説明

延在筒体及び該延在筒体を有する紙製容器

【課題】
本発明は、円筒形の筒体本体の中心部分に底部が開口した筒状内体を有する紙製容器において、焼成又は蒸し用の生地を該容器から零れ落ちないように筒状内体部分の高さを高く維持して零れ落ちを防止すると共に、逆に焼成又は蒸し後において係る部分の突出高による弊害を除去し、更には保管運搬時の重積嵩を極力低減できる紙製容器の提供を課題とする。
【解決手段】
係る課題を解決するため、円筒形の中央部に筒状内体を有すると共に外周壁によって形作られる円筒形の筒状本体であって、該筒状内体に着脱自在の延在筒体を有すると共に該延在筒体を装着することによって外周壁よりも装着した延在筒体を含む筒状内体の高さが高くなる紙製容器を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央部に空洞を有する円筒状のスポンジケーキ等の焼成用紙製容器の中央部の筒状内体に着脱自在に装着する延在筒体及び該延在筒体を有する紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ケーキなどのためのスポンジケーキ等は小麦粉からなる粘性の生地を紙製容器内に入れた上で焼成することによって製造するものである。
これらはじっくりと焼き上げるものであり、全体的に満遍なく焼き上げることによって初めて形の良いおいしいスポンジケーキ類を焼き上げられるものである。
特に、内部までしっかりと火を通して全体的にきれいな形に焼き上げるためには、該ケーキの中心部にも火が通りやすくするために紙製容器の中心部分に筒状の内体を有し、生地を外側と内側から均一に焼き上げることが必要となる。
【0003】
従って円柱形の焼成用容器の中央部分に筒状内体を有する紙製容器は多用されている。
この場合、例えば実開昭62−22989号(特許文献1)に示す容器がある。
これは単に筒状内体を着脱自在に有し、更に蓋体を有する紙製容器の一例である。
又、実開平7−30080号(特許文献2)に示す紙製容器も存在する。
【特許文献1】実開昭62−22989号
【特許文献2】実開平7−30080号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の様に、焼菓子のスポンジケーキなどの焼き上げに際しては円筒形の筒体内に底体を有し、更にその中心部分に底部が開口した筒状内体を有し、筒状本体の外周面と上下面のほか更に筒状内体の内周面によって加熱調理することができる該形態の焼成用紙製容器が多用されるものである。
しかし、まず特許文献1に示す構成は筒状内体を取り外し可能にすると共に蓋体をかぶせられるように構成した極めて特殊な構成に基づくものであり、筒状内体自体を着脱自在に構成すると不用意に筒体が外れかねない等の弊害がどうしても出てしまう。
【0005】
更に該焼成用容器の製造に際しては簡単に製造するものではなくどうしてもコスト高に繋がり、又使用時において容器自体の成形などする必要も出てしまう。
又、蓋体を有するものであり、その保管運搬に際してはきわめて多大の場所をとり、使い勝手の点で多数量を効率よく用いることができないという欠点を有していた。
最も大きな欠点としては該容器内に生地を入れた場合に、筒状内体から零れ出てしまい、見栄えを損なうという欠点を有していた。
【0006】
更に特許文献2に際しては、筒状内体が円筒形筒体本体の上辺部分より突出して高く形成されており、生地を流し入れた場合に不用意に筒状内体内部に零れ落ちるようなことは防げるものである。
反面焼きあがり後において容器を返して蒸らすため、或いは蓋を別途行なうためにはどうしても筒状内体の突出をなくすことが必要であり、このためにミシン目状切れ込みより筒状内体の先端部分を手で切り剥がすことが必要となる。
【0007】
これは焼成後の高温である容器の一部を切り剥がすことが必要となるものであり、やけどの恐れなどがあると共に、切り裂き時にケーキ自体にまで裂いてしまうおそれ等を有し、何らかの解決が求められていた。
更に、係る筒状内体の突出形状の容器においては、多数の該紙製容器を重積すると筒状内体の突出部だけ積み重ねが盛り上がり、どうしても嵩高になってしまうという欠点を有していた。
したがって、前記各課題を解決する何らかの方策が望まれているものであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は係る課題を見事に解決するものであり、係るため請求項1に係る発明は、円筒形の中央部に筒状内体を有すると共に外周壁によって形作られる円筒形の筒状本体であって、該筒状内体に着脱自在の延在筒体を有すると共に該延在筒体を装着することによって外周壁よりも装着した延在筒体を含む筒状内体の高さが高くなる紙製容器からなり、係る発明によって前記課題を解決できる。
【0009】
又、請求項2に係る発明は、筒状内体が外周壁よりも低く形成された紙製容器であり、係る発明でもよい。
更に、請求項3に係る発明は、延在筒体の一の端部と他の端部との夫々の径が異なる紙製容器であって、係る容器を用いても同様である。
これらの他、請求項4に係る発明は、延在筒体の一の端部と他の端部との夫々の径が同じである紙製容器からなり、係る発明を用いてもよい。
【0010】
或いは請求項5に係る発明の様に、延在筒体の少なくとも一の端部が開口されているものでもよく、請求項6に係る発明の様に、延在筒体に摘み部を有するものでもよい。
以上のほか、請求項7に係る発明の様に、これ等の紙製容器に用いるための延在筒体からなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成することによって、まず筒状本体の中央部の筒状内体内の空洞部分に生地が零れ落ちることを防止できるものであり、略ドーナツ状の焼菓子や蒸し菓子を製造できるものとなる。
特に、筒状内体に着脱自在の延在筒体によって筒状内体の高さを任意に設定でき、これをつけることによって前記零れ出を防止できると共に、これを外すことにより焼き上げ時や蒸らし上げ時において容器を反転させて裏返しにして蒸らすこともできる。
【0012】
更に、焼き上げ又は蒸しあげたスポンジケーキ類を簡単に容器から取り外すことができる。
特に、この延在筒体を着脱自在として筒状本体の筒状内体の高さを予め低く構成できることにより、該紙製容器の保管時や運搬時においてこの容器類を重積した場合に重積の高さを極めて低く積み重ねることができるものであり、極めて効率のよい紙製容器の提供を行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず図1は本発明の基本的な一実施の状態を示す図である。
本図に示す通り、円筒形の筒体本体1の中央部には該筒体本体1の外周壁12の高さと同じかそれよりも低い高さの筒状内体11を有するものであり、更に該筒状内体11には着脱自在に装着できる延在筒体2を装着できるものである。
本図においては筒状内体11に該延在筒体2を装着する一実施の状態を示している。
【0014】
該円筒形の筒体本体1の中央部の筒状内体11に延在筒体2を装着することによって、筒状内体の部分の高さを高く維持できることとなり、筒体本体1の内部空間内に生地を流し入れて焼き上げる際に生地の筒状内体方向への零れ落ちを防止できるものである。
この場合例えば円筒形の筒体本体1の外周壁12の高さと筒状内体11の高さが等しい場合であっても、筒状内体11方向へ零れてしまうことがあり、延在筒体2をもってこれを防ぐことができる。
【0015】
更に、筒状内体11が筒体本体1の外周壁12の高さよりも低い場合には、延在筒体2を装着することによって筒状内体11の高さを確保できることとなり、零れ落ちを阻止できる。
特に、筒体本体1を製造時に筒状内体11を本体の外周壁12の高さと同じにした場合には、この容器を積み重ねるとどうしてもこの筒状内体11によって重積時の嵩が増えてしまうものであり、筒状内体11の重なり部分によって重積の高さが一定以上必要となるものである。
【0016】
この場合に筒状内体11方向への生地の零れ出などを防ぐ目的で簡単に筒状内体11の高さを予め高く設定して成形すると、この紙製容器を重積した場合にこの筒状内体11の重積においてその高さ分だけ重積嵩が増えるものであり、不必要な嵩が生じてしまい、製造後の保管や運搬に際して、極めて使い勝手の悪い即ち少数で保管場所を必要とし、運搬や保管に多大な出費が必要となる経済性の悪い容器となってしまうものである。
又、筒状内体11の高さを予め高く設定すると、焼成後の焼きあがった菓子例えばスポンジケーキ等の容器からの取り外しの際の反転に際して該筒体が邪魔となって作業性の悪化を生じるものであり、又反転した状態での蒸しなどを行なうこともできなくなる。
【0017】
尚、焼き上がりを明示するがこの他蒸し上げる等によるものであってももちろんよい。
これに対して仮に筒状内体11の高さを低く設定することができれば、重積時の嵩を極力小さく設定することができ、保管性を高めることができ、運搬時の効率化を図ることができるものである。
又、焼成後の反転による蒸らしも筒状内体11が邪魔にならず行なうことができるものであり、更には容器内の焼きあがった或いは蒸しあがった菓子を簡単に取り出すことができるものである。
【0018】
以上のように予め筒体本体1の筒状内体11を予め低く構成し、これに延在筒体2を着脱自在に装着することによって、筒状内体11の高さを高く維持することができ、蒸しや焼きに際しての生地を綺麗に容器内に流し入れかつ焼成や蒸し等を行なうことができる。
更に、焼き上げや蒸し後において該延在筒体2を取り外すことによって反転させての蒸しを行なうことや菓子の取り外しを容易に行なえるものである。
【0019】
図2は、筒状内体11に延在筒体2を装着した状態の一例を示す図である。
本図のように筒状内体11部分を高く維持でき、この部位からの生地の零れを防止できるものとなる。
図3は、着脱自在の延在筒体2を示す図である。 本図に示すように下縁周21の径と上縁周22の径が異なるものであり、一方の開口の径がやや太径で他の開口の径が細い径であれば使い勝手の良い延在筒体2の提供を可能とする。
但し、径が異なるものの他、一の開口と他の開口の径が同じものを用いるものであってももちろんよい。
【0020】
更には延在筒体2の一の端部が開口で他の端部は封鎖したものを用いてももちろんよい。
これらは任意に必要に応じて用いればよいものである。
少なくとも筒状内体2に着脱自在で該部分の高さを高く維持できるものであればよい。
従って例えば円筒形状を基本とするが、角柱でも楕円円柱でも径の異なる錐形状のものであってももちろんよい。
【0021】
図4は、筒体本体1の筒状内体11を予め低く形成し、延在筒体2を高く形成した一例を示す図である。
この様に構成すると筒体本体1の筒状内体11が低いものであることから、この容器を多数重積しても重積時の容器は夫々密に積み重ねられるものとなり、多数の容器を低く重積することができる。
従って保管運搬に際しての効率を高めることができる。
又、使用時には延在筒体2を用いて筒状内体11部分を高い維持できるものであり、生地の容器内からの零れ出を防止できる。
【0022】
図5は、図4に示す延在筒体2を筒状内体11に装着して高く維持した状態の一例を示す図である。
図6は、筒状内体11に延在筒体2を装着して、容器内に生地3を入れた状態の一例を示す図である。
この場合延在筒体2の上縁部22に摘み部23を有する一例を示す。
該摘み部23を有することによって延在筒体2の取り外しを容易にできるものである。
【0023】
更に図7は、摘み部23を有する延在筒体2を取り外した状態の一例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る延在筒体を有する紙製容器の一例を示す図
【図2】本発明に係る延在筒体を有する紙製容器の筒状内体に延在筒体を装着した一例を示す図
【図3】本発明に係る延在筒体の一例を示す図
【図4】本発明に係る延在筒体を有する紙製容器の他の一例を示す図
【図5】本発明に係る延在筒体を有する紙製容器の筒状内体に延在筒体を装着した他の一例を示す図
【図6】本発明に係る延在筒体を有する紙製容器に生地を流し入れた状態の一例を示す図
【図7】図6に係る紙製容器から延在筒体を取り外した状態の一例を示す図
【符号の説明】
【0025】
1 筒体本体
11 筒体内体
12 外周壁
2 延在筒体
21 下縁周
22 上縁周
23 摘み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の中央部に筒状内体11を有すると共に外周壁12によって形作られる円筒形の筒状本体1であって、該筒状内体11に着脱自在の延在筒体2を有すると共に該延在筒体2を装着することによって外周壁12よりも装着した延在筒体2を含む筒状内体11の高さが高くなることを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
筒状内体11が外周壁12よりも低く形成されたことを特徴とする請求項1記載の紙製容器。
【請求項3】
延在筒体2の一の端部と他の端部との夫々の径が異なることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項4】
延在筒体2の一の端部と他の端部との夫々の径が同じであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項5】
延在筒体2の少なくとも一の端部が開口されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項6】
延在筒体2に摘み部23を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の紙製容器に用いるための延在筒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−190769(P2009−190769A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34365(P2008−34365)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(506048728)有限会社ホクオーパック (26)
【Fターム(参考)】