説明

廃棄ペットボトルを有効活用した汚水処理用接触濾材

【課題】廃棄されるペットボトルを、特殊な工場で小さく破砕したり溶融して再生品にしないで誰でも手軽に加工し汚水処理の技術としてペットボトルを有効活用して、資材コストが非常に廉価な汚水処理用接触濾材を提供する。
【解決手段】廃棄されるペットボトルを小さく破砕したり、溶解しないで、筒状に形成したものを接触濾材とし、樹脂やステンレス等で製作した籠に無作為に充填することによって、処理槽内の微生物群をより多くまたは効率的に付着させることができ、また筒状に形成することにより、ペットボトル内部に空気が溜まることなくスムーズに沈降して安定しやすくさらに、表面積が大きいから汚泥保持率が高いし多くの微生物を付着繁殖せることがで且つ汚泥による閉鎖も生じることなく、軽くて耐久性に優れているので長時間使用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を利用して汚水を浄化する汚水設備に使用する接触材濾材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からある汚水処理の接触濾材は、一般的にプラスチック製や塩ビ製の成型品が多く使われているが、ごく一部で、廃プラ溶融再生品や牡蠣の廃殻を使って汚水処理技術に有効活用されていることもある。だが、身近にある廃棄ペットボトルを特殊な工場で溶融再生することなく、誰でも手軽に加工して地域の畜産汚水や食品加工場汚水等あるいは湖沼・河川の環境用水などの水処理技術に生かされていないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】特許公開2000−229295
【特許文献2】特許公開2001−162296
【特許文献3】特許公開2004−351306
【特許文献4】特許公開平5−115889
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、汚水処理の技術を生かして、廃棄ペトボトルを簡単に加工して効率の良い接触濾材として畜産汚水または食品加工場等の汚水処理施設に提供することを第一の目的とする。
【0005】
汚水処理施設の接触濾材商品は、かなりの量が必要とされるため容易に確保できない、しかも高価であるためどうしても制限される。また、リサイクルして再利用するにしても廃棄されるペットボトルを小さく破砕したり、溶融再生品にしたりするので製品になるまで二次、三次、四次加工工程を要するので比較的コストが大幅に掛かかるがこの発明はどんな場所でもあるいは現地の施設でも簡単に加工してその場で接触濾材として利用できるので、経済的でしかも環境にやさしい汚水処理用接触濾材を提供する。
【0006】
廃棄ペットボトルを利用するにしても、小さく破砕して籠等に入れるか、あるいは糸状に加工しないと 曝気槽の排水内に沈降して安定しなかった。この発明は筒状に加工することにより、ペットボトル内部の空気溜まりによる浮遊をさけ沈降し安定するしかも、表面積が大きいので汚泥保持率が高く多くの微生物を付着繁殖させることができ、且つ汚泥による閉塞も生じることがない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、飲料・酒類用のペットボトルで、形状は円柱形の丸型ペットボトル・直方体型の角型ペットボトル・くびれ型の特殊型ペットボトル、あるいは200ml以上2l以下の各容量サイズの廃棄リサイクルペットボトルを誰でもカッター等で手軽に加工して、地域の食品加工場汚水や畜産汚水等あるいは湖沼・河川の環境用水等の汚水処理技術に生かされることができる。
【0008】
小さなペットボトルは飲み口と底部分のみをカットして筒状にし、ペットボトルの大きいサイズは筒状部分を何ヶ所か輪切りにカット加工することにより、ペットボトル内部空気溜りによる浮遊を避け、汚水処理槽内にスムーズに沈降し安定することができる。
【0009】
ペットボトルを筒状に加工することにより、接触濾材とし表面積が大きいので汚泥保持率が高く多くの微生物群を付着繁殖させることができる。
【0010】
ペットボトルを筒状に加工することにより、小さな接触濾材とは違い汚泥による閉塞も生じることがないので微生物群で効率よく汚水処理ができる。
【0011】
樹脂や塩ビ製あるいはステンレス製の製作籠に、無作為に充填し、汚水処理槽内に吊るしたりあるいは底部に固定し、微生物群を付着繁殖させることができる。
【0012】
ペットボトルのカットした底部分は、中心部に小さな穴を開け、樹脂製線材やステンレス線材で通し、一定の長さにしてから汚水槽内にいくつも暖簾状に吊り下げて接触濾材として活用でき、また、飲み口部分においても口を利用して線材で吊り下げることもできるし、それのみを濾材籠に充填して接触濾材の資材として微生物群をより多くまたは効率的に付着繁殖させる役目を果すことができ、どちらも余すことなくペットボトルリサイクル資材として汚水処理技術に生かすことができる。
【発明の効果】
【00013】
以上述べた如く、本発明は、廃棄されるペットボトルを排水処理技術として有効活用ができ、制作費は非常に安価で、しかも、濾材の交換時でも洗浄すればその施設で再利用できるので非常に経済的でもある。
また、技術面では、ペットボトルの呑み口部分及び底部分をカットし筒状に形成しているので、濾材を無作為に充填した濾材籠を水槽内に入水しても、浮き上がることなく水中で安定し、籠そのものを吊るすこともでき、槽底部に設置することができる。また、表面積が大きくなり汚泥保持率が高く、多くの微生物を付着繁殖させることができ、且つ汚泥による閉塞も生じることなく、軽くて耐久性に優れているので長時間使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
食品加工場汚水処理施設や畜産汚水施設に限らず河川、湖沼の用水処理や農業集落排水処理等の浄化処理技術として有効活用し資材コストが非常に廉価な廃棄ペットボトル有効活用接触濾材を提供する。
【実施例1】
【0015】
接触濾材の構造例を第1図に示しながら、発明を実施するための形態について図面を説明すると、収集したペットボトルaの飲み口部分と底部分をカッター等で切断し筒状bにする。たくさん加工したら、チェーンの付いた円筒形の吊り型濾材籠dや汚水槽底に設置する固定型濾材籠eに無作為に充填して汚水処理施設の曝気槽内に設置する。また、切断した底部分は中心に穴を開けて樹脂線やステンレス線を通して暖簾状fにし、あるいは飲み口部分は空気溜りができぬよう口部を逆さにして、これも同じく線材等を通し暖簾状gにして、汚水槽等に何枚も重ね吊りの状態を作り、接触濾材の役目を果たす仕組みである。
【0016】
本発明を具体的に汚水処理施設図2を使って説明すると、汚水が原水槽▲1▼に流入し、流入管▲10▼を通って吊り型濾材籠dと散気器▲11▼を設置した▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼の各曝気槽に自然流入しながら、汚水は付着繁殖した微生物群の接触濾材籠に接触して自然浄化されながら▲6▼の沈殿槽に流れ、その後滅菌槽▲7▼から放流され、あるいは沈殿槽に溜まった汚泥は汚泥槽▲8▼に行き廃棄処理される仕組みになり、接触濾材籠は非常に軽いので点検時の作業性も高く、汚泥による閉鎖も生じることなく耐久性に優れているので長時間使用が可能なペットボトルを再利用した接触濾材である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、廃棄されるペットボトルを小さく破砕しないで筒状に形成し、製作した籠の中に無作為に充填して、汚水槽の中に吊したり固定したりあるいは暖簾状に水中で垂らして多くの微生物を付着繁殖することができ、且つ汚泥による閉塞も生じることなく軽くて耐久性に優れた接触濾材であるので、汚水・排水処理に限らず河川・湖沼の用水処理や農業集落排水処理などの浄化処理技術として有効活用し資材コストが非常に廉価な汚水処理用接触濾材を提供し、本発明の用途は幅広いためその産業上の利益は莫大である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を説明するための加工前図
【図2】本発明を説明するための筒状に形成した加工図
【図3】本発明を説明するための飲み口部と底部分に形成した加工図
【図4】本発明を説明するための吊り型接触濾材籠の製作図
【図5】本発明を説明するための固定型接触濾材籠の製作図
【図6】本発明を説明するための飲み口部分を利用した暖簾型接触濾材の製作図
【図7】本発明を説明するための底部分を利用した暖簾型接触濾材の製作図
【図8】本発明を説明するために実施例とした排水処理施設の平面図
【図9】本発明を説明するために実施例とした排水処理施設の断面図
【符号の説明】
【0019】
a 円柱形の丸型ペットボトル
b 直方体形の角型ペットボトル
c 丸型の筒状部分
d 角型の筒状部分
e 丸型飲み口部分
f 丸型底部分
g 角型飲み口部分
h 角型底部分
i 吊り型円筒形濾材籠
j 吊り型用チェーン
k 固定型直方体形濾材籠
l 暖簾型吊り下げパイプ
m 通し線材
n ウエイトパイプ
▲1▼ 原水槽
▲2▼ 曝気槽1
▲3▼ 曝気槽2
▲4▼ 曝気槽3
▲5▼ 曝気槽4
▲6▼ 沈殿槽
▲7▼ 滅菌槽
▲8▼ 汚泥槽
▲9▼ ブロアー
▲10▼ 流入管
▲11▼ 散気器
▲12▼ 汚水ポンプ
▲13▼ 接触濾材籠
▲14▼ 空気送管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料・酒類用のペットボトルで、形状は円柱形の丸型ペットボトル・直方体型の角型ペットボトル・くびれ型の特殊型ペットボトル、あるいは200ml以上2l以下の各容量サイズの廃棄リサイクルペットボトルを誰でもカッター等で手軽に加工して、地域の食品加工場排水や畜産排水等あるいは湖沼・河川の環境用水等の汚水処理技術に生かされる廃棄ペットボトル有効活用接触濾材。
【請求項2】
第1の請求範囲内において、小さなペットボトルは飲み口と底部分のみをカットして筒状にし、ペットボトルの大きいサイズは筒状部分を何ヶ所か輪切りにカット加工することにより、ペットボトル内部の空気溜りによる浮遊を避け、汚水処理槽内にスムーズに沈降し安定することができる廃棄ペットボトル有効活用接触濾材。
【請求項3】
第1の請求範囲内において、ペットボトルを筒状に加工することにより、接触濾材とし表面積が大きいので汚泥保持率が高く多くの微生物郡を付着繁殖させることができる廃棄ペットボトル有効活用接触濾材。
【請求項4】
第1の請求範囲内において、ペットボトルを筒状に加工することにより、小さな接触濾材とは違い汚泥による閉塞も生じることがないので微生物群で効率よく汚水処理ができ廃棄ペットボトル有効活用接触濾材。
【請求項5】
第1の請求範囲内において、樹脂や塩ビ製あるいはステンレス製の製作籠に、無作為に充填し、汚水処理槽内に吊るしたりあるいは底部に固定し、微生物群を付着繁殖させることができる廃棄ペットボトル有効活用接触濾材。
【請求項6】
第1の請求範囲内において、ペットボトルのカットした底部分は、中心部に小さな穴を開け、樹脂製線材やステンレス線材で通し、一定の長さにしてから汚水槽内にいくつも暖簾状に吊り下げて接触濾材として活用でき、また、飲み口部分においても口を利用して線材で吊り下げることもできるし、それのみを濾材籠に充填して接触濾材の資材として微生物群をより多くまたは効率的に付着繁殖させる役目を果すことができ、どちらも余すことなくペットボトルリサイクル資材として汚水処理技術に生かすことができる廃棄ペットボトル有効活用接触濾材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−238149(P2008−238149A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113509(P2007−113509)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(504041136)
【Fターム(参考)】