説明

広告宣伝用バイク

【課題】現に使用されているバイクの主体部を改造することなく、要部の広告宣伝具を簡単に装着することができること。
【解決手段】荷台上に出前装置を備えたバイク本体と、このバイク本体に一体的に設けられた風防本体と、この風防本体からバイク本体に亘って設けられた広告宣伝具とから成る広告宣伝用バイクであって、広告宣伝具は、風防本体の屋根の後端部に設けられた上方支持部と、この上方支持部に対して、所定間隔を有してバイク本体の背凭れ部を含む荷台側に縦状態に固定された下方支持部材と、差込み基端部が前記上方支持部を通り、かつ下方支持部材に嵌入する所定長の竿と、この竿の屋根から突出する突出上端部に装着され、かつ宣伝広告用の標識が施された広告旗或いは看板とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、役務を提供する際に使用される広告宣伝用バイクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の第2図には、荷台上に出前装置を備えたバイク本体(主体部)と、このバイク本体に一体的に設けられた風防本体とから成るバイクが記載されている。また、特許文献2の第2図及び第3図には、荷台上に出前装置を備えた出前用のバイクが記載されている。現在、この種の出前用バイクに広告宣伝具を設け、役務の宣伝効果を高めることが期待されている。
【0003】
ところで、ピザのデリバリー(宅配)に於いて、三輪バイクの荷台上にピザ用の収納箱を固定し、該収納箱の側壁の外壁面に「宣伝広告用の商品名・店名」を施して走行している光景がよく見られる。
【0004】
一方、すし、メン類、和食、洋食等を出前装置の架台具(おかもち)に載せて、顧客の所へ、いわゆるデリバリーをすることができる出前用の三輪バイクが存在するものの、出前装置を備えたバイクでは、メン類等の収納箱が前記架台具に着脱自在に載置することや出前装置の架台具が邪魔であることから、ピザのデリバリーの如く、「適当な広告宣伝具」を配設するというような光景が見られない。
【0005】
次に、特許文献3には、「旗立て装置」が開示されているが、該旗立て装置は、国旗を立てるために、家の外壁面の適宜箇所にブラケットを固着し、該ブラケットの円柱体に横軸を介してパイプ状の竿支持部材の下端部を角度調整可能に軸支する構造である。
【0006】
しかしながら、この特許文献3に記載の旗立て装置は、取付け対象が不動産に対するものであり、また、自己の役務を宣伝広告することを目的とするものではない。さらに、構造も複雑であるという問題点がある。
【特許文献1】実用新案登録第3094023号公報の第2図
【特許文献2】実開平2−147389号公報の第2図及び第3図
【特許文献3】特開2001−67032号公報の第2図及び第3図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の所期の目的は、バイクの主体部を改造することなく、或は背凭れ部に取付け穴を設ける程度の改造で、バイク本体の背凭れ部を含む荷台側に広告宣伝具を簡単に装着することができることである。第2の目的は、広告宣伝具をバイクに安価に装着することである。第3の目的は、竿を簡単に装着することができると共に、バイクXでデリバリー(宅配)中に竿がガタ付かないことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の広告宣伝用バイクは、荷台上に出前装置を備えたバイク本体と、このバイク本体に一体的に設けられた風防本体と、この風防本体からバイク本体に亘って設けられた広告宣伝具とから成る広告宣伝用バイクであって、前記広告宣伝具は、風防本体の屋根の後端部に設けられた上方支持部と、この上方支持部に対して、所定間隔を有してバイク本体の背凭れ部を含む荷台側に縦状態に固定された下方支持部材と、差込み基端部が前記上方支持部を通り、かつ前記下方支持部材に嵌入する所定長の竿と、この竿の前記屋根から突出する突出上端部に装着され、かつ宣伝広告用の標識が施された広告旗或いは看板とから成る。
【0009】
上記構成に於いて、上方支持部は、屋根に形成された支持孔であり、一方、下方支持部材はパイプ状であり、かつ出前装置の架台具を支持する支持アームの垂直部分に固定手段を介して一体的に設けられていることを特徴とする。また、下方支持部材は、所定長の竿の高さを調整することができる高さ調整具を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(a)現に使用されているバイクの主体部を改造することなく、或は背凭れ部に取付け穴を設ける程度の改造で、かつ風防本体の屋根の後端部に上方支持部を設けるという着想に基づき、荷台上に出前装置を備えたバイクに要部の広告宣伝具を簡単に装着することができる。付言すると、例えばバイクの風防本体の屋根の後端部に上方支持部を設け、一方、バイク本体の背凭れ部を含む荷台側にパイプ状の下方支持部材を、固定手段を介して縦状態に固定するだけで、バイクを著しく改造するとなく、簡単に広告宣伝具を配設することができる。特に、請求項2に記載の発明は、バイク本体の背凭れ部等を全く改造する必要がない。
(b)広告宣伝具を構成する部品点数が少ないので、非常に安価である。
(c)上方支持部が貫通孔である場合には、竿を該上方支持部とパイプ状の下方支持部材に簡単に差し込むことができる。すなわち、上方支持部に竿の差込み基端部を差込み、そのまま竿を落し込むようにすると、前記差込み基端部は簡単にパイプ状の下方支持部材に入り込む。
(d)竿を上下方向の二箇所で支持するので、バイクXでデリバリー(宅配)中に竿がガタ付かない。
(e)その他、付随的効果として、実施例によっては、デリバリー中にバイクを停車したとき、簡単に竿を抜き取られないという利点がある(錠止効果)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1乃至図5に示す本発明を実施するための最良の形態(第1実施例)により説明する。
【0012】
(1)発明の実施の環境
図1は発明の実施の環境を示す概略説明図である。図1に於いて、Xは、例えば三輪のバイクである。ここで「バイクX」とは、原動機付き二輪車並びに原動機付き三輪車が含まれ、かつ荷台上に出前装置を備えたバイク本体1と、このバイク本体に一体的に設けられた風防本体2とから成る車両、これに類似する移動体をいう。この種のバイクXは、すし、メン類、和食、洋食等を出前装置の架台具に載せて、顧客の所へ、いわゆるデリバリーをすることができる。バイクXの細部的事項の説明は割愛するが、前記バイク本体1は、前輪3、後輪4、座部5、背凭れ部6、後方の荷台7、前方のフロント部分8、このフロント部分に設けられたワイパー9等を備えている。
【0013】
また、前記風防本体2は、下端部が前記フロント部分8の上端部に一体的に設けられた透明窓11と、この透明窓の上端部に一体的に設けられ、かつ先端部12a側と後端部12b側が適宜に湾曲形成された屋根12とから成り、前記屋根12の後端部12bは、複数本(例えば二本)の支柱13を介してバイク本体1の背凭れ部6の上端部に連結されている。
【0014】
さらに、前記荷台7上に設けられた出前装置(図1では架台具を省略)15は、図2で簡略的に示した架台具16を備えている。周知のように、前記架台具16には、メン類、和食、洋食等を収納した図示しない運搬箱が自在に載置される。出前装置15及び架台具16の構造は自明事項なので、その詳細については割愛するが、出前装置15は、少なくとも、荷台7上から背凭れ部6の後壁6aに沿って上方へと延びる垂直部分17a及び該垂直部分に連設する水平部分17bとを有するパイプ状の支持アーム17、該支持アーム17の前記水平部分17bに不番の支持板を介して設けられた垂直ボルト(頂面ボルト)及びスプリングを含む付勢手段18等から構成されている。以下、本発明の特定要件について順次説明するが、細部的な事項は図面及びその説明を割愛する。
【0015】
(2)要部
図2乃至図5を参照にして、本発明の要部(広告宣伝具)を説明する。広告宣伝具は、風防本体2からバイク本体1に亘って設けられている。しかして、符号21は、風防本体2の屋根12の後端部に設けられた上方支持部で、本実施例では、例えば後端部の隅部に形成され、かつ後述の竿を通すことができる大きさの支持孔である。支持孔21は、その内周面が竿の外周面を支持する機能を有するので、竿の外径寸法を考慮して適宜の大きさ(内径寸法)に設定するのが望ましい。
【0016】
次に、符号22は、前記上方支持部21に対して、所定間隔を有してバイク本体1の背凭れ部6を含む荷台7側に縦状態に固定された下方支持部材で、本実施例では、例えば下方支持部材22は有低パイプ状であり、かつ出前装置15の架台具16を支持する支持アーム17の垂直部分17aに図示しない溶着、ビニールテープ、固着バンド等の固定手段を介して一体的に設けられている。パイプ状下方支持部材22の長さや内径は、竿の差込み基端部の太さを考慮して適宜に設定される。本実施例では、パイプ状の下方支持部材22の長さは30cmである。もちろん、長さは30cmに限定するものではなく、バイクXでデリバリー中に振動により、竿の差込み基端部が容易に抜けない程度の長さであれば良い。
【0017】
次に、符号23は、差込み基端部23aが前記上方支持部21を通り、かつ前記パイプ状の下方支持部材22に嵌脱自在に嵌入する所定長の竿で、この竿23のバイク本体1の屋根12から突出する突出上端部23bには、宣伝広告用の標識が施された広告旗(本実施例)或いは看板24が装着されている。なお、竿23の差込み基端部23aの先端部(下端部)は、例えば逆円錐台状に形成されている。また、前記広告旗或いは看板24の標識25は、店名を含む商標、図形、電話番号、アドレス等であり、望ましくは夜光塗料が塗布されている。さらに、広告旗に代えて任意形状の看板24を用いた場合には、看板24は常にその形態を保持するので、視認性に優れている。
【実施例】
【0018】
図6及び図7は、本発明の第2実施例であり、下方支持部材22Aは、所定長の竿23Aの高さを調整することができる高さ調整具30を備えている。この高さ調整具30は、下方支持部材22Aの下端部に上下方向に所定間隔を有して形成された複数個の調整孔31と、これらの調整孔31に選択的に差込み係合する調整ボルト32と、座金33及びナット34とから構成されている。
【0019】
上記構成に於いて、竿23Aの差込み基端部23aには、錠止用の係合孔35が半径方向に形成され、該係合孔35に高さ調整具30の調整ボルト32が貫通状態に嵌挿する。したがって、この第2実施例は、デリバリー中にバイクを停車したとき、簡単に竿を抜き取られないという利点がある(錠止効果)。
【0020】
また、本実施例では、請求項2に記載の実施例のように、「上方支持部は、屋根に形成された支持孔であり、一方、下方支持部材はパイプ状であり、かつ出前装置の架台具を支持する支持アームの垂直部分に固定手段を介して一体的に設けられている」が、前記支持アームの垂直部分に代えて、下方支持部材22を、例えば背もたれ部6の背面6aに取付け穴を形成して、図示しない固定ボルト等の固定手段を介して該背もたれ部6に固定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、主にバイクでメン類、和食、洋食等を、デリバリー(宅配)をする業界で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1乃至図5は本発明の第1実施例を示す各説明図。図6乃至図7は本発明の第2実施例の各説明図。
【図1】発明の実施の環境を示す概略説明図
【図2】要部の概略説明図(竿と広告旗或いは看板は分離)。
【図3】要部の概略説明図(竿に支持部と支持部材に差し込む前の状態)。
【図4】要部の概略説明図(竿に広告旗を装着して支持部と支持部材に差し込んだ状態)。
【図5】支持アームの垂直部分に支持部材を固定しかつ竿の下端部を支持部材に差込んだ状態の説明図。
【図6】第2実施例の支持部材と竿と高さ調整具の分解斜視図(竿は下端部のみを図示)。
【図7】図7(a)と図7(b)は、一つ調整孔と他の調整孔に調整ボルトをそれぞれ挿通しかつ竿の下端部を支持部材に差込んだ状態の各説明図。
【符号の説明】
【0023】
X…バイク、1…バイク本体、2…風防本体、6…背凭れ部、6a…背凭れ部の後壁、7…荷台、11…透明窓、12…屋根、13…支柱、15…出前装置(図1では架台具を省略)、16…架台具、17…支持アーム、17a…垂直部分、21…上方支持部、22、22A…下方支持部材、23、23A…所定長の竿、23a…差込み基端部、23b…突出上端部、24…広告旗或いは看板、30…高さ調整具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台上に出前装置を備えたバイク本体と、このバイク本体に一体的に設けられた風防本体と、この風防本体からバイク本体に亘って設けられた広告宣伝具とから成る広告宣伝用バイクであって、前記広告宣伝具は、風防本体の屋根の後端部に設けられた上方支持部と、この上方支持部に対して、所定間隔を有してバイク本体の背凭れ部を含む荷台側に縦状態に固定された下方支持部材と、差込み基端部が前記上方支持部を通り、かつ前記下方支持部材に嵌入する所定長の竿と、この竿の前記屋根から突出する突出上端部に装着され、かつ宣伝広告用の標識が施された広告旗或いは看板とから成る広告宣伝用バイク。
【請求項2】
請求項1に於いて、上方支持部は、屋根に形成された支持孔であり、一方、下方支持部材はパイプ状であり、かつ出前装置の架台具を支持する支持アームの垂直部分に固定手段を介して一体的に設けられていることを特徴とする広告宣伝用バイク。
【請求項3】
請求項1に於いて、下方支持部材は、竿の高さを調整することができる高さ調整具を備えていることを特徴とする広告宣伝用バイク。
【請求項4】
請求項3に於いて、竿の差込み基端部には、錠止用の係合孔が形成され、該係合孔に高さ調整具の調整ボルトが貫通状態に嵌挿することを特徴とする広告宣伝用バイク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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