説明

建物及び建物の設計装置

【課題】消火ガスにより消火が行われる構成において、初期消火を好適に行いつつ人の安全性を高める。
【解決手段】建物10においては、例えば一階廊下22や子供部屋34等の屋内空間部が個別に消火区画S1〜S5として設定されており、消火区画S1〜S5ごとに消火設備が設けられている。消火設備としては、火災センサ、人感センサ、空気質センサ、操作部、空気質モニタ、換気装置、放出ヘッド等が挙げられる。特に、放出ヘッドは屋内空間部における内壁の床面近傍に配置されており、放出ヘッドからは空気より重い消火ガスが放出される構成となっている。したがって、放出ヘッドから消火ガスが放出された場合、消火区画S1〜S5においては空気層の下に消火ガス層が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物及び建物の設計装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、消火設備としてスプリンクラー設備が設けられていることがある。この場合、火災発生時にはスプリンクラー設備からの放水により消火することができる。ところが、放水による消火が行われると、鎮火させることはできるものの、建物自体や建物設備、事務用品、家具などが水に濡れたり水圧にて壊れたりする水損が発生してしまう。また、水に代えて粉末消火剤や泡消火剤を放出する消火設備が建物に設けられている場合でも、それら粉末消火剤や泡消火剤により建物自体や建物設備等が汚れる汚損が発生してしまう。
【0003】
これに対して、上記水損や汚損などの発生を抑制するべく、消火用のガスを放出する消火設備により消火が行われる技術が提案されている。例えば特許文献1には、防護区画において火災が発生した際、その防護区画に二酸化炭素ガスが放出される構成が開示されている。この構成では、水損や汚損を発生させることなく消火を行うことができる。しかも、防護区画が無人状態にある場合に限ってその防護区画に二酸化炭素ガスが放出される構成となっているため、人が二酸化炭素ガスを吸い込んでしまうことを回避できる。したがって、二酸化炭素ガスによる人的被害が起きることもない。
【特許文献1】特開平5−261164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている構成では、防護区画が無人状態にある場合に限って二酸化炭素ガスを消火ガスとして使用した消火が行われるため、消火ガスにより人体に悪影響を及ぼすことが回避される一方で、初期消火が遅れる可能性がある。これは、防護区画に人がいる場合は、火災が発生しても防護区画に消火ガスが放出されず、例えば防護区画から人が出て行くまで初期消火を行うことができないためである。したがって、人の安全性を確保しつつ消火ガスにより消火を行う構成について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、消火ガスにより消火が行われる構成において、初期消火を好適に行いつつ人の安全性を高めることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明は、火災発生を検出する火災検出手段と、人の存在を検出する人検出手段と、空気よりも重い消火ガスを放出するガス放出部とを消火設備として備えているとともに、前記火災検出手段により火災発生が検出された場合に前記人検出手段の検出結果に合わせて前記ガス放出部から消火ガスを放出させる制御手段を備えている建物であって、前記消火設備は、壁体により区画された所定の屋内空間部である消火区画に設置されており、前記ガス放出部は、前記消火区画における床面又は床面近傍に設置されていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、消火区画にて火災が発生した場合に、火災検出に合わせて消火ガスが放出されるため、その消火区画において速やかに初期消火を行うことができる。また、消火区画は、壁体により区画された屋内空間部に定められており、消火ガスの流れ出ることが規制されているため、消火ガスが希薄になることが回避され、消火ガスの消火能力を継続して発揮させることができる。したがって、火災がその消火区画から他の領域に燃え広がることに対して抑止力を発揮することができる。しかも、消火区画において、空気より重い消火ガスが床面近傍に放出されるため、消火ガスは空気とが混じりあうことなく空気層の下に貯留されやすい。したがって、例えば床面近傍に火元がある場合に特に効果的に消火でき、さらに、消火区画に人がいてもその人は消火ガスを吸い込まずに安全に呼吸することができる。
【0008】
以上の結果、消火ガスにより消火が行われる構成において、初期消火を好適に行いつつ人の安全性を高めることができる。
【0009】
なお、前記ガス放出部から放出される消火ガスは炭酸ガス(二酸化炭素)であることが好ましい。二酸化炭素は、それだけが人に吸い込まれると人体に悪影響を及ぼすが、その濃度が濃い空間では燃焼が生じない。したがって、人が消火ガスを吸い込んでしまうことを回避できる構成では、二酸化炭素が消火ガスに適用されることは好適である。
【0010】
また、前記ガス放出部からの消火ガスの放出に合わせて警報を発する警報装置が備えられていることが好ましい。この場合、消火区画に消火ガスが放出されていることを人に認識させることができるため、消火ガス放出に際して人の安全性をより一層高めることができる。
【0011】
第2の発明では、人により操作されることで、前記消火ガスの放出を許可する操作部を備え、前記制御手段は、前記火災検出手段により火災発生が検出された場合に、人検出手段により人の存在が検出され且つ前記操作部がガス放出の許可状態でなければ前記ガス放出部から消火ガスを放出させず、人の存在が検出されても前記操作部が前記許可状態であれば前記ガス放出部から消火ガスを放出させる。
【0012】
第2の発明によれば、消火区画に人がいる場合、消火ガスを放出させるには操作部が操作される必要がある。この場合、消火区画にいる人にとって不意に消火ガスが放出されることを回避できるため、火災発生時に誤って消火ガスを吸い込んでしまう可能性をより一層低減させることができる。
【0013】
なお、操作部は消火区画に設けられていることが好ましい。これは、消火ガスの放出について最も適切な判断をすることができるのが、消火区画にいる人だからである。
【0014】
第3の発明では、前記消火区画内、又は複数の消火区画の境界部に出没可能に設けられ、出現状態で人の通過を許容しつつ前記消火ガスの流出を規制する仕切体を備えている。
【0015】
第3の発明によれば、仕切体により消火区画が複数に仕切られた場合、消火ガスを消火区画における所定部分に貯留することができる一方で、人は消火区画において所定部分と他の部分とを行き来することができる。また、仕切体により所定の消火区画と他の消火区画とが仕切られた場合、消火ガスが所定の消火区画から他の消火区画に流れ出ることが規制される一方で、人はそれら消火区画の間を行き来することができる。したがって、消火区画にて火災が発生した場合に、消火ガスによる消火を好適に行いつつ、人を消火区画から容易に避難させることができる。
【0016】
なお、「人の通過を許容しつつ前記消火ガスの流出を規制する仕切体」としては、人が消火区画の境界部を通過する際に壊れやすい構成を有する仕切体や、同じく人が通過する際に変形しやすい構成を有する仕切体、人が跨ぐことのできる高さを有する仕切体などが挙げられる。
【0017】
第4の発明では、前記仕切体は、床面から所定高さまで起立することで前記消火区画と他の領域とを仕切るもの、又は前記消火区画を複数に仕切るものである。
【0018】
第4の発明によれば、消火区画に貯留されている消火ガスの貯留量が多くなると、空気層の下方に形成された消火ガス層が高くなるため、消火ガスが放出され続けるとその消火ガスはやがて仕切体を乗り越えて消火区画から外部へ溢れ出る。この場合、消火ガス層が所定高さにて保持されるため、消火区画の全体が消火ガスによって満たされてしまうといったことがない。つまり、消火ガス層の上方に確実に空気層を確保することができる。この結果、消火ガスによる消火が行われている場合でも、人が消火ガスを吸い込んでしまうことを回避できる。
【0019】
なお、仕切体は腰壁程度の高さであることが好ましい。この場合、人が空気層にて容易に呼吸できる状態を確保しつつ、消火区画に極力多くの消火ガスを貯留することができる。しかも、人は、消火区画を避難経路として使用する際に仕切体の上から避難先の状況を視認することができる。
【0020】
第5の発明では、前記仕切体に仕切動作を行わせるべく駆動する仕切体駆動部を備え、前記制御手段は、前記ガス放出部から前記消火ガスが放出されている場合に、前記仕切体を出現状態に移行させる。
【0021】
第5の発明によれば、人が仕切体を出現させる作業を行わなくても消火ガスの放出に伴って仕切体が出現するため、火災が発生した場合に消火区画に速やかに消火ガスを貯留することができる。したがって、消火ガスによる消火を好適に行うことができる。なお、火災が発生していない場合は仕切体を出現状態に移行させない構成であれば、人は仕切体の出現位置を容易に通過することができる。つまり、通常時は消火区画の利便性を高めることができる。
【0022】
第6の発明では、前記消火区画における消火が完了したことを検出する消火検出手段と、前記消火区画の空気質を検出する空気質検出手段と、前記消火区画の換気を行う換気装置とを備え、前記制御手段は、前記消火検出手段により消火完了が検出された場合に、前記空気質検出手段の検出結果に基づいて前記換気装置を動作させる。
【0023】
第6の発明によれば、消火が完了した場合、換気装置により消火区画から消火ガスを排出することが可能となる。この場合、火災鎮火後に消火区画へ入った人が消火ガスを吸い込んでしまうことを回避できる。また、換気装置による換気が行われるのは火災鎮火後であるため、消火ガスの排出に伴って屋外から消火区画に空気が取り入れられたとしても、その空気により残り火が再び燃え上がってしまうことを防止できる。以上の結果、消火完了後において、火災の再燃を防止しつつ人の安全性を確保することができる。
【0024】
第7の発明では、商用電力を建物設備に分配する配電盤と、前記配電盤から前記消火設備への商用電力の供給が停止された場合に、該消火設備に別系統の電力を供給する補助電力供給装置とを備えている。
【0025】
第7の発明によれば、消火設備への商用電力の供給が停止されても、補助電力供給装置から供給される補助電力により消火設備を動作させることができる。火災発生時には、火災発生の原因が漏電であったり火災発生に伴って電線が燃えてしまったりすることにより、消火設備への商用電力の供給が停止される可能性が高いと考えられるが、消火設備へ補助電力が供給されるため、消火ガスを放出して消火を行うことが可能となる。
【0026】
第8の発明では、上記第1乃至7の発明のいずれかに記載の建物を設計する建物の設計装置であって、前記建物の所定領域が防火仕様となるように設計されているか否かを判定する判定手段と、前記設計判定手段により前記防火仕様でないと判定された場合にその旨を表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
【0027】
第8の発明によれば、建物の設計が行われる際に、本来は防火仕様とされていなければならない領域が防火仕様とされていないといった不都合を回避できる。したがって、構築される建物に対して確実に防火機能を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は二階建て建物10における各階の間取り例を示す図、図2は建物10の概略断面を示す図である。
【0029】
図1に示すように、住宅等の建物10は、一階部分11と二階部分12とを有しており、一階部分11には、主な屋内スペースとして、玄関21、一階廊下22、和室23、リビング24、ダイニング25、キッチン26、洗面室27、トイレ28及び浴室29が設けられている。また、二階部分12には、主な屋内スペースとして、二階廊下31、寝室32,33、子供部屋34,35、トイレ36が設けられている。
【0030】
図2に示すように、建物10には、屋内スペースとして階段空間37が設けられており、階段空間37には階段38が設けられている。階段空間37は、一階部分11と二階部分12との境界部(階間部分)が開口されて形成されている縦穴部となっている。なお、階段空間37を、一階部分11から上方へ吹き抜けた吹き抜け空間と称することもできる。
【0031】
本実施形態では、建物10において壁等により囲まれる複数の屋内空間部を個別に消火区画Sとして定め、その消火区画Sごとに消火設備を設けることとしている。そして、火災発生時には消火区画Sごとに消火を行わせるようにしている。消火区画Sとして、例えば一階部分11においては、玄関21及び一階廊下22が第1消火区画S1、リビング24、ダイニング25及びキッチン26が第2消火区画S2となっており、二階部分12においては、二階廊下31が第3消火区画S3、子供部屋34が第4消火区画S4となっている。さらに、階段空間37が第5消火区画S5となっている。
【0032】
なお、上記以外に、一階部分11の和室23や、二階部分12の寝室32,33、子供部屋35を消火区画として定め、建物10内の居室については全て消火区画としておくことも可能である。また、居室以外の屋内空間部であるトイレ28や浴室29等を消火区画として定めることも可能である。
【0033】
消火区画S1〜S5は、壁体としての外壁41及び内壁42によりそれぞれ区画されており、それら各消火区画S1〜S5に対しては、内壁42に設けられた出入口や区画境界部を通じて人の行き来が可能となっている。例えば、一階部分11において第1消火区画S1(一階廊下22)と第2消火区画S2(リビング24等)とはリビング24の出入口24aを介して行き来が可能となっている。また、二階部分12において、第3消火区画S3(二階廊下31)と第4消火区画S4(子供部屋34)とは子供部屋34の出入口34aを介して行き来が可能となっており、第3消火区画S3と第5消火区画S5(階段空間37)とは階段空間37の境界部37aを介して行き来が可能となっている。
【0034】
図2に示すように、建物10には、消火区画S1〜S5に対して消火ガスを供給する消火装置45が設けられている。消火装置45は、空気より重い炭酸ガス(二酸化炭素)を消火ガスとして貯留又は生成する構成となっており、例えば屋外において建物10の外壁に取り付けられている。消火装置45には、消火ガスを放出するガス放出部としての放出ヘッド46が消火用配管47を介して接続されており、それら放出ヘッド46は各消火区画S1〜S5のそれぞれに設置されている。
【0035】
ちなみに、消火装置45には、消火ガスを消火用配管47に対して送り出すために駆動されるポンプ等の駆動部と弁装置とが設けられており、弁装置は容器弁と選択弁とを有している。容器弁は、消火ガス用の容器に対して設けられており、開放されることで消火ガスを消火用配管47に送り出す機能を有している。選択弁は、各放出ヘッド46のそれぞれに対応して設けられており、開放された選択弁に対応した放出ヘッド46から消火ガスが放出される。なお、駆動部は、消火ガスを送り出す圧力を調整可能な構成となっていてもよい。この場合、圧力の調整を行うことで、放出ヘッド46から消火ガスを高圧力にて噴射したり低圧力にて放出したりすることができる。
【0036】
消火区画S1〜S5には、それぞれ消火設備が設けられており、その消火設備について説明する。ここでは、例えば消火区画S1〜S5のうち第4消火区画S4(子供部屋34)について、図3を参照しつつ説明するが、他の区画についても同様の構成となっている。図3は、第4消火区画S4としての子供部屋34の構成を示す斜視図である。
【0037】
図3に示すように、子供部屋34には、放出ヘッド46の他に、熱や火炎、煙を感知することで火災の発生を検出する火災検出手段としての火災センサ61、人がいることを検出する人検出手段としての人感センサ62、空気中の成分を検出する空気質検出手段としての空気質センサ63、人により操作される操作部64、空気質に関する情報を報知する空気質モニタ65、換気を行う換気装置66が消火設備としてそれぞれ設けられている。
【0038】
この場合、火災センサ61及び人感センサ62は天井に取り付けられており、空気質センサ63、操作部64、空気質モニタ65、換気装置66及び放出ヘッド46は内壁42に取り付けられている。特に、換気装置66及び放出ヘッド46は内壁42における床面近傍に配置されており、その位置は床面からの高さが例えば30cmとなっている。したがって、放出ヘッド46から消火ガスが放出された場合、子供部屋34においては床面近傍の空間から消火ガスが拡がっていくことになる。一方、換気装置66により換気が行われた場合、寝室33においては床面近傍の空気が優先的に屋外に排出されることになる。また、空気質モニタ65は、警報音を出力するスピーカや、警報画面を表示する警報モニタ、空間内に消火ガスが放出されていることを示すガス充満灯を有している。
【0039】
なお、放出ヘッド46は、床面近傍であって壁付きコンセントの周辺に配置されている。コンセントは、漏電が発生することなどにより火災の火元になってしまうおそれがあるため、コンセントの周辺に放出ヘッド46が配置されていると、火元に消火ガスを直接放出することができ、初期消火を行うに際して好適である。また、放出ヘッド46は、幅木に一体的に設けられていてもよく、壁付のコンセントに一体的に設けられていてもよい。
【0040】
また、放出ヘッド46は、第1消火区画S1(一階廊下22、玄関21)においては一階廊下22側の内壁42に配置されている。さらに、第2消火区画S2(リビング24、ダイニング25、キッチン26)においては、放出ヘッド46がキッチン26におけるガスコンロや電気コンロなどの周辺にも配置されている。ガスコンロや電気コンロなどは、調理を行うに際して火元になってしまうおそれがあるため、それらガスコンロや電気コンロなどの周辺に放出ヘッド46が配置されていると、コンセントと同様に初期消火を行うに際して好適である。
【0041】
建物10において、一階部分11及び二階部分12にはそれぞれ可動式の仕切装置51,52が設けられている。一階部分11の第1仕切装置51は、第1消火区画S1(一階廊下22)の床部に設けられており、通常は廊下床部に収納された状態になっているが、火災発生時には廊下床部から壁形成体51aが立ち上がりその状態で第1消火区画S1を2つに仕切るようになっている。また、二階部分12の第2仕切装置52は、第3消火区画S3(二階廊下31)と第5消火区画S5(階段空間37)との境界部37aに設けられており、通常は廊下壁部に収納された状態になっているが、火災発生時には廊下壁部から壁形成体52aが突出し、その状態で第3消火区画S3と第5消火区画S5とを仕切るようになっている。
【0042】
仕切装置51,52の構成について、図4,図5を参照しつつ説明する。図4は第1仕切装置51について説明するための説明図、図5は第2仕切装置52について説明するための説明図である。図4において、(a)は第1仕切装置51の概略構成を示し、(b)は玄関21と一階廊下22との境界周辺を斜視図により示している。図5において、(a)は第2仕切装置52の概略構成を示し、(b)は二階廊下31と階段空間37との境界周辺を斜視図により示している。
【0043】
まず、第1仕切装置51について説明する。図4(a)に示すように、第1仕切装置51は壁形成体51aを収納する収納ボックス51bを有している。収納ボックス51bは、略直方体に形成された箱体となっており、その長手方向の長さが一階廊下22の幅と同等又はそれより少し小さくなっている。一階廊下22の床には、玄関21との境界近傍に凹部22aが形成されており、収納ボックス51は一階廊下22の幅方向に延びるように凹部22aに設置されている。収納ボックス51bは上方に開放されており、その開放部が蓋体51cにより閉鎖されている。蓋体51cは、収納ボックス51bに対して回動可能に軸支されており、回動することで収納ボックス51bを上方に開放する。収納ボックス51bは、蓋体51cの上面が一階廊下22の床面と同一平面を形成するように設置されている。なお、玄関21は土間により形成されており、その土間面は一階廊下22の床面よりも例えば20cm程度低くなっている。
【0044】
壁形成体51aは、耐火性を有する布製の袋体となっており、膨張及び収縮が可能な構成となっている。壁形成体51aは、収縮することで折り畳まれ、その折り畳まれた状態で収納ボックス51bに収納されている。
【0045】
第1仕切装置51において、壁形成体51aはガス配管53を介して消火装置45に接続されており、壁形成体51aにはガス配管53を通じて消火装置45から消火ガスが供給されるようになっている。つまり、壁形成体51aは、消火装置45からのガス供給により膨張する。ガス配管53には電気駆動式の開閉弁56が設けられており、開閉弁56が開放されることで壁形成体51aに対するガス供給が行われるようになっている。また、開閉弁56には、壁形成体51aからのガスの逆流を防止する逆流防止機構と、壁形成体51a内の充填ガスを外部に排出するガス排出機構とが設けられている。壁形成体51aに対してガス供給が行われた場合、逆流防止機構により壁形成体51aは起立状態(二点鎖線で図示した状態)にて保持される。一方、ガス排出機構により壁形成体51aは収縮して収納ボックス51bに収納される。ちなみに、蓋体51cは、壁形成体51aが膨張する場合にその膨張に伴って開放される構成となっている。
【0046】
図4(b)に示すように、第1仕切装置51において壁形成体51aが一階廊下22の床面に対して起立状態になった場合、その壁形成体51aは、第1消火区画S1を一階廊下22側と玄関21とに仕切る仕切体となる。この場合、壁形成体51aは、一階廊下22の床面から下駄箱の高さと同じか、テーブルの上面や照明の壁付スイッチ等の取り付け位置等よりもやや高くまで起立しており、例えば1.3mの高さを有している。また、壁形成体51aは、横方向の長さが一階廊下22の幅と同等又はそれより少し小さくなっており、その両側端は内壁42に当接又は近接している。壁形成体51aは柔軟性を有しており、人は壁形成体51aを容易に変形させることが可能となっている。したがって、人は、起立状態にある壁形成体51aを押し倒したり跨いだりすることで一階廊下22と玄関21との間を行き来することができる。しかも、壁形成体51aは、人が通過した後に元の起立状態に復帰することが可能となっている。また、壁形成体51aは腰壁程度の高さであるため、人は変形させなくても壁形成体51aをそのまま跨ぐことも可能である。
【0047】
例えば、一階廊下22に放出ヘッド46から消火ガスが放出されている場合、第1仕切装置51の壁形成体51aが出現されていないと、消火ガスが一階廊下22から玄関21へ流れ出てしまう。しかも、一階廊下22の床面より玄関21の土間面の方がレベルが低いため、消火ガスは一階廊下22よりも先に玄関21に溜まってしまい、一階廊下22にはなかなか貯留されない。また、玄関ドアが開放されていれば消火ガスは玄関21にも溜まることなく屋外に出てしまう。これに対して、壁形成体51aが出現されていると、玄関21への消火ガスの流出が規制されるため、消火ガスは一階廊下22に貯留される。この場合、仮に一階廊下22の壁付きコンセントを火元とする火災が発生しても、火元周辺に貯留される消火ガスにより初期消火が行われる。
【0048】
また、消火ガスの放出が継続して行われていると、消火ガスはやがて壁形成体51aを乗り越えて玄関21へ流れ出る。この場合、消火ガス層が壁形成体51aの上端よりも高くなることがないため、一階廊下22に人がいてもその人は下半身だけが消火ガス層に入る状態となり、人が消火ガスを吸い込んでしまうことを抑制できる。しかも、人は壁形成体51aを跨ぐなどして一階廊下22から玄関21を通って屋外に避難することができる。
【0049】
次に、第2仕切装置52について説明する。図5(a)に示すように、第2仕切装置52は壁形成体52aを収納する収納ボックス52bを有している。収納ボックス52bは、略直方体に形成された箱体となっており、その長手方向の長さが二階廊下31と階段空間37との間の腰壁58と同等又はそれより少し小さくなっている。二階廊下31の内壁42には、階段空間37との境界部37a近傍に凹部31aが形成されており、収納ボックス52bは上下方向に延びるように凹部31aに設置されている。収納ボックス52bは境界部37aを挟んで反対側の腰壁58側に開放されており、その開放部が蓋体52cにより閉鎖されている。蓋体52cは、収納ボックス52bに対して回動可能に軸支されており、回動することで収納ボックス52bを側方に開放する。収納ボックス52bは、蓋体52cの一側面が二階廊下31の壁面と同一平面を形成するように設置されている。
【0050】
第1仕切装置51の壁形成体51aと同様に、第2仕切装置52の壁形成体52aは、耐火性を有する布製の袋体となっており、膨張及び収縮が可能な構成となっている。壁形成体52aは、収縮することで折り畳まれ、その折り畳まれた状態で収納ボックス52bに収納されている。
【0051】
また、第1仕切装置51と同様に、第2仕切装置52において、壁形成体52aはガス配管53を介して消火装置45に接続されており、ガス配管53には電気駆動式の開閉弁56が設けられている。ちなみに、蓋体52cは、壁形成体52aが膨張する場合にその膨張に伴って開放される構成となっている。
【0052】
図5(b)に示すように、第2仕切装置52において壁形成体52aが二階廊下31の床面に対して起立状態になった場合、その壁形成体52aは、第3消火区画S3(二階廊下31)と第5消火区画S5(階段空間37)とを階段空間37の境界部37aにて仕切る仕切体となる。この場合、壁形成体52aは、二階廊下31の床面から腰壁58の高さまで起立しており、例えば1.3mの高さを有している。また、壁形成体52aは、横方向の長さが二階廊下31の幅と同等又はそれより少し小さくなっており、その両側端は内壁42や腰壁58に当接又は近接している。また、第1仕切装置51の壁形成体51aと同様に、人は起立状態にある壁形成体52aを押し倒したり跨いだりすることで二階廊下31と階段空間37との間を行き来することができる。
【0053】
例えば、二階廊下31に消火ガスが放出されている場合、第2仕切装置52の壁形成体52aが出現されていないと、消火ガスが二階廊下31から階段空間37へ流れ出てしまう。しかも、二階廊下31の床面より階段38の階段面の方がレベルが低いため、消火ガスは一階部分11に流れ落ちてしまい、二階廊下31に貯留されない。これに対して、壁形成体52aが出現されていると、階段空間37への消火ガスの流出が規制されるため、消火ガスは二階廊下31に貯留される。この場合、仮に二階廊下31にて火災が発生しても、火元周辺に貯留される消火ガスにより初期消火が行われる。
【0054】
また、消火ガスの放出が継続して行われると、消火ガスはやがて壁形成体52aを乗り越えて階段空間37へ流れ出る。この場合、一階廊下22における壁形成体51aと同様に、人が消火ガスを吸い込んでしまうことを抑制できるとともに、人は、二階廊下31から階段38を通って一階部分11や屋外に避難することができる。
【0055】
次に、本消火システムの電気的な構成について説明する。ここでは、消火システムの制御系に関する構成と、電源系に関する構成とを説明する。まずは、図6を用いて消火システムの制御系に関する構成を説明する。
【0056】
図6に示すように、消火システムは、ホームサーバ71を含んで構成されている。ホームサーバ71は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを有しており、例えばリビング24に設置されている。ここでは、ホームサーバ71が消火設備制御盤としての役割を果たすことになる。
【0057】
ホームサーバ71には、火災センサ61、人感センサ62、空気質センサ63、操作部64が接続されており、それら火災センサ61は、人感センサ62、空気質センサ63、操作部64は検出信号をホームサーバ71に対して出力する。ここで、操作部64は、消火区画S1〜S5内への消火ガスの放出を手動操作により許可するものであり、その手動操作による許可信号は都度ホームサーバに出力される。
【0058】
なお、空気質センサ63は、二酸化炭素や一酸化炭素、湿度、温度、花粉、ホコリ、その他の空気中の汚れ等に関する情報を検出する構成となっており、出力する検出信号にはその情報が含まれている。そして、ホームサーバ71は、空気質センサ63の検出信号に基づいて消火区画S1〜S5の全ての空気質を監視(モニタリング)しているとともに、各消火区画S1〜S5のうちいずれか1つに配置されている空気質モニタ65に対してその監視結果を信号として出力している。この場合、その空気質モニタ65は、建物10の全体的な空気質の状況を表示する集中モニタとしての役割を果たしている。
【0059】
また、ホームサーバ71には、消火装置45、仕切装置51,52、空気質モニタ65、換気装置66、火災警報装置72が接続されており、ホームサーバ71は、指令信号を出力することでこれら消火装置45、仕切装置51,52、空気質モニタ65、換気装置66、火災警報装置72の動作制御を行う。ここで、火災警報装置72は、警報音を発したり警報画面を表示したりする構成となっており、例えば一階廊下22や二階廊下31といった建物10の共用部に設置されている。これにより、火災警報装置72により警報が発せられていることを建物10内にいる全ての人に認識させることが可能となる。なお、火災警報装置72は起動装置を有しており、ホームサーバ71は起動装置に移信を行うこと(火災発生を知らせるための移報信号を出力すること)で火災警報装置72に警報を行わせる構成となっている。
【0060】
次に、消火システムの電源系に関する電気的な構成について、図7を参照しつつ説明する。
【0061】
図7に示すように、建物10には、外部から配電線が接続されている引込口74と、分電盤75とが設けられている。分電盤75は、電力量計(WHM)76を介して引込口74に接続されたメインブレーカ77と、メインブレーカ77の下流側に接続された分岐ブレーカ78とを有している。分岐ブレーカ78は、分電盤75に複数設けられており、そのうち少なくとも1つの分岐ブレーカ78の下流側には補助電力供給装置としての無停電電源装置(UPS)79が接続されている。この場合、外部電源からの商用電力は、引込口74、電力量計76、分電盤75を介して無停電電源装置79に供給される。
【0062】
無停電電源装置79の下流側には、ホームサーバ71、火災センサ61、人感センサ62、空気質センサ63、操作部64、消火装置45、空気質モニタ65、換気装置66、火災警報装置72といった設備が、消火システムを構成するシステム設備Aとして接続されている。無停電電源装置79は、二次電池等の蓄電部を有しており、商用電力が供給されている場合に下流側に電力を供給しつつ蓄電部に電力を蓄える構成となっている。その一方で、商用電力が供給されなくなった場合でも蓄電部から下流側に電力を供給する構成となっている。したがって、本実施形態では、無停電電源装置79への電力供給が行われている場合はもちろんのこと無停電電源装置79への電力供給が停止された場合であってもシステム設備Aに電力が供給される。この場合、無停電電源装置79の回路が消火システムの専用回路となっている。なお、無停電電源装置79は、例えば10分程度といった所定時間だけシステム設備Aに給電を行うことができる電力を蓄電部に蓄えることが可能な構成となっている。
【0063】
例えばコンセントにおいて漏電が発生したり過電流が流れたりして、それにより火災が発生した場合に、その漏電発生に起因してメインブレーカ77が遮断されてしまうと、無停電電源装置79への電力供給が停止される。しかしながら、この場合でも、無停電電源装置79はその蓄電部からシステム設備Aへ電力を供給するため、消火システムによる消火を行うことができる。なお、火災により電気配線や分電盤が燃えてしまった場合でも、消火システムによる消火を行うことができる。
【0064】
ここで、ホームサーバ71によって実行される消火処理について、図8のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、消火処理は所定の時間周期で実行される。
【0065】
図8において、ステップS101では、火災センサ61、人感センサ62、空気質センサ63、操作部64から出力された各種検出信号を取得する。ステップS102では、各消火区画S1〜S5の火災センサ61の検出信号に基づいて、建物10において火災が発生しているか否かを判定する。火災が発生している場合、ステップS103に進み、消火区画S1〜S5のうち火災が発生している区画を火災発生区画として特定する。また、この場合、火災発生区画において火災が発生していることを住人等に知らせるために火災警報装置72に火災警報動作を行わせ、警報音を出力させたり警報画面を表示させたりする。
【0066】
ステップS104では、人感センサ62の検出信号に基づいて、消火区画S1〜S5のうち火災発生区画に人がいるか否かを判定し、火災発生区画に人がいない場合、ステップS105に進み、消火装置45の動作制御を行い、火災発生区画において放出ヘッド46から消火ガスを放出させる。
【0067】
ステップS106では、火災発生区画において消火ガスを放出していることを住人等に知らせるために空気質モニタ65にガス警報動作を行わせ、警報音を出力させたり警報画面を表示させたりする。さらに、放出ヘッド46から消火ガスが放出されると、消火装置45の圧力スイッチが作動して空気質モニタ65のガス充満灯が点灯する。また、ここでは、空気質センサ63の検出結果に基づいて、消火区画S1〜S5に消火ガスが存在しているか否かを判定し、消火ガスが存在している場合に、消火区画S1〜S5の空気質が正常ではないとして空気質モニタ65にガス警報動作を行わせる。したがって、消火ガスの放出が停止された場合や、放出ヘッド46から消火ガスが放出されていない消火区画S1〜S5でも、消火区画S1〜S5の空気質が正常でなければ空気質モニタ65によるガス警報動作が継続して行われる。
【0068】
例えば、子供部屋34において火災が発生している場合、火災発生区画を第4消火区画S4に特定し、第4消火区画S4の放出ヘッド46から消火ガスを放出する。この場合、子供部屋34には、出入口34aがドアにより閉鎖されていると消火ガスが貯留される。ここでは、消火ガスが空気より重いため、消火ガスを主成分とする消火ガス層が空気層の下方に形成される。したがって、仮にタバコの火の消し忘れやホコリへの引火等により床面近傍を火元とする火災が発生しても、その火元に対して消火ガスが速やかに放出されるとともに火元周辺に消火ガスが滞留されるため、初期消火を好適に行うことができる。また、この場合、火災発生を人が発見しなくても初期消火を行うことができる。さらに、火災が発生している子供部屋34には人がいないため、人が消火ガスを吸い込んでしまうことがない。しかも、子供部屋34においてガス放出の警報が行われているため、ガスが放出されている最中に子供部屋34に入ることに対して人に注意を喚起することもできる。したがって、消火に際して人の安全性を確保することができる。
【0069】
火災発生区画に人がいる場合(ステップS104がYES判定の場合)、ステップS114に進み、操作部64の検出信号に基づいて、操作部64が手動による許可操作が行われたか否かを判定する。許可操作が行われていない場合、そのまま本消火処理を終了し、消火ガスを放出させない。これにより、火災発生区画にいる人が消火ガスを吸い込んでしまうことを回避できる。
【0070】
一方、許可操作が行われた場合、ステップS105にて、火災発生区画に消火ガスを放出し、ステップS106にて、空気質モニタ65にガス警報動作を行わせる。この場合、火災発生区画に人がいても、その人が操作部64の許可操作を行うことで火災発生区画に消火ガスが放出され、初期消火を行うことが可能となる。また、火災発生区画においては、消火ガスの放出が開始されてからしばらくの間は消火ガスの貯留量が少なく、空気層が確実に確保される。しかも、放出ヘッド46は、消火ガス層と空気層とを攪拌しないように、火災発生区画に空気の流れが発生しない程度の勢いで消火ガスを放出する。したがって、人は消火ガスを吸い込むことなく空気層にて安全に呼吸することができる。以上の結果、人が火災発生区画にいる場合でも、人の安全性を確保しつつ初期消火を行うことが可能となる。
【0071】
消火ガスの放出後、ステップS107では、仕切装置51,52を動作させるか否かを判定する。ここでは、火災発生区画が一階部分11(消火区画S1,S2,S5)にある場合に第1仕切装置51を動作させると判定し、火災発生区画が二階部分12(消火区画S3〜S5)にある場合に第2仕切装置52を動作させると判定する。
【0072】
仕切装置51,52を動作させる場合、ステップS108に進み、仕切装置51,52を動作させて壁形成体51a,52aを出現させる。例えば、火災発生区画が一階部分11にある場合、第1仕切装置51の壁形成体51aを出現させ、第1消火区画S1を一階廊下22と玄関21とに仕切る。この場合、消火ガスが一階廊下22に貯留されるため、一階廊下22の消火が行われるとともに、一階廊下22が避難経路として確保される。また、火災発生区画が二階部分12にある場合、第2仕切装置52の壁形成体52aを出現させ、第3消火区画S3としての二階廊下31と第5消火区画S5としての階段空間37とを仕切る。この場合、消火ガスが階段空間37に貯留されるため、二階廊下31の消火が行われるとともに、二階廊下31が避難経路としての確保される。
【0073】
ステップS109では、火災センサ61の検出信号に基づいて、消火が完了したか否かを判定する。つまり、火災が鎮火したか否かを判定する。火災が鎮火していない場合、そのまま本消火処理を終了し、消火ガスによる消火を継続して行う。一方、火災が鎮火した場合、ステップS110に進み、消火装置45から放出ヘッド46への消火ガス供給を停止させることで、放出ヘッド46からの消火ガス放出を停止させる。ステップS111では、消火装置45から仕切装置51,52への消火ガス供給を停止させるとともにガス排出機構により壁形成体51a,52aから消火ガスを排出させることで、壁形成体51a,52aをしぼませて収納させる。これにより、消火区画S1〜S5における消火ガスの貯留が解除され、消火ガスは他の領域へ流れ出る。
【0074】
ステップS112では、空気質センサ63の検出信号に基づいて、消火区画S1〜S5の空気質が正常であるか否かを判定する。空気質が正常でない場合、消火区画S1〜S5に消火ガスが残留しているとして、ステップS113に進み、換気装置66の動作制御を行い、消火ガスを消火区画S1〜S5から屋外に強制排出する。この場合、換気装置66は床面近傍に配置されているため、換気装置66が動作されると床面付近の空気が優先的に屋外に排出される。つまり、消火区画S1〜S5において空気よりも先に消火ガスが屋外に排出され、換気の効率を高めることができる。また、ステップS106におけるガス警報動作が継続して行われているため、人が消火ガスの残留する消火区画S1〜S5に入ることを回避できる。つまり、鎮火後に人が残留消火ガスを吸い込んでしまうといった二次災害の発生を回避できる。
【0075】
空気質が正常である場合、消火区画S1〜S5に消火ガスが残留していないとして、ステップS115に進み、換気装置66の動作を停止させる。また、この場合、空気質モニタ65の動作制御を行い、ガス警報動作を停止させる。これにより、人は消火区画S1〜S5に消火ガスが残留していないことを認識することができ、その消火区画S1〜S5に入ることができる。
【0076】
ところで、建物10は、設計装置により設計支援された設計図に基づいて構築されている。設計装置は、CAD等の専用プログラムを動作させるパーソナルコンピュータにより構成されており、キーボード等の入力装置が設計者により操作されることで入力データを取得し、入力データに合わせて図面をディスプレイ等の表示装置に表示する。また、設計装置は、その図面をCADデータとして外部に出力したり、プリンタ等の印刷装置により紙面に出力したりする。
【0077】
設計装置は、建物10の設計に際して、隣接建物で火災が発生した時に延焼のおそれがある部分を示す延焼ライン(防火ライン)や消火区画Sを自動で設定する機能を有している。ここでは、設計装置により行われる設計支援について、図9,図10を参照しつつ説明する。図9は表示画面81を示す図、図10は一階間取り図95及び二階間取り図96を示す図である。図10においては、(a)に一階間取り図95を示し、(b)に二階間取り図96を示す。
【0078】
まず、延焼ラインの自動設定機能について説明する。
【0079】
図9に示すように、設計装置の表示画面81には、敷地や建物等の水平投影図82が表示される。詳しくは、水平投影図82には、隣地境界線83、道路中心線84、建物10の大きさ及び形状等がそれぞれ表示されるとともに、建物10の一階部分11の延焼ライン(一階延焼ライン)85と二階部分12の延焼ライン(二階延焼ライン)86とが表示されるようになっている。各延焼ライン85,86は、それよりも外側の領域が隣接建物からの延焼のおそれがある領域(延焼エリア)として定められるものであり、図示の事例では、二階延焼ライン86の方が一階延焼ライン85よりも内側に定められている。また、表示画面81には、隣地境界線83、道路幅、建物10の大きさ等に関するデータを入力することが可能な入力メニュー91が表示される。
【0080】
建物の設計に際しては、設計装置において、設計者により入力メニュー91のいずれかが選択されるとともに、所定の設計データが入力される。すると、設計装置は、その入力済みの設計データに基づいて、水平投影図82として隣地境界線83、道路中心線84、建物10の大きさ及び形状等を表示画面81にそれぞれ表示する。さらに、入力済みの設計データに基づいて一階延焼ライン85や二階延焼ライン86の位置を算出するとともに、これら延焼ライン85,86を水平投影図82に描き加えて表示画面81に表示する。
【0081】
また、図10に示すように、表示画面81には、間取りデータ等に基づいて建物の一階部分及び二階部分における間取り図95,96が表示されるようになっている。この場合、設計装置は、間取り図95,96においても、上記のごとく算出した延焼ライン85,86を描き加えて表示画面81に表示する。図10(a)では、一階間取り図95において、A1,A2が延焼エリアとして網掛け、着色等により案内表示されており、図10(b)では、二階間取り図96において、B1が延焼エリアとして網掛け、着色等により案内表示されている。
【0082】
なお、表示画面81に間取り図95,96が表示されている状態で、所定の設計データが入力され、その入力データに基づいて算出された延焼ライン85,86が間取り図95,96に表示されてもよい。この場合でも、表示画面81に水平投影図82が表示されれば、延焼ライン85,86は水平投影図82に表示される。
【0083】
また、設計装置は、延焼エリアA1,A2,B1の案内表示に加え、それら延焼エリアA1,A2,B2内において各種部材が所定の耐火・防火構造及び性能になっているか否かをチェックする。すなわち、延焼エリアA1,A2,B1内の屋根や外壁について所定の耐火・防火基準を満たしているか否か、延焼エリアA1,A2,B1内の換気扇やダンパなどの建物設備について所定の耐火・防火基準を満たしているか否かのチェックを、入力メニュー91における外部建具等の位置モードが選択されることで行う。この場合、延焼エリアA1,A2,B1内の各種部材が所定の耐火・防火基準を満たしていない場合には、設計装置は、該当する部材を着色表示したり音声案内したりして設計者への警告を実施する。
【0084】
さらに、設計装置では、設計者により入力メニュー91における部材変更のモードが選択されるとともに、変更対象となる部材が水平投影図82や間取り図95,96にて選択されると、選択された部材が耐火・防火基準を満たす部材に変更される。このため、各種部材について、耐火・防火基準に関するチェックを行う操作と部材変更を行う操作とを1つの入力メニュー91により連続的に行うことができる。
【0085】
次に、消火区画Sの自動設定機能について説明する。
【0086】
この機能では、延焼ライン85を自動で設定する機能と同様に、表示画面81に一階部分及び二階部分における間取り図95,96が表示されている場合に、消火区画Sがリビング24やダイニング25といった所定部分に設定され、各消火区画Sは網掛け、着色等により案内表示される。また、消火区画Sにおいては、消火設備として、放出ヘッド46や、火災センサ61、人感センサ62、空気質センサ63、操作部64、空気質モニタ、換気装置66等が配置され、それら消火設備はそれら設備を示すシンボル等により案内表示される。また、設計装置は、消火区画Sや消火設備が所定の基準を満たしているか否かのチェックを行う。ここで、所定の基準とは設計者等により任意に設定された基準であり、その基準を満たしていない場合、設計装置は該当する消火区画Sや消火設備を着色表示したり音声案内したりして設計者への警告を実施する。
【0087】
さらに、消火区画Sの自動設定においては、延焼ライン85の自動設定と同様に、消火区画Sや消火設備の設定モード(図示略)が入力メニュー91に設けられており、設計者により設定モードが選択されるとともに、変更対象となる消火区画Sや建物内空間、消火設備が間取り図95,96にて選択されると、消火区画Sや消火設備の配置変更や設置、削除等を行うことが可能となっている。このため、消火区画Sや消火設備について、配置のチェックを行う操作と変更などに関する操作とを1つの入力メニュー91により連続的に行うことができる。
【0088】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0089】
消火区画S1〜S5において、火災発生が火災センサ61により検出されるため、初期消火を好適に行うことができる。消火ガスが放出されることで消火が行われるため、建物10や建物設備を消火完了後に使用可能な状態のまま消火を行うことができる。つまり、放水による水損や、粉末消火剤、泡消火剤による汚損など発生することを回避できる。水損や汚損が発生してしまうと、たとえ建物10や建物設備が焼失しなかったとしても焼失した場合と同等の損失が生じてしまうと考えられるため、消火ガスにより消火を行うことは有効である。
【0090】
一階廊下22や子供部屋34などといった、各々壁部により囲まれた屋内空間部が消火区画S1〜S5として設定されているため、消火区画S1〜S5に消火ガスが放出された場合に、その消火ガスが消火区画S1〜S5から流れ出ることが規制される。また、第1仕切装置51の壁形成体51aにより一階廊下22と玄関21とが仕切られたり、第2仕切装置52の壁形成体52aにより二階廊下31と階段空間37とが仕切られたりするため、一階廊下22や二階廊下31といった隣の空間と連通している空間であっても、その空間から消火ガスが流れ出ることを規制できる。この場合、消火区画S1〜S5において消火ガスが希薄になることが回避され、初期消火から継続して消火ガスに消火能力を発揮させることができる。ひいては、建物10において火災発生区画から他の空間への火災の延焼を防ぐことが可能となる。
【0091】
消火区画S1〜S5にて火災が発生した場合に、その火災発生区画に人がいなければ自動で消火ガスが放出されるが、火災発生区画に人がいれば操作部64の手動操作が行われた場合に限って消火ガスが放出される。したがって、火災発生区画にいる人にとって不意に消火ガスが放出されることがないため、その人が消火ガスを吸い込んでしまう可能性を低減させることができる。また、操作部64の手動操作が行われて消火ガスが放出された場合でも、消火ガス層は空気層の下方に形成されるため、人は火災発生区画にいても空気層にて呼吸することができる。しかも、放出ヘッド46が床付近に設けられているため、消火ガスが床面近傍から放出され、消火ガス層と空気層とが攪拌されにくくなっており、それらの層が互いに混じりあうこともない。したがって、人は、火災発生区画にいても消火ガスを吸い込まずに安全に呼吸することが可能となる。
【0092】
以上の結果、消火ガスにより消火が行われる構成において、初期消火を好適に行いつつ人の安全性を高めることができる。
【0093】
第1仕切装置51の壁形成体51aが出現することで、第1消火区画S1としての一階廊下22に消火ガスを貯留することが可能となる。この場合、火災発生時に一階廊下22の消火が行われるため、人は一階廊下22を避難経路として使用することができる。したがって、人は、リビング24や一階廊下22等に形成されている窓等から無理矢理屋外へ逃げなくても一階廊下22を通って安全に避難することができる。また、第2仕切装置52の壁形成体52aが出現することで、第3消火区画S3としての二階廊下31に消火ガスを貯留することが可能となる。この場合、火災発生時に二階廊下31の消火が行われるため、人は二階廊下31を避難経路として使用することができる。さらに、第2仕切装置52の壁形成体52aにより、二階廊下31から縦穴部としての階段空間37に消火ガスが流れ落ちないため、二階部分12の消火を好適に行うことができる。
【0094】
消火ガスとして炭酸ガスが使用されているため、火災発生時に消火区画S1〜S5の下部空間に二酸化炭素濃度の濃い消火ガス層が形成されても、人が吸い込まなければ人体に悪影響が与えられない。したがって、消火時に人が消火ガスを吸い込んでしまうことを回避できる構成では、消火ガスとして炭酸ガスを使用することは好適である。
【0095】
設計装置による設計支援が行われる場合、延焼ライン85,86が自動で設定されるとともに、その延焼ライン85,86が表示画面81において水平投影図82や間取り図95,96に表示される。この場合、水平投影図82等を紙面に出力してその水平投影図82等に延焼ライン85,86を手書きするといった必要がないため、延焼ライン85,86に関する設計作業やチェック作業を効率的に行うことができる。
【0096】
設計装置により、延焼エリアA1,A2,B1内の各種部材が所定の耐火・防火基準を満たしているか否かのチェックが行われるため、例えば設計者が、CADの表示画面81にて部材を目視にてチェックしたり、紙面に出力した設計図や見積書を項目ごとにチェックしたりする必要がない。したがって、延焼エリアA1,A2,B1に関するチェック作業を効率的に行うことができる。また、設計装置においては、チェック操作に加えて、耐火・防火基準を満たす部材への変更操作が可能となっているため、設計者はチェック作業と部材変更作業とを連続的に行うことができる。したがって、部材変更に関する作業を効率的に行うことができる。
【0097】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0098】
(1)炭酸ガスではなく窒素ガスが消火ガスとして消火区画S1〜S5に供給されてもよい。要は、火炎に対して放出されることでその火炎が消える能力を有するガスが消火ガスとして消火区画S1〜S5に供給されればよい。これにより、消火ガスにより初期消火や応急消火を適宜行うことができる。
【0099】
(2)仕切装置51,52において、壁形成体51a,52aは、消火ガスではなく空気が注入されることで膨張して出現するエアバック式壁形成体であってもよく、駆動部が駆動することで出現される折り畳み式壁形成体であってもよい。また、内壁42に対して開閉可能に軸支されており、開放されることで収納状態に移行し、閉鎖されることで出現状態に移行する扉式壁形成体であってもよい。この場合、壁形成体51a,52aが収納状態にある場合は、その壁形成体51a,52aと内壁42とが重なってあたかも二重壁を形成しているようになる。さらに、壁形成体51a,52aは、例えば薄板材により壊れ易く構成されていてもよい。この場合、人は壁形成体51a,52aを容易に壊すことが可能となり、起立状態にある壁形成体51a,52aを乗り越えることができる。
【0100】
また、仕切装置51,52は、床や内壁42でなく例えば玄関21の下駄箱と一体的に設置されていてもよく、一階廊下22などの専用スペースに収納ボックス51b,52bを露出させて設置されていてもよい。
【0101】
(3)仕切装置51,52の壁形成体51a,52aは、腰壁程度の高さを有しているが、天井に達する高さを有していてもよい。要は、壁形成体51a,52aは、消火ガスが流れ出ることを規制し且つ人が通過可能となるように消火区画S同士を仕切る、又は消火区画Sを複数に仕切る構成であればよい。
【0102】
(4)放出ヘッド46は、消火区画S1〜S5の床に取り付けられていてもよい。この場合、消火ガスは床面から放出されるため、消火区画S1〜S5において消火ガス層と空気層とが攪拌されてしまうことを回避できる。また、放出ヘッド46を、消火ガスを床面又は下方に向けて放出する構成としてもよい。この構成においては、放出ヘッド46が内壁42や外壁41における床近傍よりも高い位置に配置されていてもよく、天井に配置されていてもよい。つまり、放出ヘッド46の設置高さは任意でよい。この場合でも、放出ヘッド46から消火ガスが放出されると消火ガス層が空気層の下に形成されるため、人が消火ガスを吸い込んでしまうことを回避できる。
【0103】
(5)換気装置66に手動動作が行われる操作部が設けられていてもよい。この場合、操作部が手動操作されることで換気装置66が運転されたり停止されたりするため、消火完了後に、人が実際に視認を確認してから消火区画S1〜S5の換気を行うことができる。したがって、残り火が再び勢い良く燃え始めてしまうことを抑制でき、ひいては、確実に火災を鎮火させることができる。
【0104】
(6)内壁42は耐火部材により構成されていてもよい。この場合、火災発生区画から他の消火区画Sへ火災が燃え拡がることが内壁42により規制される。したがって、建物10内における火災の延焼を防ぐ構成として好適である。
【0105】
(7)キッチン26、ダイニング25、一階廊下22及び玄関21だけがそれぞれことなる消火区画Sとして設定されていてもよい。この場合、仮にキッチン26を火元として火災が発生しても、ダイニング25、一階廊下22及び玄関21を避難経路として確保できるため、キッチン26にいる人が玄関21から速やかに屋外に逃げることができる。なお、キッチン26に勝手口が設けられていれば、例えばダイニング25にて火災が発生した場合に、人はキッチン26を避難経路として勝手口から屋外に逃げることができる。
【0106】
(8)第1仕切装置51は、隣接する消火区画Sの境界部に設けられていてもよい。例えば第1仕切装置51がリビング24の出入口24aに設けられていれば、壁形成体51aを出現させることで第1消火区画S1としての一階廊下22と第2消火区画S2としてのリビング24、ダイニング25、キッチン26とを仕切ることができる。また、第2仕切装置52は、1つの消火区画Sを複数に分割する位置に設けられていてもよい。例えば第2仕切装置52がリビング24とダイニング25との境界部及びダイニング25とキッチン26との境界部にそれぞれ配置されていれば、壁形成体52aを出現させることで第2消火区画S2を3つの空間(リビング24、ダイニング25、キッチン26)に仕切ることができる。
【0107】
(9)上記実施形態の消火システムを、集合住宅やビル等に適用してもよい。この場合、電気室や防災センタなどが消火区画S1〜S5として設定されていれば、火災発生時においても、消火システムを稼動させるための電力を電気室から供給したり消火システムの稼動状況を防災センタにて監視したりすることができる。また、共用部に相当する廊下や通路が消火区画S1〜S5として設定されていれば、火災発生時に廊下や通路を避難経路として確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本実施形態の二階建て建物における各階の間取り例を示す図。
【図2】建物の概略断面を示す図。
【図3】第6消火区画としての第2寝室の構成を示す斜視図。
【図4】第1仕切装置について説明するための説明図。
【図5】第2仕切装置について説明するための説明図。
【図6】消火システムの制御系統に関する電気的な構成を示すブロック図。
【図7】消火システムの電力系統に関する電気的な構成を示すブロック図。
【図8】ホームサーバによって実行される消火処理を示すフローチャート。
【図9】表示画面を示す図。
【図10】一階入力画面及び二階入力画面を示す図。
【符号の説明】
【0109】
10…建物、24a…リビングの出入口、34a…子供部屋の出入口、37a…階段空間の境界部、41…区画体としての外壁、42…区画体としての内壁、46…ガス放出部としての放出ヘッド、51…仕切体駆動部としての第1仕切装置、51a…第1仕切装置の壁形成体、52…仕切体駆動部としての第2仕切装置、52a…第2仕切装置の壁形成体、61…火災検出手段及び消火検出手段としての火災センサ、62…人検出手段としての人感センサ、63…空気質検出手段としての空気質センサ、64…操作部、65…警報装置としての空気質モニタ、66…換気装置、71…制御手段としてのホームサーバ、79…補助電力供給装置としての無停電電源装置、S1…第1消火区画、S2…第2消火区画、S3…第3消火区画、S4…第4消火区画、S5…第5消火区画。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災発生を検出する火災検出手段と、人の存在を検出する人検出手段と、空気よりも重い消火ガスを放出するガス放出部とを消火設備として備えているとともに、前記火災検出手段により火災発生が検出された場合に前記人検出手段の検出結果に合わせて前記ガス放出部から消火ガスを放出させる制御手段を備えている建物であって、
前記消火設備は、壁体により区画された所定の屋内空間部である消火区画に設置されており、
前記ガス放出部は、前記消火区画における床面又は床面近傍に設置されていることを特徴とする建物。
【請求項2】
人により操作されることで、前記消火ガスの放出を許可する操作部を備え、
前記制御手段は、前記火災検出手段により火災発生が検出された場合に、人検出手段により人の存在が検出され且つ前記操作部がガス放出の許可状態でなければ前記ガス放出部から消火ガスを放出させず、人の存在が検出されても前記操作部が前記許可状態であれば前記ガス放出部から消火ガスを放出させることを特徴とする請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記消火区画内、又は複数の消火区画の境界部に出没可能に設けられ、出現状態で人の通過を許容しつつ前記消火ガスの流出を規制する仕切体を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
前記仕切体は、床面から所定高さまで起立することで前記消火区画と他の領域とを仕切るもの、又は前記消火区画を複数に仕切るものであることを特徴とする請求項3に記載の建物。
【請求項5】
前記仕切体に仕切動作を行わせるべく駆動する仕切体駆動部を備え、
前記制御手段は、前記ガス放出部から前記消火ガスが放出されている場合に、前記仕切体を出現状態に移行させることを特徴とする請求項3又は4に記載の建物。
【請求項6】
前記消火区画における消火が完了したことを検出する消火検出手段と、
前記消火区画の空気質を検出する空気質検出手段と、
前記消火区画の換気を行う換気装置と
を備え、
前記制御手段は、前記消火検出手段により消火完了が検出された場合に、前記空気質検出手段の検出結果に基づいて前記換気装置を動作させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建物。
【請求項7】
商用電力を建物設備に分配する配電盤と、
前記配電盤から前記消火設備への商用電力の供給が停止された場合に、該消火設備に別系統としての電力を供給する補助電力供給装置と
を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の建物を設計する建物の設計装置であって、
前記建物の所定領域が防火仕様となるように設計されているか否かを判定する判定手段と、
前記設計判定手段により前記防火仕様でないと判定された場合にその旨を表示する表示手段と
を備えていることを特徴とする建物の設計装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−119516(P2010−119516A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294825(P2008−294825)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】