説明

建屋の基礎

【課題】本発明は、基礎が地震等で傾いた場合でも簡単に修復できる基礎の新規構造の提案にある。
【解決手段】本発明は、建屋の基礎であって、当該基礎は上部基礎と下部基礎の2層からなり、当該2層の外縁接触面には両層に渡る空所が外面に向かって開口され、かつ前記上部基礎と下部基礎は互いにその位置が水平方向にずれないよう固定されるが、上部基礎は上方向に移動可能とした建屋の基礎である。
基礎の傾きを修復できるよう基礎を2層とし、その2層とした基礎の水平方向のずれを防止し、上層を移動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の沈下等に伴う建て屋基礎を修復可能とするための基礎技術に属する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤上の建屋は地震等によりその基礎が傾き居住不能となる事態に陥ることがある。基礎が傾いた場合の修復方法は、基礎の下に膨張性の樹脂を注入しその膨張により基礎の傾きを修復する工法(特開2008−201082、特開2010−126955)、あるいは基礎の周辺を掘り下げ、耐圧板を介し基礎をジャッキアップする方法、建て屋の基礎下を掘り起こし家屋の荷重で鋼管を支持層まで打ち込み鋼管の反力を利用して家屋を支えジャッキアップして基礎の傾きを修復する方法等が実用に供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−201082
【特許文献2】特開2010−126955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基礎が地震等で傾いた場合でも簡単に修復できる基礎の新規構造の提案にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建屋の基礎であって、当該基礎は上部基礎と下部基礎の2層からなり、当該2層の外縁接触面には両層に渡る空所が外面に向かって開口され、かつ前記上部基礎と下部基礎は互いにその位置が水平方向にずれないよう固定されるが、上部基礎は上方向に移動可能とした建屋の基礎である。
基礎の傾きを修復できるよう基礎を2層とし、その2層の基礎のうち上層を移動可能とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、(1)基礎を上下2層に構成し、2層の水平方向へのズレを防止し、上層のみを上方に移動できるようにしたため基礎を水平に修復できる。(2)2層の外縁接触面には両層に渡る空所を外面に向かって開口したため、この空所にジャッキ等を設置し上部基礎を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、2層とした建屋基礎がべた基礎の場合の概念図を示す。
【図2】は、基礎の平面図、側断面図を示す。
【図3】は、2層とした建屋基礎が布基礎の場合の概念図を示す
【図4】は、上部基礎のジャッキアップの状況を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を、図を用いて、より詳細に説明する。
図1は、2層としたべた基礎と建屋を示す概念図である。本べた基礎は、上部基礎と下部基礎の2層構造となっている。上部基礎と下部基礎の間にはシート類を挟み、両層が直接接触しないようになっている。基礎の側面縁部には両層に渡り空所が設けられ、本空所に上部基礎を上方に移動させるジャッキ等が設置できるようになっている。
【0009】
図2は、べた基礎の平面図および側断面図である。本図では空所は各側面に3箇所設けられているが特にその数に制限はない。空所は上下2層の基礎にまたがるように設けられている。また上部基礎と下部基礎が地震などにより水平方向にずれないよう図では、基礎の4隅は下基礎に設けられた杭により上部基礎が嵌合している。上部基礎と嵌合する部分は細めに形成され、シリコンゴム等の弾性体が巻かれている。こうする事により、上部基礎が斜めに上昇する時の歪を弾性体が吸収する。
上部基礎と下部基礎の水平方向へのズレの防止は上記方法に限らず、例えば図3に示すように、基礎の各隅に断面L型の杭を打ち込むことで防止してもよい。
【0010】
図3は、布基礎の平面図および側断面図である。基本的にはべた基礎の場合と同じである。また独立基礎の場合、各基礎を上記と同様上部基礎と下部基礎との2層構造とすればよい。
【0011】
図4は、基礎側面に設けられた空所に油圧ジャッキ等を設置し、上部基礎を上方に動かす状態を示している。上部基礎を上方に移動させる方法はジャッキに限らず、空所に蓋し、蓋に設けた隙間より膨張性のポリマー溶液を流し込む方法、あるいは空所に蓋し、気密性を有する袋を挿入し、蓋に設けた隙間と袋の開口部を合わせ、空気を袋内に供給することにより膨らませることにより上部基礎を上方に移動させることでもよい。
【0012】
上部基礎を上方に移動させ水平とした後、下部基礎と上下基礎との間にコンクリート、硬質ポリウレタンフォーム等を流し込み固定すれば建屋は水平に修復される。
【産業上の利用可能性】
【0013】
建屋の基礎として利用できる。特に軟弱地盤に建築する場合、地震に対する備えとして有効である。
【符号の説明】
【0014】
1 基礎
2 上部基礎
3 下部基礎
4 空所
5 杭
6 弾性体
7 ジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の基礎であって、当該基礎は上部基礎と下部基礎の2層からなり、当該2層の外縁接触面には両層に渡る空所が外面に向かって開口され、かつ前記上部基礎と下部基礎は互いにその位置が水平方向にずれないよう固定されるが、上部基礎は上方向に移動可能とした建屋の基礎。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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