説明

廃トナー搬送機構

【課題】画像形成ユニットのドラムキットのトナー像担持体上から回収された廃トナーを現像キットの回収部まで廃トナー詰まりを防止して効率よく搬送する廃トナー搬送機構を提供する。
【解決手段】回転スクリュー75は細いテープ状の板バネ材を螺旋状に巻かれた螺旋部75aと、螺旋部75aと螺旋部75aとの間に形成された非螺旋形の板状延伸部75bとで構成され、第1の屈曲部搬送経路83、上下方向搬送経路84及び第2の屈曲部搬送経路85においては螺旋部75aのみで形成され、第1の水平方向搬送経路82及び第2の水平方向搬送経路86においては、螺旋部75aと板状延伸部75bとが所定の間隔で交互に形成されている。回転スクリュー75の全長よりも螺旋部75aのみを足した螺旋部の全長が短かくなるので回転スクリュー75の全長が全て螺旋部75aで形成されている場合よりも回転スクリュー75のバネ定数を上げることができ、「トナー搬送力<バネ力」とすることできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃トナー搬送機構に係わり、更に詳しくは画像形成ユニットのドラムキットのトナー像担持体上から回収された廃トナーを現像キットの回収部まで廃トナー詰まりを防止して効率よく搬送する廃トナー搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式の画像形成装置においては、感光体ドラム上に現像されたトナー像が転写部で用紙に転写された後、残余のトナーはクリーナで回収されている。この回収された廃トナーの取り扱いとして、第1にはクリーナ内に溜める、第2には廃トナーボトルに回収する、第3には現像器へリサイクルして再使用するなどの提案がなされていた。
【0003】
ところが、近年では一般に、感光体ドラムのあるドラムキットと現像器のある現像キットを一体化して画像形成ユニットとして用いる形式のものが多くなっている。このため上記第1の方法は、画像形成ユニットの容積が大型化するという問題を伴う。
【0004】
この大型化を忌避すると、クリーナの廃トナー収容部の容積が圧迫されて今度は画像形成ユニットの寿命が短縮されるという問題が発生する。また、上記第2の方法は、廃トナーボトルを適宜な時期に交換しなければならないから、この廃トナーボトルの交換が面倒であるという問題を有している。
【0005】
そして、上記第3の方法は、黒及び三原色の合計4色の色トナーを用いる4個の画像形成ユニットを備えるカラー画像形成装置の場合、下流側のトナー像担持体には上流側のトナー像担持体で用紙に転写されたトナーが少量ながら逆転写される場合があり、廃トナーには色の混入が発生し易いので採用に適さない。
【0006】
そこで、画像形成ユニットの現像キットのトナーホッパー内のトナーが消費されて空いてくる空間を有効に利用して、ここに回収した廃トナーを還流させようとする提案がなされている。(例えば、特許文献1参照。)
【0007】
そして、この特許文献1では、廃トナーの回収方法として、回転スクリュウーを内蔵した搬送パイプを用い、この搬送パイプを画像形成ユニットのドラムキット下方に配置されているクリーナから現像キットのトナーホッパー上方に形成される空間領域まで引き回して廃トナーを搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−281866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、クリーナは画像形成ユニットの下方に配置されており、トナーホッパー内の空間は画像形成ユニットの上方に形成されるものであるから、これらの間を引き回される搬送パイプは少なくとも2回は90度に屈曲して配置される。このため、この構成で実際に廃トナーの搬送を行うと、往々にして廃トナー詰まりの不具合が発生する。
【0010】
図6(a)は、画像形成ユニットのサイドカバー部に引き回された搬送パイプを分かりやすく模式的に示す断面図であり、同図(b)は廃トナーを搬送中の屈曲部の状態を示す図、同図(c),(d)は不具合の発生した屈曲部の状態を示す図である。
【0011】
図6(a)に示すように、画像形成ユニット1は、現像キット2とドラムキット3がサイドフレーム4に係合支持され一体化されて構成されている。ドラムキット3のクリーナ部5に配設されているクリニーングブレード6は、感光体ドラム(画像形成ユニットのサイドカバー部分の断面図であるため図では見えない)に残留する廃トナーを掻き落とす。
【0012】
掻き落とされた廃トナーが堆積するクリーナ部5の底部には、図では左端部から右端部まで回転スクリュー7が露出して配置されている。回転スクリュー7は、細いテープ状の弾性体を螺旋状に巻き伸ばした形状で回転して堆積する廃トナーを図の右方へ搬送する。
【0013】
クリーナ部5の右端部からは、上方へ90度屈曲して上下方向搬送部8を形成し、更に左方へ90度屈曲して旋回し、サイドカバー部の上部左端まで延在する水平方向搬送部12を形成して搬送パイプ13が配置されている。
【0014】
クリーナ部5の底部に露出している回転スクリュー7は、搬送パイプ13内を通って搬送パイプ13の水平方向搬送部12と共にサイドカバー部の上部左端まで延び出している。ここでサイドカバー部の搬送パイプ13は終端となり、現像部9上部のトナーホッパー11の搬送パイプ14に連絡する。
【0015】
尚、同図(a) では、トナーホッパー11の搬送パイプ14は、矢印a方向に廃トナーの搬送を引き継ぎ、図ではサイドカバー部の向う側に配置されているトナーホッパー内部の上方に形成される廃トナー収容部に廃トナーを搬送する。
【0016】
この構成で、スクリュー駆動ギヤ15により駆動されて回転スクリュー7が回転することにより、クリーナ部5の底部に堆積する廃トナー16が同図(b)に示すように上下方向搬送部8を矢印bで示す上方に搬送され、サイドカバー部の上方まで搬送されて、更にトナーホッパー11側の搬送パイプ14に搬送を引き継がれる。
【0017】
ここで、通常量の廃トナー量であれば問題なく搬送が可能である。ところが、廃トナー16は、クリーニングブレード6の裏側や、クリーナ部5の内壁面に付着するものがあり、この部分に廃トナーが堆積する。そして、画像形成ユニット1に振動などが加わると、堆積した廃トナー16が堆積部から剥げ落ちて一気に搬送される。
【0018】
このため、搬送経路内が廃トナー過多状態となる。このとき、廃トナー16の搬送抵抗が回転スクリュー7の搬送力よりも大きいと、同図(c)に矢印cで示すように、回転スクリュー7が廃トナー16に押し戻される形で縮む状態となる。
【0019】
回転スクリュー7に縮みが発生すると、搬送パイプ13の終端まで回転スクリュー7が届かなくなるため、トナーホッパー11側の搬送パイプ14に搬送を引き継ぐことが出来なくなり、トナー搬送不良となって廃トナー詰まりが発生し、画像形成ユニット2の故障となるという解決すべき課題がある。
【0020】
この対策としては、「廃トナーの搬送抵抗」<「スクリューの搬送力」となるように、回転スクリュー7のバネ力を上げることが考えられる。しかし回転スクリュー7は搬送パイプ13内を屈曲して通りながら回転しているため、この屈曲部にある回転スクリュー7には応力が発生する。
【0021】
したがって、搬送パイプ13の屈曲率の半径を定数とした応力係数を回転スクリュー7のバネ力が超えてしまうと、回転スクリュー7は疲労のため画像形成ユニット2の寿命がくる前に、同図(c)に矢印dで示すように、スクリューのフィンに破断が発生する。このため、一定値以上はバネ力を上げることはできないという制約がある。
【0022】
このため、トナー搬送不良が発生する前に、画像形成ユニット2に強制的な振動を与えることや、廃トナー詰まりが発生したとき直ちに保守作業で回復できるように装置の分解機能を高めることなどが考えられているが、これらは本質的な解決策にはならないという課題が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するために、本発明の廃トナー搬送機構は、上下の2つの水平方向搬送経路と1つの上下方向搬送経路と上記2つの水平方向搬送路それぞれの一端と上記1つの上下方向搬送経路の両端とを連続させる屈曲部搬送経路とから成る廃トナー搬送経路と、該廃トナー搬送経路に配置された廃トナー搬送用の回転スクリューと、該回転スクリューを所定回転方向に回転させるスクリュー駆動ギアと、を備えた廃トナー搬送機構において、上記回転スクリューは、上記上下方向搬送経路と上記屈曲部搬送経路においてはテープ状の板バネ材を上記テープ状の両面を対向させながら螺旋状に巻かれた螺旋部を形成され、上記2つの水平方向搬送経路においては上記螺旋部と、該螺旋部と螺旋部との間に形成された非螺旋形の板状延伸部と、が所定の間隔で交互に形成されているように構成される。
【0024】
この廃トナー搬送機構において、例えば、上記回転スクリューは、上記回転スクリューの全長が全て上記螺旋部で形成されている場合よりも、「トナー搬送力<バネ力」であり且つバネ定数が大であるように構成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の廃トナー搬送機構は、回転スクリューの全長よりも螺旋部のみを足した螺旋部全長が短かくなるので、回転スクリューの全長が全て螺旋部で形成されている場合よりも、回転スクリューのバネ定数を上げることができ、したがって、「トナー搬送力<バネ力」とすることでき、これにより、廃トナー量が多くなった場合でも回転スクリューは縮むことなく廃トナーを搬送するので、廃トナー詰まりを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1に係る廃トナー搬送機構を備えたフルカラー画像記録装置(プリンタ)の外観斜視図である。
【図2】実施例1に係る廃トナー搬送機構を備えたプリンタの内部構成を説明する断面図である。
【図3】実施例1に係る廃トナー搬送機構を備えたプリンタの画像形成ユニットを1個のみ取り出してその外観を示す斜視図である。
【図4】図3の画像形成ユニットの断面図である。
【図5】図4の画像形成ユニットのサイドカバー内に引き回された搬送パイプとクリーナ内で露出し更に搬送パイプの始端部から終端部まで延びだして配置された回転スクリューとから成る廃トナー搬送機構を模式的に示す断面図である。
【図6】(a)は従来の画像形成ユニットのサイドカバー部に引き回された搬送パイプを分かりやすく模式的に示す断面図、(b)は廃トナーを搬送中の屈曲部の状態を示す図、(c),(d)は不具合の発生した屈曲部の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1に係る廃トナー搬送機構を備えたフルカラー画像記録装置(以下、単にプリンタという)の外観斜視図である。
【0029】
図1に示すように、プリンタ20は、前方に取っ手21を有する前扉22を備え、その下方に上下二段に分かれた2つの給紙カセット23を備えている。また、上面のほぼ全面に排紙トレー24を備え、右手前部に表示パネル25と操作部26を備えている。
【0030】
図2は、上記プリンタ20の内部構成を説明する断面図である。図2に示すようにプリンタ20は電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部32、中間転写ベルトユニット33、給紙部34、及び両面印刷用搬送ユニット35で構成されている。
【0031】
上記画像形成部32は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット36(36M、36C、36Y、36K)を多段式に並設して構成されている。
【0032】
上記4個の画像形成ユニット36のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット36M、36C及び36Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット36Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0033】
上記の各画像形成ユニット36は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット36Kを例にしてその構成を説明する。
【0034】
画像形成ユニット36は、最下部に感光体ドラム37を備えている。この感光体ドラム37は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム37の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ38、帯電ローラ39、光書込ヘッド41、及び現像器42の現像ローラ43が配置されている。
【0035】
現像器42は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0036】
また、現像器42の下部には側面開口部に上述した現像ローラ43を備え、内部にはトナー撹拌部材、現像ローラ43にトナーを供給するトナー供給ローラ49、現像ローラ43上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0037】
中間転写ベルトユニット33は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト44と、この転写ベルト44を掛け渡されて転写ベルト44を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ45と従動ローラ46を備えている。
【0038】
上記の転写ベルト44は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットと言っている。
【0039】
この中間転写ベルトユニット33は、上記扁平なループ状の転写ベルト44のループ内にベルト位置制御機構47を備えている。ベルト位置制御機構47は、転写ベルト44を介して感光体ドラム37の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ48を備えている。
【0040】
ベルト位置制御機構47は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット36M、36C及び36Yに対応する3個の一次転写ローラ48を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0041】
そして、ベルト位置制御機構47は、ブラック(K)の画像形成ユニット36Kに対応する1個の一次転写ローラ48を上記3個の一次転写ローラ48の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト44を感光体ドラム37から離接させる。
【0042】
すなわち、ベルト位置制御機構47は、中間転写ベルトユニット33の転写ベルト44の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ48が転写ベルト44に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット36Kに対応する一次転写ローラ48のみが転写ベルト44に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ48が転写ベルト44から離れる)に切換える。
【0043】
上記の中間転写ベルトユニット33には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット36Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器51が着脱自在に配置されている。
【0044】
給紙部34は、図1に示した上下2段に配置された2個の給紙カセット23を備え、2個の給紙カセット23の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ52、給送ローラ53、捌きローラ54、待機搬送ローラ対55が配置されている。
【0045】
待機搬送ローラ対55の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト44を介して従動ローラ46に圧接する二次転写ローラ56が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0046】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置57が配置されて、ベルト式熱定着装置57の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着装置57から搬出する搬出ローラ対58、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー24に排紙する排紙ローラ対61が配設されている。
【0047】
両面印刷用搬送ユニット35は、上記搬出ローラ対58と排紙ローラ対61との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路62a、それから下方に曲がる中間返送路62b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路62c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対63a、63b、63c、63dを備えている。
【0048】
上記終端返送路62cの出口は、給紙部34の下方の給紙カセット23に対応する待機搬送ローラ対55への搬送路に連絡している。また、本例において中間転写ベルトユニット33の上面部には、クリーニング部65が配置されている。
【0049】
クリーニング部65は、転写ベルト44の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去して、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器51に送り込んでいる。
【0050】
図2に示すように、このプリンタ20は、従来の用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対55により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト44を介してトナー像を転写する方式となっている。
【0051】
したがって、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図2の右側を開放するのみで対処できるようになっている。
【0052】
そして、用紙ジャム等の不具合はキット類の配設部では発生しないので、図2の左側に集中するキット類などの消耗品の着脱の操作は、前扉22を開いて長手方向に入れ替え操作するだけの小さなスペースで良いように構成されている。
【0053】
これにより、キット間の寸法は、可及的に縮小されており、装置本体全体の小型化が図られている。また、光書込みヘッド41自体も小型化され、感光体ドラム37に、より近接している構成となっている。
【0054】
図3は、画像形成ユニット36を1個のみ取り出して、その外観を示す斜視図である。図3に示すように、画像形成ユニット36は、外装フレーム66に保持される現像キット42と、この現像キット42と一体になって外装フレーム66に保持されるドラムキット67とで構成されている。
【0055】
ドラムキット67には細長い溝状の長孔68が形成されており、その長孔68の下方に感光体ドラム37の上面が位置している。この画像形成ユニット36がプリンタ本体装置に装着されると、長孔68に光書込ヘッド41の先端の発光部が位置決めされて、画像形成の準備が整う。
【0056】
また、ドラムキット67の下部(図2のクリーナ38の下部)から上下方向に立ち上がり、上部が現像キット42に沿って水平方向に延在するサイドカバー69が配設されている。このサイドカバー69の内部に後述する搬送パイプが配置されている。
【0057】
図4は、上記の画像形成ユニット36の断面図である。図4に示すように、図2に示した感光体ドラム37、クリーナ38、及び帯電ローラ39は、ドラムキット67として外装フレーム66の内部に現像キット42と一体に組み込まれている。
【0058】
また、現像キット42は、上部のトナーホッパー71と下部の現像槽72とに分かれている。トナーホッパー71は、現像槽72に連結する下部にトナー供給部73を備えており、現像槽72内のトナーの量が所定量以下になると、トナー供給部73の不図示のトナー供給口を開いて現像槽72にトナーを供給する。
【0059】
現像槽72の内部には、既に述べた現像ローラ43と供給ローラ49のほかに、図示は省略しているが、供給ローラ49から現像ローラ43上に供給されたトナーの層を一定の厚さに規制するドクターブレードや攪拌部材が配設されている。
【0060】
また、ドラムキット67は、クリーナ38内に、感光体ドラム37に当接するクリニーングブレード74を備え、その下方に当たる底部に露出する回転スクリュー75とこの回転スクリュー75を回転駆動するスクリュー駆動ギア76を備えている。
【0061】
回転スクリュー75は、クリーナ38内に露出する部分は、スクリュー駆動ギア76に直結するスクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成り、スクリュー軸が途切れた部分から先はフィンのみからなる。フィンについては詳しくは後述する。
【0062】
回転スクリュー75(つまりフィン)は、クリーナ38の端部から立ち上がって上部が現像キット42に沿って水平方向(図4では図面奥行き方向)に延びるサイドカバー69内の搬送パイプ77内に配置されたフィンと一体に連結している。
【0063】
搬送パイプ77の終端は、トナーホッパー71の上部に配設された下部開口搬送パイプ78に連結する図4では断面図のため見えない後述するキット連結搬送パイプに連絡している。
【0064】
図5は、図4に示すサイドカバー69内に引き回された搬送パイプ77と、クリーナ38内で露出し、更に搬送パイプ77の始端部77aから終端部77bまで延びだして配置された回転スクリュー75から成る廃トナー搬送機構を模式的に示す断面図である。
【0065】
尚、図5には、図2ないし図4に示した構成と同一の構成部分には、図2ないし図4に示した番号と同一の番号を付与して示している。また、図4に示す現像キット42の下部は、図5ではドラムキット67の陰になっている。
【0066】
画像形成ユニット36は、現像キット42とドラムキット67がサイドフレーム81に係合支持され一体化されて構成されている。ドラムキット42のクリーナ38に配設されているクリニーングブレード74は、感光体ドラム(画像形成ユニットのサイドカバー部分の断面図であるため図では見えない)に残留する廃トナーを掻き落とす。
【0067】
図5に示すように、廃トナーが堆積するクリーナ38の底部には、図の左端部から右端部まで回転スクリュー75が露出して配置されている。配置が露出している回転スクリュー75は、搬送ギヤ76により駆動されて回転し、クリーナ38の底部に堆積する廃トナーを図の右端方向へ搬送する第1の水平方向搬送経路82を形成している。
【0068】
この第1の水平方向搬送経路82は、サイドカバー69内を引き回されている搬送パイプ77が形成する搬送経路の始端部に連絡する。搬送パイプ77は、先ず、始端部77aから上に90度屈曲する第1の屈曲部搬送経路83を形成する。
【0069】
更に、搬送パイプ77は、第1の屈曲部搬送経路83の屈曲部上端から上方に延在する上下方向搬送経路84を形成し、更に左方へ90度屈曲して旋回する第2の屈曲部搬送経路85と、この第2の屈曲部搬送経路85の旋回した左端部からサイドカバー69の上部左端まで延在する第2の水平方向搬送経路86を形成している。
【0070】
クリーナ38の底部に露出している回転スクリュー75は、搬送パイプ77が形成する第1の屈曲部搬送経路83、上下方向搬送経路84、第2の屈曲部搬送経路85、及び第2の水平方向搬送経路86内を通ってサイドカバー69の上部左端まで延び出している。この部分は搬送パイプ77の終端部77bであり、ここから現像部72上部のトナーホッパー71の下部開口搬送パイプ78に連絡する。
【0071】
ここで、回転スクリュー75について詳しく説明する。回転スクリュー75は、細いテープ状の板バネ材を、そのテープ状の両面を対向させながら螺旋状に巻かれた螺旋部75aと、螺旋部75aと螺旋部75aとの間に形成された非螺旋形の板状延伸部75bとで構成されている。
【0072】
そして、回転スクリュー75は、第1の屈曲部搬送経路83、上下方向搬送経路84及び第2の屈曲部搬送経路85においては螺旋部75aのみで形成され、第1の水平方向搬送経路82及び第2の水平方向搬送経路86においては、螺旋部75aと板状延伸部75bとが所定の間隔で交互に形成されている。
【0073】
このように、本例の廃トナー搬送機構は、回転スクリュー75の全長よりも螺旋部75aのみを足した螺旋部の全長が短かくなるので、回転スクリュー75の全長が全て螺旋部75aで形成されている場合よりも、回転スクリュー75のバネ定数を上げることができる。
【0074】
バネ定数を上げることができればバネ力を強くすることができる。したがって、「トナー搬送力<バネ力」とすることでき、これにより、廃トナー量が多くなった場合でも回転スクリューは縮むことなく廃トナーを搬送するので、廃トナー詰まりを防止することができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、画像形成ユニットのドラムキットのトナー像担持体上から回収された廃トナーを現像キットの回収部まで廃トナー詰まりを防止して効率よく搬送する廃トナー搬送機構に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成ユニット
2 現像キット
3 ドラムキット
4 サイドフレーム
5 クリーナ部
6 クリニーングブレード
7 回転スクリュー
8 上下方向搬送部
9 現像部
11 トナーホッパー
12 水平方向搬送部
13、14 搬送パイプ
15 スクリュー駆動ギヤ
16 廃トナー
20 プリンタ
21 取っ手
22 前扉
23 給紙カセット
24 排紙トレー
25 表示パネル
26 操作部
32 画像形成部
33 中間転写ベルトユニット
34 給紙部
35 両面印刷用搬送ユニット
36(36M、36C、36Y、36K) 画像形成ユニット
37 感光体ドラム
38 クリーナ
39 帯電ローラ
41 光書込ヘッド
42 現像器(現像キット)
43 現像ローラ
44 転写ベルト
45 駆動ローラ
46 従動ローラ
47 ベルト位置制御機構
48 一次転写ローラ
49 供給ローラ
51 廃トナー回収容器
52 用紙取出ローラ
53 給送ローラ
54 捌きローラ
55 待機搬送ローラ対
56 二次転写ローラ
57 ベルト式熱定着装置
58 搬出ローラ対
61 排紙ローラ対
62a 開始返送路
62b 中間返送路
62c 終端返送路
63a、63b、63c、63d 返送ローラ対
65 クリーニング部
66 外装フレーム
67 ドラムキット
68 長孔
69 サイドカバー
71 トナーホッパー
72 現像槽
73 トナー供給部
74 クリニーングブレード
75 回転スクリュー
76 搬送ギア
77 搬送パイプ
77a 始端部
77b 終端部
78 下部開口搬送パイプ
79 スクリュー軸
81 サイドフレーム
82 第1の水平方向搬送経路
83 第1の屈曲部搬送経路
84 上下方向搬送経路
85 第2の屈曲部搬送経路
86 第2の水平方向搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の2つの水平方向搬送経路と1つの上下方向搬送経路と前記2つの水平方向搬送路それぞれの一端と前記1つの上下方向搬送経路の両端とを連続させる屈曲部搬送経路とから成る廃トナー搬送経路と、該廃トナー搬送経路に配置された廃トナー搬送用の回転スクリューと、該回転スクリューを所定回転方向に回転させるスクリュー駆動ギアと、を備えた廃トナー搬送機構において、
前記回転スクリューは、
前記上下方向搬送経路と前記屈曲部搬送経路においてはテープ状の板バネ材を前記テープ状の両面を対向させながら螺旋状に巻かれた螺旋部を形成され、
前記2つの水平方向搬送経路においては前記螺旋部と、該螺旋部と螺旋部との間に形成された非螺旋形の板状延伸部と、が所定の間隔で交互に形成されている、
ことを特徴とする廃トナー搬送機構。
【請求項2】
前記回転スクリューは、前記回転スクリューの全長が全て前記螺旋部で形成されている場合よりも、「トナー搬送力<バネ力」であり且つバネ定数が大である、ことを特徴とする請求項1記載の廃トナー搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98504(P2012−98504A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245962(P2010−245962)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】