床暖房パネル
【課題】パネルの種類を減らし、コストを抑えることができる床暖房パネルを提供する。
【解決手段】パネル本体6に熱媒用配管8を収納するための収納溝16が形成された床暖房パネル1である。パネル本体6の前端面に第一配管導入口25と第二配管導入口26が形成される。収納溝16は、第一配管導入口25から後方に伸びる第一直線状溝部27と、第二配管導入口26から後方に伸びる第二直線状溝部28を有する。第一直線状溝部27及び第二直線状溝部28の夫々に、熱媒用配管8を他の熱媒用配管8に接続するジョイント35、36を収納するための溝幅を広げたジョイント収納部33、34が形成される。収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて第一直線状溝部27と第二直線状溝部28を接続する折り返し用溝部29を有する。
【解決手段】パネル本体6に熱媒用配管8を収納するための収納溝16が形成された床暖房パネル1である。パネル本体6の前端面に第一配管導入口25と第二配管導入口26が形成される。収納溝16は、第一配管導入口25から後方に伸びる第一直線状溝部27と、第二配管導入口26から後方に伸びる第二直線状溝部28を有する。第一直線状溝部27及び第二直線状溝部28の夫々に、熱媒用配管8を他の熱媒用配管8に接続するジョイント35、36を収納するための溝幅を広げたジョイント収納部33、34が形成される。収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて第一直線状溝部27と第二直線状溝部28を接続する折り返し用溝部29を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル本体に熱媒用配管を収納するための収納溝が形成された床暖房パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネルの上面に熱媒循環パイプを収納するための凹溝を形成した床暖房用溝付パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−180125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、床暖房パネルによって暖房される面積を大きくするには、床暖房パネルの熱媒用配管を隣接する床暖房パネルの熱媒用配管とジョイントを介して接続する方法が考えられる。
【0005】
ここで、熱媒用配管を隣接する床暖房パネルの熱媒用配管に接続するには、一枚の床暖房パネルを単独で用いる場合と異なり、熱媒用配管を収納するための収納溝をパネル本体の端面に至るまで形成する必要がある。また、この収納溝には前記ジョイントを収納する部分を形成する必要がある。このため、床暖房面積が狭い場合と広い場合の両方に対応するには単独で用いる床暖房パネルと、熱媒用配管を他の床暖房パネルの熱媒用配管に接続可能な床暖房パネルを製造する必要があり、床暖房パネルの種類が増し、製造コストが増加することが懸念される。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、パネルの種類を減らし、コストを抑えることができる床暖房パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の床暖房パネルは、パネル本体に熱媒用配管を収納するための収納溝が全体に亘って形成された床暖房パネルであって、前記パネル本体の対向する二辺のうちの一辺を構成する前端面に第一配管導入口と第二配管導入口が形成され、前記収納溝は、前記第一配管導入口から後方に伸びる第一直線状溝部と、前記第二配管導入口から後方に伸びる第二直線状溝部を有し、前記第一直線状溝部及び前記第二直線状溝部の夫々に、前記熱媒用配管を他の熱媒用配管に接続するジョイントを収納するための溝幅を広げたジョイント収納部が形成され、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて前記第一直線状溝部と前記第二直線状溝部を接続する折り返し用溝部を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前側に伸びた後、前記折り返し溝部の後方の位置で後側に折り返された折り返し部を有することが好ましい。
【0009】
また、前記折り返し溝部において前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びる部分を、前記折り返し部よりも前記第一直線状溝部側に位置させることが好ましい。
【0010】
また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記折り返し溝部において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、前記第二直線状溝部と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部を有し、前記第二折り返し溝部において前記折り返し溝部の前側に折り返された部分から後側に伸びる部分を、前記折り返し溝部の前側に折り返された部分よりも前記第二直線状溝部側に位置させることが好ましい。
【0011】
また、前記折り返し用溝部が前記第一直線状溝部側から前記第二直線状溝部の途中を横切った後、前記第二直線状溝部の後端部に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、床暖房パネルの種類を減らし、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した第一床暖房パネルの平面図である。
【図2】均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した第二床暖房パネルの平面図である。
【図3】均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した第三床暖房パネルの平面図である。
【図4】(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は図1のB−B断面図である。
【図5】熱媒用配管を折り曲げ用溝部を用いて折り返した状態を示し、均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した平面図である。
【図6】床暖房パネルを前後方向に並べて設けた状態を示し、均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した平面図である。
【図7】熱媒用配管をジョイントを介して他の熱媒用配管に接続した状態を示し、均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した平面図である。
【図8】比較例の熱媒用配管のパターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。本実施形態の床暖房パネル1は、床下地又は既設の床の上に一枚又は複数枚並べて設けられ、前記床暖房パネル1に熱媒を循環させる図示しない熱源機とで床暖房装置を構成するものである。前記一枚又は複数枚並べて設けられた床暖房パネル1上には、図示しない床板材が多数並べて設けられ、これにより床暖房機能を備えた床が形成される。
【0015】
床暖房パネル1としては、例えば図2に示す第一床暖房パネル3、図3に示す第二床暖房パネル4、図4に示す第三床暖房パネル5等の複数種類の床暖房パネル1があり、床暖房装置には、床暖房部分の大きさや形状を考慮して選択された任意の床暖房パネル1が任意の枚数用いられる。
【0016】
第一床暖房パネル3、第二床暖房パネル4、及び第三床暖房パネル5は基本的な構成が同じである。このため、以下では、共通する構成については、第一床暖房パネル3、第二床暖房パネル4、及び第三床暖房パネル5の夫々を床暖房パネル1と記載して説明する。
【0017】
各床暖房パネル1は、図1乃至図3に示すように、パネル本体6と、パネル本体6に埋め込まれた状態で設けられる小根太7と、同じくパネル本体6に埋め込まれた状態で設けられる熱媒用配管8(図4参照)を備えている。
【0018】
パネル本体6の断面図を図4に示す。パネル本体6は、略矩形板状の基材9と、基材9の上面に貼り付けられた均熱シート17で構成されている。なお、図1乃至図3では、均熱シート17の図示を省略している。以下、基材9の長手方向となる図1乃至図3における紙面前後方向を前後方向と定義して説明する。
【0019】
基材9は断熱性を有する発泡合成樹脂で形成されている。図2に示す第二床暖房パネル4の基材9は、図1に示す第一床暖房パネル3の基材9と同じ幅で且つ同じ長さとなるように形成されている。対して、図3に示す第三床暖房パネル5の基材9は、第一床暖房パネル3の基材9と同じ長さではあるが、第一床暖房パネル3の基材9よりも幅が狭くなるように形成されている。
【0020】
図1及び図3に示すように、第一床暖房パネル3及び第三床暖房パネル5の夫々の基材9の角部21には、図示しないヘッダーを配置するための切欠15が形成されている。このヘッダーは、温水である熱媒を熱源機から熱媒用配管8に供給すると共に熱媒用配管8の熱媒を熱源機に戻すものであり、熱媒用配管8の流入口及び流出口に接続される。なお、図2に示す第二床暖房パネル4に設けられる熱媒用配管8は、隣接する他の床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8と接続されることで、熱媒が循環される。
【0021】
図4に示す均熱シート17は熱伝導性に優れたアルミ製であって、パネル本体6の上面の全体に亘って設けられ、熱媒用配管8の熱を前記床板材に均等に伝える均熱層として機能する。
【0022】
図1乃至図3に示すように、各床暖房パネル1のパネル本体6には、小根太7を収納するための下方に開口する小根太用溝10が複数形成されている。各小根太用溝10は基材9を上下方向に貫通し、その底部は均熱シート17で構成されている。なお、各小根太7は対応する小根太用溝10に嵌め込まれ、パネル本体6に接着等されて固定される。
【0023】
本実施形態では、略矩形状のパネル本体6の対向する二辺をなす前後両端面の間に、前後方向と平行な二本の小根太7が前後に並べて且つ前後に間隔を空けて設けられ、これら小根太7に対応する箇所に小根太用溝10が形成されている。
【0024】
以下、特に区別する場合には、パネル本体6に設けられた小根太7のうち、前側に配置された小根太7を第一小根太11と記載し、後側に配置された小根太7を第二小根太12と記載する。
【0025】
図1に示す第一床暖房パネル3及び図2に示す第二床暖房パネル4には、第一小根太11とこの後側に配置される第二小根太12の組が左右に2組設けられている。また、図3に示す第三床暖房パネル5には、前記第一小根太11と第二小根太12の組が幅方向の中心に1組だけ設けられている。図1乃至図3に示す各床暖房パネル1において、第一小根太11の長さは第二小根太12の長さよりも長くなっている。
【0026】
各床暖房パネル1の基材9の上面には、可撓性を有するパイプからなる熱媒用配管8(図4参照)を収納するための上方に開口する収納溝16が形成されている。図4(a)に示すように、収納溝16にはアルミ箔等で構成される保持部材19が設けられている。保持部材19は収納溝16内に位置して上方に開口する溝部20を有し、この溝部20に熱媒用配管8が収納されて保持される。なお、図1乃至図3では、保持部材19の図示を省略している。また、本実施形態では保持部材19で熱媒用配管8を保持したが、保持部材19を省略して収納溝16で熱媒用配管8を保持しても構わない。
【0027】
図1乃至図3に示すように、収納溝16はパネル本体6の全体に行き渡るように小根太7が設けられた箇所を避けながら適当な箇所で屈曲・蛇行しており、熱媒用配管8は、この収納溝16の略全長に亘って設けられる。そして、各床暖房パネル1の熱媒用配管8は温水である熱媒が循環することで加熱され、この熱が均熱シート17を介して床板材に伝わることで床暖房がなされる。
【0028】
収納溝16は、図1乃至図3に示すように、始点となるパネル本体6後側の一方の角部21からパネル本体6後側の他方の角部22にまで伸びる。この部分の収納溝16は、パネル本体6の後端部において前後方向に蛇行して前後方向における第二小根太12に対応する部分を通りつつ、基材9の後端面とこの前方に位置する第二小根太12の後端面との間を通過する。続いて収納溝16は、角部22からパネル本体6の前記始点と反対側の側端面に沿って前方に直線状に進み、パネル本体6前側の始点と反対側の角部23に至る。続いて収納溝16は、角部23からパネル本体6前側の始点側の角部24にまで伸びる。この部分の収納溝16は、パネル本体6の前端部において前後方向に蛇行する。また、第一小根太11がある部分では第一小根太11に沿って前後方向に直線状に伸び、第一小根太11とこの後側に位置する第二小根太12の間を通る。続いて収納溝16は、角部24からパネル本体6の前記始点側の側端面に沿って後方に直線状に伸び、角部21に至る。続いて収納溝16は角部21から角部22にまで伸びる。この部分の収納溝16は、パネル本体6の前端部と後端部の間の部分を前後方向に大きく蛇行しつつ、第一小根太11とこの後側に位置する第二小根太12の間を通る。また、前記蛇行部分は、前記パネル本体6の側端面に沿って前後方向と平行な直線状に伸びる部分と、前記第一小根太11に沿って前後方向と平行な直線状に伸びる部分との間を通り、大部分が前後方向と平行な直線状の溝部となる。続いて、収納溝16は、角部22から角部21にまで伸びて終点に至る。この部分の収納溝16は、パネル本体6の後端部において前後方向に蛇行して前後方向における第二小根太12に対応する部分を通過しつつ、基材9の後端面とこの前方に位置する第二小根太12の後端面との間を通る。
【0029】
前記収納溝16には始点から終点に至るまで熱媒用配管8が収納され、この熱媒用配管8内では始点から終点に向かう方向に熱媒が流れる。このように収納された熱媒用配管8は、往路側において始点に近い部分程復路側において終点に近い部分が隣り合って配置され、これにより床暖房パネル1は全体に亘って均一に加熱される。
【0030】
各床暖房パネル1の前端面には、他の床暖房パネル1の熱媒用配管8を出し入れするための第一配管導入口25及び第二配管導入口26が形成されている。本実施形態では、左右に並べて設けられた第一配管導入口25と第二配管導入口26の組が、第二小根太12によって左右に区切られた領域31毎に形成されており、第一配管導入口25及び第二配管導入口26は各領域31の側端部に対応する箇所に形成されている。
【0031】
各床暖房パネル1の収納溝16は、各組の第一配管導入口25から後方に伸びる第一直線状溝部27と、各組の第二配管導入口26から後方に伸びる第二直線状溝部28を有している。各第一直線状溝部27及び各第二直線状溝部28はパネル本体6の前端部に形成されている。各第一直線状溝部27の途中には溝幅を広げたジョイント収納部33が形成され、各第二直線状溝部28の途中には溝幅を広げたジョイント収納部34が形成されている。以下、特に区別する場合には、第一直線状溝部27に設けたジョイント収納部33を第一ジョイント収納部33と記載し、第二直線状溝部28に設けたジョイント収納部34を第二ジョイント収納部34と記載する。
【0032】
各ジョイント収納部34には、当該床暖房パネル1の熱媒用配管8を前方に隣接する床暖房パネル1の熱媒用配管8に接続するための接続具であるジョイント35、36を収納することができる。以下、特に区別する場合には、第一ジョイント収納部33に収納されるジョイント35を第一ジョイント35と記載し、第二ジョイント収納部34に収納されるジョイント36を第二ジョイント36と記載する。
【0033】
各第一直線状溝部27は後方に大きく延び出て直線状の第一延出部分30を構成している。各第一延出部分30は収納溝16の前記パネル本体6の側端面又は第一小根太11に沿って直線状に伸びる部分を構成する。
【0034】
各床暖房パネル1の収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、各組の第一直線状溝部27と第二直線状溝部28を接続する折り返し用溝部29を有している。各折り返し用溝部29は、第一直線状溝部27側から第二直線状溝部28における第二ジョイント収納部34よりも前方の部分を横切った後、第二直線状溝部28の後端部に接続されている。各折り返し用溝部29は平面視で略前側に凸となる弧状に形成されており、折曲点が無い。このため、図5に示すように第一延出部分30から折り返し用溝部29に至る熱媒用配管8を曲線状に曲げて前側に折り返すことができる。
【0035】
また、各床暖房パネル1の収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、各第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びた後、第一直線状溝部27と反対側において前側に折り返された折り返し溝部32(以下、第一折り返し溝部32という)を有している。各第一折り返し溝部32には折曲点がなく、図5に示すように熱媒用配管8を曲線状に曲げて前側に折り返すことができる。
【0036】
また、各床暖房パネル1の収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、各第一折り返し溝部32において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、第二直線状溝部28と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部37を有している。各第二折り返し溝部37には折曲点がなく、図5に示すように熱媒用配管8を曲線状に曲げて後側に折り返すことができる。
【0037】
各第二折り返し溝部37の後側に折り返された部分は後方に大きく延び出て直線状の第二延出部分38を構成している。各第二延出部分38は、収納溝16の前記第一小根太11に沿って直線状に伸びる部分を構成する。
【0038】
また、各床暖房パネル1の収納溝16は、前方に直線状に伸びた後、第一折り返し溝部32の直ぐ後方の位置で後側に折り返され、この後、後方に直線状に伸びる折り返し部39を有している。この折り返し部39は前記第二小根太12によって左右に区切られた領域31毎に形成されている。各折り返し部39は平面視で略前側に凸となる半円弧状の曲線部を有し、この曲線部を利用して収納した熱媒用配管8を後側に折り返すことができる。
【0039】
各第一折り返し溝部32の第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びる部分は、第一直線状溝部27側に凸となる弧状に形成されており、対応する折り返し部39よりも第一直線状溝部27側に位置している。また、各第一折り返し溝部32の前側に折り返された部分は、第一直線状溝部27と反対側に凸となる弧状に形成されており、対応する折り返し部39よりも第一直線状溝部27から離れた位置に形成されている。さらに各第一折り返し溝部32の後端部における左右方向中央部は、対応する折り返し部39の前端部の左右方向中央部に対向しており、この部分は第一折り返し溝部32の後端部両側よりも前側に突出している。
【0040】
図6には床暖房パネル1の前方に他の床暖房パネル1を隣接して配置した状態が示されている。また、図7には、床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8(以下、当該熱媒用配管8と記載)を前記他の床暖房パネル1の熱媒用配管8(以下、他の熱媒用配管8と記載)に接続した例が示されている。
【0041】
図7では、第一延出部分30に通された往路側の当該熱媒用配管8の下流側端部が第一直線状溝部27に後方から導入され、第一ジョイント収納部33に収納された第一ジョイント35の後端部に接続されている。一方、他の熱媒用配管8の上流側端部は第一配管導入口25から第一直線状溝部27に導入され、第一ジョイント35の前端部に接続されている。また、第一折り返し溝部32から第二直線状溝部28に導入された復路側の当該熱媒用配管8の上流側端部は、第二ジョイント収納部34に収納された第二ジョイント36の後端部に接続されている。他方、他の熱媒用配管8の下流側端部は第二配管導入口26から第二直線状溝部28に導入され、第二ジョイント36の前端部に接続されている。
【0042】
図5には、床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8を他の熱媒用配管8に接続せず、折り返し用溝部29を利用して、一本の熱媒用配管8をパネル本体6の全体に亘って設けた例が示されている。この図5では、第一延出部分30に通された熱媒用配管8が第一直線状溝部27に後方から導入され、続いて折り返し用溝部29に導入されている。続いて、熱媒用配管8は、第二直線状溝部28の後端部に接続された折り返し用溝部29の端部まで通された後、第一折り返し溝部32及び第二折り返し溝部32に順に通され、この後、第二延出部分38に導入されている。
【0043】
以上説明した床暖房パネル1は、パネル本体6の前端面に形成された第一配管導入口25から後方に伸びる第一直線状溝部27と、パネル本体6の前端面に形成された第二配管導入口26から後方に伸びる第二直線状溝部28を有している。また、第一直線状溝部27及び第二直線状溝部28の夫々には、熱媒用配管8を他の熱媒用配管8に接続するためのジョイント35、36を収納するジョイント収納部33、34が形成されている。このため、前述したように、床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8を、ジョイント収納部33、34に収納されたジョイント35、36を利用して、前方に隣接する床暖房パネル1の熱媒用配管8に接続することができる。また、収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて第一直線状溝部27と第二直線状溝部28を接続する折り返し用溝部29を有している。このため、前述したように折り返し用溝部29を利用して、一本の熱媒用配管8をパネル本体6の全体に亘って設けることができる。つまり、本実施形態の床暖房パネル1は、熱媒用配管8を隣接する床暖房パネル1の熱媒用配管8に接続することができると共に、一本の熱媒用配管8をパネル本体6の全体に亘って設けることができ、このため床暖房パネル1の種類を減らし、コストを抑えることができる。
【0044】
また、収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びた後、第一直線状溝部27と反対側において前側に折り返された第一折り返し溝部32を有している。さらに収納溝16は、前側に伸びた後、第一折り返し溝部32の後方の位置で後側に折り返された折り返し部39を有している。このようにすることで、パネル本体6の前端部を、熱媒用配管8の第一折り返し溝部32に収納される部分と折り返し部39に収納される部分とで十分に加熱することができる。また、熱媒用配管8と他の熱媒用配管8をジョイント35、36で接続した場合、このジョイント35、36によって接続される部分は高温に加熱され難くなる。しかし、本実施形態では、第一折り返し溝部32と折り返し部39を設けたことにより、ジョイント収納部33、34の近傍を十分に加熱することができる。
【0045】
また、パネル本体6の前端部において、図8に示す比較例のように熱媒用配管8を配置した場合、図中の二点鎖線で囲まれた領域45、46が加熱され難くなる。なお、図8において符号32′で示す部分は第一折り返し溝部32に対応する部分であり、符号39′で示す部分は折り返し部39に対応する部分である。
【0046】
ここで、本実施形態では、図5に示すように第一折り返し溝部32において第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びる部分を折り返し部39よりも第一直線状溝部27側に位置させている。このため、図8における領域45を、第一折り返し溝部32の後端部から後側に伸びる部分に収納された熱媒用配管8により十分に加熱することができる。
【0047】
また、本実施形態では、第一折り返し溝部32の前側に折り返した部分が、折り返し部39よりも第一直線状溝部27から離れた位置に形成されている。このため、図8における領域46を十分に加熱することができる。
【0048】
また、収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、第一折り返し溝部32において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、第二直線状溝部28と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部37を有している。さらに第二折り返し溝部37において第一折り返し溝部32の前側に折り返された部分から後側に伸びる部分を、第一折り返し溝部32の前側に折り返された部分よりも第二直線状溝部28側に位置させている。このようにすることで、第二折り返し溝部37を第二直線状溝部28側に近づけ、これに収納された熱媒用配管8でジョイント収納部33、34の近傍を十分に加熱することができる。また、第一折り返し溝部32の曲げ部分の曲率半径を大きくして、第一折り返し溝部32において熱媒用配管8を簡単に曲げることができる。
【0049】
また、折り返し用溝部29は、図5に示すように、第一直線状溝部27側から第二直線状溝部28の途中を横切った後、第二直線状溝部28の後端部に接続されている。このようにすることで、第一直線状溝部27と第二直線状溝部28の間隔を狭め、これら第一直線状溝部27及び第二直線状溝部28に収納される熱媒用配管8でジョイント収納部33、34の近傍を十分に加熱することができる。また、折り返し用溝部29の曲げ部分の曲率半径を大きくして、折り返し用溝部29において熱媒用配管8を簡単に曲げることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第一床暖房パネル3、第二床暖房パネル4、及び第三床暖房パネル5の3種類の床暖房パネル1を例示したが、床暖房パネル1にはこの他にも幅や、収納溝の形状、小根太7の本数や位置を適宜変更したものがある。一例を挙げると、第二床暖房パネル4と同様に熱媒用配管8が隣接する他の床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8と接続されることで熱媒が循環され、且つ第三床暖房パネル5と同様に第二床暖房パネル4の2/3の幅を有する床暖房パネルがある。この床暖房パネルは例えば図4に示す第三床暖房パネル5に隣接して設けられ、その熱媒用配管8を第三床暖房パネル5に設けられた熱媒用配管8に接続することで熱媒が循環される。なお、前記例示した床暖房パネル1以外の床暖房パネルの収納溝も、床暖房パネル1と同様の第一直線状溝部27や第二直線状溝部28、第一ジョイント収納部33、第二ジョイント収納部34、及び折り返し用溝部29等を有する。
【0051】
また、本実施形態では、第一ジョイント収納部33を折り返し用溝部29と第一直線状溝部27の接続部分に形成したが、第一直線状溝部27において折り返し用溝部29と接続されない部分に形成してもよい。また、第二ジョイント収納部34を第二直線状溝部28において折り返し用溝部29と接続されない部分に形成したが、第二直線状溝部28と折り返し用溝部29の接続部分に形成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 床暖房パネル
25 第一配管導入口
26 第二配管導入口
27 第一直線状溝部
28 第二直線状溝部
29 折り返し用溝部
32 第一折り返し溝部
33 第一ジョイント収納部
34 第二ジョイント収納部
35 第一ジョイント
36 第二ジョイント
37 第二折り返し溝部
39 折り返し部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル本体に熱媒用配管を収納するための収納溝が形成された床暖房パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネルの上面に熱媒循環パイプを収納するための凹溝を形成した床暖房用溝付パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−180125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、床暖房パネルによって暖房される面積を大きくするには、床暖房パネルの熱媒用配管を隣接する床暖房パネルの熱媒用配管とジョイントを介して接続する方法が考えられる。
【0005】
ここで、熱媒用配管を隣接する床暖房パネルの熱媒用配管に接続するには、一枚の床暖房パネルを単独で用いる場合と異なり、熱媒用配管を収納するための収納溝をパネル本体の端面に至るまで形成する必要がある。また、この収納溝には前記ジョイントを収納する部分を形成する必要がある。このため、床暖房面積が狭い場合と広い場合の両方に対応するには単独で用いる床暖房パネルと、熱媒用配管を他の床暖房パネルの熱媒用配管に接続可能な床暖房パネルを製造する必要があり、床暖房パネルの種類が増し、製造コストが増加することが懸念される。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、パネルの種類を減らし、コストを抑えることができる床暖房パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の床暖房パネルは、パネル本体に熱媒用配管を収納するための収納溝が全体に亘って形成された床暖房パネルであって、前記パネル本体の対向する二辺のうちの一辺を構成する前端面に第一配管導入口と第二配管導入口が形成され、前記収納溝は、前記第一配管導入口から後方に伸びる第一直線状溝部と、前記第二配管導入口から後方に伸びる第二直線状溝部を有し、前記第一直線状溝部及び前記第二直線状溝部の夫々に、前記熱媒用配管を他の熱媒用配管に接続するジョイントを収納するための溝幅を広げたジョイント収納部が形成され、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて前記第一直線状溝部と前記第二直線状溝部を接続する折り返し用溝部を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前側に伸びた後、前記折り返し溝部の後方の位置で後側に折り返された折り返し部を有することが好ましい。
【0009】
また、前記折り返し溝部において前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びる部分を、前記折り返し部よりも前記第一直線状溝部側に位置させることが好ましい。
【0010】
また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記折り返し溝部において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、前記第二直線状溝部と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部を有し、前記第二折り返し溝部において前記折り返し溝部の前側に折り返された部分から後側に伸びる部分を、前記折り返し溝部の前側に折り返された部分よりも前記第二直線状溝部側に位置させることが好ましい。
【0011】
また、前記折り返し用溝部が前記第一直線状溝部側から前記第二直線状溝部の途中を横切った後、前記第二直線状溝部の後端部に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、床暖房パネルの種類を減らし、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した第一床暖房パネルの平面図である。
【図2】均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した第二床暖房パネルの平面図である。
【図3】均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した第三床暖房パネルの平面図である。
【図4】(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は図1のB−B断面図である。
【図5】熱媒用配管を折り曲げ用溝部を用いて折り返した状態を示し、均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した平面図である。
【図6】床暖房パネルを前後方向に並べて設けた状態を示し、均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した平面図である。
【図7】熱媒用配管をジョイントを介して他の熱媒用配管に接続した状態を示し、均熱シート、熱媒用配管、及び保持部材の図示を省略した平面図である。
【図8】比較例の熱媒用配管のパターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。本実施形態の床暖房パネル1は、床下地又は既設の床の上に一枚又は複数枚並べて設けられ、前記床暖房パネル1に熱媒を循環させる図示しない熱源機とで床暖房装置を構成するものである。前記一枚又は複数枚並べて設けられた床暖房パネル1上には、図示しない床板材が多数並べて設けられ、これにより床暖房機能を備えた床が形成される。
【0015】
床暖房パネル1としては、例えば図2に示す第一床暖房パネル3、図3に示す第二床暖房パネル4、図4に示す第三床暖房パネル5等の複数種類の床暖房パネル1があり、床暖房装置には、床暖房部分の大きさや形状を考慮して選択された任意の床暖房パネル1が任意の枚数用いられる。
【0016】
第一床暖房パネル3、第二床暖房パネル4、及び第三床暖房パネル5は基本的な構成が同じである。このため、以下では、共通する構成については、第一床暖房パネル3、第二床暖房パネル4、及び第三床暖房パネル5の夫々を床暖房パネル1と記載して説明する。
【0017】
各床暖房パネル1は、図1乃至図3に示すように、パネル本体6と、パネル本体6に埋め込まれた状態で設けられる小根太7と、同じくパネル本体6に埋め込まれた状態で設けられる熱媒用配管8(図4参照)を備えている。
【0018】
パネル本体6の断面図を図4に示す。パネル本体6は、略矩形板状の基材9と、基材9の上面に貼り付けられた均熱シート17で構成されている。なお、図1乃至図3では、均熱シート17の図示を省略している。以下、基材9の長手方向となる図1乃至図3における紙面前後方向を前後方向と定義して説明する。
【0019】
基材9は断熱性を有する発泡合成樹脂で形成されている。図2に示す第二床暖房パネル4の基材9は、図1に示す第一床暖房パネル3の基材9と同じ幅で且つ同じ長さとなるように形成されている。対して、図3に示す第三床暖房パネル5の基材9は、第一床暖房パネル3の基材9と同じ長さではあるが、第一床暖房パネル3の基材9よりも幅が狭くなるように形成されている。
【0020】
図1及び図3に示すように、第一床暖房パネル3及び第三床暖房パネル5の夫々の基材9の角部21には、図示しないヘッダーを配置するための切欠15が形成されている。このヘッダーは、温水である熱媒を熱源機から熱媒用配管8に供給すると共に熱媒用配管8の熱媒を熱源機に戻すものであり、熱媒用配管8の流入口及び流出口に接続される。なお、図2に示す第二床暖房パネル4に設けられる熱媒用配管8は、隣接する他の床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8と接続されることで、熱媒が循環される。
【0021】
図4に示す均熱シート17は熱伝導性に優れたアルミ製であって、パネル本体6の上面の全体に亘って設けられ、熱媒用配管8の熱を前記床板材に均等に伝える均熱層として機能する。
【0022】
図1乃至図3に示すように、各床暖房パネル1のパネル本体6には、小根太7を収納するための下方に開口する小根太用溝10が複数形成されている。各小根太用溝10は基材9を上下方向に貫通し、その底部は均熱シート17で構成されている。なお、各小根太7は対応する小根太用溝10に嵌め込まれ、パネル本体6に接着等されて固定される。
【0023】
本実施形態では、略矩形状のパネル本体6の対向する二辺をなす前後両端面の間に、前後方向と平行な二本の小根太7が前後に並べて且つ前後に間隔を空けて設けられ、これら小根太7に対応する箇所に小根太用溝10が形成されている。
【0024】
以下、特に区別する場合には、パネル本体6に設けられた小根太7のうち、前側に配置された小根太7を第一小根太11と記載し、後側に配置された小根太7を第二小根太12と記載する。
【0025】
図1に示す第一床暖房パネル3及び図2に示す第二床暖房パネル4には、第一小根太11とこの後側に配置される第二小根太12の組が左右に2組設けられている。また、図3に示す第三床暖房パネル5には、前記第一小根太11と第二小根太12の組が幅方向の中心に1組だけ設けられている。図1乃至図3に示す各床暖房パネル1において、第一小根太11の長さは第二小根太12の長さよりも長くなっている。
【0026】
各床暖房パネル1の基材9の上面には、可撓性を有するパイプからなる熱媒用配管8(図4参照)を収納するための上方に開口する収納溝16が形成されている。図4(a)に示すように、収納溝16にはアルミ箔等で構成される保持部材19が設けられている。保持部材19は収納溝16内に位置して上方に開口する溝部20を有し、この溝部20に熱媒用配管8が収納されて保持される。なお、図1乃至図3では、保持部材19の図示を省略している。また、本実施形態では保持部材19で熱媒用配管8を保持したが、保持部材19を省略して収納溝16で熱媒用配管8を保持しても構わない。
【0027】
図1乃至図3に示すように、収納溝16はパネル本体6の全体に行き渡るように小根太7が設けられた箇所を避けながら適当な箇所で屈曲・蛇行しており、熱媒用配管8は、この収納溝16の略全長に亘って設けられる。そして、各床暖房パネル1の熱媒用配管8は温水である熱媒が循環することで加熱され、この熱が均熱シート17を介して床板材に伝わることで床暖房がなされる。
【0028】
収納溝16は、図1乃至図3に示すように、始点となるパネル本体6後側の一方の角部21からパネル本体6後側の他方の角部22にまで伸びる。この部分の収納溝16は、パネル本体6の後端部において前後方向に蛇行して前後方向における第二小根太12に対応する部分を通りつつ、基材9の後端面とこの前方に位置する第二小根太12の後端面との間を通過する。続いて収納溝16は、角部22からパネル本体6の前記始点と反対側の側端面に沿って前方に直線状に進み、パネル本体6前側の始点と反対側の角部23に至る。続いて収納溝16は、角部23からパネル本体6前側の始点側の角部24にまで伸びる。この部分の収納溝16は、パネル本体6の前端部において前後方向に蛇行する。また、第一小根太11がある部分では第一小根太11に沿って前後方向に直線状に伸び、第一小根太11とこの後側に位置する第二小根太12の間を通る。続いて収納溝16は、角部24からパネル本体6の前記始点側の側端面に沿って後方に直線状に伸び、角部21に至る。続いて収納溝16は角部21から角部22にまで伸びる。この部分の収納溝16は、パネル本体6の前端部と後端部の間の部分を前後方向に大きく蛇行しつつ、第一小根太11とこの後側に位置する第二小根太12の間を通る。また、前記蛇行部分は、前記パネル本体6の側端面に沿って前後方向と平行な直線状に伸びる部分と、前記第一小根太11に沿って前後方向と平行な直線状に伸びる部分との間を通り、大部分が前後方向と平行な直線状の溝部となる。続いて、収納溝16は、角部22から角部21にまで伸びて終点に至る。この部分の収納溝16は、パネル本体6の後端部において前後方向に蛇行して前後方向における第二小根太12に対応する部分を通過しつつ、基材9の後端面とこの前方に位置する第二小根太12の後端面との間を通る。
【0029】
前記収納溝16には始点から終点に至るまで熱媒用配管8が収納され、この熱媒用配管8内では始点から終点に向かう方向に熱媒が流れる。このように収納された熱媒用配管8は、往路側において始点に近い部分程復路側において終点に近い部分が隣り合って配置され、これにより床暖房パネル1は全体に亘って均一に加熱される。
【0030】
各床暖房パネル1の前端面には、他の床暖房パネル1の熱媒用配管8を出し入れするための第一配管導入口25及び第二配管導入口26が形成されている。本実施形態では、左右に並べて設けられた第一配管導入口25と第二配管導入口26の組が、第二小根太12によって左右に区切られた領域31毎に形成されており、第一配管導入口25及び第二配管導入口26は各領域31の側端部に対応する箇所に形成されている。
【0031】
各床暖房パネル1の収納溝16は、各組の第一配管導入口25から後方に伸びる第一直線状溝部27と、各組の第二配管導入口26から後方に伸びる第二直線状溝部28を有している。各第一直線状溝部27及び各第二直線状溝部28はパネル本体6の前端部に形成されている。各第一直線状溝部27の途中には溝幅を広げたジョイント収納部33が形成され、各第二直線状溝部28の途中には溝幅を広げたジョイント収納部34が形成されている。以下、特に区別する場合には、第一直線状溝部27に設けたジョイント収納部33を第一ジョイント収納部33と記載し、第二直線状溝部28に設けたジョイント収納部34を第二ジョイント収納部34と記載する。
【0032】
各ジョイント収納部34には、当該床暖房パネル1の熱媒用配管8を前方に隣接する床暖房パネル1の熱媒用配管8に接続するための接続具であるジョイント35、36を収納することができる。以下、特に区別する場合には、第一ジョイント収納部33に収納されるジョイント35を第一ジョイント35と記載し、第二ジョイント収納部34に収納されるジョイント36を第二ジョイント36と記載する。
【0033】
各第一直線状溝部27は後方に大きく延び出て直線状の第一延出部分30を構成している。各第一延出部分30は収納溝16の前記パネル本体6の側端面又は第一小根太11に沿って直線状に伸びる部分を構成する。
【0034】
各床暖房パネル1の収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、各組の第一直線状溝部27と第二直線状溝部28を接続する折り返し用溝部29を有している。各折り返し用溝部29は、第一直線状溝部27側から第二直線状溝部28における第二ジョイント収納部34よりも前方の部分を横切った後、第二直線状溝部28の後端部に接続されている。各折り返し用溝部29は平面視で略前側に凸となる弧状に形成されており、折曲点が無い。このため、図5に示すように第一延出部分30から折り返し用溝部29に至る熱媒用配管8を曲線状に曲げて前側に折り返すことができる。
【0035】
また、各床暖房パネル1の収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、各第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びた後、第一直線状溝部27と反対側において前側に折り返された折り返し溝部32(以下、第一折り返し溝部32という)を有している。各第一折り返し溝部32には折曲点がなく、図5に示すように熱媒用配管8を曲線状に曲げて前側に折り返すことができる。
【0036】
また、各床暖房パネル1の収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、各第一折り返し溝部32において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、第二直線状溝部28と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部37を有している。各第二折り返し溝部37には折曲点がなく、図5に示すように熱媒用配管8を曲線状に曲げて後側に折り返すことができる。
【0037】
各第二折り返し溝部37の後側に折り返された部分は後方に大きく延び出て直線状の第二延出部分38を構成している。各第二延出部分38は、収納溝16の前記第一小根太11に沿って直線状に伸びる部分を構成する。
【0038】
また、各床暖房パネル1の収納溝16は、前方に直線状に伸びた後、第一折り返し溝部32の直ぐ後方の位置で後側に折り返され、この後、後方に直線状に伸びる折り返し部39を有している。この折り返し部39は前記第二小根太12によって左右に区切られた領域31毎に形成されている。各折り返し部39は平面視で略前側に凸となる半円弧状の曲線部を有し、この曲線部を利用して収納した熱媒用配管8を後側に折り返すことができる。
【0039】
各第一折り返し溝部32の第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びる部分は、第一直線状溝部27側に凸となる弧状に形成されており、対応する折り返し部39よりも第一直線状溝部27側に位置している。また、各第一折り返し溝部32の前側に折り返された部分は、第一直線状溝部27と反対側に凸となる弧状に形成されており、対応する折り返し部39よりも第一直線状溝部27から離れた位置に形成されている。さらに各第一折り返し溝部32の後端部における左右方向中央部は、対応する折り返し部39の前端部の左右方向中央部に対向しており、この部分は第一折り返し溝部32の後端部両側よりも前側に突出している。
【0040】
図6には床暖房パネル1の前方に他の床暖房パネル1を隣接して配置した状態が示されている。また、図7には、床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8(以下、当該熱媒用配管8と記載)を前記他の床暖房パネル1の熱媒用配管8(以下、他の熱媒用配管8と記載)に接続した例が示されている。
【0041】
図7では、第一延出部分30に通された往路側の当該熱媒用配管8の下流側端部が第一直線状溝部27に後方から導入され、第一ジョイント収納部33に収納された第一ジョイント35の後端部に接続されている。一方、他の熱媒用配管8の上流側端部は第一配管導入口25から第一直線状溝部27に導入され、第一ジョイント35の前端部に接続されている。また、第一折り返し溝部32から第二直線状溝部28に導入された復路側の当該熱媒用配管8の上流側端部は、第二ジョイント収納部34に収納された第二ジョイント36の後端部に接続されている。他方、他の熱媒用配管8の下流側端部は第二配管導入口26から第二直線状溝部28に導入され、第二ジョイント36の前端部に接続されている。
【0042】
図5には、床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8を他の熱媒用配管8に接続せず、折り返し用溝部29を利用して、一本の熱媒用配管8をパネル本体6の全体に亘って設けた例が示されている。この図5では、第一延出部分30に通された熱媒用配管8が第一直線状溝部27に後方から導入され、続いて折り返し用溝部29に導入されている。続いて、熱媒用配管8は、第二直線状溝部28の後端部に接続された折り返し用溝部29の端部まで通された後、第一折り返し溝部32及び第二折り返し溝部32に順に通され、この後、第二延出部分38に導入されている。
【0043】
以上説明した床暖房パネル1は、パネル本体6の前端面に形成された第一配管導入口25から後方に伸びる第一直線状溝部27と、パネル本体6の前端面に形成された第二配管導入口26から後方に伸びる第二直線状溝部28を有している。また、第一直線状溝部27及び第二直線状溝部28の夫々には、熱媒用配管8を他の熱媒用配管8に接続するためのジョイント35、36を収納するジョイント収納部33、34が形成されている。このため、前述したように、床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8を、ジョイント収納部33、34に収納されたジョイント35、36を利用して、前方に隣接する床暖房パネル1の熱媒用配管8に接続することができる。また、収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて第一直線状溝部27と第二直線状溝部28を接続する折り返し用溝部29を有している。このため、前述したように折り返し用溝部29を利用して、一本の熱媒用配管8をパネル本体6の全体に亘って設けることができる。つまり、本実施形態の床暖房パネル1は、熱媒用配管8を隣接する床暖房パネル1の熱媒用配管8に接続することができると共に、一本の熱媒用配管8をパネル本体6の全体に亘って設けることができ、このため床暖房パネル1の種類を減らし、コストを抑えることができる。
【0044】
また、収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びた後、第一直線状溝部27と反対側において前側に折り返された第一折り返し溝部32を有している。さらに収納溝16は、前側に伸びた後、第一折り返し溝部32の後方の位置で後側に折り返された折り返し部39を有している。このようにすることで、パネル本体6の前端部を、熱媒用配管8の第一折り返し溝部32に収納される部分と折り返し部39に収納される部分とで十分に加熱することができる。また、熱媒用配管8と他の熱媒用配管8をジョイント35、36で接続した場合、このジョイント35、36によって接続される部分は高温に加熱され難くなる。しかし、本実施形態では、第一折り返し溝部32と折り返し部39を設けたことにより、ジョイント収納部33、34の近傍を十分に加熱することができる。
【0045】
また、パネル本体6の前端部において、図8に示す比較例のように熱媒用配管8を配置した場合、図中の二点鎖線で囲まれた領域45、46が加熱され難くなる。なお、図8において符号32′で示す部分は第一折り返し溝部32に対応する部分であり、符号39′で示す部分は折り返し部39に対応する部分である。
【0046】
ここで、本実施形態では、図5に示すように第一折り返し溝部32において第二直線状溝部28の後端部から後側に伸びる部分を折り返し部39よりも第一直線状溝部27側に位置させている。このため、図8における領域45を、第一折り返し溝部32の後端部から後側に伸びる部分に収納された熱媒用配管8により十分に加熱することができる。
【0047】
また、本実施形態では、第一折り返し溝部32の前側に折り返した部分が、折り返し部39よりも第一直線状溝部27から離れた位置に形成されている。このため、図8における領域46を十分に加熱することができる。
【0048】
また、収納溝16は、パネル本体6の前端部に形成されて、第一折り返し溝部32において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、第二直線状溝部28と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部37を有している。さらに第二折り返し溝部37において第一折り返し溝部32の前側に折り返された部分から後側に伸びる部分を、第一折り返し溝部32の前側に折り返された部分よりも第二直線状溝部28側に位置させている。このようにすることで、第二折り返し溝部37を第二直線状溝部28側に近づけ、これに収納された熱媒用配管8でジョイント収納部33、34の近傍を十分に加熱することができる。また、第一折り返し溝部32の曲げ部分の曲率半径を大きくして、第一折り返し溝部32において熱媒用配管8を簡単に曲げることができる。
【0049】
また、折り返し用溝部29は、図5に示すように、第一直線状溝部27側から第二直線状溝部28の途中を横切った後、第二直線状溝部28の後端部に接続されている。このようにすることで、第一直線状溝部27と第二直線状溝部28の間隔を狭め、これら第一直線状溝部27及び第二直線状溝部28に収納される熱媒用配管8でジョイント収納部33、34の近傍を十分に加熱することができる。また、折り返し用溝部29の曲げ部分の曲率半径を大きくして、折り返し用溝部29において熱媒用配管8を簡単に曲げることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第一床暖房パネル3、第二床暖房パネル4、及び第三床暖房パネル5の3種類の床暖房パネル1を例示したが、床暖房パネル1にはこの他にも幅や、収納溝の形状、小根太7の本数や位置を適宜変更したものがある。一例を挙げると、第二床暖房パネル4と同様に熱媒用配管8が隣接する他の床暖房パネル1に設けられた熱媒用配管8と接続されることで熱媒が循環され、且つ第三床暖房パネル5と同様に第二床暖房パネル4の2/3の幅を有する床暖房パネルがある。この床暖房パネルは例えば図4に示す第三床暖房パネル5に隣接して設けられ、その熱媒用配管8を第三床暖房パネル5に設けられた熱媒用配管8に接続することで熱媒が循環される。なお、前記例示した床暖房パネル1以外の床暖房パネルの収納溝も、床暖房パネル1と同様の第一直線状溝部27や第二直線状溝部28、第一ジョイント収納部33、第二ジョイント収納部34、及び折り返し用溝部29等を有する。
【0051】
また、本実施形態では、第一ジョイント収納部33を折り返し用溝部29と第一直線状溝部27の接続部分に形成したが、第一直線状溝部27において折り返し用溝部29と接続されない部分に形成してもよい。また、第二ジョイント収納部34を第二直線状溝部28において折り返し用溝部29と接続されない部分に形成したが、第二直線状溝部28と折り返し用溝部29の接続部分に形成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 床暖房パネル
25 第一配管導入口
26 第二配管導入口
27 第一直線状溝部
28 第二直線状溝部
29 折り返し用溝部
32 第一折り返し溝部
33 第一ジョイント収納部
34 第二ジョイント収納部
35 第一ジョイント
36 第二ジョイント
37 第二折り返し溝部
39 折り返し部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体に熱媒用配管を収納するための収納溝が全体に亘って形成された床暖房パネルであって、前記パネル本体の対向する二辺のうちの一辺を構成する前端面に第一配管導入口と第二配管導入口が形成され、前記収納溝は、前記第一配管導入口から後方に伸びる第一直線状溝部と、前記第二配管導入口から後方に伸びる第二直線状溝部を有し、前記第一直線状溝部及び前記第二直線状溝部の夫々に、前記熱媒用配管を他の熱媒用配管に接続するジョイントを収納するための溝幅を広げたジョイント収納部が形成され、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて前記第一直線状溝部と前記第二直線状溝部を接続する折り返し用溝部を有することを特徴とする床暖房パネル。
【請求項2】
前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前側に伸びた後、前記折り返し溝部の後方の位置で後側に折り返された折り返し部を有することを特徴とする請求項1に記載の床暖房パネル。
【請求項3】
前記折り返し溝部において前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びる部分を、前記折り返し部よりも前記第一直線状溝部側に位置させたことを特徴とする請求項2に記載の床暖房パネル。
【請求項4】
前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記折り返し溝部において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、前記第二直線状溝部と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部を有し、前記第二折り返し溝部において前記折り返し溝部の前側に折り返された部分から後側に伸びる部分を、前記折り返し溝部の前側に折り返された部分よりも前記第二直線状溝部側に位置させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の床暖房パネル。
【請求項5】
前記折り返し用溝部が前記第一直線状溝部側から前記第二直線状溝部の途中を横切った後、前記第二直線状溝部の後端部に接続されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の床暖房パネル。
【請求項1】
パネル本体に熱媒用配管を収納するための収納溝が全体に亘って形成された床暖房パネルであって、前記パネル本体の対向する二辺のうちの一辺を構成する前端面に第一配管導入口と第二配管導入口が形成され、前記収納溝は、前記第一配管導入口から後方に伸びる第一直線状溝部と、前記第二配管導入口から後方に伸びる第二直線状溝部を有し、前記第一直線状溝部及び前記第二直線状溝部の夫々に、前記熱媒用配管を他の熱媒用配管に接続するジョイントを収納するための溝幅を広げたジョイント収納部が形成され、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて前記第一直線状溝部と前記第二直線状溝部を接続する折り返し用溝部を有することを特徴とする床暖房パネル。
【請求項2】
前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前側に伸びた後、前記折り返し溝部の後方の位置で後側に折り返された折り返し部を有することを特徴とする請求項1に記載の床暖房パネル。
【請求項3】
前記折り返し溝部において前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びる部分を、前記折り返し部よりも前記第一直線状溝部側に位置させたことを特徴とする請求項2に記載の床暖房パネル。
【請求項4】
前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記第二直線状溝部の後端部から後側に伸びた後、前記第一直線状溝部と反対側において前側に折り返された折り返し溝部を有し、また、前記収納溝は、前記パネル本体の前端部に形成されて、前記折り返し溝部において前側に折り返された部分から後側に伸びた後、前記第二直線状溝部と反対側において前側に折り返された第二折り返し溝部を有し、前記第二折り返し溝部において前記折り返し溝部の前側に折り返された部分から後側に伸びる部分を、前記折り返し溝部の前側に折り返された部分よりも前記第二直線状溝部側に位置させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の床暖房パネル。
【請求項5】
前記折り返し用溝部が前記第一直線状溝部側から前記第二直線状溝部の途中を横切った後、前記第二直線状溝部の後端部に接続されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の床暖房パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−88099(P2013−88099A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231917(P2011−231917)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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