床面発光装置
【課題】床面発光装置において、床部の明るさを所望の値に保ちつつ、床部が熱くならないようにすることでユーザが床部に接触しても不快感を生じさせないようにする。
【解決手段】床面発光装置1は、透光性の床部2と、床部2から光出射させるための光源部3とを備える。床部2は、光源部3の発熱により温度上昇する床部2を冷却するための冷却用流体L1を流す流路21を有する。床部2は流体L1により冷却されるので、床部2の温度上昇が抑えられる。従って、床部2が熱くならないので、ユーザが床部2に接触しても不快感を生じさせない。また、床部2に接触しても不快感を生じさせないように光源部3の発光量を低減させて発熱量を抑える必要がなくなり、床部2の明るさを所望の値に保つことができる。
【解決手段】床面発光装置1は、透光性の床部2と、床部2から光出射させるための光源部3とを備える。床部2は、光源部3の発熱により温度上昇する床部2を冷却するための冷却用流体L1を流す流路21を有する。床部2は流体L1により冷却されるので、床部2の温度上昇が抑えられる。従って、床部2が熱くならないので、ユーザが床部2に接触しても不快感を生じさせない。また、床部2に接触しても不快感を生じさせないように光源部3の発光量を低減させて発熱量を抑える必要がなくなり、床部2の明るさを所望の値に保つことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面から光を発する床面発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅のリビングダイニングルーム等においては、例えば、ダイニングスペースで食事をしている人がいる一方、リビングスペースではくつろいでいる人がいる等、複数人が一つの室内空間を同時に異なる使い方をする場合がある。そのような場合、物理的な間仕切りを用いてダイニングスペースとリビングスペースを区切ると、各人のプライベート感は確保されるが、開放感が阻害される。そこで、物理的な間仕切りを用いずに、モノスペースとしての開放感を確保しつつ、光を使って室内の一画を心理的にゆるやかに区切ってプライベート感を醸成する、ゾーニングという照明手法がある。
【0003】
図12は、リビングダイニングルーム100を光を使ってゾーニングした照明例を示す。この例では、リビングスペース101にその一画の床面を発光させる床面発光装置102が配置されている。この床面発光装置102は、筐体103の内部に光源部104を有し、比較的大面積の透光性の床部105から光を出射する。床部105上には座卓等の什器106が置かれ、床部105はその上にユーザが座ることが可能とされている。ダイニングスペース107は、天井照明器具108によりダイニングテーブル付近が照明されている。リビングスペース101とダイニングスペース107の間は、照度が低くされており、リビングスペース101とダイニングスペース107は、それぞれ床面発光装置102と天井照明器具108からの光によってゾーニングされる。
【0004】
上記の床面発光装置102においては、光源部104の点灯中の発熱により床部105が温度上昇するので、ユーザが床部105に触れたとき不快感を感じることがある。そこで、光源部104の発光量を低減させて、その発熱量を抑えることにより、床部105の温度上昇を抑えることが考えられる。このようにすれば、不快感を感じさせないようにすることができる。しかしながら、発光量の低減に伴って床面の明るさが所望の値よりも低くなり、暗くなってしまう。
【0005】
そこで、発光量の低減によらずに、光源による発熱を抑える技法としては、光源が取り付けられた配線基板に、冷却水が循環する流路を有した冷却ブロックを取り付けることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この技法では、光源を冷却することはできても、床部105の温度上昇を十分に抑えることは困難であり、床部105が熱くならないようにすることは難しい。
【特許文献1】特開2006−310044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、床部から光を出射させる床面発光装置において、床部の明るさを所望の値に保ちつつ、床部が熱くならないようにすることでユーザが床部に接触しても不快感を生じさせない床面発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、透光性の床部と、前記床部から光出射させるための光源部と、を備えた床面発光装置において、前記床部は、前記光源部の発熱により温度上昇する床部を冷却するための冷却用流体を流す流路を有するものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の床面発光装置において、前記光源部は、前記床部に設けられた流路の下方に配置され、該流路を下方から照らすものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の床面発光装置において、前記冷却用流体は、光拡散剤を分散させた流体である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、床部は冷却用流体により冷却されるので、床部の温度上昇が抑えられる。従って、床部が熱くならないので、ユーザが床部に接触しても不快感を生じさせない。また、床部に接触しても不快感を生じさせないように光源部の発光量を低減させて発熱量を抑える必要がなくなり、床部の明るさを所望の値に保つことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、流路内の流体は光源部により下方から照らされて、その動きが光の揺らぎとして壁又は天井等に投影されるので、癒し又はリラックス効果等を生じさせる光演出効果を得ることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、光拡散剤により光源部からの光が拡散されるので、床部の面輝度の均一化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の各種実施形態に係る床面発光装置について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る床面発光装置の構成を示す。本実施形態の床面発光装置1は、透光性を有する略矩形板状の床部2と、床部2から光出射させるため床部2の下方に配設されるLEDパネルで構成された光源部3と、床部2及び光源部3を位置決め固定する枠体4と、枠体4が上方から嵌め込まれて固定される箱状の筐体5とを備え、壁W1に当接して設置されている。床部2には、光源部3の発熱により温度上昇する床部2を冷却するための冷却用流体L1(以下、流体L1と略記)が流れる流路21が貫通形成されている。流路21は下方から光源部3により照らされる。流体L1は例えば水とする。流体L1は、壁W1に設けられた導入口6から床面発光装置1に流入し、床面発光装置1を通って、壁W1に設けられた排出口7へ排出される。
【0014】
床部2は、例えばプラスチック又はガラス等の透光性部材で構成されており、1人又は複数人のユーザがその上に座り又は寝ることが可能な程度の大きさであり、ユーザが床部2の上に載っても割れない程度の強度を有する。流路21は、床部2の面方向に拡がって形成されている。流路21の流通方向に直交する断面は、例えば略矩形状であるが、この形状に限定されない。流路21は単数であっても、複数あってもよい。光源部3は上述のLEDパネル31で構成され、LEDパネル31は床部2と略同じ面積を有する。LEDパネル31には複数のLED光源32が配列される。
【0015】
枠体4及び筐体5には、導入口6から流体L1を流路21へ導く流路41、51が形成され、また、流路21から流体L1を排出口7へ導く流路42、52が形成されている。枠体4は例えば断面視略U字状であり、流路42は枠体4の側壁部4a及び底部4bに貫通形成されている。筐体5に形成された流路51の流入口51aと流路52の排出口52aとは、筐体5の壁W1側の側面に設けられており、それぞれ、導入口6及び排出口7と合う位置に形成されている。流路51、41、21、42、52は連通しており、それらの間には水漏れ防止用のパッキンが設けられていることが望ましい。流体L1は、流体L1を供給する流体供給装置(不図示)により導入口6から流路51へ流れ入れられる。導入口6から流路51に導き入れられた流体L1は、上記流路順に流れ、流路52から排出口7へ排出される。その排出される流体L1は、流体供給装置により取り込まれる。
【0016】
枠体4は、側壁部4aの床部2よりも上の部分から内方に突出した突出部4cを有しており、突出部4cは床部2が外れることを防ぐ。床部2は枠体4内で、LEDパネル31の上に配設された透光性を有する衝撃吸収材の上に積層されて、又は枠体4の側壁部4aから内方に突出した上記とは別の突出部の上に載せられて位置決め固定されている。
【0017】
枠体4及び筐体5を構成する素材は、例えば、プラスチック又はこれにガラス繊維等の強化充填材を配合したもの、若しくはアルミニウム、合金、鉄又はマグネシウム合金等の金属、木材、若しくは石膏ボード等の割れ難い素材とする。筐体5には、壁W1又は床等に設けられた電源供給用の電気配線と接続するための電気接点が設けられており、この電気接点は電気配線を介してLED光源32と接続されている。
【0018】
上記のように構成された本実施形態の床面発光装置1においては、床部2は流体L1により冷却されるので、床部2の温度上昇が抑えられる。従って、床部2が熱くならないので、ユーザが床部2の床面2aに接触しても不快感を生じさせず、また床面2aとの長時間の接触に起因する低温やけどを防ぐことができる。また、床面2aに接触しても不快感を生じさせないように光源部3の発光量を低減させて発熱量を抑える必要がなくなり、床部2の明るさを所望の値に保つことができる。
【0019】
また、流路21内の流体L1は光源部3により下方から照らされて、その動きが光の揺らぎとして壁又は天井等に投影される。図3は波立つ流体L1の投影像P1を示す。このような光の揺らぎにより、癒し又はリラックス効果等を生じさせる光演出効果を得ることができる。また、流路21を貯水槽として活用することができ、流路21内の流体L1を断水時に生活用水として活用し、又は災害時に消火用水として活用することができる。
【0020】
以下に、本実施形態の各種変形例を説明する。床部2を構成する透光性部材には、所望の明るさ又は光出射方向等の光学特性に応じて、光拡散剤又は光波長変換剤が配合されてその密度が調整され、又は、透光性部材の表面が所望の光学特性に応じて加工され、又は、例えば光を拡散させるため表面が粗面加工されていてもよい。この粗面加工を施す場合は、粗面度はユーザが表面に接して違和感を覚えない程度とする。また、流体L1の流れが上述の流体供給装置により制御され、流体L1が揺れるように制御されていてもよい。
【0021】
LEDパネル31の各LED光源32は、赤色光、緑色光、青色光を夫々発光する3色のLED素子を有するものであっても、又は、各LED光源32は上記3色のうちの1色のLED素子で構成され、LEDパネル31が3色のLED光源32で構成されていてもよい。LEDパネル31が複数色のLED素子を含む場合、制御装置により各色LED素子へ流す電流を制御して光の色成分を調整可能とすることが望ましい。光源部3は、薄く形成でき、光色の可変性に優れるものであればよい。
【0022】
図4に示す変形例においては、床部2は、各々が流路21を有する複数の床部ブロック22で構成され、これらを敷き詰めて成る。図5に示す変形例においては、光源部3は、LED光源32が並設された複数のLEDパネルブロック33を組み合わせて成り、分割可能に構成されている。
【0023】
図6に示す変形例においては、光源部3は有機ELパネル34で構成されている。有機ELパネル34の有機発光層は、例えば、白色光を取り出せるように赤色光、緑色光、及び青色光の発光層が積層されていても、又は上記各色の発光層が積層されずに横に並び、各発光層を調光して合成光を調色可能に構成されていてもよい。有機ELパネル34は分割可能に構成されていても構わない。
【0024】
図7に示す変形例においては、導入口6及び排出口7は床F1に設けられ、筐体5の流入口51a及び排出口52aは、それぞれ、筐体5の底面の導入口6及び排出口7と対応する位置に設けられている。本変形例では、床面発光装置1を部屋の壁際以外の場所、例えば部屋の中央に設置することができる。
【0025】
図8に示す変形例においては、床部2の上に、床板又は絨毯に似せた模様若しくは色柄を有した光透過パネル8を積層されている。光透過パネル8の寸法は床部2と略同じとする。
【0026】
図9に示す変形例においては、光源部3が床部2の上に設けられている。床部2に設けられた流路21を流れる流体L1は、床部2だけでなく、光源部3を、ユーザが接触しても不快感を感じない程度まで冷却可能な水温とされている。本変形例では、光源部3は、可撓性を有する有機ELパネル34で構成することが望ましい。
【0027】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る床面発光装置の構成を示す。上記第1の実施形態と同じ構成部材には同一の符号を付す。本実施形態の床面発光装置1は、流体L1に光拡散剤として微細気泡B1を混入させる気泡発生装置9を備える。
【0028】
気泡発生装置9は、流体L1を流路21に供給する供給路10に両端を連通させた循環流路91と、循環流路91の上流側の端部すなわち吸込口91aから流体L1を吸い込み、下流側の端部すなわち噴出口91bへ循環させる加圧ポンプ92と、を備える。また、気泡発生装置9は、上述の吸い込んだ流体L1に空気を混入させる空気混入部93と、その混入した空気を流体L1に溶解させる空気溶解部94と、その溶解させた空気を析出させて微細気泡とし噴出口91bから噴出する微細気泡発生部95とを備える。空気混入部93には空気供給管96が連接されている。微細気泡発生部95は、空気が溶解した流体L1を減圧することで、流体L1中に溶解した空気を析出し、平均の径が略0.2〜100[μm]の微細気泡B1とする。微細気泡B1は供給路10を通って流路21に入り込む。
【0029】
図11は、微細気泡B1が時間の経過に伴って流路21内で分散する様子を示す。微細気泡B1は、流路21内の流体L1の中を浮遊して万遍なく分散し、流路21の隅々まで行き渡り、流路21内の流体L1全体が微細気泡に満たされて乳白色となる。
【0030】
本実施形態においては、流体L1には微細気泡B1が混入され、微細気泡B1は流体L1内で分散するので、微細気泡B1により光源部3からの光を拡散させ、床部2の面輝度の均一化を図ることができる。また、微細気泡B1は光源部3により下方から照らされて、その動きが光の揺らぎとして壁又は天井等に投影されるので、癒し又はリラックス効果等を生じさせる光演出効果を得ることができる。
【0031】
また、微細気泡B1の平均径が略0.2〜100[μm]であり、極めて小さいので、分散性及び浮遊性に優れており、従って破泡するまでの時間が掛かり、すなわち流体L1中に浮遊して滞留する時間が長くなり、流路21の隅々まで満遍なく分散することができる。このため、床部2の面輝度をより均一化することができる。
【0032】
以下に、本実施形態の各種変形例を説明する。流体L1に混入される光拡散剤は、空気から成る微細気泡B1に限定されず、ガスから成る気泡、又は流体L1と相分離する流体等であってもよい。また、光源部3は、気泡発生装置9のオン/オフ動作に連動して発光/消灯しても、又は独立して発光/消灯してもよい。
【0033】
気泡発生装置9は、圧縮空気供給用チューブが繋がった気泡噴出ノズルの先に、孔径が略15〜100[μm]の多孔質セラミックで構成された空気吐出部が設けられ、この気泡噴出ノズル及び空気吐出部が供給路10の管内に取り付けられた気泡発生装置であってもよい。この装置においては、圧縮空気が気泡噴出ノズルから供給されて多孔質セラミックを通過し、これにより径が略15〜100[μm]の気泡が流体L1に噴出される。
【0034】
気泡発生装置9は、空気混入部93により空気を吸い込んで流体L1中に混入させて気泡とし、流体L1に加える圧力を変化させることにより、又は、流路21を流体L1の流路21への衝突を引き起こす形状とすることにより、気泡を細かくせん断して、所望径の微細気泡を発生させる気泡発生装置であっても構わない。気泡発生装置9は、上記以外の公知技術を適用した構成を有していてもよい。
【0035】
なお、本発明は、上記第1及び第2の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、導入口6と筐体5の流入口51aとの間、及び筐体5の排出口52aと排出口7との間をそれぞれ繋ぐ配管を設けることにより、床面発光装置1を移動させて所望の位置で使用可能に構成してもよい。この場合、導入口6と流入口51aの管径はこれらの間を繋ぐ配管の管径に応じた管径とされ、排出口52aと排出口7の管径はこれらの間を繋ぐ配管の管径に応じた管径とされる。また、床部2に、床板又は絨毯に似せた模様若しくは色柄が印刷されていてもよい。また、光源部3は、LEDパネル31及び有機ELパネル34ではなく、蛍光灯で構成されていてもよい。また、光源部3が複数色の光を選択して出射可能とされ、それら異なる色の光が所定間隔毎に自動的に変化するように光源部3が制御装置より調光制御されていても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る床面発光装置の斜視図、(b)はその平面図、(c)はその分解斜視図。
【図2】上記図1(b)のA−A線断面図。
【図3】上記装置による天井への投影像を示す図。
【図4】上記装置の床部の変形例を示す図。
【図5】上記装置の光源部の変形例を示す図。
【図6】上記光源部とは別の変形例を示す断面図。
【図7】上記装置の枠体及び筐体内の流路の変形例を示す断面図。
【図8】上記装置に光透過パネルを設けた変形例を示す断面図。
【図9】上記床部と光源部の配置が異なる変形例を示す断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る床面発光装置の断面図。
【図11】上記装置の流路内で微細気泡が分散する様子を示す平面図。
【図12】1つの室内空間を光を使ってゾーニングした照明例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1 床面発光装置
2 床部
21 流路
3 光源部
L1 冷却用流体
B1 微細気泡(光拡散剤)
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面から光を発する床面発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅のリビングダイニングルーム等においては、例えば、ダイニングスペースで食事をしている人がいる一方、リビングスペースではくつろいでいる人がいる等、複数人が一つの室内空間を同時に異なる使い方をする場合がある。そのような場合、物理的な間仕切りを用いてダイニングスペースとリビングスペースを区切ると、各人のプライベート感は確保されるが、開放感が阻害される。そこで、物理的な間仕切りを用いずに、モノスペースとしての開放感を確保しつつ、光を使って室内の一画を心理的にゆるやかに区切ってプライベート感を醸成する、ゾーニングという照明手法がある。
【0003】
図12は、リビングダイニングルーム100を光を使ってゾーニングした照明例を示す。この例では、リビングスペース101にその一画の床面を発光させる床面発光装置102が配置されている。この床面発光装置102は、筐体103の内部に光源部104を有し、比較的大面積の透光性の床部105から光を出射する。床部105上には座卓等の什器106が置かれ、床部105はその上にユーザが座ることが可能とされている。ダイニングスペース107は、天井照明器具108によりダイニングテーブル付近が照明されている。リビングスペース101とダイニングスペース107の間は、照度が低くされており、リビングスペース101とダイニングスペース107は、それぞれ床面発光装置102と天井照明器具108からの光によってゾーニングされる。
【0004】
上記の床面発光装置102においては、光源部104の点灯中の発熱により床部105が温度上昇するので、ユーザが床部105に触れたとき不快感を感じることがある。そこで、光源部104の発光量を低減させて、その発熱量を抑えることにより、床部105の温度上昇を抑えることが考えられる。このようにすれば、不快感を感じさせないようにすることができる。しかしながら、発光量の低減に伴って床面の明るさが所望の値よりも低くなり、暗くなってしまう。
【0005】
そこで、発光量の低減によらずに、光源による発熱を抑える技法としては、光源が取り付けられた配線基板に、冷却水が循環する流路を有した冷却ブロックを取り付けることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この技法では、光源を冷却することはできても、床部105の温度上昇を十分に抑えることは困難であり、床部105が熱くならないようにすることは難しい。
【特許文献1】特開2006−310044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、床部から光を出射させる床面発光装置において、床部の明るさを所望の値に保ちつつ、床部が熱くならないようにすることでユーザが床部に接触しても不快感を生じさせない床面発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、透光性の床部と、前記床部から光出射させるための光源部と、を備えた床面発光装置において、前記床部は、前記光源部の発熱により温度上昇する床部を冷却するための冷却用流体を流す流路を有するものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の床面発光装置において、前記光源部は、前記床部に設けられた流路の下方に配置され、該流路を下方から照らすものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の床面発光装置において、前記冷却用流体は、光拡散剤を分散させた流体である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、床部は冷却用流体により冷却されるので、床部の温度上昇が抑えられる。従って、床部が熱くならないので、ユーザが床部に接触しても不快感を生じさせない。また、床部に接触しても不快感を生じさせないように光源部の発光量を低減させて発熱量を抑える必要がなくなり、床部の明るさを所望の値に保つことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、流路内の流体は光源部により下方から照らされて、その動きが光の揺らぎとして壁又は天井等に投影されるので、癒し又はリラックス効果等を生じさせる光演出効果を得ることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、光拡散剤により光源部からの光が拡散されるので、床部の面輝度の均一化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の各種実施形態に係る床面発光装置について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る床面発光装置の構成を示す。本実施形態の床面発光装置1は、透光性を有する略矩形板状の床部2と、床部2から光出射させるため床部2の下方に配設されるLEDパネルで構成された光源部3と、床部2及び光源部3を位置決め固定する枠体4と、枠体4が上方から嵌め込まれて固定される箱状の筐体5とを備え、壁W1に当接して設置されている。床部2には、光源部3の発熱により温度上昇する床部2を冷却するための冷却用流体L1(以下、流体L1と略記)が流れる流路21が貫通形成されている。流路21は下方から光源部3により照らされる。流体L1は例えば水とする。流体L1は、壁W1に設けられた導入口6から床面発光装置1に流入し、床面発光装置1を通って、壁W1に設けられた排出口7へ排出される。
【0014】
床部2は、例えばプラスチック又はガラス等の透光性部材で構成されており、1人又は複数人のユーザがその上に座り又は寝ることが可能な程度の大きさであり、ユーザが床部2の上に載っても割れない程度の強度を有する。流路21は、床部2の面方向に拡がって形成されている。流路21の流通方向に直交する断面は、例えば略矩形状であるが、この形状に限定されない。流路21は単数であっても、複数あってもよい。光源部3は上述のLEDパネル31で構成され、LEDパネル31は床部2と略同じ面積を有する。LEDパネル31には複数のLED光源32が配列される。
【0015】
枠体4及び筐体5には、導入口6から流体L1を流路21へ導く流路41、51が形成され、また、流路21から流体L1を排出口7へ導く流路42、52が形成されている。枠体4は例えば断面視略U字状であり、流路42は枠体4の側壁部4a及び底部4bに貫通形成されている。筐体5に形成された流路51の流入口51aと流路52の排出口52aとは、筐体5の壁W1側の側面に設けられており、それぞれ、導入口6及び排出口7と合う位置に形成されている。流路51、41、21、42、52は連通しており、それらの間には水漏れ防止用のパッキンが設けられていることが望ましい。流体L1は、流体L1を供給する流体供給装置(不図示)により導入口6から流路51へ流れ入れられる。導入口6から流路51に導き入れられた流体L1は、上記流路順に流れ、流路52から排出口7へ排出される。その排出される流体L1は、流体供給装置により取り込まれる。
【0016】
枠体4は、側壁部4aの床部2よりも上の部分から内方に突出した突出部4cを有しており、突出部4cは床部2が外れることを防ぐ。床部2は枠体4内で、LEDパネル31の上に配設された透光性を有する衝撃吸収材の上に積層されて、又は枠体4の側壁部4aから内方に突出した上記とは別の突出部の上に載せられて位置決め固定されている。
【0017】
枠体4及び筐体5を構成する素材は、例えば、プラスチック又はこれにガラス繊維等の強化充填材を配合したもの、若しくはアルミニウム、合金、鉄又はマグネシウム合金等の金属、木材、若しくは石膏ボード等の割れ難い素材とする。筐体5には、壁W1又は床等に設けられた電源供給用の電気配線と接続するための電気接点が設けられており、この電気接点は電気配線を介してLED光源32と接続されている。
【0018】
上記のように構成された本実施形態の床面発光装置1においては、床部2は流体L1により冷却されるので、床部2の温度上昇が抑えられる。従って、床部2が熱くならないので、ユーザが床部2の床面2aに接触しても不快感を生じさせず、また床面2aとの長時間の接触に起因する低温やけどを防ぐことができる。また、床面2aに接触しても不快感を生じさせないように光源部3の発光量を低減させて発熱量を抑える必要がなくなり、床部2の明るさを所望の値に保つことができる。
【0019】
また、流路21内の流体L1は光源部3により下方から照らされて、その動きが光の揺らぎとして壁又は天井等に投影される。図3は波立つ流体L1の投影像P1を示す。このような光の揺らぎにより、癒し又はリラックス効果等を生じさせる光演出効果を得ることができる。また、流路21を貯水槽として活用することができ、流路21内の流体L1を断水時に生活用水として活用し、又は災害時に消火用水として活用することができる。
【0020】
以下に、本実施形態の各種変形例を説明する。床部2を構成する透光性部材には、所望の明るさ又は光出射方向等の光学特性に応じて、光拡散剤又は光波長変換剤が配合されてその密度が調整され、又は、透光性部材の表面が所望の光学特性に応じて加工され、又は、例えば光を拡散させるため表面が粗面加工されていてもよい。この粗面加工を施す場合は、粗面度はユーザが表面に接して違和感を覚えない程度とする。また、流体L1の流れが上述の流体供給装置により制御され、流体L1が揺れるように制御されていてもよい。
【0021】
LEDパネル31の各LED光源32は、赤色光、緑色光、青色光を夫々発光する3色のLED素子を有するものであっても、又は、各LED光源32は上記3色のうちの1色のLED素子で構成され、LEDパネル31が3色のLED光源32で構成されていてもよい。LEDパネル31が複数色のLED素子を含む場合、制御装置により各色LED素子へ流す電流を制御して光の色成分を調整可能とすることが望ましい。光源部3は、薄く形成でき、光色の可変性に優れるものであればよい。
【0022】
図4に示す変形例においては、床部2は、各々が流路21を有する複数の床部ブロック22で構成され、これらを敷き詰めて成る。図5に示す変形例においては、光源部3は、LED光源32が並設された複数のLEDパネルブロック33を組み合わせて成り、分割可能に構成されている。
【0023】
図6に示す変形例においては、光源部3は有機ELパネル34で構成されている。有機ELパネル34の有機発光層は、例えば、白色光を取り出せるように赤色光、緑色光、及び青色光の発光層が積層されていても、又は上記各色の発光層が積層されずに横に並び、各発光層を調光して合成光を調色可能に構成されていてもよい。有機ELパネル34は分割可能に構成されていても構わない。
【0024】
図7に示す変形例においては、導入口6及び排出口7は床F1に設けられ、筐体5の流入口51a及び排出口52aは、それぞれ、筐体5の底面の導入口6及び排出口7と対応する位置に設けられている。本変形例では、床面発光装置1を部屋の壁際以外の場所、例えば部屋の中央に設置することができる。
【0025】
図8に示す変形例においては、床部2の上に、床板又は絨毯に似せた模様若しくは色柄を有した光透過パネル8を積層されている。光透過パネル8の寸法は床部2と略同じとする。
【0026】
図9に示す変形例においては、光源部3が床部2の上に設けられている。床部2に設けられた流路21を流れる流体L1は、床部2だけでなく、光源部3を、ユーザが接触しても不快感を感じない程度まで冷却可能な水温とされている。本変形例では、光源部3は、可撓性を有する有機ELパネル34で構成することが望ましい。
【0027】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る床面発光装置の構成を示す。上記第1の実施形態と同じ構成部材には同一の符号を付す。本実施形態の床面発光装置1は、流体L1に光拡散剤として微細気泡B1を混入させる気泡発生装置9を備える。
【0028】
気泡発生装置9は、流体L1を流路21に供給する供給路10に両端を連通させた循環流路91と、循環流路91の上流側の端部すなわち吸込口91aから流体L1を吸い込み、下流側の端部すなわち噴出口91bへ循環させる加圧ポンプ92と、を備える。また、気泡発生装置9は、上述の吸い込んだ流体L1に空気を混入させる空気混入部93と、その混入した空気を流体L1に溶解させる空気溶解部94と、その溶解させた空気を析出させて微細気泡とし噴出口91bから噴出する微細気泡発生部95とを備える。空気混入部93には空気供給管96が連接されている。微細気泡発生部95は、空気が溶解した流体L1を減圧することで、流体L1中に溶解した空気を析出し、平均の径が略0.2〜100[μm]の微細気泡B1とする。微細気泡B1は供給路10を通って流路21に入り込む。
【0029】
図11は、微細気泡B1が時間の経過に伴って流路21内で分散する様子を示す。微細気泡B1は、流路21内の流体L1の中を浮遊して万遍なく分散し、流路21の隅々まで行き渡り、流路21内の流体L1全体が微細気泡に満たされて乳白色となる。
【0030】
本実施形態においては、流体L1には微細気泡B1が混入され、微細気泡B1は流体L1内で分散するので、微細気泡B1により光源部3からの光を拡散させ、床部2の面輝度の均一化を図ることができる。また、微細気泡B1は光源部3により下方から照らされて、その動きが光の揺らぎとして壁又は天井等に投影されるので、癒し又はリラックス効果等を生じさせる光演出効果を得ることができる。
【0031】
また、微細気泡B1の平均径が略0.2〜100[μm]であり、極めて小さいので、分散性及び浮遊性に優れており、従って破泡するまでの時間が掛かり、すなわち流体L1中に浮遊して滞留する時間が長くなり、流路21の隅々まで満遍なく分散することができる。このため、床部2の面輝度をより均一化することができる。
【0032】
以下に、本実施形態の各種変形例を説明する。流体L1に混入される光拡散剤は、空気から成る微細気泡B1に限定されず、ガスから成る気泡、又は流体L1と相分離する流体等であってもよい。また、光源部3は、気泡発生装置9のオン/オフ動作に連動して発光/消灯しても、又は独立して発光/消灯してもよい。
【0033】
気泡発生装置9は、圧縮空気供給用チューブが繋がった気泡噴出ノズルの先に、孔径が略15〜100[μm]の多孔質セラミックで構成された空気吐出部が設けられ、この気泡噴出ノズル及び空気吐出部が供給路10の管内に取り付けられた気泡発生装置であってもよい。この装置においては、圧縮空気が気泡噴出ノズルから供給されて多孔質セラミックを通過し、これにより径が略15〜100[μm]の気泡が流体L1に噴出される。
【0034】
気泡発生装置9は、空気混入部93により空気を吸い込んで流体L1中に混入させて気泡とし、流体L1に加える圧力を変化させることにより、又は、流路21を流体L1の流路21への衝突を引き起こす形状とすることにより、気泡を細かくせん断して、所望径の微細気泡を発生させる気泡発生装置であっても構わない。気泡発生装置9は、上記以外の公知技術を適用した構成を有していてもよい。
【0035】
なお、本発明は、上記第1及び第2の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、導入口6と筐体5の流入口51aとの間、及び筐体5の排出口52aと排出口7との間をそれぞれ繋ぐ配管を設けることにより、床面発光装置1を移動させて所望の位置で使用可能に構成してもよい。この場合、導入口6と流入口51aの管径はこれらの間を繋ぐ配管の管径に応じた管径とされ、排出口52aと排出口7の管径はこれらの間を繋ぐ配管の管径に応じた管径とされる。また、床部2に、床板又は絨毯に似せた模様若しくは色柄が印刷されていてもよい。また、光源部3は、LEDパネル31及び有機ELパネル34ではなく、蛍光灯で構成されていてもよい。また、光源部3が複数色の光を選択して出射可能とされ、それら異なる色の光が所定間隔毎に自動的に変化するように光源部3が制御装置より調光制御されていても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る床面発光装置の斜視図、(b)はその平面図、(c)はその分解斜視図。
【図2】上記図1(b)のA−A線断面図。
【図3】上記装置による天井への投影像を示す図。
【図4】上記装置の床部の変形例を示す図。
【図5】上記装置の光源部の変形例を示す図。
【図6】上記光源部とは別の変形例を示す断面図。
【図7】上記装置の枠体及び筐体内の流路の変形例を示す断面図。
【図8】上記装置に光透過パネルを設けた変形例を示す断面図。
【図9】上記床部と光源部の配置が異なる変形例を示す断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る床面発光装置の断面図。
【図11】上記装置の流路内で微細気泡が分散する様子を示す平面図。
【図12】1つの室内空間を光を使ってゾーニングした照明例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1 床面発光装置
2 床部
21 流路
3 光源部
L1 冷却用流体
B1 微細気泡(光拡散剤)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の床部と、前記床部から光出射させるための光源部と、を備えた床面発光装置において、
前記床部は、前記光源部の発熱により温度上昇する床部を冷却するための冷却用流体を流す流路を有することを特徴とする床面発光装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記床部に設けられた流路の下方に配置され、該流路を下方から照らすことを特徴とする請求項1に記載の床面発光装置。
【請求項3】
前記冷却用流体は、光拡散剤を分散させた流体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床面発光装置。
【請求項1】
透光性の床部と、前記床部から光出射させるための光源部と、を備えた床面発光装置において、
前記床部は、前記光源部の発熱により温度上昇する床部を冷却するための冷却用流体を流す流路を有することを特徴とする床面発光装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記床部に設けられた流路の下方に配置され、該流路を下方から照らすことを特徴とする請求項1に記載の床面発光装置。
【請求項3】
前記冷却用流体は、光拡散剤を分散させた流体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床面発光装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【公開番号】特開2010−123540(P2010−123540A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298678(P2008−298678)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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