建築材料
【課題】CO2吸収剤がCO2を多量に吸収した場合でもCO2吸収能を回復させるよう構成することが可能な建築材料を提供する。
【解決手段】タイル1は、建築材料本体としての陶磁器質のタイル本体2と、該タイル本体2の一方の板面に形成されたBa2TiO4よりなるCO2吸収剤3とを有する。このCO2吸収剤3は、タイル本体2と一体に焼結されている。タイル本体2の裏面にはアリ溝2aが設けられており、タイル1の壁面をタイル係止部に引掛けるようにして施工可能としている。
【解決手段】タイル1は、建築材料本体としての陶磁器質のタイル本体2と、該タイル本体2の一方の板面に形成されたBa2TiO4よりなるCO2吸収剤3とを有する。このCO2吸収剤3は、タイル本体2と一体に焼結されている。タイル本体2の裏面にはアリ溝2aが設けられており、タイル1の壁面をタイル係止部に引掛けるようにして施工可能としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築材料に係り、特にCO2吸収機能を有した建築材料に関する。
【背景技術】
【0002】
CO2吸収機能を有した建築材料として、特開平11−278954号に、セメントペースト粒状成形体を含む多孔質建築材料が記載されている。また、特開2003−53144号公報にはCO2吸収剤として貝殻粉末を含有した壁材等が記載されている。
【特許文献1】特開平11−278954号
【特許文献2】特開2003−53144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特開平11−278954号及び特開2003−53144号公報の建築材料は、CO2吸収剤がCO2を飽和量まで吸収してしまった後はCO2吸収能を有しないものとなる。
【0004】
本発明は、CO2吸収剤がCO2を多量に吸収した場合でもCO2吸収能を回復させるよう構成することが可能な建築材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の建築材料は、CO2吸収剤を有する建築材料において、該CO2吸収剤の少なくとも一部がBa2TiO4であることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の建築材料は、請求項1において、該建築材料は、板状の建築材料本体と、該建築材料本体の少なくとも前面に設けられた前記CO2吸収剤とを有することを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の建築材料は、請求項1において、該建築材料は、外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容された前記CO2吸収剤とを有することを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の建築材料は、外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容されたCO2吸収剤とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3の建築材料は、CO2吸収剤の少なくとも一部としてBa2TiO4を用いている。このBa2TiO4は、貝殻粉末などに比べてCO2吸収能に著しく優れる。また、このBa2TiO4は、CO2を多量に吸収した後でも、加熱することによりCO2を放出する特性を有するので、建築材料がCO2を多量に吸収した場合に該建築材料あるいは建築材料から取り出したBa2TiO4を加熱することによりCO2吸収能を回復させることが可能である。
【0010】
なお、上記Ba2TiO4は、Ba2TiO4+CO2→BaTiO3+BaCO3なる反応に従ってCO2を吸収する。CO2を吸収したものを800℃以上に加熱すると、上記と逆方向の反応が進行し、CO2を放出する。
【0011】
請求項2の建築材料は、例えば壁材のように、前面を大気に露呈させるようにして用いられる。この建築材料の前面にCO2吸収剤が設けられているので、大気中のCO2を効率よく吸収することが可能である。
【0012】
請求項3の建築材料は、その中空部内に空気が流通するように用いられる。この中空部内のCO2吸収剤がCO2を吸収する。この場合、CO2吸収剤は好ましくは粒状及び/又は粉状として中空部内に収容される。このようにすれば、CO2吸収剤が多量にCO2を吸収した後は、CO2吸収剤を中空部内から取り出し、加熱して再生(CO2放出)して再収容したり、あるいは新品のCO2吸収剤と交換したりすることにより、建築材料のCO2吸収剤吸収能を回復させることができる。
【0013】
なお、請求項2,3において、建築材料本体が耐熱性(好ましくは800℃以上の耐熱性)を有するものである場合には、CO2吸収剤としてBa2TiO4を有した建築材料をBa2TiO4と共に加熱してBa2TiO4からCO2を放出させることも可能である。
【0014】
請求項4の建築材料は、CO2吸収剤がBa2TiO4など特定のものに限定されないこと以外は請求項3の建築材料と同様の構成のものである。この場合も、CO2吸収剤は好ましくは粒状及び/又は粉状として中空部内に収容される。このようにすれば、CO2吸収剤が多量にCO2を吸収した後は、CO2吸収剤を交換したりすることによりCO2吸収能を回復させることができる。また、CO2吸収剤が加熱によりCO2を放出する特性を有するものであるときには、CO2吸収剤を加熱して再生させてもよい。この場合、建築材料本体が耐熱性を有するものであるときには、CO2吸収剤を収容した建築材料を加熱してCO2吸収剤を再生することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る建築材料としてのタイルの斜視図である。
【0016】
このタイル1は、建築材料本体としての陶磁器質のタイル本体2と、該タイル本体2の一方の板面に形成されたBa2TiO4よりなるCO2吸収剤3とを有する。このCO2吸収剤3は、タイル本体2と一体に焼結されている。なお、Ba2TiO4の焼結促進のために少量のバインダー成分(例えば粘土やガラスフリットなど)が添加されてもよい。
【0017】
タイル本体2の裏面にはアリ溝2aが設けられており、タイル1を壁面のタイル係止部(図示略)に引掛けるようにして施工可能としている。
【0018】
このタイル1は、前面を大気に露呈させるようにして施工される。このタイル1の前面にCO2吸収剤3が設けられているので、大気中のCO2を効率よく吸収することが可能である。
【0019】
このタイル1は、Ba2TiO4よりなるCO2吸収剤3を有しており、CO2吸収能に著しく優れる。また、CO2吸収剤3がCO2を多量に吸収した場合に該タイル1を壁面から取り外して加熱することにより、CO2吸収剤3のCO2吸収能を回復させることが可能である。
【0020】
図2は別の実施の形態に係る建築材料としてのブロックを示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【0021】
このブロック5は、建築材料本体としての、後面が開放した中空直方体形状のセラミック製ブロック本体6と、該ブロック本体6内に収容されたBa2TiO4よりなる粒状CO2吸収剤7と、ブロック本体6の後面に接着剤や取付具(図示略)などにより好ましくは着脱可能に取り付けられたメッシュ8とを有する。ブロック本体6の前面には通気口6aが設けられており、この通気口6aから粒状CO2吸収剤7が脱落することを防止するためにメッシュ9が通気口6aに重なるように配置されている。
【0022】
このブロック5は、ブロック塀を構築するように段積みして施工される。この際、前面及び後面が鉛直面となるように段積みされる。
【0023】
このブロック塀に風が当ると、通気口6aを通り抜けるようにして空気がブロック6内を流れ、空気中のCO2がCO2吸収剤7に吸収される。
【0024】
メッシュ8がブロック本体6に着脱可能となっているときには、CO2吸収剤7がCO2を多量に吸収した場合には、メッシュ8を取り外し、CO2吸収剤7を取り出し、加熱して再生した後再充填するか、新品のCO2吸収剤と交換することができる。
【0025】
図3は、さらに別の実施の形態に係る建築材料としての中空建築材料を示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【0026】
この中空建築材料10は、中空筒状のセラミック製の中空建築材料本体11と、該中空建築材料本体11内に収容されたBa2TiO4よりなる粒状CO2吸収剤12と、中空建築材料本体11の両端に装着された通気性キャップ13とを有する。この通気性キャップ13としては、メッシュや、通気孔付きのゴム又は樹脂製の栓などを用いることができる。なお、中空建築材料本体11は円筒状に図示されているが、角筒状であってもよく、その断面形状は任意である。
【0027】
この中空建築材料10は、その中空部内に空気が流通するように両端面を大気に露呈させるように施工される。この中空建築材料10は、例えばルーバー等として用いることができる。
【0028】
この中空建築材料10の内部に空気が流通すると、CO2吸収剤12がCO2を吸収する。
【0029】
CO2吸収剤12は多量にCO2を吸収した後は、CO2吸収剤12を中空建築材料本体11内から取り出し、加熱して再生(CO2放出)して再収容したり、あるいは新品のCO2吸収剤と交換したりすることにより、建築材料のCO2吸収剤吸収能を回復させることができる。また、中空建築材料本体11はセラミック製であり、十分な耐熱性を有しているので、中空建築材料10を建物から取り外し、必要に応じキャップ13を取り外した後、中空建築材料10全体を加熱してCO2吸収剤12を再生することも可能である。
【0030】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の各種の建築材料に適用することができる。本発明では、建築材料は壁面等に塗布される塗り材であってもよい。塗り材としては、塗料に対しBa2TiO4の粉体を塗料固形分に対し好ましくは1〜20重量%程度、特に好ましくは2〜15重量%程度配合したものを用いることができる。塗料は有機系、無機系、有機・無機ハイブリッド系などのいずれでもよい。有機系あるいは有機・無機ハイブリッド系塗料の場合、シリカゲルを塗料固形分に対し好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%程度配合して塗膜の通気性を高めるのが好ましい。
【0031】
上記実施の形態ではCO2吸収剤がBa2TiO4のみより成っているが、Ba2TiO4と他のCO2吸収剤とから成っていてもよい。図2,3の実施の形態にあっては、CO2吸収剤は再生可能なものであればBa2TiO4でなくてもよい。
【0032】
CO2吸収剤の再生時に放出したCO2を植物等に吸収させてもよい。
【実施例】
【0033】
実施例1〜3、比較例1
原料としてアクリルエマルジョン、フィラー(寒水石の粉体)、パルプ、白色顔料(酸化チタン)、添加剤(防カビ剤、増粘剤等)、水、Ba2TiO4、及びシリカゲル粉体を用い、表1の割合にて調合し、容積24m3の密閉した部屋の壁面(15m2)に固形分として1400g/m2の割合で塗布した。塗料が硬化した後、20代〜50代の男女計6人を約3時間談笑させた後の室内のCO2濃度を比較することにより塗膜の評価を行い、結果を表1に記載した。
【0034】
なお、表1の評価の判断基準は次の通りである。
優:CO2濃度 1000ppm以下
良:CO2濃度 1000〜2000ppm
不可:CO2濃度 2000ppm以上
【0035】
表1の通り、実施例1〜3はいずれも優又は良であるが、比較例は不可である。
【0036】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態に係る建築材料としてのタイルの斜視図である。
【図2】別の実施の形態に係る建築材料としてのブロックを示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【図3】さらに別の実施の形態に係る建築材料としての中空建築材料を示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 タイル
3,7,12 CO2吸収剤
5 ブロック
10 中空建築材料
【技術分野】
【0001】
本発明は建築材料に係り、特にCO2吸収機能を有した建築材料に関する。
【背景技術】
【0002】
CO2吸収機能を有した建築材料として、特開平11−278954号に、セメントペースト粒状成形体を含む多孔質建築材料が記載されている。また、特開2003−53144号公報にはCO2吸収剤として貝殻粉末を含有した壁材等が記載されている。
【特許文献1】特開平11−278954号
【特許文献2】特開2003−53144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特開平11−278954号及び特開2003−53144号公報の建築材料は、CO2吸収剤がCO2を飽和量まで吸収してしまった後はCO2吸収能を有しないものとなる。
【0004】
本発明は、CO2吸収剤がCO2を多量に吸収した場合でもCO2吸収能を回復させるよう構成することが可能な建築材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の建築材料は、CO2吸収剤を有する建築材料において、該CO2吸収剤の少なくとも一部がBa2TiO4であることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の建築材料は、請求項1において、該建築材料は、板状の建築材料本体と、該建築材料本体の少なくとも前面に設けられた前記CO2吸収剤とを有することを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の建築材料は、請求項1において、該建築材料は、外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容された前記CO2吸収剤とを有することを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の建築材料は、外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容されたCO2吸収剤とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3の建築材料は、CO2吸収剤の少なくとも一部としてBa2TiO4を用いている。このBa2TiO4は、貝殻粉末などに比べてCO2吸収能に著しく優れる。また、このBa2TiO4は、CO2を多量に吸収した後でも、加熱することによりCO2を放出する特性を有するので、建築材料がCO2を多量に吸収した場合に該建築材料あるいは建築材料から取り出したBa2TiO4を加熱することによりCO2吸収能を回復させることが可能である。
【0010】
なお、上記Ba2TiO4は、Ba2TiO4+CO2→BaTiO3+BaCO3なる反応に従ってCO2を吸収する。CO2を吸収したものを800℃以上に加熱すると、上記と逆方向の反応が進行し、CO2を放出する。
【0011】
請求項2の建築材料は、例えば壁材のように、前面を大気に露呈させるようにして用いられる。この建築材料の前面にCO2吸収剤が設けられているので、大気中のCO2を効率よく吸収することが可能である。
【0012】
請求項3の建築材料は、その中空部内に空気が流通するように用いられる。この中空部内のCO2吸収剤がCO2を吸収する。この場合、CO2吸収剤は好ましくは粒状及び/又は粉状として中空部内に収容される。このようにすれば、CO2吸収剤が多量にCO2を吸収した後は、CO2吸収剤を中空部内から取り出し、加熱して再生(CO2放出)して再収容したり、あるいは新品のCO2吸収剤と交換したりすることにより、建築材料のCO2吸収剤吸収能を回復させることができる。
【0013】
なお、請求項2,3において、建築材料本体が耐熱性(好ましくは800℃以上の耐熱性)を有するものである場合には、CO2吸収剤としてBa2TiO4を有した建築材料をBa2TiO4と共に加熱してBa2TiO4からCO2を放出させることも可能である。
【0014】
請求項4の建築材料は、CO2吸収剤がBa2TiO4など特定のものに限定されないこと以外は請求項3の建築材料と同様の構成のものである。この場合も、CO2吸収剤は好ましくは粒状及び/又は粉状として中空部内に収容される。このようにすれば、CO2吸収剤が多量にCO2を吸収した後は、CO2吸収剤を交換したりすることによりCO2吸収能を回復させることができる。また、CO2吸収剤が加熱によりCO2を放出する特性を有するものであるときには、CO2吸収剤を加熱して再生させてもよい。この場合、建築材料本体が耐熱性を有するものであるときには、CO2吸収剤を収容した建築材料を加熱してCO2吸収剤を再生することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る建築材料としてのタイルの斜視図である。
【0016】
このタイル1は、建築材料本体としての陶磁器質のタイル本体2と、該タイル本体2の一方の板面に形成されたBa2TiO4よりなるCO2吸収剤3とを有する。このCO2吸収剤3は、タイル本体2と一体に焼結されている。なお、Ba2TiO4の焼結促進のために少量のバインダー成分(例えば粘土やガラスフリットなど)が添加されてもよい。
【0017】
タイル本体2の裏面にはアリ溝2aが設けられており、タイル1を壁面のタイル係止部(図示略)に引掛けるようにして施工可能としている。
【0018】
このタイル1は、前面を大気に露呈させるようにして施工される。このタイル1の前面にCO2吸収剤3が設けられているので、大気中のCO2を効率よく吸収することが可能である。
【0019】
このタイル1は、Ba2TiO4よりなるCO2吸収剤3を有しており、CO2吸収能に著しく優れる。また、CO2吸収剤3がCO2を多量に吸収した場合に該タイル1を壁面から取り外して加熱することにより、CO2吸収剤3のCO2吸収能を回復させることが可能である。
【0020】
図2は別の実施の形態に係る建築材料としてのブロックを示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【0021】
このブロック5は、建築材料本体としての、後面が開放した中空直方体形状のセラミック製ブロック本体6と、該ブロック本体6内に収容されたBa2TiO4よりなる粒状CO2吸収剤7と、ブロック本体6の後面に接着剤や取付具(図示略)などにより好ましくは着脱可能に取り付けられたメッシュ8とを有する。ブロック本体6の前面には通気口6aが設けられており、この通気口6aから粒状CO2吸収剤7が脱落することを防止するためにメッシュ9が通気口6aに重なるように配置されている。
【0022】
このブロック5は、ブロック塀を構築するように段積みして施工される。この際、前面及び後面が鉛直面となるように段積みされる。
【0023】
このブロック塀に風が当ると、通気口6aを通り抜けるようにして空気がブロック6内を流れ、空気中のCO2がCO2吸収剤7に吸収される。
【0024】
メッシュ8がブロック本体6に着脱可能となっているときには、CO2吸収剤7がCO2を多量に吸収した場合には、メッシュ8を取り外し、CO2吸収剤7を取り出し、加熱して再生した後再充填するか、新品のCO2吸収剤と交換することができる。
【0025】
図3は、さらに別の実施の形態に係る建築材料としての中空建築材料を示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【0026】
この中空建築材料10は、中空筒状のセラミック製の中空建築材料本体11と、該中空建築材料本体11内に収容されたBa2TiO4よりなる粒状CO2吸収剤12と、中空建築材料本体11の両端に装着された通気性キャップ13とを有する。この通気性キャップ13としては、メッシュや、通気孔付きのゴム又は樹脂製の栓などを用いることができる。なお、中空建築材料本体11は円筒状に図示されているが、角筒状であってもよく、その断面形状は任意である。
【0027】
この中空建築材料10は、その中空部内に空気が流通するように両端面を大気に露呈させるように施工される。この中空建築材料10は、例えばルーバー等として用いることができる。
【0028】
この中空建築材料10の内部に空気が流通すると、CO2吸収剤12がCO2を吸収する。
【0029】
CO2吸収剤12は多量にCO2を吸収した後は、CO2吸収剤12を中空建築材料本体11内から取り出し、加熱して再生(CO2放出)して再収容したり、あるいは新品のCO2吸収剤と交換したりすることにより、建築材料のCO2吸収剤吸収能を回復させることができる。また、中空建築材料本体11はセラミック製であり、十分な耐熱性を有しているので、中空建築材料10を建物から取り外し、必要に応じキャップ13を取り外した後、中空建築材料10全体を加熱してCO2吸収剤12を再生することも可能である。
【0030】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の各種の建築材料に適用することができる。本発明では、建築材料は壁面等に塗布される塗り材であってもよい。塗り材としては、塗料に対しBa2TiO4の粉体を塗料固形分に対し好ましくは1〜20重量%程度、特に好ましくは2〜15重量%程度配合したものを用いることができる。塗料は有機系、無機系、有機・無機ハイブリッド系などのいずれでもよい。有機系あるいは有機・無機ハイブリッド系塗料の場合、シリカゲルを塗料固形分に対し好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%程度配合して塗膜の通気性を高めるのが好ましい。
【0031】
上記実施の形態ではCO2吸収剤がBa2TiO4のみより成っているが、Ba2TiO4と他のCO2吸収剤とから成っていてもよい。図2,3の実施の形態にあっては、CO2吸収剤は再生可能なものであればBa2TiO4でなくてもよい。
【0032】
CO2吸収剤の再生時に放出したCO2を植物等に吸収させてもよい。
【実施例】
【0033】
実施例1〜3、比較例1
原料としてアクリルエマルジョン、フィラー(寒水石の粉体)、パルプ、白色顔料(酸化チタン)、添加剤(防カビ剤、増粘剤等)、水、Ba2TiO4、及びシリカゲル粉体を用い、表1の割合にて調合し、容積24m3の密閉した部屋の壁面(15m2)に固形分として1400g/m2の割合で塗布した。塗料が硬化した後、20代〜50代の男女計6人を約3時間談笑させた後の室内のCO2濃度を比較することにより塗膜の評価を行い、結果を表1に記載した。
【0034】
なお、表1の評価の判断基準は次の通りである。
優:CO2濃度 1000ppm以下
良:CO2濃度 1000〜2000ppm
不可:CO2濃度 2000ppm以上
【0035】
表1の通り、実施例1〜3はいずれも優又は良であるが、比較例は不可である。
【0036】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態に係る建築材料としてのタイルの斜視図である。
【図2】別の実施の形態に係る建築材料としてのブロックを示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【図3】さらに別の実施の形態に係る建築材料としての中空建築材料を示すものであり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 タイル
3,7,12 CO2吸収剤
5 ブロック
10 中空建築材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2吸収剤を有する建築材料において、
該CO2吸収剤の少なくとも一部がBa2TiO4であることを特徴とする建築材料。
【請求項2】
請求項1において、該建築材料は、板状の建築材料本体と、該建築材料本体の少なくとも前面に設けられた前記CO2吸収剤とを有することを特徴とする建築材料。
【請求項3】
請求項1において、該建築材料は、外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容された前記CO2吸収剤とを有することを特徴とする建築材料。
【請求項4】
外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容されたCO2吸収剤とを有する建築材料。
【請求項1】
CO2吸収剤を有する建築材料において、
該CO2吸収剤の少なくとも一部がBa2TiO4であることを特徴とする建築材料。
【請求項2】
請求項1において、該建築材料は、板状の建築材料本体と、該建築材料本体の少なくとも前面に設けられた前記CO2吸収剤とを有することを特徴とする建築材料。
【請求項3】
請求項1において、該建築材料は、外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容された前記CO2吸収剤とを有することを特徴とする建築材料。
【請求項4】
外部に連通した中空部を有した建築材料本体と、該中空部内に収容されたCO2吸収剤とを有する建築材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2007−182686(P2007−182686A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−746(P2006−746)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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