説明

床下地材の設置方法

【課題】短時間でかつ簡潔な設置ができる床下地材の設置方法を提供する。
【解決手段】床下地材の設置方法は、発泡樹脂製の床下地材本体の下面に配管設置用間隙部8を形成するように不陸調整用突起7を多数突設して床下地材1を形成し、該床下地材1をスラブの上面11に設置する際に、床下地材の上面11と際根太12の上面とが平行になるように不陸調整用突起の下部を切断してレベル調整した後、床下地材1をスラブの上面11に設置して、該スラブの上面11の配管9を配管設置用間隙部8に納める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、共同住宅などにおいて、二重床を形成する際にスラブの上面に設置する床下地材の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、共同住宅などにおいて、二重床を形成する際の床下地材の設置方法としては、特開2005−320766号公報の発明が知られている。この床下地材の設置方法は、スラブの上面にモルタルの増打層を形成し、この増打層の上に不陸調整材であるモルタル団子を適宜間隔ごとに設置し、この不陸調整材の上に発泡樹脂製の床下地材を設置し、該床下地材を下側に押し付けてモルタル団子を潰すことによって水平レベルを調整していた。また、図9に示すように、スラブの上面19に配管20が配置してある場合は、この配管20の配置に合わせて床下地材21の下面に配管用凹部22を切り欠き形成していた。
【特許文献1】特開2005−320766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の床下地材の設置方法においては、スラブの上面に配管が配置してある場合は、この配管の配置に合わせて床下地材の下面に配管用凹部を切り欠き形成していたため、煩雑な作業を強いられていた。また不陸調整材としてモルタル団子を使用しているため、それが硬化するまでの間に他の作業ができないという問題があった。
【0004】
本願発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、短時間でかつ簡潔な設置ができる床下地材の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するための床下地材の設置方法は、発泡樹脂製の床下地材本体の下面に配管設置用間隙部を形成するように不陸調整用突起を多数突設して床下地材を形成し、該床下地材をスラブの上面に設置する際に、床下地材の上面と際根太上面とが平行になるように不陸調整用突起の下部を切断してレベル調整した後、床下地材をスラブの上面に設置して、このスラブの上面の配管を配管設置用間隙部に納めることを特徴とする。また配管設置用間隙部はスラブの上面に設置された配管の配置に合わせて不陸調整用突起を撤去または部分的に切断して形成することを含む。また床下地材は不陸調整用突起の上方にエラスチックな発泡樹脂である軽量床衝撃音吸収層を設けたことを含む。また不陸調整用突起はエラスチックな発泡樹脂で形成されたことを含む。また不陸調整用突起は平面円形または平面角形であることを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
配管設置用間隙部を備えた不陸調整用突起を床下地材本体の下面に突設したことにより、該不陸調整用突起の下部を切断して不陸調整をすることができるので、床下地材を短時間かつ簡潔に設置し、しかも配管を配管設置用間隙部に納めることができる。またモルタル団子を使用せずにレベル調整ができるので、モルタルの硬化を待つことなく設置作業をすることができる。またスラブの上面に設置された配管の配置に合わせて不陸調整用突起を撤去して配管設置用間隙部を形成することができるので、該配管設置用間隙部に配管を簡単に収めることができる。また床下地材は不陸調整用突起の上方にエラスチックな発泡樹脂である軽量床衝撃音吸収層を設けたことにより、軽量床衝撃音性能が高められる。また不陸調整用突起はエラスチックな発泡樹脂で形成されたことにより、不陸調整が簡単にできるとともに、軽量床衝撃音性能も高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願発明の床下地材の設置方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。はじめに床下地材について説明し、次に、この床下地材を使用した設置方法の実施の形態について説明するが、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なった構成にのみ異なった符号を付して説明する。
【0008】
図1〜図5は第1の実施の形態の床下地材1を使用した設置方法である。この床下地材1は共同住宅において二重床を形成するものであり、図1および図2に示すように、ポリエチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂などの熱可塑性発泡樹脂によって平面長方形に形成された上部成形体2と下部成形体3とが一体接合されてなる床下地材本体の下面に不陸調整用突起7が突設されて構成されている。
【0009】
この上部成形体2の短辺と長辺とからなる二辺には、他の床下地材の重ね部を設置する受け部4が形成されるとともに、一方の二辺には、他の床下地材の受け部に設置する重ね部5が形成されている。また上部成形体2の上面には硬質合成樹脂製の桟木6が短辺方向に沿って二本(必要に応じて任意の数)埋設されている。
【0010】
一方、下部成形体3の下面は適宜間隔をもって平面角形(または平面円形)の不陸調整用突起7が多数突設されている。この不陸調整用突起7は縦列が五個、横列が八個突設されて合計四十個が突設されている。したがって、縦列と縦列との間、すなわち縦列側の間には七つの配管設置用間隙部8が、横列側の間には四つの配管設置用間隙部8がそれぞれ形成され、合計十一個が形成されている。
【0011】
この配管設置用間隙部8はスラブの上面に配置された配管9を収納するものであり、図1に示すように、縦方向(または横方向)に配置された配管を収めることができるため、配管の配置に合わせて下部成形体3の下面を切り欠く必要がない。
【0012】
また配管9が斜めに配置された場合は、図2に示すように、必要な不陸調整用突起7を根本から切断して撤去することにより、斜め方向の配管設置用間隙部10が形成できるので、配管9がどのような配置であっても対応できる。
【0013】
なお、上記において不陸調整用突起7は平面角形で説明したが、これは角形に限らず平面円形であっても良く、さらに縦列が五個、横列が八個に限定されず、これ以上またはこれ以下であっても良い。
【0014】
次に、この床下地材の設置方法について説明する。この床下地材1が設置されるスラブの上面11には、図4に示すように、各種の配管9が配置されているため、この配管9が配管設置用間隙部8に収まるようにする。
【0015】
まず、床下地材1をスラブの上面11に設置して、その不陸状態を調べる。これは際根太12の上面を基準レベルとして、これに床下地材1の上面を合わせて、スラブの上面11の不陸状態を把握する。次に、図3に示すように、この床下地材1の上面と際根太12の上面とが水平になるように、不陸調整用突起の下部13を切断する。
【0016】
そして、この不陸調整用突起の下部13を切断した床下地材1をスラブの上面11に接着剤などで設置して、配管9を縦列の配管設置用間隙部8に収める。また、配管9が横方向に配置されている場合は、横列の配管設置用間隙部8に収められるが、図2に示すように、曲がった配置の場合は、必要な不陸調整用突起7を根本から切断して撤去することにより、斜めの配管設置用間隙部10を形成する。
【0017】
このような方法によって床下地材1をスラブの全面に敷き詰めると、レベル調整された床下地材1が設置される。そして、この床下地材1の上面に仕上材14を敷き詰めると、図4および図5に示すような二重床15が完成する。
【0018】
また図6および図7は第2の実施の形態の床下地材16を使用した設置方法である。この床下地材16は軽量床衝撃音吸収層17を設けたものであり、それ以外は第1の実施の形態の床下地材1と同じ構成である。この軽量床衝撃音吸収層17は、床下地材16における不陸調整用突起7の上方に、圧縮バネ定数が30×10N/m以下のエラスチックな発泡樹脂で形成されて、下部形成体3にサンドイッチ状に挟まれている。したがって、下部形成体3には軽量床衝撃音吸収層17を介して不陸調整用突起7が形成されている。
【0019】
この第2の実施の形態の設置方法は、この床下地材16を使用した以外は第1の実施の形態の床下地材の設置方法と同じである。この床下地材16を使用すると、軽量床衝撃音吸収性能を高めることができる。
【0020】
また図8は第3の実施の形態の床下地材18を使用した設置方法である。この床下地材18は不陸調整用突起7が、圧縮バネ定数が30×10N/m以下のエラスチックな発泡樹脂で形成されたものであり、それ以外は第1の実施の形態の床下地材1と同じ構成である。この床下地材18は、上記のようにエラスチックな発泡樹脂で軽量床衝撃音吸収層17を設けるのではなく、不陸調整用突起7そのものを軽量床衝撃音吸収層としたことである。
【0021】
この第3の実施の形態の設置方法は、この床下地材18を使用した以外は第1の実施の形態の床下地材の設置方法と同じである。この床下地材18を使用すると、不陸調整が容易にできるとともに軽量床衝撃音吸収性能を高めることもできる。
【0022】
なお、上記の第1〜第3の設置方法は、平面角形の不陸調整用突起7を備えた床下地材1を使用して説明したが、平面円形の不陸調整用突起を備えた床下地材であっても同じ方法で設置するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(1)は床下地材の底面図、(2)は同正面図である。
【図2】床下地材の底面図である。
【図3】第1の実施の形態の設置方法であり、(1)は床下地材の断面図、(2)は不陸調整用突起の下部を切断した床下地材の断面図である。
【図4】第1の実施の形態の設置方法であり、(1)は床下地材をスラブの上面に設置する断面図、(2)は床下地材をスラブの上面に設置して形成した二重床の断面図である。
【図5】床下地材をスラブの上面に設置した平面図である。
【図6】第2の実施の形態の設置方法であり、(1)は床下地材の断面図、(2)は不陸調整用突起の下部を切断した床下地材の断面図である。
【図7】第2の実施の形態の設置方法であり、(1)は床下地材をスラブの上面に設置する断面図、(2)は床下地材をスラブの上面に設置して形成した二重床の断面図である。
【図8】第3の実施の形態の設置方法であり、(1)は床下地材をスラブの上面に設置する断面図、(2)は床下地材をスラブの上面に設置して形成した二重床の断面図である。
【図9】従来の二重床の断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1、16、18、21 床下地材
2 上部成形体
3 下部成形体
4 受け部
5 重ね部
6 桟木
7 不陸調整用突起
8、10 配管設置用間隙部
9、20配管
11、19 スラブの上面
12 際根太
13 不陸調整用突起の下部
14 仕上材
15 二重床
17 軽量床衝撃音吸収層
22 配管用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂製の床下地材本体の下面に配管設置用間隙部を形成するように不陸調整用突起を多数突設して床下地材を形成し、該床下地材をスラブの上面に設置する際に、床下地材の上面と際根太上面とが平行になるように不陸調整用突起の下部を切断してレベル調整した後、床下地材をスラブの上面に設置して、このスラブの上面の配管を配管設置用間隙部に納めることを特徴とする床下地材の設置方法。
【請求項2】
配管設置用間隙部はスラブの上面に設置された配管の配置に合わせて不陸調整用突起を撤去または部分的に切断して形成することを特徴とする請求項1に記載の床下地材の設置方法。
【請求項3】
床下地材は不陸調整用突起の上方にエラスチックな発泡樹脂である軽量床衝撃音吸収層を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の床下地材の設置方法。
【請求項4】
不陸調整用突起はエラスチックな発泡樹脂で形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の床下地材の設置方法。
【請求項5】
不陸調整用突起は平面円形または平面角形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床下地材の設置方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−249862(P2009−249862A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96973(P2008−96973)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(303059990)油化三昌建材株式会社 (29)
【Fターム(参考)】