説明

廃棄物の埋設処分方法および廃棄物の埋設処分装置

【課題】 たとえば放射性物質等を含むような廃棄物等であっても、埋設状況を把握しつつ遠隔操作で確実に埋設することが可能な、廃棄物の埋設処分方法および廃棄物の埋設処分装置を提供する。
【解決手段】 フレーム13には、ウィンチ11、ノズル昇降装置19、ノズル位置調整装置21a、21bおよびセンサ23等が設けられる。ノズル昇降装置19には、それぞれ充填ノズル15が配置される。充填ノズル15は略鉛直方向に下方に向けて設置される。複数の充填ノズル15のそれぞれに対して、ノズル位置調整装置21a、21bおよびセンサ23が設けられる。検知手段であるセンサ23は、フレーム13の下方の所定範囲における、立体的な形状を検知することができる。ノズル位置調整装置21a、21bは、充填ノズル15の下端位置を調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば放射性物質などを含むような廃棄物であっても確実に埋設処分することが可能な廃棄物の埋設処分方法および廃棄物の埋設処分装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば放射性物質などを含むような廃棄物を処分する方法として、地中深くに埋設する方法がある。廃棄物を埋設する際には、人間が近くで埋設作業等を行うことができない場合が多く、この場合、遠隔操作によって埋設処分する必要がある。
【0003】
このような廃棄物の埋設処分方法としては、たとえば、廃棄体を止水性の収容容器内に収容し、廃棄体の周囲に緩衝材を配置した廃棄体パックとし、廃棄体パックを空気搬送システムによって地上施設から地下施設へ搬送し、さらに、処分孔および坑道を埋めもどして埋設する方法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−286451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の埋設処分方法は、処分孔等を確実に埋め戻す際に、廃棄体が確実に埋め戻されたのかどうかを把握することが困難であるという問題がある。したがって、特に、放射性物質等を含む場合には、より確実に埋設処分を行うことができる方法が要求されている。
【0006】
例えば、廃棄物の埋設処分は通常遠隔操作で行われるが、埋設処分時の状態を遠隔操作で確実に検知することは困難であり、熟練等を要する作業である。このように、廃棄物の埋設状況を常に把握しながら、遠隔操作によって確実に廃棄物を埋設する方法が望まれる。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、たとえば放射性物質等を含むような廃棄物等であっても、埋設状況を把握しつつ遠隔操作で確実に埋設することが可能な、廃棄物の埋設処分方法および廃棄物の埋設処分装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、廃棄物の埋設処分方法であって、処分孔内に廃棄物の複数の封入体を所定高さまで積み上げる工程(a)と、対象範囲の3次元的な外形を検知可能な複数の検知手段によって、複数の充填ノズルそれぞれの先端位置および前記封入体同士の隙間を検知する工程(b)と、前記充填ノズルの先端位置を前記隙間位置に合わせる工程(c)と、前記充填ノズルを降下させ、前記隙間に挿入する工程(d)と、前記充填ノズルより充填材を供給する工程(e)と、複数の前記検知手段によって、前記充填ノズルそれぞれに対応する位置の充填材の上端面高さを検知し、それぞれの前記充填ノズルの充填量を調整する工程(f)と、を具備することを特徴とする廃棄物の埋設方法である。
【0009】
前記工程(e)は、前記充填材の供給による充填材の上端面高さの上昇に伴い、前記充填ノズルを上昇させることが望ましい。
【0010】
前記工程(d)は、複数の前記充填ノズルが、前記処分孔内に略均一に分散して配置されることが望ましい。
【0011】
前記工程(c)は、前記充填ノズルを、上下方向にずらして配置された一対の調整装置で保持し、前記一対の調整装置を水平方向に相対的に変位させることで、前記の充填ノズル先端位置を調整してもよい。
【0012】
第1の発明によれば、充填ノズルの先端位置及び封入体同士の隙間の位置を検知手段によって検知するため、充填ノズルを確実に封入体の隙間に挿入することができる。また、検知手段は、充填材の充填高さも検知可能であるため、充填高さ(すなわちその位置の充填材の充填量)に応じて、対応する位置の充填ノズルからの充填材の充填量を調整することができる。このため、充填材の充填高さが処分孔内で均一になり、充填材の中に空隙が生じたり、処分孔内で充填材が流動することによって、封入体が転倒したりすることがない。
【0013】
また、充填材の上端面高さに応じて、充填ノズルの高さを昇降可能であれば、常に一定の高さから充填材を充填することができる。
【0014】
また、充填ノズルが処分孔内に均一に分散して配置されていれば、処分孔内の充填材の充填量をより確実に均一にすることができ、処分孔内の充填材上面高さの制御が容易である。
【0015】
また、充填ノズルの先端位置の調整方法として、上下方向にずらして設置された一対の調整装置により行うことができれば、一対の調整装置の水平方向の相対移動によって、容易かつ確実に充填ノズルの先端位置を変更することができる。このため、例えば充填ノズルの上方の位置をほとんど変位させずに、充填ノズルの先端のみの位置を調整することができる。
【0016】
第2の発明は、処分孔内の廃棄物の埋設処分装置であって、充填材を供給可能な充填材供給手段と、前記充填材供給手段により供給された充填材を前記処分孔内に充填可能な複数の充填ノズルと、複数の前記充填ノズル毎に設けられ、対象範囲の3次元的な外形を検知可能な複数の検知手段と、前記充填ノズルの先端位置を水平方向に調整可能なノズル位置調整手段と、前記充填ノズルを昇降可能な昇降手段と、前記処分孔の上端を塞ぐ上蓋と、前記上蓋に吊下げられ、前記ノズル位置調整手段および前記検知手段を保持するフレームと、を具備し、前記検知手段は、前記フレームに沿って移動可能であることを特徴とする廃棄物の埋設処分装置である。
【0017】
前記ノズル位置調整手段は、前記フレームに上下方向にずらして配置された一対の調整装置を有し、前記一対の調整装置は水平方向に相対的に位置を変位させることが可能であってもよい。
【0018】
前記検知手段により検知された対応する位置の充填材上端面高さに応じて、それぞれの充填ノズルからの充填材の充填量を制御する制御部を有してもよい。
【0019】
第2の発明によれば、充填ノズル毎に設けられ、充填ノズルの先端位置及び封入体同士の隙間の位置を検知する検知手段を有するため、ノズル位置調整手段によってノズル先端位置を調整することができる。このため、充填ノズルを確実に封入体の隙間に挿入することができる。
【0020】
また、ノズル位置調整手段が、上下方向にずらして設置された一対の調整装置を有すれば、一対の調整装置の水平方向の相対移動によって、容易かつ確実に充填ノズルの先端位置を変更することができる。このため、例えば充填ノズルの上方の位置をほとんど変位させずに、充填ノズルの先端のみの位置を調整することができる。
【0021】
また、検知手段は、充填材の充填高さも検知可能であるため、充填材の充填量を制御する制御部を有すれば、制御部によって、充填高さに応じて、対応する位置の充填ノズルからの充填材の充填量を調整することができる。このため、充填材の充填高さが処分孔内で均一になり、充填材の中に空隙が生じたり、一方から充填材が流動することによって、封入体が転倒したりすることがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、たとえば放射性物質等を含むような廃棄物等であっても、埋設状況を把握しつつ遠隔操作で確実に埋設することが可能な、廃棄物の埋設処分方法および廃棄物の埋設処分装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】埋設処分装置1を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】図1(a)のB部拡大図であり、センサ23と、ノズル位置調整装置21a、21bおよび封入体5を示す図。
【図3】ノズル位置調整装置21a、21bの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C線断面図。
【図4】ノズル位置調整装置21a、21bによって、充填ノズル15の先端位置を調整する状態を示す図。
【図5】各充填ノズル15を封入体5の隙間39に挿入した状態を示す図。
【図6】処分孔3に対し、各充填ノズル15からの充填材の充填順序を示す図。
【図7】処分孔3に対し、各充填ノズル15からモルタル41の充填を開始した状態を示す図。
【図8】処分孔3に対し、モルタル41の充填を完了した状態を示す図
【図9】埋設処分装置50の正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、埋設処分装置1を示す図であり、図1(a)は正面断面図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。埋設処分装置1は、主に、上蓋7、ウィンチ11、フレーム13、充填ノズル15、ノズル昇降装置19、ノズル位置調整装置21a、21b、センサ23等から構成される。
【0025】
上蓋7は、廃棄物が配置される処分孔3上に設置される。すなわち、上蓋7によって、処分孔3は略密閉される。上蓋7は、図示を省略したレール等の走行手段によって、水平方向に移動が可能である。
【0026】
上蓋7からはワイヤ9が設けられ、ワイヤ9の他方の先端にはウィンチ11が設けられる。ウィンチ11はフレーム13に設置されている。すなわち、フレーム13は、ウィンチ11によって上下方向に昇降動作が可能である。
【0027】
フレーム13には、ウィンチ11のほか、ノズル昇降装置19、ノズル位置調整装置21a、21bおよびセンサ23等が設けられる。ノズル昇降装置19、ノズル位置調整装置21a、21bおよびセンサ23等は、図1(b)に示すように、フレーム13に対して略均一に分散して複数設けられる。なお、フレーム13の形状は、図1(b)に示すように、処分孔3と略同形状であり、例えば円筒形の処分孔であれば、円形のフレーム13が設けられることが望ましい。
【0028】
ノズル昇降装置19には、それぞれ充填ノズル15が配置される。充填ノズル15は略鉛直方向に下方に向けて設置される。ノズル昇降装置19は充填ノズル15の先端位置を昇降動作させるためのものである。充填ノズル15は、まっすぐに封入体に挿入するためには、ある程度の強度のある例えば鋼管が使用される。
【0029】
一方、充填ノズル15の昇降動作に伴う、充填ノズル15の上方における長さの調整方法としては、例えば、充填ノズル15の上方を可撓管として、リールに巻き付けてもよく、または複数のスイベルジョイントによって鋼管を連結させて、充填ノズル15上方に鋼管の折り畳み部を設けてもよく、さらには、充填ノズル15全体をスイベルジョイントおよび鋼管によって折り畳み可能としてもよい。いずれにしても、充填ノズル15はフレーム13上方に所定量の高さまでのみ突出し、かつ、フレーム13下方に対して昇降(伸縮)動作が可能であればよい。
【0030】
複数の充填ノズル15のそれぞれに対して、ノズル位置調整装置21a、21bおよびセンサ23が設けられる。検知手段であるセンサ23は、フレーム13の下方の所定範囲における、立体的な形状を検知することができる。センサ23としては、たとえばレーザーセンサ等が使用できる。
【0031】
ノズル位置調整装置21a、21bは、充填ノズル15の下端位置を調整可能である。なお、ノズル位置調整装置21a、21b等の構成については詳細を後述する。
【0032】
次に、埋設処分装置1の設置状態を説明する。廃棄物が封入された封入体5は、地面に設けられた立抗状の処分孔3内に多数配置される。封入体5は例えばドラム缶であり、横方向に倒した状態で積み上げられる。なお、封入体5の設置に対しては、図示を省略した架台などを利用して積み上げられる。なお、より高い封入体の設置効率を得るため、封入体5同士はわずかな隙間のみをあけて配置される。たとえば、封入体5の吊り具が入る隙間のみをあけて密に充填される。したがって隣接する封入体5同士の隙間は極めて狭く、150mm程度である。
【0033】
処分孔3の外部には、充填材供給ポンプ17が設置される。充填材供給ポンプ17は各充填ノズル15に充填材を供給するためのものである。充填材供給ポンプ17から送られた充填材は、上蓋7を貫通するパイプを通り、フレーム13に設けられ、図示を省略したディストリビュータによって各充填ノズル15に分配される。充填材は充填ノズル15の先端より吐出される。
【0034】
次に、センサ23と充填ノズル15および封入体5との位置関係について説明する。図2は、図1(a)のB部拡大図である。前述の通り、充填ノズル15は上下方向にずれて配置された一対のノズル位置調整装置21a、21bにより保持される。ノズル位置調整装置21a、21bはフレーム13の上下に設けられる。フレーム13の下方には、フレーム13に沿って移動可能なセンサ23が設置される。たとえばフレーム13はH型断面を有し、下方のフランジ部に沿ってセンサ23が移動する。
【0035】
センサ23は、下方の所定範囲の3次元的な立体形状を検知する。センサ23の検知範囲には、充填ノズル15の先端部および当該充填ノズル15下方の封入体5の外形が含まれる。すなわち、センサ23によって、充填ノズル15の先端位置(形状)と封入体5により形成される隙間39の位置(形状)が検知可能である。なお、前述の通り、センサ23はフレーム13に対して移動可能であるため、センサ23は、当該充填ノズル15の先端および隙間38の位置が確実に検知できるように、自らの位置を調整可能である。また、センサ23の検知高さは十分にあるため、例えばフレーム13に設置された位置からでも、略まっすぐな下方位置であれば、隙間39から処分孔3の底面付近までの形状を検知可能である。
【0036】
次に、ノズル位置調整手段であるノズル位置調整装置21a、21bの構成について説明する。図3はノズル位置調整装置21a、21bを示す図で、図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)のC−C線断面図である。
【0037】
ノズル位置調整装置21aは、フレーム13の上部に設置される。ノズル位置調整装置21aは、主に、X方向走行機構25、Y方向走行機構27、ブラケット29等から構成される。
【0038】
一対のブラケット29はフレーム13に固定される。ブラケット29は例えばコの字状断面形状の部材であり、図3(b)に示すように、フレーム13に対して外方(例えばフレーム13が円形であれば、フレーム13の半径方向外方)に向けて、アーム状に所定の間隔をあけて対向するように設けられる。
【0039】
一対のブラケット29にまたがるように、Y方向走行機構27が配置される。Y方向走行機構27は一対のガイド32を有し、ガイド32が一対のブラケット29間に配置される。ガイド32は例えばコの字状断面形状の部材である。Y方向走行機構27の4隅の近傍にはローラ31が設けられる。ローラ31はブラケット39に嵌るように配置される。このため、Y方向走行機構27はブラケット29に沿って移動可能である。すなわち、Y方向走行機構27はフレーム13の内外方向(図3(b)矢印F方向)に移動可能である。
【0040】
Y方向走行機構27上には、X方向走行機構25が設置される。X方向走行機構25の4隅の近傍にはローラ33が設けられる。ローラ33は、Y方向走行機構27の一対のガイド32にはまり込むように設置される。このため、X方向走行機構25は、Y方向走行機構27に対して走行可能である。すなわち、X方向走行機構25は、フレーム13に沿って(図3中矢印D方向)、Y方向走行機構27の移動方向とは略垂直な方向に移動可能である。
【0041】
X方向走行機構25は、各ローラ33等を接続し、Y方向走行機構27のガイド32をまたぐように設けられる一対のアーム34を有する。アーム34は、Y方向走行機構27よりも突出して設けられ、先端に押さえローラ35がそれぞれ設けられる。また、X方向走行機構25の外方には、アーム35と同様に突出した一対のアーム36が設けられる。アーム36の先端にはそれぞれ一対の押さえローラ37が設けられる。
【0042】
ここで、充填ノズル15は、充填材が流れる管体の両端部に羽部16を有する。羽部26は充填ノズル25の長手方向に沿って設けられた板状部材である。押さえローラ35は、羽部16を含む充填ノズル15全体を両側より挟み込むように配置される。一方、一対の押さえローラ37は、羽部16を両面から挟みこむように配置される。すなわち、押さえローラ35、37によって、充填ノズル15は、X方向走行機構25およびY方向走行機構27のそれぞれの移動方向対してぶれないように押さえられる。なお、この状態であっても充填ノズル15は軸方向(図3(a)矢印E方向)には移動が可能であるため、前述のように、ノズル昇降装置19によって、充填ノズル15は走行動作が可能である。
【0043】
ノズル位置調整装置21aの下方にはノズル位置調整装置21bが設けられる。ノズル位置調整装置21bの構成は、ノズル位置調整装置21aと同様であるため、説明を省略する。
【0044】
次に、ノズル位置調整装置21a、21bの動作について説明する。図4は、ノズル位置調整装置21a、21b、充填ノズル15および封入体5の位置関係を示した模式図である。図4(a)に示すように、充填ノズル15の先端が、封入体5の隙間39の位置とずれている場合には、まっすぐに充填ノズル15を降下させると、充填ノズル15の先端が封入体と干渉する。
【0045】
このような場合には、図4(b)に示すように、ノズル位置調整装置21a、21bそれぞれを相対的に変位させることで、充填ノズル15の先端位置を調整することができる。例えば、ノズル位置調整装置21aにより充填ノズル15をG方向に移動させ、ノズル位置調整装置21bにより充填ノズル15をH方向に移動させれば、充填ノズル15の先端位置は、隙間39位置(I方向)へ移動する。なお、図4(b)では、ノズル位置調整装置21a、21bそれぞれを同一軸方向に移動させているが、X方向走行機構25およびY方向走行機構27の移動量を組み合わせることで、水平方向のいかなる方向に対しても、充填ノズル15の先端位置を調整可能である。
【0046】
次に、埋設処分装置1による廃棄物の埋設処分工程を説明する。図5〜図8は、埋設処分工程を示す図である。まず、図5に示すように、ウィンチ11を作動させ、フレーム13自体を下降させる(図中矢印J方向)。また、各充填ノズル15の先端位置および隙間39位置をセンサ23により検知し、充填ノズル15を隙間39に挿入可能なように、ノズル位置調整装置21a、21bにより充填ノズル15位置を調整する。
【0047】
さらに、ノズル昇降装置19によって、全ての充填ノズル15を封入体5の隙間39に挿入する。なお、この状態においては、充填ノズル15の先端が処分孔3の底面近傍まで来るように挿入される。さらに、充填ノズル15を挿入した隙間39から、処分孔3の底面近傍を検知できるように、センサ23の位置を調整する。
【0048】
次に、充填材供給ポンプ17により、各充填ノズル15に充填材であるモルタルを供給する。なお、充填材の分配方法としては、全てのノズルに絞り弁を設けて、各ノズル毎に弁の絞り量により供給量を制御してもよく、または、各ノズルに対して開閉弁を設け、開閉弁の開閉動作をノズル毎に順次行ってもよい。
【0049】
図6は、充填ノズル15の配置と充填順序(開閉弁開閉動作順序)の一例を示す図である。たとえば、充填ノズル15aから、隣接する充填ノズル15b→15c→・・・と順に開閉弁を開けて充填材を所定時間(所定量)充填した後、当該ノズルの開閉弁を閉じて、次のノズルの開閉弁を開放して順次充填材を充填してもよい。この場合、ノズル毎の充填量の調整は、例えば弁の開放時間をノズル毎に調整することで行うことができる。なお、開閉弁は必ずしもノズル1つずつ開ける必要はなく、複数個ずつ順次開閉してもよい。
【0050】
図7は、モルタル41の充填を開始した状態を示す図である。前述の通り、各充填ノズル15からモルタル41を処分孔3内に充填する。この際、センサ23によって、充填ノズル15下方のモルタル41の充填高さ位置を検知する。外部に設けられた図示を省略した制御部は、検知された充填高さに応じて、当該位置の充填ノズル15を上昇動作させ(図中矢印L方向)、常に充填ノズル15の先端位置が、モルタル41の上面高さに対して一定となるように調整される。
【0051】
また、センサ23によって、例えばモルタル41の充填高さが周囲の充填高さに対して低い(図中K部)と検知されると、制御部は、当該位置に対応する充填ノズル15の充填量を他の充填ノズル15の充填量に対して増量する。たとえば、図6のように順次充填するノズルを変更する場合には、当該充填ノズルにおける充填時間を他の充填ノズルの充填時間に対して増加させる。以上により、モルタル41の充填高さは、処分孔3内で略均一に保たれた状態で、充填作業が進行する。
【0052】
以上により、封入体5が完全にモルタル41によって埋設されると、図8に示すように、ウィンチ11によってフレーム13を上蓋7方向に上昇させる(図中矢印M方向)。なお、この際に、充填ノズル15も完全に上昇させる。したがって、フレーム13およびこれに設けられる各種装置等が上蓋7の側壁内に収められる。したがって、上蓋7を水平方向に移動させることができる。上蓋7を水平方向に移動させることで、隣接する他の処分孔について、同様の作業を行うことができる。以上で、処分孔3内に配置された封入体5の埋設処分作業が完了する。
【0053】
なお、埋設処分作業完了前において、充填ノズル15の清掃等が必要である場合も同様に、上蓋7内にフレーム13等を退避させ、上蓋7を処分孔3側方に移動させたのち、充填ノズル15のメンテナンスを行えばよい。
【0054】
以上説明したように、本発明にかかる埋設処分装置1によれば、遠隔操作で確実に廃棄物の埋設処分を行うことができる。
【0055】
また、充填ノズル15の先端位置及び封入体5同士の隙間39の位置をセンサ23によって検知することが可能であるため、充填ノズル15を確実に封入体5の隙間39に挿入することができる。また、上下方向にずらして設置された一対のノズル位置調整装置21a、21bにより、容易かつ確実に充填ノズル15の先端位置を変更することができる。すなわち、ノズル位置調整装置21a、21bをわずかなに相対移動させるのみで、確実に充填ノズル15の先端の位置を調整することができる。
【0056】
また、センサ23は、モルタル41の充填高さも検知可能であるため、モルタル41の充填高さに応じて、充填ノズル15の高さを昇降可能である。したがって、常に一定の高さからモルタル41を充填することができる。また、制御部によって、モルタル41の充填高さに応じて、対応する位置の充填ノズル15からのモルタル41の充填量を調整することができる。このため、モルタル41の充填高さが処分孔3内で均一になり、モルタル41の中に空隙が生じたり、処分孔内で一方からモルタル41が流動することによって、封入体5が転倒したりすることがない。
【0057】
また、上蓋7が水平方向に移動可能であり、フレーム13およびこれに設置される各装置が上蓋7の側壁高さ内に収められた状態とすることで、容易に埋設処分装置1の設置および撤去、さらに充填ノズル15等のメンテナンスを行うことができる。
【0058】
次に、第2の実施の形態にかかる埋設処分装置50について説明する。なお、以下の実施の形態において、図1〜図8に示す埋設処分装置1と同一の機能を果たす構成要素には、図1〜図8と同一番号を付し、重複した説明を避ける。埋設処分装置50は、埋設処分装置1に対して、ウィンチ11、ノズル昇降装置19等の設置位置が異なる。
【0059】
埋設処分装置50の上蓋51上には、ウィンチ11及びノズル昇降装置19が設置される。したがって、各充填ノズル15は上蓋51を貫通して設けられる。
【0060】
ウィンチ11にはワイヤ9が接合され、ワイヤ9の他端はフレーム13に接合される。したがって、フレーム13はウィンチ11によって昇降動作が可能である。
【0061】
上蓋51上には、図示を省略したディストリビュータが設けられ、充填材供給ポンプ17から供給された充填材は、各充填ノズル15に分配される。
【0062】
第2の実施の形態にかかる埋設処分装置50によれば、埋設処分装置1と同様の効果を得ることができる。また、ウィンチ11およびノズル昇降装置19が上蓋51上に設けられる。すなわち、ウィンチ11、ノズル昇降装置19および充填ノズル15の折り畳み部等がフレーム13上から排除される。したがって、フレーム13を上蓋51方向に退避させた際、フレーム13およびこれに設置される装置等の全厚みが、よりコンパクトになり、上蓋51を水平方向に移動させるための上蓋51の側面高さを小さくすることができる。
【0063】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
たとえば、ノズル昇降装置19、ノズル調整装置21a、21b、センサ23、ウィンチ11等の動作は、センサ23等からの画像情報等に基づいて、人間が動作させてもよく、または、制御部によって自動で制御されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、50………埋設処分装置
3………処分孔
5………封入体
7………上蓋
9………ワイヤ
11………ウィンチ
13………フレーム
15………充填ノズル
16………羽部
17………充填材供給ポンプ
19………ノズル昇降装置
21a、21b………ノズル位置調整装置
23………センサ
25………X方向走行装置
27………Y方向走行装置
32………ガイド
31、33………ローラ
34、36………アーム
35、37………押さえローラ
39………隙間
41………モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の埋設処分方法であって、
処分孔内に廃棄物の複数の封入体を所定高さまで積み上げる工程(a)と、
対象範囲の3次元的な外形を検知可能な複数の検知手段によって、複数の充填ノズルそれぞれの先端位置および前記封入体同士の隙間を検知する工程(b)と、
前記充填ノズルの先端位置を前記隙間位置に合わせる工程(c)と、
前記充填ノズルを降下させ、前記隙間に挿入する工程(d)と、
前記充填ノズルより充填材を供給する工程(e)と、
複数の前記検知手段によって、前記充填ノズルそれぞれに対応する位置の充填材の上端面高さを検知し、それぞれの前記充填ノズルの充填量を調整する工程(f)と、
を具備することを特徴とする廃棄物の埋設方法。
【請求項2】
前記工程(e)は、前記充填材の供給による充填材の上端面高さの上昇に伴い、前記充填ノズルを上昇させることを特徴とする請求項1記載の廃棄物の埋設方法。
【請求項3】
前記工程(d)は、複数の前記充填ノズルが、前記処分孔内に略均一に分散して配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の廃棄物の埋設方法。
【請求項4】
前記工程(c)は、前記充填ノズルを、上下方向にずらして配置された一対の調整装置で保持し、前記一対の調整装置を水平方向に相対的に変位させることで、前記の充填ノズル先端位置を調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の廃棄物の埋設方法。
【請求項5】
処分孔内の廃棄物の埋設処分装置であって、
充填材を供給可能な充填材供給手段と、
前記充填材供給手段により供給された充填材を前記処分孔内に充填可能な複数の充填ノズルと、
複数の前記充填ノズル毎に設けられ、対象範囲の3次元的な外形を検知可能な複数の検知手段と、
前記充填ノズルの先端位置を水平方向に調整可能なノズル位置調整手段と、
前記充填ノズルを昇降可能な昇降手段と、
前記処分孔の上端を塞ぐ上蓋と、
前記上蓋に吊下げられ、前記ノズル位置調整手段および前記検知手段を保持するフレームと、
を具備し、
前記検知手段は、前記フレームに沿って移動可能であることを特徴とする廃棄物の埋設処分装置。
【請求項6】
前記ノズル位置調整手段は、前記フレームに上下方向にずらして配置された一対の調整装置を有し、前記一対の調整装置は水平方向に相対的に位置を変位させることが可能であることを特徴とする請求項5記載の廃棄物の埋設処分装置。
【請求項7】
前記検知手段により検知された対応する位置の充填材上端面高さに応じて、それぞれの充填ノズルからの充填材の充填量を制御する制御部を有することを特徴とする請求項5および請求項6に記載の廃棄物の埋設処分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−169464(P2010−169464A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10748(P2009−10748)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】