説明

延焼防止装置および排水配管構造

【課題】火災発生時にベンド管の出口をより確実に閉塞する上階への延焼防止装置、及び排水配管構造を提供する。
【解決手段】延焼防止装置2は耐火性材料による遮断台座31及び遮断部32で構成される。遮断台座は、水平方向に開口する耐火性排水管3の下流側に固定可能で、この下流側に接続される非耐火性排水管5の端を貫通可能な孔を備えた遮断台座本体33と、遮断台座本体の上方で遮断部を回動可能に支持する枢支部34と、孔の端縁に連続し遮断台座本体から突出する筒状体の側壁部35と、を有し、遮断部は、側壁部の突出端側の開口端38を閉じるための遮断板39と、遮断板を枢支部に回動可能に支持させる回動軸部40と、を有し、遮断部は、遮断台座が耐火性排水管に固定後に、その重心Gが回動軸部の軸心の垂直下に達する前にその自重Gにより開口端を閉じるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅又は事務所ビル等の各階で生じ垂直に流下する排水を最下階において横主管に流出させるベンド管に付属させる上階への延焼防止装置、およびこの延焼防止装置が組み入れられた排水配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図15を参照して、マンション等において発生する排水は、各階に排水集合管により集められて下方に流下し、最下階においてベンド管3により、水平に対して若干勾配をつけて配管された横主管91により、下水管等との接続場所まで送られる。
横主管91が配置された最下階は、他に電気配線、ガス管等のユーティリティ配管が敷設されている。最下階において経時劣化等による漏電等を原因として発生する火災が、その上の居住階に延焼するのを防止するために、床スラブ8を貫通する排水集合管4または貫通立管、およびこれに接続されたベンド管3、横主管91は、すべて耐火性の金属(ねずみ鋳鉄他)等によるものが使用されてきた。
【0003】
しかし、各階で集められた多量の排水の移送を想定した横主管91は、呼び径が大きいために鋳鉄等の金属製はその重量が極めて大きく、材料費を含め、新設時の施工費および耐用年数経過後の更新費用が高額になるという問題がある。
そこで、横主管に例えば非耐火性ではあるが軽量な硬質塩化ビニル樹脂製の管(以下「塩ビ管」という)を使用してその重量を軽減し、最下階において発生する火災に備え、金属製のベンド管の流出側に延焼防止のための装置を設置して火炎のベンド管への進入を防止する排水配管構造が、本出願人により提案されている(特許文献1、段落0049〜0056、図17,18)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−127286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された非耐火性の横主管91を使用可能な排水配管構造は、延焼防止装置がベンド管の流出口を塞ぐことにより、上階への延焼防止に一定の効果をあげることができる。
しかし、特許文献1に記載された延焼防止装置は、遮断板を回動させるモーメントが垂直位置に近づくにつれて小さくなり、場合によっては塩ビ管の燃焼残渣を排除できずにベンド管の出口の完全な閉塞が妨げられるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、火災発生時にベンド管の出口をより確実に閉塞することができる上階への延焼防止装置、および延焼防止装置を用いた排水配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る延焼防止装置は、いずれも耐火性で形成された遮断台座および遮断部で構成され、前記遮断台座は、建築物において略水平方向に開口する耐火性の排水管の下流側に固定可能に形成され、前記耐火性の排水管の下流側に接続される非耐火性の排水管の接続端近傍を貫通可能な孔を備えた遮断台座本体と、前記耐火性の排水管に固定されたときに前記遮断台座本体の上方に位置し前記遮断部を回動可能に支持する枢支部と、前記遮断台座本体の端縁と前記孔の端縁との間または前記孔の端縁に連続し前記遮断台座本体から突出する筒状体または筒状体の一部である側壁部と、を有し、前記遮断部は、前記側壁部における突出端側の開口端または前記孔と前記側壁部の突出端とによる開口端を閉じるための遮断板と、前記遮断板に連続し前記遮断板を前記枢支部に回動可能に支持させるための回動軸部と、を有し、前記遮断部は、前記遮断台座が前記耐火性の排水管に固定されたときに、その重心が前記回動軸部の軸心の垂直下に達する前にその自重により前記開口端を閉じるように構成される。
【0008】
好ましくは、前記側壁部は、前記孔の端縁または当該端縁から距離を有して前記孔の全周にわたり前記遮断台座本体から突出し、その前記遮断台座本体からの突出の程度は、前記枢支部から離れるほど徐々に大きくなる。
好ましくは、前記遮断部は、前記遮断板から突出した前記側壁部の断面形状に略等しい断面形状の筒状の外側壁部を有し、前記遮断台座が前記耐火性の排水管に固定され前記遮断板が前記開口端を閉じたときに、前記外側壁部が前記側壁部の外側を覆うように構成される。
【0009】
本発明に係る排水配管構造は、建築物において略垂直方向から流入する排水を略水平方向に流出させる耐火性のベンド管と、前記延焼防止装置と、を有し、前記延焼防止装置は、遮断台座本体における前記側壁部が突出する側の反対側において前記孔のみが前記ベンド管の流出側に連通するように前記ベンド管に直接にまたは間接に固定されている。
本発明の側壁部等の「断面形状」とは、筒状体の軸心に直交する断面における形状をいう。また、「垂直下」とは、基準となるものに対する垂直方向の直下をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、火災発生時にベンド管の出口をより確実に閉塞することができる上階への延焼防止装置、および延焼防止装置を用いた排水配管構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は排水配管構造の概要を示す図である。
【図2】図2は図1におけるA−A矢視断面図である。
【図3】図3は図1におけるB−B矢視部分断面図である。
【図4】図4は延焼防止装置の斜視図である。
【図5】図5は延焼防止装置が動作したときの図1におけるB−B矢視部分断面図である。
【図6】図6は他の排水配管構造の概要を示す図である。
【図7】図7は他の排水配管構造の概要を示す図である。
【図8】図8は図7におけC−C矢視部分断面図である。
【図9】図9は他の排水配管構造の概要を示す図である。
【図10】図10は延焼防止装置2Dの斜視図である。
【図11】図11は他の延焼防止装置における遮断台座等の正面図である。
【図12】図12は遮断台座等の側面図である。
【図13】図13は種々の他の延焼防止装置の概略図である。
【図14】図14は他の延焼防止装置の概要を示す図である。
【図15】図15は従来の排水配管構造の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は排水配管構造1の概要を示す図、図2は図1におけるA−A矢視断面図、図3は図1におけるB−B矢視部分断面図、図4は延焼防止装置2の斜視図、図5は延焼防止装置2が動作したときの図1におけるB−B矢視部分断面図である。
以下の説明において、図1における上を「上」の語で、下を「下」の語で表す。
排水配管構造1は、排水集合管4、ベンド管3および延焼防止装置2からなる。
【0013】
排水集合管4は、横枝管7から流入する排水を上層の階から流下する排水に合流させ、合流した排水を最下階のベンド管3に流下させる。
排水集合管4は、最下階とその上階との防火区画である床スラブ8を貫通する貫通孔15内に固定されている。
排水集合管4は、上部が床スラブ8の上面より上に突出し、下部が床スラブ8の下面より下に突出する。排水集合管4は、床スラブ8の上面に突出する部分に、横枝管7を接続するための横枝管接続部9、および立管10を接続するための立管接続部11を有する。排水集合管4と貫通孔15との間には、モルタル、セメントまたはロックウール等の耐火性充填材料16が充填される。
【0014】
建築物に設置された排水配管構造1における排水集合管4は、通常、立管接続部11に立管10が、横枝管接続部9に横枝管7が接続されている。
排水集合管4は、耐火性の材料である、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄などの鋳物、または塩化ビニル管と繊維モルタル管とを2層構造とした耐火二層管等で製作される。
ベンド管3は、略90度に曲げられた管であり、排水集合管4内を略垂直に流下する集合排水を、略水平な横主管5に導くためのものである。
【0015】
ベンド管3は、その両端にフランジ17,18が一体化されている。ベンド管3は、上流側の開口する受け口に排水集合管4の下端を挿入させ、上流側端のフランジ17が、排水集合管4の下端を嵌め入れたフランジ状の押輪19にボルト20,20により固定されることにより、排水集合管4に連結されている。
また、ベンド管3は、下流側に設けられた受け口に横主管5の端を挿入させ、横主管5の端部を嵌め入れたフランジ状の押輪21が、ボルト22,22,22によりベンド管3の下流側端のフランジ18に緊結されることにより、横主管5を連結する。
【0016】
ベンド管3は、排水集合管4と同じく、ねずみ鋳鉄等の耐火性の金属材料または耐火二層管等で製作される。
ベンド管3は、排水集合管4との接続部分および横主管5との接続部分が、床スラブ8に固定された吊り金具23,23,24により支持されている。
なお、ベンド管3が接続される横主管5は、高層建築物の各階で発生し流下しながら集合された排水を、最下階において略水平方向(若干の傾斜あり)に移送し、下水管等に送り出すものである。横主管5には、硬質塩化ビニル樹脂等の非耐火性材料で製造された円管(塩ビ管)が使用される。横主管5は、床スラブ8に固定された吊り金具25により支持されている。
【0017】
延焼防止装置2は、金属の板材で形成され、遮断台座31および遮断部32からなる。
遮断台座31は、遮断台座本体33、枢支部34および側壁部35からなる。遮断台座本体33は、円形であり、内接する正三角形の3つの頂角近傍にそれぞれボルト22用の貫通孔36,36,36を有する。遮断台座本体33には、横主管5の外径以上の同心円である孔44が貫通する。3つのボルト22用の貫通孔36,36,36は、フランジ18におけるボルト22用の3つの貫通孔のいずれかと重なる。
【0018】
なお、ベンド管3に使用されるフランジ18は、ボルト22用に3つの貫通孔を有し、3つの貫通孔は、ベンド管3の湾曲する軸心が含まれる平面に対して面対称の位置に配される(図3参照)のが一般的である。
枢支部34は、遮断台座本体33の端縁近傍における一方の表面から周方向に間隔を有して突出する2つの円筒状の軸受け37,37で構成される。軸受け37,37は、その軸心が共通する。枢支部34は、いずれか2つのボルト22用の貫通孔36,36に等距離の位置に設けられる。
【0019】
側壁部35は、横主管5の外径以上の内径を備えた円筒状である。側壁部35は、その軸心を遮断台座本体33に直交させて、その一方の端が遮断台座本体33に連続する。側壁部35の内側は、遮断台座本体33の貫通孔に連続している。側壁部35は、その軸心方向に直交する水平方向から見た(図1参照)とき、枢支部34側から下方に向けて、その他方の端38と遮断台座本体33との距離が徐々に大きくなっている。つまり、他方の端38は、円筒をその軸心に直交する面ではなく若干傾斜する面で切断したときの切り口であり、その切断面に直交する方向から見たとき、楕円形である。
【0020】
遮断部32は、金属の板材で形成され、遮断板39および回動軸部40からなる。
遮断板39は、側壁部35の他方の端38が形成する開口を完全に塞ぐことができる大きさの、円形に近い楕円形である。遮断板39を円形とすることもできる。
回動軸部40は、遮断板39の端縁から径方向(長径方向)に突出し、突出端が円筒状に形成されている。円筒状の部分(「軸保持部41」という)は、その幅が2つの軸受け37,37の間隔より若干小さく、その内径および外径は、軸受け37の内径および外径にそれぞれ略等しい。
【0021】
遮断部32は、回動軸部40が遮断台座31の2つの軸受け37,37間に入れられ、それぞれの円筒状の内方に円柱状の回動軸42が挿入され、その両端が抜け止めされて、遮断台座31に一体化されている。
延焼防止装置2は、ベンド管3と横主管5との連結時に、押輪21よりも先に横主管5を側壁部35に貫通させ、連結用のボルト22,22,22により押輪21とともにベンド管3のフランジ18に固定される。
【0022】
延焼防止装置2は、円筒状の側壁部35を横主管5が貫通し、遮断部32の回動軸部40とは反対側の端がこの横主管5に支持された状態で、排水配管構造1に組み入れられる。
延焼防止装置2が組み入れられた排水配管構造1は、横主管5に非耐火性材料で製造された管が使用されこれが火災によって焼失しても、火炎および熱風がベンド管3に進入することを防止することができる。排水配管構造1は、横主管5に非耐火性の管を使用することができ、最下階の排水配管の材料費および工事費を削減することができ、また、この排水配管の更新費用も低減させることができる。
【0023】
次に、横主管5に非耐火性の塩ビ管が使用された場合の、火災時における延焼防止装置2の動作を説明する。
最下階に火災が発生し、横主管5の周囲が火炎に包まれると、塩ビ管である横主管5が軟化し燃焼する。そうすると、支えるものが無くなった遮断部32は、その自重によって回動軸42を中心にして図1における矢印Rの方向に回動する。遮断部32は、側壁部35の端38に当接するまで回動し、図5に示されるように、遮断板39が側壁部35の開口部分(端38)を閉じる。
【0024】
このように、横主管5が消失した後に側壁部35の開口部分が遮断部32(の遮断板39)によって閉じられることにより、ベンド管3および排水集合管4の内部への火炎および高温になったガスの進入が防止される。
延焼防止装置2は、側壁部35の端38を共有する面がその軸心に直交せず、上から下に向かうにつれて遮断台座本体33との距離が大きくなっている。そのため、板材で形成された遮断部32は、その重心Gが回動軸42(の軸心)の真下(垂直方向の直下をいい、以下「垂直下」という)に到達する前に側壁部35の開口を閉じることができる。つまり、延焼防止装置2は、遮断部32がその自重により回動しようとするモーメントがなくなる前に側壁部35の開口の閉塞が完了するように工夫されている。延焼防止装置2は、横主管5の燃焼残渣が側壁部35の端38付近に存在しても、遮断部32の自重によりこれを押しつぶしてまたはこれを排除して開口を閉塞することができ、上階への延焼を防止することができる。
【0025】
したがって、排水配管構造1は、その横枝管接続部9に非耐火性の横枝管7が接続されていても、最下階の火災により横枝管7が燃焼せず、横枝管7の設置費用等を削減することができる。
延焼防止装置2における遮断部32は、その重心Gおよび回動軸42(の軸心)を含む平面と回動軸42(の軸心)を含む垂直面との角度θが大きいほど、側壁部35の開口を大きな力で閉じることができる。角度θは、遮断部32の重量との関係で決定され、重量が大きいほど角度θを小さくできる。
【0026】
図6は他の排水配管構造1Bの概要を示す図である。
排水配管構造1Bは、長ベンド管6Bおよび延焼防止装置2からなる。
長ベンド管6Bは、90度に曲げられた円管(「曲管部12B」という)の一方の端に真っ直ぐな円管(「直管部13B」という)が連続するものである。直管部13Bの内径および外径は、それぞれ曲管部12Bの内径および外径よりも小さい。
【0027】
長ベンド管6Bは、直管部13Bの端および曲管部12Bの端部がいずれも受け口となっており、それぞれフランジ17B,18Bを備えている。長ベンド管6Bは、曲管部12Bを最下階に露出させて、最下階の上の床スラブ8を貫通する貫通孔15内に直管部13Bが固定されている。また、長ベンド管6Bは、曲管部12B側のフランジ18B近傍が、床スラブ8に固定された吊り金具24により支持されている。
【0028】
長ベンド管6Bの直管部13B側の受け口には立管10が接続され、曲管部12B側の受け口には横主管5が接続される。
延焼防止装置2は、前述した排水配管構造1における延焼防止装置2と同じものであり、その長ベンド管6Bへの固定方法も、排水配管構造1における延焼防止装置2と同じである。
【0029】
排水配管構造1Bにおいて、前述した排水配管構造1と同じ構成に関しては図6において排水配管構造1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
横主管5に非耐火性の塩ビ管が使用された場合の、排水配管構造1Bにおける延焼防止装置2の動作は、排水配管構造1におけるものと全く同じである。
すなわち、最下階に火災が発生し、横主管5が軟化、燃焼し消失すると、遮断部32は、その自重によって図6における矢印Rの方向に回動する。そして、遮断部32は、側壁部35の端38に当接し、二点鎖線に示されるように側壁部35の端38を閉じる。
【0030】
この延焼防止装置2の動作により、長ベンド管6Bの内部への火炎および高温ガスの進入が阻止され、上階への延焼が防止される。
延焼防止装置2は、側壁部35の端38を共有する面が垂直でなく傾きを有することにより、遮断部32の側壁部35を閉じようとする力が大きく、横主管5の燃焼残渣による閉塞動作への影響を無視できる程度にまで軽減することができる。
【0031】
排水配管構造1Bの延焼防止装置2における遮断部32も、前述した排水配管構造1と同様に、その重心Gおよび回動軸42(の軸心)を含む平面と回動軸42(の軸心)を含む垂直面との角度θが常に0度よりも大きくなるように設計される。
図7は他の排水配管構造1Cの概要を示す図、図8は図7におけC−C矢視部分断面図である。
【0032】
排水配管構造1Cは、排水集合管4、ベンド管3および延焼防止装置2Cからなる。
排水配管構造1Cにおける排水集合管4およびベンド管3の構成、ならびに立管10、横枝管7および横主管5の構成、これらの相互の接続方法等は、排水配管構造1におけるものと同じである。
延焼防止装置2Cは、全体として金属の板材で形成され、遮断台座31Cおよび遮断部32Cからなる。
【0033】
遮断台座31Cは、遮断台座本体33、枢支部34および上側壁部43Cからなる。遮断台座本体33および枢支部34は、延焼防止装置2におけるものと同一である。
上側壁部43Cは、延焼防止装置2における円筒状であって開口側の端38を共有する面が傾斜する側壁部35の下半分を取り除き、上半分のみを残した形状を有する。遮断台座本体33には、その下半分に側壁を有しない孔44が貫通する。
【0034】
遮断部32Cは、遮断板39、下側壁部45Cおよび回動軸部40からなる。遮断板39および回動軸部40は、延焼防止装置2におけるものと同一である。
下側壁部45Cは、延焼防止装置2における側壁部35の下半分と同一の形状である。下側壁部45Cは、延焼防止装置2における側壁部35の下半分の部分を遮断台座本体33から分離し、開口する端(端38)側を遮断板39と一体化させたものである。下側壁部45Cは、その軸心と遮断板39とは直角ではなく傾斜して交わる。
【0035】
遮断部32Cは、下側壁部45Cが一体化された表面が遮断台座本体33側を向くようにして、回動軸42によって遮断台座31Cに回動自在に一体化されている。
なお、下側壁部45Cの内周曲率半径を、上側壁部43Cの外周の曲率半径よりも若干大きくし、延焼防止装置2Cが動作したときに、上側壁部43Cと下側壁部45Cとが干渉しあうことなく、かつ周方向の隙間を生ずることなく円筒が形成されるようにしてもよい。上側壁部43Cおよび下側壁部45Cのいずれか一方の周方向の両端近傍を、他方の両端に重なるように外方に膨らませて、動作時の相互干渉を防止してもよい。
【0036】
また、上側壁部43Cおよび下側壁部45Cの内周の曲率半径は、いずれもベンド管3に接続される横主管5の外周の曲率半径以上であることは、延焼防止装置2の側壁部35と同じである。
なお、延焼防止装置2Cにおける遮断部32Cは、その重心Gおよび回動軸42(の軸心)を含む平面と回動軸42(の軸心)を含む垂直面との角度θが常に0度よりも大きくなる。
【0037】
その他、排水配管構造1Cにおいて排水配管構造1と同一の構成を有するものは、図7および図8において延焼防止装置2と同一の符号を付してその説明を省略する。
横主管5に非耐火性の塩ビ管が使用された場合の、排水配管構造1Cにおける延焼防止装置2Cの動作および工事費削減等のその効果は、排水配管構造1におけるものと略同じである。
【0038】
図9は他の排水配管構造1Dの概要を示す図、図10は延焼防止装置2Dの斜視図である。
排水配管構造1Dは、排水集合管4、ベンド管3および延焼防止装置2Dからなる。
排水配管構造1Dにおける排水集合管4およびベンド管3の構成、ならびに立管10、横枝管7および横主管5の構成、これらの相互の接続方法等は、排水配管構造1におけるものと同じである。
【0039】
延焼防止装置2Dは、全体として金属の板材で形成され、遮断台座31および遮断部32Dからなる。遮断台座31は延焼防止装置2におけるものと同一である。
遮断部32Dは、遮断板39、外側壁部46Dおよび回動軸部40からなる。遮断板39および回動軸部40は、延焼防止装置2におけるものと同一である。
外側壁部46Dは、円筒状であって、遮断台座31における側壁部35と略相似形である。つまり、円筒の一方の端縁47Dを含む面は円筒の軸心に直交し、他方の端を共有する面は、円筒の軸心に対して側壁部35の端38と略同一の角度で傾斜する。外側壁部46Dは、その中に側壁部35全体を収めることができる大きさである。外側壁部46Dは、その外周の母線が最も短くなった側を回動軸部側として、傾斜する他方の端が遮断板39に隙間無く一体化されている。
【0040】
遮断部32Dは、側壁部35と外側壁部46Dとが対向するようにして、回動軸部40が遮断台座31の2つの軸受け37,37間に嵌め入れられ、回動軸42により遮断台座31に対して回動自在に遮断台座31と一体化されている。
外側壁部46Dは、その内径が側壁部35の外径よりも大きい。さらに、外側壁部46Dは、外側壁部46Dの開口側の端縁47Dと遮断台座本体33との角度が略90度から0度までの遮断部32Dの回動を、側壁部35に阻止されることがない大きさである。また、外側壁部46Dは、遮断部32Dにおける側壁部35に阻止されない位置に配置される。
【0041】
外側壁部46Dは、0度までの遮断部32Dの回動をボルト22,22に妨げられることがないように、その開口側の端縁47Dに、周方向に略120度間隔で切り欠き48D,48Dが設けられている。
外側壁部46Dの開口側の端縁47Dと遮断台座本体33との角度が略90度から0度までの遮断部32Dの回動を、側壁部35に阻止されないようにするために、外側壁部46Dを円筒ではなく楕円の筒としてもよい。その場合、切り欠き48Dは必要に応じて設けられる。
【0042】
延焼防止装置2Dにおける遮断部32Dは、その重心Gおよび回動軸42(の軸心)を含む平面と回動軸42(の軸心)を含む垂直面との角度θが常に0度よりも大きくなる。
その他、排水配管構造1Dにおいて排水配管構造1と同一の構成を有するものは、図9および図10において延焼防止装置2と同一の符号を付してその説明を省略する。
横主管5に非耐火性の塩ビ管が使用された場合、排水配管構造1Dにおける延焼防止装置2Dは、次のように動作する。
【0043】
最下階に火災が発生し、横主管5が軟化、燃焼し消失すると、遮断部32Dは支えを失って、その自重により図9における矢印Rの方向に回動する。遮断部32Dは、外側壁部46Dが側壁部35を覆い、その端縁47Dが遮断台座本体33に当接するまで回動する。
このとき、側壁部35の開口は遮断部32Dにより完全に覆われ、ベンド管3の内部は火災が発生した最下階と遮断される。さらに、延焼防止装置2Dは、側壁部35の開口が閉じられるだけではなく、側壁部35と外側壁部46Dとが重なりその間を狭める。そのため、塩ビ管の燃焼残渣によって遮断板39による側壁部35の開口の閉塞が不十分であっても、火炎等が側壁部35の開口に到達するのを防止し、より確実に上階への延焼が防止される。
【0044】
延焼防止装置2Dは、側壁部35の端38が垂直でなく傾きを有することにより、遮断部32Dの側壁部35を閉じようとする力が大きくなり、遮断部32Dの回動が最後まで円滑に行われることは、延焼防止装置2と同じである。
図11は他の延焼防止装置における遮断台座31E等の正面図、図12は遮断台座31E等の側面図である。図11および図12における(b)は、遮断台座31Eの軸受け37E側の半分(以下「遮断台座上部51E」という)、(c)は遮断台座31Eの残り半分(以下「遮断台座下部52E」という)である。
【0045】
遮断台座31Eは、遮断台座本体33E、枢支部34Eおよび側壁部35Eからなる。
遮断台座本体33Eは、排水の配管の接続部分に使用される一般的なフランジ(例えばフランジ17,18)の形状、つまり、全体として正三角形の三辺をいずれも外方に凸に湾曲させ、各頂角を三辺よりも小さな曲率半径で湾曲させた形状(以下、この形状を仮に「湾曲三角」という)である。湾曲三角における三角の頂角相当部分近傍には、ベンド管3の排出側端のフランジ18におけるボルト22用の3つの貫通孔のいずれかと重なるボルト22用の貫通孔36E,36E,36Eを備える。
【0046】
枢支部34Eは、湾曲三角の1辺に相当する端縁から間隔を有して外方に突出する2つの軸受け37E,37Eで構成される。軸受け37E,37Eは、それぞれが、互いの軸心が一致する円筒状となっている。
側壁部35Eは、延焼防止装置2における側壁部35と略同じである。
すなわち、側壁部35Eは円筒状であり、横主管5の外径以上の内径を備える。側壁部35Eは、その軸心を遮断台座本体33Eに直交させて、その一方の端が遮断台座本体33Eに連続する。側壁部35Eの内側は、遮断台座本体33Eを貫通する孔に連続する。側壁部35Eは、枢支部34E側からその反対側に向けて、その外周の母線が長くなっている。
【0047】
遮断台座31Eは、遮断台座上部51Eおよび遮断台座下部52Eの2つに分割されている。分割は、円筒状である側壁部35Eの軸心を含む平面で行われる。分割は、遮断台座上部51Eおよび遮断台座下部52Eがいずれも面対称となるように行われ、具体的には、枢支部34E側の2つの貫通孔36E,36Eに等距離の平面で行われる。なお、遮断台座上部51Eは、枢支部34Eを含む半分であり、遮断台座下部52Eは残りの半分である。
【0048】
遮断台座下部52Eは、遮断台座本体33Eの2分割の際の端に相当する2つの部分から側壁部35Eの接線方向に突出する、ラグ部53E,53Eを有する。ラグ部53E,53Eは、いずれもその突出端近傍に、他の一方に向くかぎ状の切り欠き54E,54Eを備える。切り欠き54Eの凹状部分は、貫通孔36Eの半径を曲率半径として湾曲する。また、2つの切り欠き54E,54Eの曲率中心は、貫通孔の中心とともに正三角形を形成する。2つのラグ部53E,53Eの間隔は、側壁部35Eの内径以上である。
【0049】
遮断台座31Eの枢支部34Eには、先に説明した延焼防止装置2,2C,2Dにおける遮断部32,32C,32Dのいずれかが、回動可能に一体化される。
次に、延焼防止装置の排水配管構造への組み込みについて説明する。
遮断部32,32C,32Dのいずれかが一体化された遮断台座上部51Eが横主管の上に配される。遮断台座下部52Eは、下側からラグ部53E,53Eを先にして横主管に近づけられ、切り欠き54E,54Eが遮断台座上部51Eの2つの貫通孔36E,36Eに重ね合わされる。
【0050】
ベンド管のフランジ、横主管を挿通させた押輪とともに、切り欠き54E,54Eに重なる貫通孔36E,36Eおよび他の1つの貫通孔36Eにボルトが貫通され、ボルトがナットと緊結されて、延焼防止装置は排水配管構造の一部として組み入れられる。
ラグ部53Eは、その突出元(2分割の際の端に相当する部分)において側壁部35Eの突出側にずらされている。これは、切り欠き54Eが遮断台座上部51Eの貫通孔36Eに重ね合わされたとき、遮断台座下部52Eの押輪からの浮き上がりを防止するためである。
【0051】
遮断台座31Eを有する延焼防止装置は、前述した延焼防止装置2,2C,2Dと同様に、最下階に火災が生じたときに、ベンド管内への火炎および熱風の進入を阻止して上階への延焼を防止することができる。さらに、遮断台座31Eを有する延焼防止装置は、遮断台座31Eが2分割されるので、ベンド管周りを施工した後にベンド管に取り付けることができることから、施工手順の自由度が高いという利点がある。
【0052】
なお、遮断台座31Eでは上下2つに分割される構成であったが、3つ以上に分割される構成であってもよい。さらには、遮断台座が遮断台座上部51Eのみからなり、遮断部側に遮断部32Cのような下側壁部45Cと遮断台座本体としての機能を持たせてもよい。
図13は種々の他の延焼防止装置2F,2G,2Hの概略図である。ここで(a)は延焼防止装置2F、(b)は延焼防止装置2G、(c)は延焼防止装置2Hである。
【0053】
延焼防止装置2F,2G,2Hは、いずれもそれぞれの遮断部32F,32G,32Hおよび側壁部35F,35G,35Hのみが、延焼防止装置2と異なる。延焼防止装置2と同一の他の部分については説明を省略する。
延焼防止装置2Fにおいて、遮断部32Fは、回動軸42に平行な折り線61Fによって、遮断台座本体33側が凸となるように折り曲げられている。折り曲げ角度は、150〜160度である。折り線61Fは、楕円形の遮断板39Fの短径となる位置に設けられる。遮断板が円形の場合には、回動軸42に平行な直径を示す位置に設けられる。
【0054】
延焼防止装置2Fにおける側壁部35Fは、円筒をその軸心を含む切断面で半割にし、その軸心に傾斜して半割の端における弦を通る平面で切り取った形状を有する。つまり、側壁部35Fは、排水配管構造に組み込まれた延焼防止装置2Fを横主管5の軸心方向からみたときに半円であり、横主管5の軸心に直交する水平方向からみたときに直角三角形となる形状である。横主管5の軸心に直交する水平方向からみたときの、側壁部35Fの開放側の端38F(直角三角形の斜辺相当の端)と遮断台座本体33とがなす角度は、遮断部32Fの折り曲げ角度に略等しい。
【0055】
延焼防止装置2Gにおいて、遮断部32Gは、延焼防止装置2Fにおける遮断部32Fの反対側に折り曲げられている。その折り線61Gの位置は、遮断部32Fにおける折り線61Fと同じである。また、その曲げ角度の程度も折り線61Fと同じである。
延焼防止装置2Gにおける側壁部35Gは、円筒状であり、その全周で遮断台座本体に連続する。また、側壁部35Gは、このような遮断部32Gが矢印Rのように回動してその開口が塞がれる形状である。具体的には、排水配管構造に組み込まれた延焼防止装置2Gを横主管5の軸心に直交する水平方向からみたときに、側壁部35Gの開放側の端38Gが遮断部32Gの曲げ角度と略等しい頂角を有する、全体形状が五角形である。
【0056】
延焼防止装置2Hにおいて、遮断部32Hは、排水配管構造に組み込まれた延焼防止装置2Hを横主管5の軸心に直交する水平方向からみたときに、回動軸部40Hおよび遮断板39Hの一部である回動軸部40Hに連続する部分が、中心角を略90度とする円弧状に形成される。遮断部32Hは、このように形成されることにより、全体として遮断台座本体33から遠く位置する。
【0057】
延焼防止装置2Hにおける側壁部35Hは、円筒状であり、その全周で遮断台座本体に連続する。側壁部35Hは、横主管5の軸心に直交する水平方向からみたときに、開放側の端38Hの上部が、遮断部32Hにおける中心角を略90度とする円弧状の部分を隙間無く当接させる形状である。
延焼防止装置2F,2G,2Hにおけるそれぞれの遮断部32F,32G,32Hは、側壁部35F,35G,35Hを閉じたときに、その重心Gおよび回動軸42(の軸心)を含む平面と回動軸42(の軸心)を含む垂直面との角度θが0度よりも大きい。
【0058】
延焼防止装置2F,2G,2Hも、前述した延焼防止装置2,2C,2D等と同様に、最下階に火災が生じたときに、ベンド管内への火炎および熱風の進入を阻止して上階への延焼を防止することができる。
なお、遮断部および側壁部の形状はこれらに限定されるものではなく、遮断部の重心Gおよび回動軸(の軸心)を含む平面と、回動軸(の軸心)を含む垂直面との角度θが、遮断部が側壁部を閉じたときに0度よりも大きくなれば、いかなる形状でもかまわない。
【0059】
図14は他の延焼防止装置2Jの概要を示す図である。
延焼防止装置2Jは、金属の板材で形成され、遮断台座31Jおよび遮断部32Jからなる。
遮断台座31Jは、遮断台座本体33J、枢支部34Jおよび側壁部35Jからなる。遮断台座本体33Jは、形状が矩形であって円形の貫通孔71Jが設けられている。貫通孔71Jは、横主管を貫通させるためのもので、その直径は、貫通を想定する横主管の外径より若干大きい。枢支部34Jは、遮断台座本体33Jの矩形における短辺相当端縁の近傍に配され、遮断部32Jを回動可能に支持する。
【0060】
側壁部35Jは、遮断台座本体33Jと同一の大きさまたはこれよりも小さな矩形の断面形状を有する角筒で形成されている。側壁部35Jは、貫通孔71Jと同外径の円筒を中に収容できる大きさである。側壁部35Jは、その4つの側面が遮断台座本体33Jと直交させて遮断台座本体33Jと一体化されている。側壁部35Jは、遮断台座本体33J側では貫通孔71Jでのみその内外が連通する。側壁部35Jは、遮断台座本体33Jとの距離が枢支部34J側で短く、枢支部34J側から遮断台座本体33Jにおける他方の短辺側に向かうに伴いその距離が長くなる。側壁部35Jは、その軸心を含む面について面対称であり、その開放側の端38Jは、軸心に対して傾斜する1つの平面に含まれる。
【0061】
遮断部32Jは、側壁部35Jの開放側の端38Jを塞ぐことができる大きさの矩形の板である。遮断部32Jは、その矩形の一方の短辺が、回動可能に枢支部に支持されている。
延焼防止装置2Jは、遮断台座本体33J、側壁部35Jおよび遮断部32Jの形状を除き、その構成、機能等は、延焼防止装置2と同じである。遮断部32Jは、側壁部35Jの端38Jが傾斜していることにより、横主管が消失時の排水配管構造における回動動作が、遮断部32Jが垂直となる前に終了する。遮断部32Jは、側壁部35Jの開口側の端が傾斜しない場合に比べて、側壁部35Jの開口をより確実に閉じることができる。延焼防止装置2Jが組み入れられた排水配管構造は、上階に非耐火性の立管、横枝管が使用されていても、最下階の火災による上階への延焼を防止することができる。
【0062】
延焼防止装置2Jにおいて、側壁部35Jの断面および遮断部32Jの形状を、矩形ではなく略多角形としてもよい。いずれの場合であっても、遮断部の重心Gおよび回動軸42(の軸心)を含む平面と回動軸42(の軸心)を含む垂直面との角度θが常に0度よりも大きくなる。
上述の実施形態において、側壁部35,35E〜35H,33J、上側壁部43C、下側壁部45Cを、種々の断面形状を有する筒状のもの(筒状体)またはその一部、例えば断面形状が楕円形、長円形、4角以上のn角形等で形成してもよい。
【0063】
延焼防止装置2,2C,2D,2F〜2H,2Jの排水配管構造1,1B,1C,1Dへの組み込みにおける遮断台座31,31C,31Eのベンド管3との一体化を、フランジ18,18Bと押輪21とを緊結するボルト22,22,22ではなく他の手段で行ってもよい。例えば、押輪21と遮断台座31,31C,31E,31Jとを別のボルトにより一体化する方法を採用し得る。その場合、遮断台座31,31C,31E,31Jには、ボルト22,22,22を回避する孔が設けられる。または、別のボルトに、ボルト22,22,22の突出高さ(長さ)分のスペーサを入れる等の、遮断台座31,31C,31E,31Jに対するボルト22,22,22の干渉を避ける工夫がなされる。押輪21と遮断台座31,31C,31E,31Jとを、これらの一体化に適した特殊な形状としてもよい。いずれの場合にも、遮断台座31,31C,31E,31Jの上流側(ベンド管3側)は、横主管5が露出しないように延焼防止装置2,2C,2D,2F〜2H,2Jの一部により、または他の耐火性材料で覆われる。
【0064】
その他、排水配管構造1,1B,1C,1D、および排水配管構造1,1B,1C,1Dの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、集合住宅又は事務所ビル等の各階で生じ垂直に流下する排水を最下階において横主管に流出させるベンド管に付属させる上階への延焼防止装置、およびこの延焼防止装置が組み入れられた排水配管構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,1B,1C,1D 排水配管構造
2,2C,2D,2F〜2H,2J 延焼防止装置
3 ベンド管(耐火性の排水管)
5 横主管(非耐火性の排水管)
31,31C,31E,31J 遮断台座
32,32C,32D,32F〜32H,32J 遮断部
33,33E,33J 遮断台座本体
34,34E 枢支部
35,35E〜35H,33J 側壁部
38,38J 側壁部の(他方の)端(開口端)
39 遮断板
40 回動軸部
43C 上側壁部(側壁部)
44 (遮断台座本体の)孔
46D 外側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも耐火性で形成された遮断台座および遮断部で構成され、
前記遮断台座は、
建築物において略水平方向に開口する耐火性の排水管の下流側に固定可能に形成され、前記耐火性の排水管の下流側に接続される非耐火性の排水管の接続端近傍を貫通可能な孔を備えた遮断台座本体と、
前記耐火性の排水管に固定されたときに前記遮断台座本体の上方に位置し前記遮断部を回動可能に支持する枢支部と、
前記遮断台座本体の端縁と前記孔の端縁との間または前記孔の端縁に連続し前記遮断台座本体から突出する筒状体または筒状体の一部である側壁部と、を有し、
前記遮断部は、
前記側壁部における突出端側の開口端または前記孔と前記側壁部の突出端とによる開口端を閉じるための遮断板と、
前記遮断板に連続し前記遮断板を前記枢支部に回動可能に支持させるための回動軸部と、を有し、
前記遮断部は、前記遮断台座が前記耐火性の排水管に固定されたときに、その重心が前記回動軸部の軸心の垂直下に達する前にその自重により前記開口端を閉じるように構成された
ことを特徴とする延焼防止装置。
【請求項2】
前記側壁部は、前記孔の端縁または当該端縁から距離を有して前記孔の全周にわたり前記遮断台座本体から突出し、
その前記遮断台座本体からの突出の程度は、前記枢支部から離れるほど大きくなる
請求項1に記載の延焼防止装置。
【請求項3】
前記遮断部は、前記遮断板から突出した前記側壁部の断面形状に略等しい断面形状の筒状の外側壁部を有し、
前記遮断台座が前記耐火性の排水管に固定され前記遮断板が前記開口端を閉じたときに、前記外側壁部が前記側壁部の外側を覆うように構成された
請求項1または請求項2に記載の延焼防止装置。
【請求項4】
建築物において略垂直方向から流入する排水を略水平方向に流出させる耐火性のベンド管と、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の延焼防止装置と、を有し、
前記延焼防止装置は、遮断台座本体における前記側壁部が突出する側の反対側において前記孔のみが前記ベンド管の流出側に連通するように前記ベンド管に直接にまたは間接に固定された
ことを特徴とする排水配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−193573(P2012−193573A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59338(P2011−59338)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】