説明

底部制御式標本フィルタリング容器及び方法

底部制御式標本フィルタリング容器であり、シールプラグ(1)と、カップカバー(2)と、カップボディ(3)と、ピストン棒(5)と、ピストン(6)と、クラッチスプリング(7)と、ドレナージ針(8)と、下カバー(9)とによって構成される。ピストン棒(5)は、カップボディ(3)の底部における中間孔(12)内に設けられ、ピストン(6)は、ピストン棒(5)の突起が緊密に嵌め込まれ、ドレナージ針(8)は、ねじ山によってピストン棒(5)の下端に接続されて固定され、クラッチスプリング(7)は、一端がカップボディ(3)の底部に当接し、他端がドレナージ針(8)のフランジに当接し、第1層のフィルタースクリーン(4)と第2層のフィルタースクリーン(11)とからなる二層フィルタリングシステムは、更に設けられ、第1層のフィルタースクリーン(4)の軸が第2層のフィルタースクリーン(11)の中間孔を貫通してピストン棒(5)の頂端孔内に固定されている。この方法は、フィルタリングする溶液をカップボディ(3)に入れるステップと、下カバー(9)を取り外すステップと、受取容器をドレナージ針(8)の下に置くステップと、受取容器を上に向かって押し、カップボディ(3)の底部を開き、溶液をカップボディ(3)の底部から受取容器に流入させるステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタリング装置及びフィルタリング方法に関し、具体的には、底部制御式標本フィルタリング容器及び底部制御式標本フィルタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学試験室、生物試験室等の分野では、サンプリングした糞便、尿液、河水等のような液体見本をフィルタリング容器によってフィルタリングすることが必要となる。例えば、使い捨ての糞便濃縮容器のような従来のフィルタリング容器は、図1、図2に示す。図1に示すように、手動で容器の頂部における安全栓1を取り外した後、手動で容器内の底部中心における円孔を突き抜いて、液体が下に向かって底部のフィルタースクリーンを流れるようにし、又は、図2に示すように、容器の側面において、手による引張り方式で安全プラグ2を引張って、中心孔を開き、液体を流させる。その欠点は、頂部の安全栓又は側面の安全ジャケットによって手動で制御することだけが可能であり、開くことができるが、閉じることができなく、フィルタリング量を制御できないため、容器内における液体の全てを一回でフィルタリングする必要があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、容器内における液体を数回に分けてフィルタリングすることができる底部制御式標本フィルタリング容器及び方法を提供することを目的とする。
【0004】
上述した目的を達成するために、本発明は、以下のような解決方法を提出する。
【0005】
底部制御式標本フィルタリング容器は、シールプラグと、カップカバーと、カップボディと、カップボディの底部における中間孔内に設けられるピストン棒と、ピストン棒の突起が緊密に嵌め込まれるピストンと、ねじ山によってピストン棒の下端に接続されて固定されるドレナージ針と、一端がカップボディの底部に当接し、他端がドレナージ針のフランジに当接するクラッチスプリングと、下カバーとによって構成され、第1層のフィルタースクリーンと第2層のフィルタースクリーンからなる二層フィルタリングシステムを更に設け、第1層のフィルタースクリーンの軸が第2層のフィルタースクリーンの中間孔を貫通してピストン棒の頂端孔内に固定される。
【0006】
前記底部制御式標本フィルタリング容器は、カップカバーにおける指定孔内に取り付けられるサンプラーを更に設ける。
【0007】
前記第1層のフィルタースクリーンの下端面とピストンの上端面との間には隙間があり、前記隙間の高さが第2層のフィルタースクリーンの厚さより大きい。
【0008】
底部制御式標本フィルタリング方法は、以下のようなステップを含む。
【0009】
液体標本に対して、フィルタリングする溶液を直接にカップボディに入れ、カップカバーを掛け、固体標本に対して、まず固体標本をカップボディに入れ、カップカバーとシールプラグを掛け、注射器のような装置によって、シールプラグの中央において予め用意した軟質孔を刺し通し、固体標本を溶解する液体をカップボディに注入して、均一に振るステップ1。
【0010】
下カバーを取外して、受取容器をドレナージ針の下に置くステップ2。
【0011】
受取容器を上に向かって押し、クラッチスプリングを圧縮させ、ドレナージ針をピストン、ピストン棒、二層フィルタリングシステムと共にカップボディにおいて上に向かって移動させ、カップボディの底部を開き、溶液をカップボディの底部から受取容器に流入させるステップ3。
【0012】
標本溶液を所要の用量まで収集した時に、受取容器を下に向かって移動させ、ドレナージ針がピストン、ピストン棒、二層フィルタリングシステムと共にクラッチスプリングによって回復し、カップボディの底部を閉じ、フィルタリングを完成するステップ4。
【0013】
上述した方法を採用すると、本発明を用いる場合に、試験管又はその他の受取容器によって、標本溶液を入れる容器である標本フィルタリング容器の開くこと又は閉じることを直接に制御することになり、衛生的であり、密閉性が良いだけではなく、開くことも閉じることもでき、フィルタリング量を制御できるため、必要に応じて容器内における液体を数回に分けてフィルタリングすることができ、非常に便利である。
【0014】
以下、図面及び具体的な実施例を参照しながら、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、従来の使い捨ての糞便濃縮容器の構造模式図である。
【図2】図2は、従来の他の使い捨ての糞便濃縮容器の構造模式図である。
【図3】図3は、発明の外観模式図である。
【図4】図4は、本発明の構造模式図である。
【図5】図5は、本発明のフィルタリング状態の模式図である。
【図6】図6は、本発明の立体分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図3〜図6は、本発明の好ましい実施例を示す。
【0017】
底部制御式標本フィルタリング容器は、シールプラグ1と、カップカバー2と、カップボディ3と、カップボディの底部における中間孔12内に設けられるピストン棒5と、ピストン棒5の突起が緊密に嵌め込まれるピストン6と、ねじ山によってピストン棒5の下端に接続されて固定されるドレナージ針8と、一端がカップボディ3の底部に当接し、他端がドレナージ針8のフランジに当接するクラッチスプリング7と、下カバー9とによって構成され、第1層のフィルタースクリーン4と第2層のフィルタースクリーン11からなる二層フィルタリングシステムを更に設け、第1層のフィルタースクリーン4の軸が第2層のフィルタースクリーン11の中間孔を貫通してピストン棒5の頂端孔に固定された。
【0018】
底部制御式標本フィルタリング容器は、カップカバー2における指定孔内に取り付けられるサンプラー10を更に設けた。
【0019】
この実施例において、二層フィルタリングシステムのフィルタリング効果を最適にするために、第1層のフィルタースクリーン4の下端面とピストン6の上端面との間の隙間の高さHを第2層のフィルタースクリーン11の厚さdより大きくした。
【0020】
使用の時に、サンプラー10によって、フィルタリングする溶液をフィルタリング容器に入れ、密閉が必要としなければ、シールプラグ1を掛けなくてもよい。固体標本(例えば、糞便標本)であり、密閉にして溶解し、フィルタリングすることが必要である場合に、サンプラー10によって容器に入れてからシールプラグ1を掛け、注射器のような装置によって、シールプラグ1の中央において予め用意した軟質孔を刺し通し、固体標本を溶解する液体を容器に注入した。次に、下カバー9を取外して、試験管又はその他の受取容器をドレナージ針8の下に置き、ドレナージ針8を押して上に向かって移動させ、ドレナージ針8がクラッチスプリング7を圧縮させてピストン棒5を押し、ピストン6と第1層のフィルタースクリーン4が上に向かって移動するように駆動させ、上への移動が一定の程度になった時に、第2層のフィルタースクリーン11もピストン6の駆動によって上に向かって移動し、この時、第1層のフィルタースクリーン4と第2層のフィルタースクリーン11との間に一定の空間が形成され、二層フィルタリングの効果を奏し、そして、容器内における標本がカップ底部の上端面とピストン6の下端面との隙間を流れ、ドレナージ針8を介して流出するまで続けて上に移動させた。停止すると、ドレナージ針8が緩められ、クラッチスプリング7によってドレナージ針8が元の位置に回復し、ピストン6が隙間を塞ぎ、標本が外に流出しないように制御した。本発明は、衛生的であり、密閉性がよく、容器内における液体を必要に応じて数回に分けてフィルタリングすることができる長所を有する。
【0021】
上述したのは本発明の具体的な実施形態であり、本発明の設計構想はそれに限定されなく、この構想を用いて本発明に加えた実質的ではない変更は、どんなものであっても本発明の保護範囲内である。
【符号の説明】
【0022】
1 シールプラグ
2 カップカバー
3 カップボディ
4 第1層のフィルタースクリーン
5 ピストン棒
6 ピストン
7 クラッチスプリング
8 ドレナージ針
9 下カバー
10 サンプラー
12 中間孔
11 第2層のフィルタースクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールプラグと、
カップカバーと、
カップボディと、
カップボディの底部における中間孔内に設けられるピストン棒と、
ピストン棒の突起が緊密に嵌め込まれるピストンと、
ねじ山によってピストン棒の下端に接続されて固定されるドレナージ針と、
一端がカップボディの底部に当接し、他端がドレナージ針のフランジに当接するクラッチスプリングと、
下カバーとによって構成される底部制御式標本フィルタリング容器において、
第1層のフィルタースクリーンと第2層のフィルタースクリーンからなる二層フィルタリングシステムを更に設け、第1層のフィルタースクリーンの軸が第2層のフィルタースクリーンの中間孔を貫通してピストン棒の頂端孔内に固定されることを特徴とする底部制御式標本フィルタリング容器。
【請求項2】
カップカバーにおける指定孔内に取り付けられるサンプラーを更に設けることを特徴とする請求項1に記載の底部制御式標本フィルタリング容器。
【請求項3】
第1層のフィルタースクリーンの下端面とピストンの上端面との間には隙間があり、前記隙間の高さが第2層のフィルタースクリーンの厚さより大きいことを特徴とする請求項1に記載の底部制御式標本フィルタリング容器。
【請求項4】
液体標本に対して、フィルタリングする溶液を直接にカップボディに入れ、カップカバーを掛け、固体標本に対して、まず固体標本をカップボディに入れ、カップカバーとシールプラグを掛け、注射器のような装置によって、シールプラグの中央において予め用意した軟質孔を刺し通し、固体標本を溶解する液体をカップボディに注入して、均一に振るステップ1と、
下カバーを取り外して、受取容器をドレナージ針の下に置くステップ2と、
受取容器を上に向かって押し、クラッチスプリングを圧縮させ、ドレナージ針をピストン、ピストン棒、二層フィルタリングシステムと共にカップボディにおいて上に向かって移動させ、カップボディの底部を開き、溶液をカップボディの底部から受取容器に流入させるステップ3と、
標本溶液を所要の用量まで収集した時に、受取容器を下に向かって移動させ、ドレナージ針がピストン、ピストン棒、二層フィルタリングシステムと共にクラッチスプリングによって回復し、カップボディの底部を閉じ、フィルタリングを完成するステップ4と、
を含むことを特徴とする底部制御式標本フィルタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−525565(P2012−525565A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507594(P2012−507594)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072273
【国際公開番号】WO2010/124633
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511253391)
【氏名又は名称原語表記】LIAO, Qinghua
【住所又は居所原語表記】Room 302, Hong Wen Yi Li No. 94, Siming District, Xiamen City, Fujian Province, 361009, P.R. China
【Fターム(参考)】