説明

座屈拘束ブレースの作動制御装置及びこれを用いた構造物

【課題】建物の地震応答変位を低減しつつ、座屈拘束ブレースを過度の応力負担から解放することが可能な座屈拘束ブレースの作動制御装置を提供する。
【解決手段】座屈拘束ブレースの作動制御装置は、建物の梁4と柱からなる主架構と、主架構に設けた座屈拘束ブレース6と、梁4の長手方向に対する建物における予め定めた所定の層間変形角と同等の長さを有する制御孔15と、制御孔15と係合するピン13とを少なくとも有する制御機構7とから構成されている。制御機構7は、主架構の梁4と座屈拘束ブレース6とに取り付けられ、ピン13が制御孔15の端部に移動したときに座屈拘束ブレース6を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の層間変形角に対応して座屈拘束ブレースの作動を制御する座屈拘束ブレースの作動制御装置及びこれを用いた構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
建物における外装材の一般的な耐震安全性は、大地震に対しては、たとえば、外装材の脱落による避難路の阻害など外装材の破損による直接的な被害を生じさせないことが要求され、また、発生頻度の高い中小規模の地震に対しては、外装材に破損、過大変形を生じさせず、外装材の損傷により建物の居住性、経済性が損なわれないことが要求される。
【0003】
このような耐震安全性の要求を満たすため、建物の応答変位を低減すると共に地震時のエネルギーを吸収する座屈拘束ブレースが建物の柱と梁の間に取り付けられており、その一例として、構造物の柱および梁の各々に固定する一対のガゼットと、内面にコンクリート層を有する一対の鋼材間にブレース板を挟持させた座屈拘束ブレースとを有し、前記ガゼットは前記柱および梁に固定する平面部と前記平面部から直立する舌部とを備え、前記舌部に前記ブレース板を受ける切込部を形成し、前記切込部に前記ブレース板の先端を挿入して前記舌部と前記ブレース板とを十字型に直交させて溶接する柱と梁の接合構造が知れられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−52612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の接合構造は、大地震時に座屈拘束ブレースがエネルギー吸収を十分に発揮し建物の応答変位を低減したとしても、座屈拘束ブレースが損傷することによって、この座屈拘束ブレースを支持材として取り付けられる外装材が損傷する直接的な原因となるおそれがある。
【0006】
また、中小規模の地震時においては、座屈拘束ブレースが層間変形角1/1000程度からエネルギー吸収部材として機能するため、外装材は座屈拘束ブレースの損傷による過大変形などの影響を受けるおそれがある。
ここで、層間変形角とは、地震時に対する建物の水平変位を階高で割った値である。
【0007】
したがって、大地震時および中小規模地震時のどちらにおいても座屈拘束ブレースに過度の応力負担がかかるため、外装材は、座屈拘束ブレースの損傷による上記の影響を受けることになる。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、建物の地震応答変位を低減すると共に、座屈拘束ブレースにかかる応力負担を低減する座屈拘束ブレースの作動制御装置及びこれを用いた構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の座屈拘束ブレースの作動制御装置は、柱と梁からなる主架構を持つ構造物に、座屈拘束ブレースの一端を接続し、前記座屈拘束ブレースの他端を、2つの部材が所定の相対的距離の範囲内では力の伝達を無くす構成を持つ制御機構の一方の部材に連結し、他方の部材を前記構造物に連結したことを特徴としている(請求項1)。
【0010】
このため、前記制御機構により、中小地震時には、2つの部材が相対的距離の範囲内となり、構造物が一定の層間変形角至らず、座屈拘束ブレースへの力の伝達は無い。すなわち、座屈拘束ブレースに引張り又は圧縮作用である応力負担を無くすことになる。それを超える大地震時には、座屈拘束ブレースへの力の伝達が始まり、座屈拘束ブレースが作動する。すなわち、座屈拘束ブレースは、層せん断力を負担する。この制御機構は、主架構の所定の層間変形角まで、座屈拘束ブレースの作動を行わせない働きを担っている。これによって、構造物の応答変位を低減すると共に、座屈拘束ブレースの過度な応力負担から解放している。
【0011】
また、前記制御機構は、一方の部材に細長い孔の制御孔を形成し、他方の部材にピンを取り付け、このピンを前記制御孔を通して両部材を連結したことを特徴としている(請求項2)。
【0012】
さらに、前記制御孔内のピンが移動する距離を前記構造物における所定の層間変形角と対応する長さとすることを特徴としている(請求項3)。
【0013】
さらにまた、前記座屈拘束ブレースに固着の一方の部材の両移動方向線上に、一対のストッパを設けたことを特徴としている(請求項4)。
【0014】
これにより、座屈拘束ブレースに固着の一方の部材が移動してストッパに当たるようになり、このストッパの構造物への取り付け位置を所定の層間変形角を所望の範囲内で調節することが可能となる。また、制御孔の長さの調節を不要とすることで、汎用性を向上させることができる。
【0015】
柱と梁からなる主架構の構造物にあって、前記主架構に設けられる座屈拘束ブレースを、前記請求項1ないし4のいずれかに記載の座屈拘束ブレースの作動制御装置を介在して前記主架構の梁と梁又は柱との間に設けられたことを特徴としている(請求項5)。
【0016】
これにより、座屈拘束ブレースの損傷と中小規模の地震時には応力負担を無くし、座屈拘束ブレース間のガラス製などの外装材への応力負担を一般的な設計クライテリア内に抑えられ、直接的な損傷を回避することができる。大地震時には、座屈拘束ブレースは作動を開始し、構造物の損傷を防ぐ作用が行われる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように請求項1の発明によれば、座屈拘束ブレースの作動制御装置が座屈拘束ブレースの作動を制御する制御機構を備えることにより、中小地震時には、制御機構を構成する2つの部材が相対的距離の範囲内となり、座屈拘束ブレースに引張り又は圧縮作用である応力負担を無くすことが可能となる。それを超える大地震時には、座屈拘束ブレースへの力の伝達が始まり、層せん断力を座屈拘束ブレースに負担させる。この制御機構は、主架構の所定の層間変形角まで、座屈拘束ブレースの作動を行わせない働きを担っている。これによって、座屈拘束ブレースの過度な応力負担から解放することができる。
また、請求項4の発明によれば、座屈拘束ブレースに固着の一方の部材が移動してストッパに当たるため、このストッパの構造物への取り付け位置を所定の層間変形角を所望の範囲内で調節することが可能となる。また、制御孔の長さの調節を不要とすることで、汎用性を向上させることができる。
さらに、請求項5の発明によれば、中小規模の地震時には構造物に取り付けられた座屈拘束ブレースの応力負担を無くすとともに損傷を防止するため、ガラス製などの外装材への応力負担を防止することができる。また、大地震時には、座屈拘束ブレースを作動させることで構造物の損傷を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、屈拘束ブレースの作動制御装置を示した構成図である。
【図2】図2は、制御機構の構成を示す図であり、(a)は制御機構の各部品を示した分解斜視図であり、(b)は(a)に示した各部品を組み上げたときの制御機構の構成図である。
【図3】図3は、屈拘束ブレースの作動制御装置の正面図である。
【図4】図4は、建物の層間変形角に対する層せん断力を示したグラフである。
【図5】図5は、それぞれの層間変形角における座屈拘束ブレースの作動制御装置を示したものであり、(a)は振動が入力されていない状態を示し、(b)は層間変形角(δ1)の状態を示し、(c)は、層間変形角(δ2)の状態を示したものである。
【図6】図6は、それぞれの層間変形角における屈拘束ブレースの作動制御装置の作動状態を示したイメージ図であり、(a)は振動が入力されていない状態を示し、(b)は層間変形角(δ1)の状態を示し、(c)は、層間変形角(δ2)の状態を示したものである。
【図7】図7は、実施例2における屈拘束ブレースの作動制御装置の正面図である。
【図8】図8は、実施例3における屈拘束ブレースの作動制御装置の正面図である。
【図9】図9は、座屈拘束ブレースの作動制御装置の変位に対する荷重の変化を示したグラフである。
【図10】図10は、座屈拘束ブレースを取り付けた建物の実験結果を示すグラフであり、(a)は、層間変形角に対するせん断力を示したものであり、(b)は、各階層における座屈拘束ブレースの塑性率を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の座屈拘束ブレースの作動制御装置について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1において、建物2に座屈拘束ブレース6の作動制御装置1を付した例が示されている。この建物(構造物)2は、柱3群と、この柱3群との間に直交に設けられた梁4群とよりなる主架構5を有して構成され、この主架構5の柱3と梁4に多数の座屈拘束ブレース6が設けられている。この例では、座屈拘束ブレース6は、一端を下段の梁4に、他端を下記する制御機構7を介して上段の梁4に取り付けられている。詳しく図示しないが、座屈拘束ブレース6群間に、ガラス製の外装材8が取り付けられている。
【0021】
前記座屈拘束ブレース6は、公知の構造のもので、たとえば、鋼材をブレース芯材として用いたものであり、このブレース芯材が両端の連結部を除いて内在するコンクリート(モルタル)及びコンクリートを外包する鋼材により拘束される構成となっている。
【0022】
図2、図3において、前記制御機構7は、主架構5の梁4と座屈拘束ブレース6との間に介在され、建物2の梁4の下方に固定されるサブプレート10と、このサブプレート10と相対的に動かされるセンタプレート12、両プレート10、12とを連結するピン13とから構成されている。
【0023】
前記サブプレート10は、手前の前面部10aと、後方の後面部10bとから構成され、前記前面部10aと後面部10bとの間に凹部11が設けられている。また、このサブプレート10の前面部10aと後面部10bとには、横方向に所定の長さlを持つ細長い制御孔15が形成されている。
【0024】
センタプレート12は、長方形状の板状の部材で、前記サブプレート10の凹部11に挿入され且つ摺動可能な所定の厚みを持ち、中央には、取付孔18が形成され、その取り付け孔18に下記するピン13が嵌入される。この取付孔18は、センタプレート12が凹部11に挿入されると、サブプレート10に形成の制御孔15内に監まされる。また、センタプレート12の表面と裏面のそれぞれに前記座屈拘束ブレース6と結合するための取付プレート16a,16bを前記取付孔18と端部との中間点に2箇所それぞれ設けられている。
【0025】
前記ピン13は、円柱状部材で、前記取付孔18の径と同径で、センタプレート12が前記サブプレート10の凹部11に挿入された後に、前記取付孔18内に嵌入固定され、これにより、サブプレート10とセンタプレート12とを連結すると共に、相対的位置関係を規制している。
【0026】
上述の制御機構7は、まず、サブプレート10を建物2の梁4の下面に溶接などで固着される。それから、センタプレート12をサブプレート10の凹部11内に挿入すると、その取付孔18がサブプレート10の制御孔15内に監まされ、制御孔15を介して取付孔18にピン13が嵌入され、固定される。すると、センタプレート12の横方向の動きは、制御孔15に規制を受けることになる。すなわち、センタプレート12の横方向の動きは、センタプレートの長さlからピン13の径Aを引き、且つ1/2の長さとなる。この横方向移動距離 (l−A)/2は、座屈拘束ブレース6の作動開始点を決定する層間変形角に対応している。
最後に、センタプレート12の取付プレート16a,16bに座屈拘束ブレース6の連結部6aを連結する。
なお、センタプレート12は、その横方向の動きが妨げられるのを防止するため、梁4との間に少なくとも2mmほどのクリアランス(c)が持たされている。
【0027】
以上のように構成された座屈拘束ブレースの作動制御装置の動作について説明する。
なお、以下に示す層間変形角(δ1)および(δ2)については、次のように定義した。
層間変形角(δ1):座屈拘束ブレースが機能し始める層間変形角であり、層間変形角1/200を想定して設定した。
層間変形角(δ2):座屈拘束ブレースが降伏する層間変形角であり、層間変形角1/100を想定して設定した。
【0028】
また、建物2の層間変形角と層せん断力との関係について、建物2が層間変形角(δ1)に達するまでの間を第1段階とし、建物2が層間変形角(δ1)を超えて層間変形角(δ2)に達するまでの間を第2段階とし、層間変形角δ2を超えたときを第3段階として説明する。
【0029】
(層間変形角:第1段階について)
図4に示す第1段階においては、主架構5の耐震性に依存し、座屈高速ブレース6は層せん断力を負担しない。これは、図5(a),(b)および図6(a),(b)に示すように、制御機構7が作動することによって、座屈拘束ブレース6を作動させることなく建物2にかかる応力を低減させているためである。
【0030】
(層間変形角:第2段階について)
図4に示す第2段階においては、層せん断力が徐々に発生して層間変形角がδ2に達したときに層せん断力(Qy)を示す。これは、図5(c)および図6(c)に示すように、制御機構7において座屈拘束ブレース6を作動させる層間変形角δ1に達したため、座屈拘束ブレース6を作動させて建物2にかかる層せん断力を低減させると共に、建物2の地震応答変位を低減させるためである。
【0031】
(層間変形角:第3段階について)
図4に示す第3段階では、座屈拘束ブレース6が降伏する。このとき、主架構5にもせん断力がかかり、層せん断力は一定値(Qy)を示す。
【実施例2】
【0032】
図7において、本発明の実施例2が示されている。
実施例1では、座屈拘束ブレース6が応力を負担する際、ピン13により応力の伝達を行ったが、制御機構7にストッパを設けることによって、ピン13の応力の集中を回避して制御機構7の損傷を防ぐことができる。
なお、以降の実施例においては実施例1と同じ箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【0033】
具体的には、図7に示すように、ストッパ20a,20bは、センタプレート12の両移動方向線上に対になって梁4に設けられている。そして、センタプレート12の端部とストッパ20a,20bとの間には予め定めた所定距離を有するように取り付けられ、この所定の距離Dは、建物2において座屈拘束ブレース6が作動する層間変形角と同等であり、前記実施例1に示すピン13の横方向移動距離(l−A)/2と等しい。
【0034】
すなわち、座屈拘束ブレース6が応力を負担する際、制御機構7を損傷させないよう、ピン13で応力を伝達させるのではなく、センタプレート12とストッパ20a,20bによって応力を伝達させる。したがって、制御孔15は、その長さlの設定はせずに、ピン13のガイド孔として機能することになる。
【実施例3】
【0035】
図8において、本発明の実施例3が示されている。
実施例1および2ではサブプレート10に制御孔15を設け、センタプレート12の取付孔18を設けて制御機構7を構成したが、センタプレート12に制御孔15'を設け、サブプレート10に取付孔18’を設けて構成しても実施することができる。
【0036】
具体的には、図8に示すように、センタプレート12の中心に設けられた制御孔15’とサブプレート10の中心に設けられた取付孔18’とをピン13で係合することで構成する。
【0037】
(実験例)
静的載荷試験
実施例2に係る座屈拘束ブレースの作動制御装置1の一対の座屈拘束ブレース6を土台に固定し、次いで、梁4の先端にロードセルの受感シャフトを取り付けた。そして、地震の横揺れを想定し、油圧ジャッキにより、ロードセル本体を梁4の長手方向に複数サイクルにて往復振動させた。この振動において、座屈拘束ブレースの作動制御装置1からロードセルに作用する荷重と、梁4の長手方向における変位量とから、実施例1に係る変位−荷重曲線を求めた。
なお、層間変形角(δ1)を1/150として実験を行った。
【0038】
図9に示すように、変形が約18mmに達すると、徐々にロードセルの荷重が上昇する。これは、上述の第1段階と同様に考えることができ、層間変形角δ1に達するまでは制御機構7が作動するため荷重が掛からないことを示し、また、上述の第2段階と同様にδ1に達した後、座屈拘束ブレース6が作動していることを示している。
【0039】
(比較例)
解析対象建物を13層の鉄骨造オフィスビルと想定する。解析モデルを表1に示す。
【表1】

【0040】
座屈拘束ブレース6の剛性と耐力は一定とし、座屈拘束ブレース6が機能し始める層間変形角δ1をパラメータとする。層間変形角δ1は、1/400,1/300,1/240,1/200とし、それぞれT400タイプ、T300タイプ、T240タイプ、T200タイプとした。また、これらをまとめてTシリーズとする。また、比較検討のため制御機構7を装着していないFタイプ、主架構5のみのSタイプについても解析を行った。
【0041】
図10(a)に示すように、進入度についてTシリーズとFタイプを比較すると、大きな違いは見られなかった。しかし、図10(b)に示すように、座屈拘束ブレース6の塑性率を比較すると、Fタイプに比べTシリーズのほとんどのタイプで低減した。このことから、座屈拘束ブレースの作動制御装置1によって座屈拘束ブレース6の応力負担を低減することができる。
なお、図10(b)における塑性率において、塑性率1.0において座屈拘束ブレース6が損傷する目安となる。したがって、Tシリーズのほとんどは座屈拘束ブレースの損傷を受けない結果となり、Fタイプは全ての階層において座屈拘束ブレースが損傷していることが明らかである。
【0042】
次にTシリーズ内で比較すると、Tシリーズでは、各層の進入度が平均化していることが確認できる。各タイプで進入度に大きな違いが見られない。しかし、座屈拘束ブレース6の塑性率を比較すると、層間変形角が大きくなるにつれて、塑性率は小さくなる。特に、T200タイプでは、座屈拘束ブレース6を弾性範囲内に留めつつ応答を低減させている。
【0043】
以上のように、座屈拘束ブレースの作動制御装置1の制御機構7に、層間変形角を適切に設定することで、建物2の応答変位を外装材8の一般的な設計クライテリア以内に抑えながら、座屈拘束ブレース6を過度の応力負担から解放し、懸念される外装材8の直接的な損傷を避けることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 座屈拘束ブレースの作動制御装置
3 柱
4 梁
5 主架構
6 座屈拘束ブレース
7 制御機構
8 外装材
10 サブプレート
11 凹部
12 センタプレート
13 ピン
15,15’ 制御孔
18,18’ 取付孔
20a,20b ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と梁からなる主架構を持つ構造物に、座屈拘束ブレースの一端を接続し、前記座屈拘束ブレースの他端を、2つの部材が所定の相対的距離の範囲内では力の伝達を無くす構成を持つ制御機構の一方の部材に連結し、他方の部材を前記構造物に連結したことを特徴とする座屈拘束ブレースの作動制御装置。
【請求項2】
前記制御機構は、一方の部材に細長い孔の制御孔を形成し、他方の部材にピンを取り付け、このピンを前記制御孔を通して両部材を連結したことを特徴とする請求項1に記載の座屈拘束ブレースの作動制御装置。
【請求項3】
前記制御孔内のピンが移動する距離を前記構造物における所定の層間変形角と対応する長さとすることを特徴とする請求項2に記載の座屈拘束ブレースの作動制御装置。
【請求項4】
前記座屈拘束ブレースに固着の一方の部材の両移動方向線上に、一対のストッパを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の座屈拘束ブレースの作動制御装置。
【請求項5】
柱と梁からなる主架構の構造物にあって、前記主架構に設けられる座屈拘束ブレースを、前記請求項1ないし4のいずれかに記載の座屈拘束ブレースの作動制御装置を介在して前記主架構の梁と梁又は柱との間に設けられたことを特徴とする構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−106217(P2011−106217A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264595(P2009−264595)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【Fターム(参考)】