説明

床タイル

【課題】従来の床タイルの張り並べ方法においては、床タイルとそれに隣接する床タイルの間に、隙間を持たせながら張り並べ、その隙間に目地材を必要とする。その目地が、ひび割れやはがれを起こしている。又、その目地部分のみを施工実施する工程が、かならず必要である。その上、補修の際は施工しづらく、タイルをはがしたのち、再度張り直しした場合、その場所が目立つ場合がある。
【解決手段】床タイルの側面の形状を斜めに形成することで、床タイルとそれに隣接する床タイルを数mm重ねて張り並べる。重なりを持たせることで従来の目地部分の隙間を排除でき、目地部分のひび割れやはがれは当然なくなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、建築に用いる床仕上げ材である床タイルの形状に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建築に用いる床仕上げ材である床タイルの形状は、数種類のサイズ及び数種類の平面上の形状はあるが、側面が平面に対し、垂直に形成されているものである。図12に示すように、現在の施工方法の主流は(図12では正方形の床タイルを施工表現した場合の図の1部分の1例)、施工の際、10床タイルと10床タイルの間に数mmの隙間を設けながら、下地の上にセメント等を利用する接着材料で張り並べた上で、その隙間である目地部分に、主成分をセメント等を利用した11目地材で目地処理を実施する。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、以上の技術によれば、目地部分のみを施工実施する工程が工事の流れ上かならずある。又、目地部分の材料が、タイルそのものの膨張や構造物の振動、目地施工状況の不備等より、ひび割れや、はがれるといった現象を起こしている場合がある。
【0004】
又、以上の技術によれば、床タイルの張り付け状態に不具合が発生した際に、その不具合の部分の床タイルをはがし、再度補修した場合、その周辺部分の新たにした目地が、目立つという場合が多い。そこで、この発明は、目地部分を目立たなくし、補修の処理状態も美しく仕上げた上で容易に施工出来る床タイルの形状を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明は、図2、図3、図4、図5、図6、図7、で示す形状のように床タイルの側面を数ヶ所斜めに形成し、数mmの重ね部分を持たせながら床タイルを張り並べることを特徴とする床タイルである。
【0006】
従って、この床タイルの形状にあっては、従来のような、主成分をセメント等を利用した目地を処理する隙間がほとんど無く、床タイルを張り並べることができる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の実施の形態に係る床タイルを図面に従って説明する。図2と図3は本発明を適用した床タイル2の形状、図4と図5は本発明を適用した床タイル3の形状、図6と図7は本発明を適用した床タイル4の形状を示すものである。この床タイルは、図3、図5、図7の展開図が示すように、数ヶ所に斜めの形状の側面を持ち、形成されて成る。(斜めの形状を示す側面部分は、図3の床タイル2の場合2−c−ア、2−d−ア、2−d−イ、2−e−ア、2−f−ア、2−f−イの6ヶ所であり、図5の床タイル3の場合3−c−イ、3−c−ウ、3−c−エ、3−d−ア、3−d−イ、3−d−ウ、3−d−エ、3−e−ア、3−f−ア、3−f−イの10ヶ所であり、図7の床タイル4の場合4−c−イ、4−c−ウ、4−d−ア、4−d−イ、4−d−ウ、4−d−エ、4−d−オ、4−e−イ、4−e−ウ、4−f−ア、4−f−イ、4−f−ウの12ヶ所である。)
【0008】
本発明の床タイルの形状を示す2−a、3−a、3−c、4−a、4−c、4−e、の平面上の寸法(サイズ)及び平面上の形状は、四角形もしく長方形であれば、製造段階での形成上支障の無いかぎり、多種多様にわたる。その上で従来の磁器質、せっ器質、もしくは樹脂にて形成されて成る。
【0009】
本発明の床タイルの形状を利用しての下地への張り並べる方法は、図8で示すように(2の床タイルのみを並べた場合の一例)床タイル2の2−f側面の2−f−イを横に並ぶ床タイル2の2−e側面の2−e−アの上に重なるように、又、床タイル2の2−d側面の2−d−イを横に並ぶ床タイル2の2−c側面の2−c−アの上に重なるように張り並べて施工を行う。つまり、床タイル2の場合は2方向の側面が隣接するタイル面の上にかぶせるように(5で示す矢印がそれを示す。)なり、その反対側の2方向の側面が隣接するタイル面とそれを張り付けている下地の間に挟まれたように取付ける。
【00010】
又、
【0009】
で述べた、床タイル2を張り並べた隣接に床タイル3を張り並べる場合(図1で示す張り並べの場合)は、床タイル2の2−c側面の2−c−アの面に、床タイル3の3−d側面の3−d−イの面を上から重なるようにならべ、床タイル3の3−e側面の3−e−アの面に、横に並ぶ床タイル3の3−f側面の3−f−イの面を上から重なるように並べる。
【00011】
図1は、床タイル2、床タイル3、床タイル4を利用し、コーナー部分を踏まえた下地形状に張り並べる方法の各タイルの向きを示す図である。注意点として床タイル3には図4に示した斜視図の形状を3(R)とし、その形状の3−e側面と3−f側面が反転した形状のものを3(L)とした2種類の形状を必要とする。その床タイル3の(R)と(L)を張り並べた上で4を張り並べる。
【00012】
正、図9が示す、床タイル2を並べた断面図のように6の下地材の上に7の接着する材料で床タイル2を固定(接着)するが、下地材やタイルそのものの収縮を考慮し、床タイルとその隣接する床タイルの間に、目立たないほどの隙間を取り、弾力性のある透明の目地材で、その隙間を埋める。
【00013】
本発明の床タイルを張り並べてしまうと、図1で示す上から見た平面図のように、各床タイルの接続部分にV(ブイ)型の小さな溝ができ、美しく仕上ることができる。(詳細を図面で説明すると、図3の床タイル2の場合は、2−d−アと2−f−アと2−c−アの重なり部分以外と2−e−アの重なり部分以外の4ヶ所が上から見えるV型の小さな溝の一部になり、図5の床タイル3の場合は、3−c−イと3−c−ウと3−d−アと3−f−アと3−e−アの重なり部分以外と3−c−エの重なり部分以外の6ヶ所が上から見えるV型の小さな溝の一部になり、図7の床タイル4の場合は、4−c−イと4−c−ウと4−d−アと4−e−イと4−e−ウと4−f−アの6ヶ所が上から見えるV型の小さな溝の一部になる。)
【00014】
図10は、図9が示す説明と同じ理屈のものであるが、床タイル2や3を併用して利用した場合の取付け方法を示した断面図である。上記で述べた収縮に関してだが、本発明の床タイルの形状であれば、2方向は隣接する床タイルの上に重ねるものであるため、とくに下地やそれそのものに、膨張や伸びが生じた場合、図9の8の矢印方向に膨張や伸びの分、逃げることが可能になる。そのため、従来のようにこのような状況の逃げがない取り付け方法で起きる、タイルが割れて破損したり、目地部分のひび割れや、目地部分がはがれるといった現象が起きなくなる。
【00015】
正、図11が示すように、何らかの支障により、床タイルを部分的にはがし、補修のため、張り直す場合であっても、9の黒●(図11で示す9は平面上で見た位置、図9で示す9は同位置を断面上で見た位置を示す。)の位置を持ち上げ、図9の8の矢印方向し抜き取り、以上の逆の方法でもとに戻すことが容易にできる。
【00016】
本発明のタイルの形状を利用すれば、室内の比較的下地を強固にしづらい、床タイルの仕上げ張り付けの場合であっても、
【00012】
で述べたタイルとタイルの接続方法により利用し易くなる。
【00017】
又、図3や図5や図7で示す床タイルの形状を何枚も並べて接続したようにしたデザインの大きな寸法(サイズ)の床タイルを形成すれば(1枚もの、もしくはユニット化したもの、もしくはネット化したもの。)、接続箇所数を削除でき、施工工期短縮が可能となる。
【発明の効果】
【00018】
本発明の形状によれば、この床タイルを張り並べて仕上げた状況で、目地部分の隙間はほとんど無く、又、目地も無く、従来の目地部分に利用した材料がひび割れたり、はがれるといった現象が起こらなくなり、美しい仕上がりを保つことができる。
【00019】
本発明の形状によれば、床タイルの張り付け状態の不具合による補修や、部分的に起きた、床タイルの破損による補修の際、床タイルのはがしや張り付けの補修の施工実施が容易に行え、又、美しく仕上げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【00020】
【図1】本発明の実施の形態に係る床タイルの形状を使用して張り並べた場合の、上部から見た平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る床タイルの形状を示す斜視図である。
【図3】図2で示す床タイルの形状の細部を示す展開図である。
【図4】図2に示す床タイルの形状変形したものを示す斜視図である。
【図5】図4で示す床タイルの形状の細部を示す展開図である。
【図6】図2に示す床タイルの形状変形したものを示す斜視図である。
【図7】図6に示す床タイルの形状の細部を示す展開図である。
【図8】図2で示す床タイルを張り並べる位置を示した、説明用の図である。
【図9】本発明の実施形態に係る床タイルの図2で示す形状のみを張り並べた断面を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る床タイルの図2と図4で示す形状を張り並べた断面を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る床タイルを取りはがす場合を示した、説明用の図である。
【図12】従来の床タイルを張り並べた一例を示す、上部から見た平面図である。
【符号の説明】
2 床タイル本体 2−a 床タイルの正面 2−b 床タイルの裏面
2−c 床タイルの側面 2−d 床タイルの側面 2−e 床タイルの側面
2−f 床タイルの側面 3 床タイル本体 3−a 床タイルの正面
3−b 床タイルの裏面 3−c 床タイルの側面 3−d 床タイルの側面
3−e 床タイルの側面 3−f 床タイルの側面 4 床タイル本体
4−a 床タイルの正面 4−b 床タイルの裏面 4−c 床タイルの側面
4−d 床タイルの側面 4−e 床タイルの側面 4−f 床タイルの側面
6 下地 7 床タイルを張り付け接着する材料
8 床タイルをはがす場合のはがし方向
9 床タイルをはがす場合にポイントになる位置
10 従来の床タイル 11 目地を必要とする位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床タイルと床タイルとの間に、数mmの隙間を設け、主成分にセメント等を利用した、目地材での目地処理を行う施工方法を必要としないことを特徴とする床タイル。
【請求項2】
請求項1に記載した床タイルにおいて、床タイルの側面の形状を数ヶ所、斜めにすることを、特徴とする床タイル。
【請求項3】
請求項1に記載した床タイルにおいて、床タイルの側面の斜めの形状を利用し、施工方法は、数mm部分の重なりを持たせながら床タイルを張り並べて、目地部分を目立たせないようにすることを、特徴とする床タイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−22632(P2006−22632A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231691(P2004−231691)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(504290413)
【Fターム(参考)】