香料添加装置7と培地製造機構3との間の領域では、ラインLaと表現されている。そして、培地製造機構3と容器1との間の領域では、培地を容器1に供給する培地供給ラインLbとなっている。すなわち、以下の説明及び図面において、ラインLa、ラインLbは、ラインLw3の領域を表現している。
【0023】
図2で詳細を示す様に、水供給装置2は、取水器21、ろ過器22、送水ポンプP、開閉弁V1、V2、V3、インターフェース23、送水ラインLw0を有している。
取水器21は、ラインLwによって図示しない水源(例えば上水道)と接続されている。
取水器21とろ過器22とは、送水ラインLw0により接続されている。
ろ過器22は、ラインLw1、Lw2、Lw3と接続されている(図1参照)。
図2における符号Bは、ラインLw1、Lw2、Lw3の分岐点である。
送水ラインLw0には送水ポンプPが介装されている。
ラインLw1には開閉弁V1が介装され、ラインLw2には開閉弁V2が介装され、ラインLw3には開閉弁V3が介装されている。
【0024】
ラインLwにより図示しない水源から取水器21に水が供給され、取水器21の水は、ポンプPによりラインLw0を介して、ろ過器22に送られる。ろ過器22でろ過された水は、ポンプPのヘッドにより、ラインLw1〜Lw3に送られる。
図2において、制御信号ラインSo及び制御信号ラインSo2に接続されているのが、インターフェース23である。図1で示すように、制御手段10から送水ポンプP、開閉弁V1〜V3への制御信号が出力されている。インターフェース23は、水供給装置2において、係る制御信号を中継している。
【0025】
図3で示す様に、培地製造機構3は、標準培地貯蔵ブロック31、漢方薬貯蔵ブロック32、培地製造ブロック33、培地排出ブロック34を有している。
標準培地貯蔵ブロック31は、上述した給水ラインLw1、Lw2、Lw3(La)に連通しており、且つ、給水ラインLw1と培地供給ラインLbが接続されている。
標準培地貯蔵ブロック31と培地製造ブロック33は、標準培地圧送ライン35により接続されている。そして標準培地圧送ライン35には、圧送ポンプ36を介装している。
漢方薬供給ライン37の一端は、漢方薬貯蔵ブロック32に接続されており、漢方薬供給ライン37の他端は、標準培地圧送ライン35における圧送ポンプ36と培地製造ブロックとの間の領域に接続している。そして、漢方薬供給ライン37は供給ポンプ38を介装している。
圧送ポンプ36及び供給ポンプ38の作動や停止、その吐出流量については、予め設定された制御に従っている。
【0026】
培地製造ブロック33は、ラインLa、ラインLw1、ラインLw2を流過してきた処理水に標準培地及び漢方薬を添加し、図示しない攪拌装置で処理水と標準培地と漢方薬を混合して培地を製造し、製造された培地を培地供給ラインLbを介して容器1へ送り出す機能を有している。
ここで、「標準培地」としては、例えば、ダルベッコ改質イーグル培地が好ましい。特に、血清代行品、ペニシリン、ストレプトマイシン、非必須アミノ酸類、L−グルタミン、βメルカプトエタノール、塩基性線維芽細胞増殖因子を添加したものが好ましい。
或いは、標準的な規定培養培地が好ましく、特に、炭水化物源、緩衝剤、ホルモン剤、神経幹細胞増殖因子、LIFを添加したものが好ましい。
培地製造ブロック33には水分含有率検知センサ9が配置されており、培地製造ブロック33において、処理水と標準培地と漢方薬の混合物における水分含有率を、常時検知している。
【0027】
漢方薬貯蔵ブロック32で貯蔵される漢方薬としては、滋養・強壮作用の有る漢方薬、例えば、「十全大補」、「芍薬」、「甘草」、「猪肝汁(熊の胆)」、「人参(朝鮮人参)」、「半夏」が用いられる。
水分含有率検知センサ9は、処理水と標準培地と漢方薬を混合して培地を製造する攪拌装置(図示せず)内に設置されている。そして、水分含有率検知センサ9で計測した水分含有量は、入力信号ラインSiを介して、制御手段10(図1参照:図3では図示を省略)に接続されている。
【0028】
図1において、光照射装置4と電源40はラインLeを介して接続されており、ラインLeにはON−OFFスイッチ45が介装されている。
ON−OFFスイッチ45は、制御信号ラインSoによって制御手段10と接続され、制御手段10の発する制御信号に対応して、光照射装置4をON−OFF制御する。
ここで光照射装置4は、容器1内の培地に対して特定の色の光(可視光線で例えば、青色光)を照射するように構成されている。
光照射装置4から照射される青色の可視光は、幹細胞を活性化して培養速度を増加することが可能である。
【0029】
音源5は、例えば、図示しないCDプレーヤー及びアンプを装備したスピーカーであり、制御信号ラインSoによって制御手段10と接続されている。
音源5からは、人間の可聴域の波長の音、例えば、いわゆる「癒し系」のクラシック音楽が容器1内の幹細胞に対して伝播する。
発明者の研究によれば、いわゆる「癒し系」のクラシック音楽を流しながら幹細胞を培養すると、音楽を流さない場合に比較して、幹細胞Cが失活する割合が有意に低下して、培養の成績が向上することが確認されている。
【0030】
図4は光処理装置6を示す。
図4において、光処理装置6は、給水ラインLw1、Lw2、Lw3(La)に介装されており、ろ過装置61、磁力装置62、鉱石充填層63、触媒層64、特定の波長の光を作用させるための色料層65を有している。ろ過装置61、磁力装置62、鉱石充填層63、触媒層64、色料層65は、内部ラインLw6により接続されている。
図4では、内部ラインLw6のろ過装置61側の端部はラインLw3に接続され、色料層65側の端部はラインLaに接続されて、示されている。
【0031】
ろ過装置61は、例えば、逆浸透膜製のろ過装置である。水がこのろ過装置61を通過することにより、水は略々純水となる。
電磁誘導コイル(磁力装置)62は、内部ラインLw6を取り囲むように配置され、内部ラインLw6を流れる水が磁界を通過するようにせしめている。水が磁界を通過して、磁界の作用を受けることにより、いわゆる「活性水(磁気活性水)」となる。そして活性水は、培養を阻害する各種物質を分解して、幹細胞Cを活性化させる作用を奏することが、種々の研究で明らかになっている。
【0032】
鉱石充填層63、触媒層64は、ともに各層63、64を流過する水を活性化せしめている。そして活性化した水は、容器1内の幹細胞の培養を促進させる作用を奏する。
特定の波長の光を作用させるための色料層65は、流過する水に特定の波長の光を作用させる作用を奏する。特定の波長の光を作用させた水は、容器1内の培地50に注入された際に、光照射装置4の効果(幹細胞を活性化して培養速度を増加する効果)を更に向上させるからである。
【0033】
図5は、機能性香料添加装置7を示している。ここで、機能性香料とは、各種の有益な作用を奏する香料であり、図示の実施形態では、培養するべき幹細胞の活性に寄与する香料を意味している。
機能性香料添加装置7は、機能性香料タンク71、香料供給ポンプ72、内部ラインL7を有している。
機能性香料タンク71は、内部ラインL7によってラインLaに接続されており、ラインLaは香料供給ポンプ72を介装している。
【0034】
香料供給ポンプ72は、光処理装置6から培地製造機構3に水が供給されている間に作動し、光処理装置6から培地製造機構3に水が供給されていない間は停止する機能を有している。
開閉弁V3の開閉作動と、香料供給ポンプ72の作動と停止とを連動させることが可能である。例えば、開閉弁V3が開放すると香料供給ポンプ72が作動し、開閉弁V3が閉鎖すると香料供給ポンプ72が停止する様に構成することが可能である。
【0035】
次に図6のフローチャートを参照して、幹細胞培養装置100による幹細胞培養の手順について説明する。
図6のステップS1では、培養を開始するか否かを判断する。培養を開始しない場合には、培養を開始するまで待機する(ステップS1がNOのループ)。培養を開始したならば(ステップS1がYES)、培地製造機構3を作動させる(ステップS2)。
ステップS3では、水供給装置2の開閉弁V3を開放し、水供給ポンプPを作動する(ステップS4)。開閉弁V3を開放し、水供給ポンプPを作動することにより、水供給装置2のろ過器22でろ過された水が、ラインLw3経由で光処理装置6に注入される。
【0036】
ステップS5では、光処理装置6を作動する。光処理装置6内では、逆浸透膜製のろ過装置61によって水は略々純水となり、磁力装置62で磁気が作用して磁気活性水となり、さらに鉱石充填層63、触媒層64、色料層65によって活性が与えられる。
活性が与えられた水は、香料添加装置7に送られる。
【0037】
ステップS6では、香料供給ポンプ72が作動し、光処理装置6を通過した水に対して機能性香料が添加される。そして、機能性香料が添加された水は、培地製造機構3に送られて、標準培地及び漢方薬と混合されて、幹細胞培養に必要な培地が製造される。
【0038】
ステップS7では、制御手段10は、培地製造機構3の培地製造ブロック33に配置された水分含有率検知センサ9からの情報によって、培地製造ブロック33内で製造された培地中の水分含有率が適正であるか否かを判断する。
培地製造ブロック33で製造された培地の水分含有率が少ない場合には(ステップS8が「少ない」)、開閉弁V2を開いて(ステップS8)ラインLw2を介して培地製造機構3に供給される水の量を増加する。そして、ステップS10に進む。
培地製造ブロック33で製造された培地の水分含有率が多い場合には(ステップS8が「多い」)、開閉弁V2を閉じて(ステップS9)ラインLw2を介して培地製造機構3に供給される水の量を減少し、ステップS10に進む。
地製造ブロック33で製造された培地の水分含有率が適正であれば(ステップS8がYES)、ステップS10に進む。
【0039】
ステップS10では、制御手段10は、制御信号を光照射装置4及び音源5に制御信号を送り、光照射装置4及び音源5を作動させる。それにより、光照射装置4からは青色の光線が容器1内の培地に照射され、音源5からは、例えば、「癒し系」のクラシック音楽が流れる。それにより、容器1内では幹細胞Cの培養が進む。
そして、ステップS11に進む。
【0040】
ステップS11では、制御手段10は、容器1内の培地50の水分含有率が適正であるか否かを判断する。
容器1内の培地50の水分含有率が少ない場合には(ステップS11が「少ない」)、開閉弁V1を開いて(ステップS12)ラインLw1を介して容器1内の培地に供給される水の量を増加する。そして、ステップS14に進む。
容器1内の培地50の水分含有率が多い場合には(ステップS11が「多い」)、開閉弁V1を閉じて(ステップS13)ラインLw1を介して容器1内の培地に供給される水の量を減少する。そして、ステップS14に進む。
容器1内の培地50の水分含有率が適正であれば(ステップS11がYES)、ステップS14に進む。
【0041】
ステップS14では、制御手段10は、容器1内に設置した培養量センサ11からの情報により、容器1内の幹細胞培養量が規定の量に達したか否かを判断する。容器1内の幹細胞培養量が規定の量に達した場合には、培養を終了する。換言すれば、ステップS14では、培養を終了したか否かを判断する。
培養を終了しないのであれば(ステップS12がNO)、ステップS11に戻り、培地の水分含有量の管理を行う。
培養を終了するのであれば(ステップS12がYES)、ステップS13に進む。
【0042】
ステップS13では、制御手段10は、開閉弁V1〜V3を全て閉鎖し、光照射装置4及び音源5を停止する(ステップS14)。そして、幹細胞の培養を終了する。
【0043】
図示の実施形態によれば、容器1内の培地50及び容器1に対して供給される水に光処理を施すことにより、培地50や幹細胞Cに対して、殺菌効果があり、生体の自然治癒力を改善して、老化防止や活性化に貢献する水を供給出来る。
その結果、幹細胞Cの培養に好適な結果が得られる。
【0044】
光処理装置6には磁力装置62が装備され、磁力装置62が作動することにより、水に磁気が付与され、いわゆる「活性水(磁気活性水)」となり、培養を阻害する各種物質を分解して、幹細胞Cを活性化することが出来る。
さらに、光処理装置6には鉱石充填層63、触媒層64、特定の波長の光を作用させるための色料層65を備えており、容器1内の培地50に注入する水に、幹細胞Cを活性化させる機能を与えることが出来る。
【0045】
また、光照射装置4では、特定の波長の光(例えば、青色光)を照射することにより、水に対して、幹細胞Cを活性化して、培養の速度を増加する効果を付与することが出来る。
それに加えて音源5は、特定の波長の音(可聴域の音、特にクラシック音楽)を幹細胞Cに対して伝播することにより、幹細胞Cが失活する割合が低下して、培養の成績が向上する。
【0046】
さらに、香料添加装置7では、光処理装置6で光処理を行った水に、培養するべき幹細胞Cの活性に寄与する香料(いわゆる「機能性香料」の一種)を添加することにより、活性がさらに増加する。
それに加えて、培地製造機構3では、標準培地貯蔵ブロック31から搬送される標準培地31に、漢方薬貯蔵ブロック32の漢方薬を添加することにより、漢方薬の薬効が培養中の幹細胞Cにも発揮される。したがって、特に、滋養・強壮系の漢方薬を添加した場合には、幹細胞Cの培養が好適に行われる。
【0047】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0048】
1・・・容器
2・・・水供給装置
3・・・培地製造機構
4・・・光照射装置
5・・・音源
6・・・光処理装置
7・・・香料添加装置
8、9・・・水分含有率検知センサ
10・・・制御手段
11・・・培養量センサ
22・・・ろ過器
33・・・培地製造ブロック
61・・・ろ過装置
62・・・磁力装置
63・・・鉱石充填層
64・・・触媒層
71・・・機能性香料タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養するべき幹細胞を培地と共に収容する容器と、容器内に充填されるべき培地及び容器に対して水分を供給する水分供給系統と、容器内に充填するべき培地を製造する培地製造機構と、容器内の培地に対して特定の波長の光を照射する光照射装置と、容器内に特定の波長の音を伝播する音源とを備え、水分供給系統は、ろ過装置を内蔵し且つ培地及び容器に供給されるべき水分に光エネルギーを作用する光処理装置と、光エネルギーを作用させた水に培養するべき幹細胞の活性に寄与する香料を添加する香料添加装置とを有しており、培地製造機構は、標準的な培地に対して漢方薬を添加する漢方薬添加装置を有していることを特徴とする幹細胞の培養装置。
【請求項2】
容器内に培養するべき幹細胞の栄養源となる培地を製造する培地製造工程と、容器内に充填された培地及び容器に対して水分供給系統により水分を供給する水分供給工程と、光照射装置により容器内の培地に対して特定の波長の光を照射する光照射工程と、音源により容器内に特定の波長の音を伝播する工程とを備え、水分供給工程では、ろ過装置により純水を製造する工程と、製造された純水に対して光エネルギーを作用させる光処理工程と、光処理工程を行った水に培養するべき幹細胞の活性に寄与する香料を添加する香料添加工程を有しており、培地製造工程は、標準的な培地に対して漢方薬を添加する漢方薬添加工程を有していることを特徴とする幹細胞の培養方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−109916(P2011−109916A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265840(P2009−265840)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(501048930)株式会社シームス (34)
【Fターム(参考)】