説明

廃プラスチック成形品冷却設備

【課題】減容成形機で成形された減容成形直後の、高温かつ表面が溶融状態の廃プラスチックの成形品を、成形品どうしや搬送面に付着することなく且つ成形品の熱膨張の発生を抑えて冷却しながら搬送することができる廃プラスチック成形品冷却設備を提供する。
【解決手段】廃プラスチック減容成形機の成形物出口に配置された廃プラスチック成形物を切断する回転刃2の周囲に散水装置4と、回転刃2の下方に配設された成形品投入口10に回転刃2で切断された成形品3が投入され、投入された成形品3を水漬にして冷却しながら搬送するコンベヤ6を備え、コンベヤ6aが、成形品3を受ける成形品受け水平部15、コンベヤ内が水没して水封される水封部16、成形品を水漬にして冷却する水平の水平冷却部17、成形品を水平冷却部17から上昇させる上向き傾斜部18からなる廃プラスチック成形品冷却設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減容成形機で成形された高密度の廃プラスチック成形品を冷却しながら搬送する廃プラスチック成形品冷却設備に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックを粗破砕・選別・二次破砕により成形品に適した成分および形状のフラフとし、減容成形機により減容されて成形品となる。減容成形機から押し出されて形成された成形品は冷却されながら搬送される。
【0003】
図4は従来の廃プラスチック成形品の冷却装置の概略図である。
【0004】
シリンダー内に回転するスクリューが配置された減容成形機に供給されたフラフは、ヒータで加熱されながら混練されてダイス1から押し出される。押し出された成形物は回転刃2により切断されて成形品3となる。成形品3は散水装置4により水冷又は空冷して搬送コンベヤ21で搬送される。
【0005】
従来の廃プラスチック成形品は密度0.5〜0.7と低密度で、成形温度も120〜140℃程度と低く、成形品の表面は溶融状態ではないため、成形直後の成形品どうしや搬送面への付着の恐れもないことから、成形直後の成形品は水やエアーを噴霧する程度の冷却をしながらコンベヤ搬送されるのが一般的であった。
【0006】
しかしながら、廃プラスチック成形品を0.8以上に高密度化する場合、成形品の温度が約180〜220℃と高く、成形品の表面は溶融状態であることから、成形品どうしや搬送面への付着の恐れがあるため、冷却水を散布して成形品の表面を冷却固化する(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−34437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の成形品の冷却では、冷却能力が小さいために高密度の成形品を冷却しながら搬送を行うのは困難であった。また、冷却が遅れると、成形品自身が熱膨張し、高密度の確保が困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、減容成形機で成形された減容成形直後の、高温かつ表面が溶融状態の廃プラスチックの成形品を、成形品どうしや搬送面に付着することなく且つ成形品の熱膨張の発生を抑えて冷却しながら搬送することができる廃プラスチック成形品冷却設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の廃プラスチック成形品冷却設備は、廃プラスチック減容成形機の成形物出口に配置された廃プラスチック成形物を切断する回転刃の周囲に散水装置と、回転刃の下方に配設された成形品投入口に回転刃で切断された成形品が投入され、投入された成形品を水漬にして冷却しながら搬送するコンベヤを備えたことを特徴とする。
【0010】
前記構成において、成形品を冷却するコンベヤが、成形品投入口の部分の成形品を受ける成形品受け水平部、成形品受け水平部に次いでコンベヤ内が水没して水封される下方に傾斜させた水封部、水封部に次いで成形品を水漬にして冷却する水平の水平冷却部、水平冷却部に次いで成形品を水平冷却部から引き上げて上昇させる上向き傾斜部からなる。さらに、成形品が落下する途中に回転刃で切断されて落下する成形品を冷却する散水装置を設けてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、回転刃周辺に設けた散水装置からの散水と、コンベヤの水漬搬送によって、減容成形後直後の高温の高密度成形品の表面を急冷し、水漬搬送することにより、成形品どうしの付着や搬送面への付着をなくして、連続して冷却および搬送を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1(a)は本発明の廃プラスチック成形品冷却設備の概略平面図、(b)は同正面図、図2はパイプコンベヤの一部切り欠き斜視図、図3はパイプコンベヤの水封部を示す断面図である。
【0013】
シリンダー内に回転するスクリューが配置された減容成形機に供給されたフラフは、スクリューの回転により移動しながらヒータによる加熱とフラフの自己の摩擦熱により溶融、混練されてダイス1のノズルから押し出される。押し出された成形物は回転刃2により切断されて成形品3となる。
【0014】
回転刃2の近くには散水装置4を配置される。散水装置4により散水して成形物が切断されると同時または切断直後に成形品及び回転刃2を冷却し、成形品どうしの付着、回転刃と成形品の付着および成形品の熱膨張を抑制する。さらに、落下する成形品3を冷却するための散水装置5を配置してもよい。
【0015】
落下した成形品3を冷却しながら搬送するため、パイプコンベヤ6が配置される。パイプコンベヤ6は、図2に示すように、パイプ6a,6b内にチェーン7に固定されたフライト板8が間隔をおいて配置されており、チェーン7を駆動装置9で引くことによりフライト板8が移動して成形品3を搬送する。
【0016】
パイプコンベヤのパイプは2列に配置され、エンドレスのチェーン7が周回できるように接続される。2列のパイプ6a,6bのうち、一方のパイプ6aは成形品3を搬送しながら冷却するためのものであり、他方のパイプ6bはチェーン7を周回させるためのものである。
【0017】
成形品3を冷却するためのパイプ6aには、落下する成形品3が投入される成形品投入口10が減容成形機のダイス1の下方に位置するように設けられるとともに、搬送された成形品3を排出する成形品排出口11が設けられ、成形品3を冷却するための冷却水を供給する冷却水供給口12が設けられている。パイプ6、回転刃2の散水装置4、落下する成形品3の散水装置5の冷却水は、貯水槽13からクーラ14を経て供給される。
【0018】
成形品3を冷却するパイプ6aは、成形品投入口の部分は落下する成形品3を受ける成形品受け水平部15を形成し、次いで、パイプ6a内が水没して水封されるように下方に傾斜させた水封部16を形成し、次いで水平の水平冷却部17に設置する。水平冷却部17に次いで成形品3を水平冷却部17から上昇させる上向き傾斜部18を設置する。成形品は水に浮く条件で成形されることもあるため、成形品3を強制的に水封部16を経て水平冷却部17で水漬搬送させることにより成形品3を40〜70℃に冷却しながらコンベヤ搬送することが可能となる。パイプ6a内の冷却水19は水抜き20により貯水槽13に戻される。
【0019】
本発明の廃プラスチック成形品冷却設備の使用方法について説明する。
【0020】
減容成形機でヒータによる加熱とフラフの自己の摩擦熱により溶融、混練されてダイス1から押し出された180〜220℃の成形物は回転刃2により切断されて成形品3となる。成形物が切断されると同時または切断直後に成形品を散水装置4により散水して冷却することにより、成形品3どうしの付着、回転刃2への成形品の付着および成形品3の熱膨張を抑制する。
【0021】
また、成形品3が落下する途中で散水装置5により散水して落下する成形品3の付着を防止する。
【0022】
パイプコンベヤ6の成形品投入口10からパイプコンベヤ6に落下した成形品3は、パイプ6aの成形品受け水平部15の冷却水表面に浮かぶものもあるが、パイプコンベヤのフライト板8で水封部16から水平冷却部17に潜り込ませて水漬搬送させて均一に冷却する。
【0023】
冷却後の成形品3は水平冷却部17から出て上向き傾斜部18を上昇し、成形品排出口11から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の廃プラスチック成形品冷却設備の概略平面図、(b)は同正面図である。
【図2】パイプコンベヤの一部切り欠き斜視図である。
【図3】パイプコンベヤの水封部を示す断面図である。
【図4】従来の廃プラスチック成形品の冷却装置の概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1:ダイス
2:回転刃
3:成形品
4,5:散水装置
6:パイプコンベヤ
6a,6b:パイプ
7:チェーン
8:フライト板
9:駆動装置
10:成形品投入口
11:成形品排出口
12:冷却水供給口
13:貯水槽
14:クーラ
15:成形品受け水平部
16:水封部
17:水平冷却部
18:上向き傾斜部
19:冷却水
20:水抜き
21:搬送コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック減容成形機の成形物出口に配置された廃プラスチック成形物を切断する回転刃の周囲に散水装置と、回転刃の下方に配設された成形品投入口に回転刃で切断された成形品が投入され、投入された成形品を水漬にして冷却しながらコンベヤ搬送するコンベヤを備えたことを特徴とする廃プラスチック成形品冷却設備。
【請求項2】
成形品を冷却するコンベヤが、成形品投入口の部分の成形品を受ける成形品受け水平部、成形品受け水平部に次いでコンベヤ内が水没して水封される下方に傾斜させた水封部、水封部に次いで成形品を水漬にして冷却する水平の水平冷却部、水平冷却部に次いで成形品を水平冷却部から引き上げて上昇させる上向き傾斜部からなることを特徴とする請求項1記載の廃プラスチックペレット冷却設備。
【請求項3】
成形品が落下する途中に回転刃で切断されて落下する成形品を冷却する散水装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の廃プラスチックペレット冷却設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−190721(P2007−190721A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8930(P2006−8930)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】