説明

廃棄紙再生用の処理装置

【課題】 廃棄された枚葉紙から情報を読み取られることなく、用紙に再生し得るように処理するようにした処理装置を提供する。
【解決手段】 廃棄された枚葉紙(70)を積層して蓄積し、蓄積された枚葉紙を送出しロール(13)によって1枚ずつ送り出す枚葉紙ボックス(10)と、送り出された枚葉紙の情報記録面に遮蔽情報を上書する遮蔽情報記録手段(30)と、遮蔽情報が上書されて記録情報が隠された枚葉紙を受ける受け函(40)とを備える。遮蔽情報記録手段は感光ドラム(35)、帯電ローラ(31)、光照射機構(32)、トナー供給手段(33)、及び定着ローラ(36)から構成されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は廃棄紙再生用の処理装置に関し、特に廃棄された枚葉紙から情報を読み取られることなく、用紙に再生し得るように処理するようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンピュータ印字やコピーを行った用紙には重要な情報や秘密にすべき情報が記録されていることがあり、使い終わった後これらの用紙をそのまま廃棄することは好ましくない。
【0003】
従来、これらの廃棄紙はシュレッダーにかけて細断し、記録された情報を読み取れないようにすることが行われていたが、シュレッダーによって細断すると、パルプ繊維も細かく破断されてしまい、用紙に再生することは難しく、水稲育苗用マットなどに利用するしかなかった(特許文献1)。
【0004】
他方、プリンター連続用紙に接着剤を塗布し、所定長さごとに折り曲げて一体化して古紙ブロックとすることにより、用紙の情報が読み取られず、しかもパルプ繊維の長さを維持し、用紙に再生できるようにした方法が提案されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−50400号公報
【特許文献2】特許第2595397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近使用される用紙の大部分は枚葉紙であるが、特許文献2記載の方法はプリンター連続用紙の処理を対象としているので、枚葉紙の処理に適用することはできない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、廃棄された枚葉紙から情報を読み取られることなく、用紙に再生し得るように処理するようにした廃棄紙再生用の処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る廃棄紙再生用の処理装置は、廃棄された枚葉紙を積層して蓄積し、蓄積された枚葉紙を送出しロールによって1枚ずつ送り出す枚葉紙ボックスと、送り出された枚葉紙の情報記録面に遮蔽情報を上書する遮蔽情報記録手段と、遮蔽情報が上書されて記録情報が隠された枚葉紙を受ける受け函と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴は処理すべき枚葉紙の上から遮蔽情報を記録し、枚葉紙に記録された情報を読み取れないようにした点にある。
【0010】
これにより、廃棄すべき枚葉紙から情報が読み取られることがなく、又パルプ繊維が細かく破断されていないので、用紙に再生することができ、その有用性は大きい。
【0011】
遮蔽情報記録手段は枚葉紙の情報記録面に遮蔽情報を上書することができればよく、例えば遮蔽情報をプリントアウトするプリンターを用いてよいが、コスト高になるおそれがある。そこで、公知の複写装置を採用すると、低コストで枚葉紙の処理を行うことができる。
【0012】
即ち、遮蔽情報記録手段は、外周面に廃棄された枚葉紙の情報を隠すような遮蔽情報の潜像が形成され、該潜像にトナーが供給されて遮蔽情報が現像され、紙送りされる枚葉紙に遮蔽情報を転写する感光ドラム; 該感光ドラムの外周面を帯電させる帯電ローラ; 上記感光ドラムの外周面に遮蔽情報に対応して光を照射することによって潜像を形成する光照射機構; 上記感光ドラムにトナーを供給するトナー供給手段; 及び、上記転写された遮蔽情報を枚葉紙に定着させる定着ローラ、から構成されることができる。
【0013】
遮蔽情報は枚葉紙の記録情報を読取不可能にできればどのような情報であってもよいが、記録情報が文字の場合には遮蔽情報に文字を採用すると、記録情報を実質的に読めない程度に遮蔽できることが確認された。また、遮蔽情報は記録の都度変更する、例えば枚葉紙の記録情報の量や記録の位置等に対応してユーザの選択又は自動的に変更するようにしてもよいが、遮蔽情報を予め設定して同一の情報を上書するようにしてもよい。
【0014】
多数の枚葉紙を処理する上で、枚葉紙ボックスから送り出された枚葉紙を遮蔽情報記録手段及び受け函に向けて送る紙送り機構を更に備えるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る廃棄紙再生用の処理装置の好ましい実施形態を示す。図において、処理装置は枚葉紙ボックス10、紙送り機構20、遮蔽情報記録手段30及び受け函40、から構成されている。
【0016】
枚葉紙ボックス10は錠付きの開閉蓋12を備え、内部には廃棄される枚葉紙70が投入され、重量又はばね部材によって付勢された押えロール11によって押えられるようになっている。
【0017】
また、枚葉紙ボックス10の底部には枚葉紙70の送り出し口14が形成されるとともに、モータ駆動されて最下方の枚葉紙70を送り出す送出しローラ13が設けられている。
【0018】
紙送り機構20には上下のガイドプレート21が枚葉紙ボックス10の送り出し口14に連通して設けられ、ガイドプレート21には複数対の送りローラ23が間隔をあけて設けられ、送りローラ23は駆動モータ(図示せず)によって駆動され、枚葉紙ボックス10から送り出された枚葉紙70がガイドプレート21間を送られるようになっている。
【0019】
遮蔽情報記録手段30は感光ドラム35、押圧ローラ34、帯電ローラ31、光照射ランプ32、トナー供給ローラ33、定着ローラ36から構成されている。
【0020】
感光ドラム35は押圧ローラ34との間で送られる枚葉紙70を挟むように構成され、又感光ドラム35には帯電ローラ31、光照射ランプ32及びトナー供給ローラ33が回転方向に配列して設けられている。
【0021】
定着ローラ36は感光ドラム35を通過した枚葉紙70を加熱することによってトナーを定着させるようになっている。
【0022】
コンピュータ印字されあるいはコピーされた枚葉紙70を廃棄する場合、枚葉紙ボックス10の蓋12をあけて枚葉紙70を投入する。枚葉紙70がある程度溜まると、送出しローラ13によって枚葉紙70を1枚ずつ枚葉紙ボックス10から送り出す。送り出された枚葉紙70は送りローラ23によってガイドプレート21間を感光ドラム35まで送られる。
【0023】
感光ドラム35は矢印Aの方向に回転されており、帯電ローラ31によって感光ドラム35の外周面がドラム幅方向の全幅にわたって+の電荷に帯電される。光照射ランプ32は制御ユニット37から予め記憶された遮蔽情報に応じて駆動され、感光ドラム35の外周面に遮蔽情報に応じて光を照射する。感光ドラム35の外周面が光照射ランプ32によって光の照射を受けると、光の照射を受けなかった箇所の電荷が残り、これによって遮蔽情報の潜像が形成される。
【0024】
感光ドラム35がさらに回転され、トナー供給ローラ33によってトナーが供給されると、残った電荷にトナーが吸着され、これによって遮蔽情報の現像が形成される。
【0025】
感光ドラム35がさらに回転すると、感光ドラム35と押圧ローラ34によって挟まれた枚葉紙70に感光ドラム35の外周面の現像が転写され、定着ローラ36によって加熱されることによってトナーが定着され、これによって記録情報が遮蔽情報によって上書されて読み取れなくなった枚葉紙71が得られ、枚葉紙71は受け函40に送り込まれて蓄積される。
【0026】
所望の枚数の枚葉紙71が溜まると、枚葉紙71を受け函49から取り出して再生工程に送り、用紙の再生を行うことができるが、枚葉紙71は遮蔽情報が上書されているので、重要な情報などが読み取られることはない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る廃棄紙再生用の処理装置の好ましい実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0028】
10 枚葉紙ボックス
20 紙送り機構
21 ガイドプレート
23 送りローラ
30 遮蔽情報記録手段
31 帯電ローラ
32 光照射ランプ
33 トナー供給ローラ
35 感光ドラム
36 定着ローラ
40 受け函
70、71 枚葉紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄された枚葉紙(70)を積層して蓄積し、蓄積された枚葉紙(70)を送出しロール(13)によって1枚ずつ送り出す枚葉紙ボックス(10)と、
送り出された枚葉紙(70)の情報記録面に遮蔽情報を上書する遮蔽情報記録手段(30)と、
遮蔽情報が上書されて記録情報が隠された枚葉紙(70)を受ける受け函(40)と、
を備えたことを特徴とする廃棄紙再生用の処理装置。
【請求項2】
上記遮蔽情報記録手段(30)は、
外周面に廃棄された枚葉紙(70)の情報を隠すような遮蔽情報の潜像が形成され、該潜像にトナーが供給されて遮蔽情報が現像され、紙送りされる枚葉紙(70)に遮蔽情報を転写する感光ドラム(35)、
該感光ドラム(35)の外周面を帯電させる帯電ローラ(31)、
上記感光ドラム(35)の外周面に遮蔽情報に対応して光を照射することによって潜像を形成する光照射機構(32)、
上記感光ドラム(35)にトナーを供給するトナー供給手段(33)、及び
上記転写された遮蔽情報を枚葉紙(70)に定着させる定着ローラ(36)、から構成されている請求項1記載の廃棄紙再生用の処理装置。
【請求項3】
上記枚葉紙ボックス(10)から送り出された枚葉紙(70)を上記遮蔽情報記録手段(30)及び受け函(40)に向けて送る紙送り機構(20)を更に備えた請求項1又は2記載の廃棄紙再生用の処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−78740(P2010−78740A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245147(P2008−245147)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(508288146)有限会社ふじたか工業 (2)
【出願人】(508024692)株式会社サンハツ鋼業 (3)
【出願人】(508024706)
【Fターム(参考)】