説明

広角ビームステアリングシステム

【課題】大きい角度、例えば±50°程度、入射ビームを偏向させるビームステアリングシステムを提供する。
【解決手段】ビームステアリングシステムは、第一の格子の選んだ1つに対して複数の入力方向の選んだ1つに沿って第一の格子の選んだ1つまで光エネルギビームを向け、この第一の格子は、第二の格子の選んだ1つに対して複数の入力方向の選んだ1つと実質的に等しい方向となるように第一の格子から出力方向の相応する1つを提供し、これによりビームの出力方向の選んだ組みを提供するように選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、ビームステアリングシステム、より具体的には、電子制御式の広角ビームステアリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術にて既知であるように、電気的命令信号に従って光ビームをステアリングするための光フェーズドアレイビームステアリングシステムが記載されている。かかるビームステア装置の1つは、発明者ドルシュナー(Dorschner)及びその他の者に対し、1992年3月3日付けで発行された「サブアパーチャ(Subaperture)アドレッシングを有する光ビームステア装置(Optical Beam Steerer Having Subaperture Addressing)という名称の米国特許第5,093,740号明細書、発明者ドルシュナー及びその他の者に対し、1999年10月5日付けで発行された米国特許第5,963,682号明細書、及び発明者ドルシュナー及びその他の者に対し、2004年3月9日付けで発行された米国特許第6,704,474号明細書に記載されており、これら特許の全ては、当該特許出願人に譲渡され、また、かかる米国特許の主題事項の全体は、参考として引用し本明細書に含めてある。本明細書に記載されたように、ビームステア装置は、光フェーズシフタのアレイを有する。各フェーズシフタを通過する光エネルギのビームの部分に対して提供されるフェーズシフトは、フェーズシフタに供給された電気的制御信号によって選ばれる。レーザからのような、光エネルギの入射ビームは、これにより、フェーズシフタのアレイにより提供される空間的に変化するフェーズシフトに従って角度を付けて向けられる(すなわち、偏向される)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,093,740号明細書
【特許文献2】米国特許第5,963,682号明細書
【特許文献3】米国特許第6,704,474号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる構成は、入射ビームに対して、例えば±5°のような比較的小さい角度の偏向を提供するのに効果的であるが、一部の用途において、例えば、±50°の程度の大きい角度だけ入射ビームを偏向させることが望ましいことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従い、第一の複数の体積回折格子を有するビームステアリングシステムが提供される。該格子の各々1つは、第一の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられる。第一の複数の格子ベクトルは、第一の平面内に実質的に配設される。格子の各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の任意の1つから複数の出口方向の相応する1つまで回折させ得るよう配置される。システムは、第二の複数の体積回折格子を有している。かかる第二の複数の体積回折格子の各々1つは、第二の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられる。第二の複数の格子ベクトルは、第一の平面と異なる第二の平面内に実質的に配設されている。第二の複数の格子ベクトルの各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の任意の1つから複数の出力方向の相応する1つまで回折し得るよう配置されている。また、ビームは、最初に、第一の複数の格子の選んだ1つに対して複数の共鳴入力方向の選んだ1つに沿って第一の複数の格子の選んだ1つに向け、次に、第二の複数の格子の選んだ1つに対して複数の共鳴入力方向の選んだ1つに実質的に等しい方向に向けて第二の複数の格子に向けられるように、ビームステアリングシステムに入射する光エネルギビームを偏向させるビームステアリング装置も提供される。
【0006】
1つの実施の形態において、ビームステアリング装置は、第一の複数の格子及び第二の複数の格子の双方の正面に配設されている。
1つの実施の形態において、ビームステアリング装置の第一の部分は、第一の複数の格子の正面に配設され、また、ビームステアリング装置の第二の部分は、第一の複数の格子と第二の複数の格子との間に配設され、かかるビームステアリング装置の第二の部分は、出力方向を第一の格子から第二の格子の複数の入力方向の1つまで変位させる。
【0007】
1つの実施の形態において、ビームステアリング装置は、電子光ビームステア装置を有している。
1つの実施の形態において、電子光ビームステア装置は、第一の平面内にてある角度で光エネルギを第一の複数の格子まで偏向させると共に、第一の複数の格子から第二の平面内にてある角度にて偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素のアレイを有している。
【0008】
1つの実施の形態に従い、ビームステアリングシステムの各部分は、該部分に入射する光エネルギを偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素のアレイを有しており、電子光ビームステア装置の第一の部分に対する偏向角度は、第一の偏向平面内に位置し、第二の部分に対する偏向角度は、第二の平面内に位置し、該第二の平面は第一の平面に対して角度を付けて位置している。
【0009】
1つの実施の形態に従い、第一の電子光ビームステア装置を有するビームステアリングシステムが提供される。該第一の電子光ビームステア装置は、入射ビームを第一の平面内にて第一の複数の角度の選んだ1つに向ける電気制御式のフェーズ変位要素の第一のアレイを有している。かかる第一の角度の各々1つは、第一の電子光ビームステア装置のフェーズ変位要素を供給される第一の電気的命令に従って選ばれる。該システムは、第一の電子光ビームステア装置により向けられたビームを捕捉する格子材料を有する第一の格子セットを備えており、該第一の格子セットは、その向けられたビームを第一の複数の角度の1つによって偏向させ、相応する偏向されたビーム方向の各々1つが第一の平面に対し実質的に限定されるようにする。該システムは、第二の複数の角度の選んだ1つにより第一の格子セットによってステアされたビームを偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素の第二のアレイを備え、該偏向は、第一の平面と相違する第二の平面内に位置する。かかる第二の角度の各々1つは、第二の電子光ビームステア装置のフェーズ変位要素に供給された第二の電気的命令に従って選ばれる。該システムは、第二の電子光ビームステア装置により向けられたビームを捕捉する格子材料を有する第二の格子セットを備えており、該第二の格子セットは、第二の複数の角度により向けられた該ビームを相応する第二の複数のビーム方向に偏向させる。第二の複数の偏向の各々1つは第二の平面に実質的に限定され、かかる第二の平面は第一の平面と相違する。1つの実施の形態において、第二の平面は第一の平面に対して垂直である。
【0010】
1つの実施の形態において、第一及び第二の格子セットの格子材料は、光熱屈折性ガラスである。
本発明の1つ又はより多くの実施の形態の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載されている。本発明のその他の特徴、目的及び有利な効果は、以下の説明及び図面から並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるビームステアリングシステムの概略線図である。
【図2A】図1及び図4のビームステア装置を理解するのに有用なベクトル線図である。
【図2B】図1及び図4のビームステア装置を理解するのに有用なベクトル線図である。
【図2C】図1及び図4のビームステア装置を理解するのに有用なベクトル線図である。
【図3A】図1及び図4のビームステア装置を理解するのに有用なベクトル線図である。
【図3B】図1及び図4のビームステア装置を理解するのに有用なベクトル線図である。
【図3C】図1及び図4のビームステア装置を理解するのに有用なベクトル線図である。
【図4】本発明の別の実施の形態によるビームステアリングシステムの概略線図である。
【図4A】本発明の別の実施の形態によるビームステアリングシステムの概略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
色々な図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
まず、図1を参照すると、第一の電子光ビームステア装置12、この場合、光フェーズドアレイ(OPA)を有するビームステアリングシステム10が示されており、該ビームステアリング装置は、電気制御式フェーズ変位要素の第一のアレイを備え、入射ビーム14、この場合、入力レーザビームを全て実質的に共通の平面、この場合、方位角平面内に配設された複数の第1の角度の選ばれた1つまで向け、かかる第一の角度の各々1つは、バス16を介して第一の電子光ビームステア装置12のフェーズ変位要素に供給された第一の電気的命令に従って選ばれる。この場合、電子光ビームステア装置は、上述した米国特許明細書に記載された型式のものであり、ビームを方位角方向又は平面内にてある角度に向ける。
【0013】
第一の複数の体積回折格子18が提供される。この場合、かかる第一の複数の体積回折格子18は、便宜上、第一の格子セット18と称されることがある。このように、第一の格子セット18は、1つ又は複数の体積ブラッグ(Bragg)格子(以下、簡単に「格子」と称する)を備える、好ましくは、ホログラフにより形成された内部構造体を有する。体積ブラッグ格子は、第一の格子セットの体積内に印加された空間的に変化する誘電感受性又は磁化率である。磁化率の変化は、全体として、位置に正弦波状に依存する形態をしている。磁化率が増大した材料の平面は、磁化率が低下した平面の間に挟持される。かかる格子は、その格子ベクトルにより特定されることが便宜であり、この格子ベクトルは、体積ブラッグ格子を構成し且つ正弦波状の磁化率の変化期間に対して逆比例する大きさを有する平面に対して垂直に向けられた3成分ベクトルである。第一の格子セット内の体積ブラッグ格子の各々は、1つの回折格子ベクトルを有し、第一の要素内にて、かかるベクトルの全ては、ほぼ単一の平面内に位置している。特定の方向に向けて伝搬する光波が格子と共鳴し、従って、格子により強力に回折され、また、強力に共鳴する組みの方向は、平面内にほぼ位置する格子の入力空間として本明細書に説明する、ファン方向内にて又はそのファン方向近くに位置し、この平面は、格子ベクトルに対して垂直であることがかかる体積ブラッグ格子における既知の特徴の1つである。また、光波が回折される方向は、入力方向に、及び格子ベクトルに依存すること、また、組みの出力方向は、ある平面内にほぼ位置するファンを形成し、この平面が格子ベクトルに対して垂直であることも既知の特徴である。発明者エフモフ(Efimov)及びその他の者に対し、2003年7月1日付けで発行された、「光熱屈折性ガラスにて高効率の体積回折要素を製造する方法(Process for production of high efficiency volume diffractive elements in photo−thermo−refractive glass)」という名称の米国特許第6,586,141号明細書を参照する。偏向したビームの伝搬方向に対し平行な単位ベクトルから偏向する前のビームの伝搬方向に対し平行な単位ベクトルを減算する値としてビームの偏向を定義することにより、格子からのその回折に起因するビームのビーム偏向は、上記格子の格子ベクトルに沿って位置する。
【0014】
第一の格子セット18における複数の格子の各1つは、第一の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられている。第一のセット18における第一の複数の格子ベクトルは、第一の平面、この場合、方位角平面内に実質的に配設される。格子の各1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の相応する1つから相応する出力方向まで偏向させる。各格子に対する複数の入力方向はその格子の「入力空間」であることを理解すべきである。
【0015】
このように、第一の格子セット18は、第一の電子光ビームステア装置12により向けられたビームを捕捉し、且つその向けたビームを第一の複数の方向の1つに向ける格子材料を有しており、その方向の各1つは、第一の単一の平面、この場合、方位角平面に対して実質的に限定される。この場合、第一の格子セット18は、方位角格子を有し、該格子に入射するビームを方位角方向又は平面内にて偏向させる。
【0016】
第二の複数の角度の選んだ1つの角度だけ第一の格子セットによりステアされたビームを偏向させる、電気制御式フェーズ変位要素の第二のアレイ、この場合、光フェーズドアレイ(OPA)を備える第二の電子光ビームステア装置20が提供され、かかる第二の偏向の各1つは、第一の平面に垂直であることが好ましい、第二の平面内すなわち仰角平面内に位置する。この角度は、バス22を介して第二の電子光ビームステア装置20のフェーズ変位要素に供給される第二の電気的命令に従って選ばれる。この場合、電子光ビームステア装置は、上記の米国特許明細書に記載された型式のものであり、ビームを仰角方向にてある角度だけ偏向させる。
【0017】
第二の複数の体積回折格子24が提供される。この場合、かかる第二の複数の体積回折格子24は、便宜上、第二の格子セット24と称される場合がある。第二の格子セット24は、第二の格子セット24の体積ブラッグ格子の全てが第一の平面と異なる単一の平面、この場合、仰角平面内にほぼ配設されたベクトルを有し、また、格子セット18の格子ベクトルと異なる大きさの格子ベクトルを有する点を除いて、第一の格子セット18と同様である。第二の格子セットにおける格子の各1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の相応する1つから相応する出力方向に向けて偏向させる。以前と同様、格子の各々に対する複数の入力方向は、該格子の「入力空間」である。第二のセットにおける格子の入力空間は、角度空間内にて一連のほぼ平面状の位置にあり、これらの入力空間は全て、第一の格子セットの入力空間に対しほぼ垂直である。
【0018】
このように、第二の格子セット24は、第二の電子光ビームステア装置22により向けられたビームを捕捉し、且つその向けられたビームを第二の複数の方向の1つだけ偏向させる格子材料を有しており、第二の複数の偏向方向の各1つは第二の単一の平面に対し実質的に限定され、かかる第二の平面は第一の平面に対して垂直である。この場合、第二の格子セット24は、仰角格子を有し、また、該格子に入射するビームを仰角方向に偏向させる。
【0019】
より具体的には、第一の電子光ビームステア装置12は、入射ビーム14を第一の格子セット18の第一の複数の格子の選んだ1つと共鳴する方向に第一の格子セット18に向け、また、第二の電子光ビームステア装置20は、第一の格子セット18により向けられたビームを第二の複数の格子セット24における第二の複数の格子の選んだ1つと共鳴する方向に第二の格子セットに向ける。この場合、第一及び第二の格子セットの格子材料は光熱屈折性ガラスである。
【0020】
このように、入射する光ビーム14がシステム10の光軸線に沿っていると想定して、第一の電子光ビームステア装置12に供給された電気的命令信号はかかるビームを複数の角度方向の選んだ1つ、この場合、光軸線から且つ仰角平面内にて±5°の範囲にある複数の角度の1つに沿って向ける。第一の電子光ビームステア装置12から去るビームが第一の格子セット18の体積格子と共鳴する方向に沿って向けられ、第一の格子セット18が第一の所定の角度方向に沿ってある波面を有する出力ビームを発生させるように、角度が選ばれる。第一の所定の角度方向は、入射する波面の伝搬方向から±5°以上とすることができる。最終的な出力方向の角度が小さいとき、すなわち、この場合、光軸線から±5°以下であるとき、第一の電子光ビームステア装置によって選ばれた入力方向は全ての格子と共鳴しないようなものであり、これにより出力ビームが偏向せずに全ての格子を通過するのを許容することが理解される。
【0021】
次に、第二の電子光ビームステア装置22は、その出力ビームを第一の格子セット18から±5°の範囲に向ける。第二の電子光ビームステア装置22から去るビームが第二の格子セット24の体積格子との共鳴方向に沿って波面を有し、第二の格子セット24が第二の所定の角度方向に沿って波面を有する出力ビームを発生させるように、角度が選ばれる。第二の所定の角度方向は、入射する波面の伝搬方向から±5°を大きく上回る。この場合、図1には、光軸線から±45°偏向し得るようにされたシステム10からの出力ビームが示されている。
【0022】
体積格子22、24の効果を理解するため、波ベクトルkの光について考える。平面波の波ベクトルは、格子の格子ベクトルに対し正確に同様に画成される。このベクトルは、平面波の等しいフェーズ平面に対して垂直なベクトルであり、また、所定の一定のフェーズ間隔にて上記平面の間隔の逆数に等しい大きさを有する。このフェーズ間隔は、フェーズ変化の1つの完全な波又は1つのラジアン又は計算を容易にするその他の測定値とすることができるが、所定の計算にて一定の値である。光は、変調した相対的誘電透過性を有する媒質内を移動するものとする。
【0023】
ε=ε+εcos(k・r) (1)
ここで、下付き文字「m」、「g」は、媒質及び格子をそれぞれ表わす。変調の結果、波ベクトルk=k±kにて空間的側波帯が発生する。これらの側波帯の1つが可能な伝搬波と共鳴する、すなわち伝搬可能な波と同一の波ベクトル及び一時の周波数を有するならば、その側波帯はその波を励起させ、また、当初の波の全エネルギが新しい波に伝送される(「回折される」)(特定の設計基準に合致すると想定して)。格子は静止しているから、これらの側波帯の周波数は当初の光の周波数と同一であり、従って側波帯は、|k|=|k|であるときにのみ放射することができる。このことは、本開示の基礎となる重要な物理的現象である、1つの体積格子からのブラッグ散乱を簡単に説明するものである。当該出願にて、入力波が格子と「共鳴する」という術語は、上述したように、「かかる格子の存在下にてその波によって発生された2つの側波帯の1つはその出力伝搬波を励起させるものである」ということと同一の意味であることが理解される。
【0024】
図2Aないし図2Cには、2つの例に対する幾何学的形態が示されている。入力及び出力ベクトルk、kは等しい長さであり、従って、格子ベクトルを保持する任意の平面内に位置する底辺として格子ベクトルを有する二等辺三角形を形成するはずである。図2Aにおいて、波ベクトルは、XZ平面内に位置するように選ばれたkである。図2Bにおいて、kはXY平面内に位置するように選ばれる。図2Cにおいて、k空間内にて可能な波ベクトルを示す。入力及び出力ベクトルは、格子ベクトルによって分離された2つの平面上に位置する1対の等しい円(いわゆる、「エバルト(Ewald)」球)上に位置する。双方の例は、1つの球の上にあるものとして示されており、実際上、双方の格子は、同一の材料ブロック内に書き込まれる。X軸線に沿って(図2Cを見る人の方向に直接向けて)光を送るならば、その光は、何れの格子とも共鳴せず、偏向されずに通過するであろう。その光が点「a」にて僅かに下方に向けられるならば、そのとき、その光は「a」格子と共鳴し、方向「a」に向けて上方に偏向されよう。点「a」のみならず、同一の円上の任意の点も「a」格子と共鳴することが理解できる。例えば、方向「a」に向けられた光は、同一の格子と共鳴し、再度、直接上方であるが、方向「a」に向けて偏向されよう。同様に、入射する光がその代わり、点「b」にて負のY方向に向けて僅かに傾くならば、その光は「b」格子と共鳴し、方向「b」に向けて偏向されよう。
【0025】
格子は、該格子が書き込まれるスラブの厚さである距離Tに亙って延在する。その結果、共鳴状態は限定された角度にて広がることになる。入力波ベクトルは、図2Cの円の1つに中心がある方向の帯域内に位置しなければならない。我々は、これをその格子に対する「入力空間」と称する。該帯域の角度幅δは、ほぼsinδ=nλ/Tsinθとして与えられ、ここで、λは波長、nは格子が位置する材料の屈折率、θは散乱光の偏向角度である(格子材料の外側にて)。例えば、波長が1.5μで且つ厚さが2mmであり、格子材料が屈折率n=1.5を有する場合、5°のビーム偏向θの結果、約0.7°の幅、50°の偏向、約0.07°の帯域を形成する入力空間となる。
【0026】
入力空間の幅δが零でないことは、格子材料の限定された厚さの結果であり、このことは、格子ベクトルに相応する不確実性又は「ぼやけ」を付与することになる。この不確実性は、純然として、簡略化のため、平面状の平行なスラブと想定される、格子材料の表面に対して垂直の格子ベクトルの構成要素に存在する。格子スラブは、この分析にて、横方向に無限の広さであるとみなされ、また、入射波は同様に、横方向へ無限の広さの理想化された平面波とみなされる。これらの想定は、電磁波の伝搬上の問題を分析するときに採用される通常のものである。これらの想定により、散乱状態の正確な方程式は次の通りである、すなわち回折は、横境界状態を満足させなければならない。
【0027】
u×(k+k−k)=0 (2)
ここで、uはスラブに対する法線であり、オペレータはベクトルのクロス乗積である。この等式は、ベクトル(k+k−k)に2つの制約を与え、第三の制約は、上述したように格子の限定された厚さのため、uに対して平行な小さい値の範囲を有する格子の完全フーリエ変換の構成要素が存在することから、厳格なものではない。入力波ベクトルkが入力空間を亙るとき、入力出力kはδにほぼ等しい幅の帯域である出力空間内に位置する。所定のkの場合、kの値は一定である、すなわち散乱による所定の波のぼやけ又は拡がりが存在せず、散乱効率は変化し、帯域の中心にて100%であることが分かる。
【0028】
再度、図1を参照すると、第一の電子光ビームステア装置12、第一の格子セット18、第二の電子光ビームステア装置20及び第二の格子セット24は、二段階又は「カスケード型」領域セレクタ21を提供する。「領域」は、「領域フィル(zone fill)」サブシステム23からアクセス可能な出力角度の範囲であり、このサブシステムはカスケード型格子領域セレクタから得られる別個の方向の1つに中心がある。第一の段階において、第一の電子光ビームステア装置12は、入力ビームを第一の格子セット18における約18の格子の選んだ1つ(当該例において)の入力空間内に偏向させ、その入力ビームの全ては、異なる程度(一部はプラス、一部はマイナス)だけ同一方向に向けて偏向させる。その結果、ビームは入射方向から45°までの範囲の方向のファンの1つに偏向される。この例の場合、間隔5°のファンは、図3A、図3C及び図3Bにて球の赤道上に位置する。明確化のため、図3Aないし図3Cには、散乱ベクトル及び2つの格子のみの入力空間及び出力空間が示してある。図3A及び図3Cにおいて、これらは方位角偏向型格子である一方、図3Bにおいて、これらは仰角偏向型格子である。入射波は、図3Aないし図3Cにて中央に点で示したX軸線に沿って偏向されるものと想定し、また、該入射波は、電子光ビームステア装置12により「1」、「5」のような点に偏向され、ここで、格子の1つの入力空間は赤道を横断する。次に、入射波は、相応する点「2」又は「6」(又は簡略化のため図示しない残りの格子に相応するその他の点)にそれぞれ散乱され、これらは図3Aに小さい十字として示してある。次に、第二の電子光ビームステア装置22はその波を偏向させ、その波を第二の格子セット24における第二のセットの格子の任意の選んだ1つの入力空間内に配置し、該格子は、光を第一のファンに対して垂直な方向に向け色々な程度だけ偏向させ得るよう向き決めされる。図3Aに示したかかる可能な偏向の1つは、「2」ないし「3」である。これは、システムが図3Bにて方向「4」の光にて最終的に完了することを目的とするならば、選ばれるであろう。この場合、第二の格子セット24に入る光線は、格子セット24の格子の入力空間「c」内に位置し、また、方向「4」に向けて上方に偏向されよう。
【0029】
第一の電子光ビームステア装置12がビームを点「1」ではなくて点「5」に偏向させる場合、第二の電子光ビームステア装置22は、光波を「6」から「7」まで上方に偏向するよう命令され、このため、図3Bにその作用を示した第二の格子セットに入ったとき、光波は、格子「d」と共鳴し、且つ方向「7」から方向「8」まで上方に偏向されよう。
【0030】
図示しない2つのその他の可能性について以下に説明する。第二の電子光ビームステア装置が点2にて光波に作用するが、これら光波を格子「c」ではなくて格子「d」の入力空間上に位置するように(図3Bにて)より僅かに下方に偏向させるならば、これらの光波は、より僅かな程度だけ上方に偏向され且つ上記と異なる領域内に位置するであろう。同様に、点「6」から点「7」まで上方へ偏向させることに代えて、電子光ビーム装置22内にて異なる命令による偏向とされ、光波を格子セット2内にて格子の入力空間「c」内に配置するならば、光波の上方への偏向程度はより大きくなり、光波は、図3Bの点「4」と同一の出力空間である格子セット2の格子「c」の出力空間にて終わるであろう。このように、第二の格子セットの各出力空間は、多数の領域内にて使用され、選ばれる領域は第一の格子セット内にて生じる偏向に依存する。
【0031】
上述したゾーンセレクタ21は、この例において、ビームを図3Bにて、以下のように、例えば、「4」の方向に偏向させる。
入力波をX軸線に沿って送る;
光を方向「1」に偏向させ、これにより、ビームを方向「2」に回折する第一のセットから格子を選ぶように、第一の電子光ビームステア装置12を作動させる;次に、
図3Bの格子「c」の入力空間内にてビームを点「3」まで下方に偏向させ、このことは、ビームを「4」に回折することにより作動を完了させように、第二の電子光ビームステア装置22を作動させる。
【0032】
第二の電子光ビームステア装置22は、第二の格子を選び且つ、色々な入力空間の曲率(図面に図示)を補正することの双方を行うことを理解すべきである。
次に、図4を参照すると、ビームステアリングシステム10´が提供される。この場合、この実施の形態において、電子光ビームステアリング装置(すなわち、第一の電子光ビームステア装置12及び第二の電子光ビームステア装置22)は、第一の複数の格子18及び第二の複数の格子24の双方の前に配設され、ゾーンセレクト部分21及びゾーンフィル部分23の分解図が図4Aに示されている。
【0033】
この場合、第一の格子セットの前方に配置された電子光ビームステアリング装置は、光波を方位角及び仰角内にて偏向させる能力を有する。このように、第一の複数の体積回折格子18を有するビームステアリングシステム10´が提供され、かかる格子の各々1つは、第一の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられている。第一の複数の格子ベクトル18は、第一の平面、この場合、方位角平面内に実質的に配設される。格子の各々1つは、該格子に入射する光エネルギを相応する共鳴入力方向から相応する出力方向に回折する。第二の複数の体積回折格子24が提供される。かかる第二の複数の体積回折格子24の各々1つは、第二の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられる。第二の複数の格子ベクトルは、第一の平面と異なる第二の平面、この場合、仰角平面内に実質的に配設される。第二の複数の格子24の各々1つは、該格子に入射する光エネルギを相応する共鳴入力方向から相応する出力ビームまで回折する。システムは、第一の複数の格子18の選んだ1つに対して、相応する共鳴入力方向に沿って光エネルギのビームを第一の複数の格子18の選んだ1つまで向けるビームステアリング装置12、22を備えており、上記方向は、第二の複数の格子23の選んだ1つに対して共鳴入力方向と実質的に等しいように第一の複数の格子18からの出力方向を提供するように選ばれる。換言すれば、この配置において、2つの格子セットの間に電子光ビームステアリング装置の一部分を有する必要はない。この配置の作用は、図3C及び図3Bを参照することにより理解することができる。
【0034】
上述したように、図3Bに示した方向「4」に向けたステアリングについて考える。このことは、光が方向「3」に沿って第二の格子セットに入る必要がある。これを実現するためには、上述した場合と同様に、図3Cに示すように、X軸線に沿って電子光ビームステアリング装置に入射する光波にて始める。電子光ビームステアリング装置は、ビームを仰角にて方向「1」に、また、方位角にて方向「2」に偏向させる。これら2つの偏向は、仰角及び方位角に沿ったものである必要はなく、2次元的方向範囲が選択可能であり、その結果、方向「2」への出力波となるようにすればよい。この波は、第一の格子セットの格子「a」と共鳴し、また、該格子によって方向「3」に向けて偏向されよう。光は、第一の格子セットから出て、且つ第二の格子セットに入り方向「3」に向けて伝送する。この方向は、その前に仰角にて偏向されているから、球の赤道上にはない。その代わり、その方向は、第二の格子セットから選んだ格子、この場合、そのセットの格子「c」の入力空間内に位置するように上記仰角偏向により選ばれる。このように、この光は、図3Bに示すように、所望の最終方向「4」に向けて偏向される。また、方向「8」に向けた最終的な出力波となるように選ばれた、電子光ビームステアリング装置の異なる設定状態も図3Bに示されている。この場合、電子光ビームステアリング装置は、X軸線から方向「5」への偏向を選び、次に、図3Cにて方向「6」への偏向を選ぶ。このことは、波を第一の格子セットの格子「b」との共鳴状態に置き、その結果、方向「7」への偏向となる。次に、この波は、該波が格子セット2に入るとき、該波は、既に、格子「d」と共鳴しているように予め配置される。
【0035】
換言すれば、第一の格子セット18の格子の各々1つは、第一の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられている。第一の複数の格子ベクトルは、第一の平面内に実質的に配設される。第一の格子セット18における格子の各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の任意の1つから複数の出力方向の相応する1つに回折させる。このシステムは、第二の複数の体積回折格子、すなわち第二の格子セット24を有している。かかる第二の複数の体積回折格子の各々1つは、第二の複数の体積格子の相応する1つと関係付けられている。第二の複数の格子ベクトルは、第一の平面と異なる第二の平面内に実質的にある。第二の複数の格子(すなわち、第二の格子セット24)の各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の入力共鳴方向の任意の1つから複数の出力方向の相応する1つまで回折させ得るよう配置される。また、第一の複数の格子の選んだ1つ(すなわち、格子セット18)に対して複数の共鳴入力方向の選んだ1つに沿って光エネルギのビームを第一の複数の格子の選んだ1つ(すなわち、格子セット18)まで向けるビームステアリング装置も提供され、上記共鳴入力方向の1つは、第一の複数の格子(すなわち、格子セット18)からの複数の出力方向の相応する1つを提供するように選ばれて、第二の複数の格子の選んだ1つ(すなわち、格子セット24)に対する複数の共鳴入力方向の選んだ1つの実質的に等しいようにされる。
【0036】
再度、図1又は図4を参照すると、ゾーンセレクタ21からの出力ビームは、ゾーンフィル部分23に供給され、ゾーンフィル部分23はカスケード状の方位角電子光ビームステア装置30を有し、その後に、仰角電子光ビームステア装置32が続く。
【0037】
本発明の多数の実施の形態について説明した。例えば、上述した第一及び第二の平面は、互いに対し垂直である必要はない。このため、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、色々な改変例を具体化することが可能であることが理解されよう。従って、その他の実施の形態が特許請求の範囲に含まれるものである。
【0038】
本発明の第1の態様は、
ビームステアリングシステムにおいて、
第一の複数の体積回折格子であって、該格子の各々1つは、第一の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられ、該第一の複数の格子ベクトルは、第一の平面内に実質的に配設され、格子の各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の任意の1つから複数の出口方向の相応する1つまで回折させ得るよう配置される前記第一の複数の体積回折格子と、
第二の複数の体積回折格子であって、該第二の複数の体積回折格子の各々1つは、第二の複数の格子ベクトルの相応する1つと関係付けられ、該第二の複数の格子ベクトルは、第一の平面と異なる第二の平面内に実質的に配設され、第二の複数の格子ベクトルの各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の任意の1つから複数の出力方向の相応する1つまで回折し得るよう配置される前記第二の複数の体積回折格子と、
ビームは、最初に、第一の複数の格子の選んだ1つに対して複数の共鳴入力方向の選んだ1つに沿って第一の複数の格子の選んだ1つに向けられ、次に、第二の複数の格子の選んだ1つに対して複数の共鳴入力方向の選んだ1つに実質的に等しい方向に向けて第二の複数の格子に向けられるようにビームステアリングシステムに入射する光エネルギビームを偏向させるビームステアリング装置とを備える。
本発明の第2の態様は、
第1の態様のシステムにおいて、ビームステアリング装置は、第一の複数の格子及び第二の複数の格子の双方の正面に配設されている。
本発明の第3の態様は、
第1の態様のシステムにおいて、ビームステアリング装置の第一の部分は、第一の複数の格子の正面に配設され、また、ビームステアリング装置の第二の部分は、第一の複数の格子と第二の複数の格子との間に配設され、該ビームステアリング装置の第二の部分は、提供された出力方向を第一の格子から第二の格子の入力方向まで変位させる。
本発明の第4の態様は、
第2の態様のシステムにおいて、ビームステアリング装置は、電子光学式ビームステア装置を有する。
本発明の第5の態様は、
第4の態様のシステムにおいて、電子光学式ビームステア装置は、第一の平面内にてある角度で光エネルギを第一の複数の格子まで方向変更すると共に、第一の複数の格子から第二の平面内にてある角度にて方向変更する電気式にステア可能なフェーズ変位要素のアレイを有する。
本発明の第6の態様は、
第5の態様のシステムにおいて、ビームステアリングシステムの各部分は、該部分に入射する光エネルギを偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素のアレイを有しており、電子光ビームステア装置の第一の部分に対する偏向角度は、第一の偏向平面内に位置し、第二の部分に対する偏向角度は、第二の平面内に位置し、前記第二の平面は、第一の平面に対して角度を付けて位置している。
本発明の第7の態様は、
第6の態様のシステムにおいて、第一及び第二の格子の格子材料は、光熱屈折性ガラスである。
本発明の第8の態様は、
第3の態様のシステムにおいて、ビームステアリング装置は、電子光学式ビームステア装置を有する。
本発明の第9の態様は、
第8の態様のシステムにおいて、電子光学式ビームステア装置は、第一の平面内にてある角度で光エネルギを第一の複数の格子まで方向変更すると共に、第一の複数の格子から第二の平面内にてある角度にて方向変更する電気ステア可能なフェーズ変位要素のアレイを有する。
本発明の第10の態様は、
第9の態様のシステムにおいて、ビームステアリングシステムの各部分は、該部分に入射する光エネルギを偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素のアレイを有しており、電子光ビームステア装置の第一の部分に対する偏向角度は、第一の偏向平面内に位置し、その第二の部分に対する偏向角度は、第二の平面内に位置し、前記第二の平面は、第一の平面に対して角度を付けて位置している。
本発明の第11の態様は、
第10の態様のシステムにおいて、第一及び第二の格子の格子材料は、光熱屈折性ガラスである。
本発明の第12の態様は、
ビームステアリングシステムにおいて、
第一の電子光ビームステア装置であって、入射ビームを第一の平面内にて第一の複数の角度の選んだ1つに向ける電気制御式のフェーズ変位要素の第一のアレイを有し、該第一の角度の各々1つは、第一の電子光ビームステア装置のフェーズ変位要素に供給される第一の電気的命令に従って選ばれる前記第一の電子光ビームステア装置と、
第一の電子光ビームステア装置により向けられたビームを捕捉する第一の格子セットであって、第一の平面内にて第一の複数の方向の1つに向けられた該ビームをステアさせ、該方向の各々1つが第一の平面に対し実質的に限定されるようにする前記第一の格子セットと、
第一の電子光ビームステア装置及び第一の格子セットにより向けられたビームを捕捉する第二の格子セットであって、向けられた該ビームを第二の複数の方向の1つに向けて偏向させ、第二の複数の偏向の各々1つは、第二の平面に実質的に限定され、該第二の平面は第一の平面と相違する、前記第二の格子セットとを備える。
本発明の第13の態様は、
第12の態様のシステムにおいて、第一の平面と相違する第二の平面内にて第二の複数の角度の選んだ1つだけ、前記第二の格子セットによってステアされたビームを偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素の第二のアレイを備え、該第二の角度の各々1つは、第二の電子光ビームステア装置のフェーズ変位要素に供給された第二の電気的命令に従って選ばれる。
本発明の第14の態様は、
第12の態様のシステムにおいて、第二の平面は第一の平面に対して垂直である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームステアリングシステム(10’)において、
第一の複数の体積回折格子(18)であって、該格子(18)の各々1つは、第一の複数の格子ベクトルの相応する1つを有し、該第一の複数の格子ベクトルは、第一の平面内に実質的に配設され、格子(18)の各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の任意の1つから複数の出口方向の相応する1つまで回折させ得るよう配置される前記第一の複数の体積回折格子(18)と、
前記第一の複数の体積回折格子(18)から光エネルギを受け取るように配置された第二の複数の体積回折格子(24)であって、該第二の複数の体積回折格子(24)の各々1つは、第二の複数の格子ベクトルの相応する1つを有し、該第二の複数の格子ベクトルは、第一の平面と異なる第二の平面内に実質的に配設され、第二の複数の格子ベクトルの各々1つは、該格子に入射する光エネルギを複数の共鳴入力方向の任意の1つから複数の出力方向の相応する1つまで回折し得るよう配置される前記第二の複数の体積回折格子(24)と、
光エネルギビームは、最初に、第一の複数の格子の選んだ1つに対して複数の共鳴入力方向の選んだ1つに実質的に等しい方向に向けて第一の複数の格子(18)に向けられ、次に、第二の複数の格子の選んだ1つに対して複数の共鳴入力方向の選んだ1つに実質的に等しい方向に向けて第二の複数の格子(24)に向けられるようにビームステアリングシステム(10’)に入射する光エネルギビームを偏向させるビームステアリング装置(12,22)であって、第一の複数の体積回折格子(18)の正面に配設されている前記ビームステアリング装置(12,22)と、を備える、ビームステアリングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、第一の複数の格子(18)の選んだ1つに対する複数の共鳴入力方向の選んだ1つが、第二の複数の格子(24)の選んだ1つに対する複数の共鳴入力方向に実質的に等しい方向となるように、第一の複数の格子(18)からの出力方向を提供する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、ビームステアリング装置(12,22)は、電子光学式ビームステア装置を有する、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、電子光ビームステア装置(12,22)は、第一の平面内にてある角度で光エネルギを第一の複数の格子まで方向変更すると共に、第一の複数の格子から第二の平面内にて角度を偏向させる成分を有する方向で方向変更する電気式にステア可能なフェーズ変位要素のアレイを有する、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記ビームステア装置(12,22)は2つの部分を備え、各部分は、該部分に入射する光エネルギを偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素のアレイを有しており、電子光ビームステア装置の第一の部分に対する偏向角度は、第一の偏向平面内に位置し、第二の部分に対する偏向角度は、第二の平面内に位置し、前記第二の平面は、第一の平面に対して角度を付けて位置している、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、第一及び第二の格子の格子材料は、光熱屈折性ガラスである、システム。
【請求項7】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記第一の角度の各々1つを選択するために、第一の電気的命令が前記第一の電子光ビームステア装置のフェーズ変位要素に供給される、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、第二の電子光ビームステア装置(30,32)を更に備え、当該第二の電子光ビームステア装置は、第一の平面と相違する第二の平面内にて第二の複数の角度の選んだ1つだけ、前記第二の格子セットによってステアされたビームを偏向させる電気制御式のフェーズ変位要素の第二のアレイを備え、該第二の角度の各々1つは、第二の電子光ビームステア装置のフェーズ変位要素に供給された第二の電気的命令に従って選ばれる、システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図4A】
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【公開番号】特開2011−257764(P2011−257764A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156078(P2011−156078)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【分割の表示】特願2007−525635(P2007−525635)の分割
【原出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】