説明

建材表皮用ポリオレフィンフィルムおよびそれを用いた壁紙

【課題】耐傷付き性、耐汚染性および汚染除去性に優れた壁紙を提供すること。
【解決手段】基材上に、ポリオレフィン樹脂組成物から形成される発泡層が積層された積層体の発泡樹脂層に、ポリオレフィンフィルムが積層することにより壁紙とする。ここでポリオレフィンフィルムが少なくとも2層からなるフィルムであって、表面層(X)がポリプロピレン樹脂組成物からなり、内層(Y)が融点80〜140℃の範囲にあるエチレン系共重合体からで形成され、表面層側の60度の入射角で測定したグロスが50%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は柔軟性、耐傷付き性、耐汚染性、汚染除去性に優れた建材表皮用ポリオレフィンフィルムおよびそれを用いた壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
壁紙は、紙基材の上に合成樹脂シートが表面側に貼り合わされた構造体になっているが、合成樹脂発泡シートとして塩化ビニル樹脂製のシートが広く使用されている。塩化ビニル樹脂シートは、成形加工性の良さ、難燃性を有すること、および低コストである利点が評価されて広く利用されている。しかし、塩化ビニル樹脂から得られる壁紙は、耐傷付き性、耐汚染性、汚染除去性に劣るため、これらを改良する方法が検討されている。
特開2000−281844号公報には、エチレン(共)重合体を主成分としたポリオレフィン樹脂組成物から形成される発泡樹脂層を基材に積層させた壁紙が開示されている。
特開平9−193315号公報には、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂/ポリオレフィン樹脂からなる積層体に、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)を積層した壁紙が開示されている。
【0003】
特開2001−260287号公報には、発泡樹脂層にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムが積層された壁紙が開示されている。
これらのポリオレフィン樹脂組成物から得られる壁紙は塩化ビニル壁紙に比べ耐汚染性等に優れるが、実用的には未だ不充分であり、更なる改良が望まれている。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムを積層することにより耐傷付き性、耐汚染性を改良することが可能であるが、特に発泡樹脂層をポリオレフィン樹脂組成物とした場合は、発泡樹脂層との接着強度が不充分であった。
【0004】
特開2002−1883号公報には、内層に接着性樹脂を設けた壁装材用ポリオレフィンフィルムが開示されている。同公報による方法でも、特に発泡樹脂層をポリオレフィン樹脂組成物とした場合は、発泡樹脂層との接着強度が不充分であった。
【特許文献1】特開2000−281844号公報
【特許文献2】特開平9−193315号公報
【特許文献3】特開2001−260287号公報
【特許文献4】特開2002−1883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、建材表皮用、特には壁紙の表皮用として柔軟性、耐傷付き性、耐汚染性、汚染除去性に優れ、かつ表面の意匠性にも優れたポリオレフィンフィルムについて鋭意検討した結果、特定樹脂組成物から得られる多層ポリオレフィンフィルムにより上記課題が解決し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
少なくとも2層からなるフィルムであって、表面層(X)がポリプロピレン樹脂組成物からなり、内層(Y)が融点80〜140℃の範囲にあるエチレン系共重合体からで形成され、表面層側の60度の入射角で測定したグロスが50%以下であることを特徴とする建材表皮用ポリオレフィンフィルムであり、
基材(A)上に、エチレン系(共)重合体および難燃剤および/または無機フィラーからなるポリオレフィン樹脂組成物から形成される発泡樹脂層(B)が積層された積層体の発泡樹脂層に、前記ポリオレフィンフィルムの内層(Y)が向かい合うように積層されてなることを特徴とする壁紙である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建材表皮用ポリオレフィンフィルムは、柔軟性、耐傷付き性、耐汚染性、汚染除去性に優れ、かつ表面の意匠性にも優れている。本発明の建材表皮用ポリオレフィンフィルムを用いた壁紙は、カールが少なく耐傷付き性に優るとともに、従来の問題点であった表面フィルムの光沢が低減できる。さらに、基材との接着力に優れたフィルムを用いるため、加工性も良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、特定の樹脂組成物で形成される建材表皮ポリオレフィンフィルムに関する。さらには基材(A)上に、ポリオレフィン樹脂組成物から形成される発泡樹脂層(B)が積層された積層体の樹脂層に、上記ポリオレフィンフィルムが積層されてなることを特徴とする壁紙に関する。
【0009】
建材表皮用ポリオレフィンフィルム
本発明の建材表皮用ポリオレフィンフィルムは、少なくとも2層からなるフィルムであって、表面層(X)がポリプロピレン樹脂組成物からなり、内層(Y)が融点80〜140℃の範囲にあるエチレン系共重合体からで形成され、表面層側の60度の入射角で測定したグロスが50%以下であることを特徴とする建材表皮用ポリオレフィンフィルムである。
【0010】
表面層(X)を形成するポリプロピレン樹脂組成物としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレンを除く炭素数2〜10までのランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体や、これらプロピレン(共)重合体とエチレン系重合体との組成物を挙げることができる。組成物に使用されるエチレン系重合体は、密度が0.920〜0.970g/cmの低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレン、好ましくは密度0.930〜0.970g/cmの低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレン、より好ましくは密度0.940〜0.970g/cmの高密度ポリエチレンである。エチレン系重合体のメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重、以下MFRと略記)としては、0.01〜10g/10分、好ましくは0.05〜5g/10分の範囲にある。
【0011】
ポリプロピレン樹脂組成物に用いるプロピレン(共)重合体の好ましい例としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体を挙げることができる。ブロック共重合体中のエチレン含量は3〜15重量%、好ましくは4〜12重量%である。ブロック共重合体中のゴム成分量としては、5〜20重量%、好ましくは7〜18重量%である。ここで、ゴム成分量は、ブロック共重合体をp−キシレンに加熱溶解後、室温で析出させた際の溶解分量で求められる。MFR(230℃、2.16kg荷重)としては、1〜30g/10分、好ましくは3〜20g/10分の範囲にある。
【0012】
さらには、上記プロピレン(共)重合体とエチレン系重合体との組成物を形成するにあたり、プロピレン(共)重合体のMFR(p)とエチレン系重合体のMFR(e)との比MFR(p)/MFR(e)が5〜50、好ましくは10〜40、さらに好ましくは15〜30の範囲にある。そうすることで、建材用ポリオレフィンフィルムの表面層として良好な光沢も持つフィルムが得られる。
ポリプロピレン樹脂組成物中のエチレン系重合体成分量としては、0〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0013】
内層(Y)を形成するエチレン系共重合体としては、融点80〜140℃の範囲にあるエチレン−α−オレフィン共重合体を挙げることができる。好ましい融点としては、85〜130℃、さらに好ましくは90〜120℃の範囲にある。メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)としては、0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲にある。密度としては、0.880〜0.940g/cm、好ましくは0.890〜0.935g/cm、さらに好ましくは0.900〜0.930g/cmの範囲にある。特に好ましいエチレン系共重合体としては、メタロセン触媒を用いて得られるエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。α―オレフィンの好ましい例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンを挙げることができる。
【0014】
このようなポリプロピレン樹脂組成物および/またはエチレン系共重合体には、本発明の建材用ポリオレフィンフィルムとしての性能を損なわない範囲で、必要に応じて他の合成樹脂やゴム、または酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、結晶核剤等、顔料、塩酸吸収剤等の添加物を含んでいてもよい。
本発明の建材用ポリオレフィンフィルムの製造法については、T−ダイ成形、インフレーション成形やカレンダー成形などのポリオレフィンフィルムを得ることのできる公知の方法を採用することができる。本発明においては、ポリオレフィンフィルムとして、上記得られたフィルムを少なくとも一方向に延伸したフィルムも使用可能である。さらには、他のポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、EVOHフィルム等との積層フィルムとして使用することも可能である。
【0015】
ポリオレフィンフィルム中の表面層(X)の厚みとしては、3〜30μm、好ましくは5〜20μm、内層(Y)の厚みとしては、1〜20μm、好ましくは1〜10μmである。
【0016】
なお、本発明のポリオレフィンフィルムの表面層および/または内層には、印刷性や接着性を改良する目的で、コロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理等のポリオレフィンフィルム表面を酸化処理する公知の処理が施されていてもよい。
このようにして得られる本発明のポリオレフィンフィルムの入射角60度で測定したグロスが50%以下、好ましくは2〜30%の範囲にある。
【0017】
本発明においては、上述のような特性を有するポリオレフィンフィルムを後述する発泡樹脂層へ積層することにより、発泡樹脂層との接着強度が高く、耐傷付き性、耐汚れ性に優れ、さらには印刷が施された発泡樹脂層にポリオレフィンフィルムを積層し、エンボス加工することで、光沢が少なく、意匠性に優れた壁紙を得ることができる。
【0018】
壁紙
本発明の壁紙における基材(A)は、一般には紙基材が用いられる。紙基材としては、天然パルプや合成パルプから抄造した紙、それらに無機物を混ぜて混抄した紙など、壁紙に使用目的に沿って選択される。発泡樹脂層(B)(以下、発泡樹脂シート(層)と記載する場合もある)が、それ自身で耐水性、難燃性を有している場合は、紙基材に特にその性質を要求しなくても一般用途に使用できるが、基材(A)として無機物を含む難燃紙、例えば水酸化アルミニウム等を含む紙を使用すると一層難燃性が向上するので、安全性を高める上で好ましい。
【0019】
上記基材(A)に積層して本発明の壁紙の構成する発泡樹脂層(B)は、エチレン系(共)重合体を主成分としたポリオレフィン樹脂組成物である。エチレン系(共)重合体の具体例としては、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3〜20までのα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0020】
ポリオレフィン樹脂組成物に用いられるエチレン系(共)重合体の具体例としてはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体単独または他のエチレン系(共)重合体との混合物が好ましい。エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(エチレン系(共)重合体)の好ましいα−オレフィンとしては1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。またエチレン系(共)重合体の密度は0.850〜0.920g/cm3、好ましくは0.850〜0.900g/cm3、より好ましくは0.855〜0.890g/cm3であり、MFR(190℃)が0.1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分である。
【0021】
ポリオレフィン樹脂組成物はエチレン系(共)重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの樹脂組成物であることも好ましく、その場合、エチレン系(共)重合体が50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%、高圧法低密度ポリエチレンが10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。
【0022】
難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和酸化物を挙げることができる。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂組成物に難燃剤および/または無機フィラーを含む場合、ポリオレフィン樹脂100重量部当たり難燃剤および/または無機フィラーを20〜150重量部、好ましくは30〜120重量部、より好ましく30〜90重量部配合することができる。
【0023】
このような好ましい範囲の樹脂組成物を発泡樹脂層(B)とすることで、本発明のポリオレフィンフィルムとの接着強度が向上し、これらの層間に接着剤等の接着層が不要となり、難燃性、衛生性の面から好ましい。このような樹脂組成物には、本発明の壁紙としての性能を損なわない範囲で、必要に応じて他の合成樹脂やゴム、または酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、結晶核剤等、顔料、塩酸吸収剤等の添加物を含んでいてもよい。
【0024】
また、前記ポリオレフィン樹脂組成物の各成分および必要に応じて各種添加剤を、例えばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、タンブラーミキサー、ロールや押出機等の混合機でブレンドした後、カレンダー成形、T−ダイ成形等の公知のシート成形機に供し、シートとすることが可能である。
【0025】
このような樹脂層に発泡剤を添加し、発泡温度および圧力条件下におくことによって発泡させることで、発泡樹脂層となる。発泡樹脂層の製造方法としては、予め発泡剤を添加した樹脂組成物から一旦未発泡シートを成形し、その後温度を上げて発泡樹脂シートへと変える方法を採用してもよく、または発泡剤を添加した樹脂組成物から直接発泡樹脂シートを得る方法であってもよい。
【0026】
使用可能な発泡剤としては、発泡樹脂シートの成形方法および成形温度を基準にして、化学発泡剤およびガス発泡剤(物理発泡剤)の中から適宜選ばれる。
化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゾスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p‘−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のヒドラジド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、またはこれらの混合物等を例示することができ、これらは成形条件でそれ自身が分解して発泡成形用にガスを発生するものである。また、必要に応じてこれらの発泡剤とともに発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の亜鉛化合物、サリチル酸、フタル酸、しゅう酸等の有機酸などが挙げられる。
【0027】
ガス発泡剤(物理発泡剤)としては、炭酸ガス、ジフルオロジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン等の炭化水素を例示することができ、これらは成形条件下でそれ自身がガスとなり、発泡成形に寄与するものである。ガス発泡剤(物理発泡剤)としては炭酸ガス、ブタンガス、フロンガスなどが適切である。発泡剤は、一種類を使用しても、あるいは複数種を併用してもかまわない。
【0028】
発泡シートの成形に際して、発泡剤を添加した樹脂組成物から一旦未発泡樹脂シートをロールまたはT−ダイを用いて成形し、その後その樹脂シートを発泡成形条件下に移すことによって発泡樹脂シートを製造する方法の場合には、ガス発泡剤よりも化学発泡剤の使用が好ましい。発泡成形については、エアーオーブンや加熱ロールの使用によって行うことができる。
【0029】
一方、樹脂組成物を押出機へ供給するとともに発泡剤を押出機の別の供給口から圧入して、ダイから直接発泡樹脂シートを成形する場合には、一般にガス発泡剤(物理発泡剤)が使用される。また、予め化学発泡剤を添加した樹脂組成物を押出機に供給し、同様にダイから直接発泡樹脂シートを引き取ることもできる。公知の発泡剤を添加し、発泡させることにより本発明の壁紙の発泡樹脂層(B)となる。発泡樹脂層(B)の厚みとしては、通常0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1mmである。発泡シート層(発泡樹脂層(B))表面には印刷により、あるいはエンボス加工、シボ加工により壁紙としてのデザインが施される。
【0030】
このようにして得られる発泡樹脂シートは、前述の紙等の基材(A)と積層することによって本発明の構成の一部である積層体となる。
基材(A)と発泡樹脂層(B)との積層体の製造は、例えば紙基材の上に予め発泡成形させた樹脂シートを重ね、両層間に接着剤を使用して積層してもよく、あるいは溶融ポリエチレン樹脂等を層間に押出すことによって圧着積層することもできる。また、別の方法として、紙基材の上に予め成形された未発泡の樹脂シートを積層接着しておき、あるいは紙基材上へ未発泡樹脂シートをラミネートして、その後この積層体を加熱炉や加熱ロールに通す等の発泡条件下におくことによって発泡させ、紙基材上に発泡樹脂シートが積層した積層体を得ることができる。その他に、紙基材上に、発泡剤を添加した樹脂組成物を押出機またはカレンダーロールから直接ラミネートして積層することもできる。
【0031】
本発明における壁紙は、前記積層体の発泡樹脂層(B)に、さらに前述した本発明の建材用ポリオレフィンフィルムを、ポリオレフィンフィルムの内層(Y)と発泡樹脂層(B)とを向かい合わせる(接触させる)ようにして積層することによって得られる。
ポリオレフィンフィルムと発泡樹脂層(B)とを積層する方法としては、両層の間に接着剤を使用するドライラミネーション法、ポリオレフィンフィルムおよび/または発泡樹脂層を加熱ロール等で加熱して熱により積層する方法、またはポリオレフィンフィルムの原料樹脂をダイスより押出し、溶融樹脂の状態にて発泡樹脂層と積層する押出ラミネーション法が使用できる。その他に、ポリオレフィンフィルムの原料樹脂と、発泡樹脂層に用いる樹脂組成物とを共押出法により積層することもできる。これらの中で、積層後の壁紙においてもカールが少なく、また接着強度も高いことから押出ラミネーション法や加熱ロールによる積層方法が好ましく使用できる。また、予め未発泡樹脂層にポリオレフィンフィルムを積層し、その後発泡させ、本発明の壁紙とすることもできる。
【0032】
次に実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[製造例1]
MFR(190℃)が3.6g/10分、密度が0.860g/cm3のエチレン・1−ブテンランダム共重合体(1−ブテン含量19モル%)70重量%、MFR(190℃)が9.5g/10分、密度が0.917g/cm3の高圧法低密度ポリエチレン30重量%、これら100重量部に対して、平均粒子径が3.4μmである炭酸カルシウム70重量部、さらに発泡剤としてアゾジカルボンアミド5重量部を加え、40mmφの押出機を兼備えたT−ダイ成形機にて、ダイス温度140℃で厚み130μmの未発泡樹脂シートを得た。得られた未発泡樹脂シートを目付量65g/m2の紙基材(普通紙)に140℃に加熱して貼り合わせた。さらにこれを210℃に設定した連続発泡炉に2分間通すことにより、発泡樹脂層の発泡倍率が4.5倍の積層体を得た。
【0033】
[製造例2]
幅300mmの多層T−ダイ成形機に、表面層用として、MFR(230℃)が7.0g/10分、エチレン含量が8重量%、ゴム成分量が11重量%のプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)80重量%および密度が0.963g/cm3のMFR(190℃)が0.3g/10分高密度ポリエチレン(HDPE−1)20重量%からなる樹脂組成物を使用し、内層用として、密度0.914g/cm3、MFR(190℃)が3.6g/10分のエチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−1)(メタロセン触媒で製造)、樹脂温220℃にて表面層厚み15μm、内層厚み5μmのポリオレフィンフィルムを得た。得られたフィルムのグロス値(60度)を表−1に示す。さらに、得られたフィルムの内層側に濡れ張力が40mN/mとなる様、コロナ処理を施し、後述の壁紙の製造に使用した。
【0034】
[実施例1]
製造例1で得られた発泡樹脂層に、製造例2で得られたポリオレフィンフィルムを加熱エンボス加工ロール(由利ロール(株)製)を用いて温度105℃、圧力(線圧)1t、回転速度5m/minの条件で積層させて壁紙サンプルを作成した。得られた壁紙の評価結果(耐傷つき性、接着強度、カール)を表−1に示す。
【0035】
耐傷つき性 : 壁紙の裏と表とを擦り合わせ、ポリオレフィンフィルム面を観察し、傷付き性評価とした。
【0036】
接着強度 : 壁紙サンプル表面に一定荷重(0.2MPa)の圧力で市販のガムテープを接着させた。これを剥離させたとき壁紙の表面状態を評価した。
【0037】
カール : 壁紙サンプルのTD方向における反り具合を観察し、カールの評価とした。
【0038】
[実施例2〜4、比較例1]
表−1記載の組成によるポリオレフィンフィルム(製造方法は製造例2と同じ)を使用したこと以外は実施例1と同様にして壁紙を得た。得られた壁紙の評価結果を表−1に示す。
【表−1】

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のポリオレフィンフィルムは、強度(耐傷つき性)・基材との接着性に優れるため、壁紙の表面保護フィルムとして適している。また本発明のポリオレフィンフィルムは従来のものよりも光沢が低いことから、これを用いることで風合いに優れた表面保護壁紙が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層からなるフィルムであって、表面層(X)がポリプロピレン樹脂組成物からなり、内層(Y)が融点80〜140℃の範囲にあるエチレン系共重合体からで形成され、表面層側の60度の入射角で測定したグロスが50%以下であることを特徴とする建材表皮用ポリオレフィンフィルム。
【請求項2】
基材(A)上に、エチレン系(共)重合体および難燃剤および/または無機フィラーからなるポリオレフィン樹脂組成物から形成される発泡樹脂層(B)が積層された積層体の発泡樹脂層に、請求項1記載のポリオレフィンフィルムの内層(Y)が向かい合うように積層されてなることを特徴とする壁紙。

【公開番号】特開2006−37259(P2006−37259A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216681(P2004−216681)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】