説明

建具

【課題】多様な製品バリエーションに容易に対応可能でかつ製造コストの大幅な低減を図ることができる建具を提供すること。
【解決手段】框室外部材22Aに室内外2箇所の結合部225が形成され、これらの結合部225のいずれかに框室内部材22Bが結合されることで、見込み寸法が異なる下框22Cを形成することができる。従って、框室外部材22Aおよび框室内部材22Bを共通化しつつ、見込み寸法が異なる障子20Cを有した引違い窓1Aを構成することができ、設計から製造までの工程の短期化や、製造コストおよび部品管理コストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関し、詳しくは、窓枠と、この窓枠内に支持される面材とを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッシ窓等の建具として、窓枠の枠材や障子の框材をアルミ形材等の金属材料からなる室内部材および室外部材と、これらの室内外の部材を連結する断熱部材とで構成された断熱サッシが一般的に利用されている(例えば、特許文献1参照)。このような断熱サッシにおいて、断熱部材は、通常、樹脂材料からなり、室内部材および室外部材の各々に形成された連結溝に挿入されるとともに、これらの連結溝をカシメてその端縁の突条部に係止されることで室内外の部材に結合されるようになっている。このような断熱サッシでは、断熱部材により室内外の熱伝導を抑制することで、冬場における室内面の結露を防止したり、室内空間の空調効率を向上させたりすることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−8842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたような従来の断熱サッシでは、見込み寸法の異なる窓枠や障子の製品バリエーションごとに、枠材や框材のアルミ形材を設計し、その形材用の金型を起型するとともに、これらのアルミ形材に対応した断熱部材を成形しておく必要があり、設計から製造までの工程が長期化してしまうとともに、製造コストが高騰してしまうという問題がある。そして、製品バリエーションごとに非常に多種類のアルミ形材や断熱部材の部品をストックしておく必要があることから、これらの部品管理が煩雑になり、この点でも製造コストが増大してしまっている。
【0005】
本発明の目的は、多様な製品バリエーションに容易に対応可能でかつ製造コストの大幅な低減を図ることができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、複数の枠材から構成される枠体と、この枠体内に支持される障子とを備え、前記障子が面材と、この面材の周囲を支持する框材とを有して構成された建具であって、前記枠材および前記框材のうち少なくとも一方は、室外空間に露出する室外部材を有するとともに、前記室外部材よりも室内側に位置する第1室内部材、および当該第1室内部材と前記室外部材とを連結する連結部材を有した第1形態、または前記室外部材よりも室内側に位置して当該室外部材に連結される第2室内部材を有した第2形態のいずれか一方の形態で構成され、前記第1形態における室外部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1形態における第1室内部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、前記第2形態における室外部材および第2室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明の建具としては、障子がスライド開閉される引違い窓や片引き窓、上げ下げ窓等のサッシ窓であってもよく、また障子がスウィング開閉される開き窓や縦(横)辷出し窓、突出し窓、内倒し窓等のサッシ窓であってもよい。さらに本発明の建具としては、障子が枠体としての窓枠に開閉不能に支持された嵌め殺し窓であってもよい。
また、本発明の建具としては、障子や戸がスライド開閉される引違い戸や片引き戸等であってもよく、障子や戸がスウィング開閉される開き戸(ドア)であってもよい。
【0008】
以上の本発明によれば、第1室内部材、室外部材および連結部材を有して第1形態の枠材や框材を構成した場合と、第2室内部材および室外部材を有して第2形態の枠材や框材を構成した場合との両方の場合において、共通の室外部材を用いるあるいは第1室内部材と第2室内部材とを同一部材から構成することができる。そして、室外部材、または室内部材あるいは連結部材に複数の結合部を形成したことで、これら複数の結合部から適宜選択して連結される他方の部材を結合するだけで、見込み寸法が異なる複数種類の枠材や框材を形成することができる。つまり、共通の室外部材と、共通の第1室内部材や連結部材または共通の第2室外部材とを用意しておくだけで、枠材や框材の形態(第1形態または第2形態)のみならず、異なる見込み寸法の枠材や框材を有した建具を構成することができる。
従って、多様な製品バリエーションを有した各種建具に対して枠材や框材の構成部品を共通化することができ、設計から製造までの工程の短期化や、製造コストおよび部品管理コストの低減を図ることができる。
【0009】
また、本発明の建具は、複数の枠材から構成される枠体と、この枠体内に支持される面材とを備えた建具であって、前記枠材は、室外空間に露出する室外部材を有するとともに、
前記室外部材よりも室内側に位置する第1室内部材、および当該第1室内部材と前記室外部材とを連結する連結部材を有した第1形態、または前記室外部材よりも室内側に位置して当該室外部材に連結される第2室内部材を有した第2形態のいずれか一方の形態で構成され、前記第1形態における室外部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1形態における第1室内部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、前記第2形態における室外部材および第2室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されたものでもよい。
このような構成によれば、面材としてのガラスパネル等が枠体としての窓枠に開閉不能に支持された嵌め殺し窓において、前述と略同様の効果を奏することができる。
【0010】
この際、例えば、前記結合部を前記室外部材に形成することが好ましく、このように構成すれば、第1形態および第2形態の両形態の枠材や框材において、室外部材を共通化することができる。そして、枠材や框材において、室外部材が共通化されることで、見込み寸法を変更したとしても建具の外観が統一されるとともに、特に、障子の框材において室外部材の形態や枠との位置関係が共通化でき、この室外部材を用いた一般的な外タイトの気密構造を変更する必要がなくなることから、気密部材やその取付部品等も転用することができ、製造コストを一層低減させることができる。
【0011】
また、以上の本発明において、前記室外部材および前記第1室内部材が金属製であり、前記連結部材および前記第2室内部材が樹脂製であることが好ましい。
このような構成によれば、金属製の室外部材および第1室内部材を樹脂製の連結部材で連結して第1形態の枠材や框材を形成するか、または金属製の室外部材に樹脂製の第2室内部材を結合して第2形態の枠材や框材を形成することで、連結部材または第2室内部材によって室内外の熱伝導が抑制され、冬場における室内面の結露を防止でき、かつ室内空間の空調効率に優れた建具が構成できる。そして、第1形態における樹脂製の連結部材や第2形態における樹脂製の第2室内部材を、室外部材における複数の結合部から適宜選択した結合部に結合することによって、見込み寸法が異なる枠材や框材を形成することができ、見込み寸法ごとに複数の連結部材や第2室内部材を用意する必要がなく、樹脂製部材成形用金型に要するコストや製造に要する手間や時間を低減することができる。
【0012】
また、本発明の建具は、窓枠と、この窓枠内に支持される障子とを備えた建具であって、前記障子は、上框、下框、および左右の縦框からなる框材を四周框組みした内部にガラスパネルを嵌め込んで構成され、前記框材は、室外空間に露出する框室外部材を有するとともに、前記框室外部材よりも室内側に位置する第1框室内部材、および当該第1框室内部材と前記框室外部材とを連結する框連結部材を有した第1框形態、または前記框室外部材よりも室内側に位置して当該框室外部材に連結される第2框室内部材を有した第2框形態のいずれか一方の框形態で構成され、前記第1框形態における框室外部材および框連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1框形態における第1框室内部材および框連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、前記第2框形態における框室外部材および第2框室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されていることを特徴とする。
【0013】
以上の本発明によれば、第1框室内部材、框室外部材および框連結部材を有した第1框形態の框材から障子を構成した場合と、第2框室内部材および框室外部材を有した第2框形態の框材から障子を構成した場合との両方の場合において、共通の框室外部材を用いるあるいは第1框室内部材と第2框室内部材とを同一部材から構成することができる。そして、框室外部材、または框室内部材あるいは框連結部材に複数の結合部を形成したことで、これら複数の結合部から適宜選択して連結される他方の部材を結合するだけで、見込み寸法が異なる複数種類の障子を形成することができる。
従って、多様な製品バリエーションを有した各種建具に対して框材の構成部品を共通化することができ、設計から製造までの工程の短期化や、製造コストおよび部品管理コストの低減を図ることができる。
【0014】
この際、本発明の建具では、単板ガラスと、合わせガラスと、複層ガラスとから選択した前記ガラスパネルを、前記第1框形態または前記第2框形態の框材を四周框組みした内部に嵌め込んで前記障子を形成する際に、前記複数の結合部から前記ガラスパネルの厚さ寸法に応じて選択した結合部に、前記框室外部材、第1框室内部材、框連結部材のいずれかを結合して第1框形態の框材を形成するか、または前記選択した結合部に前記框室外部材、第2框室内部材のいずれかを結合して第2框形態の框材を形成することで、当該障子が形成されることが好ましい。
このような構成によれば、適宜な形態のガラスパネルの厚さ寸法に応じて複数の結合部から適宜選択した結合部に、他方の部材を結合して障子を形成することで、框室外部材、第1框室内部材および框連結部材からなる各部材、または框室外部材および第2框室内部材からなる各部材を共通化しつつ、厚さ寸法の異なる複数種類のガラスパネルに対応して多様なバリエーションの障子を形成することができる。この際、ガラスパネルの厚さ寸法としては、単板ガラスの場合にはガラスの板厚寸法そのものであるが、合わせガラスや複層ガラスの場合には、最も室内側に位置するガラスの室内面から最も室外側に位置するガラスの室外面までの見込み寸法を意味する。
【0015】
また、本発明の建具では、前記窓枠は、上枠、下枠、および左右の縦枠からなる枠材を四周枠組みして構成され、前記枠材は、室外空間に露出する枠室外部材を有するとともに、前記枠室外部材よりも室内側に位置する第1枠室内部材、および当該第1枠室内部材と前記枠室外部材とを連結する枠連結部材を有した第1枠形態、または前記枠室外部材よりも室内側に位置して当該枠室外部材に連結される第2枠室内部材を有した第2枠形態のいずれか一方の形態で構成され、前記第1枠形態における枠室外部材および枠連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1枠形態における第1枠室内部材および枠連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、前記第2枠形態における枠室外部材および第2枠室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、第1枠室内部材、枠室外部材および枠連結部材を有した第1枠形態の枠材から窓枠を構成した場合と、第2枠室内部材および枠室外部材を有した第2枠形態の枠材から窓枠を構成した場合との両方の場合において、共通の枠室外部材を用いるあるいは第1枠室内部材と第2枠室内部材とを同一部材から構成することができる。そして、枠室外部材、または枠室内部材あるいは枠連結部材に複数の結合部を形成したことで、これら複数の結合部から適宜選択して連結される他方の部材を結合するだけで、見込み寸法が異なる複数種類の窓枠を形成することができる。
従って、枠材の構成部品が共通化でき、設計、製造工程の短期化、およびコストの低減を一層促進させることができる。
【0017】
この際、本発明の建具では、前記第1枠形態または前記第2枠形態の枠材を四周枠組みして前記窓枠を形成する際に、前記複数の結合部から前記障子の見込み寸法に応じて選択した結合部に、前記枠室外部材、第1枠室内部材、枠連結部材のいずれかを結合して第1枠形態の框材を形成するか、または前記選択した結合部に前記枠室外部材、第2枠室内部材のいずれかを結合して第2枠形態の枠材を形成することで、当該窓枠が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、障子の見込み寸法に応じて複数の結合部から適宜選択した結合部に、他方の部材を連結して窓枠を形成することで、枠室外部材、第1枠室内部材および枠連結部材からなる各部材、または枠室外部材および第2枠室内部材からなる各部材を共通化しつつ、見込み寸法の異なる複数種類の障子に対応して窓枠を形成することができる。
【0018】
また、本発明の建具では、前記枠室外部材と、前記第1枠室内部材と、前記枠連結部材と、前記第2枠室内部材とから選択し、前記枠室外部材と前記第1枠室内部材とを前記枠連結部材で連結した第1枠形態の枠材、または前記枠室外部材に前記第2枠室内部材を連結した第2枠形態の枠材のうち、いずれか一方の形態の枠材を有して形成された前記窓枠と、前記框室外部材と、前記第1框室内部材と、前記框連結部材と、前記第2框室内部材とから選択し、前記框室外部材と前記第1框室内部材とを前記框連結部材で連結した第1框形態の框材、または前記框室外部材に前記第2框室内部材を連結した第2框形態の框材のうち、いずれか一方の形態の框材を有し、その内部にガラスパネルを嵌め込んで形成された前記障子と、を組み合わせて構成されることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、枠室外部材と、第1枠室内部材と、枠連結部材と、第2枠室内部材とを用意しておき、これらの各部材から適宜選択して複数形態かつ見込み寸法の異なる窓枠を形成するとともに、框室外部材と、第1框室内部材と、框連結部材と、第2框室内部材とを用意しておき、これらの各部材から適宜選択して複数形態かつ見込み寸法の異なる障子を形成し、これらの窓枠と障子とを組み合わせることで、短期間かつ低コストで多種多様な建具を設計、製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る建具である引違い窓1を示す横断面図である。図2は、引違い窓1の下部を拡大して示す縦断面図である。
図1および図2において、引違い窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁開口部に設けられて建物の室内空間と室外空間とを仕切る建具であり、上枠(不図示)、下枠12、および左右の縦枠13からなる枠材を四周枠組みした窓枠(枠体)10と、この窓枠10の内側に左右スライド開閉自在に支持された室内外一対の障子20(室内側障子20Aおよび室外側障子20B)とを備えて構成されている。上枠、下枠12および縦枠13は、それぞれアルミ形材製の枠室内部材12A,13Aおよび枠室外部材12B,13Bと、これらを連結する樹脂製の断熱部材12C,13Cとを有して構成されている。すなわち、窓枠10は、上枠、下枠12および縦枠13が枠室内部材12A,13A、枠室外部材12B,13B、および断熱部材12C,13Cを有した断熱窓枠である。
【0022】
障子20は、上框(不図示)、下框22、および左右の縦框23,24(または縦框25,26)からなる框材を四周框組みした内部に、複層ガラスからなるガラスパネル(面材)27を嵌め込んで構成されている。室内外の障子20A,20Bは、それぞれ戸先框である縦框23,26を縦枠13に当接するとともに、召合せ框である縦框24,25が見込み方向に重なって閉じるようになっている。上框、下框22および縦框23,25,26は、それぞれ室外空間に露出するアルミ形材製の框室外部材22A,23A,25A,26Aと、これらの框室外部材22A,23A,25A,26Aの室内側に位置する樹脂製の框室内部材22B,23B,25B,26Bとを有して構成されている。また、室外側障子20Bにおける室外側召合せ框である縦框24は、アルミ形材から一体に形成されている。すなわち、障子20は、上框、下框22および縦框23,25,26が框室外部材22A,23A,25A,26A、および框室内部材(第2框室内部材)22B,23B,25B,26Bからなる第2框形態の框材を有して形成されたものである。なお、框室内部材22B,23B,25B,26Bは、樹脂製のものに限らず、木製や合成木製であってもよい。
【0023】
以上の引違い窓1において、障子20を構成する第2框形態の框材の詳細について、図2に示す下框22を例に説明する。なお、上框および縦框23,25,26は、下框22と同様の構成を有しているため、その説明を省略する。
第2框形態の框材である下框22の框室外部材22Aは、室外空間に露出して配置されるとともに、ガラスパネル27を室外側から支持する面材支持片221と、框室内部材22Bを支持するための上下2箇所の凹溝部222とを有して形成されている。框室内部材22Bは、ガラスパネル27を室内側から支持する面材支持片223と、室外側に突出して形成されて框室外部材22Aの凹溝部222に結合される上下2箇所の被結合部224とを有して形成されている。一方、框室外部材22Aにおける上下2箇所の凹溝部222の内部には、それぞれ被結合部224の先端を挟持して結合する結合部225が、見込み方向に互いに離隔した2箇所に形成されている。そして、框室内部材22Bの被結合部224は、その先端の拡大部が2箇所の結合部225のうちの室外側の結合部225に結合されている。また、ガラスパネル27は、ガスケット271を介して框室外部材22Aおよび框室内部材22Bの面材支持片221,223間に挟持されることで、下框22に保持されるようになっている。
【0024】
次に、本実施形態における引違い窓1の他の形態を図3および図4に基づいて説明する。
図3は、本実施形態における他の形態の引違い窓1Aを示す横断面図である。図2は、引違い窓1Aの下部を拡大して示す縦断面図である。
引違い窓1Aは、前記引違い窓1と同一の窓枠10および見込み寸法の異なる障子20C(室内側障子20Dおよび室外側障子20E)を備えて構成されている。すなわち、障子20Cは、前記ガラスパネル27よりも厚さ寸法の大きいガラスパネル27Aと、前記障子20の上框、下框22および縦框23,24,25,26と共通の部材から構成されかつ見込み寸法が大きく形成された第2框形態の框材である上框(不図示)、下框22Cおよび縦框23C,25C,26Cとを有して構成されている。また、縦框24Cは、前記縦框24よりも見込み寸法が大きく形成されたアルミ形材の一体成形部材である。
【0025】
障子20Cを構成する第2框形態の框材について、図4に示す下框22Cを参照して説明する。なお、上框および縦框23C,25C,26Cは、下框22Cと同様の構成を有しているため、その説明を省略する。
下框22Cは、前記下框22と同一の框室外部材22Aおよび框室内部材22Bを有し、この框室内部材22Bにおける被結合部224の先端拡大部が、框室外部材22Aにおける凹溝部222の2箇所の結合部225のうち、室内側の結合部225に結合されている。従って、下框22Cにおける面材支持片221,223間の間隔寸法が前記下框22の場合よりも大きくなり、これにより厚さ寸法の大きいガラスパネル27Aが下框22Cに保持されるようになっている。
【0026】
なお、以上の本実施形態では、上框、下框22および縦框23,25,26の各框材が、アルミ形材製の框室外部材22A,23A,25A,26Aに、樹脂製の框室内部材(第1框室内部材)22B,23B,25B,26Bを連結した第2框形態で構成されていたが、各框材が、それぞれアルミ形材製の框室外部材と第1框室内部材とを樹脂製の框連結部材で連結した第1框形態で構成されていてもよい。このような第1框形態で構成した框材において、框室外部材、第1框室内部材または框連結部材に複数の結合部を形成し、これらの結合部から選択して各部材を連結することで、各框材の見込み寸法を適宜設定可能に構成しておくことが好ましい。
さらに、本実施形態では、上枠、下枠12および縦枠13の各枠材が、アルミ形材製の枠室内部材12A,13Aと枠室外部材12B,13Bとを樹脂製の断熱部材12C,13Cで連結した構成とされていたが、各枠材が一体のアルミ形材製であってもよく、また各枠材が、それぞれアルミ形材製の枠室外部材と第1枠室内部材とを樹脂製の枠連結部材で連結した第1枠形態で構成されていてもよく、さらに各枠材がアルミ形材製の枠室外部材に樹脂製や木製の第2枠室内部材を連結した第2枠形態で構成されていてもよい。このような第1枠形態または第2形態の枠材において、枠室外部材や、第1枠室内部材、枠連結部材、第2枠室内部材に複数の結合部を形成し、これらの結合部から選択して各部材を連結することで、枠材の見込み寸法が適宜設定可能に構成されていてもよく、また、各部材が所定位置のみで結合される構成であってもよい。
【0027】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、框室外部材22A(23A,25A,26A)に室内外2箇所の結合部225が形成され、これらの結合部225のいずれかに框室内部材22B(23B,25B,26B)が結合されることで、見込み寸法が異なる下框22,22C(および上框、縦框23,25,26,23C,25C,26C)を形成することができる。従って、框室外部材22A(23A,25A,26A)および框室内部材22B(23B,25B,26B)を共通化しつつ、見込み寸法が異なる障子20,20Cを有した引違い窓1,1Aを構成することができ、設計から製造までの工程の短期化や、製造コストおよび部品管理コストの低減を図ることができる。
【0028】
(2)そして、金属製の框室外部材22A(23A,25A,26A)に樹脂製の框室内部材22B(23B,25B,26B)を結合して第2形態の框材が形成されているので、框室内部材22B(23B,25B,26B)によって室内外の熱伝導が抑制され、冬場における室内面の結露を防止できるとともに、室内空間の空調効率に優れた引違い窓1,1Aが構成できる。
【0029】
(3)さらに、障子20,20Cにおいて、金属製の框室外部材22A(23A,25A,26A)、および樹脂製の框室内部材22B(23B,25B,26B)がそれぞれ共通化されているので、見込み寸法ごとに複数のアルミ形材や樹脂成形部材を用意する必要がなく、アルミ形材用金型や樹脂成形部材用金型に要するコストを低減し、それらの製造に要する手間や時間をも削減することができる。
【0030】
(4)また、ガラスパネル27,27Aの厚さ寸法に応じて2箇所の結合部225のうちの適合する側に、框室内部材22B(23B,25B,26B)の被結合部224を結合するだけで、面材支持片221,223間の間隔寸法が変更でき、厚さ寸法の異なるガラスパネル27,27Aに対応した障子20,20Cを容易に形成することができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明する。
図5(A),(B)は、本発明の第2実施形態に係る建具である開き窓2の要部を示す横断面図である。
本実施形態の開き窓2は、窓枠30と、この窓枠30に開閉自在に支持された障子40とを備えて構成されている。窓枠30は、上枠(不図示)、下枠(不図示)、および左右の縦枠33からなる枠材を四周枠組みして構成され、これらの上枠、下枠、および縦枠33は、それぞれ室外空間に露出するアルミ形材製の枠室外部材33Aと、この枠室外部材33Aよりも室内側に位置するアルミ形材製の枠室内部材(第1枠室内部材)33Bと、これらの枠室外部材33Aと枠室内部材33Bとを連結する樹脂製の枠連結部材33Cとを有して形成されている。また、障子40は、上框(不図示)、下框(不図示)、および左右の縦框43からなる框材を四周框組みした内部にガラスパネル47,47Aを嵌め込んで構成され、これらの上框、下框、および縦框43は、それぞれ室外空間に露出するアルミ形材製の框室外部材43Aと、この框室外部材43Aよりも室内側に位置するアルミ形材製の框室内部材(第1框室内部材)43Bと、これらの框室外部材43Aと框室内部材43Bとを連結する樹脂製の框連結部材43Cとを有して形成されている。すなわち、窓枠30は、第1枠形態の枠材を有して構成され、障子40は、第1框形態の框材を有して構成されている。
【0032】
以上の開き窓2において、窓枠30を構成する第1枠形態の枠材および障子40を構成する第1框形態の框材の詳細について、図5に示す縦枠33および縦框43を例に説明する。なお、上枠および下枠と、上框および下框は、それぞれ縦枠33および縦框43と同様の構成を有しているため、その説明を省略する。
第1枠形態の枠材である縦枠33の枠室外部材33Aは、縦框43の框室外部材43Aに当接する気密材を保持する気密材保持部331と、枠連結部材33Cの室外側端部を結合するための凹溝部332とを有して形成されている。枠室内部材33Bは、縦框43の框室内部材43Bに当接する気密材を保持する気密材保持部333と、枠連結部材33Cの室内側端部を結合する結合部334とを有して形成されている。そして、枠室外部材33Aにおける凹溝部332の内部には、枠連結部材33Cの室外側端部を挟持して結合する結合部335が、見込み方向に互いに離隔した2箇所に形成されている。
【0033】
以上のような縦枠33は、図5(A)に示すように、枠連結部材33Cの室外側端部の拡大部が枠室外部材33Aの2箇所の結合部335のうちの室外側の結合部335に結合されたものと、図5(B)に示すように、枠連結部材33Cの室外側端部の拡大部が枠室外部材33Aの2箇所の結合部335のうちの室内側の結合部335に結合さたものと、の互いに見込み寸法が異なる2つのタイプが構成可能になっている。すなわち、図5(A)に示すような見込み寸法が小さい縦枠33と、図5(B)に示すような見込み寸法が大きい縦枠33とが、それぞれ共通部材である枠室外部材33A、枠室内部材33B、および枠連結部材33Cから構成可能になっている。
【0034】
一方、第1框形態の框材である縦框43の框室外部材43Aは、ガラスパネル47,47Aを室外側から支持する面材支持片431と、框連結部材43Cの室外側端部を結合するための左右2箇所の凹溝部432とを有して形成されている。框室内部材43Bは、ガラスパネル47,47Aを室内側から支持する面材支持片433と、框連結部材43Cの室内側端部を結合する左右2箇所の結合部434とを有して形成されている。そして、框室外部材43Aにおける左右2箇所の凹溝部432の内部には、それぞれ框連結部材43Cの室外側端部を挟持して結合する結合部435が、見込み方向に互いに離隔した2箇所に形成されている。また、ガラスパネル47,47Aは、ガスケット471を介して框室外部材43Aおよび框室内部材43Bの面材支持片431,433間に挟持されることで、縦框43に保持されるようになっている。
【0035】
以上のような縦框43は、図5(A)に示すように、框連結部材43Cの室外側端部の拡大部が框室外部材43Aの2箇所の結合部435のうちの室外側の結合部435に結合されたものと、図5(B)に示すように、框連結部材43Cの室外側端部の拡大部が框室外部材43Aの2箇所の結合部435のうちの室内側の結合部435に結合さたものと、の互いに見込み寸法が異なる2つのタイプが構成可能になっている。すなわち、図5(A)に示すような見込み寸法が小さい縦框43と、図5(B)に示すような見込み寸法が大きい縦框43とが、それぞれ共通部材である框室外部材43A、框室内部材43B、および框連結部材43Cから構成可能になっている。そして、図5(A)に示す見込み寸法が小さい縦框43には、室内側のガラスが単板ガラスからなる厚さ寸法の小さい複層ガラスであるガラスパネル47が保持され、図5(B)に示す見込み寸法が大きい縦框43には、室内側のガラスが網入りガラスからなる厚さ寸法の大きい複層ガラスであるガラスパネル47Aが保持されるようになっている。
【0036】
なお、以上の本実施形態では、上框、下框および縦框43の各框材が、それぞれアルミ形材製の框室外部材43Aと框室内部材(第1框室内部材)43Bとを樹脂製の框連結部材43Cで連結した第1框形態で構成されていたが、各框材が、アルミ形材製の框室外部材に樹脂製の框室内部材(第2框室内部材)を連結した第2框形態で構成されていてもよい。このような第2框形態で構成した框材において、框室外部材または第2框室内部材に複数の結合部を形成し、これらの結合部から選択して各部材を連結することで、各框材の見込み寸法を適宜設定可能に構成しておくことが好ましい。
さらに、本実施形態では、上枠、下枠および縦枠33の各枠材が、それぞれアルミ形材製の枠室外部材33Aと枠室内部材(第1枠室内部材)33Bとを樹脂製の枠連結部材33Cで連結した第1枠形態で構成されていたが、各枠材が一体のアルミ形材製であってもよく、また各枠材が第2枠形態で構成されていてもよい。
【0037】
このような本実施形態によれば、第1枠形態の枠材を有して窓枠30を構成するとともに、第1框形態の框材を有して障子40を構成した場合でも、前記第1実施形態における効果と略同様の効果を奏することができる。
【0038】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を図6〜図8に基づいて説明する。
図6(A),(B)〜図8(A),(B)は、それぞれ本発明の第3実施形態に係る建具であるドア3A,3B,3Cの要部を示す横断面図である。
図6〜図8において、本実施形態のドア3A,3B,3Cは、枠体としてのドア枠50と、このドア枠50に開閉自在に支持された障子60(面材である扉)とを備えて構成されている。ドア枠50は、上枠(不図示)、下枠(不図示)、および左右の縦枠53からなる枠材を四周枠組みして構成されている。また、障子60は、上框(不図示)、下框(不図示)、および左右の縦框63からなる框材を四周框組みした内部にガラスパネル67,67Aを嵌め込んで構成され、ヒンジ55を介してドア枠50に支持されている。そして、図6〜図8に示すドア3A,3B,3Cは、それぞれ枠材や框材の構成が相違するものであり、以下、相違点について詳しく説明する。
【0039】
図6に示すドア3Aのドア枠50において、上枠、下枠、および縦枠53は、それぞれアルミ形材製で一体成形されたものであり、その室内側端部には、障子60の框材に当接する気密材が取り付けられている。
ドア3Aの障子60において、上框、下框、および縦框63は、それぞれ室外空間に露出するアルミ形材製の框室外部材63Aと、この框室外部材63Aよりも室内側に位置するアルミ形材製の框室内部材(第1框室内部材)63Bと、これらの框室外部材63Aと框室内部材63Bとを連結する樹脂製の框連結部材63Cとを有して形成されている。
すなわち、ドア3Aにおいて、障子60は、第1框形態の框材を有して構成されている。
【0040】
以上のドア3Aにおいて、障子60を構成する第1框形態の框材の詳細について、図6に示す縦框63を例に説明する。なお、上框および下框は、縦框63と同様の構成を有しているため、その説明を省略する。
第1框形態の框材である縦框63の框室外部材63Aは、ガラスパネル67,67Aを室外側から支持する面材支持片631と、框連結部材63Cの室外側端部を結合するための左右2箇所の凹溝部632とを有して形成されている。框室内部材63Bは、ガラスパネル67,67Aを室内側から支持する面材支持片633と、框連結部材63Cの室内側端部を結合する左右2箇所の結合部634とを有して形成されている。そして、框室外部材63Aにおける左右2箇所の凹溝部632の内部には、それぞれ框連結部材63Cの室外側端部を挟持して結合する結合部635が、見込み方向に互いに離隔した2箇所に形成されている。また、ガラスパネル67,67Aは、ガスケット671を介して框室外部材63Aおよび框室内部材63Bの面材支持片631,633間に挟持されることで、縦框63に保持されるようになっている。
【0041】
以上のような縦框63は、図6(A)に示すように、框連結部材63Cの室外側端部の拡大部が框室外部材63Aの2箇所の結合部635のうちの室外側の結合部635に結合されたものと、図6(B)に示すように、框連結部材63Cの室外側端部の拡大部が框室外部材63Aの2箇所の結合部635のうちの室内側の結合部635に結合さたものと、の互いに見込み寸法が異なる2つのタイプが構成可能になっている。すなわち、図6(A)に示すような見込み寸法が小さい縦框63と、図6(B)に示すような見込み寸法が大きい縦框63とが、それぞれ共通部材である框室外部材63A、框室内部材63B、および框連結部材63Cから構成可能になっている。そして、図6(A)に示す見込み寸法が小さい縦框63には、室内側のガラスが単板ガラスからなる厚さ寸法の小さい複層ガラスであるガラスパネル67が保持され、図6(B)に示す見込み寸法が大きい縦框63には、室内側のガラスが網入りガラスからなる厚さ寸法の大きい複層ガラスであるガラスパネル67Aが保持されるようになっている。また、図6(A)に示す見込み寸法が小さい障子60は、図6(B)に示す見込み寸法が大きい障子60よりも、ガラスパネル67,67Aの厚さ寸法の差の分だけ室内寄りに支持されており、両方の障子60とドア枠50の気密材とが同一位置で当接するようになっている。
【0042】
なお、図6において、上框、下框および縦框63の各框材が、それぞれアルミ形材製の框室外部材63Aと框室内部材(第1框室内部材)63Bとを樹脂製の框連結部材63Cで連結した第1框形態で構成されていたが、各框材が、アルミ形材製の框室外部材に樹脂製や木製の框室内部材(第2框室内部材)を連結した第2框形態で構成されていてもよい。さらに、上枠、下枠および縦枠53の各枠材が、一体のアルミ形材製であったが、各枠材が、それぞれアルミ形材製の枠室外部材と枠室内部材(第1枠室内部材)とを樹脂製の枠連結部材で連結した第1枠形態、またはアルミ形材製の枠室外部材に樹脂製や木製の枠室内部材(第2枠室内部材)を連結した第2枠形態で構成されていてもよい。
【0043】
次に、図7に示すドア3Bのドア枠50において、上枠、下枠、および縦枠53は、それぞれ室外空間に露出するアルミ形材製の枠室外部材53Aと、この枠室外部材53Aよりも室内側に位置するアルミ形材製の枠室内部材(第1枠室内部材)53Bと、これらの枠室外部材53Aと枠室内部材53Bとを連結する樹脂製の枠連結部材53Cとを有して形成されている。
ドア3Bの障子60において、上框、下框、および縦框63は、それぞれ前記ドア3Aの障子60と同一の構成を有して形成されている。
すなわち、ドア3Bにおいて、ドア枠50は、第1枠形態の枠材を有して構成され、障子60は、第1框形態の框材を有して構成されている。
【0044】
以上のドア3Bにおいて、ドア枠50を構成する第1枠形態の枠材の詳細について、図7に示す縦枠53を例に説明する。なお、上枠および下枠は、縦枠53と同様の構成を有しているため、その説明を省略する。
第1枠形態の枠材である縦枠53の枠室外部材53Aは、枠連結部材53Cの室外側端部を結合するための凹溝部532とを有して形成されている。枠室内部材53Bは、枠連結部材53Cの室内側端部を結合する結合部534とを有して形成されている。そして、枠室外部材53Aにおける凹溝部532の内部には、枠連結部材53Cの室外側端部を挟持して結合する結合部535が、見込み方向に互いに離隔した2箇所に形成されている。
【0045】
以上のような縦枠53は、図7(A)に示すように、枠連結部材53Cの室外側端部の拡大部が枠室外部材53Aの2箇所の結合部535のうちの室外側の結合部535に結合されたものと、図7(B)に示すように、枠連結部材53Cの室外側端部の拡大部が枠室外部材53Aの2箇所の結合部535のうちの室内側の結合部535に結合さたものと、の互いに見込み寸法が異なる2つのタイプが構成可能になっている。すなわち、図7(A)に示すような見込み寸法が小さい縦枠53と、図7(B)に示すような見込み寸法が大きい縦枠53とが、それぞれ共通部材である枠室外部材53A、枠室内部材53B、および枠連結部材53Cから構成可能になっている。また、図7(A)に示す見込み寸法が小さいドア枠50には、見込み寸法が小さい障子60が支持され、図7(B)に示す見込み寸法が大きいドア枠50には、見込み寸法が大きい障子60が支持されるようになっている。
【0046】
なお、図7において、上框、下框および縦框63の各框材が、それぞれアルミ形材製の框室外部材63Aと框室内部材(第1框室内部材)63Bとを樹脂製の框連結部材63Cで連結した第1框形態で構成されていたが、各框材が、アルミ形材製の框室外部材に樹脂製の框室内部材(第2框室内部材)を連結した第2框形態で構成されていてもよい。さらに、上枠、下枠および縦枠53の各枠材が、それぞれアルミ形材製の枠室外部材53Aと枠室内部材(第1枠室内部材)53Bとを樹脂製の枠連結部材53Cで連結した第1枠形態で構成されていたが、各枠材が一体のアルミ形材製であってもよく、また各枠材が第2枠形態で構成されていてもよい。
【0047】
次に、図8に示すドア3Cのドア枠50において、上枠、下枠、および縦枠53は、それぞれ室外空間に露出するアルミ形材製の枠室外部材53Aと、この枠室外部材53Aよりも室内側に位置して枠室外部材53Aに連結される樹脂製の枠室内部材(第2枠室内部材)53Dとを有して形成されている。
ドア3Cの障子60において、上框、下框、および縦框63は、それぞれ室外空間に露出するアルミ形材製の框室外部材63Aと、この框室外部材63Aよりも室内側に位置して框室外部材63Aに連結される樹脂製の框室内部材(第2框室内部材)63Dとを有して形成されている。
すなわち、ドア3Cにおいて、ドア枠50は、第2枠形態の枠材を有して構成され、障子60は、第2框形態の框材を有して構成されている。
【0048】
以上のドア3Cにおいて、ドア枠50を構成する第2枠形態の枠材および框材の詳細について、図8に示す縦枠53および縦框63を例に説明する。なお、上枠および下枠と、上框および下框とは、縦枠53および縦框63と同様の構成を有しているため、その説明を省略する。
第2枠形態の枠材である縦枠53の枠室外部材53Aは、前述のドア3Bにおける枠室外部材53Aと同一の構成を有して形成されている。枠室内部材53Dは、枠室外部材53Aにおける凹溝部532の結合部535に結合される被結合部536を有して形成されている。
以上のような縦枠53は、図8(A)に示すように、枠室内部材53Dの被結合部536先端の拡大部が枠室外部材53Aの2箇所の結合部535のうちの室外側の結合部535に結合されたものと、図8(B)に示すように、枠室内部材53Dの被結合部536先端の拡大部が枠室外部材53Aの2箇所の結合部535のうちの室内側の結合部535に結合さたものと、の互いに見込み寸法が異なる2つのタイプが構成可能になっている。すなわち、図8(A)に示すような見込み寸法が小さい縦枠53と、図8(B)に示すような見込み寸法が大きい縦枠53とが、それぞれ共通部材である枠室外部材53Aおよび枠室内部材53Dから構成可能になっている。
【0049】
第1框形態の框材である縦框63の框室外部材63Aは、前述のドア3A,3Bにおける框室外部材63Aと同一の構成を有して形成されている。框室内部材63Dは、ガラスパネル67,67Aを室内側から支持する面材支持片636と、室外側に突出して框室外部材63Aにおける凹溝部632の結合部635に結合される左右2箇所の被結合部637とを有して形成されている。そして、ガラスパネル67,67Aは、ガスケット671を介して框室外部材63Aおよび框室内部材63Dの面材支持片631,636間に挟持されることで、縦框63に保持されるようになっている。
以上のような縦框63は、図8(A)に示すように、框室内部材63Dの被結合部637先端の拡大部が框室外部材63Aの2箇所の結合部635のうちの室外側の結合部635に結合されたものと、図8(B)に示すように、框室内部材63Dの被結合部637先端の拡大部が框室外部材63Aの2箇所の結合部635のうちの室内側の結合部635に結合さたものと、の互いに見込み寸法が異なる2つのタイプが構成可能になっている。すなわち、図8(A)に示すような厚さ寸法の小さいガラスパネル67を保持する見込み寸法が小さい縦框63と、図8(B)に示すような厚さ寸法の大きいガラスパネル67Aを保持する見込み寸法が大きい縦框63とが、それぞれ共通部材である框室外部材63Aおよび框室内部材63Dから構成可能になっている。
【0050】
なお、図8において、上框、下框および縦框63の各框材が、アルミ形材製の框室外部材63Aに樹脂製の框室内部材(第2框室内部材)63Bを連結した第2框形態で構成されていたが、各框材が、それぞれアルミ形材製の框室外部材と框室内部材(第1框室内部材)とを樹脂製の框連結部材で連結した第1框形態で構成されていてもよい。さらに、上枠、下枠および縦枠53の各枠材が、アルミ形材製の枠室外部材53Aに樹脂製の枠室内部材(第2枠室内部材)53Dを連結した第2枠形態で構成されていたが、各枠材が一体のアルミ形材製であってもよく、また各枠材が第1枠形態で構成されていてもよい。
【0051】
このような本実施形態によれば、第1枠形態または第2枠形態の枠材を有して窓枠50を構成するとともに、第1框形態または第2框形態の框材を有して障子60を構成した場合でも、前記第1実施形態における効果と略同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(5)すなわち、共通の枠室外部材53Aを用い、この枠室外部材53Aに枠連結部材53Cを介して枠室内部材53Bを結合するか、または枠室外部材53Aに枠室内部材53Dを結合するかが選択可能になるため、部品点数の増加を抑制しつつ、ドア枠50の製品バリエーションを容易に増やすことができる。また、共通の框室外部材63Aを用い、この框室外部材63Aに框連結部材63Cを介して框室内部材63Bを結合するか、または框室外部材63Aに框室内部材63Dを結合するかが選択可能になるため、部品点数の増加を抑制しつつ、障子60の製品バリエーションを容易に増やすことができる。
【0052】
(6)さらに、多様な製品バリエーションを有するドア枠50と障子60とを組み合わせることで、ドア3A,3B,3Cのバリエーションも飛躍的に増加させることができるとともに、このように多種多様なドア3A,3B,3Cを設計、製造する際の工程を短期化でき、かつ低コストで製造することができる。
【0053】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、引違い窓1、開き窓2およびドア3A,3B,3Cを例示して説明したが、本発明の建具はこれらに限られない。すなわち、本発明の建具は、片引き窓、上げ下げ窓、縦(横)辷出し窓、突出し窓、内倒し窓等のサッシ窓であってもよく、また、引違い戸や片引き戸等であってもよい。
さらに、枠体(窓枠10,30)に支持される面材としては、前記障子20,40,60に限らず、ガラスパネル等の単一のパネル材から構成されていてもよい。すなわち、枠体が室外部材と第1室内部材および連結部材とを有した第1枠形態で構成されるか、または枠体が室外部材と第2室内部材を有した第2枠形態で構成されるとともに、この枠体の室外部材に見込み方向に互いに離隔した複数の結合部が形成されていれば、面材の構成は特に限定されない。
【0054】
また、前記第1実施形態の引違い窓1(図1〜図4)および第3実施形態のドア3C(図8)では、第2枠形態または第2框形態において、第2室内部材を樹脂製としたが、これに限らず、図9に示すように、金属製(アルミ形材製)の第2室内部材を用いてもよい。
すなわち、図9(A),(B)には、本発明の変形例に係る建具としての引違い窓1Bの下部を拡大して示す縦断面図が示され、この引違い窓1Bを構成する障子70(室内側障子70Aおよび室外側障子70B)の框材(室内側の下框71および室外側の下框72)として、第2框形態の框材を適用した例が示されている。
【0055】
引違い窓1Bにおいて、障子70の下框71,72は、それぞれアルミ形材製の框室外部材71A,72Aと、これらの框室外部材71A,72Aの室内側に位置するアルミ形材製の框室内部材71B,72Bとを有して構成されている。框室外部材71A,72Aには、ガラスパネル77,77Aを室外側から支持する面材支持片711,721と、框室内部材71B,72Bを支持するための上下2箇所の凹溝部712,722とを有して形成されている。框室内部材71B,72Bは、ガラスパネル77,77Aを室内側から支持する面材支持片713,723と、室外側に突出して形成されて框室外部材71A,72Aの凹溝部712,722に結合される上下2箇所の被結合部714,724とを有して形成されている。一方、框室外部材71A,72Aにおける上下2箇所の凹溝部712,722の内部には、それぞれ被結合部714,724の先端を挟持して結合する結合部715,725が、見込み方向に互いに離隔した2箇所に形成されている。
【0056】
そして、下框71,72は、図9(A)に示すように、框室内部材71B,72Bの被結合部714,724先端の拡大部が2箇所の結合部715,725のうちの室外側の結合部225に結合されたものと、図9(B)に示すように、框室内部材71B,72Bの被結合部714,724先端の拡大部が2箇所の結合部715,725のうちの室内側の結合部225に結合されたものと、の互いに見込み寸法が異なる2つのタイプが構成可能になっている。そして、図9(A)に示す見込み寸法が小さい下框71,72には、単板ガラスからなる厚さ寸法の小さいガラスパネル77が保持され、図9(B)に示す見込み寸法が大きい下框71,72には、複層ガラスからなる厚さ寸法の大きいガラスパネル77Aが保持されるようになっている
【0057】
さらに、前記各実施形態では、枠連結部材33C,53Cおよび框連結部材43C,63Cを、それぞれ樹脂製としたが、これらの枠連結部材および框連結部材が樹脂以外の材料(例えば、金属材料)から形成されていてもよい。
また、前記各実施形態では、結合部225,535,635を見込み方向に互いに離隔した2箇所に形成したが、結合部225,535,635の数は特に限定されず、2箇所以上の複数箇所に形成されていればよく、また結合部225,535,635の位置も、見込み方向に並べて形成する必要はなく、複数の結合部が互いに見付け方向にずれて形成されていてもよい。
さらに、前記第1実施形態では、框室外部材22A(23A,25A,26A)に2箇所の結合部225を設け、前記第2実施形態では、枠室外部材33Aおよび框室外部材43Aに2箇所の結合部335,435を設け、前記第3実施形態では、枠室外部材53Aおよび框室外部材63Aに2箇所の結合部535,635を設けたが、見込み方向に離隔した複数の結合部は、室外部材(框室外部材や枠室外部材)に限らず、室内部材(第1框室内部材や第2框室内部材、第1枠室内部材、第2枠室内部材)または連結部材に形成されていてもよい。
【0058】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す横断面図である。
【図2】前記建具の下部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】前記実施形態における他の形態の建具を示す横断面図である。
【図4】前記建具の下部を拡大して示す縦断面図である。
【図5】(A),(B)は、本発明の第2実施形態に係る建具の要部を示す横断面図である。
【図6】(A),(B)は、本発明の第3実施形態に係る建具の要部を示す横断面図である。
【図7】(A),(B)は、前記実施形態における図6とは相違する建具の要部を示す横断面図である。
【図8】(A),(B)は、前記実施形態における図6、図7とは相違する建具の要部を示す横断面図である。
【図9】(A),(B)は、本発明の変形例に係る建具の下部を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10,30…枠体である窓枠、12…下枠、13,33,53…縦枠、20,20A,20B,20C,20D,20E,40,60,70,70A,70B…面材である障子、22,22C,71,72…下框、22A,23A,25A,26A,43A,63A,71A,72A…框室外部材、22B,23B,25B,26B,63D,71B,72B…第2框室内部材、23,23C,43,63…縦框、27,27A,47,47A,67,67A,77,77A…ガラスパネル、33A,53A…枠室外部材、33B,53B…第1枠室内部材、33C,53C…枠連結部材、43B,63B…第1框室内部材、43C,63C…框連結部材、53D…第2枠室内部材、225,335,435,535,635,715,725…結合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の枠材から構成される枠体と、この枠体内に支持される障子とを備え、前記障子が面材と、この面材の周囲を支持する框材とを有して構成された建具であって、
前記枠材および前記框材のうち少なくとも一方は、室外空間に露出する室外部材を有するとともに、
前記室外部材よりも室内側に位置する第1室内部材、および当該第1室内部材と前記室外部材とを連結する連結部材を有した第1形態、または
前記室外部材よりも室内側に位置して当該室外部材に連結される第2室内部材を有した第2形態のいずれか一方の形態で構成され、
前記第1形態における室外部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1形態における第1室内部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、
前記第2形態における室外部材および第2室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されている建具。
【請求項2】
複数の枠材から構成される枠体と、この枠体内に支持される面材とを備えた建具であって、
前記枠材は、室外空間に露出する室外部材を有するとともに、
前記室外部材よりも室内側に位置する第1室内部材、および当該第1室内部材と前記室外部材とを連結する連結部材を有した第1形態、または
前記室外部材よりも室内側に位置して当該室外部材に連結される第2室内部材を有した第2形態のいずれか一方の形態で構成され、
前記第1形態における室外部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1形態における第1室内部材および連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、
前記第2形態における室外部材および第2室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されている建具。
【請求項3】
窓枠と、この窓枠内に支持される障子とを備えた建具であって、
前記障子は、上框、下框、および左右の縦框からなる框材を四周框組みした内部にガラスパネルを嵌め込んで構成され、
前記框材は、室外空間に露出する框室外部材を有するとともに、
前記框室外部材よりも室内側に位置する第1框室内部材、および当該第1框室内部材と前記框室外部材とを連結する框連結部材を有した第1框形態、または
前記框室外部材よりも室内側に位置して当該框室外部材に連結される第2框室内部材を有した第2框形態のいずれか一方の框形態で構成され、
前記第1框形態における框室外部材および框連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1框形態における第1框室内部材および框連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、
前記第2框形態における框室外部材および第2框室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されている建具。
【請求項4】
単板ガラスと、合わせガラスと、複層ガラスとから選択した前記ガラスパネルを、前記第1框形態または前記第2框形態の框材を四周框組みした内部に嵌め込んで前記障子を形成する際に、前記複数の結合部から前記ガラスパネルの厚さ寸法に応じて選択した結合部に、前記框室外部材、第1框室内部材、框連結部材のいずれかを結合して第1框形態の框材を形成するか、または前記選択した結合部に前記框室外部材、第2框室内部材のいずれかを結合して第2框形態の框材を形成することで、当該障子が形成された請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記窓枠は、上枠、下枠、および左右の縦枠からなる枠材を四周枠組みして構成され、
前記枠材は、室外空間に露出する枠室外部材を有するとともに、
前記枠室外部材よりも室内側に位置する第1枠室内部材、および当該第1枠室内部材と前記枠室外部材とを連結する枠連結部材を有した第1枠形態、または
前記枠室外部材よりも室内側に位置して当該枠室外部材に連結される第2枠室内部材を有した第2枠形態のいずれか一方の形態で構成され、
前記第1枠形態における枠室外部材および枠連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されるか、または当該第1枠形態における第1枠室内部材および枠連結部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成され、
前記第2枠形態における枠室外部材および第2枠室内部材の一方には、他方を結合する結合部が見込み方向に互いに離隔した複数箇所に形成されている請求項3または請求項4に記載の建具。
【請求項6】
前記第1枠形態または前記第2枠形態の枠材を四周枠組みして前記窓枠を形成する際に、前記複数の結合部から前記障子の見込み寸法に応じて選択した結合部に、前記枠室外部材、第1枠室内部材、枠連結部材のいずれかを結合して第1枠形態の框材を形成するか、または前記選択した結合部に前記枠室外部材、第2枠室内部材のいずれかを結合して第2枠形態の枠材を形成することで、当該窓枠が形成されている請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記枠室外部材と、前記第1枠室内部材と、前記枠連結部材と、前記第2枠室内部材とから選択し、前記枠室外部材と前記第1枠室内部材とを前記枠連結部材で連結した第1枠形態の枠材、または前記枠室外部材に前記第2枠室内部材を連結した第2枠形態の枠材のうち、いずれか一方の形態の枠材を有して形成された前記窓枠と、
前記框室外部材と、前記第1框室内部材と、前記框連結部材と、前記第2框室内部材とから選択し、前記框室外部材と前記第1框室内部材とを前記框連結部材で連結した第1框形態の框材、または前記框室外部材に前記第2框室内部材を連結した第2框形態の框材のうち、いずれか一方の形態の框材を有し、その内部にガラスパネルを嵌め込んで形成された前記障子と、を組み合わせて構成された請求項5または請求項6に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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