説明

建築パネル

【課題】在庫部品を低減すると共に、デザインの変更を容易に行うことが可能な建築パネルを提供することである。
【解決手段】建築パネル1は、2枚の表面材5と骨組み6とを有する框扉2である。表面材5は、框扉2の表層を覆う化粧パネルである。表面材5は、框扉2の表面13と裏面14にそれぞれ設けられている。骨組み6は、格子状を成した芯材8と、芯材8の外側に配置された枠材7とを有している。格子状の芯材8には化粧溝15が設けられており、化粧溝15の形状に表面材5を裏面のV字状の溝20により折曲して合致させることで、化粧溝15と略同等の形状の意匠溝12を、表面材5に現出できる。その結果、鏡板3と框板4を備えた框扉2を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築パネルに関し、さらに詳細には、軽量化された建築パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅に用いられている扉は、意匠性に優れたものが好まれている。例えば、中央に鏡板と呼ばれる主要な板が配置され、鏡板の周囲に框と呼ばれる枠板が配置された框扉は、デザイン上優れたものとして用いられることが多い。天然の無垢材で構成された框扉は、一般的には高価であり、且つ重さを有するものである。そのため、扉等に用いられる建築パネルは、原価を抑え且つ軽量化を図るために様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1には、フラッシュドアと呼ばれる軽量化されたドアが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載されたドアは、化粧板と芯部で構成された框扉である。詳述すると、芯部はいわゆる骨組みであり、主要な鏡板(中パネル)の土台となる中芯材と、框の土台となる側芯材と、中芯材と側芯材とを接続するための接続芯材とで構成されている。つまり、中芯材の両側に接続芯材があり、接続芯材に隣接して側芯材が位置しており、それらが接続されて芯部を成している。各々の芯材は枠状であり、それぞれ幅や厚みが違っている。そして、複数の芯材で構成された芯部の表面には、化粧板が貼付されており、各芯材の厚みと幅に沿って折り曲げられており、全体として框扉を成している。すなわち、特許文献1に記載されたドアを用いることで、原材料費を抑え、且つ軽量化が図られた框扉を提供することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−323743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載のドアでは、鏡板の土台となる中芯材や框の土台となる側芯材等の各芯材を、所定の幅と厚みで予め製作して用意する必要がある。そのため、多品種の扉を品揃えする際には、幅と厚みの異なる各芯材を用意する必要があり、多量の在庫部品を抱えることとなると共に、デザインの変更等を容易に行うことが難しいという新たな問題が生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、在庫部品を低減すると共に、デザインの変更を容易に行うことが可能な建築パネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、格子状を成した芯材と、前記芯材を支持する枠材と、前記芯材及び枠材の表面及び裏面を覆う表面材とを有し、当該芯材上の少なくとも一部に切削により形成された化粧溝が設けられており、前記表面材の裏側にはV字状の溝が形成され、該V字状の溝により折曲されて前記化粧溝の形状に合致しており、表面材の表面には前記化粧溝と略同等の形状が現出していることを特徴とする建築パネルである。
【0008】
本発明で採用する建築パネルは、格子状を成した芯材を有し、当該芯材上の少なくとも一部に切削により形成された化粧溝が設けられている。「格子状」とは、いわゆるマス目を成すものである。つまり、所望するデザインに基づいて、マス目となる芯材に切削工具等を用いて切削することで化粧溝を設ける。一方、表面材の裏側にはV字状の溝を形成し、該V字状の溝で表面材を折り曲げて当該化粧溝の形状に表面材を合致させることで、化粧溝と略同等の形状が表面材に現出する。その結果、所望するデザインの建築パネルを形成できる。
【0009】
例えば、中央の鏡板と両側の框とから構成される簡単なデザインの框扉では、格子状の芯材に、鉛直方向に延びる直線状の化粧溝を、所定の間隔で並列させて設け、化粧溝と略同等の形状を表面材に現出させるだけで、見た目に立派な框扉を形成することが可能である。すなわち、本発明の建築パネルは、格子状の芯材に化粧溝を設けるだけで所望するデザインの扉等を形成できるため、従来のようにデザイン毎に予め複数種類の芯材を用意して在庫する必要がない。さらに、デザインの変更についても、化粧溝の位置や方向、種類(深さや幅等)を変更するだけで良く、容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建築パネルによれば、在庫部品を低減すると共に、デザインの変更を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る建築パネルを示す斜視図である。
【図2】図1の建築パネルの骨組みを示す正面図である。
【図3】図2の骨組みを構成する縦芯材のB−B断面図である。
【図4】図1の建築パネルのA−A断面図及び一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の建築パネルの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0013】
本発明の実施形態に係る建築パネル1は、図1に示すように、2枚の表面材5と骨組み6とを有する框扉2である。表面材5は、框扉2の表層面を覆う化粧パネルである。表面材5は、框扉2の表面13と裏面14にそれぞれ設けられている。各々の表面材5には、2本の意匠溝12が設けられている。各々の表面材5は、意匠溝12同士が対向配置する形で、骨組み6を挟んで合わされている。
【0014】
表面材5において、意匠溝12,12同士に挟まれた箇所が鏡板3として区分され、意匠溝12の外側の箇所が框板4として区分されている。つまり、框扉2は、中央に位置する鏡板3と、鏡板3の両側に位置する框板4とを有している。言い換えれば、框扉2は、意匠溝12を境界線として、鏡板3と框板4とに区分されている。
【0015】
骨組み6は、図2に示すように、格子状を成した芯材8と、芯材8の外側に配置された枠材7とを有している。芯材8の外側の四方は、枠材7で囲まれており、且つ枠材7で支持されている。
【0016】
芯材8は、鉛直方向に延びる2本の縦芯材9と、水平方向に延びる4本の横芯材10とを有している。2本の縦芯材9は、所定の間隔を空けて配置されている。一方、4本の横芯材10も、それぞれ所定の間隔を空けて配置されている。縦芯材9と横芯材10とは、両者が直交して配置されており、格子状を成している。
【0017】
2本の縦芯材9及び枠材7の一部には、それぞれ化粧溝15が鉛直方向に沿って設けられている。
【0018】
化粧溝15は、図3に示すように、縦芯材9の表面13側と裏面14側のそれぞれに設けられている。化粧溝15,15は、断面視で線対称を成している。化粧溝15は、切削工具等を用いて切削加工して形成されるものである。
【0019】
つぎに、框扉2(建築パネル1)の断面形状について、図4を用いて説明する。図4は、框扉2の1つの框板4と、鏡板3の一部を示すものである。
【0020】
図4に示すように、框扉2の表面13と裏面14にそれぞれ設けられた表面材5,5は、骨組み6を挟んで合わされている。表面材5,5の端部5a,5aは、枠材7の側面に嵌められており、そこから枠材7と縦芯材9(芯材8)の両面(表面13と裏面14)にそれぞれ沿って、図示しない接着性樹脂で貼着されている。
【0021】
図4の一部拡大図に示すように、表面材5の裏側には、V字状の溝20が複数設けられており、V字状の溝20の箇所で折り曲げ可能となっている。そのため、表面材5は、縦芯材9に設けられた化粧溝15の形状に略合致して嵌められている。その結果、表面材5の表面に、化粧溝15と略同等の形状の意匠溝12が現出している。なお、V字状の溝20は、化粧溝15と同様、切削工具等を用いて切削加工して形成されるものである。表面材5は、図示は省略するが、合板等の板部材に伸縮性を有する表面シートが貼付されたものである。そのため、板部材にV字状の溝20を設けることで、表面材5はV字状の溝20の箇所で折り曲げる等、自在に変形させることが可能である。
【0022】
意匠溝12は、断面視で略凹状であり、垂直に切り立った壁部12aと、水平の底部12bと、傾斜のついた傾斜部12cとから形成されている。壁部12aの高さXと、底部12bの幅Yと、傾斜部12cの幅Zとは、1:2:2の比率で形成することが好ましい。なお、壁部12aの高さXは、框扉2の表面13と裏面14のそれぞれからの深さに該当するものである。
【0023】
以上の通り、本実施形態の建築パネル1では、縦芯材9(芯材8)の両面(表面13と裏面14)に切削により形成された化粧溝15を設け、化粧溝15と略同等の形状の意匠溝12を、表面材5に現出させることで、鏡板3と框板4を備えた框扉2を形成している。すなわち、本発明の建築パネル1によれば、格子状の芯材8に、化粧溝15を設けるだけで、所望するデザインの框扉2を形成できる。そのため、従来のようにデザイン毎に予め複数種類の芯材を用意して在庫する必要がない。さらに、デザインの変更についても、化粧溝15の位置や方向、種類等を変更するだけで良く、容易に行うことができる。
【0024】
上記実施形態では、建築パネル1を用いて框扉2を形成する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、框扉2以外の任意の扉を形成しても構わない。或いは、扉以外にも、任意のデザインを有する化粧パネルを形成しても構わない。
【0025】
上記実施形態では、縦芯材9に化粧溝15を設ける例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、横芯材10に設けても構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 建築パネル
5 表面材
7 枠材
8 芯材
15 化粧溝
20 V字状の溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状を成した芯材と、前記芯材を支持する枠材と、前記芯材及び枠材の表面及び裏面を覆う表面材とを有し、当該芯材上の少なくとも一部に切削により形成された化粧溝が設けられており、前記表面材の裏側にはV字状の溝が形成され、該V字状の溝により折曲されて前記化粧溝の形状に合致しており、表面材の表面には前記化粧溝と略同等の形状が現出していることを特徴とする建築パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−87609(P2013−87609A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232483(P2011−232483)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】