説明

建築用パネルの積み重ね構造

【課題】屋根仕上げ材等の仕上げ板材の破損を確実に防ぐことができるとともに、現場での建物の施工に係る作業を軽減して施工性を向上させることが可能な建築用パネルの積み重ね構造を提供することを目的とする。
【解決手段】スペーサ5は、パネル本体2の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材4に跨るようにして配置される長尺なスペーサ本体5aと、パネル本体2の表面の周縁部付近のジョイント領域Tに設置される一対の脚部5bとを備えており、下方に位置する建築用パネル1には、スペーサ5が、このパネル本体2の長さ方向に沿って複数設けられており、これら複数のスペーサ5上に、上方に位置する建築用パネル1が載置されている。これにより、スペーサを、複数の仕上げ板材を跨ぐようにして、パネル本体上に配置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用パネルを、スペーサを介して上下方向に複数積み重ねてなる建築用パネルの積み重ね構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の構築についてはその工業化が進み、壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらの建築用パネルを組み立てることにより、建物を構築するといったパネル工法が一部に採用されている。
例えば、予め工場生産された屋根パネルを建物の屋根部分に設置することによって屋根が形成されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−020751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載のような屋根パネルの表面に、この屋根パネルの表面を覆う仕上げ板材である屋根仕上げ材を、予め工場等で取り付けておき、このような屋根仕上げ材が取り付けられた屋根パネルを用いて屋根を施工することによって、現場での作業を軽減したいという要望がある。また、できるだけ多くの屋根パネルを輸送車両の荷台に積載して、輸送効率を向上させたいという要望があった。
ところが、できるだけ多くの屋根パネルを輸送車両の荷台に積載するために、例えば複数の屋根パネルを上下方向に積み重ねると、輸送中に屋根パネル同士が強く接触することで、これら複数の屋根パネルの表面に取り付けられた屋根仕上げ材が破損してしまう場合がある。このように屋根仕上げ材が破損してしまうと、現場で破損部分を修復したり、屋根仕上げ材自体を取り替えたりする必要があり、手間である。
以上のような要望や問題点は、屋根パネルに限るものではなく、壁パネルや床パネル等を含む建築用パネル全般に共通するものである。
【0004】
本発明の課題は、屋根仕上げ材等の仕上げ板材の破損を確実に防ぐことができるとともに、現場での建物の施工に係る作業を軽減して施工性を向上させることが可能な建築用パネルの積み重ね構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、パネル本体2と、このパネル本体2の表面に、このパネル本体2の周縁部から所定の間隔をあけて取り付けられる複数の仕上げ板材4とを備える建築用パネル1を、スペーサ5を介して上下方向に複数積み重ねてなる建築用パネル1の積み重ね構造であって、
前記パネル本体2の表面の周縁部付近は、このパネル本体2と、このパネル本体2と隣接する他のパネル本体2とを連結した際に、これら隣接するパネル本体2間に架け渡されるジョイント用の仕上げ板材4を取り付けるためのジョイント領域Tとされており、
前記スペーサ5は、前記パネル本体2の表面に取り付けられる複数の仕上げ板材4に跨るようにして配置される長尺なスペーサ本体5aと、このスペーサ本体5aの両端部にそれぞれ取り付けられるとともに、前記ジョイント領域Tに設置される一対の脚部5bとを備えており、
下方に位置する建築用パネル1のパネル本体2には、前記スペーサ5が、このパネル本体2の長さ方向に沿って複数設けられており、これら複数のスペーサ5上に架け渡されるようにして、上方に位置する建築用パネル1が載置されていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、前記スペーサ5は、前記パネル本体2の表面に取り付けられる複数の仕上げ板材4に跨るようにして配置される長尺なスペーサ本体5aと、このスペーサ本体5aの両端部にそれぞれ取り付けられるとともに、前記ジョイント領域Tに設置される一対の脚部5bとを備えているので、これら一対の脚部5bを前記パネル本体2の周縁部付近のジョイント領域Tに設置するとともに、前記スペーサ本体5aを前記パネル本体2の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材4に跨るようにして配置することによって、前記スペーサ5を、前記パネル本体2の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材4を跨ぐようにして、前記パネル本体2上に配置できることとなる。
これによって、輸送時に、前記建築用パネル1を上下方向に複数積み重ねたとしても、これら建築用パネル1同士が強く接触することがなくなるので、これら複数の建築用パネル1のパネル本体2の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材4が破損してしまうことを確実に防ぐことができる。したがって、従来とは異なり、現場で、これら複数の仕上げ板材4の破損部分を修復したり、これら複数の仕上げ板材4自体を取り替えたりする必要がなくなるので、現場での建物の施工に係る作業を軽減して施工性を向上させることが可能となる。
【0007】
しかも、このようなスペーサ5が、前記下方に位置する建築用パネル1のパネル本体2の長さ方向に沿って複数設けられているので、前記上方に位置する建築用パネル1を、これら複数のスペーサ5上に安定的に載置することができる。これによって、できるだけ多くの建築用パネル1を輸送車両の荷台に積載することができるので、輸送効率を向上させることができる。
また、前記パネル本体2の表面に、前記複数の仕上げ板材4を予め取り付けておくことができるので、このような建築用パネル1を用いて建物を施工することによって、現場での作業を軽減することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項1に記載の建築用パネル1の積み重ね構造において、
前記建築用パネル1は、建物の屋根を構成する屋根パネル1であり、前記仕上げ板材4は、屋根仕上げ材4であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記建築用パネル1は、建物の屋根を構成する屋根パネル1であり、前記仕上げ板材4は、屋根仕上げ材4であることから、前記スペーサ5を、前記屋根パネル1のパネル本体2の表面に取り付けられた複数の屋根仕上げ材4を跨ぐようにして、前記パネル本体2上に配置することによって、輸送時に、前記屋根パネル1を上下方向に複数積み重ねたとしても、これら屋根パネル1同士が強く接触することがなくなるので、これら複数の屋根パネル1のパネル本体2の表面に取り付けられた複数の屋根仕上げ材4が破損してしまうことを確実に防ぐことができる。したがって、従来とは異なり、現場で、これら複数の屋根仕上げ材4の破損部分を修復したり、これら複数の屋根仕上げ材4自体を取り替えたりする必要がなくなるので、現場での屋根の施工に係る作業を軽減して施工性を向上させることが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項2に記載の建築用パネル1の積み重ね構造において、
前記複数の屋根仕上げ材4は、屋根の勾配方向に沿って下方から上方に向かって複数段に重なり合うようにして、前記屋根パネル1のパネル本体2の表面に取り付けられており、
前記一対の脚部5bの高さ寸法は、前記屋根仕上げ材4同士が重なり合う部分よりも高くなるように設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記一対の脚部5bの高さ寸法は、前記屋根仕上げ材4同士が重なり合う部分よりも高くなるように設定されているので、前記スペーサ本体5aが前記複数の屋根仕上げ材4に接触することを防ぐことが可能となり、これら複数の屋根仕上げ材4が破損してしまうことを、より確実に防ぐことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項2または3に記載の建築用パネル1の積み重ね構造において、
前記スペーサ本体5aの下面には、前記重なり合う屋根仕上げ材4の表面に当接する緩衝材6が取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記スペーサ本体5aの下面には、前記重なり合う屋根仕上げ材4の表面に当接する緩衝材6が取り付けられているので、前記スペーサ本体5aと、前記重なり合う屋根仕上げ材4とが強く接触する際の衝撃を緩和することが可能となり、これら複数の屋根仕上げ材4が破損してしまうことを、さらに確実に防ぐことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項2〜4のいずれか一項に記載の建築用パネル1の積み重ね構造において、
前記屋根パネル1には、この屋根パネル1の表面から突出する雪止め部材7が複数設けられており、
前記スペーサ5の高さ寸法は、前記雪止め部材7よりも高くなるように設定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記スペーサ5の高さ寸法は、前記雪止め部材7よりも高くなるように設定されているので、下方に位置する屋根パネル1の表面から突出する複数の雪止め部材7が、上方に位置する屋根パネル1の下面に接触することを防ぐことが可能となり、これら複数の雪止め部材7だけでなく、上方に位置する屋根パネル1の下面が破損してしまうことも確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スペーサは、パネル本体の表面に取り付けられる複数の仕上げ板材に跨るようにして配置される長尺なスペーサ本体と、このスペーサ本体の両端部にそれぞれ取り付けられるとともに、パネル本体の表面の周縁部付近のジョイント領域に設置される一対の脚部とを備えているので、これら一対の脚部をジョイント領域に設置するとともに、スペーサ本体をパネル本体の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材に跨るようにして配置することによって、スペーサを、パネル本体の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材を跨ぐようにして、パネル本体上に配置できることとなる。
これによって、輸送時に、建築用パネルを上下方向に複数積み重ねたとしても、これら建築用パネル同士が強く接触することがなくなるので、これら複数の建築用パネルのパネル本体の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材が破損してしまうことを確実に防ぐことができる。したがって、従来とは異なり、現場で、これら複数の仕上げ板材の破損部分を修復したり、これら複数の仕上げ板材自体を取り替えたりする必要がなくなるので、現場での建物の施工に係る作業を軽減して施工性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
本実施の形態の建築用パネル1の積み重ね構造は、図1〜図4に示すように、パネル本体2と、このパネル本体2の表面に、このパネル本体2の周縁部から所定の間隔をあけて取り付けられる複数の仕上げ板材4とを備える建築用パネル1を、スペーサ5を介して上下方向に複数積み重ねてなるものであり、前記パネル本体2の表面の周縁部付近は、このパネル本体2と、このパネル本体2と隣接する他のパネル本体2とを連結した際に、これら隣接するパネル本体2間に架け渡されるジョイント用の仕上げ板材4を取り付けるためのジョイント領域Tとされており、前記スペーサ5は、前記パネル本体2の表面に取り付けられる複数の仕上げ板材4に跨るようにして配置される長尺なスペーサ本体5aと、このスペーサ本体5aの両端部にそれぞれ取り付けられるとともに、前記ジョイント領域Tに設置される一対の脚部5bとを備えており、下方に位置する建築用パネル1のパネル本体2には、前記スペーサ5が、このパネル本体2の長さ方向に沿って複数設けられており、これら複数のスペーサ5上に架け渡されるようにして、上方に位置する建築用パネル1が載置されている。
【0019】
なお、本実施の形態の建築用パネル1は、建物の屋根を構成する屋根パネル1であり、前記仕上げ板材4は、屋根仕上げ材4であるものとする。
また、上述の、建築用パネル1を上下方向に複数積み重ねる、とは、平板状の建築用パネル1を、いわゆる平積みする状態を指しており、これら平積みされた複数の建築用パネ
ル1間に、前記複数のスペーサ5がそれぞれ介在した状態となっている。
【0020】
ここで、前記パネル本体2は、図1,図3および図4に示すように、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助棧材が縦横に組み付けられて枠体2aが構成され、この枠体2aの上面に、野地板となる面材2bが貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
なお、本実施の形態のパネル本体2は、矩形状に形成されるものとしたが、これに限るものではなく、例えば正方形や台形、三角形、円形等に形成されるものとしても良い。
【0021】
また、前記面材2bの上面には、図1〜図4に示すように、前記パネル本体2の防水性を向上させる防水シート3が敷設されている。この防水シート3としては、例えばアスファルトルーフィングや塩化ビニルシート等が用いられるようになっている。
【0022】
前記複数の屋根仕上げ材4は、図1〜図4に示すように、屋根の勾配方向に沿って下方から上方に向かって複数段に重なり合うようにして、前記屋根パネル1のパネル本体2の表面に、前記防水シート3を介して取り付けられてている。
また、前記屋根パネル1には、この屋根パネル1の表面から突出する雪止め部材7が複数設けられている。この雪止め部材7は、屋根面に積もった雪の滑落を防ぐためのものであり、前記複数の屋根仕上げ材4とともに予め前記パネル本体2に取付固定しておくようにする。そして、この雪止め部材7は、例えば薄肉の金属製であり、図4に示すように、複数段に重なり合う屋根仕上げ材4間に挟み込まれるようにして、前記パネル本体2の表面に固定されている。
【0023】
また、前記屋根仕上げ材4は、図2および図3に示すように、表面に、働き部分としての露出部4aと、自身の上段に位置する屋根仕上げ材4の裏面側に差し込まれるようにして配置される差込部4bとを備えている。さらに、前記差込部4bには、前記屋根仕上げ材4の幅方向に沿って釘打ちライン(図示せず)が設けられており、前記複数の屋根仕上げ材4は、この釘打ちラインに沿って、釘等の止着材を複数打ち込むことによって前記パネル本体2の表面に取付固定されている。
【0024】
なお、本実施の形態の屋根仕上げ材4としては、例えばアスファルトシングルやファイバーグラスシングル等が用いられており、耐久性や防火性、防水性、耐風性に優れるとともに、可撓性を有している。このように前記屋根仕上げ材4が可撓性を有しているので、例えば屋根の施工を行う際にめくり上げやすく、屋根仕上げ材4同士を重ね合わせやすいという利点がある。
また、前記複数の屋根パネル1同士を連結する際は、前記ジョイント領域Tにも、前記屋根仕上げ材4と同種のデザインや同等の機能を有するジョイント用の屋根仕上げ材4が取り付けられることとなる。
【0025】
一方、前記スペーサ5は、図1,図3および図4に示すように、前記パネル本体2の表面に取り付けられた複数の屋根仕上げ材4に跨るようにして配置される長尺なスペーサ本体5aと、このスペーサ本体5aの両端部にそれぞれ取り付けられるとともに、前記ジョイント領域Tに設置される一対の脚部5bとを備えている。
【0026】
また、前記スペーサ5の高さ寸法は、図4に示すように、前記雪止め部材7よりも高くなるように設定されている。これによって、下方に位置する屋根パネル1の表面から突出する複数の雪止め部材7が、上方に位置する屋根パネル1の下面に接触することを防ぐことができるので、これら複数の雪止め部材7だけでなく、上方に位置する屋根パネル1の下面が破損してしまうことも確実に防ぐことができる。
【0027】
また、本実施の形態の前記スペーサ本体5aおよび一対の脚部5bは、双方とも木製の角材によって構成されているものとするが、これに限るものではなく、例えば双方とも金属で構成されていたり、一方が木材で他方が金属で構成されていたりしても良い。
【0028】
また、前記一対の脚部5bを、前記スペーサ本体5aに対して水平回転自在としてもよい。すなわち、前記脚部5bを前記スペーサ本体5aに固定する際に、例えば1本の釘やボルト等の止着材で固定することによって、この止着材を軸にして前記脚部5bを、前記スペーサ本体5aに対して水平回転させることができる。これによって、矩形状や正方形のパネル本体2だけでなく、台形や三角形、円形等に形成されたパネル本体2にも対応させて前記スペーサ5を設けることが可能となる。
【0029】
なお、図示はしないが、平面形状の異なる複数の屋根パネル1を上下方向に積み重ねた際に、下方に位置する屋根パネル1よりも、上方に位置する屋根パネル1の方が大きくはみ出してしまう場合がある。そのような場合は、この上方に位置する屋根パネル1と、前記下方に位置する屋根パネル1の更に下方に位置する屋根パネル1との間に、例えば柱状の補助スペーサを用いることが、積み重ね状態の安定化を図る上で好ましい。この時、この補助スペーサは、前記更に下方に位置する屋根パネル1のパネル本体2のジョイント領域Tに設置される。
【0030】
また、前記スペーサ本体5aの下面には、図4に示すように、前記重なり合う屋根仕上げ材4の表面に当接する緩衝材6が取り付けられている。これによって、前記スペーサ本体5aと、前記重なり合う屋根仕上げ材4とが強く接触する際の衝撃を緩和することができるので、これら複数の屋根仕上げ材4が破損してしまうことを、さらに確実に防ぐことができる。
本実施の形態の緩衝材6は、例えばダンボールで構成されるものとするが、これに限るものではなく、例えばゴムやシリコン等のように弾力性や衝撃吸収性を備えるものであっても良い。
【0031】
次に、前記屋根パネル1を、上下方向に複数積み重ねる手順について説明する。
すなわち、まず、図1に示すように、地面等の水平面に、角材からなる支持材8を、所定の間隔をあけて複数並設する。
そして、これら複数の支持材8上に架け渡すようにして、最下段に位置する屋根パネル1を載置する。
【0032】
続いて、この最下段に位置する屋根パネル1のパネル本体2の周縁部付近のジョイント領域Tに、前記一対の脚部5bを設置するとともに、前記スペーサ本体5aを前記パネル本体2の表面に取り付けられた複数の仕上げ板材4に跨るようにして配置して、前記スペーサ5を、前記パネル本体2上に配置する。
また、このようなスペーサ5を、前記最下段に位置する屋根パネル1のパネル本体2長さ方向に沿って所定の間隔をあけて複数並設する。これによって、上方に位置する建築用パネル1を、これら複数のスペーサ5上に安定的に載置することができる。
以上のような作業を繰り返して、上下方向に複数の屋根パネル1を積み重ねていく。
【0033】
なお、前記複数のスペーサ5を、前記パネル本体2の長さ方向に沿って並設する際の所定の間隔を、前記複数の支持材8を並設する際の所定の間隔と略等しくすることによって、積み重なる複数の屋根パネル1全体の積み重ね状態の安定化を図ることができるので、望ましい。
【0034】
また、前記緩衝材6は、予め前記スペーサ本体5aの下面に取り付けておくことが好ましい。これによって、前記スペーサ5を前記パネル本体2上に配置した際に、万が一、このスペーサ5と前記複数の屋根仕上げ材4とが強く接触した場合の衝撃を緩和することができるので、前記複数の屋根仕上げ材4の破損を確実に防ぐことができる。
【0035】
本実施の形態によれば、前記建築用パネル1は、建物の屋根を構成する屋根パネル1であり、前記仕上げ板材4は、屋根仕上げ材4であることから、前記スペーサ5を、前記屋根パネル1のパネル本体2の表面に取り付けられた複数の屋根仕上げ材4を跨ぐようにして、前記パネル本体2上に配置することによって、輸送時に、前記屋根パネル1を上下方向に複数積み重ねたとしても、これら屋根パネル1同士が強く接触することがなくなるので、これら複数の屋根パネル1のパネル本体2の表面に取り付けられた複数の屋根仕上げ材4が破損してしまうことを確実に防ぐことができる。したがって、従来とは異なり、現場で、これら複数の屋根仕上げ材4の破損部分を修復したり、これら複数の屋根仕上げ材4自体を取り替えたりする必要がなくなるので、現場での屋根の施工に係る作業を軽減して施工性を向上させることが可能となる。
【0036】
しかも、このようなスペーサ5が、前記下方に位置する屋根パネル1のパネル本体2の長さ方向に沿って複数設けられているので、前記上方に位置する屋根パネル1を、これら複数のスペーサ5上に安定的に載置することができる。これによって、できるだけ多くの屋根パネル1を輸送車両の荷台に積載することができるので、輸送効率を向上させることができる。
また、前記パネル本体2の表面に、前記複数の屋根仕上げ材4を予め取り付けておくことができるので、このような屋根パネル1を用いて屋根を施工することによって、現場での作業を軽減することができる。
【0037】
なお、本実施の形態の建築用パネル1として、前記屋根パネル1だけでなく、床パネルや壁パネルを適用できることは言うまでもない。前記仕上げ板材4は、床パネルであれば例えばフローリング材であり、壁パネルであれば例えば外壁材や内壁材が適用される。
【0038】
また、本実施の形態の建築用パネル1の積み重ね構造は、輸送時だけに限られず、現場や倉庫等で前記建築用パネル1を保管するときにも採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の建築用パネルの積み重ね構造を示す正面図である。
【図2】建築用パネルの一例を示す平面図である。
【図3】図1に示す建築用パネルの積み重ね構造の一部を示す斜視図である。
【図4】本発明の建築用パネルの積み重ね構造の一例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 建築用パネル(屋根パネル)
2 パネル本体
4 仕上げ板材(屋根仕上げ材)
5 スペーサ
5a スペーサ本体
5b 脚部
T ジョイント領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体と、このパネル本体の表面に、このパネル本体の周縁部から所定の間隔をあけて取り付けられる複数の仕上げ板材とを備える建築用パネルを、スペーサを介して上下方向に複数積み重ねてなる建築用パネルの積み重ね構造であって、
前記パネル本体の表面の周縁部付近は、このパネル本体と、このパネル本体と隣接する他のパネル本体とを連結した際に、これら隣接するパネル本体間に架け渡されるジョイント用の仕上げ板材を取り付けるためのジョイント領域とされており、
前記スペーサは、前記パネル本体の表面に取り付けられる複数の仕上げ板材に跨るようにして配置される長尺なスペーサ本体と、このスペーサ本体の両端部にそれぞれ取り付けられるとともに、前記ジョイント領域に設置される一対の脚部とを備えており、
下方に位置する建築用パネルのパネル本体には、前記スペーサが、このパネル本体の長さ方向に沿って複数設けられており、これら複数のスペーサ上に架け渡されるようにして、上方に位置する建築用パネルが載置されていることを特徴とする建築用パネルの積み重ね構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建築用パネルの積み重ね構造において、
前記建築用パネルは、建物の屋根を構成する屋根パネルであり、前記仕上げ板材は、屋根仕上げ材であることを特徴とする建築用パネルの積み重ね構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建築用パネルの積み重ね構造において、
前記複数の屋根仕上げ材は、屋根の勾配方向に沿って下方から上方に向かって複数段に重なり合うようにして、前記屋根パネルのパネル本体の表面に取り付けられており、
前記一対の脚部の高さ寸法は、前記屋根仕上げ材同士が重なり合う部分よりも高くなるように設定されていることを特徴とする建築用パネルの積み重ね構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載の建築用パネルの積み重ね構造において、
前記スペーサ本体の下面には、前記重なり合う屋根仕上げ材の表面に当接する緩衝材が取り付けられていることを特徴とする建築用パネルの積み重ね構造。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の建築用パネルの積み重ね構造において、
前記屋根パネルには、この屋根パネルの表面から突出する雪止め部材が複数設けられており、
前記スペーサの高さ寸法は、前記雪止め部材よりも高くなるように設定されていることを特徴とする建築用パネルの積み重ね構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−255960(P2009−255960A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108413(P2008−108413)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】