説明

廃棄物の前処理方法及びその装置

【課題】 廃棄物焼却設備とバイオガス設備とを併設する廃棄物処理施設に搬入された雑多な廃棄物を、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物とバイオガス設備で処理すべき廃棄物とに効率的に分離できるようにする。
【解決手段】 供給された廃棄物Wの重量及び体積と含水率を計測し、前記重量及び体積に基づいて廃棄物Wのかさ比重を算出し、かさ比重が0.2未満の廃棄物Wはそのまま廃棄物焼却設備へ搬送し、又、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物Wはこれに含まれている金属類Mを選別回収してからバイオガス設備へ搬送し、更に、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物Wは破砕処理してから軽量物W2′と重量物W2″に分別処理し、その後軽量物W2′はそのまま廃棄物焼却設備へ搬送すると共に、重量物W2″はこれに含まれている金属類Mを選別回収してからバイオガス設備へ搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物を焼却処理する廃棄物焼却設備と厨芥類や古紙等の有機性廃棄物を発酵させてメタンガスを発生させるバイオガス設備とを併設する廃棄物処理施設に用いられるものであり、前記廃棄物処理施設に搬入された雑多な廃棄物を、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物とバイオガス設備で処理すべき廃棄物とに効率良く分離できるようにした廃棄物の前処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物は、減容化、無害化、資源化、エネルギーの有効利用等を図るために廃棄物処理施設内の熱分解ガス化溶融設備や焼却設備、バイオガス設備、固形燃料製造設備等で夫々処理されている。その中でも、水分が多くて自燃できない大量の厨芥類を含む廃棄物を処理する場合には、廃棄物中に多量に存在する有機性廃棄物(厨芥類)を発酵させてメタンガスを発生させ、そのメタンガスを利用して発電や熱利用を行うようにしたバイオガス設備が多く採用されつつある。
【0003】
又、一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物は、各種設備内のガス化炉や焼却炉、メタン発酵槽、成形機等へ投入する前に予め前処理されている。
例えば、熱分解ガス化溶融設備に於いては、廃棄物の前処理として破砕、乾燥、金属類の除去等を行い、その後廃棄物をガス化炉へ投入して廃棄物の安定供給を行うようにしている(特許文献1参照)。
又、焼却設備に於いては、焼却炉内に一定重量のごみを一定間隔で供給したり、或いはごみ質に応じて一定重量のごみを焼却炉内に供給したりしてごみを安定燃焼させるようにしている(特許文献2及び特許文献3参照)。
更に、バイオガス設備に於いては、生ごみ等の固形有機性廃棄物に混入しているプラスチック類や金属類等のメタン発酵不適物及び堆肥不適物をスクリーンで除去してから固形有機性廃棄物をメタン発酵槽へ投入するようにしている(参考文献4参照)。
そして、固形燃料製造設備に於いては、ごみの破砕及び乾燥、ごみに含まれている金属類等の異物の除去を行った後、ごみを成形機へ投入するようにしている(特許文献5及び特許文献6参照)。
【0004】
しかし、上述した廃棄物の前処理は、何れも廃棄物処理施設内の熱分解ガス化溶融設備や焼却設備、バイオガス設備等の単独設備に対する前処理であり、複数の設備に対する共通の前処理にはなっていない。そのため、処理の目的から外れる廃棄物は、最終処分される等、処理効率が決して良いとは言えないものである。又、従来の廃棄物の前処理は、一般廃棄物からバイオガス化用の厨芥類と焼却用の可燃ごみとを分別するものではない。従って、廃棄物の前処理に於いては、複数の設備に対応できる前処理が要望されている。
【特許文献1】特開2000−18530号公報
【特許文献2】特開昭63−58012号公報
【特許文献3】特開平4−39508号公報
【特許文献4】特開2002−86111号公報
【特許文献5】特開平9−194863号公報
【特許文献6】特開2004−24976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は廃棄物焼却設備とバイオガス設備とを併設する廃棄物処理施設に搬入された雑多な廃棄物を、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物とバイオガス設備で処理すべき廃棄物とに効率的に分離できるようにした廃棄物の前処理方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に、本発明の請求項1の発明は、供給された廃棄物の重量及び体積と含水率を計測し、前記重量及び体積に基づいて廃棄物のかさ比重を算出し、かさ比重が0.2未満の廃棄物はそのまま廃棄物焼却設備へ搬送し、又、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物はこれに含まれている金属類を選別回収してからバイオガス設備へ搬送し、更に、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物は破砕処理してから軽量物と重量物に分別処理し、その後軽量物はそのまま廃棄物焼却設備へ搬送すると共に、重量物はこれに含まれている金属類を選別回収してからバイオガス設備へ搬送するようにしたことに特徴がある。
【0007】
本発明の請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、廃棄物を一定の形に圧縮成形してから廃棄物の重量及び体積と含水率を計測し、前記重量及び体積に基づいて廃棄物のかさ比重を算出するようにしたことに特徴がある。
【0008】
本発明の請求項3の発明は、供給された廃棄物のかさ比重と含水率を計測する比重計測器と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物から金属類を選別回収する金属選別機と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物を破砕処理する破砕機と、破砕された廃棄物を軽量物と重量物に分別処理する風力選別機とを備えた廃棄物の前処理装置であって、前記前処理装置は、比重計測器により計測されたかさ比重が0.2%未満の廃棄物と風力選別機から排出された軽量物とを廃棄物焼却設備へ搬送すると共に、金属選別機により金属類を選別回収されたかさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物と風力選別機から排出されて金属選別機により金属類を選別回収された重量物とをバイオガス設備へ搬送するようにしたことに特徴がある。
【0009】
本発明の請求項4の発明は、請求項3の発明に於いて、比重計測器が、廃棄物を受け取るベルトコンベヤと、ベルトコンベヤ上の廃棄物の重量を計測する計量器と、ベルトコンベヤ上の廃棄物との距離を計測する非接触式距離計と、ベルトコンベヤ上の廃棄物の含水率を計測する非接触式水分計とを備えていることに特徴がある。
【0010】
本発明の請求項5の発明は、請求項3又は請求項4の発明に於いて、比重計測器の上流側位置に廃棄物を一定の形に圧縮成形する圧縮装置を配設したことに特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の廃棄物の前処理方法は、供給された廃棄物の重量及び体積と含水率を計測し、前記重量及び体積に基づいて廃棄物のかさ比重を算出し、かさ比重が0.2未満の廃棄物はプラスチック類や紙類が主に含まれているものと見なしてそのまま廃棄物焼却設備へ搬送し、又、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物は重量物として廃棄物中に含まれている金属類を金属選別機で選別回収してからバイオガス設備へ搬送し、更に、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物は厨芥類、金属類、紙類等が混入している雑多な廃棄物と見なして破砕機で破砕処理してから風力選別機で軽量物と重量物に分別処理し、その後軽量物はそのまま廃棄物焼却設備へ搬送すると共に、重量物はこれに含まれている金属類を金属選別機で選別回収してからバイオガス設備へ搬送するようにしている。
その結果、本発明の廃棄物の前処理方法は、廃棄物焼却設備とバイオガス設備を併設した廃棄物処理施設に用いた場合、前記廃棄物処理施設に搬入された雑多な廃棄物を、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物とバイオガス設備で処理すべき廃棄物とに効率的に分離することができ、複数の設備に対応できる前処理となり、廃棄物の処理効率の向上を図れる。又、廃棄物焼却設備に水分を多く含む厨芥類を投入すると云うことが殆んどなく、焼却炉の燃焼が安定すると共に、高温の燃焼を保持することができ、ダイオキシン類や一酸化炭素等の排出を大幅に抑制することができる。然も、バイオガス設備へも紙類や金属類の投入を大幅に抑制することができ、安定したガス化と発電を行える。
更に、本発明の廃棄物の前処理方法は、廃棄物を一定の形に圧縮成形してから廃棄物の重量及び体積と含水率を計測し、前記重量及び体積に基づいて廃棄物のかさ比重を算出するようにしているため、供給された廃棄物のかさ比重をより正確に算出することができ、雑多な廃棄物を、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物とバイオガス設備で処理すべき廃棄物とにより効率的に分離することができる。
【0012】
本発明の廃棄物の前処理装置は、供給された廃棄物のかさ比重と含水率を計測する比重計測器と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物から金属類を選別回収する金属選別機と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物を破砕処理する破砕機と、破砕された廃棄物を軽量物と重量物に分別処理する風力選別機とを備えているため、上記方法を好適に実施することができる。その結果、本発明の廃棄物の前処理装置は、廃棄物焼却設備とバイオガス設備を併設した廃棄物処理施設に用いた場合、雑多な廃棄物を、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物とバイオガス設備で処理すべき廃棄物とに効率的に分離することができる。
又、本発明の廃棄物の前処理装置は、比重計測器が、廃棄物を受け取るベルトコンベヤと、ベルトコンベヤ上の廃棄物の重量を計測する計量器と、ベルトコンベヤ上の廃棄物との距離を計測する非接触式距離計と、ベルトコンベヤ上の廃棄物の含水率を計測する非接触式水分計とを備えているため、ベルトコンベヤ上の廃棄物のかさ比重と含水率を測定することができ、これによって廃棄物の内容物を推定することができる。然も、非接触式距離計及び非接触式水分計を使用しているため、メンテナンスにも手数が掛からない。
更に、又、本発明の廃棄物の前処理装置は、比重計測器の上流側位置に廃棄物を一定の形に圧縮成形する圧縮装置を配設しているため、供給された廃棄物のかさ比重をより正確に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の方法を実施する廃棄物Wの前処理装置1の概略系統図を示し、当該廃棄物Wの前処理装置1は、一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物Wを焼却処理する廃棄物焼却設備と厨芥類や古紙等の有機性廃棄物を発酵させてメタンガスを発生させるバイオガス設備とを併設した廃棄物処理施設に設置されており、廃棄物処理施設に搬入された一般廃棄物や産業廃棄物等の雑多な廃棄物Wを、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物W3,W2′とバイオガス設備で処理すべき廃棄物W1,W2″とに効率的に分離できるようにしたものである。
【0014】
尚、廃棄物焼却設備は、従来公知のものと同様構造に構成されており、一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物Wを焼却するストーカ式焼却炉2、燃焼排ガスから熱を回収する発熱ボイラ(図示省略)、排ガスを処理する排ガス処理装置(図示省略)等を備えている。
又、バイオガス設備も、従来公知のものと同様構造に構成されており、厨芥類等の有機性廃棄物を嫌気性発酵させてメタンガスを発生させるメタン発酵槽3、メタン発酵槽3から排出された発酵汚泥を脱水処理する脱水装置(図示省略)、脱水ケーキの堆肥化装置(図示省略)、脱水ろ液の処理装置(図示省略)等を備えている。
【0015】
前記廃棄物Wの前処理装置1は、図1に示す如く、供給された廃棄物Wのかさ比重と含水率を計測する比重計測器4と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物W1から金属類Mを選別回収する金属選別機5と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物W2を破砕処理する破砕機6と、破砕された廃棄物W2を軽量物W2′と重量物W2″に分別処理する風力選別機7とを備えており、比重計測器4により計測されたかさ比重が0.2%未満の廃棄物W3と風力選別機7から排出された軽量物W2′とを廃棄物焼却設備へ搬送すると共に、金属選別機5により金属類Mを選別回収されたかさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物W1と風力選別機7から排出されて金属選別機5により金属類Mを選別回収された重量物W2″とをバイオガス設備へ搬送するように構成されている。
【0016】
尚、図1に於いて、8は一般家庭等から収集された厨芥類や紙類、プラスチック類、金属類等が混ざった雑多な廃棄物Wを貯留する廃棄物ピット、9は廃棄物ピット8内の廃棄物Wを取り出すクレーン、10はクレーン9から廃棄物Wを受け取って一定量の廃棄物Wを比重測定器4へ供給する切出し装置10a付ホッパであり、この切出し装置10aには廃棄物Wの切出し時に廃棄物Wを圧縮しないスクレーパ付ベルトコンベヤが使用されている。
【0017】
前記比重計測器4は、図2に示す如く、切出し装置10a付ホッパ10から供給された廃棄物Wを受け取って下流側へ搬送する駆動プーリ11a、従動プーリ11b、ベルト11c及び駆動装置(図示省略)から成るベルトコンベヤ11と、ベルトコンベヤ11上の廃棄物Wの重量を計測するロードセルから成る計量器12と、ベルトコンベヤ11の上方位置に廃棄物Wの搬送方向に一定間隔毎に配設され、ベルトコンベヤ11上の廃棄物Wとの距離を計測するレーザー式又は超音波式の複数の非接触式距離計13と、ベルトコンベヤ11の上方位置に配設され、ベルトコンベヤ11上の廃棄物Wの含水率を計測する中性子式又はγ線式の非接触式水分計14と、計測結果を記憶・演算するデータ処理装置(図示省略)を備えている。
而して、この比重計測器4によれば、ベルトコンベヤ11のベルト11cの幅、ベルト11c上面と非接触式距離計13との距離、ベルトコンベヤ11の搬送速度が一定の値であるため、非接触式距離計13によりベルトコンベヤ11上の廃棄物Wとの距離を検出することによって、ベルトコンベヤ11上の廃棄物Wの体積を算出することができる。又、計量器12により廃棄物Wの重量を計測しているため、計測した廃棄物Wの重量を算出した廃棄物Wの体積で除算することによって、廃棄物Wのかさ比重を求めることができる。更に、この比重測定器4は、廃棄物Wのかさ比重の他に非接触式水分計14によりベルトコンベヤ11上の廃棄物Wの含水率を計測しているため、ベルトコンベヤ11上の廃棄物Wの内容物を推定することができる。
【0018】
前記金属選別機5は、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物W1と後述する風力選別機7から排出された重量物W2″とから金属類Mを選別回収するものである。この実施の形態では、金属選別機5には、永久磁石を組み込んだドラム5aをケーシング5b内に配設したドラム型磁選機が使用されており、廃棄物W及び重量物W2″の中から鉄等の磁性金属類を選別回収するようになっている。
この金属選別機5には、ドラム型選別機の他にベルトと永久磁石を組み合わせたベルト型磁選機を使用しても良く、或いはドラム型磁選機又はベルト型磁選機とアルミニウム等の非鉄金属類を選別回収する渦電流選別機(図示省略)とを組み合わせて使用するようにしても良い。
【0019】
前記破砕機6は、比重計測器4のベルトコンベヤ11から排出されたかさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物W2を所定の大きさに破砕処理するものである。この実施の形態では、破砕機6には、破砕刃6aを所定のピッチで固定した二本の回転軸6bをケーシング6c内に平行に配設した二軸式破砕機が使用されており、当該破砕機6は風力選別機7の入口側に接続されている。
この破砕機6には、二軸式破砕機の他に一軸式破砕機や回転式破砕機を使用しても良い。又、破砕機6と風力選別機7を別体としても良い。
【0020】
前記風力選別機7は、破砕機6により破砕処理されたかさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物W2を紙類等の軽量物W2′と金属類等の重量物W2″に分別処理するものである。この実施の形態では、風力選別機7には、回転ドラム7a及び送風機7b等から成る回転式風力選別機が使用されている。
この風力選別機7には、回転式風力選別機の他に振動式風力選別機を使用しても良い。
【0021】
次に、上述した廃棄物Wの前処理装置1を用いて廃棄物Wを前処理する場合について説明する。
一般家庭等から収集された廃棄物Wは、先ず廃棄物処理施設内の廃棄物ピット8に貯留される。このとき、廃棄物Wは、厨芥類や紙類、プラスチック類、金属類等が雑多に混ざった状態となっている。
【0022】
次に、廃棄物ピット8内の廃棄物Wは、クレーン9により切出し装置10a付ホッパ10内に投入され、切出し装置10aにより圧縮されない状態で一定時間切り出されて比重計測器4のベルトコンベヤ11上へ供給される。この比重計測器4に於いては、非接触式距離計13によりベルトコンベヤ11上の廃棄物Wとの距離が計測されていると共に、計量器12によりベルトコンベヤ11上の廃棄物Wの重量が計測されており、これらの計測結果からベルトコンベヤ11上の廃棄物Wのかさ比重が算出される。又、非接触式水分計14によりベルトコンベヤ11上の廃棄物Wの含水率が計測される。
【0023】
そして、比重計測器4により算出した廃棄物Wのかさ比重により、例えばかさ比重が0.2未満の廃棄物W3は、プラスチック類や紙類が主に含まれているものと見なし、比重計測器4のベルトコンベヤ11から排出された後、そのままの状態でベルトコンベヤ等の搬送装置(図示省略)により廃棄物焼却設備のストーカ式焼却炉2へ搬送されてここで焼却処理される。
又、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物W1は、重量物としてベルトコンベヤ等の搬送装置(図示省略)により金属選別機5へ搬送され、ここで廃棄物W1中の磁性金属類を選別回収してから、ベルトコンベヤ等の搬送装置(図示省略)によりバイオガス設備のメタン発酵槽3へ搬送されてここで厨芥類等の有機性廃棄物を嫌気性発酵される。
更に、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物W2は、厨芥類、金属類、紙類等が雑多に混入しているものと見なし、比重計測器4のベルトコンベヤ11から破砕機6へ供給されてここで一定の大きさに破砕処理された後、風力選別機7に供給されて廃棄物W2を紙類等の軽量物W2′と金属類等の重量物W2″に分別処理される。風力選別機7から排出された軽量物W2′は、そのままの状態で風力選別用空気を利用した空気輸送やベルトコンベヤ等の搬送装置(図示省略)によりストーカ式焼却炉2へ搬送され、又、風力選別機7から排出された重量物W2″は、ベルトコンベヤ等の搬送装置(図示省略)により金属選別機5へ搬送され、ここで廃棄物W中の磁性金属類を選別回収してから、厨芥類等の有機性廃棄物を多く含む重量物W2″としてベルトコンベヤ等の搬送装置(図示省略)によりメタン発酵槽3へ搬送される。
【0024】
前記廃棄物Wの前処理装置1は、比重計測器4により廃棄物Wのかさ比重と含水率を計測し、この計測結果に基づいて廃棄物Wを金属選別機5、破砕機6、風力選別機7へ夫々供給して選別処理するようにしているため、廃棄物処理施設に搬入された雑多な廃棄物Wを、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物W3及び軽量物W2′とバイオガス設備で処理すべき廃棄物W1及び重量物W2″とに効率的に分離することができ、複数の設備に対応できる前処理を行えることになり、廃棄物Wの処理効率の向上を図れる。
又、廃棄物焼却設備に水分を多く含む厨芥類を投入すると云うことが殆んどなく、焼却炉の燃焼が安定すると共に、高温の燃焼を保持することができ、ダイオキシン類や一酸化炭素等の排出を大幅に抑制することができる。然も、バイオガス設備へも紙類、金属類の投入を大幅に抑制することができ、安定したガス化と発電を行える。
【0025】
図4は本発明の他の方法を実施する廃棄物Wの前処理装置1の概略系統図を示し、当該廃棄物Wの前処理装置1は、一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物Wを焼却処理する廃棄物焼却設備と厨芥類や古紙等の有機性廃棄物を発酵させてメタンガスを発生させるバイオガス設備とを併設した廃棄物処理施設に設置されており、比重計測器4の上流側位置(切出し装置10a付ホッパ10と比重計測器4との間)に廃棄物Wを一定の形に圧縮成形する圧縮装置16を配設し、廃棄物Wを一定の形に圧縮成形してから比重計測器4により廃棄物Wの重量及び体積と含水率を計測するようにしたものである。
【0026】
前記圧縮装置16は、図5に示す如く、比重計測器4のベルトコンベヤ11の上流側位置に配設したベルトコンベヤ16aと、このベルトコンベヤ16aに上方向へ対向状に配設した圧縮ローラ16bとから成り、廃棄物Wをベルトコンベヤ16aで搬送しつつ圧縮ローラ16bにより圧縮して一定の形に圧縮成形するようにしたものである。
尚、この廃棄物Wの前処理装置1は、比重計測器4の上流側位置に圧縮装置16を配設したこと以外は図1に示す廃棄物Wの前処理装置1と全く同一構造に構成されており、図1に示す廃棄物Wの前処理装置1と同じ部位・部材には同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0027】
前記廃棄物Wの前処理装置1は、図1に示す廃棄物Wの前処理装置1と同様の作用効果を奏することができる。特に、この廃棄物Wの前処理装置1は、比重計測器4の上流側位置に廃棄物Wを一定の形に圧縮成形する圧縮装置16を配設しているため、供給された廃棄物Wのかさ比重をより正確に算出することができ、雑多な廃棄物Wを、廃棄物焼却設備で焼却処理すべき廃棄物W3及び軽量物W2′とバイオガス設備で処理すべき廃棄物W1及び重量物W2″とにより効率的に分離することができる。
【0028】
尚、上記の実施の形態に於いては、本発明の廃棄物の前処理方法及び前処理装置を、廃棄物焼却設備とバイオガス設備とを併設した廃棄物処理施設に用いるようにしたが、他の実施の形態に於いては、本発明の廃棄物の前処理方法及び前処理装置を、熱分解ガス化溶融設備とバイオガス設備とを併設した廃棄物処理施設に用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の方法を実施する廃棄物の前処理装置の概略系統図である。
【図2】比重計測器の概略正面図である。
【図3】本発明の廃棄物の前処理方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の方法を実施する廃棄物の前処理装置の概略系統図である。
【図5】図4に示す廃棄物の前処理装置の要部の概略正面図である。
【符号の説明】
【0030】
1は廃棄物の前処理装置、4は比重計測器、5は金属選別機、6は破砕機、7は風力選別機、11はベルトコンベヤ、12は計量器、13は非接触式距離計、14は非接触式水分計、16は圧縮装置、Wは廃棄物、W1は比重が0.2以上で且つ水分が30%以上の廃棄物、W2は比重が0.2以上で且つ水分が30%未満の廃棄物、W2′は軽量物、W2″は重量物、W3は比重が0.2未満の廃棄物、Mは金属類。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された廃棄物の重量及び体積と含水率を計測し、前記重量及び体積に基づいて廃棄物のかさ比重を算出し、かさ比重が0.2未満の廃棄物はそのまま廃棄物焼却設備へ搬送し、又、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物はこれに含まれている金属類を選別回収してからバイオガス設備へ搬送し、更に、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物は破砕処理してから軽量物と重量物に分別処理し、その後軽量物はそのまま廃棄物焼却設備へ搬送すると共に、重量物はこれに含まれている金属類を選別回収してからバイオガス設備へ搬送するようにしたことを特徴とする廃棄物の前処理方法。
【請求項2】
廃棄物を一定の形に圧縮成形してから廃棄物の重量及び体積と含水率を計測し、前記重量及び体積に基づいて廃棄物のかさ比重を算出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物の前処理方法。
【請求項3】
供給された廃棄物のかさ比重と含水率を計測する比重計測器と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物から金属類を選別回収する金属選別機と、かさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%未満の廃棄物を破砕処理する破砕機と、破砕された廃棄物を軽量物と重量物に分別処理する風力選別機とを備えた廃棄物の前処理装置であって、前記前処理装置は、比重計測器により計測されたかさ比重が0.2%未満の廃棄物と風力選別機から排出された軽量物とを廃棄物焼却設備へ搬送すると共に、金属選別機により金属類を選別回収されたかさ比重が0.2以上で且つ含水率が30%以上の廃棄物と風力選別機から排出されて金属選別機により金属類を選別回収された重量物とをバイオガス設備へ搬送するようにしたことを特徴とする廃棄物の前処理装置。
【請求項4】
比重計測器は、廃棄物を受け取るベルトコンベヤと、ベルトコンベヤ上に供給された廃棄物の重量を計測する計量器と、ベルトコンベヤ上の廃棄物との距離を計測する非接触式距離計と、ベルトコンベヤ上の廃棄物の含水率を計測する非接触式水分計とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の廃棄物の前処理装置。
【請求項5】
比重計測器の上流側位置に廃棄物を一定の形に圧縮成形する圧縮装置を配設したことを特徴とする請求項3及び請求項4に記載の廃棄物の前処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−283993(P2006−283993A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100400(P2005−100400)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000133032)株式会社タクマ (308)
【Fターム(参考)】