説明

庇屋根ユニットの取付構造

【課題】 現場にて庇屋根を取り付ける作業を少ない工程で容易に行えると共に、庇屋根の下面となる軒天井部と庇屋根の周囲に設ける庇化粧部との一体感が出て見栄えの良い庇屋根ユニットの取付構造を提供する。
【解決手段】 建物1の構造材11から前方に向けて複数の突出梁2を略水平方向に間隔をあけて突設し、庇屋根ユニット3の前面部32及び両側面部33となる略コ字状をした庇化粧部31と、該庇化粧部31の両側面部33間に架設される複数の庇梁34とで庇屋根ユニット3を構成し、前記庇屋根ユニット3の複数の庇梁34を建物1から突出する複数の突出梁2上に上方から載置して庇化粧部31の下端が突出梁2の下端よりも下方に位置して軒天井部5の配設スペースが形成されるように取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庇屋根ユニットの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物から外方に向けてブラケット及び垂木を突出させると共にブラケット及び垂木に庇屋根を取り付けている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に示す従来例にあっては、建物の構造材である水平架構体から突出するブラケット及び垂木にて庇屋根を支持するものである。庇屋根は、その上面となる屋根材の野地板をブラケット及び垂木上に載置固定し、庇屋根の下面となる天井板をブラケット及び垂木の下側の野縁受けの下面に固定される野縁の下面に固定し、庇屋根の前端面となる鼻板をブラケット及び垂木の前端面に固定した鼻板下地材に固定し、庇屋根の側面となるケラバ板を垂木の側面等に固定することで構成してある。
【0004】
このような従来の庇屋根は、野地板、天井板、鼻板、ケラバ板を全て現場施工にて取り付けて構成していたため、現場での作業が多工程となるものであった。そこで、これらを全てまとめてユニット化しておくことが考えられるが、この場合、ユニット化した庇屋根の後端部の開口を前方から後方へ向けて建物から突出するブラケットや垂木に被挿していく必要があり、作業が困難であった。また、上記特許文献1に示す従来例においては鼻板、ケラバ板を庇屋根の周囲の化粧部材としているが、庇屋根の下面となる天井板が鼻板、ケラバ板の下端部よりも下方に位置して鼻板、ケラバ板からなる周囲の化粧部材内に収まりきれず、天井板と庇屋根の周囲の化粧部材との一体感が出ずに見栄えが良くないものであった。
【特許文献1】特開平11−229546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現場にて庇屋根を取り付ける作業を少ない工程で容易に行えると共に、庇屋根の下面となる軒天井部と庇屋根の周囲に設ける庇化粧部との一体感が出て見栄えの良い庇屋根ユニットの取付構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明にあっては、建物1の構造材11から前方に向けて複数の突出梁2を略水平方向に間隔をあけて突設し、庇屋根ユニット3の前面部32及び両側面部33となる略コ字状をした庇化粧部31と、該庇化粧部31の両側面部33間に架設される複数の庇梁34とで庇屋根ユニット3を構成し、前記庇屋根ユニット3の複数の庇梁34を建物1から突出する複数の突出梁2上に上方から載置固定して庇化粧部31の下端イが突出梁2の下端ロよりも下方に位置して庇化粧部31の上下幅内に軒天井部5の配設スペースSを形成することを特徴とするものである。
【0007】
このような構成とすることで、庇屋根ユニット3を突出梁2に上方から載置して取り付けることができて、現場での作業を少ない工程で容易に行えると共に、突出梁2上に取り付けた庇屋根ユニット3の突出梁2の下端から庇化粧部31の下端までの間に軒天井部5の配設スペースSが形成されるため、この配設スペースSに軒天井部5を配設することで軒天井部5が庇屋根ユニット3の庇化粧部31の上下幅内に収まって軒天井部と庇屋根ユニット3との一体感が出て見栄えが良くなるものである。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、庇梁34上に屋根部4を取り付けて屋根部4付きの庇屋根ユニット3を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成とすることで、現場で屋根部4を取り付ける作業が不要となって現場での作業がより少ない工程ですむようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、予め庇屋根ユニットを構成しておくことで現場での作業を少ない工程で行うことができると共に、この庇屋根ユニットを突出梁に上方から載置固定することが可能となって作業を容易に行うことができる。更に、突出梁上に取り付けた庇屋根ユニットの突出梁の下端から庇化粧部の下端までの間に軒天井部の配設スペースが形成されるため、この配設スペースに軒天井部を配設することで庇化粧部と軒天井部との一体感が出て見栄えが良くなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
本発明の庇屋根ユニットの取付構造は、建物1から突出する複数の突出梁2に上方から庇屋根ユニット3を載置固定するものである。
【0013】
建物1からは、梁や胴差し等の構造材11から前方(建物の外方)に向けて複数の突出梁2が略水平方向に間隔をあけて突設される(図2参照)。本実施形態では、構造材11として前方に開口する略コ字状をした胴差し11aを設けてあり、この胴差し11aに突出梁2を固定してある。胴差し11aには、長手方向(即ち略水平方向)に等間隔でスチフナー12(図2参照)が一つずつ又は二つ一組で形成してあり、このスチフナー12の側面に突出梁2を固定する。突出梁2は、本実施形態では断面逆L字状の固定縦片21及び突出横片22からなる側面視略L字状をしたものである。この固定縦片21は胴差し11a内に収まり、固定縦片21の上端部付近に設けた上固着孔21aと下端部付近に設けた下固着孔21bとをボルト等の固着具によってスチフナー12に締結して固定する。これにより、建物1から前方に向けて突出梁2が略水平方向に等間隔で突出することになる。またこの時、固定縦片21の上固着孔21aと下固着孔21bとをボルト等の固着具によってスチフナー12に固定することで突出梁2に掛かる荷重によるモーメントを受けることができる。
【0014】
庇屋根ユニット3は、庇化粧部31と庇梁34とで構成される。庇化粧部31は、板状の前面部32及び両側面部33からなる平面視略コ字状をしたものである(図2参照)。そして、庇化粧部31の両側面部33間に複数の庇梁34を架設してある。本実施形態では、庇梁34は断面略コ字状をしたチャンネル材からなり、庇化粧部31の両側面部33の前半部に前側の庇梁34aを断面略コ字状をした開口が後方を向くように設けると共に、庇化粧部31の両側面部33の後半部に後側の庇梁34bを断面略コ字状をした開口が前方を向くように設け、計二本の庇梁34を設けてある。これによって庇屋根ユニット3が構成されるが、庇屋根ユニット3は予め工場等で組み立ててユニット化した状態で現場へ持ち込まれる。
【0015】
次に、この庇屋根ユニット3の突出梁2への取り付けについて説明する。
【0016】
突出梁2は上述したように建物1の構造材11から前方に突出させ、ユニット化した庇屋根ユニット3を現場に持ち込む。次に、図2に示すように庇屋根ユニット3を突出梁2上に上方から載置固定するのであるが、これには複数(本実施形態では二本)の庇梁34を複数(本実施形態では三本)の突出梁2上に交差するように載置する。ここで、庇屋根ユニット3の左右方向の長さ即ち両側面部33間の距離を、載置する突出梁2のうちの両端に位置する突出梁2の間の距離よりも長く形成することで、庇屋根ユニット3の載置する左右の位置が(両側面部33間の距離−両端に位置する突出梁2の間の距離)の範囲で調整自在となる。
【0017】
そして、断面略コ字状の庇梁34の下片35を断面略逆L字状の突出梁2の突出横片22の上片23にボルト・ナットからなる固着具36にて固着する。この時、庇化粧部31はその下端イが突出梁2の下端ロよりも下方に位置し、庇化粧部31の上下幅内に突出梁2が上下にスペースを介して収まるようになっている。前記スペースのうち上側の庇化粧部31の上端ハと庇梁34の上端ニとの間のスペースは屋根部4を配設するスペースとなり、下側のスペースは軒天井部5を配設するスペースSとなる。
【0018】
屋根部4は、庇梁34の上片37上に合板(例えば12mm厚)等からなる屋根下地材41を載置すると共に、屋根下地材41の上に鋼鈑(例えば0.6mm厚)等からなる屋根材42を載置して形成される。屋根下地材41は、前端部が庇化粧部31の前面部32の裏面に当接し、前後の中間部分が前側の庇梁34a及び後側の庇梁34b上に載置されると共に後端部が後側の庇梁34bの後方にやや突出するように配置される。そして、屋根下地材41の庇梁34上に載置された部分を釘等の固着具38にて庇梁34の上片37に固着する。屋根材42は前端部42aを庇化粧部31の前面部32の上端部に水密材43を介してタッピングねじ等からなる固着具44にて固着し、前後の中間部分を屋根下地材41上に載置すると共に後端部45を建物1の外壁面板13に水密材46を介して固着して屋根部4の庇屋根ユニット3及び外壁面板13への取り付けが行われる。更に本実施形態では、屋根材42の屋根下地材41よりも後側の部分を折曲して凹段部47を形成すると共にこの凹段部47に排水口48及び排水管49を設けてあり、屋根材42上に降った雨水が凹段部47に流れ込んで排水口48及び排水管49より排水されるようにしてある。なお、このような屋根部4は予め庇屋根ユニット3へ取り付けて屋根部付き庇屋根ユニット3としておいてもよく、これによって現場で現場で屋根部4を取り付ける作業が不要となって現場での作業がより少ない工程ですむようになる。
【0019】
軒天井部5は、突出梁2の下端ロから庇化粧部31の下端部イまでのスペースSに配設されるもので、突出梁2の下側に配設される野縁51と、野縁51の下側に配設される軒天井52とで形成される。野縁51は、その前端部が庇化粧部31の前面部32の下端イから軒天井52の厚み分程度上方に位置する載置部39に載置されて釘等の固着具53にて固定され、前後の中間部分は後側の庇梁34bの下片35に固定した吊り下げ部材6によって吊り下げ支持され、後端部が建物1の外壁面板13に固定した下部支持部材14の支持片15に支持されて釘等の固着具54にて固着される。そして、野縁51の下面側に軒天井52を固定して軒天井部5が形成される。
【0020】
以上のような構成によれば、予め庇屋根ユニット3を構成しておくことで現場での作業を少ない工程で行うことできると共に、この庇屋根ユニット3を突出梁2に上方から載置固定することが可能となって作業を容易に行うことができる。更に、突出梁2上に取り付けた庇屋根ユニット3の突出梁2の下端から庇化粧部31の下端までの間に軒天井部5の配設スペースSが形成されるため、この配設スペースSに軒天井部5を配設することで庇化粧部31と軒天井部5との一体感が出て見栄えが良くなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態の断面図である。
【図2】同上において庇屋根ユニットの突出梁への取り付けを説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 建物
11 構造材
2 突出梁
3 庇屋根ユニット
31 庇化粧部
32 前面部
33 側面部
34 庇梁
4 屋根部
5 軒天井部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の構造材から前方に向けて複数の突出梁を略水平方向に間隔をあけて突設し、庇屋根ユニットの前面部及び両側面部となる略コ字状をした庇化粧部と、該庇化粧部の両側面部間に架設される複数の庇梁とで庇屋根ユニットを構成し、前記庇屋根ユニットの複数の庇梁を建物から突出する複数の突出梁上に上方から載置固定して庇化粧部の下端が突出梁の下端よりも下方に位置して庇化粧部の上下幅内に軒天井部の配設スペースを形成することを特徴とする庇屋根ユニットの取付構造。
【請求項2】
庇梁上に屋根部を取り付けて屋根部付きの庇屋根ユニットを形成して成ることを特徴とする請求項1記載の庇屋根ユニットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−191966(P2007−191966A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12785(P2006−12785)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】