説明

建築物

【課題】暗い空間において光触媒効果が発揮されて健康快適な空間が得られ、しかも雨漏りの危険性がないとともに施工性に優れた建築物を提供する。
【解決手段】内部に区画された複数の空間が形成され、かつ開口部を有するとともにこの開口部を通して太陽光が多く入射する明るい空間と、太陽光の入射が少ない暗い空間とを有する建築物であって、前記暗い空間には、光触媒加工体が設けられ、前記明るい空間と暗い空間との間に、明るい空間の光を暗い空間へ伝達する光伝達手段が配設されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、明るい空間の光を採り入れることにより、暗い空間において光触媒効果を発揮して健康快適性を高めることのできる建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源の枯渇問題、及び地球環境問題が深刻化していることから、石油など化石燃料依存からの脱却が求められ、代替燃料として、クリーンで無尽蔵な自然エネルギーとしての太陽エネルギー利用が注目されている。そこで、太陽光発電などの技術開発が進歩して、実用化が普及しているが、イニシャルコストが高くつくとともに設備メンテナンスが必要となる課題を抱えている。
【0003】
これに対して、太陽光自体をできるだけ多く建築物内部に採り入れて、照明、或いは暖房源として活用するため、開口部構造の改良など種々工夫が重ねられている。そして、これら開口部からの採光に加え、屋根、或いは屋上部分に受光部を設置し、光チューブなどの光伝導路を介して、太陽光を建築物内部に導入する太陽光集光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
更に進んで、これら太陽光集光装置により導入した自然光を、例えばカーテンなどに光触媒コートを被覆するなどした加工品に照射することによって、光触媒の持つ消臭、抗菌、防汚、空気浄化、及び浄水効果を活性化させて、健康快適な空間を創り出すシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−307522号公報 特開2004−159842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記太陽光集光装置では、受光部が雨露に曝されることから、防水性能、防錆性能が求められるため装置として複雑化し、また屋根或いは屋上部分を貫通して施工することから、雨漏りを生じる危険性が高い。更には、個別に異なる屋根勾配、或いは瓦の種類などに応じて、適切な防水施工を施す必要があるため工事に専門性が要求されて工期も長くかかることから、コストが高くなる。特に既築建物に後付けする場合には、既存のシール層を貫通して施工することから防水の信頼性を高める必要があり、取付部の下地の補強を含め、施工が煩雑化、長期化するという問題が生じる。
【0007】
また、太陽光との関係から受光部の配置には一定の制約がある一方、屋根の形状、勾配、或いは瓦の種類、形状、寸法によって機器類の取付け構造が異なることから、設置用架台、或いは取付金物は、個別に設計、製造する必要があり、施工性が低下するとともに工期、コストが嵩むという問題がある。
【0008】
しかも、屋根、或いは屋上で受けた太陽光を屋内へ送り込むことからその経路が長くなり、施工性が悪くなるとともに、コストが高くなる。しかも必ずしも直線状でない長い経路を進む間に光量のロスを生じるため、採光の効率が低下しがちである。
【0009】
本発明は、前記暗い空間に光触媒加工体が設けるとともに、明るい空間と暗い空間との間に、明るい空間の光を暗い空間へ伝達する光伝達手段が配設されるを基本とし、暗い空間において光触媒効果が発揮されて健康快適な空間が得られ、しかも雨漏りの危険性がないとともに施工性に優れた建築物の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、内部に区画された複数の空間が形成され、かつ開口部を有するとともにこの開口部を通して太陽光が多く入射する明るい空間と、太陽光の入射が少ない暗い空間とを有する建築物であって、前記暗い空間には、光触媒加工体が設けられ、前記明るい空間と暗い空間との間に、明るい空間の光を暗い空間へ伝達する光伝達手段が配設されることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、前記光伝達手段は、明るい空間に設けられて光を受け入れる受光部と、暗い空間に設けられて光を出す照射部と、受光部乃至照射部の間に設けられて受光部で受けた光を照射部へ送る導光部とを具え、請求項3に係る発明において、前記受光部は、強い光を暗い空間へ向けて送るため、集めた光を収束する光収束手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、明るい空間に、光を前記受光部に向けて反射することにより集光する集光装置を設け、請求項5に係る発明において、前記光触媒加工体は、光触媒被膜を設けた壁紙であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明においては、光伝達手段によって、明るい空間の光が暗い空間へ伝達され、その光が暗い空間に設けられた光触媒加工体の光触媒を活性化することにより、抗菌、脱臭、防汚、大気浄化、及び浄水等の光触媒の有する諸機能が発揮され、その結果健康快適な空間が得られる。しかも光伝達手段は、全てが建物内部に設けられて、屋根面、或いは屋上を貫通することがないことから、雨漏りの危険性がないとともに、屋根形状、瓦の種類などの条件に影響を受けることなく簡単に取付けできる。従って取付け具など使用部品を標準化できるため、施工性を向上しうるとともに工期を短縮し、その結果コストを低減することができる。また屋根形状などによる光伝達手段の設置場所の制約がないことから、建築物内の明るい空間と暗い空間とを結ぶ最短の経路で光伝達手段を構成できるため、光量のロスを最小限に抑えることができるとともに、施工性を高めてコストを抑制しうる。
【0014】
特に既築建物に後付けで施工する場合、屋根面、或いは屋上部分に対する施工を含まないことから、構造がシンプル化して施工性が良い。また屋根形状などによる光伝達手段の設置場所の制約がないことため、平面プランの決まった既築建物においても、光伝達手段を自由に配置することができる。
【0015】
請求項2に係る発明のように、建築部の内部である明るい空間に光を受け入れる受光部を設けると、受光部を介して雨漏りを生じる危険性がないとともに施工性が向上する。しかも受光部自体、雨露に曝されることがないことから、受光部に防水性能、防錆性能が要求されないため、装置の構成をシンプル化することができ、その結果受光部の取付け施工が簡単となるとともにコストを削減しうる。
【0016】
請求項3に係る発明のように、集めた光を収束する光収束手段を受光部に設けると、明るい空間から暗い空間へ向けて強い光を効率的に送り込むことができるため、暗い空間に配された光触媒加工体の光触媒を、より強く活性化することができる。
【0017】
請求項4に係る発明のように、明るい空間に、光を前記受光部に向けて反射することにより集光する集光装置を設けると、暗い空間へより多くの光を伝達できることから、光触媒機能が更に活発に発揮される。
【0018】
請求項5に係る発明のように、光触媒被膜を設けた壁紙を用いて光触媒加工体を構成すると、広い面積に亘って光触媒効果が発揮されることから、抗菌、脱臭など大きな効果が得られる。従って、曇天、或いは冬季など、多少光量が弱い場合にも、全体として顕著な光触媒効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1に示すように、建築物1は、内部に間仕切り壁21、或いは二階床22などによって区画された複数の空間が形成され、しかもその空間には、明るい空間3と暗い空間4とが含まれる。建築物1は、具体的には住宅、ケアーハウス或いはグループホームなどの福祉施設、ホテル或いは旅館など宿泊施設、事務所オフィス或いは店舗など商業施設、学校、図書館或いは公民館など公共施設などが含まれる。
【0020】
前記明るい空間3は、開口部2が形成され、この開口部2を通して太陽光が多く入射する空間であり、主として南面に配置されたサンルーム、リビングルーム、吹き抜け空間、などが含まれる。
【0021】
前記開口部2は、外壁23に設けられた、掃き出し口2A、腰高窓2B、及び屋根面24に設けられた天窓(トップライト)2Dなどを含み、主に透明板ガラス、型板ガラスなどの透光性に優れたガラスにより遮蔽されている。特に南側の屋根面24Sに形成された天窓2Dを具えた明るい空間3は、昼間太陽光が豊富に入射するため、非常に明るい空間として構成される。
【0022】
他方暗い空間4は、納戸、地下室、廊下などのように無開口の空間、或いは設備窓などの小さな開口を具えるものの、北面に配置されることから太陽光の直射がなく、一日中薄暗い浴室、洗面所、脱衣室、トイレなどのサニタリー空間、及びキッチンなどの空間が含まれる。
【0023】
前記明るい空間3と暗い空間4との間に光伝達手段6が設けられる。この光伝達手段6は、明るい空間3の太陽光を、暗い空間4へ伝達して、暗い空間4を一定程度明るくする機能を有する。そして、本形態では、受光部7と、照射部8と、導光部9とを含み構成されたものが例示される。
【0024】
前記受光部7は、明るい空間3の光を受け入れるために設けられ、本形態では図2に示すように、横向き半球状の受光具25を明るい空間3の間仕切壁26に取り付けて形成される。前記受光具25は、半球体の本体部25Aと、この本体部25Aの外周縁に一体に設けられたリング状の縁部25Bとからなる。
【0025】
前記本体部25Aは、高い透光性を有し、明るい空間3の光を低下させることなく受け入れることができるものである。そしてガラス、及びポリスチレン、メタクリル樹脂、メタクリルスチレン樹脂、ポリカーボネートなどのプラスチック材料その他を用いて形成される。
【0026】
前記縁部25Bは、断面L字状の環体であり、前記本体部25Aの周面方向に沿う主面部26と周面方向に直角かつ外側に小幅でのびる鍔部27とからなる。そして、本形態の縁部25Bは、本体部25Aと同じ材料を用いて構成され、本体部25Aと一体形成される。
【0027】
前記間仕切壁26に穿設された取付け孔28に、受光具25の縁部25Bを挿入することによって、取付け孔28の内周面に主面部26が嵌合するとともに、鍔部27が取付け孔28に係合して、受光具25が間仕切壁26に安定した状態で支持される。更に受光具25の縁部25Bを、図示されないビスなどの固着具によって間仕切壁26に固着し、これによって受光部7が構成される。
【0028】
前記照射部8は、暗い空間4に光を放出するために設けられ、本形態では図3に示すように、上に開口した半球状の照射具29を暗い空間3の天井30に取り付けて形成される。本形態の照射具29は、本体部29Aと、縁部29Bとを含み構成され、前記受光具25と共通の部品が用いられる。そして、天井31に穿設した取付け孔32に、嵌合するとともに、図示されないビスなどの固着具によって天井31に固着することにより、照射部8が構成される。このように、照射具29、及び受光具25に共通の部品を用いると、施工性を向上できるとともに、コストを抑制しうる点で好ましい。
【0029】
前記導光部9は、受光部7乃至照射部8の間に設けられ、受光部7で受け入れた光を照射部8へ向けて送るものである。本形態の導光部9は、チューブ状をなすとともに内周面が反射面に形成されている。また導光部9は、直筒状のメインチューブ9Aと、エルボ9Bとを複数本接続して形成される。そしてメインチューブ9Aは、例えば980mmの単位長さに形成され、複数本を接続することにより、任意長さの導光部9を構成できる。プランの制約上、導光部9に折れ曲がり部を形成する場合は、メインチューブ9Aの間にエルボ9Bが介装される。本形態では、図3に示すように、導光部9の終端部にエルボ9Bが接続される。
【0030】
前記メインチューブ9A、及びエルボ9Bは、例えば紙、プラスチック、薄鋼板などを用いた筒状基体の内周面に、アルミ蒸着することにより反射面を形成している。しかして、明るい空間3から受光部7が受け入れた光が、導光部9内部の反射面によって反射されることにより暗い空間4へ向かって送られるとともに、照射部8から暗い空間4へ照射する光伝達手段6が建物の内部において形成される。このように光伝達手段6は、屋根、屋上を貫通しないことから、雨漏りの危険性がなくなり、また屋根形状、瓦の種類などの建物毎の各種条件に影響を受けることなく、受光部7、及び導光部9を簡単に取付けできる。またこれに関連して取付け具など使用部品を標準化できるため、施工性を向上しうるとともに工期を短縮し、その結果コストを低減することができる。
【0031】
前記の如く、屋内に設置される光伝達手段6は、設置場所に関して、屋根形状などによる制約がないことから、明るい空間3と暗い空間4とを結ぶ最短の経路で光伝達手段6を構成できる。そのため、光のロスを最小限に抑えて、伝達効率を向上できるとともに、施工性を高めてコストを抑制しうる。
【0032】
また屋根面、或いは屋上部分に対する施工を含まないことから、特に既築建物に後付けで施工する場合においては、構造がシンプル化できることのメリットが大きく、施工性を大巾に改善できる。更には前記の如く屋根形状に起因して、光伝達手段6の設置場所が制約されることがないため、既築建物の平面プランに対応して、光伝達手段6を自由に配置できる。
【0033】
また本形態の光伝達手段6では、受光部7を屋内である明るい空間3に設置するため、受光部7を介して雨漏りを生じる危険性がないとともに施工性が向上する。しかも受光部7自体、雨露に曝されることがないことから、受光部7に防水性能、防錆性能が要求されないため、装置の構成をシンプル化することができ、受光部7の取付け施工が簡単となるとともにコストを削減しうる。
【0034】
照射部8が光を照射する暗い空間には、光触媒加工体5が設けられる。この光触媒加工体5は、光触媒を担持したものであって、具体的には、壁紙、床材、天井材などの建物仕上げ材、カーテン、ブランド、カーペーットなどの室内装備品、浴槽、洗面化粧台、キッチン、便器などのサニタリー設備機器、或いは、寝具、ソファー、テーブルその他の家具類が含まれる。
【0035】
光触媒は、酸化チタンに代表され、紫外線、或いは可視光を受けて活性酸素を発生し、その強い酸化分解作用で汚れ、細菌、悪臭等を二酸化炭素、水に分解し、除菌、抗菌、空気・水の浄化、防汚、脱臭、マイナスイオン等の効果がある。超親水性を有し、水滴付着防止、曇り止め等にも使用される。
【0036】
前記各種の光触媒加工体5において、その表面に光触媒被膜を成膜することによって光触媒が担持される。具体的に、光触媒被膜をつくる方法としては、酸化チタンを水、溶剤などに溶かしたスラリーを塗料に混合して成膜させるやり方、無機系樹脂などのバインダーを用いて酸化チタンを定着させる方法、酸化チタンを含む溶液(ゾル)を反応させたゲルを加熱処理して薄膜化させる所謂ゾルゲル法などにより光触媒被膜を形成する公知の方法が用いられる。
【0037】
このような光触媒加工体5が設置された暗い空間4に対し、明るい空間3の光が光伝達手段6によって伝達されることから、光触媒加工体5の光触媒が活性化されて、抗菌、脱臭、防汚、大気浄化、及び浄水等の光触媒の有する諸機能が発揮され、その結果健康快適な空間が得られる。特に、昼間は人の出入りが少なくて、小窓があるにしても閉めたままで薄暗い状態におかれるサニタリー空間などが、南面の明るい空間3に入射する太陽光が伝達されて、光触媒効果によって除菌、大気浄化などが作用して快適空間が形成されると、夜間に清潔な快適環境の中で、健康的で気持ちよく使用できるという大きな効果が得られる。
【0038】
さらに前記のように、光触媒加工体5として光触媒被膜を設けた壁紙を用いると、壁面の広い面積に亘って光触媒効果が得られることから、抗菌、脱臭など顕著な効果が得られる点で好ましい。また、曇天、或いは冬季など、多少光が弱い状況にあっても、全体として大きな光触媒効果が得られる。
【0039】
図4は他の実施形態を例示している。以下異なる内容について説明し、それ以外は図中に表れた主要構成に同じ符号を付すだけとする。本形態の光伝達手段6は、光ファイバー33を用いた導光部9、光ファイバーへ光を送るために、集めた光を収束する光収束手段10を具えた受光部7、及び光ファイバーで送られた光を暗い空間4に照射する照射部8を含み構成される。
【0040】
前記光ファイバー33としては、石英ガラスファイバー、プラスチックファイバーが一般に使用される。本形態では直径3mmのプラスチックファイバーを用いる。プラスチックファイバーは、石英ガラスファイバーに比べて損失が大きいという欠点を有するが、安価である上、取り扱いが容易であることから一般の施工業者でも断線の心配なく簡単に工事することができる点で好ましい。なお光ファイバー33は、直径3mm程度のものが複数本バンドルして使用され、全体として大口径の受光径を確保している。図4では、模式図的に5本の光ファイバー33をバンドルした形態を図示しているが、これに限定されるものではない。
【0041】
前記受光部7は、本形態では、光収束手段10と、この光収束手段10を収容する受光シェルター34をとを含み構成されたものが例示される。本形態の光収束手段10は、凸レンズ、或いはドーム型のフルネルレンズなどの集光レンズを用いて構成され、光を円錐状に収束させることによって、前記光ファイバー33に向けて集光するものである。この他、凹面鏡を用いて光を収束する光収束手段10を用いることもできる。しかして受光部7に光収束手段10を設けると、明るい空間3から暗い空間4へ向けてより強い光を効率的に送り込むことができるため、暗い空間4に配された光触媒加工体5の光触媒を、より強く活性化することができる点で好ましい。
【0042】
前記受光シェルター34は、横に向き開口するラッパ状の容器体からなり、前記光収束手段10、及びこれに接続された光ファイバー33の端部を収容するとともに、明るい空間3の間仕切り壁26の取付け孔28に嵌合して固着されている。
【0043】
前記照射部8は、本形態では、光ファイバー33の先端部に接続されて発光し、暗い空間4を照明する照明具35と、この照明具35を収容する照明シェルター36とを含み構成されたものが例示される。
【0044】
光ファイバー33の端部から光がそのまま放射される場合には、約45度の角度で拡散して放射される。前記照明具35は、光ファイバー33の端部に屈折率の異なる光導体を接続することにより、光導体の部分で光りを効果的に拡散して放出されるように構成したものが例示される。暗い空間4に装備された光触媒被覆膜を設けた壁紙、床材、天井材など、比較的広い面積に光を照射する場合には、このような拡散タイプの照明具35が好適である。しかしながら、光触媒コーティングした浴槽、洗面化粧台、キッチン、便器などのサニタリー設備機器にスポット的に光を照射する場合は、レンズ、反射鏡などを組み合わせて光を集中照射する照明具35が使用される。
【0045】
前記照明シェルター36は、下に開口するラッパ状の容器体からなり、前記照明具35、及びこれに接続される光ファイバー33の端部を収容するとともに、暗い空間4の天井30の取付け孔32に嵌合して固着されている。また照明シェルター36の内面は、アルミ蒸着するなどして輝面に形成され、光を前方へ反射して効率を高めている。
【0046】
図5に示す実施形態では、天窓2Dから明るい空間3へ入射する太陽光を受けるとともに、受光部7へ向けて反射する集光装置11が設置されている。この集光装置11は、凹面状をなす反射鏡40と、この反射鏡40を建物矩体に固定する支持台41とからなる。前記支持台41は、天井部から水平にのびる支持基部41Aと、この支持基部41A上に設けられて、前記反射鏡40の裏面中央部を軸支する回転支持部41Bとを含み構成される。さらに反射鏡40裏面と、前記支持基部41Aとの間には、小型モータの正転、逆転によりロッドが本体筒部から伸び縮み自在に構成された電動シリンダ42Sを使用した伸縮具42が取り付けられる。この伸縮具42の伸縮によって、反射鏡40の傾斜角度を調整し、太陽高度の変化に追従することにより、太陽光を受光部7に向けて集光することができる。このような集光装置11を設けると、暗い空間4へ向けて多くの光を伝達することができる。
【0047】
尚、叙上の説明は本発明の実施の形態を例示したものである。従って本発明の技術的範囲はこれに何ら限定されるものではなく、前記した実施の形態の他にも、各種の変形例が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態を例示する断面図である。
【図2】その要部拡大図である。
【図3】他の部分の要部拡大図である。
【図4】他の実施形態を例示する要部拡大断面図である。
【図5】更に他の実施形態を例示する要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 建築物
2 開口部
3 明るい空間
4 暗い空間
5 光触媒加工体
6 光伝達手段
7 受光部
8 照射部
9 導光部
10 光収束手段
11 集光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に区画された複数の空間が形成され、かつ開口部を有するとともにこの開口部を通して太陽光が多く入射する明るい空間と、太陽光の入射が少ない暗い空間とを有する建築物であって、
前記暗い空間には、光触媒加工体が設けられ、
前記明るい空間と暗い空間との間に、明るい空間の光を暗い空間へ伝達する光伝達手段が配設されることを特徴とする建築物。
【請求項2】
前記光伝達手段は、明るい空間に設けられて光を受け入れる受光部と、暗い空間に設けられて光を出す照射部と、受光部乃至照射部の間に設けられて受光部で受けた光を照射部へ送る導光部とを具えることを特徴とする請求項1記載の建築物。
【請求項3】
前記受光部は、強い光を暗い空間へ向けて送るため、集めた光を収束する光収束手段を有することを特徴とする請求項2記載の建築物。
【請求項4】
明るい空間に、光を前記受光部に向けて反射することにより集光する集光装置を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建築物。
【請求項5】
前記光触媒加工体は、光触媒被膜を設けた壁紙であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の建築物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−13941(P2008−13941A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183632(P2006−183632)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】