説明

店舗案内地図

【課題】縮尺率が高く広範囲の一覧性を有し各個の建物表示の輪郭を維持しつつ多数の店舗情報を容易に読み取ることができる店舗案内地図を提供する。
【解決手段】店舗案内地図1には、道路2と、道路2に沿って立ち並ぶ建物を表示する建物表示輪郭3と、建物表示輪郭3の内又は一部が外にはみ出して記載され、店舗の業種を示す所定の表示規則に従った文字4又は記号5と、文字4又は記号5と共に記載された番号6と、から成る図郭を備え、図郭の端部の説明文記載領域(番号対応表)7に、店舗の業種の分類を示す見出しと、昇順に並ぶ番号と、番号に続いて番号と共に地図に記載された文字4又は記号5で示された店舗の正式名称、電話番号、地図上の記載位置とが表示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮尺率が高く広範囲の一覧性を有し各個の建物表示の輪郭を維持しつつ多数の店舗情報を容易に読み取ることができる店舗案内地図に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅地図その他の地図上に店舗や事業所(以下、「店舗」と言う)情報を表示する場合、例えば、「大城本屋」、「(株)山田コンピュータ・ソフトウエア」、「ネイルサロン・ジュリー」、「ペットショップ・ワールド」、「○△キャッシングコーナー」といった店舗名称をそのまま地図上に記載していた。
【0003】
したがって、それらの記載を一軒ごとに建物表示の輪郭内に納めるために一軒毎の建物の記載スペースを大きく取る必要があった。このため、住宅地図等の縮尺は、実用上、小さいものでも市街地で1,000分の1から1,500分の1の大きさであることが要求される。
【0004】
また、これに伴って目的とする店舗や、その店舗への連絡道路や付近の状況等を一覧できるように、地図帳の大きさも比較的大判サイズのものにする必要があった。しかし、これでは地図帳が大きくなりすぎて携帯に不便であるという問題が生じる。
【0005】
他方、地図帳を小型にして且つ広範囲の一覧性を持たせようとすると、地図の縮尺を、3,000分の1ないし5,000分の1くらいまで小縮尺にする必要がある。このような小縮尺の地図内に掲載する店舗数が増えると、店舗名を建物表示の輪郭内に納めることが出来なくなる。
【0006】
したがって、隣接する建物表示の輪郭内にまで店舗名の記載範囲が広がることになる。店舗地図では通常の住宅には名称記載の必要がないから、店舗の隣接の建物が住宅であれば店舗名の記載が隣接の住宅表示に掛かっても支障はない。
【0007】
しかしながら、店舗が隣接して並んでいる場合は、店舗名が相互に隣接相手の建物表示を侵食し合い、掲載が混雑して見づらくなるばかりでなく、地図本来の機能も損なわれるという解決すべき課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、縮尺率が高く広範囲の一覧性を有し各個の建物表示の輪郭を維持しつつ多数の店舗情報を容易に読み取ることができる店舗案内地図を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の店舗案内地図は、道路と、該道路に沿って立ち並ぶ建物を表示する建物表示輪郭と、該建物表示輪郭の内部に又は一部が外にはみ出して記載され、店舗の業種を示す所定の表示規則に従った文字又は記号と、該文字又は記号と共に記載された番号と、から成る地図を備え、該地図の端部の説明文記載領域に、店舗の業種の分類を示す見出しと、昇順に並ぶ番号と、該番号に続いて該番号と共に地図に記載された文字又は記号で示された店舗の正式名称、電話番号、地図上の記載位置と、を記載したことを特徴とする。
【0010】
この店舗案内地図は、例えば、巻末に、広告を所望する店舗の広告詳細を掲載した、ことを特徴とし、また、例えば、地図の端部の説明文記載領域に地図上の記載位置の記載に続いて、更に店舗の広告の有り無しと、有りの場合は広告を掲載した頁番号を記載した、ことを特徴とする。
【0011】
この店舗案内地図において、例えば、上記文字は、店舗の業種を実際的に示す又は表意的に示す一文字又は二文字の漢字、又は漢字以外の文字と漢字である、ことを特徴とし、更に、例えば、店舗の建物表示輪郭内に記載可能な店舗の正式名称である、ことを特徴とする。
【0012】
また、この店舗案内地図において、例えば、上記記号は、郵便局を表す記号、神社を表す記号、寺を表す記号のように地図上に表す記号として定められた記号を含み、これら地図上に表す記号として定められた記号のほかに、当該店舗案内地図の解説欄で定められた記号を更に含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、縮尺率が高く広範囲の一覧性を有し各個の建物表示の輪郭を維持しつつ多数の店舗情報を容易に読み取ることができる店舗案内地図を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係る店舗案内地図の或る見開きの図郭の右頁を、中央部を一部縦横に切り欠いて示す図である。
【図2】図1に示す見開き右頁の記載を見やすいように頁の左下の一部を実際よりも拡大して示す図である。
【図3】図1に示す見開き右頁の端部の番号対応表を見やすいように頁の右上の一部を実際よりも拡大して示す図である。
【図4】店舗記号の文字と店舗の業種との対応関係の例を示す図表(その1)である。
【図5】店舗記号の文字と店舗の業種との対応関係の例を示す図表(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係る店舗案内地図の或る見開きの図郭の右頁を、中央部を一部縦横に切り欠いて示す図である。
図2は、上記右頁の記載を見やすいように、頁の左下の一部を実際よりも拡大して示す図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、店舗案内地図1の地図面には、道路2と、道路2に沿って立ち並ぶ建物を表示する建物表示輪郭3が記載されている。そして、建物表示輪郭3の内部に、又は一部が外にはみ出して、店舗の業種を示す所定の表示規則に従った文字4又は記号5と、文字4又は記号5(以下、単に店舗記号ともいう)と共に記載された番号6とが記載されている。
【0018】
上記の文字4は、詳しくは後述するが、例えば、図2に示すように、「病院」、「居酒」、「海鮮」、「美髪」等の、店舗の業種を実際的に又は表意的に示す二文字の漢字である。なお、図には示していないが、例えば「刃」、「歯」等の一文字の漢字であってもよく、又は「P」等の漢字以外の文字、又は「お酒」等の漢字以外の文字と漢字であってもよい。
【0019】
また、文字4としては、一文字又は二文字と限ることなく、例えば、広告主が3文字の店舗記号を希望する場合などには、建物表示輪郭3が十分に大きい場合又は店舗記号の活字を縮小して希望に対応するようにしてもよい。
【0020】
また、建物表示輪郭3が十分に大きく、その建物表示輪郭3内に書き込むことが出来れば、店舗の正式名称をそのまま記載するようにしてもよい。
【0021】
また、記号5としては、郵便局を表す記号、神社を表す記号、寺を表す記号のように地図上に表す記号として定められた記号はもちろん、例えば、ほぼ一文字分の大きさの、コンビニエンス・ストア等が固有する標章や昔風の商店が固有する屋号の標章であってもよい。
【0022】
また、図1に示す見開き右頁の図郭に続く右端には説明文記載領域としての番号対応表7が設けられている。この番号対応表7は、見開き左頁の場合は、特には図示しないが、図郭に続く左端に設けられている。
【0023】
図3は、図1に示す見開き右頁の端部の番号対応表7を見やすいように、頁の右上の一部を実際よりも拡大して示す図である。この番号対応表7には左から右へ、店舗名欄8、TEL(電話)欄9、位置欄10、及び広告欄11の記載領域が設けられている。
【0024】
図3に示すように、店舗名欄8の記載領域には、「飲食」、「買売」、「サービス業」・・・等の店舗の業種の分類を示す見出しと、上から下に縦方向に1、2、3、・・・と昇順に並ぶ数字が記載されている。これらの数字は図2に示した番号6である。
【0025】
尚、上記の番号対応表7に表示する業種分類は、当該見開きの図郭上に、業種に該当する店舗がない場合は、業種項目の表示から削除される。また、新たな業種に該当する店舗が図郭上に現れている場合には、番号対応表7に新しい業種項目が表示される。
【0026】
また、番号6は、見開きの図郭を単位として、それぞれの店舗記号に割り振られた通し番号である。この通し番号は、別に定める業種分顆において先に位置する業種から昇順に付加する。なお、同一の業種に属するため同一の店舗記号が複数ある場合は、図郭の左上に位置するものから若い番号を付加していく。
【0027】
上記の別に定める業種分類は、例えば「飲食、買売、サービス、医療、教育、介護、健美、不動産、工事、趣味・ペット、集合、その他」とし、その分類の順序で若い番号を付けてゆくようにする。「集合」は、店舗や事業所が複数入居している建物のことである。
【0028】
このように、番号6として図郭上に記載されている数字は、昇順のまま、所定の業種順序において、業種区分ごとに振り分けられている。
【0029】
そして、番号対応表7には、それら番号6として示された数字1、2、3、・・・の横に続いて、その数字が示す番号6と共に図郭上に記載された店舗記号の店舗の正式名称が、例えば「やんばる船」、「串焼専門」、・・・等と記載されている。
【0030】
これらの正式名称に続くTEL欄9には、正式名称で示された店舗の電話番号が「×××−××××」と記載されている。更に、×××−××××の電話番号に続く位置欄10には、正式名称の店舗の地図上の位置(店舗記号と番号6とが記載された建物表示輪郭3の位置)が、例えば「左下」、「中上」、「右中」、・・・等と記載されている。
【0031】
位置欄10に記載される「左下」は頁の左下に店舗が位置していることを示し、「中上」は頁の中上に店舗が位置していることを示し、「右中」は頁の右中に店舗が位置していることを示している。これにより、位置欄10の位置の記載から、所望の店舗の所在を、図郭上で逆引きが容易に出来るようになっている。
【0032】
尚、位置欄10の記載では、図郭を複数の線分で縦横に細分し、例えば縦線には番号1〜nまで振り、横線にはA〜Nまで振ることによって、位置表示を「1A」「5C」のように詳細に設定するようにしてもよい。
【0033】
次に、位置欄10に続く最後尾の広告欄11には、その店舗がこの店舗案内地図に広告を出しているか否かを示す記述が記載されている。広告を出していない場合は「無」と記載され、広告を出している場合は、広告を出している頁が例えば「5頁」、「14頁」、「11頁」、・・・等と記載される。
【0034】
広告の頁には、特には図示しないが、店舗の営業種目や具体的内容、営業時間などの説明や、必要に応じて、写真入りでの詳細な広告が掲載されている。
【0035】
このように、番号対応表7には、店舗記号に該当する店舗の正式名称、電話番号、逆引き用位置、広告の有無、広告がある場合には広告の掲載されている頁、等の情報が一行程度で記載されている。
【0036】
図4及び図5は、文字4と店舗の業種との対応関係の例を2つの図表に分けて示す図である。同図表には例として1番目の病院・診療所から27番目のATM・銀行・消費者金融まで、27業種が設定されている。
【0037】
そして、表記欄には、各業種に対応して文字4の複数の表記例が設定されている。例えば1番目の病院・診療所に対しては、文字4の表記例として、病院、診療、内科、眼科、耳鼻、泌尿、免疫、歯科、歯医、歯矯、歯列、歯白、・・・等が設定されている。
【0038】
病院・診療所の店舗記号として文字4を図郭に記載する際には、上記の表記例の中から適宜の1つの表記例が選択される。
【0039】
また、27番目のATM・銀行・消費者金融に対しては、文字4の表記例として、金機、銀行、金融、・・・等が設定されている。ATM・銀行・消費者金融の店舗記号として文字4を図郭に記載する際には、上記の表記例の中から適宜の1つの表記例が選択される。
【0040】
2番目から26番目までに示す他の業種についても、図4及び図5の図表に示す例の通りであり、これらの業種の店舗の店舗記号として文字4を図郭に記載する際には、対応する表記例の中から適宜の1つの表記例が選択される。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、地図本来の機能や美観が損なわれることなく、かつ、迅速に店舗情報を番地単位で空間的に特定できるようになる。また、同一の見開きにおいて、業種や電話番号などの最低限の店舗情報を得る事が出来るため、必ずしも頁をめくって詳細広告まで確認する必要がないので便利である。
【0042】
また、地図上の店舗には一連の番号が振ってあるので、店舗記号だけでは業種がはっきりしないと思われた場合、あるいは探している店舗に該当するかがはっきりしない場合でも、番号対応表により、業種分類、正式店舗名称、電話番号の記載を見て、迅速な目標店舗の検索や特定が可能である。
【0043】
また、番号対応表の、例えば、病院・診療所に分類された複数の店舗情報から、よさそうな病院を番号及び位置記号を手掛かりにして、地図上に直接に逆引きすることができるので便利である。
【0044】
また、例えばネイルアート等の店舗の店舗記号を「美爪」、ペットショップ等の店舗記号を「犬猫」等のように漢字を表意文字として用いて可及的に文字数を少なくしているので、見開きごとに数百件の店舗情報を地図の機能や品格を保ったままで掲載でき、使い勝手がよく、この店舗案内地図によって市民や観光客の流動性の促進に貢献できる。
【実施例2】
【0045】
なお、以上の実施例1では、地図上で直接に具体的な業種や営業内容が得られるように細分化された記号を採用しているが、より一般的な統一された記号を用いてもよい。その場合には、例えば、食事を提供する店舗は全て「食」、居酒屋などは「飲」、病院は「病」と「歯」に統一して、それぞれの記号によって表記するようにしてもよい。
【0046】
また、記号自体を、業種の大分類ないし中分類レベルで、予め定義しておいてもよい。その場合でも実施例1の場合と同様に、見開きの図郭を単位として、それぞれの店舗記号に「通し番号」を、業種分類において先に位置する業種から若い番号を付加し、また、同一の業種に属する同一記号が複数ある場合は、図郭の左上に位置するものから若い番号を付加するようにする。
【0047】
そうすることで、見開きの両端部に設けた番号対応表では、それぞれの店舗番号が若い順に該当する業種に振り分けられていて、正式の店舗名称が電話番号や位置と共に記載されているので、迅速な目標店舗の検索や特定が可能である。
【0048】
更には、記号をも省賂して、通し番号のみを付加することによっても対応が可能である。その場合でも、それぞれの番号は、業種分類において先に位置する業種からそれぞれの店舗に振られており、かつ、見開き両端部に設けた番号対応表においても、若い番号から順に該当する業種に振り分けられて、それぞれに正式の店舗名称が電話番号等と共に記載されているので、本発明の効果が損なわれることはない。
【0049】
また、本発明は紙地図に限らず、電子地図データとして多機能携帯端末やインターネットサイトなどでの利用が可能であることは言うまでもない。
【0050】
その場合には、8,000分の1などの小縮尺表示とし、利用者が予め店舗の業種(食事、病院等)を選択することで、スクロールして画面が移動し、該当する店舗の番号のみが現れ、画面端の番号対応表にも同業種の情報のみが現れるようにするとよい。
【0051】
そして、縮尺をズームで拡大するにつれて、一般記号や細目記号、更には、店舗を特定した場合には、番号対応表に店舗写真や営業細目、営業時間などの詳細な店舗情報が拡大表示されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、縮尺率が高く広範囲の一覧性を有し各個の建物表示の輪郭を維持しつつ多数の店舗情報を容易に読み取ることができる店舗案内地図に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 店舗案内地図
2 道路
3 建物表示輪郭
4 文字
5 記号
6 番号
7 番号対応表
8 店舗名欄
9 TEL(電話)欄
10 位置欄
11 広告欄


【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路と、
該道路に沿って立ち並ぶ建物を表示する建物表示輪郭と、
該建物表示輪郭の内又は一部が外にはみ出して記載され、店舗の業種を示す所定の表示規則に従った文字又は記号と、
該文字又は記号と共に記載された番号と、
から成る地図を備え、
該地図の端部の説明文記載領域に、
前記店舗の業種の分類を示す見出しと、
昇順に並ぶ前記番号と、
該番号に続いて該番号と共に前記地図に記載された前記文字又は記号で示された前記店舗の正式名称、電話番号、前記地図上の記載位置と、
を記載したことを特徴とする店舗案内地図。
【請求項2】
巻末に、広告を所望する前記店舗の広告を掲載した、ことを特徴とする請求項1記載の店舗案内地図。
【請求項3】
前記地図上の記載位置の記載に続いて、更に前記店舗の広告の有り無しと、有りの場合は前記広告を掲載した頁番号を記載した、ことを特徴とする請求項1記載の店舗案内地図。
【請求項4】
前記文字は、前記店舗の業種を実際的に示す又は表意的に示す一文字又は二文字の漢字又は漢字以外の文字又は漢字以外の文字と漢字である、ことを特徴とする請求項1記載の店舗案内地図。
【請求項5】
前記文字は、前記店舗の前記建物表示輪郭内に記載可能な前記店舗の正式名称である、ことを特徴とする請求項1記載の店舗案内地図。
【請求項6】
前記記号は、郵便局を表す記号、神社を表す記号、寺を表す記号のように地図上に表す記号として定められた記号を含み、これら地図上に表す記号として定められた記号のほかに、当該店舗案内地図の解説頁で定められた記号を更に含む、ことを特徴とする請求項1記載の店舗案内地図。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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