説明

床暖房構造体

【課題】複雑な温度制御装置を導入することなく、長時間床面温度を所定の温度付近に保つことができ、省エネにも大きな効果を発揮する床暖房構造体を提供する。
【解決手段】床暖房構造体は、蓄熱層1の上側に、面状発熱体3、床材層4が順に積層された床暖房構造体であって、温度制御のための温度センサー7が、蓄熱層の下側に設置されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発熱体を有する床暖房システムにおいては、温度センサー等の温度制御装置が備わっており、床面温度が所定の温度付近にてほぼ一定に保たれるようになっている。
即ち、所定の温度に達するまでは発熱体により発熱し(電源ON)、所定の温度に達すると発熱を止め(電源OFF)、また所定の温度まで下がると発熱する(電源ON)というサイクルを繰り返すことによって、床面温度が所定の温度付近にてほぼ一定に保たれる。
【0003】
このような床暖房システムは、発熱体の上に床材層が積層された構造となっているものが多く、温度センサーにより検知される温度と体感温度との誤差をできるだけ小さくするため、温度センサーの設置場所は、床材層付近、または、発熱体付近に設置されることが多い。
【0004】
近年、発熱体を有する床暖房システムにおいては、蓄熱体を有するものが登場している(例えば、特許文献1、2)。これは、発熱体からの熱を一部蓄熱体に蓄えることによって、電源をOFFした後でも、所定の温度付近で長時間維持できることが可能となるものである。このような蓄熱式の床暖房システムを用いれば、電源ON−OFFサイクルを少なくすることができ、また深夜電力による蓄熱も利用できるため、結果として消費電力を抑えることができ、省エネ効果に大きな役割を果たすことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3138959号
【特許文献2】特許第3620461号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2のような床暖房システムでは、温度センサー及び発熱体が床部付近に配置されているため(例えば特許文献1図1、特許文献2図5)、発熱体からの熱が蓄熱体に十分蓄えられる前に、温度センサーが検知して電源ON−OFF温度制御装置が作動し、十分に蓄熱効果を発揮できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、鋭意検討をした結果、特定の蓄熱層の上側に、面状発熱体、床材層が順に積層された床暖房構造体の、蓄熱層の下側に、温度制御のための温度センサーを設置することによって、複雑な温度制御装置を導入することなく、長時間床面温度を所定の温度付近に保つことができ、かつ、蓄熱層による蓄熱効果が十分発揮でき蓄熱効果の持続力に優れるため、電源ON−OFFサイクルを減らし、省エネルギー化に大きな効果を有することを見いだし、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.蓄熱層の上側に、面状発熱体、床材層が順に積層された床暖房構造体であって、
蓄熱層が、有機潜熱蓄熱材(a)、有機処理された層状粘土鉱物(b)、1分子中に3以上のOH基を有し、水酸基価が15KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であるポリオール(c−1)、イソシアネート化合物(c−2)を含み、(c−1)と(c−2)の混合比率がNCO/OH比率で1.5以上8.0以下であり、
温度制御のための温度センサーが、蓄熱層の下側に設置されてなることを特徴とする床暖房構造体。
2.蓄熱層が、有機潜熱蓄熱材(a)、有機処理された層状粘土鉱物(b)、1分子中に3以上のOH基を有し、水酸基価が15KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であるポリオール(c−1)、イソシアネート化合物(c−2)、非イオン性界面活性剤(d)を含み、(c−1)と(c−2)の混合比率がNCO/OH比率で1.5以上8.0以下であることを特徴とする1.に記載の床暖房構造体。
3.非イオン性界面活性剤(d)が、1分子中に少なくとも2以上のOH基を有する非イオン性界面活性剤(d)であり、(c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率が、NCO/OH比率で1.0以上1.5未満であることを特徴とする2.に記載の床暖房構造体。
4.蓄熱層と面状発熱体との間に、耐熱層が積層されてなる1.から3.のいずれかに記載の床暖房構造体。
5.蓄熱層の厚さが、1mm以上20mm以下であることを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の床暖房構造体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の床暖房構造体は、長時間床面温度を所定の温度付近に保つことができ、かつ、蓄熱層による蓄熱効果が十分発揮でき蓄熱効果の持続力に優れるため、電源ON−OFFサイクルを減らし、省エネルギー化に大きな効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1で使用した試験体ボックスの断図である。
【図2】比較例1で使用した試験体ボックスの断面図である。
【図3】比較例2で使用した試験体ボックスの断面図である。
【図4】実施例1、比較例1及び比較例2の床表面の温度変化グラフである。
【符号の説明】
【0011】
1:蓄熱層
2:耐熱層
3:面状発熱層
4:床材層
5:合板
6:ポリスチレンフォーム
7:温度センサー
8:温度制御装置
9:熱電対
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
<床暖房構造体>
本発明の床暖房構造体は、蓄熱層の上側に、面状発熱体、床材層が順に積層されており、温度制御のための温度センサーが、蓄熱層の下側に設置されてなるものである。
また、温度センサーには、面状発熱層による発熱を制御するための温度制御装置が接続されており、温度センサーで検出された温度が温度制御装置に伝えられ、面状発熱層による発熱を制御(電源ON−OFF)できる仕組みとなっている。
温度センサー及び温度制御装置は、公知のものを使用すればよく、また、温度制御装置は、床材層の上側また壁面等、操作しやすい箇所にあればよい。
このような床暖房構造体により、複雑な温度制御装置を導入することなく、長時間床面温度を所定の温度付近に保つことができ、かつ、後述する特定の蓄熱層を用いることによって、蓄熱層による蓄熱効果が十分発揮でき蓄熱効果の持続力に優れ、電源ON−OFFサイクルを減らし、省エネルギー化に大きな効果を発揮するものである。
温度センサー及び面状発熱体の両方が、蓄熱層の上側にある場合は、即効性はあるものの、蓄熱層に熱が十分蓄えられないまま温度制御プログラムが作動し、蓄熱効果が十分に発揮できない。面状発熱体が、蓄熱層の下側、あるいは蓄熱層内部にある場合は、即効性に欠ける。
【0014】
<蓄熱層>
本発明の蓄熱層は、有機潜熱蓄熱材(以下、「(a)成分」ともいう。)と、有機処理された層状粘土鉱物(以下、「(b)成分」ともいう。)と、1分子中に3以上のOH基を有し、水酸基価が15KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であるポリオール(以下、「(c−1)成分」ともいう。)と、イソシアネート化合物(以下、「(c−2)成分」ともいう。)とを含むことを特徴とするものである。
【0015】
(a)成分としては、例えば、脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、ポリエーテル化合物、脂肪酸トリグリセリド等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
このような(a)成分は、沸点が高く、また、(c−1)成分及び/または(c−2)成分との相溶性に優れるため、得られた蓄熱層から(a)成分が揮発し難い。そのため、蓄熱層形成時における体積変化(肉痩せ)がほとんど無く、また長期に亘り蓄熱性能が持続するため、好ましい。さらに、有機潜熱蓄熱材を用いた場合、用途に応じた相変化温度の設定が容易であり、例えば相変化温度の異なる2種以上の有機潜熱蓄熱材を混合することで、容易に相変化温度の設定が可能となる。
【0017】
脂肪族炭化水素としては、例えば、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素を用いることができ、具体的には、n−デカン(融点−30℃)、n−ウンデカン(融点−25℃)、n−ドデカン(融点−8℃)、n−トリデカン(融点−5℃)、ペンタデカン(融点6℃)、n−テトラデカン(融点8℃)、n−ヘキサデカン(融点17℃)、n−ヘプタデカン(融点22℃)、n−オクタデカン(融点28℃)、n−ノナデカン(融点32℃)、エイコサン(融点36℃)、ドコサン(融点44℃)、およびこれらの混合物で構成されるn−パラフィンやパラフィンワックス等が挙げられる。
【0018】
長鎖アルコールとしては、例えば、炭素数8〜36の長鎖アルコールを用いることができ、具体的には、カプリルアルコール(融点7℃)、ラウリルアルコール(融点24℃)、ミリスチルアルコール(融点38℃)、ステアリルアルコール(融点58℃)等が挙げられる。
【0019】
長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸を用いることができ、具体的には、オクタン酸(融点17℃)、デカン酸(融点32℃)、ドデカン酸(融点44℃)、テトラデカン酸(融点50℃)、ヘキサデカン酸(融点63℃)、オクタデカン酸(融点70℃)等の脂肪酸等が挙げられる。
【0020】
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを用いることができ、具体的には、ラウリン酸メチル(融点5℃)、ミリスチン酸メチル(融点19℃)、パルミチン酸メチル(融点30℃)、ステアリン酸メチル(融点38℃)、ステアリン酸ブチル(融点25℃)、アラキジン酸メチル(融点45℃)等が挙げられる。
【0021】
ポリエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチルエチレングリコール等が挙げられる。
【0022】
脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品である中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
【0023】
本発明では(a)成分として、特に、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖アルコール、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましく、さらには、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましい。中でも、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステル、好ましくは、炭素数15〜22の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましく、このような長鎖脂肪酸エステルは、潜熱量が高く、実用温度領域に相変化温度(融点)を有するため、様々な用途に使用しやすい。
【0024】
本発明で用いる(b)成分は、有機処理された層状の粘土鉱物であり、(a)成分と混合し用いるものである。(b)成分と(a)成分を混合することにより、(b)成分の層間に、(a)成分が入り込む。(b)成分は、有機処理されたものであるため、(a)成分が(b)成分の層間に入り込みやすく、また(a)成分が(b)成分の層間に保持されやすい構造となっている。
このような(b)成分と(a)成分を混合することにより、結果として、(a)成分の粘度を上昇させ、後述する(c)成分内に(a)成分を担持し、より保持し続けることができる。そのため、(a)成分が蓄熱層外部へ漏れ出すのを防ぎ、蓄熱性に優れ、加工性、施工性に優れた蓄熱層を得ることができる。
また、(b)成分は、(a)成分とほとんど反応することがなく、有機潜熱蓄熱材の融点やその他の各種物性に影響を与えない。そのため、(a)成分の蓄熱材としての性能を効率よく発揮することができ、相変化温度(融点)の設定が容易である。
【0025】
(b)成分の底面間隔は、13.0〜30.0Å(好ましくは15.0〜26.0Å)程度であることが好ましい。このような範囲であることにより、(a)成分が、(b)成分の層間により入り込みやい。なお、底面間隔はX線回折パターンにおける(001)反射から算出される値である。
【0026】
(a)成分と(b)成分混合時の粘度は、0.5〜20.0Pa・s程度とすればよい。なお、粘度は、B型回転粘度計を用い、温度23℃、相対湿度50%RH、20rpmで測定した値である。
また、(a)成分と(b)成分混合時のTI値は、4.0〜9.0程度とすればよい。なお、TI値は、B型回転粘度計を用い、下記式1により求められる値である。
TI値=η1/η2 (式1)
(但し、η1:2rpmにおける粘度(Pa・s:2回転目の指針値)、η2:20rpmにおける粘度(Pa・s:4回転目の指針値))
【0027】
このような粘度、TI値とすることによって、後述する(c)成分内に(a)成分が担持されやすく、かつ、(c)成分内に(a)成分が保持されやすい。そのため、(a)成分が蓄熱層外部へ漏れ出すのを防ぎ、より蓄熱性に優れ、より加工性、施工性に優れた蓄熱層を得ることができる。
【0028】
(b)成分としては、有機処理された層状粘土鉱物であれば特に限定されない。
層状粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト、バーミキュライト、カオリナイト、アロフェン、雲母、タルク、ハロイサイト、セピオライト等が挙げられる。また、膨潤性フッ素雲母、膨潤性合成マイカ等も利用できる。
有機処理としては、例えば、層状粘土鉱物の層間に存在する陽イオンを長鎖アルキルアンモニウムイオン等でイオン交換(インターカレート)すること等が挙げられる。
本発明では、特に、スメクタイト、バーミキュライトが有機処理されやすい点から、好適に用いられる。さらに、スメクタイトの中でも、特に、モンモリロナイトが好適に用いられ、本発明では、特に、有機処理されたモンモリロナイトを好適に用いることができる。
【0029】
具体的に、有機処理されたモンモリロナイトとしては、
ホージュン社製のエスベン、エスベン C、エスベン E、エスベン W、エスベン P、エスベン WX、エスベン NX、エスベン NZ、エスベン N-400、オルガナイト、オルガナイトーD、オルガナイトーT(商品名)
ズードケミー触媒社製のTIXOGEL MP、TIXOGEL VP、TIXOGEL VP、TIXOGEL MP、TIXOGEL EZ 100、MP 100、TIXOGEL UN、TIXOGEL DS、TIXOGEL VP−A、TIXOGEL VZ、TIXOGEL PE、TIXOGEL MP 250、TIXOGEL MPZ(商品名)
エレメンティスジャパン社製のBENTONE 34、38、52、500、1000、128、27、SD−1、SD−3(商品名)
等が挙げられる。
【0030】
(a)成分と(b)成分の混合比は、通常(a)成分100重量部に対し、(b)成分を0.5重量部から50重量部(好ましくは1重量部から30重量部、より好ましくは3重量部から15重量部)程度とすればよい。0.5重量部より少ない場合は、(a)成分が(c)成分内から漏れやすくなる可能性がある。50重量部より多い場合は、(a)成分の粘度が高くなり過ぎ、(c)成分への担持・保持工程が困難となる場合がある。
【0031】
本発明で用いる(c−1)成分は、1分子中に3以上のOH基を有し、水酸基価が15KOHmg/g以上40KOHmg/g以下(好ましくは20KOHmg/g以上35KOHmg/g以下)であるポリオールであり、後述する(c−2)成分と反応させることにより成形物(以下、「(c)成分」ともいう。)を形成し、(a)成分を担持・保持する成分である。
なお、水酸基価は、中和滴定法により算出される値である。
【0032】
(c−1)成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンエチレンポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール、フッ素含有ポリオール、ケイ素含有系ポリオール、セルロース及び/またはその誘導体、アミロース等の多糖類等が挙げられる。
本発明では、特に、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、さらには、グリセリンを開始剤とするポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
【0033】
このような(c−1)成分は、(c−2)成分と反応して、適度な3次元架橋構造を形成することができ、該架橋構造内に多量の(a)成分を担持・保持可能な蓄熱層を得ることができるとともに、得られた蓄熱層は柔軟性に優れ、(a)成分の漏れを抑制することが可能である。
1分子中に3未満のOH基を有するポリオールでは、3次元架橋構造を形成し難く、多量の(a)成分の担持・保持ができない場合がある。また、水酸基価が高すぎる場合は、蓄熱材を多く含ませることが困難であり、柔軟性に劣る場合がある。また、水酸基価が低すぎる場合は、蓄熱材を十分に保持できない場合がある。
【0034】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物等が挙げられる。
【0035】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、1,4−テトラメチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、トリメチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、メタキシレングリコール、パラキシレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール、シュークロースなど)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0036】
多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0037】
環状エステルの開環重合物において、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示のものなどを用いることができる。
【0038】
本発明では、ポリエステルポリオールとして、特に、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物が好ましく、例えば、多価アルコールとして、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等、多価カルボン酸として、アジピン酸等を用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールの製造方法は、常法により行うことができ、必要に応じ、公知の硬化剤、硬化触媒等を用いてもよい。
【0039】
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基を有するアクリル単量体を単独重合または共重合させる、または共重合可能な他の単量体を共重合させることによって得ることができる。
【0040】
ヒドロキシル基を有するアクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類
グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
上記(メタ)アクリル酸エステル類とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類とのモノエーテル類;
(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸との付加物;
上記(メタ)アクリル酸エステル類と、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等のラクトン類の開環重合により得られる付加物;
等が挙げられ、これらを単独重合または共重合することにより得ることができる。
【0041】
また、共重合可能な他の単量体としては、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有単量体;
【0042】
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;
【0043】
(メタ)アクリル酸グリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体;
【0044】
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド等のアミド基含有単量体;
【0045】
(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル等のアルコキシシリル基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体;
ビニルオキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;
【0046】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
【0047】
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等のその他の単量体;
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0048】
重合方法としては、特に限定されず、公知の塊状重合、懸濁重合、溶液重合、分散重合、乳化重合、酸化還元重合等を用いればよく、必要に応じ、開始剤、連鎖移動剤等またはその他の添加剤等を加えてもよい。例えば、上記のモノマー成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合することによって得ることができる。
【0049】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネート等)の開環重合物等が挙げられる。
【0050】
環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。
【0051】
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
【0052】
ポリオレフィンポリオールとしては、オレフィンを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールであって、数平均分子量が500以上のものを用いることができる。前記オレフィンとしては、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなど)であってもよく、また末端以外の部位に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、イソブテンなど)であってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)であってもよい。
【0053】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のポリアルキレングリコールの他、多価アミンないし多価アルコールを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加させた共重合体等が挙げられる。
【0054】
多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が挙げられる。
【0055】
多価アルコールとしては、上述したもの等が挙げられるが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール、シュークロースなど)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が好適に用いられる。
【0056】
本発明では、特に、ポリオールとして、グリセリンを開始剤とするポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。グリセリンを開始剤とするポリエーテルポリオールは、蓄熱材との相溶性に優れ、蓄熱材を担持・保持しやすい。
【0057】
セルロース及び/またはその誘導体としては、セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類、エチルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類等が挙げられる。
【0058】
セルロース及び/またはその誘導体は、ヒドロキシル基を有するものであるが、ヒドロキシル基の一部をアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等により、置換されたものが好ましい。
具体的には、置換度が、1.8〜2.8、さらには2.2〜2.6であることが好ましい。なお、置換度とは、セルロースを構成するグリコースユニット中に存在する3つのヒドロキシル基が、アルコキシル基等で置換された割合を意味し、100%置換された場合で置換度は3となる。
置換度をこのような範囲で制御することにより、後述する(a)成分との相互作用を向上させることができ、多孔体内に、(a)成分を長期に亘り保持することができる。
置換度が、1.8より小さい場合は、(a)成分との相互作用が低下する場合があり、(a)成分を多孔体内に、十分保持できない場合がある。また、2.8より大きい場合は、セルロース中のヒドロキシル基が減少し、十分な強度を有する3次元架橋構造が得られない場合がある。
【0059】
本発明では、特に、ポリオールとして、グリセリンを開始剤とするポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。グリセリンを開始剤とするポリエーテルポリオールは、蓄熱材との相溶性に優れ、蓄熱材を担持・保持しやすい。
【0060】
本発明で用いるポリオールの分子量は、5000〜8000程度であることが好ましい。
また、本発明で用いるポリオールのガラス転移温度は、特に限定されないが、−30℃〜80℃程度であることが好ましい。
【0061】
(c−2)成分としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート等、及び、これらをアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及び、それらと共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
【0062】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0063】
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0065】
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0066】
本発明では、特に、脂肪族ジイソシアネートを用いることが好ましく、特にHMDI及びその誘導体化したもの等が好ましい。
【0067】
本発明は、(a)成分、(b)成分と、(c−1)成分、(c−2)成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させることにより、(c−1)成分と(c−2)成分からなる成形物(以下、「(c)成分」ともいう。)中に(a)成分((b)成分)が含有された蓄熱層を得ることができる。
【0068】
また、(c−1)成分と(c−2)成分の混合比率は、NCO/OH比率で1.5以上8.0以下、好ましくは1.5超7.0以下、さらに好ましくは1.7以上5.0以下、より好ましくは2.0以上3.0以下範囲内で設定する。
本発明では、(a)成分((b)成分を含む)を多量に含有する場合には、本発明特定の(c−1)成分、(c−2)成分を用い、NCO/OH比率が1.5以上8.0以下とすることで、(a)成分の含有率が高くても、(a)成分の保持力、成形性に優れ、優れた蓄熱性能及び持続性を有し、かつ、(a)成分の漏れも無く、柔軟性、加工性、施工性に優れる蓄熱層が得られることを見出したものである。
(c−1)成分と(c−2)成分の混合比率、NCO/OH比率が1.5未満では、(a)成分の保持力、柔軟性、成形性が低下し、硬化不良を起こす。また、NCO/OH比率が8.0よりも大きい場合は、(a)成分の保持力、成形性が低下し、硬化不良を起こす。
【0069】
また、(a)成分の混合比率は、蓄熱層全量に対し、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上である。上限値は特に限定されないが、製造上90重量%以下程度である。
【0070】
さらに本発明では、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分、(c−2)成分とともに、非イオン性界面活性剤(以下、「(d)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
【0071】
(d)成分としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられ、特に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0072】
本発明では、(d)成分として、1分子中に少なくとも2以上のOH基を有する非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明では、1分子中に少なくとも2以上のOH基を有する非イオン性界面活性剤を用いることで、(a)成分の保持力、成形性により優れたものとなり、より優れた蓄熱性能及び持続性を有し、かつ、(a)成分の漏れも無く、柔軟性、加工性、施工性により優れる蓄熱層が得られる。
【0073】
また、(d)成分として、親水親油バランス(HLB値)が10以上(好ましくは10超20以下、より好ましくは11以上19以下、さらに好ましくは12以上18以下、最も好ましくは13以上17以下)の非イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。
このような(d)成分を含むことにより、(a)成分、(b)成分と、(c−1)成分、(c−2)成分の分離を防ぐことができ、(a)成分が均一に分散した蓄熱層を得ることができる。
【0074】
また、(d)成分を含む場合、(c−1)成分及び(d)成分の合計量と(c−2)成分の混合比率が、NCO/OH比率で1.0以上1.5未満、さらには、1.05以上1.45以下であることが好ましい。
(c−1)成分及び(d)成分の合計量と(c−2)成分の混合比率、NCO/OH比率が、1.0未満である場合、(a)成分の保持力、柔軟性、成形性の向上がみられない場合がある。また、NCO/OH比率が1.5よりも大きい場合は、(a)成分の保持力、成形性の向上がみられない場合がある。
【0075】
(d)成分と(a)成分の混合比は、通常(a)成分100重量部に対し、(d)成分0.01重量部〜30重量部(好ましくは0.1重量部〜20重量部)程度とすればよい。このような範囲であることにより、(a)成分、(b)成分と、(c−1)成分、(c−2)成分の分離をより防ぐことができ、(a)成分が均一に分散した蓄熱層を得ることができる。
(d)成分が0.01重量部より少ない場合は、(a)成分と(c−1)成分及び/または(c−2)成分が分離してしまうかまたはクリーミング現象を起こしやすく、効率よく分散させることが困難である。30重量部より多い場合は、得られる蓄熱層の耐水性等の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0076】
また、(a)成分として炭素数8〜36の長鎖アルキル基を有する蓄熱材を用いた場合、(d)成分の構造中に、炭素数8〜36の長鎖アルキル基を有する非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。特に、(a)成分と(d)成分の長鎖アルキル基の炭素数が近似するもの、あるいは同様のものを選定することにより、本発明の効果を高めることができる。
【0077】
また、2種以上の(a)成分を混合して使用する場合は、相溶化剤(以下、「(e)成分」ともいう。)を用いることが好ましい。(e)成分を用いることにより、(a)成分同士の相溶性を向上させることができる。
(e)成分としては、例えば、脂肪酸トリグリセリド、親水親油バランス(HLB)が1以上10未満(好ましくは1以上5以下)の非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合し用いることができる。
【0078】
脂肪酸トリグリセリドは、上述したように、有機潜熱蓄熱材としても用いられる物質である。このような脂肪酸トリグリセリドは、特に有機潜熱蓄熱材同士の相溶性を、より向上させることができるとともに、優れた蓄熱性を有するため好ましい。脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品であるカプリル酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド等の脂肪酸トリグリセリドが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0079】
親水親油バランス(HLB)が1以上10未満(好ましくは1以上5以下)の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0080】
(e)成分と(a)成分の混合比率は、通常(a)成分100重量部に対し、(e)成分0.1重量部〜20重量部(好ましくは0.1重量部〜10重量部)程度とすればよい。
【0081】
また、(c−1)成分と(c−2)成分の反応では、反応促進剤を用いて硬化反応を迅速に進めることもできる。
例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート等の錫カルボン酸塩類;
ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;
ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;
アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物;
等が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。
【0082】
反応促進剤は、(c−1)成分の固形分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の比率で混合すればよい。
【0083】
本発明蓄熱層には、上記成分の他に、顔料、骨材、粘性調整剤、可塑剤、緩衝剤、分散剤、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、防藻剤、湿潤剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、凍結防止剤、滑剤、脱水剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、繊維類、香料、化学物質吸着剤、光触媒、吸放湿性粉粒体、熱伝導性物質、難燃剤等の添加剤を含有することもできる。
【0084】
例えば、難燃剤としては、例えば、三塩化リン、五塩化リン、ポリリン酸アンモニウム、アミド変性ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、エチレンジアミンリン酸塩、エチレンジアミンリン酸亜鉛塩、1、4−ブタンジアミンリン酸塩などのリン酸アミン塩や、赤燐、リン酸エステル等のリン系化合物;、トリクレジルフォスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、ジフェニルオクチルフォスフェート、トリ(β−クロロエチル)フォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリ(ジブロモプロピル)フォスフェート、クロロフォスフォネート、ブロモフォスフォネート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルフォスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ヒドロキシメチルフォスフォネート等の有機リン系化合物;、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化銅、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ケイ素、ゼオライト、ホウ酸亜鉛、ホウ酸ソーダ、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の金属化合物;、天然鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キャッシュグラファイト等の粉末を硫酸、硝酸、酢酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩等で処理したもの等の膨張性黒鉛等が挙げられる。
【0085】
本発明では、特に、膨張性黒鉛を含むものが好ましい。膨張性黒鉛としては、膨張温度が、潜熱蓄熱材の引火点以下であるものが好ましく、例えば、180℃以下、さらもは170℃以下、さらには160℃以下であるものが好ましい。このような膨張温度であることにより、潜熱蓄熱材の引火点以下で膨張して表面炭化層(断熱層)を形成し、潜熱蓄熱材への引火を防止することができる。このような膨張性黒鉛としては、天然鱗片状グラファイトの層間に酢酸等の有機酸を挿入(処理)したものが好ましい。特に、粒子径が150〜500μmで、膨張容積が150〜300ml/gであるものが好ましい。
【0086】
(a)成分と難燃剤の混合比は、通常(a)成分100重量部に対し、難燃剤を5重量部〜100重量部(好ましくは10重量部〜50重量部)程度とすればよい。
【0087】
本発明の蓄熱層の製造方法は、(a)成分、(b)成分と、(c−1)成分、(c−2)成分、また必要によりその他の成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させることを特徴とするものである。
製造方法としては、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分、(c−2)成分、必要に応じその他の成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させる方法、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分(または(c−2)成分)、必要に応じその他の成分を混合し、(c−2)成分(または(c−1)成分)を添加することにより反応させる方法等が挙げられる。
反応温度は、特に限定されないが、(a)成分の相変化温度以上とすることが好ましく、使用する(a)成分の種類によって異なるが、通常20℃〜80℃程度であればよい。また、反応時間は通常0.2〜5時間程度とすればよい。
また、反応を促進するため、上記反応促進剤や、熱、光等のエネルギーを与えることができる。
【0088】
また、(d)成分を含有する場合、(a)成分、(b)成分、(d)成分と、(c−1)成分、(c−2)成分、また必要によりその他の成分を混合し、(a)成分をコロイド分散させ、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させることが好ましい。具体的には、(a)成分、(b)成分、(d)成分、(c−1)成分、(c−2)成分、必要に応じその他の成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させる方法、(a)成分、(b)成分、(d)成分、(c−1)成分(または(c−2)成分)、必要に応じその他の成分を混合し、(c−2)成分(または(c−1)成分)を添加することにより反応させる方法等が挙げられる。
このような方法では、(c−1)成分及び/または(c−2)成分中に(a)成分が、微細なコロイド状に分散した状態をつくりだし、そのような状態から(c−1)成分と(c−2)成分を反応させることにより、(c)成分中に(a)成分が、微細に分散した蓄熱層を製造することができる。
このような製造方法では、(a)成分の含有率をより高くすることができる。また、(a)成分が、微細に均一に分散した状態であるため、垂直に固定化した場合でも蓄熱材の偏りがなく、(a)成分の固液変化に伴う体積変化による蓄熱層自体の形状変化を軽減することもできるため、好ましい。
【0089】
(d)成分を含有し、微細なコロイド状に分散した状態をつくりだす方法では、反応前の状態において、(a)成分が、粒子径10μm〜1000μm(好ましくは50μm〜900μm、さらに好ましくは100μm〜800μm)程度の大きさのコロイド状に分散した状態であることが好ましい。このような状態から(c−1)成分と(c−2)成分を反応させることにより、(a)成分が微細に分散した蓄熱層を得ることができる。
【0090】
なお、粒子径は、光学顕微鏡(BHT−364M、オリンパス光学工業株式会社製)を用いて測定した値である。
【0091】
本発明の蓄熱層の製造は、特に限定されず、常法により製造すればよい。例えば、押出し成形、型枠成形等により蓄熱層を製造してもよいし、各種基材にスプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗り、コテ塗り、流し込み等の公知の方法で塗付形成して、蓄熱層を製造してもよい。
【0092】
<面状発熱体>
本発明の面状発熱体は、特に限定されず、公知の面状発熱体を使用することができる。面状発熱体としては、例えば、ニクロム線を蛇行させて絶縁体表面に配置したもの、電気抵抗発熱体と電極を積層したもの、PTC面状発熱体等が挙げられる。
【0093】
電気抵抗発熱体は、電気抵抗値が1×10Ω・cm以下(好ましくは、1×10Ω・cm以下)であれば、特に限定されるものではないが、樹脂成分と導電性粉末からなるものが好ましい。電気抵抗発熱体の電気抵抗値が1×10Ω・cmより大きい場合は、消費電力量が大きくなるため好ましくない。
【0094】
樹脂成分としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ブチラール樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、合成ゴム等、あアクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等の溶剤可溶型樹脂、NAD型樹脂、水可溶型樹脂、水分散型樹脂、無溶剤型樹脂等、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴム等の有機結合剤あるいはこれらを複合した樹脂等が挙げられる。
本発明では、特に、柔軟性を有する樹脂として、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、合成ゴム等が好ましく用いられる。
【0095】
導電性粉末としては、グラファイト粉末、鱗片状黒鉛、薄片状黒鉛、カーボンナノチューブ等の炭素粉末、グラファイト化された繊維、グラファイトを担持させた繊維等の炭素繊維、銀、金、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、白金、パラジウム、鉄等の金属微粒子、これらの金属微粒子等の導電性成分を繊維表面に担持させた導電性繊維、また金属微粒子をマイカ、雲母、タルク、酸化チタン等の粉末の表面に担持させた導電性粉末、また、フッ素ドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、導電性酸化亜鉛等の導電性酸化物等を使用することができる。
【0096】
電気抵抗発熱体は、上記導電性粉末を上記樹脂中に均一に分散するように混合し、公知の方法で、フィルム状、シート状に形成することにより、製造することができる。
導電性粉末の混合量は、特に限定されないが、電気抵抗発熱体の電気抵抗値を1×10Ω・cm以下に調整できるように混合すればよく、樹脂成分の固形分100重量部に対して、10重量部以上300重量部以下(好ましくは30重量部以上100重量部以下)であることが好ましい。
【0097】
また、電気抵抗値が1×10Ω・cm以下にできる範囲であれば、樹脂成分以外に、必要に応じて、消泡剤、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、変性剤、紫外線吸収剤、硬化剤、硬化触媒、造膜助剤、溶媒等の添加剤を加えることもできる。
【0098】
電気抵抗発熱体の厚さは、3mm以下であることが好ましい。3mmより厚くなると、柔軟性が低下し、また、電気抵抗発熱体に温度ムラが生じやすくなるため、均一な温度に成り難くなる場合がある。
【0099】
電極としては、電気抵抗値が電気抵抗発熱体よりも低いものであれば特に限定されないが、好ましくは、金属微粒子からなる電極および/またはそれら金属微粒子を混合したペーストを用いることができる。金属微粒子としては、特に限定されないが、銀、銅、金、白金等を用いることができる。
【0100】
電極は、公知の方法で、電気抵抗発熱体に積層することができる。例えば、スプレー、ローラー、刷毛塗り、ディップコーティング、スパッタ、蒸着、スクリーン印刷法、ドクターブレード法等で積層することができる。
【0101】
PTC面状発熱体は、PTC(Positive Temperature Coefficient;正の温度係数)特性を利用したもので、例えばポリエステルフイルムやPETフイルム等の樹脂フィルムに、PTC特性を示す特殊発熱インクを印刷することにより形成することができる。特殊発熱インクの材料としては、イットリウム、アンチモン、ランタンなどの希土類元素を微量ドープして半導体化したチタン酸バリウム系セラミックが用いられる。
このようなPTC面状発熱体は、PTC特性によって、通電すると素早く昇温し、所定温度に達し、自ら温度を制御、維持することができるため、センサー・コントローラー等を使用しなくてもよい。
【0102】
また、このPTC面状発熱体は、前記特殊発熱インクによる印刷方式であるため、薄型に形成でき、従って軽量化及び薄型化を図ることができる。更に、このPTC面状発熱体は、電源を入れてから所定温度になるまでは抵抗値が低く、昇温に要する消費電力を抑えることができ、さらに所定温度に達すると自己制御機能により消費電力を抑えることができるため、効率的に暖房できる。
【0103】
<床材層>
本発明の床材層としては、塩化ビニル、ポリオレフィン等の樹脂タイル及び樹脂シート、一枚板、フローリング材、合板、パーティクルボード、コルクタイル等の木質材料、繊維質材料、磁器タイル等のセラミックス材料、大理石、御影石、テラゾー等の石材料、モルタル等のコンクリート材料、ゴムやリノリウム等の天然樹脂タイル及び天然樹脂シート等を使用することができる。また畳、カーペット、じゅうたん等も床材層として使用することができる。本発明では、特に、耐熱性を有するものが、より好ましい。
【0104】
<床暖房構造体の形成方法>
本発明の床暖房構造体を形成する方法としては、例えば、予め、温度センサー、蓄熱層、面状発熱層、床材層からなる床暖房パネルを作製しておき、基材(コンクリート、モルタル等)や既存のフローリングの上に積層する方法、基材や既存のフローリングの上に、温度センサー、蓄熱層、面状発熱層、床材層を順に積層する方法等が挙げられる。
具体的には、上述した製造方法により得られた蓄熱層の上側に面状発熱層を、また、蓄熱層の下側に温度センサーを設置し、さらに、面状発熱層の上側に床材層を公知の接着剤や接着テープ等で貼着して、床暖房パネルを作製し、基材や既存のフローリングの上に公知の接着剤や接着テープを介して積層する方法等が挙げられる。
なお、面状発熱層による発熱を制御するための温度制御装置は、温度センサー及び面状発熱層と接続されており、温度センサーで検出された温度が温度制御装置に伝えられ、面状発熱層による発熱を制御できる仕組みとなっており、温度制御装置は、床材層の上側また壁面等、操作しやすい箇所にあればよい。
【0105】
蓄熱層の厚さは、通常1mm〜20mm、さらには2mm〜15mm程度、面状発熱体の厚さは、通常5mm以下、さらには3mm以下程度、床材層の厚さは、通常1〜20mm、好ましくは2〜15mm程度であればよい。蓄熱層が厚すぎる場合は、蓄熱層に熱が蓄えられるまでの時間が必要となり、即効性に欠ける場合があり、また、過剰な消費電力も必要となる場合がある。
【0106】
また、床暖房構造体全体の厚さは、通常40mm以下、本発明では特に25mm以下、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下であることが好ましい。床暖房構造体を薄膜化することによって、軽量化でき、簡便に施工することができるとともに、特にリフォームにおいては、施工後、居住空間が圧迫されることがなく快適な居住空間を維持することができる。
また、本発明床暖房構造体は、優れた蓄熱性能を有するため、薄膜でも床暖房運転時の床下への熱の移動を抑制し、また、床暖房停止後の、室内温度および床温度の温度の急激な低下を防ぐことができる。したがって、消費電力量を抑え、かつ、快適な居住環境を維持することができる。
【0107】
<耐熱層>
本発明の床暖房構造体は、耐熱層を積層することもでき、特に、蓄熱層と面状発熱体の間に積層することが好ましい。
耐熱層を積層することにより、電熱線などの過剰な温度上昇等に対して、蓄熱層の変形等を抑えることができる。
耐熱層としては、例えば、耐熱温度が100℃以上のガラス層、金属層、耐熱樹脂層等が挙げられる。本発明では薄型であることを考慮し、耐熱層の厚みは、5mm以下であることが好ましい。
なお、本発明でいう耐熱温度とは、耐熱層が変形しない上限温度のことをいう。つまり、耐熱温度より高くなると耐熱層が変形する可能性がある。
【0108】
ガラス層としては、例えば、ガラス板、または、ガラス繊維が、網目状、斑点状、あるいは、ランダムに配列されたガラス繊維質層等が挙げられる。
【0109】
金属層としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、ニッケル、ビスマス、スズ、コバルトから選ばれる一種以上の金属、または、これら金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびこれらの複合物から選ばれる一種以上を含むものが挙げられる。
【0110】
耐熱樹脂層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の合成樹脂のうち1種または2種以上を板状、フィルム状に形成したもの等が挙げられる。
【0111】
このような耐熱層を積層することによって、温度の過剰な上昇に伴う、蓄熱層の変形や燃焼を抑えることができる。さらに、蓄熱層の変形に伴う潜熱蓄熱材の漏れを防止することができる。
また、このような耐熱層には、床面全面を均一の温度にする均熱効果もあり、例えば、床面の一部に面状発熱体を積層した場合の局所的な温度上昇を、床面全面に広げることができる。特に金属層のような熱伝導率の高い層を積層することによって、より優れた均熱効果を発揮することができる。
また、熱伝導率の低いガラス層、耐熱樹脂層を積層することにより、急激な温度上昇を防止することもできる。
本発明では、耐熱性に加えて、均熱効果、急激な温度上昇防止効果も考慮し、金属層と、ガラス層及び/または耐熱樹脂層を積層した耐熱層、さらには、金属層とガラス層を積層した耐熱層を好適に適用することができる。また、金属層と、ガラス層及び/または耐熱樹脂層を2層さらには3層以上で積層してもよい。
【0112】
本発明では、耐熱層として、金属層と、ガラス層及び/または耐熱樹脂層を積層したものを使用した場合、少なくとも、蓄熱層側に、ガラス層または耐熱樹脂層が積層されるように耐熱層を積層することが好ましい。
【0113】
耐熱層を積層する方法としては、特に限定されないが、予め蓄熱層と耐熱層を積層したものを上述の方法で積層する方法、蓄熱層を積層した後に耐熱層を積層する方法、予め面状発熱体と耐熱層を積層したものを上述の方法で積層する方法等が挙げられる。
耐熱層は、少なくとも面状発熱体を積層する箇所において積層されていればよく、蓄熱層全面に積層してもよい。
【0114】
<断熱層>
本発明では、さらに断熱層を積層することもできる。
断熱層を積層することにより、外部の温度変化を緩和するとともに、面状発熱体で発熱した熱を外部に逃し難く、効率良く、床面を暖めることができる。
【0115】
断熱層を積層する箇所としては、特に限定されないが、基材や既存のフローリングと蓄熱層の間が好ましい。また、新たに断熱層を積層することもできるが、既に存在する断熱層を用いてもよい。
【0116】
断熱層としては、特に限定されないが、熱伝導率が0.1W/(m・K)未満(より好ましくは0.08W/(m・K)以下、さらに好ましくは0.05W/(m・K)以下)の断熱性を有するものであることが好ましい。熱伝導率が0.1W/(m・K)未満であることにより、優れた断熱性を有する。
【0117】
このような断熱層としては、例えば、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、アクリル樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体、発泡ゴム、グラスウール、ロックウール、発泡セラミック等、あるいはこれらの複合体等が挙げられる。また、市販の断熱層を使用してもよい。
【0118】
断熱層の厚さは、通常1mm以上30mm以下であることが好ましい。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
合板(300×180mm、厚さ5mm)の上に、温度センサー、蓄熱層/耐熱層、面状発熱層、床材層を順に重ね合わせ、試験体を作製した。得られた蓄熱層は柔軟性にも優れ、加工性・施工性に優れていた。
蓄熱層/耐熱層:ステアリン酸メチル(相変化温度38℃、潜熱240kJ/kg)75重量部、有機処理された層状粘土鉱物11重量部、ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤とするプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの重縮合物、水酸基価25mgKOH/g、分子量7000、固形分100%、OH基数:3)8.0重量部、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=13.3、水酸基価240mgKOH/g、OH基数:3)2.0重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(NCO%20.4%、固形分100%)3.0重量部、ジブチル錫ジラウレート1.0重量部を温度50℃で均一に混合し、十分攪拌した。攪拌後、耐熱層(ガラス層/アルミ層、厚さ100μm)を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で60分硬化させ、脱型して、ステアリン酸メチル(蓄熱材)が充填された蓄熱層(厚さ5mm)と耐熱層の積層体(蓄熱層/ガラス層/アルミ層)を得た。なおNCO/OH比率((c−1)と(c−2)の混合比率)は4.0、NCO/OH比率((c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率)は1.2であった。
面状発熱層:シリコンゴム中にニクロム線を蛇行させたシリコンラバーヒーター(300×180mm、厚さ2mm)
床材層:耐熱フローリング(300×180mm、厚さ12mm)
【0120】
(床暖房性能評価)
図1に示すように、内寸が300×180×200mmとなるように、側面及び上面・底面に厚さ25mmのポリスチレンフォームを設置し、底面には試験体の床材層側が内側となるように設置し、試験体ボックスを作製した。
さらに、床表面温度を測定するため、図1に示すように、床材表面の中心に熱電対を設置した。また、図1に示すように、床表面に温度制御装置(温度調節器変圧器)を取り付け、温度センサー及び面状発熱体と接続した。
この試験体ボックスを恒温器の中に設置し、次の実験を行った。
恒温器中の温度を10℃に設定し、15時間放置した。その後恒温器中の温度を10℃に設定したまま、面状発熱層を加熱した。この際、温度制御装置により、温度センサーにより検知した温度が、38℃を上回ると電源OFF、33℃を下回ると電源ONとなるように設定した。
床暖房性能評価として、床表面温度(熱電対により測定)の変化を測定し図4に示した。測定は6時間行った。
【0121】
(実施例2)
蓄熱層/耐熱層として、下記に示すものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、試験体を作製した。得られた蓄熱層は柔軟性も良好で、加工性・施工性に良好であった。
蓄熱層/耐熱層:ステアリン酸メチル(相変化温度38℃、潜熱240kJ/kg)75重量部、有機処理された層状粘土鉱物11重量部、ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤とするプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの重縮合物、水酸基価25mgKOH/g、分子量7000、固形分100%、OH基数:3)10.4重量部、ジフェニルメタンジイソシアネート(NCO%31.0%、固形分100%)3.1重量部、ジブチル錫ジラウレート0.5重量部を温度50℃で均一に混合し、十分攪拌した。攪拌後、耐熱層(ガラス層/アルミ層、厚さ100μm)を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で60分硬化させ、脱型して、ステアリン酸メチル(蓄熱材)が充填された蓄熱層(厚さ5mm)と耐熱層の積層体(蓄熱層/ガラス層/アルミ層)を得た。なおNCO/OH比率((c−1)と(c−2)の混合比率)は5.0、NCO/OH比率((c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率)は5.0であった。
床暖房性能評価については、実施例1とほぼ同様の結果を示した。
【0122】
(実施例3)
蓄熱層/耐熱層として、下記に示すものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、試験体を作製した。得られた蓄熱層は柔軟性に特に優れており、加工性・施工性に優れていた。
蓄熱層/耐熱層:ステアリン酸メチル(相変化温度38℃、潜熱240kJ/kg)70重量部、有機処理された層状粘土鉱物11重量部、ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤とするプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの重縮合物、水酸基価25mgKOH/g、分子量7000、固形分100%、OH基数:3)12.5重量部、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=16.7、水酸基価100mgKOH/g、OH基数:3)3.0重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(NCO%20.4%、固形分100%)3.3重量部、ジブチル錫ジラウレート0.2重量部を温度50℃で均一に混合し、十分攪拌した。攪拌後、耐熱層(ガラス層/アルミ層、厚さ100μm)を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で60分硬化させ、脱型して、ステアリン酸メチル(蓄熱材)が充填された蓄熱層(厚さ5mm)と耐熱層の積層体(蓄熱層/ガラス層/アルミ層)を得た。なおNCO/OH比率((c−1)と(c−2)の混合比率)は2.8、NCO/OH比率((c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率)は1.4であった。
床暖房性能評価については、実施例1とほぼ同様の結果を示した。
【0123】
(実施例4)
蓄熱層/耐熱層として、下記に示すものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、試験体を作製した。得られた蓄熱層は柔軟性に特に優れており、加工性・施工性に優れていた。
蓄熱層/耐熱層:ステアリン酸メチル(相変化温度38℃、潜熱240kJ/kg)70重量部、有機処理された層状粘土鉱物11重量部、ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤とするプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの重縮合物、水酸基価30mgKOH/g、分子量6000、固形分100%、OH基数:3)12.3重量部、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=15.0、水酸基価75mgKOH/g、OH基数:3)3.0重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(NCO%16.0%、固形分100%)3.5重量部、ジブチル錫ジラウレート0.2重量部を温度50℃で均一に混合し、十分攪拌した。攪拌後、耐熱層(ガラス層/アルミ層、厚さ100μm)を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で60分硬化させ、脱型して、ステアリン酸メチル(蓄熱材)が充填された蓄熱層(厚さ5mm)と耐熱層の積層体(蓄熱層/ガラス層/アルミ層)を得た。なおNCO/OH比率((c−1)と(c−2)の混合比率)は2.0、NCO/OH比率((c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率)は1.3であった。
床暖房性能評価については、実施例1とほぼ同様の結果を示した。
【0124】
(実施例5)
蓄熱層/耐熱層として、下記に示すものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、試験体を作製した。得られた蓄熱層は、加工性・施工性に良好であった。
蓄熱層/耐熱層:ステアリン酸メチル(相変化温度38℃、潜熱240kJ/kg)75重量部、有機処理された層状粘土鉱物11重量部、ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤とするプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの重縮合物、水酸基価25mgKOH/g、分子量7000、固形分100%、OH基数:3)7.8重量部、ソルビタントリオレート(HLB=1.8、水酸基価62mgKOH/g、OH基数:1)3.5重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(NCO%16.0%、固形分100%)2.2重量部、ジブチル錫ジラウレート0.5重量部を温度50℃で均一に混合し、十分攪拌した。攪拌後、耐熱層(ガラス層/アルミ層、厚さ100μm)を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で60分硬化させ、脱型して、ステアリン酸メチル(蓄熱材)が充填された蓄熱層(厚さ5mm)と耐熱層の積層体(蓄熱層/ガラス層/アルミ層)を得た。なおNCO/OH比率((c−1)と(c−2)の混合比率)は3.0、NCO/OH比率((c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率)は1.4であった。
床暖房性能評価については、実施例1とほぼ同様の結果を示した。
【0125】
(比較例1)
図2に示すように、温度センサーの位置以外は、実施例1と同様の方法で、試験体を作製し、床暖房性能評価を行った。結果は、図4に示した。このような床暖房構造では、十分な蓄熱性能が発揮できず、電源ON−OFFサイクルが短く、省エネ効果が十分発揮できなかった。
【0126】
(比較例2)
図3に示すように、合板(300×180mm、厚さ5mm)の上に、面状発熱層、温度センサー、蓄熱層/耐熱層、床材層を順に重ね合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、試験体を作製し、床暖房性能評価を行った。結果は、図4に示した。このような床暖房構造では、床表面における立ち上がりからの温度上昇が緩やかとなり、即効性に欠けてしまった。
【0127】
(比較例3)
蓄熱層/耐熱層として、下記に示すものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、試験体を作製した。
蓄熱層/耐熱層:ステアリン酸メチル(相変化温度38℃、潜熱240kJ/kg)70重量部、有機処理された層状粘土鉱物11重量部、ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤とするプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの重縮合物、水酸基価55mgKOH/g、分子量3000、固形分100%、OH基数:3)11.8重量部、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=16.7、水酸基価100mgKOH/g、OH基数:3)3.0重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(NCO%16.0%、固形分100%)4.0重量部、ジブチル錫ジラウレート0.2重量部を温度50℃で均一に混合し、十分攪拌した。攪拌後、耐熱層(ガラス層/アルミ層、厚さ100μm)を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で60分硬化させ、脱型して、ステアリン酸メチル(蓄熱材)が充填された蓄熱層(厚さ5mm)と耐熱層の積層体(蓄熱層/ガラス層/アルミ層)を得た。なおNCO/OH比率((c−1)と(c−2)の混合比率)は1.3、NCO/OH比率((c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率)は0.9であった。
床暖房性能評価については、蓄熱材の漏れがみられたため実施していない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱層の上側に、面状発熱体、床材層が順に積層された床暖房構造体であって、
蓄熱層が、有機潜熱蓄熱材(a)、有機処理された層状粘土鉱物(b)、1分子中に3以上のOH基を有し、水酸基価が15KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であるポリオール(c−1)、イソシアネート化合物(c−2)を含み、(c−1)と(c−2)の混合比率がNCO/OH比率で1.5以上8.0以下であり、
温度制御のための温度センサーが、蓄熱層の下側に設置されてなることを特徴とする床暖房構造体。
【請求項2】
蓄熱層が、有機潜熱蓄熱材(a)、有機処理された層状粘土鉱物(b)、1分子中に3以上のOH基を有し、水酸基価が15KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であるポリオール(c−1)、イソシアネート化合物(c−2)、非イオン性界面活性剤(d)を含み、(c−1)と(c−2)の混合比率がNCO/OH比率で1.5以上8.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の床暖房構造体。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤(d)が、1分子中に少なくとも2以上のOH基を有する非イオン性界面活性剤(d)であり、(c−1)及び(d)の合計量と(c−2)の混合比率が、NCO/OH比率で1.0以上1.5未満であることを特徴とする請求項2に記載の床暖房構造体。
【請求項4】
蓄熱層と面状発熱体との間に、耐熱層が積層されてなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の床暖房構造体。
【請求項5】
蓄熱層の厚さが、1mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の床暖房構造体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−137626(P2011−137626A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268915(P2010−268915)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(599071496)ベック株式会社 (98)
【Fターム(参考)】