説明

建具

【課題】閉じ状態で表面をフラットな面とすることができると共に、部品点数が少なく、単純でコスト安な建具とする。
【解決手段】枠体3にスライド障子5とスイング障子6を取り付け、このスイング障子6を閉じ姿勢と開き姿勢とに亘って面外方向に揺動自在とし、このスイング障子6が閉じ姿勢でスライド障子5が閉じ位置の閉じ状態では、各障子の表面5a,6aが面一に連続してフラットな面となり、前記スイング障子6が開き姿勢のときにはスライド障子5をスイング障子6と干渉せずに面内方向に移動して開閉でき、障子を面外方向に平行移動する部品が不要であるので、部品点数が少なく、単純でコスト安な建具とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールのインナースキン、室内間仕切りなどに使用する引き戸タイプの建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁を構成するカーテンウォールとしては、特許文献1に開示したように、アウタースキンとインナースキンを備え、そのアウタースキンとインナースキンとの間に空気層を有したカーテンウォールが知られている。
前述のカーテンウォールにおいては、空気層内の清掃や、その空気層に設けたブラインドの点検等のために、インナースキンとして開閉自在な引き戸タイプの建具、例えば引き違い戸を用いることがある。
通常一般の引き違い戸は、一方の障子と他方の障子を開き位置と閉じ位置とに亘って面内方向に移動して開き状態と閉じ状態とするもので、その一方の障子と他方の障子が面外方向に位置がずれているから、両方の障子を閉じ位置とした閉じ状態で、一方の障子の召合せ部と他方の障子の召合せ部が面外方向に位置がずれ、段差が生じ、引き違い戸の表面をフラットな面にできず、インナースキンの見栄えが悪いものとなる。
【0003】
従来、一方の障子と他方の障子を閉じ位置において、面外方向に同一の位置と面外方向に異なる位置とに亘って面外方向に平行移動自在とし、閉じ状態で、表面を段差のないフラット面にできると共に、一方の障子と他方の障子を開き位置に向けて面内方向に移動できるようにした引き違い戸が提案されている。
例えば、特許文献2に開示したように、一方の障子の上部と下部にガイドとローラを設け、他方の障子の上部と下部にもガイドとローラを設け、そのガイド、ローラを上下の案内部材のガイド溝に沿って面内方向に閉じ位置と開き位置とに亘って移動自在とし、上下の案内部材の面内方向中間部に摺動部材を面外方向に移動自在に設け、召合せ部寄りに設けたガイド、ローラを摺動部材とともに面外方向に移動できるようにし、前記各ガイド溝の面外方向一端寄りを面外方向に折曲し、戸先寄りに設けたガイド、ローラを面外方向に移動できるようにすることで、一方の障子と他方の障子を閉じ位置において面外方向に平行移動できるようにした引き違い戸が提案されている。
この引き違い戸をインナースキンに使用すれば、閉じ状態で一方の障子の表面と他方の障子の表面が面一となり、インナースキンの表面をフラットな面とすることができるから、見栄えが良いものにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−256637号公報
【特許文献2】特公平8−23245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の引き違い戸は、障子を面外方向に平行移動するので、障子の上部と下部を面外方向に移動可能に支承しなければならず、上下の案内部材の面内方向中間部に摺動部材をそれぞれ設けると共に、上下の案内部材のガイド溝の面内方向一端寄りをそれぞれ面外方向に折曲しているから、部品点数が多く、複雑でコスト高である。
【0006】
本発明の目的は、開閉できると共に、閉じ状態で表面をフラットな面にでき、しかも部品点数が少なく、単純でコスト安の建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、枠体に設けられ、面内方向に移動するスライド障子と、面外方向に揺動するスイング障子を備え、
前記スイング障子は、その上部又は下部を支点として閉じ姿勢と開き姿勢とに亘って面外方向に揺動自在で、該スイング障子が閉じ姿勢のときには、そのスイング障子の表面とスライド障子の表面が面一に連続し、開き姿勢のときには、そのスイング障子とスライド障子が面外方向に離隔し、
前記スライド障子が閉じ位置で、スイング障子が閉じ姿勢のときに、スライド障子の召合せ部とスイング障子の召合せ部が連続した閉じ状態となるようにしたことを特徴とする建具である。
【0008】
本発明においては、前記スイング障子を、開き姿勢で面内方向に移動できるようにできる。
このようにすれば、閉じ状態でスイング障子により閉塞されていた部分を開放できる。
【0009】
本発明においては、前記枠体に、前記スイング障子の上部を面外方向に揺動自在で、かつ面内方向に移動自在に支持し、
そのスイング障子は、自重によって開き位置に揺動して保持されると共に、外力を加えることで閉じ姿勢に揺動するようにできる。
このようにすれば、開き姿勢のスイング障子に面内方向の力を加えるだけで移動できるから、そのスイング障子を簡単に面内方向に移動できる。
【0010】
本発明においては、前記スイング障子の下部を閉じ姿勢で保持する保持手段を設けることができる。
このようにすれば、自重で開き姿勢に揺動するスイング障子を閉じ姿勢で確実に保持することができる。
【0011】
本発明においては、前記枠体の下部と、スイング障子の下部とに亘って、開き姿勢のスイング障子の下部を面内方向に移動自在にガイドする補助ガイド手段を設けることができる。
このようにすれば、開き姿勢のスイング障子を面外方向に振れ動くことなく、安定して面内方向に移動できる。
【0012】
本発明においては、前記枠体の上部に、上案内部材と、その上案内部材よりも下方の障子支持面と、上案内部材よりも面外方向一側寄りの支持部材を設け、
前記スライド障子の上部に設けた上支承部材を前記上案内部材に沿って面内方向に移動自在とすると共に、このスライド障子の裏面上部を前記障子支持面と対向し、
前記スイング障子の上部における当該スイング障子の重心よりも面外方向一側寄りに被支持部材を設け、この被支持部材を前記支持部材に面外方向に揺動自在で、かつ面内方向に移動自在に支持することで、スイング障子は自重で面外方向一側寄りの開き姿勢に揺動し、外力を加えることで面外方向他側寄りの閉じ姿勢に揺動するようにし、
前記スイング障子が閉じ姿勢のときに、そのスイング障子の裏面上部が前記障子支持面と対向するようにできる。
このようにすれば、スライド障子とスイング障子を同一の障子とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイング障子を開き姿勢とすることでスライド障子を面内方向に移動して開閉できる。
前記スイング障子を閉じ姿勢に揺動すると共に、スライド障子を閉じ位置とした閉じ状態では、スイング障子の表面とスライド障子の表面が面一に連続するから、閉じ状態で表面をフラットな面にできる。
しかも、スライド障子を面内方向に移動し、スイング障子を面外方向に揺動すれば良く、障子を面外方向に平行に移動しなくとも良いので、部品点数が少なく、単純でコスト安とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】カーテンウォールのインナースキン部分の内観図である。
【図2】図1のA−A拡大断面図である。
【図3】図1のB−B拡大断面図である。
【図4】スイング障子が開き姿勢でスライド障子が開き位置の断面図である。
【図5】図2の障子上部取付部分の拡大図である。
【図6】図3の障子上部取付部分の拡大図である。
【図7】図4の障子上部取付部分の拡大図である。
【図8】補助ガイド手段部分の断面図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図4に示すように、カーテンウォールはインナースキン1とアウタースキン2を備え、そのインナースキン1は枠体3の面外方向一側寄り(室内側寄り)に設けてあると共に、アウタースキン2は枠体3の面外方向他側寄り(室外側寄り)に設けてあり、そのインナースキン1とアウタースキン2との間に空気層4を有している。
前記インナースキン1は、面内方向に移動するスライド障子5と、面外方向に揺動するスイング障子6を備え、このインナースキン1が本発明の建具である。
【0016】
前記スライド障子5は面外方向に動くことなく、図2に示す垂直な姿勢を維持して面内方向に移動する。例えば、枠体3の上部に設けた上案内部材7と下部に設けた下案内部材8に沿って面内方向に移動する。
前記スイング障子6は、その上部又は下部を支点として閉じ姿勢と開き姿勢に揺動する。例えば、上部を支点として図3に実線で示す面外方向他側寄りの閉じ姿勢と、図3に仮想線で示す面外方向一側寄りの開き姿勢とに亘って面外方向に揺動自在である。
このスイング障子6が閉じ姿勢のときには、そのスイング障子6の表面6aとスライド障子5の表面5aが面一に連続し、インナースキン1(建具)の表面はフラットな面である。前述の表面5a,6aは面外方向一側面(室内側面)である。
【0017】
前記スイング障子6が開き姿勢のときには、スライド障子5とスイング障子6が面外方向に離隔し、スライド障子5がスイング障子6と干渉せずに面内方向に移動できる。例えば、図4に示すように、そのスイング障子6の裏面6bはスライド障子5の表面5aよりも面外方向一側寄りに位置し、スイング障子6とスライド障子5が干渉せずに、スライド障子5をスイング障子6に向けて面内方向に移動できるから、図4に示すように、スライド障子5をスイング障子6の裏面6bと対向した開き位置とすることができる。
前記スライド障子5が閉じ位置でスイング障子6が閉じ姿勢のときには、図1に示すようにスライド障子5の召合せ部5bとスイング障子6の召合せ部6cが直接又は緩衝材等を介して接し、召合せ部5b,6cが連続した閉じ状態となる。
【0018】
このようであるので、スライド障子5を閉じ位置と開き位置に亘って面内方向に移動して開閉できる。
前記スライド障子5を閉じ位置、スイング障子6を閉じ姿勢とした閉じ状態ではスライド障子5の表面5aとスイング障子6の表面6aを面一に連続してフラットな面となる。
【0019】
しかも、スライド障子5を面内方向に移動自在とし、スイング障子6を面外方向に揺動自在とすれば良く、障子を面外方向に平行移動するための部品が不要で、上案内部材7、下案内部材8は直線状で良く、障子を面外方向に平行移動するために折曲させる必要がないから、部品点数が少なく、単純でコスト安とすることができる。
【0020】
前述のように、スライド障子5を開き位置とすることで、閉じ状態においてスライド障子5で閉塞されていた部分を開放し、その開放部分から空気層4内の点検等を実施することができるから、前述のスイング障子6は面内方向に移動しなくとも良い。
この場合には、スイング障子6の上部又は下部を枠体3にヒンジ等で面外方向に揺動自在に取り付けることができる。
しかし、スイング障子6が面内方向に移動しないと、そのスイング障子6で閉塞されていた部分を開放できないから、空気層4内のスイング障子6と対向した部分の点検等がやりづらいことがある場合には、スイング障子6を面内方向に移動自在とし、閉じ状態においてスイング障子6で閉塞されていた部分を開放できるようにする。
【0021】
例えば、スイング障子6の上部を、枠体3に設けた支持部材9に開き姿勢と閉じ姿勢に亘って面外方向に揺動自在で、かつ面内方向に移動自在に支持する。
このようにすれば、スイング障子6を開き姿勢に揺動した状態で、そのスイング障子6を面内方向に移動し、スイング障子6をスライド障子5の面外方向一側方に位置させることによって、スイング障子6で閉塞されていた部分を開放することができる。
【0022】
前記スイング障子6は外力を加えることで開き姿勢と閉じ姿勢に揺動するようにしても良いが、自重で開き姿勢に保持されると共に、外力を加えることで閉じ姿勢に揺動できるようにしても良い。
例えば、図3、図4に示すように、スイング障子6の上部を、枠体3に設けた支持部材9に開き姿勢と閉じ姿勢に亘って面外方向に揺動自在に支持し、その支持部とスイング障子6の重心位置の関係を、そのスイング障子6が自重によって開き姿勢に揺動して保持されるようにし、スイング障子6に面外方向他側方に向かう外力を加えることで閉じ姿勢に揺動できるようにしてある。
【0023】
このようにすれば、スイング障子6を開き姿勢として面内方向に移動するときに、スイング障子6に面内方向に向かう力(移動力)を加えるだけで良いので、スイング障子6を簡単に面内方向に移動することができる。
【0024】
次に、各部の実施の形態を詳細に説明する。
図1〜図4に示すように、インナースキン1とアウタースキン2はカーテンウォールの枠体3を構成する上横枠材30と下横枠材31に取り付けられ、カーテンウォールの窓部を構成する。下横枠材31の下方にペリメータ10の上横材11が位置し、上横枠材30に天井12が接している。
前記上横枠材30の面外方向中間部に上案内部材7が設けてあると共に、面外方向一側部に支持部材9が設けてある。
この上案内部材7と支持部材9は面外方向に離隔していると共に、略同一高さ位置である。
前記上横枠材30の面外方向他側部にアウタースキン2の上部が取り付けてある。
前記下横枠材31の面外方向寸法は上横枠材30の面外方向寸法よりも小さく、その下横枠材31の面外方向一側部に下案内部材8が設けてあると共に、面外方向他側部にアウタースキン2の下部が取り付けてある。
この下案内部材8は上案内部材7と面外方向にほぼ同一位置である。
【0025】
前記スライド障子5の上部に設けた上支承部材50が上案内部材7に沿って面内方向に移動自在に接し、スライド障子5の下部に設けた下支承部材51が下案内部材8に沿って面内方向に移動自在に接している。
この実施の形態では、上案内部材7は上向きのレールで、上支承部材50は戸車で、スライド障子5の上部に上ブラケット52で取り付けてあり、この戸車がレールに接することで、スライド障子5の上部が上横枠部材30の面外方向中間部に面内方向に走行自在に吊り下げてある。
前記下案内部材8は下向きのガイド溝を有し、下支承部材51はローラで、スライド障子5の下部に取り付けた下ブラケット53に上向きに取り付けてあり、そのローラがガイド溝内に回転自在に挿入してスライド障子5の下部を面外方向に振れ動くことがないようにガイドしている。
前記上下案内部材7,8と上下支承部材50,51は前述のものに限ることはなく、ガイド溝やレール、戸車や摺動子などのようにスライド障子5を面内方向に移動自在に支承するものであれば良い。
【0026】
前記スイング障子6の上部に被支持部材60が取り付けてあり、この被支持部材60が前記支持部材9に面外方向に揺動自在に支持してある。
前記スイング障子6の下部を閉じ姿勢で保持する保持手段が設けてある。
例えば、前記スイング障子6の下部と、枠体3の下部である下横枠材31とに被保持部材61と保持部材62を設け、スイング障子6が閉じ姿勢のときに、そのスイング障子6の下部を下横枠材31に保持する。
この被保持部材61と保持部材62は磁石で、スイング障子6を閉じ姿勢とすることで吸着し、スイング障子6の下部を閉じ姿勢に保持し、スイング障子6の下部を強い力で面外方向一側方に向けて引張ることで離脱する。
前記被保持部材61と保持部材62は磁石に限ることはなく、フックとフック受け、ラッチとラッチ受け、ビスとビス穴、レバーとレバー受け等でも良い。
【0027】
このようにすることで、スイング障子6の下部を被保持手段61と保持手段62で下横枠材31に保持することで、自重で開き姿勢に揺動するスイング障子6を閉じ姿勢とすることができる。
しかも、被保持手段61と保持手段62を離脱することでスイング障子6を開き姿勢に揺動することができる。
【0028】
前記上横枠材30は図5〜図7に示すように、面外方向一側寄りに下向き凹部32を有し、その下向き凹部32の面外方向他側内面32aにおける上下中間部に上案内部材7が設けられ、その上案内部材7よりも下方に障子支持面33を有し、その障子支持面33に上横シール材34が面外方向一側方に向けて装着してある。
前記下向き凹部32の面外方向一側内面32bに支持部材9が設けてある。
前記スライド障子5は図5に示すように、ガラス板54の上端面と面外方向一側面の上部に亘って上枠材55を面内方向全長に亘って取り付け、その上枠材55の面内方向の複数位置に上ブラケット52を固着して取り付け、その上ブラケット52に上支承部材50として戸車を取り付け、その戸車を上案内部材7としての上向きのレールに接してスライド障子5の上部を面内方向に移動自在に支承している。
そして、ガラス板54の面外方向他側面、つまりスライド障子5の裏面5cの上部が前記障子支持面33と対向し、上横シール材34と接して障子支持面33で支持される。
【0029】
前記スイング障子6は図6に示すように、スライド障子5と同様にガラス板63の上端面と面外方向一側面の上部に亘って上枠材64を取り付けてある。
前記上枠材64の面内方向複数位置に上ブラケット65を面外方向一側方に向けて固着して取り付け、この上ブラケット65に被支持部材60として戸車を取り付けてある。
この戸車が支持部材9としての上向きのレールに接し、スイング障子6の上部が面外方向に揺動自在で面外方向に移動自在に支持されている。
このように、被支持部材60としての戸車は、スイング障子6の重心よりも面外方向一側寄りであるので、スイング障子6の支持中心(戸車と上向きレールの接触部)6Aはスイング障子6の重心よりも面外方向一側寄りに位置し、スイング障子6は自重によって図6に仮想線、図7に実線に示すように、前述の支持中心6Aを支点とし、垂直姿勢に対して下部が上部よりも面外方向一側寄りとなるように斜めの開き姿勢に揺動する。
【0030】
前述のように、スイング障子6が斜めの開き姿勢のときに、図7に示すようにスイング障子6の上部(ガラス板63の上部、上枠材64、上ブラケット65)がスライド障子5の上部(ガラス板54の上部、上枠材55、上ブラケット52)よりも面外方向一側寄りで、スライド障子5とスイング障子6を相互に面内方向に移動しても干渉しないようにしてある。
【0031】
図6に示すように、前記スイング障子6が閉じ姿勢のときにスイング障子6の上部が上案内部材7と干渉することがなく、ガラス板63の面外方向他側面、つまりスイング障子6の裏面6bが前記上横枠材30の障子支持面33と対向し、前述の上横シール材34と接して障子支持面33で支持される。
このように、上案内部材7よりも下方に障子支持面33を形成し、この障子支持面33にスライド障子5の裏面5c、閉じ姿勢のスイング障子6の裏面6bを対向させたので、面外方向寸法(見込み方向)が同一のスライド障子5とスイング障子6を用い、スイング障子6を閉じ姿勢としたときに、そのスイング障子6の表面6aとスライド障子5の表面5aを面一に連続したフラットな面にでき、スライド障子5とスイング障子6を同一の障子とすることができる。
【0032】
前述のように、被支持部材60を支持部材9に沿って面内方向に移動することで、開き姿勢のスイング障子6を面内方向に移動するときに、そのスイング障子6が面外方向に振れ動き不安定となる場合には、スイング障子6の下部を面内方向に移動自在にガイドする補助ガイド手段を設け、スイング障子6が面外方向に振れ動かないようにし、安定して面内方向に移動できるようにする。
例えば、図8と図9に示すように、スイング障子6の下部に補助支承部材70を設け、枠体3の下部である下横枠材31に補助案内部材71を設ける。
スイング障子6が開き姿勢のときに補助支承部材70が補助案内部材71に沿って面内方向に移動自在となると共に、スイング障子6が閉じ姿勢のときには補助支承部材70が補助案内部材71よりも面外方向他側寄りに移動するようにする。
【0033】
前記補助支承部材70は、スイング障子6の下部に取り付けたブラケット72に下向きに設けたローラで、前記補助案内部材71は面外方向一側縦板73と他側縦板74と底板75で上向きコ字状のガイド溝で、このガイド溝は前記下案内部材8である下向きコ字状のガイド溝よりも下方で、かつ面外方向一側寄りに位置し、スライド障子5の下支承部材51が干渉しないようにしてある。
前記面外方向他側縦板74のローラと対向した部分が切欠きされ、その切欠き部76を通りローラがガイド溝内に出入り自在であるから、スイング障子6が開き姿勢のときにはローラがガイド溝内に嵌まり合い、スイング障子6が閉じ姿勢のときにはローラがガイド溝から抜け出して図8に仮想線で示すように、下横枠材31の下案内部材8よりも下方に位置する。
前記ガイド溝の底板75と連続した横板77が、カーテンウォールのペリメータ10の上横材11に接している。
【0034】
前記補助ガイド手段は前述のものに限ることはなく、開き姿勢のスイング障子6の下部を面内方向に移動自在にガイドし、そのスイング障子6を閉じ姿勢に揺動できるものであれば良い。
例えば、ガイド溝(補助案内部材71)を下横枠材31のガイド溝(下案内部材8)の下方位置に設け、このガイド溝に嵌まり込むローラ(補助支承部材70)をステーに取り付け、そのステーをスイング障子6の下部に面外方向に揺動自在に連結し、スイング障子6を開き姿勢とすることでステーが面外方向一側方に向かうように揺動し、閉じ姿勢とすることでステーがスイング障子6の下部と略平行となるように揺動する。
【0035】
前述の説明では、スイング障子6を面外方向一側方に揺動して開き姿勢としたが、スイング障子6を面外方向他側方(室外側)に揺動して開き姿勢としても良い。
例えば、スイング障子6の上部を面外方向に揺動自在に支持し、面外方向他側方に揺動することで開き姿勢とし、そのスイング障子6の表面6aをスライド障子5の裏面よりも面外方向他側寄りとすることで、スライド障子5をスイング障子6と干渉せずに面内方向に移動できるようにする。
【0036】
前述の説明では、カーテンウォールのインナースキンとしたが、室内間仕切りなどにも利用できることは勿論である。
また、スライド障子5とスイング障子6を交互に設けても良いし、複数のスライド障子5ごとにスイング障子6を設けても良い。
【符号の説明】
【0037】
1…インナースキン、2…アウタースキン、3…枠体、4…空気層、5…スライド障子、5a…表面、5b…召合せ部、5c…裏面、6…スイング障子、6a…表面、6b…裏面、7…上案内部材、8…下案内部材、9…支持部材、50…上支承部材、51…下支承部材、60…被支持部材、61…被保持部材、62…保持部材、70…補助支承部材、71…補助案内部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に設けられ、面内方向に移動するスライド障子と、面外方向に揺動するスイング障子を備え、
前記スイング障子は、その上部又は下部を支点として閉じ姿勢と開き姿勢とに亘って面外方向に揺動自在で、該スイング障子が閉じ姿勢のときには、そのスイング障子の表面とスライド障子の表面が面一に連続し、開き姿勢のときには、そのスイング障子とスライド障子が面外方向に離隔し、
前記スライド障子が閉じ位置で、スイング障子が閉じ姿勢のときに、スライド障子の召合せ部とスイング障子の召合せ部が連続した閉じ状態となるようにしたことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記スイング障子を、開き姿勢で面内方向に移動できるようにした請求項1記載の建具。
【請求項3】
前記枠体に、前記スイング障子の上部を面外方向に揺動自在で、かつ面内方向に移動自在に支持し、
そのスイング障子は、自重によって開き位置に揺動して保持されると共に、外力を加えることで閉じ姿勢に揺動するようにした請求項1記載の建具。
【請求項4】
前記スイング障子の下部を閉じ姿勢で保持する保持手段を設けた請求項3記載の建具。
【請求項5】
前記枠体の下部と、スイング障子の下部とに亘って、開き姿勢のスイング障子の下部を面内方向に移動自在にガイドする補助ガイド手段を設けた請求項3又は4記載の建具。
【請求項6】
前記枠体の上部に、上案内部材と、その上案内部材よりも下方の障子支持面と、上案内部材よりも面外方向一側寄りの支持部材を設け、
前記スライド障子の上部に設けた上支承部材を前記上案内部材に沿って面内方向に移動自在とすると共に、このスライド障子の裏面上部を前記障子支持面と対向し、
前記スイング障子の上部における当該スイング障子の重心よりも面外方向一側寄りに被支持部材を設け、この被支持部材を前記支持部材に面外方向に揺動自在で、かつ面内方向に移動自在に支持することで、スイング障子は自重で面外方向一側寄りの開き姿勢に揺動し、外力を加えることで面外方向他側寄りの閉じ姿勢に揺動するようにし、
前記スイング障子が閉じ姿勢のときに、そのスイング障子の裏面上部が前記障子支持面と対向するようにした請求項3〜5いずれか1項記載の建具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−193586(P2012−193586A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60034(P2011−60034)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】