説明

廃棄物選別処理装置

【課題】本発明は、多様な固形物が混在する廃棄物に対して確実に可燃物の割合を最終処分場に持ち込むことが可能なレベルまで低下させることができる廃棄物選別処理装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】風力選別機構6は、移送面に篩目が形成された振動フィーダ33を備え、振動フィーダ33の排出部331の下方には上下に配列された一対のノズル部37及び38を備えている。ノズル部37及び38の吹き出し方向は上下方向に調整可能で、ノズル部37の吹き出し方向T1に対してノズル部38の吹き出し方向を上向きに設定して吹き出し方向T2を交差するように設定する。振動フィーダ33に投入された廃棄物は振動を与えながら粒子状の固形物を落下させて選別し、排出部331から落下する廃棄物にはノズル部37及び38からの送風により重量物及び軽量物に選別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な固形物が混在する廃棄物を選別して最終処分する量を減量するための廃棄物選別処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の解体現場や建設現場では、家屋やビル等を一挙に解体すると、可燃物と不燃物が混在する混合廃棄物が多量に発生する。混合廃棄物には、コンクリート塊、残土、廃木材、紙くず、廃プラスチック、廃ボード、金属くず、陶器くず等が含まれており、多種類の材質のものが様々な大きさ及び形状で混在している。
【0003】
混合廃棄物をそのままの状態で最終処分することは処分コストがかかることから、材質や大きさ等に応じて選別して再利用することが行われている。例えば、特許文献1では、建設廃棄物を通過廃棄物及び残留廃棄物に粗選別処理する粗選別機構、通過廃棄物を含水率17%以下となるまで乾燥させる乾燥機構、乾燥廃棄物から金属片等を回収する磁力選別機、乾燥廃棄物を比重差により重量物(小石、砂等)及び軽量物に選別する比重選別機構、比重選別機構からの排気を処理する集塵機及びサイクロン、軽量物を通過軽量物(残土等)及び残留軽量物(木片、紙片等)に細選別処理する細選別機構を備えた廃棄物選別処理システムが記載されている。
【0004】
廃棄物の選別機構としては、風力による選別処理が用いられており、例えば、特許文献2では、ブロアによりノズルから吹き出した空気流の中に廃棄物を落下させて重量別に選別し、空気流をブロアで吸い込みノズルから噴き出すように還流させるようにした点が記載されている。また、特許文献3では、混合廃棄物を振動コンベヤにより移送し、振動コンベヤの落下口の下方に複数段の送風噴出口を配置して振動コンベヤから落下する廃棄物を吹き飛ばして選別するようにした風力選別機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−315000号公報
【特許文献2】特公昭57−48274号公報
【特許文献3】特開2007−175683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような多様な固形物が混在する廃棄物を処分する場合、安定型最終処分場で最終処分するためには廃棄物から可燃物を取り除く必要がある。可燃物が混入した状態で廃棄物を埋め立てると可燃物が腐敗してガスが発生するといった問題があることから、最終処分場への廃棄物の搬入の際に廃棄物に含まれる可燃物は取り除いて別途焼却処分し、不燃物を最終処分場に持ち込むようにすることが要請されている。そのため、最終処分場に搬入する廃棄物に含まれる可燃物の割合には明確な基準が定められており、この基準を超える可燃物を含む廃棄物は最終処分場に持ち込むことができなくなる。
【0007】
そのため、上述した特許文献では廃棄物に対して風力による可燃物の選別処理が行われているが、種々雑多な廃棄物に対して確実に可燃物の割合を基準以下に設定することは困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、多様な固形物が混在する廃棄物に対して確実に可燃物の割合を最終処分場に持ち込むことが可能なレベルまで低下させることができる廃棄物選別処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る廃棄物選別処理装置は、所定の大きさの篩目が形成された移送面を有するとともに移送面を振動させながら固形物が混在する廃棄物を移送して篩目から粒子状の固形物を落下させて選別する振動移送機構と、前記振動移送機構の排出部の下方に上下に配置されて前記廃棄物の落下方向を横切る方向に空気を吹き出す複数のノズル部及びノズル部に空気を供給する送風源を備えた送風機構とを備え、前記送風機構は、前記ノズル部の吹き出し方向を上下に回動可能に調整する風向調整手段を備えており、下方に配置された前記ノズル部の吹き出し方向を上方に配置された前記ノズル部の吹き出し方向と交差するように上向きに設定して落下する前記廃棄物を風力により重量物及び軽量物に選別することを特徴とする。さらに、前記送風機構は、各ノズル部の送風量を調整する風量調整手段を備えていることを特徴とする。さらに、前記送風機構は、前記送風源として前記ノズル部に送風ダクトを介して空気を供給する排気ブロアを備えており、排気ブロアの吸入口に接続された吸気ダクトの開口部を前記ノズル部に対向配置して前記ノズル部から吹き出された空気が開口部に回収されるように気流が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記の構成を備えることで、複数のノズル部の吹き出し方向を個別に上下に回動可能に調整する風向調整手段を備えているので、投入される廃棄物の特性に応じて各ノズル部の吹き出し方向を上下に回動して重量物である不燃物及び軽量物である可燃物が確実に選別されるように調整することができる。したがって、多様な固形物が混在する廃棄物が投入された場合でも各廃棄物の特性に応じてきめ細かく各ノズル部の風向を調整して廃棄物毎に不燃物及び可燃物が正確に選別できるように設定することが可能となる。
【0011】
そして、下方に配置されたノズル部の吹き出し方向を上方に配置されたノズル部の吹き出し方向と交差するように上向きに設定することで、交差する2つの吹き出し方向からの送風により廃棄物から軽量物である可燃物を風力により確実に選別することができる。
【0012】
また、振動移送機構により予め粒子状の固形物を選別した後風力による選別処理を行うので、粒子状の固形物が送風により飛散することを防止することができる。
【0013】
また、各ノズル部の送風量を調整する風量調整手段を備えることで、各ノズル部から吹き出す風向及び風量を調整して廃棄物の不燃物及び可燃物を選別するのに最適な送風を行うように設定することができる。
【0014】
また、送風源である排気ブロアの吸入口に接続された吸気ダクトの開口部をノズル部に対向配置してノズル部から吹き出された空気が開口部に回収されるように気流を形成することで、排気ブロアの吸気動作を利用してノズル部から吹き出して選別処理に用いた空気を回収し、気流に乗って飛んでいるちりやごみも回収して周囲への飛散を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施形態を備えたシステム全体の処理工程を示す概略図である。
【図2】粗選別機構に関する正面図及びA−A断面図である。
【図3】磁力選別機に関する正面図及びS方向から見た側面図である。
【図4】風力選別機構に関する正面図及び側面図である。
【図5】振動フィーダに関する正面図及び底面図である。
【図6】ノズル部に関する斜視図である。
【図7】風力選別機構の選別処理に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態を備えた廃棄物選別処理システム全体の処理工程を示す概略図である。図1に示す廃棄物選別処理システムでは、まず、持ち込まれた廃棄物Wが搬送コンベヤ1により搬送されて粗選別機構2に投入される。粗選別機構2では、投入された廃棄物Wが所定の大きさの篩目により通過廃棄物W1及びW2が落下して粗選別処理され残留廃棄物W3が次の手選別処理のベルトコンベヤ3に移送される。
【0018】
手選別処理では、ベルトコンベヤ3で搬送される残留廃棄物W3に対して作業者Mがペットボトル、空き缶、プラスチック片、金属片といったものを選別回収する。そして、手選別処理された後の残留廃棄物W4が次の磁力選別処理のベルトコンベヤ4に移送される。ベルトコンベヤ4の搬送路の上方には磁力選別機5が設置されており、搬送される残留廃棄物W4から金属片等を磁力により吸着して回収する。磁力選別処理された後の残留廃棄物W5は次の風力選別機構6に移送される。風力選別機構6では、後述するように、投入される残留廃棄物W5を落下させながら送風して重量物である不燃物及び軽量物である可燃物に選別する。この例では、風力選別機構6が本発明に係る廃棄物選別処理装置に相当する。
【0019】
図2は、粗選別機構2に関する正面図(図2(a))及びA−A断面図(図2(b))を示している。粗選別機構2は、円筒形状の粗選別筒部10を備えており、粗選別筒部10の全周面には金属線材からなる網が取り付けられており、網目の大きさは40mmに設定されている。
【0020】
粗選別筒部10は、支持台11に傾斜して取り付けられた支持フレーム12に回動可能に設置されている。支持フレーム12には、粗選別筒部10の一方の端部の周縁に設けられたレール部10aに対向して一対の回転ローラ14aが設けられており、他方の端部の周縁に設けられたレール部10bに対向して一対の回転ローラ14bが設けられている。そして、一対の各回転ローラの間に粗選別筒部10が挟持されるように配設され、一方の回転ローラ14a及び14bがそれぞれモータ13a及び13bにより回転駆動されることにより、回転ローラに当接するレール部10a及び10bが同期して回転して粗選別筒部10の回転動作が行われる。
【0021】
支持フレーム12は、粗選別筒部10の一方の端部の開口部が斜め上方を向くように傾斜しており、その開口部には廃棄物Wを投入するためのホッパ15が設けられている。また、粗選別筒部10の両側に沿って下半分を覆うように一対のガイド板16a及び16bが設置されており、ガイド板16a及び16bが下方に延設されて排出口17a及び17bが形成されている。粗選別筒部10の他方の端部の開口部には、排出ガイド18が延設されている。
【0022】
粗選別機構2は、粗選別筒部10を回転させながらホッパ15から廃棄物Wを投入すると、粗選別筒部10が傾斜して設置されているためその内部を廃棄物Wが自重により移動するようになる。粗選別筒部10には全周面に網が取り付けられているため、内部を移動する間に網目より小さい廃棄物W1及びW2は、網目を通過して落下するようになる。そして、粗選別筒部10が回転することで、重なり合った廃棄物がバラけて確実に篩い分けられるようになる。
【0023】
網目を通過することなく粗選別筒部10内に残留した廃棄物W3は、粗選別筒部10の他方の端部の開口部から排出され排出ガイド18に案内されてベルトコンベヤ3上に落下し、次の手選別処理工程に搬送されていく。
【0024】
図3は、磁力選別機5に関する正面図(図3(a))及びS方向から見た側面図(図3(b))を示している。磁力選別機5は、支持フレーム20の下面にプーリ21a及び21bが回動可能に取り付けられており、プーリ21a及び21bには無端ベルト22が張架されている。そして、プーリ21a及び21bの間には電磁石装置23が設置固定されている。支持フレーム20の上面には取付フレーム26が配設されており、取付フレーム26に設置されたモータ25とプーリ21aとが駆動ベルト24により接続されている。また、支持フレーム20は、四隅を吊下げワイヤ27により残留廃棄物W4を搬送するベルトコンベヤ4に対向する位置に吊下げられている。
【0025】
電磁石装置23から磁力を発生させながらモータ25を回転駆動すると駆動ベルト24を介してプーリ21aが回転して無端ベルト22が図3(b)に示す矢印方向に回動するようになる。そのため発生した磁力により吸引された残留廃棄物W4中の金属片が無端ベルト22の表面に吸着されて無端ベルト22とともに移動するが、プーリ21bの近傍まで金属片が到達すると、電磁石装置23の磁力が弱まるため金属片は無端ベルト22から離脱して容器28内に落下するようになる。こうして残留廃棄物W4中の金属片が選別除去される。
【0026】
図4は、風力選別機構6に関する正面図(図4(a))及び側面図(図4(b))である。風力選別機構6は、選別処理を行う箱状の建物30が設置されており、建物30内にはほぼ中央部に仕切り板31が立設して2つの区域に画定されている。仕切り板31の上部には可動板32が上下動可能に取り付けられている。
【0027】
仕切り板31で画定された一方の区域の上方には、建物30に形成された開口部30aにベルトコンベヤ4の下流側端部が挿入されており、ベルトコンベヤ4から落下する残留廃棄物W5が投入されるように振動フィーダ33が取り付けられている。
【0028】
図5は、振動フィーダ33に関する正面図(図5(a))及び底面図(図5(b))である。振動フィーダ33は、ベルトコンベヤ4から残留廃棄物W5が投入される平面視矩形状のホッパ部330を備えており、ホッパ部330の3つの辺部は枠状に形成されて廃棄物が不用意に落下しないようにされ、残りの1つの辺部が枠なしで廃棄物が落下する排出部331とされている。
【0029】
ホッパ部330の底面には枠状の取付部332が下方に突出するように固定されている。取付部332には、排出部331とは反対側の側部に一対のバイブレータ333が取付固定されている。また、ホッパ部330の外周の4箇所には吊り下げ用の係止部材334が固定されており、係止部材334には支持枠体335の下端部が係止されている。そして、支持枠体335は、緩衝用コイルバネ336を介して支持フック337に取り付けられている。ホッパ部330の底面は、投入された廃棄物の移送面となり、排出部331から所定間隔を空けて小径の篩目が多数形成されて篩部338になっている。
【0030】
振動フィーダ33は、排出部331が最も低くなるようにホッパ部330を傾斜して吊り下げるように設定されており、バイブレータ333が上下方向の振動動作を発生させることで振動フィーダ33全体が上下方向に微振動するようになる。
【0031】
ホッパ部330に投入された残留廃棄物W5は、ホッパ部330全体の振動動作により傾斜方向に振動しながら移動して排出部331から落下するようになる。そして、残留廃棄物W5に振動を与えることで、紙片やプラスチックシート等が密着した状態の廃棄物が分離してバラけるようになり、廃棄物に付着していた砂、ガラス片及びプラスチック片等の粒子状の廃棄物も分離して篩部338の貫通孔を通過して下方に落下するようになる。
【0032】
建物30の外部には、送風源である排気ブロア34が設置されており、排気ブロア34の排気側の排出口には送風ダクト35が接続され、吸気側の吸入口には吸気ダクト36が接続されている。送風ダクト35は、振動フィーダ33に対応する位置まで延設されて上下2つに分岐する分岐管35a及び35bに接続している。分岐管35a及び35bの先端部は、建物30の壁面を貫通してそれぞれノズル部37及び38が接続されている。また、分岐管35a及び35bには、それぞれ送風量を調整するための調整弁35c及び35dが取り付けられている。
【0033】
ノズル部37及び38は、振動フィーダ33の排出部331の下方に上下2段に配列して設けられている。図6は、ノズル部に関する斜視図である。上方のノズル部37は、分岐管35aに接続する支持筒部37aを備えており、支持筒部37aの外周には密着した状態で回動可能に可動筒部37bが取り付けられている。可動筒部37bには、長手方向に沿って吹き出し部37cが外方に向かって突出形成されている。支持筒部37aの外周には長手方向に沿って所定幅の開口が形成されており、形成された開口に吹き出し部37cが一致した状態に設定されることで分岐管35aから支持筒部37a内部に送入された空気が吹き出し部37cから吹き出すようになる。可動筒部37bを回動させて吹き出し部37cを上下動させることで、吹き出し部37cから吹き出す送風方向を調整することができる。吹き出し部37cは、排出部331のほぼ真下になる位置に配置され、その吹き出し口の長手方向の幅は、排出部331の幅よりも広くなるように設定されている。
【0034】
下方のノズル部38は、分岐管35bに接続する支持筒部38aを備えており、支持筒部38aの外周には密着した状態で回動可能に可動筒部38bが取り付けられている。可動筒部38bには、長手方向に沿って吹き出し部38cが外方に向かって突出形成されている。そして、ノズル部37と同様に、支持筒部38aの外周に形成された開口に吹き出し部38cが一致した状態に設定されて分岐管35aから支持筒部38a内部に送入された空気が吹き出し部38cから吹き出すようになる。また、ノズル部37と同様に、可動筒部38bを回動させて吹き出し部38cから吹き出す送風方向を調整することができる。吹き出し部38cは、吹き出し部37cのほぼ真下になる位置に平行に配置され、その吹き出し口の長手方向の幅は、吹き出し部37cの吹き出し口の幅とほぼ一致するように設定されている。
【0035】
吸気ダクト36は、建物30の天井部分に延設されて取り付けられており、その先端部は建物30の内部と連通する開口部36aとなっている。開口部36aは、仕切り板31により画定された他方の区域に開口しており、開口部36aを囲むようにスクリーン部39が設置されている。スクリーン部39は、メッシュシートを張設したシート枠39aが複数枚取り付けて構成されており、各シート枠39aは取り外し可能に設けられている。
【0036】
排気ブロア34を動作させると、ノズル部37及び38から空気を吹き出して送風するとともに、吹き出された空気が吹き出し方向に開口した開口部36aから吸気されて排気ブロア34に還流する気流が形成されるようになり、空気が循環することで廃棄物に風を当てた際に飛散する埃や塵が周囲に拡散しないようにされている。また、空気とともに飛散する埃や塵はスクリーン部39に捕捉されて回収されるため、選別処理の際の周囲の環境に与える悪影響を抑えることができる。
【0037】
図7は、風力選別機構6の選別処理に関する説明図である。上方のノズル部37の吹き出し方向T1は、振動フィーダ33の排出部331からの廃棄物の落下方向を横切るように設定され、水平方向よりわずかに上向きに設定するとよい。また、下方のノズル部38の吹き出し方向T2は、廃棄物の落下方向を横切る方向で吹き出し方向T1と交差するように上向きに設定されている。
【0038】
仕切り板31の上端は、吹き出し方向T1及びT2よりも下方になるように設定されており、可動板32も吹き出し方向T1及びT2を遮断しない位置まで上昇するようになっている。
【0039】
ベルトコンベヤ4から振動フィーダ33に投入された残留廃棄物W5は、まず、振動フィーダ33で上下動の振動を受けながら粒子状の廃棄物W6が篩部から落下して選別される。そして、振動フィーダ33を移動しながらバラけて排出部331から落下する廃棄物は、ノズル部37及び38から吹き出される送風を受けて重量物及び軽量物に選別される。レンガ、タイル、瓦等の重量物は、落下する際に送風されても風力の影響をほとんど受けずにそのまま落下していく。また、紙片やプラスチックシートといった軽量物は、送風を受けて舞い上がるようになり、仕切り板31を越えて他方の区域内に落下するようになる。
【0040】
選別された重量物は不燃物として処理可能なものであるが、不燃物でも比較的軽量なものは風力の影響を受けて落下方向からずれるようになる。そのため、仕切り板31に取り付けた可動板32の高さを調整して仕切り板を越えないようにする。
【0041】
また、選別された軽量物は可燃物として処理可能なものであるが、水気を含んだ可燃物の場合には重くなるため、ノズル部38の吹き出し方向T2を上向きに調整して廃棄物に対して上向きの風力を与える。そして、吹き出し方向T2をノズル部37からの吹き出し方向T1に交差させることで、ノズル部37からの送風により仕切り板31を越えるように飛散させて軽量物として選別する。
【0042】
また、分岐管35a及び35bに設けた調整弁35c及び35dを調整してノズル部37及び38から吹き出す送風量をそれぞれ変化させ、廃棄物に与える風力をその特性に応じて微調整することで不燃物及び可燃物に正確に選別することが可能となる。さらに、排気ブロア34の出力を調整してノズル部37及び38から吹き出す全体の送風量を変化させるようにしてもよい。
【0043】
以上説明したように、投入される廃棄物の特性に応じて不燃物及び可燃物がそれぞれ重量物及び軽量物として選別されるように、ノズル部37及び38から吹き出す送風方向及び送風量並びに仕切り板の高さをきめ細かく調整すればよい。こうした調整を行うことで、多様な固形物が混在する廃棄物から可燃物をできるだけ排除して最終処分場に持ち込み可能なレベルまで可燃物の割合を低下させた廃棄物に選別処理できる。
【0044】
ノズル部37及び38から吹き出された空気は開口部36aから吸気されるため、ノズル部から開口部に向かうような気流が形成されて選別処理の際に飛散した埃や塵が周囲に拡散しないようにされる。また、気流に乗った埃や塵はスクリーン部39に捕捉されるようになり、捕捉された埃や塵はシート枠39aを定期的に取り外して回収される。
【符号の説明】
【0045】
1 搬送コンベヤ
2 粗選別機構
3 ベルトコンベヤ
4 ベルトコンベヤ
5 磁力選別機
6 風力選別機構
33 振動フィーダ
34 排気ブロア
35 送風ダクト
36 吸気ダクト
37 ノズル部
38 ノズル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の大きさの篩目が形成された移送面を有するとともに移送面を振動させながら固形物が混在する廃棄物を移送して篩目から粒子状の固形物を落下させて選別する振動移送機構と、前記振動移送機構の排出部の下方に上下に配置されて前記廃棄物の落下方向を横切る方向に空気を吹き出す複数のノズル部及びノズル部に空気を供給する送風源を備えた送風機構とを備え、前記送風機構は、前記ノズル部の吹き出し方向を上下に回動可能に調整する風向調整手段を備えており、下方に配置された前記ノズル部の吹き出し方向を上方に配置された前記ノズル部の吹き出し方向と交差するように上向きに設定して落下する前記廃棄物を風力により重量物及び軽量物に選別することを特徴とする廃棄物選別処理装置。
【請求項2】
前記送風機構は、各ノズル部の送風量を調整する風量調整手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物選別処理装置。
【請求項3】
前記送風機構は、前記送風源として前記ノズル部に送風ダクトを介して空気を供給する排気ブロアを備えており、排気ブロアの吸入口に接続された吸気ダクトの開口部を前記ノズル部に対向配置して前記ノズル部から吹き出された空気が開口部に回収されるように気流が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物選別処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の廃棄物選別処理装置を備えていることを特徴とする廃棄物選別処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−224460(P2011−224460A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96346(P2010−96346)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(510109774)株式会社福井クリーン・システム (3)
【Fターム(参考)】