説明

床下地材

【課題】本発明は床材の張替えを容易にすることを課題とする。
【解決手段】可撓成樹脂シート8の両面または片面に繊維シート9A,9Bを貼着し、更に該可撓性樹脂シート8の両面または片面に貼着した上記繊維シート9A,9Bの一方または両方の表面に断続的な軽粘着層10を形成した床下地材7を床基材4に載置し、その上に床材5を敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば床基材と床材との間に介在せしめられる床下地材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の床構造を図5、図6に示す。図5に示す床構造Aにあっては、大引き1と、該大引き1上に直交配置されている根太2とからなる床骨格3上に、合板からなる床基板4を張設し、該床基板4上に床材5が敷設されている。図6に示す床構造Bにあっては、床躯体6としてコンクリートスラブを使用し、その上に床材5が敷設されている。
上記床構造A、Bにあっては、床材5を床基板4あるいはコンクリートスラブ床躯体6の表面に接着剤によって接着している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−169763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来の床構造にあっては、床材5を床基板4やコンクリートスラブ床躯体6に接着剤によって接着していたので、床材5を張替える時に該床材5を床基板4や床躯体6から剥がすのに非常に手間がかかり、またコンクリートスラブ床躯体6の場合には、該床材5を剥がす際にコンクリート表面が剥落して床材5の下面に固着し、床材5をリサイクルする場合に固着したコンクリート片を分離するために非常に手間を要する、と云う問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するための手段として、可撓性樹脂シート8の少なくとも一面に繊維シート9A(9B)を貼着し、更に該繊維シート9A(9B)に断続的な軽粘着層10を積層したことを特徴とする床下地材7を提供するものである。上記可撓性樹脂シート8は、非発泡半硬質樹脂シート8Aと軟質樹脂発泡体シート8Bとの積層シートであることが好ましく、また上記軽粘着層10は、微架橋された粘着剤の塗布層であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明の床下地材7は、軽粘着層10を形成した側を上にして床基板4あるいはコンクリートスラブ床躯体6の上に載設する。そして該床下地材7の上に床材5を敷設する。該床材5は該床下地材7と軽粘着層10によって固定される。
該床材5を取替える場合には、該床材5を該床下地材7から剥離するが、該床材5は該床下地材7の軽粘着層10によって固定されているので、該床材5を該床下地材7から剥がすことは簡単に出来る。
上記可撓性樹脂シート8は、非発泡半硬質樹脂シート8Aと軟質樹脂発泡体シート8Bとからなる積層シートで構成されている場合、該可撓性樹脂シート8の軟質樹脂発泡体シート8Bがクッションの役割をし、該非発泡半硬質樹脂シート8Aが床下地材7に剛性を付与する役割をするから、床の使用感が向上する。
上記軽粘着層10が、微架橋された粘着剤の塗布層である場合には、該軽粘着層10の凝集力が向上して該軽粘着層10が該床材5の裏面に転移しないようになる。
上記可撓性樹脂シート8の両面または片面に貼着される繊維シート9A(9B)は、上記可撓性樹脂シート8を補強すると共に、該可撓性樹脂シート8の両面又は片面に貼着した繊維シート9A(9B)の一方又は両方の表面に形成した軽粘着層10と強固に密接し、軽粘着層10が床材5の下面に転移しにくくする。特に上記可撓性樹脂シート8に強度の低い軟質樹脂発泡体シート8Bが積層されている場合には、上記繊維シート9A(9B)による補強は有効である。
なお、軽粘着層10は、可撓性樹脂シート8の両面に繊維シート9A、9Bが貼着された場合、該繊維シート9A、9Bのうち、少なくともいずれか一方に形成され得る。
〔効果〕
本発明の床下地材を使用することによって、床材の張替え作業が極めて簡単に出来るようになり、床材の下面に床基板やコンクリートスラブ床躯体の剥離片が固着しないので、床材のリサイクルも容易に出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施例を図1から図3に示す。
図1において、床下地材7は、可撓性樹脂シート8と該可撓性樹脂シート8の両面に貼着されている繊維シート9A,9Bと、上側の繊維シート9A表面に図2に示すような斑点状に形成されている軽粘着層10と、上記軽粘着層10表面を被覆する離型シート11とからなる。
【0008】
上記可撓性樹脂シート8はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の非発泡半硬質樹脂のシート8Aと、上記樹脂の軟質発泡体シート8Bとの積層シートからなる。上記可撓性樹脂シート8において、非発泡半硬質樹脂シート8Aの厚みは、0.5mm〜2mm、上記軟質樹脂発泡体シート8Bの厚みは1mm〜3mm程度とする。
繊維シート9A,9Bは木綿、麻、羊毛、絹、ケナフ、ヤシ繊維、竹繊維等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維等の有機合成繊維、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー等の無機繊維、あるいは上記繊維を使用した繊維製品のスクラップを解織して得られた再生繊維、あるいはこれらの繊維の二種以上の混合物、あるいはこれら繊維と200℃以下の融点を有するポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維等の低融点繊維との混合物等の繊維の不織布、編織物からなり、通常目付け10〜30g/m2程度のものが使用される。
【0009】
上記繊維シート9A,9Bは融着、あるいはホットメルト接着剤や通常の接着剤を使用して上記可撓性樹脂シート8に接着される。
【0010】
上側の繊維シート9A表面に斑点状に形成されている軽粘着層10は例えばアクリル樹脂粘着剤、シリコン樹脂粘着剤、ウレタン樹脂粘着剤、ゴム系粘着剤等の粘着剤であって軽粘着性のものを上記繊維シート9A表面に斑点状に塗布することによって形成される。
【0011】
上記粘着剤を軽粘着にするには、樹脂組成を調節したり、粘着剤にシリコン系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤等の離型剤を混合したり、粘着剤の樹脂を粘着性を喪失しない程度に微架橋する。樹脂を微架橋すると、粘着剤の凝集力が向上する。
【0012】
上記軽粘着層10は上記繊維シート9Aに若干含浸状態になる。
上記軽粘着層10の表面を被覆する離型シート11としては、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート等の離型性ポリオレフィンシートや離型紙が使用される。
【0013】
上記床下地材7は、図3に示すように床基材4あるいは床躯体6上に複数枚載置されて敷設され、離型シート11を剥離し、その上にカーペット、ポリ塩化ビニルタイル等の床材5を張設し、該床材5を軽粘着層10によって固定する。
【0014】
上記床材5を貼替える場合には、該床材5を該床下地材7から剥離するが、この際、該床下地材7の軽粘着層10は繊維シート9Aに若干含浸状態にあるから、該床材5の裏面に転移しにくい。更に該軽粘着層10が微架橋された粘着剤の塗布層である場合には、軽粘着層10の凝集力が向上し、該床材5の裏面への転移が殆んどなくなる。
【0015】
本発明にあっては、床下地材7の可撓性樹脂シート8は上記積層シート以外、可撓性樹脂シート8あるいは可撓性非発泡性樹脂シートのみの単層シートであってもよい。更に該床下地材7の下側の繊維シート9Bにも軽粘着層10を形成してもよい。この場合は、該床下地材7は該軽粘着層10によって該床基板4や床躯体6に固定される。更に該床下地材7の軽粘着層10は斑点状として断続的に形成する以外に、図4に示すように縞状にして断続的に形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明にあっては、床材を簡単に更新することが出来るし、床材廃材のリサイクルクも簡単に出来るから、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すものである
【図1】部分側断面図。
【図2】部分平面図。
【図3】床構造部分側断面図。
【図4】他の実施例の平面図。
【図5】床構造の説明図(床基板)。
【図6】床構造の説明図(コンクリートスラブ)。
【符号の説明】
【0018】
4(6) 床基板(床躯体)
5 床材
7 床下地材
8A 非発泡性硬質樹脂シート
8B 軟質樹脂発泡体シート
9A,9B 繊維シート
10 軽粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性樹脂シートの少なくとも一面に繊維シートを貼着し、更に該繊維シートに断続的な軽粘着層を積層したことを特徴とする床下地材。
【請求項2】
上記可撓性樹脂シートは、非発泡半硬質樹脂シートと軟質樹脂発泡体シートとからなる積層シートで構成されている請求項1に記載の床下地材。
【請求項3】
上記軽粘着層は、微架橋された粘着剤の塗布層である請求項1または2に記載の床下地材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−121079(P2009−121079A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294130(P2007−294130)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(501250050)株式会社鋼誠興業 (1)
【Fターム(参考)】