説明

建築物用扉

【課題】美的効果が得られるとともに、扉本体の外側から内側に冷気が入り込むことを防止することができる建築物用扉を提供すること。
【解決手段】ドア1は、建築物の開口部201に開閉自在に設置されるものである。このドア1は、外形形状が板状をなすドア本体2と、ドア本体2の縁部21に設置され、ドア本体2が閉じているときに発光するとともに発熱するLED光源を有する照明装置9a〜9eとを備えている。各照明装置9a〜9eは、それぞれ、ドア本体2が閉じている場合、LED光源が発する光がドア本体2の少なくとも一方の面側で視認され、LED光源が発する熱により当該LED光源周辺の空気を加温するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の開口部に開閉自在に設置される建築物用扉に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅(建築物)の開口部(玄関)には、例えば、特許文献1に記載された住宅用ドアが開閉自在に設置されている。
【0003】
しかしながら、この従来の住宅用ドアは、それを閉めたときに開口部を覆う機能、すなわち、扉として機能しか有していなかった。また、この従来の住宅用ドアでは、通常、それを閉めたとき、住宅用ドアの縁部と住宅の開口部の縁部との間に間隙が形成され、当該間隙を介して戸外からの空気(冷気)が室内に入り込んでいた。このため、例えば冬季に、住人が室内で寒さ(不快感)を感じていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−68344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、美的効果が得られるとともに、扉本体の外側から内側に冷気が入り込むことを防止することができる建築物用扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 建築物の開口部に開閉自在に設置される建築物用扉であって、
外形形状が板状をなす扉本体と、
前記扉本体の縁部に設置され、前記扉本体が閉じているときに発光するとともに発熱する少なくとも1つのLED光源を有する照明装置とを備え、
前記照明装置は、前記扉本体が閉じている場合、前記LED光源が発する光が前記扉本体の少なくとも一方の面側で視認され、前記LED光源が発する熱により該LED光源周辺の空気を加温するよう構成されていることを特徴とする建築物用扉。
【0007】
(2) 前記扉本体が閉じているとき、該扉本体の縁部と前記開口部の縁部との間には、間隙が形成され、前記LED光源の熱が前記間隙内の空気を加温する上記(1)に記載の建築物用扉。
【0008】
(3) 前記LED光源の光は、前記間隙を介して視認される上記(2)に記載の建築物用扉。
【0009】
(4) 前記照明装置は、前記LED光源を複数有し、該複数のLED光源が前記扉本体の縁部に沿って連設されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の建築物用扉。
【0010】
(5) 前記照明装置は、前記各LED光源のそれぞれに対して印加する電圧の大小により、加温の程度を設定し得るよう構成されている上記(4)に記載の建築物用扉。
【0011】
(6) 前記扉本体が開いたとき、前記扉本体が閉じていたときに点灯していた前記LED光源のうちの少なくとも1つの前記LED光源が消灯する上記(4)または(5)に記載の建築物用扉。
【0012】
(7) 前記照明装置は、前記扉本体が開いたときの前記各LED光源のそれぞれに対する通電/切電を選択し得るよう構成されている上記(6)に記載の建築物用扉。
【0013】
(8) 前記LED光源は、前記照明装置が作動中か否かを示すパイロットランプとしての機能を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の建築物用扉。
【0014】
(9) 前記LED光源は、前記扉本体が閉じているか否かを示す機能を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の建築物用扉。
【0015】
(10) 前記扉本体は、それを一方の面側からみたとき、形状がほぼ四角形をなしており、
前記照明装置は、前記扉本体の4つの縁部のうちの少なくとも1つの縁部に設置されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の建築物用扉。
【0016】
(11) 前記扉本体に対して前記LED光源を支持する支持部材を有し、
前記LED光源の熱が、前記支持部材に蓄熱され、該支持部材から放熱されるよう構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の建築物用扉。
【0017】
(12) 前記扉本体と前記開口部とを連結し、該開口部に対して前記扉本体を回動可能に支持する回動支持部を有する上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の建築物用扉。
【0018】
(13) 前記扉本体は、それが閉じたときに前記建築物の内側と外側とを隔てるものである上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の建築物用扉。
【0019】
(14) 前記扉本体の外側の面には、ソーラーパネルが設置されており、該ソーラーパネルを介して得られた電力が前記LED光源に供給される上記(13)に記載の建築物用扉。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、LED光源が発光することにより、その発光が視認され、よって、美的効果が得られる。
【0021】
また、LED光源が発する光が間隙を介して視認される場合には、LED光源が間接照明となり、よって、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。
【0022】
また、LED光源が発熱することにより、扉本体の外側から内側に流する冷気を加温することができ、よって、当該冷気が入り込むことを防止することができる。これにより、例えば、足元が、「スースー」したり、「ヒヤッ」とする不快感が解消され、建築物内において快適に活動することができる。
【0023】
また、扉本体を閉じた状態で例えば建築物に設置された換気装置を作動した場合、扉本体と開口部との間の間隙を介して吸気/排気を行なうことができ、よって、建築物内に冷気が流入して当該建築物内を冷やさずに換気をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の建築物用扉を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、本発明の建築物用扉の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す建築物用扉の正面図(部分縦断面図)、図3は、図1に示す建築物用扉の下部の拡大部分縦断面図((A)は建築物用扉が閉じた状態を示す図、(B)は建築物用扉が開いた状態を示す図)、図4は、本発明における照明装置のLEDユニットの構成例を示す斜視図、図5は、本発明における照明装置のLED光源の構成例を示す図((A)は平面図、(B)は正面図、(C)は断面図)である。なお、説明の都合上、図1〜図3(図6も同様)において、上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。また、図1〜図3中(図6も同様)の上下方向が鉛直方向、左右方向が水平方向である。また、図2では、扉本体の縁部と建築物の開口部の縁部との間の間隙を誇張して描いている。
【0026】
図1および図2に示すドア(建築物用扉)1は、住宅(建築物)の例えば玄関の外壁20に形成された開口部201に開閉自在に設置されるものである。これにより、ドア1が閉じたときに住居の内側と外側とを隔てることができる。よって、ドア1を閉めたとき、外側(戸外)から内側(室内)を視認するのを防止することができたり、不本意な第三者の室内への侵入を防止することができたりする。以下、ドア1が閉じた状態を「閉状態」といい、ドア1が開いた状態を「開状態」という。
【0027】
図2に示すように、ドア1は、閉状態で、ドア1の縁部21と開口部201の縁部202との間に、間隙5が形成される。例えば冬季には、間隙5を介して、戸外から外気(冷気)が室(図示せず)内に流入する。
【0028】
ドア1は、ドア本体(扉本体)2と、ドア本体2と外壁20(開口部201)とを連結する回動支持部3と、ドア本体2に設置された照明装置9a、9b、9c、9dおよび9eと、ドア本体2に対して照明装置9a、9b、9c、9dおよび9e(LED光源91)をそれぞれ支持する支持部材4と、ドア本体2の開閉操作を行なうノブ7とを有している。以下、各部の構成について説明する。
【0029】
扉本体2は、外形形状が板状をなす部材で構成されている。また、図2に示すように、この扉本体2は、正面視で、すなわち、それを一方の面側(例えば外側)からみたとき、形状が長方形(四角形)をなしている。
【0030】
なお、ドア本体2は、中実のものであってもよいし、中空のものであってもよい。ドア本体2が中空のものである場合、その中空部(内部空間)に、例えば、断熱材や遮音材を設置してもよい。
【0031】
また、ドア本体2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムやアルミニウム系合金、木材等が挙げられる。
【0032】
ドア本体2の図2中右側の縁部21dには、その長手方向(鉛直方向)に沿って2つの回動支持部3、3が設置されている。各回動支持部3は、ドア本体2の縁部21dと開口部201の縁部202とを連結し、当該開口部201に対してドア本体2を回動可能に支持するものである(図1参照)。これにより、ドア1を回動操作することができ、よって、ドア1が確実に閉状態と開状態とを取り得る。
なお、各回動支持部3は、例えば、ヒンジ(蝶番)で構成されている。
【0033】
ドア本体2の各回動支持部3と反対側、すなわち、図2中左側の縁部21bのほぼ中央部近傍には、ノブ7が設置されている。ノブ7は、ドア1を開閉操作するときに把持される部位である。
【0034】
図2に示すように、ドア本体の縁部21には、それぞれ、長尺状をなす凹部(溝)22a、22b、22c、22dおよび22eが形成されており、各凹部22a、22b、22c、22dおよび22e内にそれぞれ各照明装置9a、9b、9c、9dおよび9eが支持部材4を介して設置(収納)されている。
【0035】
凹部22aは、ドア本体2の図2中上側の縁部21aに形成さている。また、この凹部22aには、照明装置9aが設置されている。
【0036】
凹部22bおよび22cは、それぞれ、ドア本体2の図2中左側の縁部21bに、その長手方向に沿って形成さている。また、凹部22bおよび22cは、ノブ7を介して、形成されている。凹部22bには、照明装置9bが設置されており、凹部22cには、照明装置9cが設置されている。
【0037】
凹部22dは、ドア本体2の図2中下側の縁部21cに形成さている。また、この凹部22dには、照明装置9dが設置されている。
【0038】
凹部22eは、ドア本体2の図2中右側の縁部21dに形成さている。また、凹部22eは、2つの回動支持部3および3の間に位置している。この凹部22dには、照明装置9dが設置されている。
【0039】
各照明装置9a、9b、9c、9dおよび9eの構成は、それぞれ、ほぼ同一であるため、以下、照明装置9dについて代表的に説明する。
【0040】
図3および図4に示すように、照明装置9dは、複数(本実施形態では8つ)の図5に示すLED(発光ダイオード)光源91を、ドア本体2の縁部21cに沿って連設してなるLEDユニット90を有している。このLEDユニット90としては、図4(A)に示すように、パッケージ化されたもの、図4(B)に示すように、その表面が絶縁された通電用の導線(ケーブル)等で繋がっているもの等、種々の形態のものを用いることができる。なお、本実施形態および後述する各実施形態では、その一部を除き、代表的に、図4(A)に示すパッケージ化されたLEDユニット90を用いた場合について説明する。
【0041】
図5に示すように、LED光源91は、発光するとともに発熱するものである。このLED光源91は、矩形板状の基盤92と、基盤92の一方の面(図5(C)において上側の面)上に設けられた反射板93と、LED素子94と、蛍光体95と、レンズ96とを備えている。
【0042】
基盤92は、矩形の金属板が多層に積層されて形成されている。また、基盤92には、プラス電極97とマイナス電極98とが、その多層の金属板の間に挟まれて取り付けられている。この場合、プラス電極97とマイナス電極98とが短絡(ショート)しないようになっている。また、基盤92の主材料には、LED素子94の熱を逃がし易い材料、すなわち、熱伝導率の高い、例えば、アルミニウムやアルミニウム系合金等の金属材料が用いられる。
【0043】
また、反射板93は、枠状をなし、基盤92の外周部に設置されており、その内面において光を反射する。
【0044】
また、LED素子94は、反射板93の内側、すなわち、基盤92の中央部に設置されている。また、LED素子94は、その下面にプラス電極94aおよびマイナス電極94bを有している。このプラス電極94aおよびマイナス電極94bは、それぞれ、基盤92のプラス電極97およびマイナス電極98に接続されている。LED素子94は、プラス電極94aおよびマイナス電極94bを介して低電圧直流電流が供給されることにより点灯(発光)する。
【0045】
また、蛍光体95は、LED素子94を覆うように形成されており、レンズ96は、反射板93の内面および蛍光体95を覆うように形成されている。
【0046】
LEDユニット90は、図4(A)に示すように、複数のLED光源91が略直線状に連設され、パッケージ化されており、長尺状をなしている。
【0047】
また、LEDユニット90は、それぞれ、導線により図示しない電源部に接続されており、その電源部から電流(例えば、低電圧直流電流)が供給されると、駆動し、各LED光源91がそれぞれ点灯(発光)する。
【0048】
また、各LED光源91が発する光(照明光)の色、すなわち、各LED素子94における発光色は、白色であってもよく、また、例えば、赤色、緑色、青色等の種々のカラー色であってもよい。
【0049】
また、LEDユニット90において、各LED素子94における発光色は、同一であってもよく、また、異なっていてもよい(異なる色を任意に組み合わせてもよい)。
【0050】
図2および図3に示すように、このような構成のLEDユニット90(照明装置9d)は、各LED光源91の光軸の方向が、下方(下側)を向いている。
【0051】
また、LEDユニット90では、閉状態で、8つのLED光源91がそれぞれ、発光するとともに発熱するよう構成されている(図3(A)参照)。また、開状態では、閉状態で点灯して(発光して)いた8つLED光源91のうちの4つのLED光源91が消灯するよう構成されている(図3(B)参照)。
【0052】
このようにドア1の閉状態/開状態に応じた各LED光源91のON/OFF制御は、例えば、ドア1の縁部21に、出没自在に設置されたスイッチにより行なうことができる。このスイッチは、閉状態で開口部201の縁部202に押圧されたとき、照明装置9dの回路を閉じて、各LED光源91に対する電力の供給を可能とする。また、スイッチは、開状態で開口部201の縁部202の押圧が解除されたとき、照明装置9dの回路の一部を開いて、消灯するLED光源91に対する電力の供給を遮断(切断)する。なお、イッチは、開状態で点灯を続けるLED光源91に対しては、電力の供給を維持する。
【0053】
また、LEDユニット90を支持する支持部材4は、例えばアルミニウムやアルミニウム系合金等の熱伝導性が比較的高い金属材料で構成された板部材である。
【0054】
次に、ドア1の作用について説明する。前述したように、各照明装置9a、9b、9c、9dおよび9eの構成は、それぞれ、ほぼ同一であるため、以下、照明装置9dについて代表的に説明する。
【0055】
図2に示す(図3(A)も同様)状態、すなわち、閉状態の場合、照明装置9dの各LED光源91が点灯(発光)すると、各LED光源91から光が発せられる。この光により、間隙5を介して、住宅の内部および外部が照明される。すなわち、住宅の内部(内側)および外部(外側)の両方から間隙5を介して、照明光を見ることができる。この照明、特に、住宅の内部への照明、すなわち、間接照明により、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。一般的に、間接照明は、美的効果や癒し効果があると言われている。
【0056】
また、住宅の外部への照明により、住宅内に人がいるような感覚を与えることができ、また、住宅の外部において、ドア1に人が接近すると、その人が明るく照らされ、これらにより、防犯効果が得られる。
【0057】
また、前述したように間隙5を介して住宅の外部の冷気が住宅の内部に流入しようとするが、各LED光源91は熱を発するため、その熱が当該LED光源91周辺の空気、すなわち、間隙5を通過する冷気(空気)を加温することとなる。これにより、冷気は、比較的暖かい空気(暖気)となり、この状態で住宅の内部に流入する。これにより、例えば、足元が、「スースー」したり、「ヒヤッ」とする不快感が解消され、住宅において快適に生活することができる。
【0058】
また、ドア1を閉じた状態で例えば住宅内に設置された換気装置(図示せず)を作動した場合、間隙5を介して吸気/排気を行なうことができ、よって、住宅内に冷気が流入して当該住宅内を冷やさずに換気をすることができる。
【0059】
照明装置9d(照明装置9a〜9cおよび9eも同様)は、閉状態で、各LED光源91のそれぞれに対して印加する電圧の大小を変えることができる。これにより、例えば、冬季には、各LED光源91のそれぞれに対して印加可能な最大電圧を印加して、加温の程度を上げる(高める)ことができ、よって、冷気を十分に加温することができる。また、冬季より暖かい春季や秋季には、各LED光源91のそれぞれに対する電圧を最大電圧より小さく設定して、加温の程度を抑制することができ、よって、冷気を過剰に加温するのを防止することができる。
【0060】
このように、照明装置9dでは、季節に応じて加温の程度を変更するこができ、よって、冷気を過不足なく加温することができる。これにより、住宅においてより快適に生活することができる。
【0061】
また、住宅の内部に流入した暖気は、ドア1の内側の面を加温することとなり、よって、ドア1の内側の面に結露が生じるのを防止することができる。
【0062】
また、照明装置9dが作動しているときは、各LED光源91はそれぞれ点灯し、逆に、照明装置9dが作動していない(例えば、照明装置9dの電源がOFFされている)ときは、各LED光源91はそれぞれ消灯するよう構成されている。これにより、LEDユニット90(LED光源91)は、照明装置9dが作動中か否かを示すパイロットランプとして機能する。これにより、照明装置9dが作動中か否かを容易かつ確実に把握することができる。
【0063】
また、照明装置9d(照明装置9bも同様)では、開状態で、各LED光源91のそれぞれに対する通電/切電を選択することができる。これにより、開状態で4つのLED光源91はそれぞれ点灯し続け、残りの4つのLED光源91はそれぞれ消灯する。点灯が維持されるLED光源91と消灯するLED光源91とは、互いに交互に、配置されている。
【0064】
このような構成により、閉状態と閉状態とで照明装置9dの照度が変わるため、ドア1が閉じているか否かを把握することができる。よって、例えば冬季に室内を暖房器具で暖めているとき、ドア1が開状態の場合、その開状態を認識してドア1を閉じて、室内の暖かい状態を維持することができる。
【0065】
また、ドア1では、開状態で、冷気を加温するのを省略してもよい。このため、開状態で各LED光源91のそれぞれに対する通電/切電を選択可能な構成を採ることができる。これにより、照明装置9dでの消費電力を抑制することができる。
【0066】
また、図1に示すように、ドア1では、開状態で、照明装置9a、9bおよび9eがそれぞれ消灯する、すなわち、床(図示せず)に対して近位の照明装置9cおよび9dがそれぞれ前述したように点灯する。これにより、例えば室内が比較的暗いときに、足元を照明することができる。
【0067】
また、各LED光源91で発生した熱は、支持部材4に蓄熱(吸熱)され、当該支持部材4から放熱される。これにより、各LED光源91で発生した熱を効率良く放熱することができ、これによって、各LED光源91の温度上昇による発光効率の減少を抑制(または防止)することができ、これにより、効率良く照明することができる。
【0068】
また、支持部材4に蓄熱され熱は、その一部がドア本体2に伝達される。これにより、ドア本体2が加温され、ドア本体2の結露を防止することができる。
【0069】
以上説明したように、このドア1によれば、LED光源91の発光(照明)により、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)および防犯効果が得られるとともに、LED光源91の発熱により、冷気の流入防止効果すなわち冷気に対する加温効果等の前述した種々の効果が得られる。
【0070】
また、各照明装置9a、9b、9c、9dおよび9eがそれぞれドア本体2の各縁部21a、21b、21cおよび21dに設置されているため、間隙5を通過する冷気を十分かつ確実に加温することができる。
【0071】
また、照明装置9d(照明装置9a〜9cおよび9eも同様)では、それぞれ、複数のLED光源91が縁部21dの長手方向に沿って配列されているため、間隙5を通過する冷気を十分かつ確実に加温することができる。
【0072】
<第2実施形態>
図6は、本発明の建築物用扉の第2実施形態を示す斜視図である。
【0073】
以下、この図を参照して本発明の建築物用扉の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0074】
本実施形態は、扉本体にソーラーパネルが設置されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0075】
図6に示すドア1Aでは、ドア本体2Aの外側の面に、2枚のソーラーパネル8、8が設置されている。各ソーラーパネル8は、それぞれ、当該ソーラーパネル8を介して得られた電力を蓄積する太陽電池(図示せず)に電気的に接続されている。
【0076】
このような構成ドア1Aでは、各LED光源91に太陽電池から電力が供給され、よって、各LED光源91が点灯する。これにより、ドア1Aが環境に優しいものとなる。
【0077】
以上、本発明の建築物用扉を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、建築物用扉を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0078】
また、本発明の建築物用扉は、それが閉じたときに建築物の内側と外側とを仕切る(隔てる)ものに限定されず、例えば、建築物の各部屋を仕切るものであってもよい。
【0079】
また、本発明の建築物用扉は、建築物の開口部に対して回転可能なものであるのに限定されず、例えば、引き戸のような、開口部に対して移動可能(スライド可能)なものであってもよい。
【0080】
また、ドア本体の各縁部に対する照明装置の設置数は、1つや2つであるのに限定されず、例えば、3つ以上であってもよい。
【0081】
また、各照明装置は、ドア本体の4つの縁部にそれぞれ設置されているのに限定されず、例えば、4つの縁部のうちの1つ、2つまたは3つの縁部に設置されていてもよい。
【0082】
また、各照明装置では、異なる色のLED光源を複数交互に配置し、開状態で、特定の色のLED光源が点灯または消灯するよう構成されていてもよい。例えば、各照明装置で複数の白色のLED光源と複数の青色のLED光源とが交互に配列されている場合、開状態で、各白色のLED光源が点灯し続け、各青色のLED光源が消灯してもよい。
【0083】
また、ソーラーパネルは、ドア本体に設置されるのに限定されず、例えば、住宅の屋根に設置されていてもよい。
【0084】
また、冷気が流入する間隙は、扉本体の縁部と開口部の縁部との間に形成されたものであるのに限定されず、例えば、一対の引き戸の間に形成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の建築物用扉の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す建築物用扉の正面図(部分縦断面図)である。
【図3】図1に示す建築物用扉の下部の拡大部分縦断面図((A)は建築物用扉が閉じた状態を示す図、(B)は建築物用扉が開いた状態を示す図)である。
【図4】本発明における照明装置のLEDユニットの構成例を示す斜視図である。
【図5】本発明における照明装置のLED光源の構成例を示す図((A)は平面図、(B)は正面図、(C)は断面図)である。
【図6】本発明の建築物用扉の第2実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
1、1A ドア(建築物用扉)
2、2A ドア本体(扉本体)
21、21a、21b、21c、21d 縁部
22a、22b、22c、22d、22e 凹部(溝)
3 回動支持部
4 支持部材
5 間隙
7 ノブ
8 ソーラーパネル
9a、9b、9c、9d、9e 照明装置
90 LEDユニット
91 LED光源
92 基盤
93 反射板
94 LED素子
94a プラス電極
94b マイナス電極
95 蛍光体
96 レンズ
97 プラス電極
98 マイナス電極
20 外壁
201 開口部
202 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部に開閉自在に設置される建築物用扉であって、
外形形状が板状をなす扉本体と、
前記扉本体の縁部に設置され、前記扉本体が閉じているときに発光するとともに発熱する少なくとも1つのLED光源を有する照明装置とを備え、
前記照明装置は、前記扉本体が閉じている場合、前記LED光源が発する光が前記扉本体の少なくとも一方の面側で視認され、前記LED光源が発する熱により該LED光源周辺の空気を加温するよう構成されていることを特徴とする建築物用扉。
【請求項2】
前記扉本体が閉じているとき、該扉本体の縁部と前記開口部の縁部との間には、間隙が形成され、前記LED光源の熱が前記間隙内の空気を加温する請求項1に記載の建築物用扉。
【請求項3】
前記LED光源の光は、前記間隙を介して視認される請求項2に記載の建築物用扉。
【請求項4】
前記照明装置は、前記LED光源を複数有し、該複数のLED光源が前記扉本体の縁部に沿って連設されている請求項1ないし3のいずれかに記載の建築物用扉。
【請求項5】
前記照明装置は、前記各LED光源のそれぞれに対して印加する電圧の大小により、加温の程度を設定し得るよう構成されている請求項4に記載の建築物用扉。
【請求項6】
前記扉本体が開いたとき、前記扉本体が閉じていたときに点灯していた前記LED光源のうちの少なくとも1つの前記LED光源が消灯する請求項4または5に記載の建築物用扉。
【請求項7】
前記照明装置は、前記扉本体が開いたときの前記各LED光源のそれぞれに対する通電/切電を選択し得るよう構成されている請求項6に記載の建築物用扉。
【請求項8】
前記LED光源は、前記照明装置が作動中か否かを示すパイロットランプとしての機能を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の建築物用扉。
【請求項9】
前記LED光源は、前記扉本体が閉じているか否かを示す機能を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の建築物用扉。
【請求項10】
前記扉本体は、それを一方の面側からみたとき、形状がほぼ四角形をなしており、
前記照明装置は、前記扉本体の4つの縁部のうちの少なくとも1つの縁部に設置されている請求項1ないし9のいずれかに記載の建築物用扉。
【請求項11】
前記扉本体に対して前記LED光源を支持する支持部材を有し、
前記LED光源の熱が、前記支持部材に蓄熱され、該支持部材から放熱されるよう構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の建築物用扉。
【請求項12】
前記扉本体と前記開口部とを連結し、該開口部に対して前記扉本体を回動可能に支持する回動支持部を有する請求項1ないし11のいずれかに記載の建築物用扉。
【請求項13】
前記扉本体は、それが閉じたときに前記建築物の内側と外側とを隔てるものである請求項1ないし12のいずれかに記載の建築物用扉。
【請求項14】
前記扉本体の外側の面には、ソーラーパネルが設置されており、該ソーラーパネルを介して得られた電力が前記LED光源に供給される請求項13に記載の建築物用扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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