説明

底開き式コンテナ

【課題】簡単な準備操作を行っておくことによりクレーンによる吊り上げ操作のみで底板を開放できる底開き式コンテナを実現する。
【解決手段】吊り上げプレート31と開閉アーム43との中間に縦リンク32と横リンク35および作用リンク45を配置し、さらに開閉アーム43の外側に操作カム41を設け、これを起こしたり倒したりすることで吊り上げ力により開閉アーム43を開いたり、閉状態に固定されたり自由に切り替えでき、外部からもその状態が確認できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土砂、スクラップ等のばら物を収納し運搬するコンテナに関し、さらに詳しくは、簡単な準備操作をしておくことにより、クレーンの巻き上げ、巻き下げ動作のみで任意に底板を開閉して内容物を排出することのできる底開き式コンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
岸壁に設置されるアンローダ等の門形クレーンでは、石炭や土砂等のばら物を船倉からつかみ取って陸揚げするグラブバケットが使用されている。このグラブバケットの昇降と開閉はクレーンの運転室から遠隔操作で行うが、これができるのはワイヤロープを介してクレーンに取り付けられているグラブバケットに限ってのことであり、バケットそのものを他の場所へ移送することはできない。また、鋼材やスクラップ等であればリフティング・マグネットによって吊り上げ、吊り下ろし等ができるが、積み重ねられている場合、表面に近いものしか吸引できないという欠点がある。したがってもっとも能率的でかつ一般的な荷役手段はコンテナ(バッグ)によるものであるが、コンテナの場合は、積み込み、排出に時間がかかり、能率的でない。また、底板を開閉して内容物を排出するタイプのコンテナの場合、底板の開閉操作を行う作業者がクレーンの運転手から見えなかったり、落下する排出物によって作業者が怪我をするなどという安全上の問題もあった。そこで、コンテナを巻き下げ、着床後に再び巻き上げようとすると底板が自動的に開くように事前に準備操作をしておき、内容物の排出の際に作業者が付近にいなくてもよいようにしたコンテナがいくつか提案されている。
【0003】
そのようなコンテナの一例を図14に示す。1は鋼板製のコンテナ、11は開閉式に構成されたその底板、12は底板11の開閉用の蝶番、13は底板11の開閉する先端付近に設けられ、追って説明する開閉制御機構によって底板11が開くことを規制する係止ピン、14は同じくコンテナ1の側板、3はこのコンナナ1をクレーンで吊り上げる場合に使用する底板11付近に設けられた吊り上げ部、18はこのコンテナ1をフォークリフト等で荷役する場合のフォーク用孔である。この図ではコンテナ1の屋根の部分は開口のままであるが、シート等でふさぐ場合もある。
【0004】
図15はこのコンテナ1を吊り上げ枠2を使用して吊り上げ、底板11を開放した状態を示す斜視図で、21は吊り上げ枠2とコンテナ1の吊り上げ部3との間に使用する補助ワイヤロープ、431 は係止ピン13をコンテナ1の本体側に係止するフック部である。
この種のコンテナは、通常時はこのフック部431 がロックされていて底板11が開くことはないが、内容物を排出する際には、予めロックを解除する準備操作を行った上で吊り上げ、着地させることによりフック部431 が外れて底板11が開く構造となっている。図14、15では示されていないが、このための開閉制御機構がフック部431 付近、すなわち底板11付近に設けられている。
【0005】
開閉制御機構の一従来例として、特許第332114号公報に記載の底開き式コンテナの一実施例を図面により説明する。このコンテナは底開き式で、さきに図15で例示した底部の周囲4点を吊るタイプのものである。
図16はこの従来例の底開き式コンテナの開閉制御機構4を示す正面図である。これまでの説明と共通するものについては同一符号を使用している他、31はコンテナ1の底部4隅に突出する吊り上げプレート、32はその外端に設けられた吊り孔、34は吊り上げプレート31と底板11を拘束する開閉アーム43の上端とを連結する中間リンク、42は側板14の底部に縦向きに取り付けられた回転ロッド、432 は開閉アーム43の側面上下2か所に設けられ、開閉アーム43の開閉それぞれの位置で昇降ブロック422 を係止する押圧部、423 はばね受けスリーブ、49b は昇降ブロック422 の自重を助けてこれを押し下げる押し下げばねである。
【0006】
この開閉制御機構4は、操作レバー421 を回すことによりこれと一体の回転ロッド42を回転させ、これに昇降可能に挿通され、回転ロッド42に係合し連動して昇降する昇降ブロック422 の上下位置で底板11の先端を係止する開閉アーム43の開閉を制御するとともに、その開閉動作をこれに中間リンク34を介して接続された吊り上げプレート31によって行うようにしたものである。
【0007】
つづいてこのコンテナ1の使用方法を説明する。この開閉制御機構4は左右対称に構成されているので、以下片側のみを図示して説明する。なお開閉制御を安全、確実なものとするため、図15における向こう側にも同じ開閉制御機構4を設けることが望ましいから、1基のコンテナ1に対して図17に相当する機構が4組設けられることになる。
【0008】
さて図17は図16と同じ底板11の閉じた基本状態を示すもので、図16の左半分に相当する。操作レバー421 は回転ロッド42に対して左側に向いている。追って説明する回転ロッド42の溝部と昇降ブロック422 の係合によりこの状態では昇降ブロック422 は上昇位置にある。開閉アーム43は開きばね49a により開く方向に付勢されているが、開閉アーム43の側面上下2か所に設けられた押圧部のうち上のもの432aが昇降ブロック422 を押圧しているので開くことができない。したがってこの状態のままこのコンテナ1を吊り上げても着地させても、底板11が開くことはない。
【0009】
つぎに着地状態で図17に矢印で示したように操作レバー421 を手前に引いて右側へ回転させる。回転ロッド42が回転して昇降ブロック422 は下降可能となるが、開きばね49a により開閉アーム43が昇降ブロック422 を押圧したままなので、まだ下降することはできない。
つづいて吊り孔32にワイヤロープをかけてこのコンテナ1を吊り上げる。吊り上げプレート31は固定ピン47a により回転しリンクピン48a を介して中間リンク34および開閉アーム43の上端を引き寄せるから、昇降ブロック422 が開閉アーム43から解放されて落下し、押圧部のうち下のもの432bの段付き部分に載った中間位置となる。この状態を図18に示す。
【0010】
目的の放荷地点に到着して一旦コンテナ1を着地させると吊り上げプレート31を引き上げていた力がゆるみ、開きばね49a の作用により開閉アーム43が開いて昇降ブロック422 は下端まで落下し、押圧部432bに押圧されて開閉アーム43は開いた状態を保持する。この状態を図19に示す。このままコンテナ1を吊り上げれば内容物の重量および底板11の自重により底板11が開き、内容物が排出される。
【0011】
すなわちこのコンテナ1は、操作レバー421 を左向きにしたままの基本状態であれば底板11が開くことはなく、操作レバー421 を右向きにして着地させ、吊り上げた場合のみ底板11が開く。操作レバー421 を左向きに戻し、一旦着地させて底板を閉じた後吊り上げれば、初めの状態に復帰する。なお、回転ロッド42が回転しても昇降ブロック422 が自重で確実に落下しない場合は、これを下向きに付勢する押し下げばね49b を適宜挿入することが望ましい。ばね受けスリーブ423 はこの押し下げ力を受けて昇降ブロック422 に伝達する。
【0012】
回転ロッド42の溝部424 が形成されている部分における断面を図20に、また回転ロッド42の側面に形成された溝部424 の斜視図を図21に示す。昇降ブロック422 からは内側の回転ロッド42に向けて図示しないセットピンが突出して溝部424 に係合している。溝部424 は展開すれば斜辺を下側とする直角三角形形状であり、向かって左側、すなわち図20におけるA位置において上下方向の溝を有し、これと反対側、すなわち図20におけるB位置においては頂点であり上下方向の自由はない。底板の閉じた基本状態、すなわち操作レバー421 を左向きにした状態がB位置、解放操作を行った右向きにした状態がA位置に相当する。A位置で溝部424 の上下方向の溝に沿って昇降ブロック422 が落下した後、操作レバー421 を左向きに戻すと溝部424 の斜辺に沿って昇降ブロック422 が上昇し、B位置に復帰するのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記の底開き式コンテナは、事前に準備操作をしておくことにより、コンテナを移送して放荷場所において巻き下げ、着床させて再び巻き上げようとすると底板が自動的に開くように構成され、内容物の排出の際に作業者が付近にいなくてもよいようになって安全上の問題が解決されたものの、なおつぎのような問題点があり、さらなる改良が望まれていた。すなわち、
a)部品点数が多く、構造が複雑で摩擦力等の機械的抵抗が大きいと開かないことがあり、作動が確実でない。
b)開くための準備操作がしてあるかどうか、外観から確認できない。
c)コンテナの向こう側にも同じ開閉制御機構4が設けられている場合、開くための準備操作を行うためにはコンテナの両側に近づく必要がある。
【0014】
本発明は、このような問題点を解消し、簡素な構成で開閉アーム43の開閉動作をより確実なものとするとともに、開くための準備操作をコンテナの片側だけで行えるようにし、準備操作の状態が目視で確認できるようにした底開き式コンテナを実現することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、側板と一対の底板により構成され、この側板の底部付近に取り付けられた底板の蝶番と、底板の先端付近に設けられた係止ピンと、前記側板に固定した固定ピンに中央付近で軸支され、かみあい部を介して互いに連動し、下端のフック部で前記係止ピンを係止可能な一対の開閉アームを有する底開き式コンテナにおいて、前記側板上部に固定された固定ピン回りに回動自在に軸支され、外端にこの底開き式コンテナを吊り上げるワイロープを接続するための吊り孔を有する吊り上げプレートと、一端がこの吊り上げプレートに連結され、他端が前記側板下部に固定した固定ピンに揺動自在に軸支された揺動リンクに連結された縦リンクと、一端がこの揺動リンクに連結される横リンクと、前記側板下部に固定された中抜き板内に挿入され、一端が前記横リンクに連結され、戻しばねで一方向に付勢された作用リンクと、前記係止ピンの外側の開閉アームの背面側に回転中心を有し、底板が閉じているとき、起きた姿勢で前記開閉アームの背面を拘束して前記開閉アームを閉じた状態に保持し、倒れた姿勢で前記開閉アームを開放する操作カムと、前記作用リンクの先端部あるいはこの先端部に取り付けられた延長部が前記中抜き板の段付き部あるいは前記の起きた姿勢における操作カムの上端部に載置された状態において前記開閉アームの一方の上端部を拘束して前記開閉アームを閉じた状態に保持し、前記作用リンクの先端部あるいはこの先端部に取り付けられた延長部が前記中抜き板の段付き部あるいは前記の起きた姿勢における操作カムの上端部から落下した状態において前記開閉アームの一方の上端部をを開放し、前記吊り上げプレートの動きに連動してこの作用リンクが水平方向に移動して前記の載置された状態から落下した状態に移行して吊り上げ力により前記開閉アームを開き方向に押圧するように構成されていることを特徴とする開閉制御機構を備えた底開き式コンテナであり、望ましくは前記開閉制御機構が底板の蝶番からみて両側に備えられ、それぞれの操作カムが連通シャフトで連結されている前記の底開き式コンテナである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の底開き式コンテナは、
a)少ない部品点数で同じ機能が実現できるようにした。
b)開閉アーム43を吊り荷重によって開く構造としたので、摩擦力等の機械的抵抗が大きくても確実に作動する。
c)開くための準備操作がしてあるかどうか、操作カムの向きを見ることによって外観で容易に確認できる。
d)コンテナの両側の操作カムが連通シャフトで連結されているので、開くための準備操作をコンテナの片側だけで行うことができる。
等の改良により、前記の問題点を解消することができた。
【0017】
【実施例】
本発明の実施例を図面により説明する。この実施例のコンテナは底開き式で、さきに図14R>4〜21で例示したものと同様、底部の周囲4点を吊るタイプのものである。ただし吊り上げ位置はコンテナ側板の上部にある。
図1はこの底開き式コンテナを示す正面図、図2は同じく平面図、図3は側面図で、これまでの説明と共通するものについては同一符号を使用している他、15は側板14が内容物によって外側へ変形しないために側板下部に取り付けられた底板ガイド、16はコンテナ1を上げ下ろしするとき底板がなめらかに開閉するように床面との接触位置に取り付けられた底板ローラ、17は前記底板ガイド15を挿入するため底板側に設けた底板ガイド受け、31a は4か所の吊り上げプレートのうち半数の開閉制御機構に連動しない固定側のもの、312 は両側の吊り上げプレートを連結するアングル状の連結バー、41は開閉制御機構を操作する操作カムである。開閉制御機構4は正面と背面とに合わせて2組設けられている。
【0018】
図4ないし図8はこの底開き式コンテナにおける開閉制御機構4をさまざまな状態で示す正面図、図9は吊り上げプレート31から開閉制御機構4まで吊り上げ力を伝達するリンク機構を示す正面図、図10は作用リンク45を示す斜視図、図11は中抜き板44を示す正面図、図12は係止ピン13、底板ローラ16、底板ガイド受け17、操作カム41の取り付け状態を示す底板11の部分斜視図である。各符号はこれまでの説明と共通するものの他、411 は操作カム41の回転軸で、かつ両側の操作カム41を連結している連通シャフト、 412は操作カム41を起きた位置および倒れた位置で停止するように内蔵のボールがスプリングに押されて所定位置に設けた凹部に嵌入するスプリングプランジャ、 413は扇形の操作カムの上端部、 432は開閉アーム43の上端部、 433は一対の開閉アーム43のかみあい部で、インボリュート歯車の一部が形成されている。44は側板の下部に取り付けられている中抜き板で、一端に係止部441 、他端に段付き部442 が形成されている。45は吊り上げ機構の末端に接続されている作用リンクで、図10にも示すように451 はその一端の係止部、 452は先端部、 453は先端部 452からさらに延長された延長部である。
【0019】
46(46a 〜46c )は所定箇所に配置されてリンク等の回転軸となる固定ピン、47(同様に47a 〜47d )は各リンクを連結する連結位置のリンクピン、48(48a 〜48c )はリンクが2枚の板で構成されている場合にこれらを連結する連結ピン、49c は弦巻部分が中抜き板44のくぼみに嵌入し、両端が作用リンク45と開閉アーム43を付勢している戻しばねで、これにより作用リンク45は吊り上げ方向と逆方向に、開閉アーム43は閉じる方向に押される。
【0020】
開閉制御機構4の説明の前に図9を説明する。吊り上げ部4か所のうち、2か所は前記のとおり固定の吊り上げプレート31a であるが、残る2か所は固定ピン46a を中心に回動する可動の吊り上げプレート31であり、その上下方向の動きは縦リンク32に伝達され、揺動リンク33によって水平方向の動きに変えられて中間リンク34を経て横リンク35に伝達され、リンクピン47d により吊り上げ力は左向きの力となって作用リンク45を作動させる。なお吊り上げプレート31の回動範囲は、円周方向に長い長孔313 の端部が連結ピン48d に当たることによって規制される。吊り上げ荷重が開閉制御機構4の各部分に直接作用しないために、長孔313 の端部が連結ピン48d に当たった状態で、作用リンク45の中抜き板44内の移動範囲には若干の余裕を持たせておくことが望ましい。
【0021】
つづいて開閉制御機構4の作動を図4ないし図8により詳細に説明する。図4はコンテナの標準状態、すなわち内容物の有無に係わらず底板が閉じ、コンテナが吊り上げられずに定置されている状態である。以下、内容物が入っており、これからこのコンテナを吊り上げて放荷場所まで移動する場合を想定して説明を進めることとする。
【0022】
図4において操作カム41は縦向きで、腕が上を向いており、これを「起きた姿勢」と呼ぶことにする。いま説明したように、作用リンク45には左端のリンクピン47d に吊り上げ力が左向きに作用するが、いまはこれが作用していないので戻しばね49c によって作用リンク45は右寄りに押され、作用リンク45の係止部451 が中抜き板44の係止部441 に係止された位置で停止しており、作用リンク45の先端部452 が中抜き板44の段付き部442 に載り、かつ作用リンク45の延長部453 はカムの上端部413 に載った状態となっている。一方開閉アーム43は閉じた状態でそのフック部431 は底板11の係止ピン13を係止している。
【0023】
係止ピン13の位置を開閉アーム43の回転中心である固定ピン46c の真下か、やや内側寄りとすることにより、コンテナ内容物の重量で底板11が開いてしまうことを防止することができる。その他、左側の開閉アーム43に戻しばね49による閉じ方向の力が作用している他には外力は作用しておらず、開閉アーム43が開くことはないが、かりに開こうとしても右側の開閉アーム43の背面にある操作カム41が縦向きとなっているため、これを倒さない限り開くことはできない。
【0024】
つづいてこのコンテナを吊り上げる。図5はこの状態を示し、吊り上げ力によって作用リンク45は左方向に移動し、先端部452 は中抜き板44の段付き部442 から離れるが、延長部453 がなお操作カム41の上端部413 に載っている。したがってこのままコンテナを着地させ、吊り上げ力がなくなれば作用リンク45は右方向に移動して図4の状態に戻る。つまりコンテナの底板11は閉じたまま、任意に移動させることができる。
【0025】
つぎにコンテナの底板を開くための準備操作として、着地状態で操作カム41を右に倒す。図6に示す腕が右に向いた状態を「倒れた状態」と呼ぶ。
操作カム41の回転軸である連通シャフト411 の端部はたいこ状に平行面を形成してあるので、ここにハンドルをはめ、あるいはスパナ等の簡単な道具を使用して向きを変えることができる。またコンテナの向こう側の操作カムとは連通シャフト411 で連結されているので、反対側へ回らなくても片側のみですべての操作を行うことができる。
【0026】
この操作を行った後コンテナを吊り上げると、図6に示すように作用リンク45は再び左方向に移動し、連結ピン48c が右側の開閉アーム43の上端に載るので作用リンク45は水平姿勢を保っているが、つぎにコンテナを着地させて吊り上げ力がゆるむと、操作カム41が倒れているので、図7に示すように作用リンク45は右に移動し、連結ピン48c が右側の開閉アーム43の上部プロフィルに沿って落下して中間段付き部434 に載った状態となる。これが底板11の開きうる待機状態である。
【0027】
つぎにコンテナを吊り上げると、図8に示すように落下した状態の作用リンク45は吊り上げ力によって左に引き寄せられ、連結ピン48c が右側の開閉アーム43の中間段付き部434 の肩を押圧するので、まず右側の開閉アームが開き、これとかみあい部433 を介してかみ合っている左側の開閉アームも同時に開くので、両側の係止ピン13が解放され、自重ならびに内容物の重量によって底板11が開いて内容物が排出される。
【0028】
放荷の後、コンテナを着地させて底板11を閉じ、操作カム41を「起きた姿勢」に戻せばふたたび図4の状態となる。
図13は以上の説明におけるコンテナ1の様子をあらためて図解したもので、(a)は標準状態、あるいは底板11を閉じたまま移送している状態、(b)は底板11を開くために一旦着地し、操作カム41を倒して吊り上げワイヤロープWをゆるめた状態で、さきに説明した図7に対応する。(c)は再び吊り上げて内容物を排出している状態で、図8の直後の状態である。
【0029】
なお、放荷のための準備操作は、放荷場所への到着よりも前に行ってもよい。例えば移動前に操作カムを倒してから移動を行い、到着後一旦着地してそのまま引き上げれば底板が開いて内容物が排出される。このようにすれば放荷場所において開放のためにコンテナに接近しなくてもよいので安全性が一層向上する。
以上説明したように、このコンテナは、操作カム41が起きた姿勢のままの基本状態であれば底板11が開くことはなく、一旦着地させて操作カム41を倒してから再び吊り上げ、再度着地させた場合のみ底板11が開く。
【0030】
このコンテナの内容物を排出するには、一旦コンテナを着地させて操作カムを倒す操作を行うだけで、あとは一切クレーンによる吊り上げ、吊り下ろし操作のみでばら物の荷役を行うことができる。操作カムの操作はコンテナのいずれの側で行ってもよく、また、操作カムがいずれの姿勢であるかははっきり目視で確認できる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、確実な作動によりコンテナの底板の開閉制御を行い、かつ開閉制御機構における操作カムの状態が目視によって確認でき、操作カムの扱いをコンテナの片側のみで行うことのができる底開き式コンテナが実現し、荷役作業の能率化と安全性の向上が達成されるという、すぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の底開き式コンテナを示す正面図である。
【図2】本発明の実施例の底開き式コンテナを示す平面図である。
【図3】本発明の実施例の底開き式コンテナを示す側面図である。
【図4】本発明の実施例の開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図5】同じく本発明の実施例の開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図6】同じく本発明の実施例の開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図7】同じく本発明の実施例の開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図8】同じく本発明の実施例の開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図9】本発明の実施例の吊り上げ機構を示す部分正面図である。
【図10】本発明の実施例の開閉制御機構の一部である作用リンクを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例の開閉制御機構の一部である中抜き板を示す正面図である。
【図12】本発明の実施例の底板の要部を示す部分斜視図である。
【図13】本発明の実施例の底開き式コンテナの使用状況を示す説明図である。
【図14】本発明に係わる底開き式コンテナを底板が閉じた状態で示す斜視図である。
【図15】本発明に係わる底開き式コンテナを底板が開いた状態で示す斜視図である。
【図16】従来例における開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図17】同じく従来例における開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図18】同じく従来例における開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図19】同じく従来例における開閉制御機構を示す部分正面図である。
【図20】同じく従来例における開閉制御機構の一部を示す断面図である。
【図21】同じく従来例における開閉制御機構の一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コンテナ
2 吊り上げ枠
3 吊り上げ部
4 開閉制御機構
11 底板
12 (底板開閉用)蝶番
13 係止ピン
14 側板
15 底板ガイド
16 底板ローラ
17 底板ガイド受け
18 フォーク用孔
21 補助ワイヤロープ
31、31a 吊り上げプレート
32 縦リンク
33 揺動リンク
34 中間リンク
35 横リンク
41 操作カム
42 回転ロッド
43 開閉アーム
44 中抜き板
45 作用リンク
46a 〜46c 固定ピン
47a 〜47d リンクピン
48a 〜48d 連結ピン
49a 開きばね
49b 押し下げばね
49c 戻しばね
311 吊り孔
312 連結バー
313 長孔
411 連通シャフト
412 スプリングプランジャ
413 、432 上端部
421 操作レバー
422 昇降ブロック
423 ばね受けスリーブ
424 溝部
431 フック部
432a、432b 押圧部
433 かみ合い部
434 中間段付き部
441 、451 係止部
442 段付き部
452 先端部
453 延長部
W 吊り上げワイヤロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板(14)と一対の底板(11)により構成され、この側板(14)の底部付近に取り付けられた底板(11)の蝶番(12)と、底板(11)の先端付近に設けられた係止ピン(13)と、前記側板(14)に固定した固定ピン(46c )に中央付近で軸支され、かみあい部(433)を介して互いに連動し、下端のフック部(431 )で前記係止ピン(13)を係止可能な一対の開閉アーム(43)を有する底開き式コンテナにおいて、
前記側板(14) 上部に固定された固定ピン(46a )回りに回動自在に軸支され、外端にこの底開き式コンテナを吊り上げるワイロープ(W)を接続するための吊り孔(311 )を有する吊り上げプレート(31)と、
一端がこの吊り上げプレート(31)に連結され、他端が前記側板(14)下部に固定した固定ピン(46b )に揺動自在に軸支された揺動リンク(33)に連結された縦リンク(32)と、
一端がこの揺動リンク(33 )に連結される横リンク(35)と、
前記側板(14)下部に固定された中抜き板(44)内に挿入され、一端が前記横リンク(35)に連結され、戻しばね(49c )で一方向に付勢された作用リンク(45)と、
前記係止ピン(13)の外側の開閉アーム(43)の背面側に回転中心を有し、底板(11)が閉じているとき、起きた姿勢で前記開閉アーム(43)の背面を拘束して前記開閉アーム(43)を閉じた状態に保持し、倒れた姿勢で前記開閉アーム(43)を開放する操作カム(41)と、
前記作用リンク(45)の先端部(452 )あるいはこの先端部(452 )に取り付けられた延長部(453 )が前記中抜き板(44)の段付き部(442 )あるいは前記の起きた姿勢における操作カム(41)の上端部(413 )に載置された状態において前記開閉アーム(43)の一方の上端部を拘束して前記開閉アーム(43)を閉じた状態に保持し、
前記作用リンク(45)の先端部(452 )あるいはこの先端部(452 )に取り付けられた延長部(453 )が前記中抜き板(44)の段付き部(442 )あるいは前記の起きた姿勢における操作カム(41)の上端部(413 )から落下した状態において前記開閉アーム(43)の一方の上端部をを開放し、
前記吊り上げプレート(31)の動きに連動してこの作用リンク(45)が水平方向に移動して前記の載置された状態から落下した状態に移行して吊り上げ力により前記開閉アーム(43)を開き方向に押圧するように構成されていること
を特徴とする開閉制御機構(4)を備えた底開き式コンテナ。
【請求項2】
開閉制御機構(4)が底板(11)の蝶番(12)からみて両側に備えられ、それぞれの操作カム(41)が連通シャフト(411 )で連結されている請求項1に記載の底開き式コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2004−168321(P2004−168321A)
【公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−332744(P2002−332744)
【出願日】平成14年11月15日(2002.11.15)
【出願人】(591263640)
【出願人】(502415478)
【出願人】(502415489)
【Fターム(参考)】