説明

廃遊技台の処理方法

【課題】 パチンコ台やパチスロ台に代表される廃遊技台の廃棄に関して、埋め立て処分行うことなく完全リサイクル化を図ることが可能な廃遊技台の処理方法を提供する。
【解決手段】 廃遊技台10から、前面ガラス11と、セル基盤12等の木製部品と、プリント基板17及び銅配線を含む電子部品と、釘19などの鉄系部品と、受け皿14、15、などのプラスチック等の合成樹脂部品と、そして、液晶18等の画像表示部品とに分解し、木製部品は、粉砕処理して木製製品の原料又は焼却炉の燃料としてマテリアルリサイクル又はサーマルリサイクルし、電子部品からは銅等の有価金属を回収しつつ、合成樹脂部品と共に燃焼炉の補助燃料としてサーマルリサイクルし、前面ガラス11はガラス製品の原料として、鉄系部品及び画像表示部品はマテリアルリサイクルすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃パチンコ台や廃パチスロ台をはじめとした廃遊技台の処理方法に関し、さらに詳しくは、廃パチンコ台や廃パチスロ台をはじめとした廃遊技台の処理において各部品の完全リサイクル化を図ることが可能な廃遊技台の処理方法を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台やパチスロ台に代表される遊技台は、流行の移り変わりがきわめて速く、遊技者も常に新しい遊技台の登場を待ち望んでいる。一方、遊技場の経営者側としても遊技者のニーズを的確に捉えて新機種をいち早く導入することが経営上重要な要素であることから、遊技台の入れ替えが頻繁に行われている。そのため、新機種といえどもそのライフサイクルはきわめて短く、従って、廃棄される遊技台の数も年間数百万台を超える膨大な量に上っていた。
【0003】
パチンコ台等の遊技台は、ガラス・合成樹脂・木材・鉄及び回路基板等に含まれる非鉄系有価金属類などから構成されている。従来、廃パチンコ台の処理は、作業員による徹底した手解体が一般的であり、そのため、処理費用に占める労務費の割合が大きく、処理効率も極めて悪かった。
【0004】
そのような廃パチンコ台の処理方法としては、例えば、特開2000−140816号公報において提案がなされている。すなわち、この処理方法は、廃パチンコ台をそのまま破砕して、数cm程度のチップ状に荒破砕し、この荒破砕処理物から大きな木片を除去した後、数mm程度に二次破砕する。そして、二次破砕処理物から鉄類を除去した後、1mmかそれ以下に三次破砕する。次いで、三次破砕処理物に固化剤を添加し、水分の存在下で混合撹拌して流動状の処理物を得、この流動状処理物を耐食性の容器内に充填し、容器内の流動状処理物を乾燥固化させ、容器の充填口を密封して最終処分場に埋め立てする、というものである。
【0005】
【特許文献1】特開2000−140816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉄系、非鉄系の有価金属についてはマテリアルリサイクルが確立しているが、木屑、樹脂屑、プラスチックについてはそのようなリサイクル方法は確立しておらず、その処理は、例えば、廃棄物処理業者への処理委託や、埋め立て等様々であった。すなわち、廃パチンコ台等の遊技台の処理については、処理業者単独で全てのパーツを完全リサイクルする技術は確立されておらず、処理単価も高額とならざるを得ないというのが現状であった。
【0007】
しかし、遊技台は、そのライフサイクルがきわめて短く、年間で数百万台も廃棄処分されるため、遊技台が埋め立てに供されると処分場は短期間で満杯になってしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、パチンコ台やパチスロ台に代表される廃遊技台の廃棄に関して、埋め立て処分を行うことなく完全リサイクル化を図ることが可能な廃遊技台の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、パチンコ台やパチスロ台をはじめとする廃遊技台の処理方法において、廃遊技台から、前面ガラスと、セル基盤等の木製部品と、プリント基板及び銅配線を含む電子部品と、枠体等の鉄系部品と、釘等の真鍮系部品と、プラスチック等の合成樹脂部品と、そして、液晶等の画像表示部品とに分解し、木製部品は、粉砕処理して木製製品の原料又は焼却炉の燃料としてマテリアルリサイクル又はサーマルリサイクルし、電子部品からは銅等の有価金属を回収しつつ、合成樹脂部品と共に燃焼炉の補助燃料としてサーマルリサイクルし、前面ガラスはガラス製品の原料として、鉄系部品、真鍮系部品及び画像表示部品はマテリアルリサイクルすることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の廃遊技台の処理方法において、セル基盤は、その表面に被覆された樹脂を除去し、除去した樹脂は合成樹脂部品と共に処理されることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の廃遊技台の処理方法において、燃焼炉の補助燃料としてサーマルリサイクルされた合成樹脂部品の焼却残渣はセメント原料としてさらにマテリアルリサイクルされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る廃遊技台の処理方法によれば、パチンコ台やパチスロ台をはじめとする廃遊技台を構成する各部品についてマテリアルリサイクル及びサーマルリサイクルが可能となるので、埋め立て処分等を行うことなく完全リサイクル化を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る廃遊技台の処理方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1〜図7は、本発明に係る廃遊技台の処理方法の一実施形態における一連のフローチャート、図8はパチンコ台の概略正面図である。尚、本実施形態では廃遊技台の一例として廃パチンコ台を用いて説明する。
【0014】
はじめに、図1に示すように、廃パチンコ台10(図8参照)を解体して、前面ガラス11と、セル基盤12や外枠13等の木製部品と、プリント基板17及び銅配線を含む電子部品と、枠体等の鉄系部品と、釘19等の真鍮系部品と、上部受け皿14及び下部受け皿15、ハンドル16を形成するプラスチック等の合成樹脂部品と、そして、液晶18等の画像表示部品とに分解する。
【0015】
取り外された前面ガラスは、周囲に配設された鉄等の図示しない金属製枠体を取り外して保管し、ガラス原料としてマテリアルリサイクルする。尚、取り外された金属製枠体は後述する鉄系部品の処理工程(図7参照)に送られる。
【0016】
次に、液晶18などの画像表示部品はリユース(再使用)に備えて保管される(図3参照)。
【0017】
次に、セル基盤12からは図示しない自動釘抜き装置により釘19が抜去され、集積される。釘19は、真鍮製で、原料として再利用に供される。尚、釘19を形成する材料や状態によっては後述する鉄系部品の処理工程(図7)に送りそちらで処理することもできる。尚、パチンコ台10の前面ガラス11を開閉する際に使用される図示しない鍵もこの釘19と共に処理することができる。
【0018】
セル基盤12から液晶18等に画像表示部や釘19のほか、センター飾り、チャッカー(図示せず)等の部品も取り外し、それらは素材に基づき図6に示す合成樹脂処理工程又は図7に示す鉄系部品処理工程に送り処理を行う。
【0019】
セル基盤12から各種の部品が取り外されたら表面を荒削りしてセル基盤12の表面に被覆されている合成樹脂の皮膜を剥ぎ取る。剥ぎ取った合成樹脂屑は、後述する合成樹脂処理工程(図7参照)により燃焼炉等の補助燃料の一部として使用して焼却処理を行う。
【0020】
一方、合成樹脂の皮膜が剥ぎ取られたセル基盤12及び木製の外枠13は細かなチップ状に粉砕処理され、リサイクル原料とされる。例えば、木製チップは、パーティカルボードの原料として再利用することにより森林資源の有効利用を図ることができる。ここで、パーティカルボードとは、木材を小片に砕いて接着剤で高温圧縮成型したもので、断熱、遮音性にすぐれており、建築資材のなかでも構造材、内装下地、家具材などに多く利用されている。
【0021】
次に、プリント基板17及び銅配線を含む電子部品の処理について説明する。プリント基板17及び銅配線を含む電子部品は、図示しない定置炉でばい焼し、粉砕した後、非鉄金属製錬の原料となる。この時、廃プラスチックは定置炉での補助燃料の一部として燃焼されてサーマルリサイクルされる。
【0022】
非鉄金属製錬所では、溶錬炉内でマットとスラグに分離してマットの回収を行い、有価金属を回収する。有価金属としては主に銅が回収されるが、そのほかにも金、銀、パラジウム等の有価金属も回収される。回収されたこれらの有価金属は電子部品の原材料としてマテリアルリサイクルされる。
【0023】
次に、合成樹脂のリサイクルについて説明する。廃パチンコ台10から取り外された上部受け皿14、下部受け皿15、ハンドル16、センター飾りやチャッカー(いずれも図示せず)等を形成するプラスチック等の合成樹脂部品は、セル基盤12から剥ぎ取られた樹脂屑と共に細かく粉砕処理され、廃棄物を焼却処理する燃焼炉の補助燃料の一部としてサーマルリサイクルされる。
【0024】
具体的には、例えば、粉体バーナの補助燃料の一部として利用することができる。そして、焼却残渣はセメント原料としてさらにマテリアルリサイクルされる。
【0025】
次に、前面ガラス11の周囲に配設されている金属性枠体等の鉄系部品の処理について説明する。鉄系部品は予め粉砕処理し、磁石等によって磁気選別を行う。磁気を有するシュレッダ鉄は鉄原料としてマテリアルリサイクルされる。一方、磁気に吸着されなかったアルミや真鍮製の鍵等の金属屑はこれも集められてマテリアルリサイクルに供される。また、鉄系部品の中に含まれている銅線、トランス、モータ類は銅を多量に含んでいるので銅線処理工程へ送られ、銅及びその他の有価金属の回収が行われる。
【0026】
以上のように、本発明に係る廃遊技台の処理方法によれば、パチンコ台やパチスロ台をはじめとする廃遊技台を構成する各部品について完全にマテリアルリサイクル及びサーマルリサイクルが図られ、埋め立て処分等を行うことなく完全リサイクル化を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る廃遊技台の処理方法の一実施形態の概要を示すフローチャートである。
【図2】前面ガラスの処理工程を示すフローチャートである。
【図3】画像表示部の処理工程を示すフローチャートである。
【図4】木製部品の処理工程を示すフローチャートである。
【図5】電子部品の処理工程を示すフローチャートである。
【図6】合成樹脂の処理工程を示すフローチャートである。
【図7】鉄系部品の処理工程を示すフローチャートである。
【図8】パチンコ台の概略正面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 廃パチンコ台
11 前面ガラス
12 セル基盤
13 外枠
14 上部受け皿
15 下部受け皿
16 ハンドル
17 プリント基板
18 液晶
19 釘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ台やパチスロ台をはじめとする廃遊技台の処理方法において、
前記廃遊技台から、前面ガラスと、セル基盤等の木製部品と、プリント基板及び銅配線を含む電子部品と、枠体等の鉄系部品と、釘等の真鍮系部品と、プラスチック等の合成樹脂部品と、そして、液晶等の画像表示部品とに分解し、
前記木製部品は、粉砕処理して木製製品の原料又は焼却炉の燃料としてマテリアルリサイクル又はサーマルリサイクルし、
前記電子部品からは銅等の有価金属を回収しつつ、前記合成樹脂部品と共に燃焼炉の補助燃料としてサーマルリサイクルし、
前記前面ガラスはガラス製品の原料として、前記鉄系部品と真鍮系部品及び画像表示部品はマテリアルリサイクルすることを特徴とする廃遊技台の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の廃遊技台の処理方法において、
前記セル基盤は、その表面に被覆された樹脂を除去し、除去した樹脂は前記合成樹脂部品と共に処理されることを特徴とする廃遊技台の処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の廃遊技台の処理方法において、
燃焼炉の補助燃料としてサーマルリサイクルされた前記合成樹脂部品の焼却残渣はセメント原料としてさらにマテリアルリサイクルされることを特徴とする廃遊技台の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−89935(P2007−89935A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285867(P2005−285867)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】