説明

床材及びその製造方法

【課題】簡易な構成で電気機器を収容でき、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性があり、同時に重量物の重さに耐えることができ、しかも、電気機器の配線作業を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】床材1は、上層2と、下層3と、上層2と下層3との間に設けられる枠材4とを有し、かつ、上層2、下層3、及び枠材4を合成樹脂により構成し、上層2と枠材4とを接合し、かつ枠材4と下層3とを接合することで、上層2、枠材4、及び下層3とにより内部に電気機器Eを収容する収容部5が形成されてなる床材本体1aを備える。床材本体1aは、他の床材1に連結される連結部7と、他の床材本体1aの電気機器Eと電気的に接続可能な接続部8とをさらに備えるとともに、接続部8は、前記連結部7を他の床材1に対して連結されることにより、当該他の床材1の電気機器Eと電気的に接続されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に電気機器を収容可能な床材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、表面をガラス材(床ガラス)で構成するとともに、内部に照明機器を収容して、その照明により歩行者を誘導できるようにしたガラス床(以下、単に「床材」という)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この床材は、所定の手順で組み立てられるガラス床ユニットにより構成される。このガラス床ユニットは、以下のような手順で組み立てられる。
【0004】
まず、二本の長尺支分支持枠2a,2aと、二本の短尺支分支持枠2b,2bを平面から長方形の辺に沿った状態に配置し、L字状の接続部材でその四隅を接続する。
【0005】
このようにして構成される支持枠2の下部に、LED5bを配した取付台5aが載置された面材3dが設けられ、支持枠2の上部には、LED5bの光を透過する床ガラス4が載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−332538号公報(段落0077〜0083)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の床材は、長尺支分支持枠、短尺支分支持枠、接続部材、面材、ガラス床といった複数の部材を、複数の手順で組み立てるため、組立作業が煩雑であり、製造コストも高くなってしまっていた。また、マンション等の集合住宅などでは、コンクリートやモルタルの下地面に床材が敷設される場合が多い。コンクリートやモルタルの下地面は、比較的平滑であるように見えても不陸がある場合が多い。
【0008】
しかし、支持枠に剛性の高いアルミニウムや木材を使用した場合、比較的小さな不陸(2mm〜8mmの範囲)でも下地面と床板との間の不陸を吸収することができず、ガタついてしまうという欠点は避けられない。ガタつきが生じると、床鳴りの発生や、歩行感が悪くなる、床材同士の繋ぎ目に段差を生じる、外観上綺麗に仕上がらないといった不都合を生じることとなる。
【0009】
特に、床材同士の繋ぎ目に段差を生じると、歩行感が不安定となるばかりでなく、つまずきやすくなる為、安全上も好ましくない。このため、良好な床材敷設のために床材には、下地面と床板との間の不陸を吸収する、所謂「不陸追随性」が必要となる。また、あらかじめ敷設した緩衝マット上に床材を敷設して不陸を吸収させることが考えられるが、施工時間や施工コストが嵩むといった不都合を生じる上、床面が必要以上に高くなる、床材同士の連結が困難となるなどの不都合を生じる場合がある。
【0010】
一方、ガタつく欠点を抑えるために、軟質の枠体を使用した場合、不陸のある床面に敷設すると、枠体が軟質のために重量物の重さに耐えることができないといった不都合を生じることとなる。
【0011】
加えて、内部に収容した照明機器などの電気回路を電源や他の電気回路と接続をする必要がある場合、配線接続や配線の取り回しのための配線作業が煩雑で面倒である。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で電気機器を収容でき、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性があり、同時に重量物の重さに耐えることができ、しかも、電気機器の配線作業を容易に行うことが可能な床材及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材とを有し、かつ、上層、下層、及び枠材を合成樹脂により構成し、上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材、及び下層とにより内部に電気機器を収容する収容部が形成されてなる床材本体を備える床材であって、前記床材本体は、他の床材に連結される連結部と、他の床材本体の電気機器と電気的に接続可能な接続部とをさらに備えるとともに、前記接続部は、前記連結部を他の床材に対して連結されることにより、当該他の床材の電気機器と電気的に接続されるように構成されてなることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、上層と枠材とを接合し、この枠材と下層とを接合することによって、内部に電気機器を収容する収容部を有する床材本体を形成することにより、重量物の重さに耐えることができる高強度の床材を容易に製造することができるようになる。また、下層を合成樹脂によって構成できるので、その厚さ、硬度を適宜調整することで、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性に優れた床材を容易に製造できるようになる。
【0015】
しかも、連結部を介して床材本体を他の床材に連結することによって、床材本体内の電気機器が、接続部を介して他の床材の電気機器と電気的に接続されるため、接続作業を簡略化することができ、接続作業を容易に行うことができるようになる。
【0016】
なお、本発明における「接合」には、例えば、上層と枠材、枠材と下層を、接着材を介して一体に固着する場合、溶剤による溶着、熱溶着等の溶着によって一体に固着する場合等が含まれる。
【0017】
また、本発明に係る床材は、前記連結部が、他の床材の一部と重なることができるように、枠材の側部から側方に突出する突起部であることが望ましい。
【0018】
かかる構成によれば、突起部である連結部が他の床材の一部と重なることによって、当該他の床材と連結されるようになる。
【0019】
また、本発明に係る床材は、前記連結部が枠材の側部に設けられており、枠材は、他の床材との間で防水する防水手段を介して当該他の床材と連結可能に構成されることが望ましい。
【0020】
かかる構成によれば、床材と床材の間を防水することができ、漏電等を防止できるとともに、床材の劣化を防止して長寿命化を実現できる。
【0021】
また、本発明に係る床材は、前記接続部が水平方向に面する電極面を有する構成を採用できる。
【0022】
かかる構成によれば、水平方向を向く電極面を他の床材の電極面に接触させるだけで、複数の床材の電気機器同士を電気的に接続できるようになる。これにより、床材の電気機器の接続作業を容易に行うことができる。
【0023】
また、本発明に係る床材は、前記接続部が上方に面する電極面又は下方に面する電極面を有する構成を採用できる。
【0024】
かかる構成によれば、接続部の電極面を上下に重ねるだけで、複数の床材の電気機器同士を電気的に接続できるようになる。これにより、床材の電気機器の接続作業を容易に行うことができる。
【0025】
また、本発明に係る床材は、前記防水手段が連結部に密着可能なパッキンである構成を採用できる。
【0026】
かかる構成によれば、床材間の防水を確実に行うことができるようになる。
【0027】
また、本発明に係る床材は、前記防水手段が連結部に密着可能な目地棒である構成を採用できる。
【0028】
かかる構成によれば、防水手段として目地棒を用いることによって、防水とともに床材間を意匠的に見栄え良く構成することができるようになる。
【0029】
また、本発明は、上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材を備えるとともに、内部に電気機器を収容可能な床材の製造方法であって、上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材、及び下層とにより内部に電気機器を収容する収容部を有する床材本体を形成し、前記床材本体に、他の床材に連結される連結部と、他の床材本体の電気機器と電気的に接続可能な接続部とを形成し、前記連結部を他の床材に対して連結されることにより、前記接続部が当該他の床材の電気機器と電気的に接続されるようにすべく、この床材本体の側部から側方に接続部を突出させることを特徴とする。
【0030】
かかる方法によれば、上層と枠材とを接合し、この枠材と下層とを接合することによって、内部に電気機器を収容する収容部を有する床材本体を形成することにより、重量物の重さに耐えることができる高強度の床材を容易に製造することができるようになる。また、下層を合成樹脂によって構成できるので、その厚さ、硬度を適宜調整することで、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性に優れた床材を容易に製造できるようになる。
【0031】
しかも、連結部によって床材を他の床材と連結するだけで、他の床材の電気機器への電気的な接続が行われるため、床材同士の接続作業を容易に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、簡易な構成で電気機器を収容でき、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性があり、同時に重量物の重さに耐えることができ、しかも電気機器の配線作業を容易に行うことが可能な床材を容易に製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】床材の第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】同じく枠材の平面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は、防水手段であるパッキンの例を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)は、複数の床材を施工した場合の状態を示す平面図である。
【図5】複数の床材を床面に敷設した場合の平面図である。
【図6】枠材の変形例を示す部分断面図である。
【図7】床材の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図8】同じく枠材の平面図である。
【図9】床材の第3実施形態を示す縦断面図である。
【図10】床材の第4実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。図1〜図4は、本発明に係る床材の一実施形態を示す。
【0035】
図1に示すように、床材1は、所定の電気機器Eを内部に収容できるように構成される。ここで、電気機器Eとは、電気を用いて所定の機能を発揮する機器を全て含む。この電気機器Eには、例えば、照明機器、冷暖房機器、音響機器、センサ、床発電基板その他の各種機能を発揮する回路基板、電子機器等が該当する。
【0036】
この床材1は、上層2、下層3、上層2と下層3との間に設けられる枠材4を有する床材本体1aを備える。この床材本体1aの内部には、電気機器Eを収容可能な収容部5が形成されている。この収容部には、及び電気機器Eを保護するための保護部材6が備えられている。床材本体1aの側部には、他の床材本体1aと連結可能な連結部7と、他の床材本体1に収容されている電気機器Eとの電気的な接続を可能にする接続部8が設けられている。
【0037】
上層2は、その表面(上面)2aが床面を構成するものであり、合成樹脂によって例えば平面視四角形状に構成される。この上層2としては、タイルカーペット(TCP)、樹脂系タイルが用いられる。上層2にタイルカーペットが利用される場合は、パイル素材としてナイロン、PP、アクリル、PET、ウール等の素材を利用したタフテッド形状、織形状、ニードルパンチ形状のものが使用される。
【0038】
また、バッキング材として、PVC、ポリエステル、合成ゴム、EVA、オレフィンその他の種々の材料を使用できる。また、タイルカーペットからなる上層2は、構造上、寸法を安定させるべく、ガラス繊維、ガラスネット等の材料を含んでいてもよい。この場合の上層2の厚さは、2〜12mmが望ましく、より望ましくは、3〜10mmである。
【0039】
上層2に樹脂系タイルが利用される場合は、その材料として、全ての熱可塑性樹脂が使用可能だが、特に塩化ビニル、ゴム、オレフィン系の熱可塑性樹脂が耐久性、不陸追随性などの観点から好適に使用される。また、その構成として、クリア層、印刷層、中間層、基層の組み合わせを含むプリント層を有するもの、チップ散布や無地のような樹脂練り込みや散布手法等の意匠表現を利用したものが耐久性、意匠性の観点から望ましい。この場合の上層2の厚さは、0.5〜7mmが望ましく、より望ましくは、1〜5mmである。また、上層2に塩化ビニルが使用される場合には、その硬度はショア硬度A40〜100である。また、中間層ないしは下層にガラス繊維やガラスネット等を設けることにより、上部からの圧力に対する強度が増すので床材に収容される回路を保護する効果が増す上、タイルの温度変化に対する寸法安定性を確保することが出来る。
【0040】
下層3は、その下面(外面)3bが床材1の設置面に接触するため、その機能として、収容部5に収容された電気機器Eを保護すること、不陸追従性、接着性等が求められる。このため、下層3は、例えば軟質塩化ビニル等の合成樹脂によってシート状に構成されることが望ましい。下層3は、上層2と同じように平面視四角形状に形成されている。この場合の下層3の厚さは、0.1〜3mmが望ましく、より望ましくは、0.5〜2mmである。下層3の厚さが薄すぎると電気機器Eの保護が不充分となる虞があり、厚すぎると充分な不陸追随性が得られなくなる虞がある。
【0041】
下層3における可塑剤の添加量は、5〜70phr程度が望ましく、より望ましくは10〜60phrである。可塑剤の添加量が少なすぎると樹脂の柔軟性が低下して充分な不陸追随性が得られなくなる場合があり、逆に添加量が多すぎると樹脂が柔らかくなり過ぎて電気機器Eの保護が不充分となる虞がある。また、フィラーの添加量は、引裂等の機械的強度特性を考慮して、20〜500phrが望ましく、より望ましくは、50〜150phrである。フィラーの添加量が少なすぎると、寸法安定性、感温性、可撓性、機械的強度が低下する虞がある。ここで云う感温性の低下とは、床材が低温下で硬くなりすぎて、不陸追随性が悪くなる現象を意味する。特に、機械的強度が低くなり過ぎると、電気機器Eの保護が不充分となる虞がある。逆に添加量が多すぎると樹脂硬度が高くなり充分な不陸追随性が得られなくなる場合がある。
また、下層3をニードルパンチ、フェルト等による不織布で構成してもよい。この場合の下層3の厚さは、0.5〜10mmが望ましく、より望ましくは、1〜5mmである。下層3を不織布で構成するか、下面3bに凹凸(エンボス)を形成することにより、施工時の位置ずれの防止効果や、接着剤や粘着剤を用いて敷設する際に接着剤の食い付き性向上効果を得ることができる。特に、接着剤の食い付き性が向上すると、下地面との密着性が向上するので、不陸追随性をさらに高めることができる。
【0042】
下層3の下面(外面)3bに、滑り止めの手段として、粘着剤や、発泡体からなる吸着材、ゴム・オレフィン系エラストマー、両面粘着テープを積層してもよい。これによって、床材1を設置面に置いたときに、これらを接触させることで、床材1を、設置面に対して滑ることなく固定することができる。
【0043】
粘着剤、吸着材、エラストマー、両面粘着テープによる敷設は、接着剤を使用した施工に比べて、一旦下地面に貼着した床材を剥がすことは容易であり、施工時に一旦貼った床材の位置を修正することも非常に容易である点が優れている。この為、吸着材や粘着材による敷設は、置敷きタイルやタイルカーペットなどの施工に広く用いられている。
【0044】
特に、吸着材、エラストマー、両面粘着テープによる施工は、あらかじめ床材を製造する工場で床材裏面に貼っておき、現場で接着剤や粘着剤を塗布・乾燥する工程を省くことができる。現場での塗布・乾燥する工程を省くことができると、作業時間と工数が大幅に削減できるので、施工効率が格段に向上する。
【0045】
しかしながら、粘着剤、吸着材、エラストマー、両面粘着テープによる施工は、貼着した床材を剥がすことは容易な反面、下地に不陸や段差がある場合、床材がその不陸に追随できないと、踏まれた時だけ一時的に凹部に付き、その後離れるといった動きを繰り返し、粘着質の不快な床鳴りの発生原因となってしまう。本発明の構成を用いると、電気機器を収容しているにも係わらず、下地の不陸への追随性を確保することが可能なので、不快な床鳴りの発生を抑えることが可能となる。
【0046】
枠材4は、上層2よりも硬質の合成樹脂により構成される。枠材4の硬度は、ショア硬度D50〜100が望ましく、より望ましくはD60〜85である。枠材4の硬度が低すぎると床材が踏まれた際に枠体4が変形し収容した電気機器が破損する虞があり、硬度が高すぎると不陸追随性が低下する場合がある。
【0047】
枠材4に上層2及び下層3を接合することにより、収容部5が形成される。上記接合を行う手段は特に限定されないが、例えば、溶着、接着等を挙げることができ、特に接合力の強く床材全体の強度を強く保つことができる溶着が望ましい。また、溶着による加工は、不陸追随の際に床材全体が変形しても剥離する虞が少ないので、本発明に好適に利用できる。特に、溶着による接合は、長期間に渡って安定的に高い強度で密閉性を保つことができる。このため、粉塵等が多く存在する場所又は高湿度の環境などで使用する場合であっても、周囲の粉塵、水分などが床材内部に侵入せず、収容された電気機器の信頼性を低下させることなく長期間使用することができる。また、設備が安価で、高い生産性を示す点でも、溶着により接合することが好ましい。
【0048】
溶着方法としては、溶剤によるものと、加熱によるものがあるが、加工が容易な上、接合強度が固い加熱方式が本発明に好適に利用できる。上記溶着としては、高周波ウェルダー装置による溶着、高圧プレス機による溶着、超音波ウェルダー装置による溶着、ヒートシール、等の局所的に可能な加熱溶着が挙げられる。このような局所的に可能な加熱溶着は、床材内部に収容された電気機器に伝わる熱を最小限に留めて損傷することなく、高い強度で接合を行うことができる。局所的に可能な加熱溶着としては、なかでも、高周波ウェルダー装置による溶着が好ましい。
【0049】
高周波ウェルダー装置による加熱溶着加工とは、材料を電極間に配置して高周波電圧を加えて、分子同士の激しい摩擦によって生ずる発熱を利用して材料を加熱、押圧するものである。高周波ウェルダー装置を用いると、多様な装置が市販されているために、溶着の範囲や強度等様々な形態の溶着に対応することが容易であり、また、溶着を行いたい箇所のみを集中的に加熱することができるために、製造時に内部の電気機器が損傷することを抑制することができる。高周波ウェルダー装置としては、KW−4000T(精電舎電子工業株式会社製)、LW5500−APH(クインライト電子精工株式会社製)、VW5000(山本ビニター株式会社製)などが例示される。かかる高周波ウェルダー装置は、シート載置台の上方に、昇降可能な細長いバーを有するものである。シート載置台の上に、被溶着物であるシートを重ね合わせ、その上に、貼り合わせたい部分の形に応じた形の押型又は切型をバーに付けて、シートの下に絶縁体(シート下敷)を載置して、バーを降ろして金型にシートを接触させ、一定出力の特定周波数の高周波電流を印加して誘電溶着を行う。溶着する部分の端を切り落としたい場合は、下方外側が、一般に使われる空気物の刃(型)よりもやや鋭角になっている切り刃(型)の切型を用い、溶着のみで切断を同時に行わない場合は下方が平坦になっている押型を用いる。
【0050】
加工における温度、圧力、押圧時間、周波数などの条件等は,予備試験を行って所望の強度が得られるように適宜決定すればよいが、本発明では、内部の電気装置への損傷を避けつつ所望の溶着強度を得るために、130〜160℃の温度範囲、1〜100kg/cm2の圧力範囲内の乾熱範囲で、3〜12秒熱間溶着加工を行うのが好ましい。また、電極間に高周波電圧を加える際の周波数は、10〜50MHzの範囲の周波数を用いることが好ましい。10MHz未満では、十分に加熱されず、軟化が不十分となり、50MHzを超える場合は、高周波を発振する発振機が複雑かつ大型になって装置コストが非常に高くなるので経済的に不利となる。
【0051】
加えて、表面材にタイルカーペットを用いる場合、高周波ウェルダー加工と超音波ウェルダー加工を用いると溶着箇所のパイル糸の繊維形態を残して溶融し、前記溶融により生じた溶融接着層の表面に凹凸状に柄をつけ、基布に含浸させて縁部処理することも可能である。特に、高周波ウェルダー装置を用いると、高周波誘電加熱により絶縁体自体を内部発熱させることができるので好適である。パイル糸の繊維形態を残すためには、平滑な床材基板と、その上方に配置され、凹凸面で形成された金型との間に、パイル糸を有する表皮層とバッキング層とを積層したカーペットを挟んで熱溶着加工を行う。前記床材基板と、前記凹凸面で形成された金型の両方に高周波ウェルダー装置の電極を接続し、前記電極間に高周波電圧を加えると、高周波誘電加熱により表皮層のパイル糸が軟化させた後に冷却することで、カーペット表面に凹凸面で形成される立体柄を形成できる。
【0052】
枠材4は、上層2及び下層3に容易に溶着できるように、上層2及び下層3と同じ材料か、又は上層2及び下層3と相溶性の良い材料によって構成される。枠材4の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂等が使用される。
【0053】
また、例えば、枠材4と上層2との間、又は枠材4と下層3との間に、接着層としてEVA系、ポリアミド系、ポリウレタン系等のホットメルト樹脂を別途用いて溶着してもよく、この場合には、接着層によって相溶性の差を緩和することができるので、上層2と枠材4、又は下層3と枠材4を相溶性の低い異なる樹脂材料によって構成してもよい。
【0054】
枠材4の厚さ(図2において符号tで示す)は、上層2に加わる荷重を支持するために十分な強度を確保できるように、そして、床材1内の電気機器Eが十分な機能を発揮できるように、3〜50mmとされるのが望ましく、より望ましくは、5〜30mm、最も望ましくは10〜25mmとされるのがよい。また、枠材4の厚みが厚すぎると不陸追随性も低下する虞があるので好ましくない。
【0055】
枠材4は、収容部を区画するための壁部19を有する。この壁部19には、前記接続部8を挿通可能な挿通孔11が壁部19の厚さ方向に貫通して形成されている。
【0056】
枠材4の側部、具体的には、壁部19の外側面には、前記連結部7が一体に形成されている。より具体的には、連結部7は、他の床材の一部と重なることができるように、枠材4の下部から側方に突出する突起部(以下「第1連結部」という)7aと、枠材4の上部から側方に突出する突起部(以下「第2連結部」という)7bの2種類で構成される。
【0057】
第1連結部7aは、壁部19の外面下部から側方に突出する部分(以下「第1突出部」という)21と、この第1突出部21の突出端部から上方に突出する部分(以下「第2突出部」という)22とを有する。
【0058】
第1突出部21は、その下面が壁部19の下面と面一になるように形成されている。この第1突出部21は、その上面が壁部19の外面の中途部から側方に突出するように形成されている。壁部19の挿通孔11は、その上下方向の位置が、第1突出部21の上面と一致するように設定されている。
【0059】
第2突出部22は、第1突出部21の突出端部に形成されることにより、この第1突出部21を介して壁部19から所定間隔離間した位置で上方に突出している。
【0060】
第2連結部7bは、枠材4の外面上部から側方に突出する部分(以下「第3突出部」という)23と、この第3突出部23の突出端部から下方に突出する部分(以下「第4突出部」という)24とを有する。
【0061】
第3突出部23は、その上面が壁部19の上面と面一になるように形成されている。この第3突出部23は、その下面が壁部19の外面の中途部から側方に突出するように形成されている。壁部19の挿通孔11は、その上下方向の位置が、この第3突出部23の下面に一致するように設定されている。
【0062】
第4突出部24は、第3突出部23の突出端部に形成されることにより、この第3突出部23を介して壁部19から所定間隔離間した位置で下方に突出している。この壁部19と第4突出部24との離間間隔は、前記第2突出部22が壁部19と第4突出部24との間に入るように、前記第2突出部22の厚さ(水平方向における第2突出部22の幅)以上とされることが望ましい。
【0063】
同様に、壁部19と第2突出部22との離間間隔は、第4突出部24が壁部19と第2突出部22との間に入るように、この第4突出部24の厚さ(水平方向における第4突出部24の幅)以上とされていることが望ましい。壁部19、第2突出部22、第4突出部24の一部ないしは全てを弾性の高い樹脂やゴム材のように変形復帰可能な弾性材料とすることによって、壁部19と第2突出部22との離間間隔を第4突出部24の厚さ以下とすることが可能である。この場合、壁部19、第2突出部22の間に第4突出部24が変形復帰によって密着することとなるので、接合後は強固に固定されて外れ難くなるという利点がある。
【0064】
上記のように、床材本体1aに第1連結部7aと第2連結部7bを形成することにより、床材1同士を連結できるようになる。すなわち、床材1は、第1連結部7aの第2突出部22と壁部19の間に、他の床材1の第2連結部7bの第4突出部24が入ることにより、当該他の床材1を横方向に動かないように係止することができる。換言すれば、床材1は、第2連結部7bの第4突出部24と壁部19との間に、他の床材1の第1連結部7aの第2突出部22が入ることにより、当該他の床材1を横方向に動かないように係止することができる。このようにすることで、床材1の敷設作業を容易に行うことができるようになる。
【0065】
枠材4は、図2に示すように、平面視四角形状の環状に形成される。具体的には、枠材4は、例えば、4つの構成部材を接合することで環状に形成される。以下、それぞれの構成部材を、第1枠部材31、第2枠部材32、第3枠部材33、第4枠部材34という。
【0066】
第1枠部材31と第4枠部材34には、第1連結部7aが形成されている。第2枠部材32と第3枠部材33には、第2連結部7bが形成されている。より具体的には、四角形状で環状の枠材4において、その2辺に相当する第1枠部材31及び第4枠部材34に第1連結部7aが形成され、他の2辺に相当する第2枠部材32及び第3枠部材33に第2連結部7bが形成されている。
【0067】
第1枠部材31から第4枠部材34のそれぞれの壁部19には、前記挿通孔11が形成されている。したがって、本実施形態では、四角形状の枠材4の全ての辺に挿通孔11が形成されている。
【0068】
接続部8は、その一部が連結部7と一体に設けられている。接続部8は、床材1同士を電気的に接続するため、又は所定の配線と接続されるために用いられる電極である。この接続部8は、第1連結部7aに対応するもの(以下「第1接続部」という)8aと、第2連結部7bに対応するもの(以下「第2接続部」という)8bとを有する。
【0069】
図1に示すように、第1接続部8aは、金属製の板部材により構成される。この第1接続部8aは、その一端部が収容部5内で電気機器Eに接続され、その他端部が床材本体1aの側部(枠材4の側部)から側方に突出して露出している。第1接続部8aの中途部は、第1枠部材31、第4枠部材34の壁部19に貫通形成されている挿通孔11に挿通されている(図1参照)。
【0070】
第1接続部8aは、その露出する部分が、第1連結部7aの上面に接触するように設けられている。より具体的には、第1接続部8aは、第1突出部21の上面及び第2突出部22の上面(頂面)に接触している。さらに、第1接続部8aは、第2突出部22の上面に接触するように、第2突出部22の突出形状に対応して、その中途部が曲げられている。このような構成により、第1接続部8aは、その下面が第1連結部7aに支持されるとともに、その上面が、上方に面する電極面40aとなっている。
【0071】
第2接続部8bは、第1接続部8aと同様に、金属製の板部材により構成される。この第2接続部8bは、その一端部が収容部5内で電気機器Eに接続され、その他端部が床材本体1aの側部(枠材4の側部)から側方に突出して露出している。第2接続部8bの中途部は、第2枠部材32および第3枠部材33の壁部19に貫通形成されている挿通孔11に挿通されている(図1参照)。
【0072】
第2接続部8bは、その露出する部分が、第2連結部7bの下面に接触するように設けられている。より具体的には、第2接続部8bは、第3突出部23の下面及び第4突出部24の下面に接触している。さらに、第2接続部8bは、第4突出部24の下面に接触するように、第4突出部24の突出形状に応じてその中途部が曲げられている。このような構成により、第2接続部8bは、その上面が第2連結部7bに覆われるとともに、その下面が、下方に面する電極面40bとなっている。
【0073】
上記のように、接続部8が連結部7と接触して設けられていることから、床材1同士を連結することにより、床材1間の電気機器Eの接続を容易に行うことができる。すなわち、ある床材1の第1連結部7aを他の床材1の第2連結部7bと重ねたとき、この第1連結部7aの第1接続部8aの電極面40aが、他の床材1の第2接続部8bの電極面40bと接触する。これにより、床材1同士を連結するだけで、電気機器Eの電気的接続も為されるため、接続作業を容易に行うことができる。本構成においては、電極面が横方向と縦方向の2方向で接続しているため、床材1間におけるずれや歪みに対応して電極間の接続を保つことができる。さらに、電極面40a、40bに電気接点に一般に用いられるバネ構造や係合構成を持たせて、接続時により安定した電気接続状態となるように構成しても良い。
【0074】
枠材4は、壁部19の上下方向の一端面(上面)が上層2に接合される接合面(以下「第1接合面」という)4bとなっている。また、枠材4は、壁部19の上下方向の他端面(下面)が下層3に接合される接合面(以下「第2接合面」という)4cとなっている。第1接合面4bは、溶着によって上層2の裏面(下面)2bに接合され、第2溶着面4cは、溶着によって下層3の表面(上面)3aに接合される。上層2、枠材4、及び下層3が溶着によって接合加工されることによって、一体の箱状の樹脂構造体となるので、上下方向からの圧力にも潰れにくいが、一体で変形するので一定範囲の不陸追随も可能となる。
【0075】
収容部5は、上層2、枠材4、及び下層3の内側に形成される空間である。より具体的には、収容部5は、上層2の裏面(下面)2bと枠材4の第1接合面4cとを溶着し、枠材4の第2接合面4cと下層3の表面(上面)3aとを溶着することにより、上層2の裏面(下面)2b、枠材4の内側面4d、及び下層3の表面(上面)3aによって囲まれることで形成される床材1の内部空間である。
【0076】
この収容部5において、収容される電気機器Eの側面と、枠材4の内側面4dとの間には隙間(間隔)13が設けられていることが望ましい。この隙間13により、電気機器Eの熱によって膨張した場合や、寸法誤差がある場合であっても、電気機器Eや枠材4に不要な応力が生じることなく、長期かつ確実に電気機器Eを収容することができる。なお、この隙間(間隔)13は、0.5〜5mmが望ましく、より望ましくは、0.5〜3mmである。
【0077】
保護部材6は、電気機器Eと下層3との間に設けられ、電気機器Eに加わる衝撃を吸収する緩衝部材(クッション部材)として機能する。この保護部材6は、例えば、ウレタン、塩化ビニル、PE等の合成樹脂などからなる発泡体、またはニードルパンチ、フェルト等の不織布によって構成される。また、この保護部材6は、例えば電気機器Eが暖房機器のような場合に、断熱材としても機能することが可能である。
【0078】
図1に示すように、並設される床材1間には、防水手段41が設けられている。この防水手段41は、例えば、図3(a)に示すような、断面視四角形状のパッキン41aが使用される。パッキン41aは、床材1同士の接続を行った後、床材1間に生じる間隙に挿入されて防水効果を発揮する。パッキン41aは、塩化ビニルなどからなる軟質樹脂やゴム材のように弾性の高い材質で構成されているのが望ましく、さらに床材1間の隙間幅よりも幅の大きいものとすると、床材1間の間隙に挿入された後にその弾性によって床材1を押圧することによって防水性を高めることができる。
パッキン41aとしては、図3(b)に示すように、角の部分が面取りされたものや、図3(c)に示すように、断面視において、一端部から他端部にかけてその厚さが徐々に薄くなる(又は徐々に厚くなる)ように構成されたもの等を利用できる。このような形状に構成することで、床材1間の間隙よりも大きい幅のものを挿入することが容易にでき、より防水性を高いものとすることができる。
【0079】
また、防水手段41として、床材1間に設けられる目地棒41bを使用してもよい。具体的には、例えば、図4(a)に示すように、断面視円弧状のものや、図4(b)に示すように、亜断面視コ字状のもの等を利用できる。これらの目地棒は、床材1間に設けられるとともに、これらの床材1によって押圧され、床材本体1の側面に密着することで床材1間に水が進入しないように防水する。これらの目地棒の上面は、凹状に形成されており、これによる溝の凹部表面を水が流れて排水されることによって排水機能を有している。また、目地棒41bについてもパッキン41aと同様、より防水性を高くするためには、塩化ビニルなどからなる軟質樹脂やゴム材のように弾性の高い材質で構成されているのが望ましい。
防水手段41としては、他にコーキング剤を注入して固着する、溶接棒を溶融して注入して固化させる、などの他の方法を用いても良い。コーキング剤や溶接棒は、パッキン41aや目地棒41bと床材1の間に用いることによって、さらに防水性を高めることができる。
【0080】
図5は、複数の床材1を並設して床面を構成した場合の平面図を示す。図5に示すように、複数(図例では9つ)の床材1が設置面に並設されている。複数の床材1を並設することによって、所定の面積の床が構成される。この床の端部に沿うように目地部材(配線収容部材)を設けることが可能である。この目地部材の内部には、電線(配線10)等を収容できるようになっており、特に床材1の施工場所における壁際等において、所定の配線を行う場合に有用である。
【0081】
図6は、枠材4の変形例であり、一部の枠部材の断面図を示す。この枠材4の外側面4aには、収容部5に収容される電気機器Eの配線10を収容する配線収容部12が形成されている。この配線収容部12は、枠材4の外側面4a、4a'から厚さ方向に凹んで形成された凹部である。また、配線収容部12は、枠材4の各辺の長手方向に沿って直線状の凹条として形成されている。この配線収容部12は、枠材4の環形状に応じて環状に構成されている。このように、枠材4に配線収容部12を形成し、この配線収容部12に電気機器Eに接続される電線を収容することで、この電線が邪魔になることなく、床材1を敷設することができるようになる。
【0082】
以下、床材1の製造方法について説明する。なお、床材1の製造方法については、上層2と枠材4、及び枠材4と下層3を熱溶着によって接合する場合を例示する。本実施形態の床材1の製造には、高周波ウェルダー装置、超音波ウェルダー装置、又はホットプレス装置等の溶着装置が使用される。
【0083】
床材1を製造するには、まず、溶着装置によって、上層2の裏面(下面)2bと枠材4の第1接合面4bとを溶着する。次に、下層3の表面(上面)3aに保護部材6を載せるとともに、この保護部材6の上に電気機器Eを載せる。
【0084】
その後、枠材4の第2接合面4cを下層3の表面(上面)3aに接触させ、溶着装置によってこれらを溶着する。これによって、上層2、枠材4、下層3が一体となり、この上層2、枠材4、及び下層3によって囲まれた収容部5が形成される。このとき、溶着装置によって加熱される部位は、枠材4の上下面4b,4cに限定されるので、電気機器Eが悪影響を受けることはない。このような製造方法をとることによって、部品点数を極力少なくするとともに、電気機器を収容した床材を容易に製造することが可能となる。加えて、用いる製造装置も溶着装置のみなので作業も同一工程内で行うことができ、作業性も良い。
【0085】
以上によって内部に電気機器Eを収容した床材1が完成する。
【0086】
なお、枠材4に形成される挿通孔11は、接続部8が挿通された状態で、コーキング等の閉塞手段によって予め閉塞されている。この閉塞手段としては、コーキングの他にパッキン等を使用してもよい。挿通孔11を閉鎖することによって、電気機器Eが密閉されるので、外部から水や埃などが浸入して悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0087】
このとき、閉塞手段によって、挿通孔11を閉塞したときに、床材1の内部の収容部5が気密状態に維持されることが望ましい。気密状態とすることによって、収容部5に空気が密閉される。密閉された空気は、床材1上面が踏まれた際に内部から圧力に抗する作用を及ぼし、床材1の中央部の変形を軽減することができる。
【0088】
従って、本発明を比較的大きな床材1に適用して床材1中央と枠体4の距離が離れた場合でも、床材1の内部に密閉された空気の作用によって中央部が凹んで電気機器Eに当るのを防ぐことが可能となる。
【0089】
また、上記の製造方法の他に、保護部材6と電気機器Eを載せた下層3の表面3aと、枠材4の第2接合面4cとを溶着し、枠材4の第1接合面4bと上層2の裏面(下面)2bとを溶着することによって床材1を製造することも可能である。
【0090】
また、上記の製造方法の他に、保護部材6及び電気機器Eを下層3の表面3aに枠材4を載せ、この枠材4に上層2を載せ、このように下層3、枠材4、上層2を重ねた状態で、上層2と枠材4の第1接合面4bとの接触部と、及び枠材4の第2接合面4cと下層3との接触部とを、溶着装置によって同時に溶着することによって床材1を製造することも可能である。このように同時に溶着を行うと、さらに作業時間を短縮することが可能となる。
【0091】
以上説明した床材1及びその製造方法によれば、上層2と枠材4とを溶着するとともに、この枠材4を下層3と溶着して接合するだけで、内部に収容部5に電気機器Eを収容した状態で製造されるため、部品点数を可及的に少なくするとともに、組立作業が煩雑となることなく、容易にその製造を行うことができる。しかも、熱溶着によって上層2、下層3、枠材4を接合することで、接合部分の強度を高め、重量物の重さに耐えることができる高強度の床材を容易に製造することができるようになる。
【0092】
特に、アルミニウムなどの金属製や木製の枠体を用いた床材と本発明に係る床材1とを比較すると、金属製や木製の枠体を用いた床材の場合には、内部に電気機器Eを収容する収容部5を形成するために、金属や木材を切削加工する必要が生じる。これに対し、本発明に係る床材1は、構成要素である上層2、枠材4、下層3の全てを合成樹脂によって構成し、しかも溶着によってこれらを一体に成形することができるので、生産サイクルが短く、生産性が優れたものとなる。また、本発明に係る床材1は、全ての材料を同一種類の樹脂で形成することが可能なので、収容した電気機器Eを取り出しさえすればリサイクルも容易である。
【0093】
また、下層3を合成樹脂によって構成することで、厚さ、硬度を適宜設定することにより、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性に優れた床材を容易に製造できるようになる。
【0094】
また、枠材4が環状に構成されていることにより、枠材4を上層2及び下層3に接合したときに、枠材4は、収容部5の一部として、内部の電気機器Eの側部をほぼ全周にわたって囲繞する。したがって、枠材4を環状に構成することで、上層2と下層3に枠材4を接合するだけで、電気機器Eを収容する収容部5を容易に形成することができ、この点で特に有用である。
【0095】
アルミニウムなどの金属製や木製の枠体を用いた床材と異なり、本発明に係る床材1は、枠体4と上下面が一体の樹脂で形成されているので、上からの圧力に対して潰れにくいにも係わらず、適度の柔軟性を有しているので不陸追随性も確保できている。また、樹脂一体構造のために軽量で、床材としての耐久性、材料特性を兼ね備えている。
【0096】
さらに、連結部7(第1連結部7a、第2連結部7b)を介して床材本体を他の床材に連結することによって、床材本体内の電気機器が、接続部8を介して他の床材の電気機器と電気的に接続されるため、接続作業を簡略化することができ、接続作業を容易に行うことができるようになる。
【0097】
また、床材1は、前記連結部7が、他の床材の一部と重なることができるように、枠材の側部から側方に突出する突起部であることから、連結部7が他の床材の一部と重なることによって、他の床材に容易に連結することができ、構造の簡単であるので製造も容易である。
【0098】
また、床材1は、防水手段41(パッキン、目地棒)を介して当該他の床材と連結されることから、漏電等を防止できるとともに、床材の劣化を防止して長寿命化を実現できる。
【0099】
また、接続部8(第1接続部8a、第2接続部8b)が上方に面する電極面40a又は下方に面する電極面40bを有することから、接続部8の電極面40a,40bを上下に重ねるだけで、複数の床材の電気機器同士を電気的に接続できるようになる。これにより、床材の電気機器の接続作業を容易に行うことができる。
【0100】
また、収容部5には、電気機器Eを保護するための保護部材6が設けられていることから、電気機器Eに加わる衝撃を低減して、電気機器Eの破損等を防止し、長期かつ確実に電気機器Eの機能を発揮させることができる。
【0101】
また、挿通孔11を閉塞手段によって閉塞し、床材1の収容部5を気密状態に維持することによって、例えば、上層2に衝撃が加わったときに、収容部5に充満する空気がその衝撃を吸収する。このエアクッション効果により、床材1の振動や衝撃を低減し、収容部5の電気機器Eの振動の伝達を防止して保護することができる。加えて、内部に密閉した空気による断熱性、防音性も合わせて有することができる。
【0102】
また、上層2、下層3及び枠材4を合成樹脂によって床材1を構成することにより、他の材料で構成した場合と比較して、耐摩耗性、耐衝撃、耐水性、意匠性、施工性において優れた床材1を製造でき、住宅ユースのみならず、土足によって土砂が入り込むような、オフィス、店舗、学校、病院その他の非住宅ユースの環境においても適したものとなる。
【0103】
また、下層3の厚さが0.1〜3mmとされていることによって、この下層3にカッター等の刃物で切れ込みを入れて下層3を容易に剥がすことができる。これによって床材1の内部の取り出した電気機器Eを収容部5から取り外して再利用することが可能になる。また、下層3に添加される可塑剤の添加量が、5〜70phrとされることにより、下層3は、刃物によって切れ込みを入れやすい状態になり、この点においても有用である。
【0104】
また、上層2、下層3、枠材4の上下方向の長さを調節して、本実施形態に係る床材の上下方向の厚さを既設の床材の厚さ(例えば5mm、12mm)と同じにすることで、既存の床面(床)の一部又は全部を本実施形態に係る床材1と交換することができ、例えば既設住宅のリフォーム等の際に特に有用である。
【0105】
図7、図8は、床材1の第2実施形態を示す。上記の第1実施形態では、第1連結部7aの上面(第1突出部21の上面及び第2突出部22の上面)に第1接続部8aが支持されていたが、本実施形態では、その構成が異なる。第1接続部8aは、その一端部が収容部5内の電気機器Eに接続されるとともに、その他端部が、第2突出部22の側面側に露出している。
【0106】
しかも、第1接続部8aの他端部は、第1連結部7aの第1突出部21の側面及び第2突出部22の側面に接触するように曲げられている。これによって、第1接続部8aの他端部には、水平方向(横方向)に面する電極面40cが形成されている。第1接続部8aの中途部は、壁部19及び第1突出部21内部に埋め込まれている。
【0107】
上記の第1実施形態では、第2連結部7bの下面に沿うように第2接続部8bが設けられていたが、本実施形態ではその構成が異なる。第2接続部8bは、その一端部が収容部5内の電気機器Eに接続されるとともに、その他端部が壁部19の外面に露出している。
【0108】
しかも、この第2接続部8bの他端部は、壁部19の外面に接触するように曲げられている。これにより、第2接続部8bの他端部には、水平方向(横方向)に面する電極面40dが形成されている。第2接続部8bの中途部は、壁部19に埋め込まれている。このため、電気経路が外部に露出する部分がより少なくなるので、安全性、防水性が高くなる。
【0109】
接続部8が水平方向に面する電極面40c,40dを有することから、水平方向を向く電極面(40c)を他の床材の電極面(40d)に接触させるだけで、複数の床材の電気機器同士を電気的に接続できるようになる。これにより、床材の電気機器の接続作業を容易に行うことができる。防水手段41を挿入することによって、水平方向への押圧力が働くので電極面40c,40d間の接続が強固なものとなって電気接続状態も良好に保つことができる。また、本構成においては、電極接合部が床材上面から隔絶した位置となるので、防水性が極めて高い構成となっている。また、電極面40a、40bに電気接点に一般に用いられるバネ構造や係合構成を持たせて、接続時により安定した電気接続状態となるように構成するとさらに良い。
【0110】
枠材4は、第1実施形態と同様に第1枠部材31ないし第4枠部材34を接合して四角形状で環状に構成される。各枠部材は、その長手方向の端面が、他の枠部材に接合される接合面とされているが、本実施形態では、この接合面が各枠部材の長手方向に対して所定の角度で傾斜する傾斜面となっている。
【0111】
本実施形態におけるその他の構成は第1実施形態と同じであり、第4実施形態が第1実施形態と共通する要素には共通符号を付して説明を割愛する。本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0112】
図9は、床材1の第3実施形態を示す。第3実施形態に係る床材1は、連結部7(第1連結部7a、第2連結部7b)及び接続部8(第1接続部8a、第2接続8b)の構成が第1実施形態と異なる。
【0113】
第1実施形態において、第1連結部7aは、第1突出部21と第2突出部22を有していたが、本実施形態では、これに加えて、第2突出部22の突出端部から壁部19に向かって横方向(水平方向)突出する部分(以下「第5突出部」という)25を有する。このように、第2突出部22の突出端部に第5突出部25を形成することにより、第1連結部7aは、断面視において鉤状に構成されている。
【0114】
同様に、第2連結部7bは、第3突出部23と、第4突出部24と、この第4突出部24の突出端部から壁部19に向かって横方向(水平方向)に突出する部分(以下「第6突出部」という)26を有する。このように、第4突出部24の突出端部に第6突出部26を形成することにより、第2連結部7bは、断面視において鉤状に構成されている。
【0115】
第1連結部7aに設けられる第1接続部8aは、その一端部が電気機器Eに接続されるとともに、その他端部が、第2突出部22の上面及び第5突出部25の上面に露出している。しかも、第1接続部8aの他端部は、第2突出部22の上面及び第5突出部25の上面に接触するように曲げられている。第1接続部8aの中途部は、壁部19、第1突出部21、第2突出部22内に埋め込まれている。
【0116】
第2連結部7bに設けられる第2接続部8bは、その一端部が電気機器Eに接続されるとともに、その他端部が第3突出部23の下面に露出している。しかも、第2接続部8bの他端部は、第3突出部23の下面に接触するように曲げられている。第2接続部8bの中途部は、壁部19、第3突出部23内に埋め込まれている。
【0117】
第1連結部7aにおいて、第5突出部25と壁部19との間隔は、この間に他の床材1の第2連結部7bの第4突出部24及び第6突出部26が入るように、第4突出部24の厚さと第6突出部26の突出長さの和よりも大きく設定されている。
【0118】
また、第1連結部7aの第1突出部21と第5突出部25との上下方向における間隔は、この間に他の床材1の第2連結部7bの第6突出部26が入るように、第6突出部26の厚さ(上下方向における幅)よりも大きく設定されている。
【0119】
第2連結部7bにおいて、第6突出部26と壁部19との間隔は、この間に他の床材1の第1連結部7aの第2突出部22及び第5突出部25が入るように、第2突出部22の厚さと第5突出部25の突出長さの和よりも大きく設定されている。
【0120】
また、第2連結部7bの第3突出部23と第6突出部26との上下方向における間隔は、この間に他の床材1の第1連結部7aの第5突出部25が入るように、第5突出部25の厚さ(上下方向における幅)よりも大きく設定されている。
【0121】
上記のような構成により、本実施形態に係る床材1は他の床材1に対して以下のように連結される。例えば、2つの床材1,1を連結するには、一方の床材1の第1連結部7aに、他方の床材1の第2連結部7bを上から重ねる。このとき、他方の床材1を下方に移動させて、一方の床材1の第1連結部7aの壁部19と第5突出部25との間に、他方の床材1の第2連結部7bの第4突出部24の突出端部及び第6突出部26を入れる。このとき、第2連結部7bの第6突出部26と壁部19との間に、第1連結部7aの第2突出部22及び第5突出部25が入る。
【0122】
その後、一方の床材1に対して、他方の床材1を横方向に離れるように移動させる。これにより、第1連結部7aの第1突出部21と第5突出部25との間に第2連結部7bの第6突出部26が入り、第2連結部7bの第3突出部23と第6突出部26との間に第1連結部7aの第5突出部25が入る。
【0123】
このとき、第1連結部7aに設けられる第1接続部8aの電極面40aが、第2連結部7bに設けられる第2接続部8bの電極面40bと接触する。
【0124】
以上によって、第1連結部7aと第2連結部7bとが互いに掛止しあう状態で、2つの床材1,1が連結され、この連結とともに、2つの床材1,1間における電気機器E同士の電気的接続も完了する。床材1,1が連結されるとともに、床材1、1間に間隙が生じるので、生じた間隙に防水手段41を挿入して固定する。本構成においては、防水手段41を除去しない限り、第1連結部7aと第2連結部7bを横移動できないので連結を解除することができない。従って、床材1は、ずれや剥がれの発生が生じず、強固に固定されることとなる。また、本構成においては、電極面が露出している箇所が小さい上に、床面上面に近い位置となっているので、安全性、防水性がより高い構成となっている。
【0125】
なお、上記の第1実施形態では、電気機器Eは、保護部材6を介して下層3に支持されていたが、本実施形態では、上層2の裏面2bに固定されて支持されている。このように、電気機器Eが上層2に支持される場合には、収容部5に保護部材6を設けなくともよい。
【0126】
本実施形態におけるその他の構成は第1実施形態と同じであり、第4実施形態が第1実施形態と共通する要素には共通符号を付して説明を割愛する。本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0127】
図10は、床材1の第4実施形態を示す。第4実施形態に係る床材1は、連結部7及び接続部8の構成が第1実施形態と異なる。第1実施形態では、第1連結部7aに第1突出部21と第2突出部22が設けられていたが、本実施形態では、第1連結部7aは、第2突出部22を有さず、第1突出部21のみを有する。また、第1実施形態では、第2連結部7bに第3突出部23と第4突出部24が設けられていたが、本実施形態では、第2連結部7bは、第4突出部24を有さず、第3突出部23のみを有する。本構成は、第4突出部24を有しないので、床材1の横移動なしで接続が可能となり、床材敷設がより容易な構成となっている。また、本構成においては、第3突出部23と上層2をさらに延伸して設けることによって、防水手段41を略すことが可能となる。
【0128】
本実施形態におけるその他の構成は第1実施形態と同じであり、第4実施形態が第1実施形態と共通する要素には共通符号を付して説明を割愛する。本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0129】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
【0130】
例えば、上記の実施形態では、枠材4が四角形状の環状に形成された例を示したが、これに限らず、三角形状その他の多角形状、円形、楕円形、異形形状の環状に構成することができる。
【0131】
上記実施形態では、挿通孔11を閉塞手段によって閉塞することで、収容部を気密にした例を示したが、これに限らず、防水性が確保できれば、必ずしも気密にする必要はない。
【0132】
その反対に、収容部5に圧縮空気を封入して上述したエアクッション効果をさらに向上させてもよい。この場合には、収容部5に空気を注入する注入口を枠材4の外側面4aに設ける。注入口は、枠材4の外部から収容部5への所定圧力の空気の流入を許容するとともに、収容部5から外部への空気の流出を不能にする逆止弁を有する。この場合、注入口が枠材4の外側面4aから突出しないように、枠材4の外側面4aに厚さ方向に凹む凹部を形成し、この凹部に注入口を設けるとよい。このようにエアクッション効果を高めることによって、構成する材料をさらに軽量化することも可能となる。
【0133】
上層2は、収容部に収容される電気機器が例えば照明機器である場合には、その光を透過させるべく全体若しくは一部が透明、または半透明の透光性に優れた素材で構成されていることが望ましい。また、収容された光源がLEDなどの輝度の高いものである場合は、不透明の樹脂の場合でも一定以上の透光性が確保できていれば使用可能である。
【0134】
上記の実施形態では、上層、枠材、下層を熱溶着によって一体に接合した例を示したが、これに限らず、例えば、接着剤によって、上層と枠材、及び枠材と下層と接着することでこれらを接合するようにしてもよい。
【0135】
上記の実施形態では、枠材4の平面視において、各構成部材(枠部材)31〜34の長手方向のほぼ中央部に挿通孔11を形成した例を示したが、これに限定されない。すなわち、各構成部材(枠部材)31〜34の長手方向の任意の位置に挿通孔11を形成するようにしてもよい。
【実施例】
【0136】
以下、本発明の実施例を示す。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
【0137】
枠材4として、可塑剤部数5phr、厚さ10mm、高さ(上下方向の長さ、第1接合面4bから第2接合面4cまでの長さ)8mmの異形押出成型による硬質塩化ビニル製で一辺の長さが500mmの平面視四角形状のものを用いた。
【0138】
この枠材4の第1接合面4bを上向きにし、ガラス不織布層を有するナイロン製パイルで、厚さ6.5mmのタイルカーペットを上層2として第1接合面4bに載せ、出力15kWスケールの高周波ウェルダー装置を用いて、電流値0.4〜1.0A、溶着時間6秒、冷却20秒、プレス最大荷重49×104Pa(5kgf/cm2)の条件にて、枠材4の第2接合面4cと上層2の裏面(下面)2bとの接触部分を溶着した。
【0139】
枠材4と上層2の溶着後、枠材4の第2接合面4cを上向きにし、厚さ3mmのヒーターシートを電気機器Eとして上層2の裏面2b中央部に接着剤によって固定した後、厚さ1.2mm、可塑剤部数20phr、フィラー量100phrの軟質塩化ビニルシートを下層3として第2接合面4cに載せ、枠材4と上層2の溶着の場合と同じ条件にて、高周波ウェルダー装置によって枠材4の第2接合面4cと下層3との接触部分を溶着した。
【0140】
このようにして、前述した第1実施形態に係る床材を作製し、この床材を敷設して床面を構成した。床面を構成するにあたり、室内の壁面近傍位置では、配線を収容可能な目地部材42を用いて配線の接続を行った。床面を構成する複数の床材1の電気的な接続については、枠部材4の各構成部材(枠部材)31〜34に設けられる4つの接続部8(8a,8b)の全てを用いるのではなく、対向する構成部材(例えば、第1枠部材31と第3枠部材33、又は第2枠部材32と第4枠部材34)の接続部8(8a,8b)のみを用いた。これにより、隣り合う複数の床材1は、所定の方向で直線的に接続される。さらに、隣り合う床材1間には防水手段41としてパッキン41aを介在させている。
【0141】
このような実施例1に対し、連結部7(7a,7b)等が記載されていない従来の床材を比較例として、施工にかかる時間を測定したところ、実施例1の床材1を用いて施工する場合の施工時間を短縮できることを確認した。また、パッキン41aにより、床材1間への浸水が防止されることを確認した。
(実施例2)
【0142】
第1実施例と同様な条件で、前述した第2実施形態に係る床材を第2実施例として作製し、この床材を敷設して床面を構成した。床面を構成するにあたり、室内の壁面近傍位置では、配線を収容可能な目地部材42を用いて接続を行った。床面を構成する複数の床材1の電気的な接続については、枠材4に設けられる4つの接続部8(8a,8b)の全てを用いた。これにより、各床材1は、その電気的な接続が格子状に構成される。
【0143】
このような実施例2に対し、連結部7(7a,7b)等が記載されていない従来の床材を比較例として、施工にかかる時間を測定したところ、実施例2の床材1を用いて施工する場合の施工時間を短縮できることを確認した。
(実施例3)
【0144】
第1実施例と同様な条件で、前述した第3実施形態に係る床材を第3実施例として作製し、この床材を敷設して床面を構成した。床面を構成するにあたり、第3実施例に係る床材1間にダミーの床材(例えば、内部に電気機器Eが設けられていない中実のものや、接続構成のみ接合した市販の床材など)で連結部8(8a,8b)のみを有するものを介在させて床面を構成した。ダミーの床材を用いることによって、電気機器Eの配置の自由度を高めることができる。例えば、一つおきに配置したり、一列おきに配置したりするなどの様々な方法をとることができ、その際に不要な電気機器の配置を省くことができる。
【0145】
このような実施例3に対し、連結部7(7a,7b)等が記載されていない従来の床材を比較例として、施工にかかる時間を測定したところ、実施例3の床材1を用いて施工する場合の施工時間を短縮できることを確認した。
(実施例4)
【0146】
第1実施例と同様な条件で、前述した第4実施形態に係る床材を第4実施例として作製し、この床材を敷設して床面を構成した。床面を構成するにあたり、隣り合う床材1間に防水手段41として、前述した目地棒41bを介在させた。
【0147】
このような実施例4に対し、連結部7(7a,7b)等が記載されていない従来の床材を比較例として、施工にかかる時間を測定したところ、実施例4の床材1を用いて施工する場合の施工時間を短縮できることを確認した。また、目地棒41bにより、床材1間への浸水が防止されることを確認した。
【符号の説明】
【0148】
1…床材、2…上層、2a…上層の表面(上面)、2b…上層の裏面(下面)、3…下層、3a…下層の表面(上面)、3b…下層の下面(外面)、4…枠材、4a…枠材の外側面、4b…第1接合面、4c…第2接合面、4d…枠材の内側面、5…収容部、6…保護部材、7(7a,7b)…連結部(第1連結部、第2連結部)、8(8a,8b)…接続部(第1接続部、第2接続部)、10…配線、11…挿通孔、12…配線収容部、13…隙間、19…壁部、21…第1突出部、22…第2突出部、23…第3突出部、24…第4突出部、25…第5突出部、26…第6突出部、31…第1枠部材、32…第2枠部材、33…第3枠部材、34…第4枠部材、40a〜40d…電極面、41…防水手段、41a…パッキン、41b…目地棒、42…目地部材、E…電気機器、t…枠材の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材とを有し、かつ、上層、下層、及び枠材を合成樹脂により構成し、上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材、及び下層とにより内部に電気機器を収容する収容部が形成されてなる床材本体を備える床材であって、
前記床材本体は、他の床材に連結される連結部と、他の床材本体の電気機器と電気的に接続可能な接続部とをさらに備えるとともに、前記接続部は、前記連結部を他の床材に対して連結されることにより、当該他の床材の電気機器と電気的に接続されるように構成されてなることを特徴とする床材。
【請求項2】
前記連結部は、他の床材の一部と重なることができるように、枠材の側部から側方に突出する突起部である請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記連結部は枠材の側部に設けられており、枠材は、他の床材との間で防水する防水手段を介して当該他の床材と連結可能に構成されてなる請求項1又は2に記載の床材。
【請求項4】
前記接続部は、水平方向に面する電極面を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の床材。
【請求項5】
前記接続部は、上方に面する電極面又は下方に面する電極面を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の床材。
【請求項6】
前記防水手段は、連結部に密着可能なパッキンである請求項3から5のいずれか1項に記載の床材。
【請求項7】
前記防水手段は、連結部に密着可能な目地棒である請求項3から5のいずれか1項に記載の床材。
【請求項8】
上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材を備えるとともに、内部に電気機器を収容可能な床材の製造方法であって、
上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材、及び下層とにより内部に電気機器を収容する収容部を有する床材本体を形成し、
前記床材本体に、他の床材に連結される連結部と、他の床材本体の電気機器と電気的に接続可能な接続部とを形成し、
前記連結部を他の床材に対して連結されることにより、前記接続部が当該他の床材の電気機器と電気的に接続されるようにすべく、この床材本体の側部から側方に接続部を突出させることを特徴とする床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−132786(P2011−132786A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295553(P2009−295553)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】