説明

床面発光システム

【課題】床面の発光状態を保ちつつ、その発光を利用して、床面(発光面)上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる床面発光システムを提供する。
【解決手段】床面202と、前記床面に臨む面と、前記床面に設けられた面状光源として面状発光装置200と、前記床面に臨む面に設けられ、前記面状発光装置200からの光を床面に向けて反射する配光制御部材100とを具備し、この配光制御部材によって、面状光源からの光を床面に向けて反射できるので、床面上で視作業する際のモノの視認性を上げる。また、別体の照明を設けなくとも反射光により作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状光源からの光のみを有効活用できるので電気エネルギーアップにならずにすみ、省エネルギー化をはかることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面発光システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅のリビングダイニングにおいては、その使われ方が多様化しており、同時に複数人が異なる使い方をすることも珍しくはない。
例えば、ダイニングで食事をしている一方、リビングの一画ではくつろいでいる人がいるような空間においては、開放空間の中で人の存在を感じながらも、プライベート感のあるスペースも確保したいというニーズがあり、モノスペースの中で開放感とプライベート感を同時実現する手法が模索されるようになった。
【0003】
このような中で、物理的な間仕切りを用いずに、光を使ってゾーンを区切ることで、開放スペースでありながらも心理的にはゆるやかに区切られた、ちょっとしたプライベート感を醸成するようなゾーニングという手法が提案されている。例えば、ダイニングとリビングの一画を光でゾーニングする方法が考えられる。
【0004】
ここで用いられる光源としては、複数の平面発光ユニットを連結することにより大型の平面照明装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
いずれにしても、この場合、リビングの一画の床面を発光させているが、単純に上方に光を照射するだけでは、発光面内の物体(モノ)がシルエットでしか見えず、そのゾーンで視作業をする際には不都合であるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平11−142652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、床面と床面に設けられる面状発光装置とを有する床面発光システムにおいては、発光中に床面上で視作業する際に、モノがシルエットでしか見えず不都合であった。
また、モノの視認性を向上させるためには、別体の照明を設置する方法も考えられるが、設置に手間がかかるだけでなく、空間の状態が煩雑になる。また、別体の照明に電気エネルギーが必要となるため、省エネルギーにならない。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、床面の発光状態を保ちつつ、その発光を利用して、床面(発光面)上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる床面発光システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明では、床面と、前記床面に臨む面と、前記床面に設けられた面状光源と、前記床面に臨む面に設けられ、前記面状光源からの光を床面に向けて反射する配光制御部材とを具備したことを特徴とする。
この構成によれば、配光制御部材によって、面状光源からの光を床面に向けて反射できるので、床面上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。なおここで床面に臨む面とは、天井面、壁面など床面を直視できる面をいうものとする。
また、別体の照明を設けなくとも反射光により作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状光源からの光のみを有効活用できるので電気エネルギーアップにならずにすみ、省エネルギー化をはかることができる。
【0009】
また、本発明では、上記床面発光システムにおいて、前記床面に臨む面は、壁面と天井面であり、前記壁面又は天井面の少なくとも一方の面には、前記面状光源からの光を床面に向けて反射する配光制御部材が設けられたものを含む。
この構成によれば、室空間を形成する壁面又は天井面の少なくとも一方の面に配光制御部材を設けるだけで作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状光源からの光のみを有効活用できるので電気エネルギーアップにならずにすむ。
【0010】
また、本発明では、上記床面発光システムにおいて、前記配光制御部材(壁面の一部)が床面方向に展開し、面状光源(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、作業面を照射するようにしたものを含む。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、配光制御部材によって、面状光源からの光を床面に向けて反射できるので、床面上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
また、別体の照明を設けなくとも反射光により作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状光源からの光のみを有効活用できるので電気エネルギーアップにならずにすみ、省エネルギー化をはかることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る床面発光システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1乃至3は本発明の実施の形態に係る床面発光システムの説明図である。図1は、床面発光システムの配光制御部材100を床面に臨む面としての壁面1Wに収納した状態を示す斜視図、図2は同床面発光システムの配光制御部材100を展開した状態を示す斜視図、図3は、同側面図である。
本発明の床面発光システムは、配光制御部材100が壁面の一部を構成するように埋め込み形成されており、配光制御部材100の反射面100Sが床面方向に展開し、面状光源としての面状発光装置200の発光面201からの光を床面202に向けて反射することによって、作業面300Sである机300の上面を照射するようにしたものである。
【0014】
机300の上の作業面300Sに向けて光照射を行ないたい時は、図2および3に示すように配光制御部材100を開き、反射面100Sを所望の角度まで開き、図示しない止具で止めて固定する。これにより、面状発光装置200からの光L0は配光制御部材の反射面100Sによって全反射され、反射光L1が机300の作業面300Sを照射する。
机の位置に応じて、図示しないリモートコントローラを用いてこの配光制御部材100の反射面100Sの開き角を調整することで、反射光L1の方向を調整し、作業面300Sに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0015】
すなわち本発明の床面発光システムは、配光制御部材100が、床面202に対して垂直に起立された壁面1Wに収納可能な反射面を具備し、面状発光装置200からの出射光に対する反射面のなす角が調整可能であるようにしている。ここでは、この配光制御部材100は、床面202に平行となるように壁面1Wに配設された軸O1と、この軸O1に対して回動可能な反射面100Sとを具備している。
【0016】
上記構成によれば配光制御部材(壁面の一部)が床面方向に展開し、面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、作業面を照射する。
このため、配光制御部材100によって、面状発光装置200からの光を床面202および机面に向けて反射できるので、床面202および机面上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
また、別体の照明を設けなくとも反射光により作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状発光装置からの光のみを有効活用できるので電気エネルギーアップにならずにすむ。
【0017】
ここで面状発光装置200に用いる光源としては、蛍光灯、有機EL、LED等を用いることができ、特に制限されるものではないが、面状発光装置を薄く形成でき、光色の可変性に優れる有機ELやLEDが好ましい。
【0018】
例えば、有機ELパネルの場合、有機発光層は、白色光を取り出せるように素子あるいは発光層が積層されていてもよいし、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を発光する素子をまとめて調色できるようになっていてもよい。なお、有機発光層の発光色は一例であって、かかる発光色に限定されるものではない。
【0019】
また、LEDパネルの場合、多数のLED光源が配列されている。各LED光源は、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を発光するLED素子をまとめて1つの光源としてもよいし、各発光色で分けられていてもよい。なお、LED素子の発光色は一例であって、かかる発光色に限定されるものではない。なお、各LED素子に流す電流比率を制御することによって、光線の色成分を変化させることが可能である。
【0020】
ELパネルやLEDパネルは、それらのサイズに応じて、任意の数を面状発光装置200内に配置することができる。
上記のような光源の周縁に筐体や光透過パネルを配設し面状発光装置200を形成する。筐体には壁、床等の電気配線と接続するための電気接点が設けられている。また、光透過パネルは、光源の上方に配設され、光源を発光させたときに、面状発光装置200の発光面201となる。
【0021】
さらにまた、面状光源としては、点光源をライン状に配列して面状発光装置の端部に配置し、導光板によって、この点光源からの光を床面に導き、面状光源として用いるようにしたものも適用可能である。
【0022】
ここで、面状発光装置の筐体を構成する素材としては、プラスチックやこれらにガラス繊維などの強化充填材を配合したもの、アルミニウム合金、鉄、マグネシウム合金のような金属、木材など特に限定されるものではないが、割れにくい素材であることが望ましい。
【0023】
また、発光面201を構成する光透過パネルの構成素材としては、透光性プラスチックやガラスなどが挙げられるが、所望の光学特性が得られ、発光面201を所望の外観にできれば、特に限定されるものではない。また、消灯時に床板や絨毯等の外観が必要な場合は、本発明の目的を損なわない範囲で、光透過パネルの上に床板や絨毯の外観に似せた光透過性の素材を積層してもよいし、光透過パネルに擬似印刷したものを用いてもよい。
【0024】
面状発光装置200は床面202上に床の一部として配設されるが、配設位置は部屋の中央、壁際など特に限定されるものではない。また配置形態としても、固定されていてもよいし、移動可能な構造としてもよい。ここでは一例として、壁際に配設した例を示している。
【0025】
次に配光制御部材100について説明する。
ここに示す配光制御部材100は、壁面に組み込んだものである。
作業面を明るくしたい場合に、配光制御部材を床面方向に展開し、面状発光装置からの光を床面に向けて反射する。この配光制御部材100は回動軸を軸として、180度回動可能である。回動軸には、適度な制動機構が内蔵されており、回動範囲内であれば、任意の角度で保持することが可能である。よって光の反射方向を制御することができるので作業面の位置が変化しても対応可能である。また、配光制御部材の配設位置は、面状発光装置からの光を所望の方向に反射することができれば特に限定されるものではない。
【0026】
また、配光制御部材100の形状、サイズは、所望の光学特性が得られれば特に限定されるものではない。
さらに、配光制御部材の光反射面100Sは、鏡面、光拡散面など所望の光学特性が得られれば特に限定されるものではない。
【0027】
ここで、配光制御部材100を構成する素材としては、プラスチックやこれらにガラス繊維などの強化充填材を配合したもの、アルミニウム合金、鉄、マグネシウム合金のような金属、木材、石膏ボードなどが適用可能であるが特に限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態2)
図4乃至6は本発明の実施の形態2に係る床面発光システムの説明図である。図4は、床面発光システムの配光制御部材100を壁面に収納した状態を示す斜視図、図5は同床面発光システムの配光制御部材100を展開した状態を示す斜視図、図6は、同側面図である。
本発明の床面発光システムは、配光制御部材が、同一直線上にある軸O1a、O1bに対し、それぞれ独立して回動可能な複数の反射面を具備したことを特徴とするものである。
【0029】
すなわちこの床面発光システムは、図4に示すように、配光制御部材が2分割構造をなしていて第1の配光制御部材100と第2の配光制御部材100a、100bともに壁面の一部を構成するように埋め込み形成されており、第1および第2の配光制御部材100a、100bともに開き角を独立制御可能である点が前記実施の形態1の床面発光システムと異なる部分である。第1および第2の配光制御部材100a、100bいずれも、面状発光装置200の発光面201からの光L0を床面202に向けて反射光L1a、L1bとして反射することによって、作業面300Sである机300の上面を照射するようにしたものである。
【0030】
第1および第2の机300a、300bの上の作業面300aS、300bSに向けて光照射を行ないたい時は、図5および6に示すように第1および第2配光制御部材100a、100bを開き、反射面100aS、100bSをそれぞれ所望の角度まで開き、図示しない止具で止めて固定する。これにより、面状発光装置200からの光L0は第1および第2の配光制御部材100a、100bの反射面100aS、100bSによってそれぞれ全反射され、反射光La1、Lb1が第1および第2の机300a、300bの上の作業面300aS、300bSを照射する。
机の位置に応じて、図示しないリモートコントローラを用いてこの配光制御部材の反射面100aS、100bSの開き角を調整することで、反射光La1、Lb1の方向を調整し、作業面300aS、300bSに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0031】
上記構成によれば配光制御部材(壁面の一部)が床面方向に独立して展開し、面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、作業面を照射する。
このため、配光制御部材100a、100bによって、面状発光装置200からの光を机面および床面202に向けて反射できるので、机面および床面202上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
【0032】
作業面が複数箇所、離れた位置に存在する場合に、最適に配光できないという課題があったが、上記実施の形態では、壁面の複数箇所が床面方向に展開し、面状発光装置(床面)からの光を個々に任意の角度で反射することによって、複数の作業面に光照射されるように制御することができる。
従って、複数の配光制御部材によって、面状発光装置からの光を個々に任意の角度で反射できるので、複数の作業面に同時に、且つ最適に配光可能である。
【0033】
(実施の形態3)
図7乃至9は本発明の実施の形態3に係る床面発光システムの説明図である。図7は、床面発光システムの配光制御部材100を壁面に収納した状態を示す斜視図、図8は同床面発光システムの配光制御部材100を展開した状態を示す斜視図、図9は、同側面図である。
本実施の形態の床面発光システムは、作業面の明るさを増大するための構成である。配光制御部材が2分割構造をなしている点は前記実施の形態2と同様であるが、本実施の形態では、壁面の一部を2段階で室内側に開く構造とし、光の反射方向を制御するものである。ここで配光制御部材の反射面は、第1および第2の反射面で構成され、前記第1の反射面が、前記壁面1Wに設けられた軸O1に対して回動可能であり、第1および第2の反射面は軸O1に平行な第2の軸O2で固定され、この第2の軸O2に対して回動可能である。
【0034】
すなわち、配光制御部材100が、壁面に床面202に平行に取り付けられた第1の軸O1に対して、開閉可能であり、さらにこの第1の軸O1に相対向する辺上に設けられた第2の軸O2に対して開閉な配光体部101を具備し、実施の形態1の場合のほぼ2倍の反射面を有し、作業面300Sへの反射光量を増大するようにしたものである。
このときも、配光制御部材100は、壁面の一部を構成するように埋め込み形成されており、配光制御部材100、配光体部101ともに開き角を独立制御可能である。配光制御部材100、配光体部101いずれも、面状発光装置200の発光面201からの光を床面202に向けて反射することによって、作業面300Sである机300の上面を照射する。
【0035】
机300の上の作業面300Sに向けて光照射を行ないたい時は、図8および9に示すように配光制御部材100、配光体部101を開き、反射面100S、101Sをそれぞれ所望の角度まで開き、図示しない止具で止めて固定する。これにより、面状発光装置200からの光L0は配光制御部材100、配光体部101の反射面100S、101Sによってそれぞれ全反射され、反射光L1が机300の上の作業面300Sを照射する。
机の位置に応じて、図示しないリモートコントローラを用いてこの配光制御部材の反射面の開き角を調整することで、反射光L1の方向を調整し、作業面300Sに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0036】
上記構成によれば配光制御部材(壁面の一部)が床面方向に2段階で展開し、面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、作業面を照射する。
なおここで、2段階で展開することで、反射面は配光制御部材の内側面に形成しておくことができこれにより、収納時は壁面と同じ色にすることもできる。また反射面が常に露出した構造ではないため、汚れが防止され、メンテナンスの回数が少なくてすむ。
このようにして、配光制御部材100によって、面状発光装置200からの光をより効率よく机面および床面202に向けて反射できるので、机面および床面202上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
【0037】
床面と床面に設けられる面状発光装置とを有する床面発光システムは、配光制御部材によって、面状発光装置からの光を床面に向けて反射できるが、作業面の明るさが足りない場合がある。
本実施の形態では、配光制御部材が2段階以上で床面方向に展開、光反射面を2方向以上の異なる方向に設定し、これらの面が面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、より多くの光が作業面に照射されるように制御する。
【0038】
この構成により、2方向以上の異なる方向に設定された配光制御部材の光反射面によって、面状発光装置からの光を作業面により多く照射することができ、視作業する際のモノの視認性をさらに上げることができる。
【0039】
(実施の形態4)
図10乃至12は本発明の実施の形態4に係る床面発光システムの説明図である。図10は、床面発光システムの配光制御部材100を、床面に臨む面としての壁面1Wに収納した状態を示す斜視図、図11は同床面発光システムの配光制御部材100を展開した状態を示す斜視図、図12は、同側面図である。
本実施の形態の床面発光システムは、作業面の明るさを増大するための構成である。配光制御部材が壁面の一部を2段階で室内側に開く構造としている点は前記実施の形態3と同様であるが、本実施の形態では、壁面の一部を第1の軸O1で室内側に開き、その開いた状態でさらに前記第1の軸に垂直な第3および第4の軸O3,O4で開く構造とし、光の反射方向を制御するものである。この前記配光制御部材の反射面は、第1および第3、4の反射面100S,101aS、101bSで構成され、前記第1および第3、4の反射面が、前記壁面に設けられた前記軸に対して回動可能であり、前記第1および第3、4の反射面は前記軸に垂直な第3および第4の軸で固定され、前記第3および第4の反射面は前記第3および第4の軸O3,O4に対して回動可能である。
【0040】
すなわち、配光制御部材100が、壁面に床面202に平行に取り付けられた第1の軸O1に対して、開閉可能であり、さらにこの第1の軸O1に垂直な第3および第4の軸O3,O4に対して開閉可能な配光片102a、102bを具備し、実施の形態1の場合のほぼ2倍の反射面を有し、作業面300Sへの反射光量を増大するようにしたものである。
このときも、配光制御部材100は、壁面の一部を構成するように埋め込み形成されており、配光制御部材100、配光片102a、102bともに開き角を独立制御可能である。配光制御部材100、配光片102a、102bいずれも、面状発光装置200の発光面201からの光を床面202に向けて反射することによって、作業面300Sである机300の上面を照射する。
【0041】
机300の上の作業面300Sに向けて光照射を行ないたい時は、図11および12に示すように配光制御部材100、配光片102a、102bを開き、前記第1および第3、4の反射面100S、102aS、102bSをそれぞれ所望の角度まで開き、図示しない止具で止めて固定する。これにより、面状発光装置200からの光L0は配光制御部材100の反射面100Sおよび配光片102a、102bの反射面101aS、101bSによってそれぞれ全反射され、反射光L1が机300の上の作業面300Sを照射する。
机の位置に応じて、図示しないリモートコントローラを用いてこの配光制御部材の反射面の開き角を調整することで、反射光L1の方向を調整し、作業面300Sに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0042】
上記構成によれば配光制御部材(壁面の一部)が床面方向に2段階で展開し、面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、作業面を照射する。
【0043】
なお、本実施の形態では、第3および第4の反射面は第1の反射面に対して観音開きで展開可能であり、ここでも実施の形態3と同様、2段階で展開することで、反射面は配光制御部材の内側面に形成しておくことができこれにより、収納時は壁面と同じ色にすることもできる。また反射面が常に露出した構造ではないため、汚れが防止され、メンテナンスの回数が少なくてすむ。
このようにして、配光制御部材100によって、面状発光装置200からの光をより効率よく机面および床面202に向けて反射できるので、机面および床面202上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
【0044】
床面と床面に設けられる面状発光装置とを有する床面発光システムは、配光制御部材によって、面状発光装置からの光を床面に向けて反射できるが、作業面の明るさが足りない場合がある。
本実施の形態では、配光制御部材が2段階以上で床面方向に展開、光反射面を2方向以上の異なる方向に設定し、これらの面が面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、より多くの光が作業面に照射されるように制御する。
【0045】
この構成により、2方向以上の異なる方向に設定された配光制御部材の光反射面によって、面状発光装置からの光を作業面により多く照射することができ、視作業する際のモノの視認性をさらに上げることができる。
【0046】
(実施の形態5)
図13乃至15は、本発明の実施の形態5に係る床面発光システムの説明図である。図13は、床面発光システムの配光制御部材100を、床面に臨む面としての壁面1Wに収納した状態を示す斜視図、図14は同床面発光システムの配光制御部材100を展開した状態を示す斜視図、図15は、同側面図である。
本実施の形態の床面発光システムは、配光制御部材100を短冊状に分割し複数の反射面で構成された配光制御片100nで構成されている。各反射面が、前記壁面に設けられたそれぞれ別の軸に対して回動可能であり、前記各反射面は互いに平行な各軸に対して回動可能である。
【0047】
この床面発光システムは、この各配光制御片100nがそれぞれ独立して軸Onに対して回動可能なように構成し、多方向のやわらかい光を得るための構成である。つまり前記実施の形態1の配光制御部材を構成する配光制御片が短冊状に分割形成された構造としている点で前記実施の形態1と異なるが、他は前記実施の形態1と同様である。本実施の形態では、壁面の一部を短冊状に分割し各配光制御片100nがそれぞれ独立して各軸Onで室内側に開き、光の反射方向を制御するようにしたものである。なお、ここでは、壁面1W方向への光量を増大するために、図15に示すように床面発光装置200の内部に光方向制御パネル203を設け、作業時には床面発光装置200の発光面201から出射する光の方向を制御可能に構成されている。
【0048】
すなわち、配光制御片100nが、壁面に床面202に平行に取り付けられた各軸Onに対して、開閉可能であり、多方向の光を、作業面300Sに向けて反射し、結果として作業面300Sへの反射光量を増大するようにしている。
【0049】
このときも、配光制御部材100は、壁面の一部を構成するように埋め込み形成されており、各配光制御片100nともに開き角を独立制御可能である。配光制御片100nにより、面状発光装置200の発光面201からの光を床面202に向けて反射することによって、作業面300Sである机300の上面を照射する。
机300の上の作業面300Sに向けて光照射を行ないたい時は、図14および15に示すように配光制御片100nを開き、反射面100nSをそれぞれ所望の角度まで開き、図示しない止具で止めて固定する。これにより、面状発光装置200からの光L0は配光制御片100nによってそれぞれ全反射され、反射光L1が机300の上の作業面300Sを照射する。
【0050】
本実施の形態においても、机の位置に応じて、図示しないリモートコントローラを用いてこの配光制御部材の反射面の開き角を調整することで、反射光L1の方向を調整し、作業面300Sに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0051】
このようにして、複数の配光制御部片100nによって、面状発光装置200からの光をより効率よく机面および床面202に向けて反射できるので、机面および床面202上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
【0052】
この構成により、2方向以上の異なる方向に設定された配光制御部材の光反射面によって、面状発光装置からの光を作業面により多く効率よく照射することができ、視作業する際のモノの視認性をさらに上げることができる。
また、2方向以上の異なる方向に設定された配光制御部材の光反射面によって、面状発光装置からの光を作業面により多く照射することができ、視作業する際のモノの視認性をさらに上げることができる。
【0053】
(実施の形態6)
図16乃至19は本発明の実施の形態6に係る床面発光システムの説明図である。
本実施の形態の床面発光システムでは、配光制御部材として折りたたみ式の浮遊型光反射部500を用いて、反射光を作業面300Sに導く構造である。ここで、図16はこの床面発光システムで用いられる浮遊型光反射部500を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。本実施の形態では、既築物件に対しても装着可能な構造を提供する。
【0054】
この折りたたみ式浮遊型光反射部は、壁面1Wから伸長可能に設けられ、それぞれ係止部501を有する2つの位置決め部材502と、この位置決め部材502に係止される浮遊体503とで構成されている。この浮遊体503はヘリウム、水素などのガスを入れて浮遊可能に形成され、表面が光反射体で形成されたものであり、ガスを入れることで所望の大きさに膨らませ、位置決め部材502で天井面1U近傍の所定の位置に浮遊するように構成されている。
【0055】
図17は、床面発光システムの浮遊型光反射部500の位置決め部材502を、床面202に臨む面としての壁面1Wに収納した状態を示す斜視図、図18は同床面発光システムの浮遊型光反射部500を展開した状態を示す斜視図、図19は、同側面図である。
本実施の形態の床面発光システムは、配光制御部材として浮遊型光反射体(浮遊体)503を用いた点で前記実施の形態1乃至5とは異なるが、これらと同様に、床面上の視作業を行なう際に、作業面300Sに向けて反射し、結果として作業面300Sへの反射光量を増大するようにしたものである。
【0056】
机300の上の作業面300Sに向けて光照射を行ないたい時は、図18および19に示すように浮遊型光反射部500を展開し、ガスを入れることで所望の大きさに膨らませた浮遊体503の凸部Tを、係止部501で止めて固定する。これにより、面状発光装置200からの光L0は浮遊型光反射部500によってそれぞれ全反射され、反射光L1が机300の上の作業面300Sを照射する。なお、係止部501のみを壁に取り付けておくことで、浮遊型光反射部500の着脱は自在である。
【0057】
本実施の形態においても、机の位置に応じて、浮遊型光反射部500の浮遊体503のガスの充填具合を調整することで、反射光L1の方向を調整し、作業面300Sに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0058】
このように、本実施の形態では、配光制御部材としての浮遊型光反射体を、面状発光装置(床面)上部に配置し、配光制御部材として浮遊型光反射体の床面に臨む面が、面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、作業面を照射する。
【0059】
この構成によれば、配光制御部材(浮遊型光反射体)によって、面状発光装置からの光を床面に向けて反射できるので、床面上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
また、別体の照明を設けなくとも反射光により作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状発光装置からの光のみを有効活用できるので電気エネルギーアップにならずにすむ。
さらにまた、配光制御部材(浮遊型光反射体)を使用しない時は、気体を抜くことによって小さく畳むことができ、収納しやすく邪魔にならない。
【0060】
(実施の形態7)
図20乃至22は、本発明の実施の形態7に係る床面発光システムの説明図である。本実施の形態では、配光制御のために、床面を臨む面として天井面1Uを用いるべく、光る床を構成する床面202を含む面状発光装置200を昇降させる昇降装置600を設けたことを特徴とするものである。図20は、床面発光システムの通常照明時を示す図、図21は同床面発光システムにおいて天井面1Uに当たった光が作業面に届くように面状発光装置200を上昇させた状態を示す斜視図、図22は、同側面図である。
本実施の形態の床面発光システムは、配光制御部材として反射部材を設けるのではなく、床面の昇降装置600を設けたもので、配光制御部材は、天井面と、前記面状光源を前記天井面に対して昇降制御する昇降部とを具備したことを特徴とする。昇降装置600は、面状発光装置200を伸縮可能な脚部601を具備し図示しない動力部によってこの脚部601が昇降する構成である。
【0061】
すなわち、机300の上の作業面300Sに向けて光照射を行ないたい時は、図21および22に示すように面状発光装置200を上昇させ、面状発光装置200からの光L0は添乗面1Uによって全反射され、反射光L1が机300の上の作業面300Sを照射する。
本実施の形態においても、机の位置に応じて、図示しないリモートコントローラを用いて昇降装置600の昇降量を調整することで、反射光L1の方向を調整し、作業面300Sに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0062】
このようにして、図22に示すように、床面202が202−1の位置から天井面1Uの方向に上昇し、202−2の位置まで到達し、天井面(床面に臨む面)が、面状発光装置(床面)200からの光を床面に向けて反射することによって、作業面300Sを照射する
天井面(床面に臨む面)1Uによって、面状発光装置からの光を床面に向けて反射できるので、床面上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
また、前記実施の形態1乃至6と同様、本実施の形態の床面発光システムにおいても、別体の照明を設けなくとも反射光により作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状発光装置からの光のみを有効活用できるので省エネルギー化をはかることができる。
なお、前記実施の形態において、反射面は平面鏡を用いているが、凹面鏡あるいは他の光学系を用いて集光するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1に係る床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【図4】本発明の実施の形態2に係る床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態2に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態2に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【図7】本発明の実施の形態3に係る床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態3に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図9】本発明の実施の形態3に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【図10】本発明の実施の形態4に係る床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図11】本発明の実施の形態4に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図12】本発明の実施の形態4に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【図13】本発明の実施の形態5に係る床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図14】本発明の実施の形態5に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図15】本発明の実施の形態5に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【図16】本発明の実施の形態6に係る床面発光システムの配光制御部材を示す説明図
【図17】本発明の実施の形態6に係る床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図18】本発明の実施の形態6に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図19】本発明の実施の形態6に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【図20】本発明の実施の形態7に係る床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図21】本発明の実施の形態7に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図22】本発明の実施の形態7に係る床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【符号の説明】
【0064】
100 配光制御部材
200 面状発光装置
201 発光面
202 床面
300S 作業面
300 机
500 浮遊型光反射部(配光制御部材)
501 係止部
502 位置決め部材
503 浮遊体
600 昇降装置
1W 壁面
1U 天井面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と、
前記床面に臨む面と、
前記床面に設けられた面状光源と、
前記床面に臨む面に設けられ、前記面状光源からの光を床面に向けて反射する配光制御部材とを具備した床面発光システム。
【請求項2】
請求項1に記載の床面発光システムであって、
前記床面に臨む面は、壁面と天井面であり、
前記壁面又は天井面の少なくとも一方の面には、前記面状光源からの光を床面に向けて反射する配光制御部材が設けられた床面発光システム。
【請求項3】
請求項1に記載の床面発光システムであって、
前記配光制御部材の反射面は、浮遊部材で構成され、着脱自在である床面発光システム。
【請求項4】
請求項2に記載の床面発光システムであって、
前記配光制御部材は、反射面を備えた天井面と、前記面状光源を前記天井面に対して昇降制御する昇降部とを具備した床面発光システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−73397(P2010−73397A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237705(P2008−237705)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】